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43-48『敵を愛しなさい』2011.9.29 改訂

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43-48『敵を愛しなさい』2011.9.29 改訂
August 08, 2010 敵を愛しなさい
2010年8月8日 泉キリスト教会礼拝
『敵を愛しなさい』 マタイの福音書 5章43∼47節
<参考>→ルカ 6章27∼28節、32∼36節
" しかし、いま聞いているあなたがたに、わたしはこう言います。
あなたの敵を愛しなさい。あなたを憎む者に善を行ないなさい。
:28 あなたをのろう者を祝福しなさい。あなたを侮辱する者のために祈りなさい。
:32 自分を愛する者を愛したからといって、あなたがたに何の良いところが
あるでしょう。罪人たちでさえ、自分を愛する者を愛しています。
:33 自分に良いことをしてくれる者に良いことをしたからといって、あなたがたに何の良いところが
あるでしょう。罪人たちでさえ、同じことをしています。
:34 返してもらうつもりで人に貸してやったからといって、
あなたがたに何の良いところがあるでしょう。
貸した分を取り返すつもりなら、罪人たちでさえ、罪人たちに貸しています。
:35 ただ、自分の敵を愛しなさい。彼らによくしてやり、返してもらうことを
考えずに貸しなさい。そうすれば、あなたがたの受ける報いはすばらしく、
あなたがたは、いと高き方の子どもになれます。
なぜなら、いと高き方は、恩知らずの悪人にも、あわれみ深いからです。
:36 あなたがたの天の父があわれみ深いように、
あなたがたも、あわれみ深くしなさい。"
→マタイ 5章43∼44節
『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め。』
と言われたのを、あなたがたは聞いています。
しかし、わたしはあなたがたに言います。
自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。"
はじめに.
「自分の隣人を愛しなさい」という教えが律法の書すなわち旧約聖書に基づいて
いることを、当時のユダヤ人たちはよく知っていました。
<参考>→レビ記 19章18節後半
"あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。わたしは主である。"
「自分の敵を憎め」という語は旧約聖書中には見出すことができませんが、自分
の敵を憎むことは、万人共通の心理です。ところが、イエスさまは、人々に向かっ
て全く意外なことをお教えになったのです。マタイの福音書5章44節にあるよう
に、"自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。"と教えておられます。
Matt. 5:44
e˙gw» de« le÷gw uJmi√n: aÓgapa◊te tou\ß e˙cqrou\ß uJmw◊n kai« proseu/cesqe
uJpe«r tw◊n diwko/ntwn uJma◊ß,
aÓgapa◊te agapaw VERB 2nd pl. pre. act. imp. to love、愛する
e˙cqrou\ß ecqroß NOUN m. pl. acc. enemy、敵
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August 08, 2010 敵を愛しなさい
diwko/ntwn diwkw
VERB pre. act. pt. m. pl. gen. to persecute、迫害する
このような教えは、キリスト以前にもキリスト以後にも、キリスト以外の誰に
よっても、教えられたことはありません。
しかし,一体,人間には敵を愛することが出来るのでしょうか?
(一)敵を愛することが出来るのでしょうか?
