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春 日 和 男 編 ﹃春 日 政 治 著 作 集 ﹄
︿紹介︾ 迫 野 度 徳 あ って、 広 い視 野 と著 実 な実 証 的 研 究 にう ら う ち さ れ ても の さ れ た 訓 点 研 究 のそ の後 の進 展 は めざ まし いも のが あ る が 、 こ の草 創 期 に 春 日和 男編 ﹃ 春 日政 治 著 作集 ﹄ 春 日 和 男先 生 の手 に よ ってす す め ら れ てき た 、御 尊 父春 日政 治 博 上 の著 作集 全 八巻 、 別 巻 一の刊 行 が こ のほ ど完 結 し た。 ﹁ 国文法教育 一 諸 業 績 は 、 今 日 に お い ても 、 い ささ か も いろ あ せ る と ころ がな いと ﹃納杁金 光 明 最 勝 王経 古 嵩 の国 語 学 的 研 仮名発達史 の研究 著 作 集 の構 成 は、 次 のと お り であ る。 春 日政 治 博 士 に は、 大 著 国語文体発達史序説 6 2 1 国語叢考 い ってよ い。この た び の著 作 集 に よ つて、博 士 の学 問 の全体 を あ ら た 多 く が す で に入 手 困 難 な 状 態 にあ り 、ま た 、政 治博 士 御 自 身 が生 前 、 2 続国語叢考 あ て考 え直 し てみ るよ い機 会 が与 えら れた と い って よ いであ ろう 。 単 行 本 と し てま と め る つも り で用 意 さ れ な が ら 果 さ れ な か った も 3 究 ﹄を は じ め 、﹃古 訓 嵩 の研 究﹂ ﹃国 語 叢 考 ﹄﹃萬 葉 片 々﹄ そ の他 、単 の、 あ る い は、 雑 誌 論 文 等 、 四 散 し て閲 覧 が か な ら ず しも 容 易 でな 4 行 本 のか た ち で は やく まと め ら れ た も のが あ る が、 今 日、 そ れら の いも のな ども あ り、 著 作 集 と し て、 今 回 、 これ ら が 一堂 にあ つあ ら 7 随筆青霜集 5 萬葉片 々 6 古 訓点 の研究 れ出 版 さ れ た こと は、 学 界 のた め に、 ま こ と に あ り が た い こと と い わ な け れば な らな い。 て は、こ こ であ ら た め て述 べる ま でも な い こ と で あ る。か な つ か い、 別巻 8 春 日政 治 博士 の特 に古 訓 点 の研 究 に果 さ れ た偉 大 な貢 献 等 に つい 仮 名 字 体 調 査 のた め に、 占 訓 点 資料 の研究 に先 鞭 を つけ た 大 矢 透 の 巻 3 ・5 ・6 ・8 お よ び 別巻 は 、 旧 刊 の書 名 を そ のま ま 襲 い、 編 郭想金 光 明 最 勝 王 経 古 嵩 の国 語学 的 研究 あ と を うり て、 これ を は じ め て体 系 的 な学 問 研 究 の対 象 にす え 、斯 学 の そ の後 の発 展 の基礎 を築 い た こと は、 周 知 のと お り であ る 。古 の他 の諸 巻 は、 政治 博 士 に計 画 の あ ったも の は それ に従 い、 それ 以 者 の考 え で関 連 す る 論 考 二 、 三 を今 回 あ ら た に付 け加 え て い る。 そ う。 本 書 は昭 和 11 年 京 都 帝 国 大 学 に提出 し た学 位 論 文 の抜 粋 改 稿 に う 。原 題 は、 ﹃ 嫉銘勘醗礎国 語 文 体 の成 立 ﹂ と の こ と で あ る が、 そ の標 ず 、 こ のた び 、 は じ め て 日 の目 を み る こと にな った も の であ る と い な るも の でも あ ると いう 。 