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発表資料
2009年度ES利用報告会 実地球環境でのマントル・コア活動の 数値シミュレーション 研究代表者: 浜野 洋三(JAMSTEC・IFREE) 発表者: 櫻庭 中(東京大・理) 柳澤 孝寿, 山岸 保子(JAMSTEC, IFREE) 松島 政貴, 高橋 太(東京工業大・理) 清水 久芳, 小山 崇夫(東京大・地震研) 中久喜 伴益(広島大・理) 亀山 真典(愛媛大・地球深部ダイナミクス研究センター) 吉岡 祥一(九州大・理) 長尾 大道(統計数理研) 大石 裕介(富士通) Dave Stegman(Monash Univ.) 松井 宏晃(UC Berkeley) プロジェクトの目的 • マントル・コア系のダイナミクスを知る. – より現実的なマントル対流,コア対流モデルの確立. – コア・マントル境界の地球科学的意味. • 地磁気を通して地球内部を見る. – コアにおける地磁気生成メカニズム(ダイナモ作用)を知る. – 地磁気変動データをもちいた地球内部構造推定. 本日の報告内容 1. 低粘性地球型ダイナモの基礎プロセス. 2. プレート運動とスタグナントスラブの形成を再現する 球殻マントル対流モデル. 1. 低粘性の地球型ダイナモモデル • コア対流の特徴: 1. 低い粘性: エクマン数 10-15, 磁気プラントル数 10-6. 2. 強い磁場: エルサッサ数 1 〜 10. • スペクトル変換法. – 球面調和関数 320 次, チェビシェフ多項式 200 次. • エクマン数 2.5 x 10-7, 磁気プラントル数 0.2 を 実現. • 強い磁場の再現.大規模対流構造の再現. – 過去の高粘性ダイナモの結果とは質的に異なる. 低粘性ダイナモにおける温度境界条件の重要性 z = 0.1 コア半径 での断面(Sakuraba & Roberts, 2009) コア表面「熱流束」一様モデル コア表面「温度」一様モデル 動径方向の流速 東西方向の磁場 大規模な構造+強い磁場 微細な構造+弱い磁場 低粘性ダイナモにおける温度境界条件の重要性 熱流束一様 温度一様 : 東西流 熱流束一様 温度一様 : 温度場(非球対称成分) 熱流束一様の場合: 赤道付近に強い西向きの「温度風」 低粘性ダイナモにおける温度境界条件の重要性 軸対称温度場の支配方程式: シミュレーション結果 熱流束一様 温度一様 仮に右辺(source term)が同じだったとして も, 温度の振幅は, コア表面での境界条件に強 く依存する。 熱流束一様のとき 温度一様のとき : 温度場(非球対称成分) なぜ温度境界条件が重要か? • コア表面の温度擾乱をゼロに固定し ないと,極と赤道とのあいだに大き な温度差が生まれる. • それが赤道付近の西向きの温度風を 駆動. • オメガ効果により強いトロイダル磁 場が生成. • 強いトロイダル磁場のもとでは大規 模な流れが維持される. • 大規模な構造は磁気拡散効果を抑え, 磁場生成が促進. • 「強磁場ダイナモ」の実現. 熱流束一様 温度一様 磁場の東西成分 (トロイダル磁場) 低粘性ダイナモのレイリー数依存性 コア表面磁場 東西流 (1,0) • 低粘性ダイナモのスケーリング則. • 今後さらにモデルを高解像度化して,より高いレイリー 数領域での系のふるまいを知る必要がある. 地磁気の短時間変動のシミュレーション • 低粘性 → より短周期の磁場変動が見えてくる. • 例: 地磁気ジャーク,コアのねじれ振動,西方移動. 2. 球殻マントル対流 • 有限要素法にもとづく球殻熱対流. • 大小の「プレート」で覆われた表面パターンの 再現. – – – – 粘性の温度依存性. 地表付近での降伏現象. 鉱物の相転移. 下部マントルでの粘性率増加. • スタグナントスラブの形成, 崩落と海溝移動の ようすを自己完結モデルで再現することに成功. プレートで覆われた表面パターンの再現 2億年間での地表での沈み込み位置(海溝)の変化 B A 緑: ある時刻での位置 青: 2億年後 Yanagisawa, et al. (2009, submitted) 2億年間の対流の変動 • 沈み込み位置の急速な移動に ともない,沈み込んだスラブ が 660 km 相転移境界付近に 横たわる. – 地震波トモグラフィーで見えて いるスタグナントスラブの再現. – 地表のプレート運動の復元結果 と整合的. • 間欠的なスタグナントスラブ の崩落. Yanagisawa, et al. (2009, submitted) A B