マタイ5章46節をご覧ください。
Matt. 5:46
e˙a»n ga»r aÓgaph/shte tou\ß aÓgapw◊ntaß uJma◊ß, ti÷na misqo\n e¶cete;
oujci« kai« oi˚ telw◊nai to\ aujto\ poiouvsin;
aÓgaph/shte agapaw VERB 2nd pl. aor. act. subj. to love、愛する
ti÷na tiß PRONOUN interrogative adjectival m. s. acc. what? (interog.)、何の
misqo\n misqoß NOUN m. s. acc. reward、報い
oujci« ouci PARTICLE interrogative not, no
telw◊nai telwnhß NOUN m. pl. nom. tax collector、取税人
→マタイの福音書5章46節
" 自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょう。取税人
でも、同じことをしているではありませんか。"
と書かれてあります。イエスさまが言っておられますように,自分を愛してくれる者を愛す
ることは誰にでも出来ることです。そんなことは、あなたがたが蔑んでいる取税人のような
人間でもしていますよ、とイエスさまが仰せられました。
マタイ5章47節もご覧ください。
Matt. 5:47
kai« e˙a»n aÓspa¿shsqe tou\ß aÓdelfou\ß uJmw◊n mo/non, ti÷ perisso\n
poiei√te; oujci« kai« oi˚ e˙qnikoi« to\ aujto\ poiouvsin;
aÓspa¿shsqe aspazomai VERB 2nd pl. aor. mid. subj. to greet、挨拶する
perisso\n perissoß Adj. n. s. acc. noDegree more, to the full
e˙qnikoi« eqnikoß Adj. m. pl. nom. noDegree pagan, Gentile、異教徒、異邦人
" また、自分の兄弟にだけあいさつしたからといって、どれだけまさった
ことをしたのでしょう。異邦人でも同じことをするではありませんか。"
自分に冷淡な者に対しては、ただ、挨拶することだけでも困難を感じるもので
す。自分を責めたり、非難したりする者、敵対するものに対しては、挨拶なんかし
たくないものです。
ですから,敵を愛することなど、人間にとっては、到底、出来ることではありま
せん。愛するどころか、恨みを抱かないでいることだって、不可能なことでないの
でしょうか?
ここで,旧約聖書の中にある教えを二つ紹介したいと存じます。
→出エジプト記�23章5節
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August 08, 2010 敵を愛しなさい
" あなたを憎んでいる者のろばが、荷物の下敷きになっているのを見た場合、
��それを起こしてやりたくなくても、
必ず彼といっしょに起こしてやらなければならない。"
→箴言 24章17節
" あなたの敵が倒れるとき、喜んではならない。
彼がつまずくとき、あなたは心から楽しんではならない。"
旧約聖書の中にはこのような教えもありますが、これらは、みな、消極的な教訓に過ぎ
ません。
しかし、この山上の説教の中で、イエスさまがお命じになっているご命令、すなわち、「あ
なたの敵を愛しなさい」とのご命令は、人間には、到底、出来そうもないことに思われます。
<参考>
それは、私が川崎市の中野島で牧師をしていた頃のことですが、近くの登戸で開かれてい
た創価学会の信徒たちの座談会にたった一人で出席したことがあります。
学会員の方々から集中攻撃を受けたことは言うまでもありませんが、帰り際に「私はあな
た方のためにも祈ってますよ」と私が言ったとき、「やっぱり、そうか!調伏し、呪ってい
るのか」と、指導者の人が言いました。「調伏」とは仏教用語で「心身を制御して煩悩や悪
行にうちかつこと」を意味し、また「人を呪い殺すこと」を意味することばです。創価学会
の人たちは、私が彼らを敵視し、自分たちのことを呪っていると思い込んでいたのです。
たしかに、私たちの生まれ付きのままの心は、敵を愛することなど思い付くこと
さえできません。しかし、敵をも愛して下さっている御方がおられるのです。
(二)キリストは敵をも愛して下さいました。
敵をも愛することを、初めて実行なさった御方はイエスさまです。キリストで
す。キリストは、人々をその罪の中から救い出すため、この世にお出でになりまし
た。しかるに、同国人であるユダヤ人たちはそのキリストに敵対し、キリストを憎
み、キリストを死刑にするためローマ人の手に渡し、十字架に付けました。
→ルカの福音書23章33∼34節前半
" 「どくろ」と呼ばれている所に来ると、そこで彼らは、
イエスと犯罪人とを十字架につけた。犯罪人のひとりは右に、ひとりは左に。
:34 そのとき、イエスはこう言われた。
��「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」"
Luke 23:34a
{oJ de« ∆Ihsouvß e¶legen: pa¿ter, a‡feß aujtoi√ß, ouj ga»r oi¶dasin ti÷
poiouvsin.} diamerizo/menoi de« ta» i˚ma¿tia aujtouv e¶balon klh/rouß.