不 運 に も 未 刊 の ま ま終 って い た著 作 が 、 題 に著 者 の関 心 が ど のあ た り にあ った か が 十 分 う か が え る よ う に 思 こ うし てあ ら た め て日 の目 を 見 る こ と が でき ると いう のも 今 回 の よ 外 のも のは 、類 に よ って わ か って、 新 し い書 名 を 与 え て、 右 のよ う そ れ ぞ れ巻 ご と に、 訓 点 研 究 そ の他 を 通 じ て、 政 治 博士 に つら な に 、全 八巻 の著 作 集 と し てま と め た も の であ る 。 る方 々 の ﹁ 序 文 ﹂ が お か れ 、 巻 末 には 、 編者 の詳 細 な ﹁ 解説﹂ があ う な 企 画 が あ った れ ば こそ であ る。 な お 、 博 士 には、 仮 名 あ る い は文 体 に つい て、 ﹁上 代 文 体 の研 究 ﹂ る。 それ ら によ って、 政 治 博 士 の人 と な り、 諸業 績 の歴 史 的 ・今 日 ﹁仮 名小 考 ﹂ ﹁ 片 假 名 交 り文 の起 源 に つい て﹂ ﹁和 漢 の混 清 ﹂ な ど の 的 意 味 が 了 解 でき る よ う にな ってい る。 よ く 知 ら れ た論 考 が他 にも あ り、 類 を も って摂 す る 方 針 を 貫 こう と え って不便 な面 があ と いう こと で、 旧 刊 の枠 は そ の ま ま に、 で き る す る と、 旧 刊 を 一度 解 体 し てし ま う 必 要 が あ る 。 し か し、 そ れ も か 巻 1 ﹃仮 名 発 達 史 の研 究 ﹄ に は、 ﹁ 仮名発達史序説﹂ ( 岩波講座 日 昭 16 ) ﹁ 文 字 及 び文 体 よ り見 た る国 文 学 ﹂ 昭 8 ) ﹁片 仮 名 の研 究 ﹂ ( 国語科学講座 昭 9 ) ﹁仮 名 の沿 本文学 革﹂ ( 朝 日 国 語 文化 講座 昭 9) の 4編 を お さめ るが 、 ﹁解 説 ﹂ だ け 関連 のあ る論 考 は 一所 にあ つめ る と いう折 衷 的 な編 集 方 針 を と ( 文 部 省 主 催講 習会 講演 要綱 にあ る よ う に、 こ れ は、 そ の まま 著 作 集 第 2 巻 ﹃国 語 文 体 発 達 史 序 ら れ た よ う であ る。 編 集 に最 も 苦 労 さ れ た と こ ろ で あ ろ う。 第 3 巻 ﹃国 語 叢 考 ﹄ 第 5 巻 ﹃ 萬 葉片 々﹄ 第 6 巻 ﹃古 訓 点 の研 究 ﹄ 説﹄ に つな が る よ う で あ る。 博 士 の仮 名 研 究 は、 大 矢 透 のよ う な 仮 第 8 巻 ﹃青 霜 集 ﹄ は 、 そ の既 刊分 に あ た る。 今 回 、 あ らた に付 け 加 名字 体 や 仮名 遣 、 音 韻 と の か かわ りと い った も のよ り 、 ど ち ら か と いえ ば、 仮名 の発 生 や展 開 の意 味 を 問 う こと に関 心 が あ る よ う に 見 えた 論 考 を 示 す と 次 のよ う で あ る。 風 に考 え る。も と も と 外 国 語 ( 中 国 語 ) のた あ で し か な い漢 文 か ら 、 禄 伊 曽 保 を中 心 と し た語 法 ー ﹂ 日本 文 学 講 座 国 語漢 文 学 会 にお け る講 演 速 記 録 、昭 和 2 )﹁国 語 史 上 の 一画期 ﹁ 文 士詞﹂( 鎌 倉 時代 の研究 、大 正 14 )﹁桃 山 時 代 の 口語 に ついて﹂ ( 福岡 第 3 巻 ﹃国 語 叢考 ﹄は、 昭和 22年 既 刊 分 の ほか に、﹁鎌 倉 時 代 の武 受 け ら れ る。 