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ノーマン・ミネタ氏 スピーチ全文 (PDFファイル)
2011 年度 桜美林大学学位授与式 名誉博士号授与 ノーマン・ヨシオ・ミネタ氏スピーチ(2012/3/15) 佐藤学長およびご列席の皆様 この度は貴学より名誉博士号授与という栄誉を賜り、誠にありがとうございます。 日本とアメリカには、両国を結びつけるさまざまな絆がありますが、その一つがドイ ツの慈善家ジャン・フレデリック・オベリン牧師にゆかりのある大学が両国に存在す ることです。 オベリン牧師自身は日本やアメリカを訪れたことはありませんが、オベリン牧師の価 値観、すなわち社会への貢献と、人々の自由と幸福の増進を重視した進歩的な価値観 は、紛れもなく両大学に大きな影響をもたらしました。 その一つの例ですが、今からおよそ 180 年前に、オベリン大学はアメリカの大学とし て初めてアフリカ系アメリカ人学生と女子学生を受け入れました。 オベリン牧師の価値観は、現在に至るまで世代から世代へと受け継がれ、オベリン大 学と桜美林大学の両大学で活かされています。 貴学の創立者である清水安三、郁子夫妻はオベリン大学で学び、後年、オベリン大学 の名称だけでなく、その建学の精神をアメリカの精神とともに、この素晴らしい高等 教育の学び舎に取り入れました。 清水夫妻はアメリカで学び、その後中国で教育に従事しましたが、その体験をとおし て、世界を学ぶことや国際的な視野を持つことの大切さを認識しました。佐藤学長は この点について、「具体的にいえば、日本人学生は世界を学び、留学生は日本を学ぶ こと」とおっしゃっています。私もそうあるべきと思っております。 私たちにはもう一つ絆があります。貴学の日本語名称を表す漢字は「桜・美・林」の 3 つで、その意味は美しい桜の林だと伺いました。 2012 年は日本がワシントン DC に桜を寄贈してちょうど 100 周年にあたります。ワ シントンのタイダルベイスンの桜並木、つまりアメリカの「桜美林」の桜もまもなく 開花を迎えることでしょう。 首都ワシントン DC では今から 100 年前に桜の寄贈に尽力された方々に思いを馳せ、 日米両国の友好関係を祝っています。スミソニアン博物館、ケネディセンター、ナシ ョナルギャラリー、アメリカ議会図書館、ナショナルジオグラフィック協会など、我 が国のそうそうたる機関が日本に関する大規模な展示会を開催し、来場者数は 100 万 人以上が見込まれています。清水夫妻の信条どおり、アメリカ国民が日本を学ぶ絶好 の機会となることでしょう。 清水牧師は常々「学而事人」、つまり「学びて人に仕えよ」と説いたと聞いておりま す。日本人、アメリカ人に関係なく万人に当てはまる真理を突いた素晴らしい教えで す。 1 2011 年度 桜美林大学学位授与式 名誉博士号授与 ノーマン・ヨシオ・ミネタ氏スピーチ(2012/3/15) 私はこれにもう一つ付け加えたいと思います。学ぶということは、学位を取得し、こ の学び舎を後にしたからといって終わるものではありません。これからも学び続け、 社会や人の役に立ち、そして日米両国民だけでなく世界を結びつけるために努めてい ただきたいと思います。 最後にこのような栄誉を賜りましたことに重ねてお礼申し上げます。ありがとうござ いました。 2