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謹啓 諸先生方におかれま しては益々御清栄のこと とお慶び申 し上げます。

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謹啓 諸先生方におかれま しては益々御清栄のこと とお慶び申 し上げます。
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大阪大学歯学部同窓会会長玉利 行夫
謹啓 諸先生方におかれましては益々御清栄のこととお慶び申し上げます。
現在我々をとりまく歯科医療界を考える時、我々臨床歯科医師がカバーすべき守備範囲は益々広くなり、
歯科各分野に精通するのみならず、社会科学、心理学、法学及び経済学的な視点をも要求されるようにな
って参りました。この高齢化社会にどう対処し、在宅ケア一・診療にどう取り組むか、身体障害児(者)の
歯科医療はどうあるべきか、地域での包括的予防歯科事業における一般開業医の役割はどのようなものか、
またそれぞれの価値観によって異なる患者の千差万別のニーズにどう対処するか、そしてこのように錯綜
する環境のなかで我々はどのようにして自分の医院を経営して行けるのか…・‥等々、ふと思いつくだけで
も思い半ばに過ぎましょう。
一方、最近の専門誌や講演会などでは、インプラントやG.T.R.(組織誘導再生法)を代表とする先進歯
科医療に関する情報が度々取り上げられ、日々その進歩発展の凄まじきに日をみはるばかりで、歯科医療
界もやっと新しい時代を迎えたかの期待を覚えます。
しかし、地域歯科医療と称すべき日常的歯科臨床と華やかな先進歯科医療の間の大きなギャップに、我
々は自分のよって立つところに一抹の不安を感じている、とは言えないでしょうか。日常臨床には無縁の
ものとして先進歯科医療を捨て去ることは、簡単なことでしょうし、低次元なものとして日々多くの患者
を相手にする日常臨床を笑い捨てることもたやすいことでしょう。果たしてこのような認識でよいもので
しょうか?
今回お招きした中村社綱先生は昭和55年開業以来、本渡市の地域歯科医療の充実のためにひたすら献身
してこられた一般開業医です。先生は歯科疾患と全身の関わりの重要性から医師会と密接なコンタクトを
持ち、ついに地元主要病院の手術室の使用やベッドの確保にこぎつけ、医科歯科協力体制を創設されまし
た。また、本渡市における身体障害児者に対する予防歯科医療にも力を注いでおられます。先日医歯薬出
版より出版された「こどもの歯のけが口のけが相談室」と題する先生の著書からは、子供に対する愛情のみ
ならず親に対する、教師に対する、医師に対する歯科医としての真筆な姿勢が伺えます。まさに地域歯科
医療の最前線にたって活躍しつづけられている開業歯科医と申せましょう。
しかし先生の名は、一般にはむしろインプラントのインストラクターとして、あるいはG.T.R.の研究
者として有名かもしれません。九州大学歯学部、神奈川歯科大学の協力を得て行われた数々の先生の基礎
研究は世界でも高い評価を得ているところです。
地域歯科医療と先進歯科医療という、一見相容れないスタンスを一分の隙間もなく埋めて噴ける臨床家
として、この度中村先生をお招きしました。自分の足元を見失いがちな私達にとって、明日からの臨床の
道標たらんことを祈り、御案内致します。
地域歯科医標と先進♯科医療の統合性を求めて
講師:熊本県本渡市開業中村 社綱
今日、歯科医学・歯科医療の急速な発展のなかで、我々開業医はどのような道を歩むべきでしょうか。
大学を軸とした研究部門においては、歯科医学が細分化傾向にあるのに対し、一般開業医は、口腔疾患を総合
的に診ると共に、全身的機能との関連、生活習偵や生活環境に至るまで〝)配慮のうえでの歯科医療が望まれていまも
このような状況下で開業歯科医師は、歯内療法、歯周療法、矯正療法及び補綴療法等々各分野を広く学び、専
門医に近いレベルを修得し、これらを統合することによって、より質の高い歯科医療を社会に供給する必要性に
迫られています。
しかし、先進歯科医療に積極的に取り組んでいる欧米諸国に比べ、専門医制度のない我が国においては、この
ようなことが実現可能であるか疑問となるところです。例えば、歯科インプラントによる歯牙欠損部の修復、重
度な歯周病に梶思した歯牙に対する新付者の獲得、広範囲な歯周補綴など、リスクが高く、高度な技術が要求さ
れるものを先進科医療と呼ぶならば、何も我々一般開業医があえて挑戦する必要はないのではないか、とも考え
られます。
しかし、地域医療において私があえて先進歯科医療と呼ばれる手法を臨床に導入、実践しているのは、
(1)最少の侵聾で最大の効果を得る治療法の選択肢を持つこと
(2)患者個々の多様なニーズに対応できること
(3)より高度な技術を修得し、医院全体の質の向上を図ること
(4)歯科医師(科学者)としての探求心から
などの理由からです。つまり、その基本には地域歯科医療を通し、社会に積極的に貢献しうる歯科医師をめざし
ているからであると言ってもよいと思います。
本講演において「地域歯科医療と先進歯科医療をどのように統合すべきか」について、可能な限り述べたいと
思います。
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