仮 名 な るも の の発 生 、 お よ び そ の発達 は、 日本 語 を 直 醇 な国 語 文 が ど の よ う にし て成 立 し 、 発 展 し て い った かを 仮 名 の発 接、 自 由 に書 き あ ら わす 文 章 様 式 の創 出 、 新 し い文 体 の創 造 と い う 達 と 共 に、 それ と 相 即 的 に把 え てみ よ う と す る と こ ろ に そ の主 た る る 。第 5巻 ﹃万葉 片 々﹄ に は、 ﹁﹃毛 無 乃 缶﹄ の訓 ﹂ ( 万 葉 17、 昭 30 ) 文第2 7巻 11 号 昭 33 ) ﹁東 大 寺 の古 経 巻 に つい て﹂ ( 寧楽復刊2号 第 6巻 ﹃ 古 訓 点 の研 究 ﹄ には 、 ﹁ 石 山 本 最勝 王 経 古 点 よ り﹂ ( 国語国 ﹁﹃取与 呂布 ﹄私 考 ﹂ ( 西 南 学 院 文 学 論 集 一、昭 30 )等 、6 篇 の論 考 、 昭 3 ) の3篇 を収 め 関 心 が あ った よ う で、 そ れ は、 そ のま ま、 第 2 巻 ﹃国 語 文 体 発 達 史 第 2 巻 は、﹁解 説 ﹂ によ る と、昭 和 21年 、福 岡 の惇 信 堂 と いう と こ 序 説 ﹄ の テ ー マに連 繋 し て いる。 ろ か ら 出 版 さ れ る 予 定 であ った の が 、 終 戦 直 後 の混 乱期 で実 現 せ } 一 63 昭 49) の2篇 の論 考 を あ らた に付 け 加 え た 。 第 8 巻 は、 博 士 が九 州 士 の比 較 的 初 期 の業 績 であ る。 あわ せ て、 今 回 新 た に ﹃国 文法 教 育 ﹄ と い う書 名 を 与 え た も の。 博 遺 と し て、 ﹁ 宇 治 拾 遺 物 語 の 一本 よ りー 世 継 物 語 私 考 1 ﹂ ( 文 学 研究 る よ う な、 も っと も 人 間 く さ い巻 にな って いる が 、 中 には、 論 考 拾 士 詠 作 の短 歌 、 俳 旬 な どを お さめ る。 博 士 の息 吹 き が直 接 聞 え てく 読 し やす くな って い る。 巻 末 にそ え ら れ た ﹁ 解 説 に代 へて1 斯 道 文 形 も 旧版 よ り拡 大 し 、 紙 質 、 写 真技 術 の進 歩 等 に よ って、 格 段 に判 印 画 を 書 庫 か ら と り出 し て、 旧版 の写 真 と と り か え たと の こと 。 版 の国 語 学 的 研 究 ﹄ も 復 刊 さ れ た 。今 回 は博 士 の所 蔵 され て いた 密 着 こ の ほ か に、 別 巻 と し て、大 著 ﹃西大 寺 本 、 金 光 明 最 勝 王 経 古 点 大 学 を退 官 す る に あ た り、 岩 波 書 店 か ら 出 版 し た 随 筆 ﹃ 青 霜 集 ﹄を 第 9 輯、 昭 9 ) の よ う な学 術 論 文 も 含 ま れ て いる 。 こ の第 8 巻 な ど こ の書 が世 に出 た 直 後 か ら いか に絶 賛 さ れ て いた か と い う こと が よ 庫 報 第 十 九 、二十 合 併 号 よりー ﹂の各 氏 の惜 し み な い賛 辞 を み ても 、 表 題 にす る が、 そ の他 に、 童 謡 ﹃月 見 草 ﹂ ( 目 黒 書 店 、大 正 11 ) や博 は 、 既 刊分 に新 た に関 連 あ るも のを 付 け 加 え た と いう よ り 、 ま った 別 巻 の 写真 版 の さ しか え を は じ め 、 種 々 の いき届 い た 配慮 に よ っ く わ か る。 