poiouvsin.}
e¶legen legw
a‡feß afihmi
oi¶dasin oida
VERB 3rd s. impf. ac. ind. to say、言う
VERB 2nd s. aor. act. imp. to leave、forgive、赦す
VERB 3d pl. pf. act. ind. to know、知る
キリストは、あの十字架の上で、その激しい苦痛の中でお祈りになりました。
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August 08, 2010 敵を愛しなさい
「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」と
祈り、お叫びになりました。
私が、初めてこのことを知ったのは、哲学か社会学の講義を聞いていたときのこ
とです。教授がこのことを引き合いに出して、「これがアガペーの愛である、絶対
愛である」と言われたのを今でもよく覚えています。まだ,教会に行ったこともな
く、まだ,キリストを信じてもいなかった私でしたが、心に軽い驚きと新鮮な感動
のようなものを与えられたからです。
多くの人たちが、キリストのこの祈りを聞き、その愛に触れて、このような愛、
敵をも愛する愛が、この世に存在していることを知らされています。
<参考>→ローマ人への手紙 5章8∼10節
" しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神
は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。
:9 ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私たちが、
彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです。
:10 もし敵であった私たちが、御子の死によって神と和解させられたのなら、
和解させられた私たちが、彼のいのちによって救いにあずかるのは、
なおさらのことです。"
→コロサイ人への手紙 1章21 22節
" あなたがたも、かつては神を離れ、
心において敵となって、悪い行ないの中にあったのですが、
:22 今は神は、御子の肉のからだにおいて、しかもその死によって、あなたがたをご自分と和解さ
せてくださいました。それはあなたがたを、聖く、傷なく、
非難されるところのない者として御前に立たせてくださるためでした。"
(三)キリストに罪を赦され、
愛されていることを知っている者も、敵を愛することが出来ます。
敵をも愛するこのキリストの愛によって,自分の罪を赦され、こんな者が神の子
とされていることを知っている私たちも、敵を愛することを実行することが出来ま
す。自分の愛によってではなく、キリストの愛によって、自分の敵をも愛する者と
なれるのです。
<参考>→ローマ人への手紙 5章8∼10節
Rom. 5:8
suni÷sthsin de« th\n e˚autouv aÓga¿phn ei˙ß hJma◊ß oJ qeo/ß, o¢ti e¶ti
aJmartwlw◊n o¡ntwn hJmw◊n Cristo\ß uJpe«r hJmw◊n aÓpe÷qanen.
Rom. 5:9
pollwˆ◊ ou™n ma◊llon dikaiwqe÷nteß nuvn e˙n twˆ◊ aiºmati aujtouv swqhso/
meqa di∆ aujtouv aÓpo\ thvß ojrghvß.
Rom. 5:10
ei˙ ga»r e˙cqroi« o¡nteß kathlla¿ghmen twˆ◊ qewˆ◊ dia» touv qana¿tou touv
ui˚ouv aujtouv, pollwˆ◊ ma◊llon katallage÷nteß swqhso/meqa e˙n thØv
zwhØv aujtouv:
e˙cqroi« ecqroß m. pl. nom. enemy、敵
4
August 08, 2010 敵を愛しなさい
o¡nteß eimi pre. act. pt. m. pl. nom. to be,
kathlla¿ghmen katallassw 1st pl. aor. pass. ind. to reconcile、和解する
pollwˆ◊ poluß Adj. n. s. dat. noDegree much, many
ma◊llon mallon Adv. comparative more, rather
katallage÷nteß katallassw aor. pass. pt. m. pl. nom. 和解する
swqhso/meqa swzw 1st pl. fut. pass. ind. to save、救う
" しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神
は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。
:9 ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私たちが、
彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです。
:10 もし敵であった私たちが、御子の死によって神と和解させられたのなら、
和解させられた私たちが、彼のいのちによって救いにあずかるのは、
なおさらのことです。"
この私が神さまに敵対する罪人であったときにも、神さまは私を愛して下さり、
忍耐と寛容をもって、私が自分のマチガイを認め、悔い改めるようになるのを待っ
ていて下さいました。愛されるはずのない者を愛していて下さったのです。私ども
に対するこの神さまの愛を知らされた今、どうして、他の人を、それがたとえ敵で
あったとしても、その人を赦し、その人の祝福を祈らないでおれましょうか!
