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高齢者 ・ 障害者の自立及び社会活動参加を支援する移動装置の開発
高齢者 . 障害者の自立及び社会活動参加を支援する移動装置の開発 一不整地走行可能な省エネルギー型電動車いすの開発初年度一 機械金属部機械研究室 副島辰夫 デザイン部 辛川洋介,佐藤彰 副所長 持永晋一郎 高齢者・障害者の活動圏を広げることを目的に,不整地を走行可能な省エネルギー型電動 車いすの開発を3年計画で行う.今年度は,太陽光発電システムを利用した充電装置,不整 地を走行可能とする駆動機構と走行制御方式,段差乗り越え機構,運転者の姿勢安定化機構, 危険予知システム等についての実験モデルを製作した.また,段差乗り越えのロッカーボギ 一機構に関しては,コンピュータシミュレーションでその有効性を確認した.開発コンセプ トや外観デザインに関しては,一般公募によるアイディアの集約とイメージモデルの製作を 行った 1.はじめに 下肢機能に障害を持つ人の自立した移動手段とし て手動,電動タイプの車いすが多用されている 各種展示会に展示されたり,市販されているこれら の車いすに筆者らが実際に試乗してみたところ, れら現状の車いすは家庭内や舗装された平滑な路面 移動用には十分機能する.しかし,斜面の傾斜が強 い箇所,段差のある舗道,不整地面等を走行するに k^ は相当の運転技量を要すると共に,運転者に不安感 と危険性を与える.また,段差や偏段差の程度絲勺 2.1 駆動源 不整地を走行することから,エネルギーの多消費 が考えられるので,太陽光利用による走行時及び停 止時の充電方式を採用する また,バッテリーに関してもニッケル水素電池を採 用することにより,容積と重量の軽減を図る 今回試作した,家庭用電源からの充電方法との併用 を可能とする充電方式及び太陽光発電からの過充電 を防止する装置のブロック図を図1に示す 20cm)によっては,乗り越えが不能となる 下肢障害のある高齢者や障害者が,生活の活動圏 を広けるには,これらのバリアーをクリアーできる 業註用電峯 移動装置が必要と老え, NED0 の3力年の補助金を 得て開発に取り組んでいる 尭電" 竃毒鹸靴 =ントnール バコチリー 0IVX21 段差や偏段差の乗り越え機構,不整地を走行可能 とする駆動機構と走行制御方式,運転者の姿勢安定 化機構,危険予知システム等について要素モデル等 太膏竃地 モリユール モーター 図1 を製作したので報告する 2.2 駆動機構と走行操作 駆動機構は,4輪と6輪の車輪を DC ブラシレス 2.要素モジュール ギヤモータで駆動し,方向制御をハンドル,ジョイ 開発要素を,駆動源(エネルギー供給部)関係, 駆動機構と操作関係,段差乗り越え機構とフレーム 関係,姿勢安定化機構関係,危険予知システム関係 に分けた.開発コンセプトや外観デザインに関して は,一般公募を行いアイディアを集約した スティック,コントロールボックスで車輪の向き制 御と左右車輪の回転差で行う方法について検討した ブロック図,概略設計図,及び実験模様を図2 図 -33- 4に示す 右庫輪、モータ X3 1丁った 2.1.1 ロッカーボギー機構 6輪の Rocker Bogie 機構をコンピュータシミュ ¥, レーションにより有効性を確認した 蜜筆遷 モデルの作成をV則Lで,車輪径と段差の高さを20cm 詠壱 に設定し,順運動学でシミュレーションを行った ローバーのパラメータを図5 に,シミュレーション '^ 結果を図6に示す ローバーのノξ一〆ー 主車軸_モータ父3 =ント α り X y 口 メ,-i 五ι、 右 前進 ) ノレポッヂス 高連 左 、 、 ノぐツウ 図2 (×1,ZI) α=B=90" ム=04 1ユ= 0.346 (町,.,)各車輸の位置(i=1ユ,3) (X宮.Z宮)(Xメ,Z/)冬ジ.イント伽位世 f (χ3,Z3) (Xユ,1ユ) h 官0,? 14 = 0346 図5 .蠢差畢り遮え .傾劃面段り越え 1:ヘ < .. ー.' 、 恩 キ、、 J 0 1を山 ^ー、、、T^^^ ーーーー 図3 ^ 掌1 『 4 .、コ」^ 心一, 、、 一一一 ゞξ で司 」」, '^ f 、 、、 一 、ず,' 0 ' 11111tざ 1恐... U 0 _,y' 、 ^ 心抽 ^^ 図6 図4 2.3 段差乗り越え機構 市販の電動車いすの段差や溝の乗り越えは,車輪 径によって決まる場合が多く,特別な装置は施され ていないようだ 惑星探査等で利用されている口ーバー車(ロッカー ボギー機構)や,理論上の車輪径を大きくする方法, シリンダーによる車体持ち上げ法等について検討を 2.3.2 車体持ち上げ機構 今回は,前後輪近くのフレーム下部にシリンター を4本配置し,段差を検知するとシリンダーの押し 出し力により車体を持ち上げる方式について試作を 行い動作実験を試みた.