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技術革新で汚れと戦い続ける”トップ”

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技術革新で汚れと戦い続ける”トップ”
第31回
技術革新で汚れと戦い続ける
トップ
定番名品は、
こうして生まれた
ライオン
ライオンの衣料用洗剤は東南アジアでも好調で、すでに量レベルでは国内より2〜3倍の
売上があるという。各国合弁会社で行われ、すべてが「トップ」ブランドではないが、今後、
旅行先で「トップ」を目にする機会も増えるだろう。左から「香りつづくトップplus・フレッ
シュカモミール」
「香りつづくトップplus・スイートハーモニー」
「ナノックス」
「ハイジア」
洗濯と洗剤は切っても切れない間
では洗濯機も多様化し、横型ドラム式
代には、石油原料の界面活性剤LASか
柄だが、それらに「相性」があること
もある。そうなると「泡が立つこと
ら、パーム油を主原料としたMESへ
はなかなか知られていない。そのこ
はむしろ逆効果なのです。というのも、 と洗浄の主成分を変更するなど、環境
とを教えてくれたのが、ライオンのヘ
ドラム式は“たたき洗い”をする洗濯
への取り組みを続けている。
ルス&ホームケア事業本部ブランド
機ですが、泡がたくさん立つと泡が
こうした改良は、時代の、そして消
マネジャーの山﨑久生氏だ。
クッションになってしまい、しっかり
費者のさまざまなニーズに応えるた
「かつての、たらいと洗濯板の時代
“たたけない”からです」と山﨑氏。
めだが、2000年くらいから「お客様の
には石鹸しかありませんでしたし、そ
なるほど! 洗濯の仕方に合った洗
ニーズが多様化してきている」
(山﨑
れでも十分でした。しかし洗濯機が
剤があるというわけだ。
氏)という。
「お客様は“きれい”に
対する感じ方が、以前と異なってきて
登場し、石鹸カスが洗濯槽に残るよう
になると、洗濯機に合った洗剤として
洗浄力強化・環境対策を求め続ける
います。例えば、匂いや目に見えない
合成洗剤が登場しました。当時は、洗
そんな衣料用洗剤の代表格である
菌などに対する不安から除菌・抗菌が
濯槽のみか二槽式だったため、シャツ
「トップ」は1956年に誕生した。今年
強く求められるようになり、
『部屋干
を洗った洗濯水で靴下を洗うなど、何
で57歳になり、トップの名がつく商品
しトップ』
(2001年)や『香りつづく
回か洗濯水を使用することが多かっ
も10種類に拡大している。そのうち、
トップ』
(08年)が開発されました。
たのです。そのときには“泡が立つ”
現在、育成を重点的に進める液体超コ
さらにナノレベルで汚れを落とす『ナ
ということが大切でした。泡が立つ
ンバクト洗剤は、
「NANOX
(ナノック
ノックス』や洗うたびに抗菌効果が
のは“まだ洗える”目安でもあったか
ス)
」
「HYGIA(ハイジア)
」
「香りつ
高まる『ハイジア』など、お客様の多
らです」
(山﨑氏)
。
づくトップplus(プラス)
」だが、トッ
様化するニーズに応える必要が出て
その後、全自動洗濯機が登場すると、 プはここに至るまでに、技術革新によ
きたのです」
(同氏)
。生活スタイル
冬場や衣類を詰め込みすぎた際の粉
る無数の改良が続けられてきた。そ
が変化し、部屋の中で洗濯物を干す家
末洗剤の溶け残りを気にする消費者
れは、洗浄力強化と環境対応への、ま
庭も増えた。
“無臭”より“ちょっと
が増え、液体洗剤が登場。そして現在
るで戦いのようだ。
いい香り”を欲する女性も多い。衛
1970年代、ほとんどの家庭で洗濯機
生的で安心感のある洗剤を求める消
が使用されるようになったころ、酵素
費者は、
今後も増えるだろう。
の力で汚れを落とす「酵素パワーの
あと3年で還暦を迎えるトップ。
トップ」が発売(1979年)され、
洗浄力
こんなにも長くブランドとして愛さ
の強化が図られた。そして環境問題
れ続けてきた秘訣を山﨑氏は次のよ
が社会的関心となった1980年には、有
うに語る。
「私たちは、
その時代時代で、
リンから無リンへの転換、さらに洗剤
お客様の求めに応え、洗浄力を基軸と
量自体を減らすコンパクト化の取り
した技術革新を進め、変化をし続けて
組みとして「Hiトップ」
(88年)
、95年
きました。それこそがお客様に支持
にはさらにコンパクトな「酵素トッ
されてきた秘訣なのだと思っていま
プ」が発売されている。そして1990年
す」
「我々はメーカーですから、
商品1つひとつに、
価
値を絞って提案しています。今後さらなるお客
様の満足を創るために、小売業の方々と一緒に
なって考えていくことが大切だと思っていま
す」
(山﨑氏)
46
2013年7月夏号 日本小売業協会発行
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