<参考>
黒人に対する差別撤廃を叫んで、遂にテロリストの凶弾に倒れたマルチン・ルター・キング
牧師の説教集が日本語にも訳されています。その説教集の題が「汝の敵を愛せよ」です。そ
の中に収められている「汝の敵を愛せよ」という説教は、彼が刑務所に入れられていたとき
に書かれたものであるとのことです。それを読むと、キング牧師が、自分たち黒人に対して
非道な差別を加え続けて来る白人たちのためにも、彼が祈り、白人たちを赦し、自分たちを
迫害する白人たちのためにも、祝福を祈っていたことがわかります。
自分たちを迫害する白人たちを好きにはなれないが、キリストが白人たちのためにも尊い
生命を捨て、血を流しておられることを認め、彼らのために赦しを与えて下さるように祈
り、祝福を祈っているのです。
勿論、敵を愛することは、悪に対して無頓着であれ、ということではありませ
ん。キリストは,敵をも愛するとともに、悪は悪とし、不義は不義として、これを
お責めになりました。私たちも悪に対して無頓着であってはなりません。日々、主
の祈りをささげ、悪は悪とし、不義は不義として、これをただす努力を続けて行か
なければなりません。しかし、さばきは神さまがなさることです。
<参考>→ローマ人への手紙12章19節
" だれに対してでも、悪に悪を報いることをせず、
すべての人が良いと思うことを図りなさい。
:18 あなたがたは、自分に関する限り、すべての人と平和を保ちなさい。
:19 愛する人たち。自分で復讐してはいけません。
神の怒りに任せなさい。それは、こう書いてあるからです。
「復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする、と主は言われる。」"
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August 08, 2010 敵を愛しなさい
むすび.
<参考>→テモテへの第一の手紙 1章15∼16節
" 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世に来られた。」
ということばは、まことであり、そのまま受け入れるに値するものです。
私はその罪人のかしらです。
:16 しかし、そのような私があわれみを受けたのは、イエス・キリストが、
今後彼を信じて永遠のいのちを得ようとしている人々の見本にしようと、
まず私に対してこの上ない寛容を示してくださったからです。"
→ペテロの手紙第一 2章10節
oiº pote ouj lao\ß nuvn de« lao\ß qeouv,
oi˚ oujk hjlehme÷noi nuvn de« e˙lehqe÷nteß.
oiº oß PRONOUN relative definite m. pl. nom. who, which, what
pote pote ADVERB noDegree once, formerly (particle)、以前は
hjlehme÷noi eleew VERB pf. pass. pt. m. pl. nom. to show mercy、あわれむ
e˙lehqe÷nteß eleew VERB aor. pass. pt. m. pl. nom. to show mercy、あわれむ
" あなたがたは、以前は神の民ではなかったのに、今は神の民であり、
以前はあわれみを受けない者であったのに、今はあわれみを受けた者です。"
日々、この恵みの原点に立ち返り、いつも、新しく神さまの赦しと愛を感謝するとき、私た
ちも、キリストの愛によって、敵を愛する者とされて行くのです。
憎むよりも愛する方がウント幸せです。そして、そのように愛する者の心には、キリストの
御霊による平安と自由があるのです。
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