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通貨ベーシススワップのプライシング とマルチカーブ
通貨ベーシススワップのプライシング とマルチカーブ 2013 年 4 月 22 日(月) OTC クオンツスクール 通貨 LIBOR ベーシススワップほど、インターバンクでは流動性のある取引であるにもかかわらず、プラ イシング手法が銀行によりまちまちな取引はないでしょう。通貨ベーシススワップは中長期為替取引と密 接に関連しており、金利デスクと為替デスクが一体となっている現状を踏まえると、通貨ベーシススワッ プはイールドカーブの重要な構成要素であることには間違いはありません。しかし、昨今 OIS ディスカウ ンティングにより、あまり注目はされていないのですが、実は通貨 LIBOR ベーシススワップはマルチカー ブをグローバルにリンクするには欠かせない商品なのです。 歴史的にみても、イールドカーブ構築における通貨ベーシススワップの役割は大きく変わってきました。 本邦では90年代から、ジャパンプレミアムと長引く低金利が背景にあった仕組み債の組成の活発化によ りドル円通貨ベーシススワップは無視できないマイナスのスプレッドが存在していました。 ここで、本邦の銀行と外銀とのプライシングのアプローチは大きく異なりました。邦銀は、金利スワッ プのディスカウントカーブ(当時のディスカウントは LIBOR)とは違う通貨ベーシススワップをパーにす るディスカウントカーブを別途用意し、元本交換のあるスワップはこの通貨スワップからのディスカウン トカーブを使うというアドホックな方法をとりました。一方、外資系金融機関は、円ディスカウントカー ブはドル円通貨ベーシススワップから作り、円 LIBOR カーブは円金利スワップから作るという、いまでい うところのマルチカーブをすでに採用していたのです。実は、マルチカーブは円マーケットでは 90 年代 から存在していました。金融工学的にいえば、昨今のマルチカーブは従来の円カーブの構築方法を他通貨 にも応用しただけのことです。 リーマンショック以降、OIS ディスカウントが一般的になると、通貨ベーシススワップの役割は大きく 変わりました。通貨ベーシススワップスプレッドはドルの相対的な流動性を以前よりもまして反映するよ うになり、ドル担保のローカルカレンシー取引のディスカウントカーブの構築で使われるようになりまし た。また、以前はあまり意識されませんでしたが、インターバンクにおける通貨ベーシススワップのドル 元本は利息期間である 3 か月ごとにその時の為替レートでリセットされるので、ドルがマルチカーブにな ると、ドルレッグの価値がゼロとはならず、コンベクシティーやクオントの調整が必要となります。 今回のセミナーでは、通貨ベーシススワップのプライシング手法とイールドカーブ構築(カリブレーシ ョン)の変遷を概観して、現在のマルチカーブのフレームワークのなかで、通貨ベーシススワップのドル 元本が為替レートでリセットする特性をきちんと織り込んだプライシングとマルチカーブ構築の方法を講 義します。 概要 マルチカーブ構築において OIS(オーバーナイトインデックス・スワップ)に役割を奪われたようにみえ る通貨ベーシススワップは、実は複数通貨のマルチカーブをグローバルにリンクする役割を果たしていま す。このメカニズムと Convexity/Quanto 調整を考慮した通貨ベーシススワップの新しい評価方法につ いて講義します。具体的には、 ・ 通貨ベーシススワップのマルチカーブ構築における役割が、90 年代、CCP で円スワップが清算され 始めた以前と後で大きく変わりました。なぜ役割が変遷したのかの理論的背景を学びます。 ・ 複数通貨の同時マルチカーブ構築における通貨ベーシススワップの役割を考察します。 ・ 複数通貨のマルチカーブにおいて、Convexity と Quanto の調整を考慮した新しい通貨ベーシススワ ップの評価方法を紹介します。 ・ エキゾチック商品としてのドル元本が一定な場合の通貨ベーシススワップのプライシングを行います。 セミナー対象者 ・ 金融機関におけるクオンツ、トレーダー ・ 金融機関のデリバティブ、ALM、リスク管理等の関係部署の方 ・ 監査法人でデリバティブ業務等の監査に携わる方、金融商品の評価業務に携わる方 ・ デリバティブ、金融リスク関係のシステム構築に携わる方 講義日程 日付: 2013 年4月 22 日 (月) 時間: 18:00 – 21:00 会場: JA ビル カンファレンス 401B 定員: 25 名 (申し込み人数が定員になった時点で締め切らせていただきます) 担当講師 高田勝己 (株式会社 Diva Investments 代表取締役) 平成元年、一橋大学経済学部卒業。日本債券信用銀行 資金証券部 調査役、さくら銀行 商品開発部 上席 調査役、コメルツ証券会社 債券部トレーディングデスク ディレクター、ベアースターンズ・ジャパン 債 券部 マネジングディレクター、RBC(Royal Bank of Canada)キャピタルマーケッツ・ジャパン ディレ クターを経て、現在、株式会社 Diva Investments にて金融デリバティブモデルにかかるコンサルティン グに従事する。 シカゴ大学 MBA Analytic Finance 専攻。東京大学大学院 数理学科 後期博士課程修了。 受講料 40,000円 (税込) 学生割引:フルタイムの学生は50%の受講料で受講できます。ただし、申込みの優先順位は後回しになり ます。 お申込み OTC クオンツスクールのホームページ http://www.divainvest.jp から申し込んでください。 講義内容 ① 90 年代の通貨ベーシススワップの役割 ・通貨ベーシススワップのプライシング ③ 今のマルチカーブにおける通貨ベーシスス ワップの役割 ・ドル元本のリセッタブルの無視の妥当性 ・OIS ディスカウンティングとの関係 ・Dual Discount カーブ ・ドルレッグのプライシング ・90 年代の円のマルチカーブ ・ドル元本が一定の場合 ・ドル元本がリセッタブルな場合 ② CCP で円金利スワップが清算される以前の通 貨ベーシススワップの役割 ・Convexity/Quanto 調整 ・円レッグのプライシング ・ドル担保の円金利スワップ ・ドル担保の円フォワード LIBOR の計算 ・ドル担保の円金利スワップション ・ドル担保の円ディスカウンティング ・通貨ベーシススワップから円ディスカウントカ ・マルチカーブの構築 ーブの作成 ・エキゾチックとしてのドル元本が一定な通貨ベ ・ドルが担保であったときの円のマルチカーブ ーシススワップのプライシング (注) 講義内容は見直し等により変更になる場合があります。