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現代法実務(医療過誤) 大森 夏織
科目名 現代法実務(医療過誤) 大森 担当教員 夏織 授業の目的・到達目標 本講義では、弁護士が日常どのように医療紛争(裁判内外)・医療安全にかかわるかをイメー ジしてもらい、その日常業務と理念への理解と興味をもっていただくことを目的とする。 授業の概要 患者側で医療紛争、医療事故・医療過誤を扱う弁護士の日常業務は、2つの側面に分かれる。個々 の医療紛争を受任しこの解決を目指すなかで具体的な医療被害者の救済に資するという側面と、「安 全で質の高い医療を受ける権利」実現に向けて医療安全の諸施策を専門家として支える側面である。 本講義では、担当教員の日常業務におけるこの両側面の実現を具体的にイメージしてもらうべく、 医療裁判をどのようにたたかっているか、医療事故の調査はどのように行われているのか、医療AD Rや無過失補償制度というしくみがどのように実現されているのか、患者側弁護士は医療安全にどの ようにかかわることができるのか、などを紹介していくことで、学生に業務と理念への興味を養う。 課外授業(医療現場等を見る・現場の話を聞く)やゲストスピーカー招聘も行うため、授業のテー マはシラバスの順番どおりではないことに留意されたい。 成績評価の基準・方法 期末試験(70%) 、 その他(30%) ①出席状況、②講義にのぞむ姿勢や準備状況、③期末試験により評価する。 ただし青山学院法科大学院基準により③が7割を占める。 使用教材・教科書・参考文献 特定の教科書は使用しない。準備学習用の資料や参考文献等は講義時に指示する。 履修条件 講義テーマに関心があること 151 2013年度授業計画 回 テーマ 内容 1 ガイダンス 患者側弁護士の仕事・日常業務総論 2 医療紛争における調査活 動と弁護士 医療事故調査とは。患者側弁護士の仕事は、いきなり「裁判」で はなく調査前置であり、どのような調査をしているかを、具体的 事件から語る 3 訴状作成について 医療裁判を提起する場合の訴状作成の苦労を実例から語る 4 訴訟遂行(尋問・鑑定など) いくつかの医療訴訟を紹介し、尋問や鑑定など訴訟遂行、勝訴判 について 決取得の苦労を語る 5 患者側弁護士と東京地方 裁判所医療集中部や大学 病院との協議会 6 医療事故調査制度と患者 側弁護士 医療訴訟に関する東京地裁医療集中部や大学病院との協議会や シンポジウムを通じたかかわりを語る 日本の医療事故調査制度(院内事故調査制度、第三者機関により 医療事故調査制度)と弁護士のかかわりを語る 日本の医療ADR制度、なかでも東京三弁護士会医療ADRのあ 7 医療ADR っせん人等経験などからの紹介 分娩時原因の脳性麻痺を発症した赤ちゃんへの補償制度と弁護 士のかかわりを、原因分析委員の経験などもふまえて語り、同時 に産科脳性麻痺訴訟の苦労も語る 8 産科無過失補償制度 9 大学病院の医局訪問 10 病院のセーフティーマネ ージャー訪問 診療報酬で患者サポート加算をされる、病院の医療安全担当者を 訪問し、患者と医療現場をつなぐ役割を紹介(課外授業予定) 11 病院側弁護士の仕事 病院側、医師側代理人の仕事紹介(ゲストスピーカー予定) 12 薬害裁判 13 医療基本法制定運動 2003年ドラマ「白い巨 14 塔」とインフォームド・コ ンセントなど 大学病院の医局を訪問し業務内容などの紹介(課外授業予定) 東京HIV訴訟、薬害肝炎訴訟などの薬害訴訟に関する弁護団活 動の紹介 (ゲストスピーカー予定) 患者の権利確立、安全で良質な医療を受けるための患者の権利 法、医療基本法制定運動の紹介(ゲストスピーカー予定) インフォームド・コンセントの歴史と判例、2003年ドラマ「白 い巨塔」などを題材に創作物と実際の紛争現場の違いなども紹介 152