段差乗り越えの目標値を 20cn に設定して行った 設計図を図7に,乗り越え確認模様を図8にそれぞ れ示す -34- 示す O ")め 0" N ゛゛ ユ0 一 一一 勺一 O 呉 いい゛ 一一"一 ニニニ .二tコ 一一'゛"﹃ 昏如ご 'リ1 N ,・、 4 4 0 二^ 蔦 广 800 、 J 誘一 1 ー^' 70 .苫 ON 帥m J = ご 230 ^^ .ーー舮一 ゛^.^.^ 、1 ゛ 6 L一 ﹂1 ー、ー ,→ 図7 L 図9 ・..鄭1熟t^"'ヤy゛..t オ11 ^ 弐, 堂義 ーーーーーー 尋ξ・ゞ;゛ ユ 1ーーー、 "'キ"」ー゛ 轟 :卜 ー、1託1 ^子『、^ 〆,,王 一一 畢 念用岡一1、興燮ヲ,ーヤ、乏ざ丁 〒,ノ 1﹂ 一Ξ 一一一、-e 'S欝 .、 ,毛 ー.' J-L 一 ぜ・、」.多 9 な 笈熱膨器鶚二 ノ門劃 イ、.. J 拙ノ赴一功駈. ノ '1 一一一 ノ﹂ド,一. 新肱H肖 郵証r/ ブ壮" 又 1 奮 1 埠"μ D 図8 図 1 0 2.4 姿勢安定化機構 不整地を走行する場合,運転者座席を水平に保つ 姿勢安定化は重要な要素である.球面座方式や岡持 方式,ブランコ方式等を検討して球面座方式につい て試作実験を行った.図9に設計図を示す ・ー・・,.,.1',・ー・' N ・."碕"ー t#",、"'1」ーご'ゞ二ばー、,'、'支島1.゛ 3系、三.'ヤユ゛'、、υ'」、. 2.5 危険予知システム .、0"、、'.,せ_.ソー゛J',""," Jt"、、ー、、.『,,." 一み、1ι^﹂.心 ,ーー、ーリ^轟゛ '+.叫、ーゞJ-. , J^.、i^, 稔、 t>A t 、畢' 3 1 艇ミ泌 ξ11卜Jξ、ニ 弓藷tミ131露、 ^ . 開発する電動車いすが,走破できない走行路面の 凹凸を事前に検出する装置として,複数の超音波発 信器と受信器を備えたシステムについて検討した 検出位置は,進行方向と左右4力所の計5力所に設 ξ謬聾詮ゞ',.裟宅湛 、ー.゛ 定した.超音波の周波数を 17.2kHZ に設定,平坦面 での反射時問を基準値とし,測定時間が基準値よの 2.6 外観デザイン 短いと凸段差,長いと凹段差と判定する システムブロック図を図 10 に,試作品を図 11に 一般公募を行ったコンセプトと外観のデザインコ ンペで最優秀となった作品と,そのモデルをそれぞ 図 1 1 -35- れ図12,図13に示す 4.おわりに デザインコンベλ賞作品 本研究は,滞D0 の「エネルギー使用合理化在宅 " WINDY 福祉機器システム開発助成」の補助を受けて,また 福岡・佐賀・長崎の九州北部3県での共同研究開発 事業として3力年計画で取り組んでいる課題である ^'を"、.1 -fy e:ゞ'", /^ご.,、'、1 ,1./ i't-ー, 本年度は,初年度でもあり,電動車いすの開発コ ンセプトの形成に多くの時問を費やした.電動車い やノミt,f ,1 D_<、、)、、ーミメ.ー'、":' すの開発は多くの企業や研究機関で行われ,新機能 を持つ製品が毎年市場に出されている.しかし,今 回筆者らが取り組んでいる姿勢安定化機構と危険予 知システムを併せ持つ不整地走行可能な車いすはま だ開発されていない 1、、、"、、 1、之、 ^ーーーーートー!』、, ______^ 図 1 2 生活圏の拡大と社会活動参画を願っておられる下 肢障害者をより支援する意味においても,次年度以 降の課題を早急に解決し実機モデルの作成を行いた J/' い 本研究開発を行うに当たり,設計・試作にご協力 を頂いた「テクノエイド研究会」の(株)戸上電機 製作所,件知山口電機製作所,(株)中村電機製作 所,件知千代田電子,(株)大橋,(キ知ジーバ, (有)佐賀プラントエ業に感謝しますと共に,技術 的助言を頂いた長崎大学石松教授,佐賀大学信太教 授,渡辺教授に謝意を表します 図 1 3 3'試作実験結果と次年度ヘの取組 駆動機構 市販する場合の価格と,スタイルの点でロッカー ボギーを用いた6輪駆動は見送ることとし,4輪駆 動のハンドル操作で次年度は取り組むこととする 3.1 段差乗り越え機構 段差乗り越えに関しては,今回取り組んだ持ち上 3.2 げ機構について実荷重を与えた実験を次年度行うと 共に,理論上の車輪径を大きくする方法についても 検討する 3.3 姿勢安定化機構 今回は,メカニカル機構で水平保持を試みたが応 答性に問題があり,次年度は前後傾斜補正用,左右 傾斜補正用と前後位置補正用の3台のモータを用い た姿勢保持について検討する 3.4 危険予知システム 実験室レベルでは,凹凸の検出が出来るが,実機 運転時に.は温度変化,路面状態綽獣曼地,水たまり 等),車体の傾斜等まだまだ検討・実験する必要か ある -36-