て、 政 治 博 士 の諸 業 績 は、 ま た 新 し い息 吹 き を も って よ み が え った 第 4巻 ﹃ 続 国語 叢 考 ﹄ は、 博 士 の没 後 、 机 辺 を 整 理 し て い て、 こ く新 し い編 集 に な る と い った方 が よ い のか も 知 れ な い。 の表 題 の旧 稿 の 一束 が で てき たと の こと であ る。 今 回 、 表 題 を そ の よ って は じめ て可 能 であ った と いう と ころ が す く な く な い。 本 著 作 ま ま に、 な お若 干 を加 え て、 都 合 12篇 の論 考 を 含 む ひと 巻 と し た も 集 8巻 ﹃ 青 霧 集 ﹄ を 読 み、 こ の著 作 集 編 集 の こと に思 いを い たす と よ う に見 え る。著 作 集 各 巻 のは じ め には 、豊富 な 図版 が挿 入 さ れ て、 な ど 、奈 良 女 子 高 等 師 範 学 校 勤 務 時 のも の、第 二部 は、﹁校 訂法 王帝 き、 一種 羨 望 に似 た 気 持 を お さ え え な い も の があ る。 ( 1 、仮 名 発 達 ので あ る。 第 2巻 ﹃ 国 語 文 体 発 達 史 序 説 ﹄ の場 合 に似 て、今 にな っ 説 ﹂﹁ 法 球 帝 説 篠考 ﹂ ﹁ 法 王帝 説 続 考 ﹂ の3 篇 の法 王 帝 説 研 究 、 第 三 史 の 研究 、 昭 57 ・11 が え る よ う に、 博 士 の も っと も 近 い編 者 によ っ て編 ま れ た こと に 部 は 、 ﹁﹃ 小 学 方 言 講 義 ﹄ よ り﹂ ﹁源 氏 物 語 の俗 訳 本 ﹂ ﹁一八 五 〇 年和 58 ・1、 六 、 ○ ○ ○ 円 、 3 、 国 語叢 考、 昭 58 ・5、 六 、 ○ ○ ○ 円 、 博 士 を し の ぶ よ い よす が と な って いる が 、 編集 そ の他 、 随 所 に う か 訳 の馬 太 伝 ﹂ の、 新 た に九 州 の地 で入 手 し た 文 献 の調 査 、 研 究 、第 4、 続 国 語 叢 考 、 昭 59 ・6 、 七 、 五 〇 〇 円、 5、 万 葉 片 々、 昭 59 ・ てよ う や く博 士 の素 志 が実 現 す る こと にな った と いう こと であ る。 四部 は、 ﹁ 契 沖 の語 学 = 仮 名 を 中 心 と し て= ﹂ ﹁国 語 の母音 同 化 ﹂ の 10、 八 、 五〇 〇 円 、 6 、 古 訓 点 の研 究 、 昭 59 ・2、 九 、 八 〇 〇 円 、 論 文 は 四部 に わ か れ、第 一部 は 、﹁国 語珀 談 ﹂﹁地 名 よ り 観 た る 大和 ﹂ 2篇 で、 こ れ は、 当 初 の博 士 の束 の中 には 含 ま れ て いな か った も の 著 作 集 第 7巻 は、 ﹃尋 常 小 学 国 語 読 本 の語法 研究 ﹄ ( 修文社、大正 7、 国 文 法 教 育 、 昭 60 ・4 、 一二 、 ○ ○ ○ 円、 8、 青 霜 集 、 昭 60 ・ 六 、 ○ ○ ○ 円 、 2 、 国 語文 体 発 達 史 序 説 、 昭 と い う。 12、 一〇 、 ○ ○ ○ 円 、 別 巻 、 西大 寺 本 金光 明 最勝 王 経 古 点 の国 語 学 的 研 究 、 昭 、 60 ・6 、 二 〇 、 ○ ○ ○ 円 勉 誠 社 刊 ) 昭 4 ) ﹃新 体 中 学 国 文 法 教 援 資 料 ﹄ ( 星 野 書店 、大 正 13) の 3篇 を 7 ) ﹃中 等 日本 文 典 ﹄ ( 新 体 中 等 国 文 法 、 大 正 12 の改 訂版 、 星 野 書 店 ﹁ ﹁ 64