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消防機械装備・設備等の近代化(PDF:438KB
第3章 消防機械装備の近代化 ● 消防機械装備・設備等の近代化 わが国に初めて消防ポンプ自動車が紹介 告示され、消防力の充実に対する整備目標 が示された。 されたのは、大正 3 年(1914)東京・上野で 当時、入間川町消防団には、消防ポンプ 開催された「大正博覧会」であった。この博 自動車 2 台が配備されていたが、昭和 26 覧会では、初めて消防ポンプ自動車が出品さ 年 6 月 6 日、入間郡柏原村での火災応援出 れたばかりでなく、数々の新しい機械が紹介 動の際、第 3 分団配備のシボレー(1931 され、日本の工業力発展に大きく貢献し、消 年式)消防ポンプ車が故障となったため、 防の機械化にとってはまさに画期的な博覧 急遽、7 月 9 日、消防第 106 号で東京都消 会であった。 防庁消防総監あてに、ポンプ自動車の払下 大正 15 年、入間川消防組は消防機械器具 として、自動車喞筒 1 台、オートバイ喞筒1 げ車両の寄贈申請を行った。 早々、東京消防庁総務部から返答があり、 台、ガソリン喞筒1台、腕用喞筒 2 台、龍吐 昭和 26 年 11 月 1 日、トヨタ(1941 年式) 水 1 台、雲龍水 1 台を消防機械器具として所 ポンプは市原ポンプ 2 段タービンの自動 有していた。 車ポンプが譲渡されることとなった。 昭和初期からの消防機械化の発展により、 また、昭和 27 年 6 月 5 日・12 月 10 日に 消防自動車の普及も進み、昭和 4 年には、グ も同様な払下げ申請を行い、10 月にトヨ ラハムブラザースロータリー式喞筒付自動 タ(1942 年式)市原ポンプ二段タービン 車、フォードエンジン使用ポンプタービン式 の消防自動車を 28 年 8 月には、東京消防 消防用ガソリン喞筒を購入し、消防機械化を 庁渋谷消防署に配置されていた、トヨタ 推進、当時、自動車ポンプ 1 台、ガソリンポ (1942 年式)市原ポンプ二段タービンの ンプ 2 台、腕用ポンプ 4 台を所有していた。 消防自動車を払下げにより配備した。 また、昭和 7 年頃には、自動車ポンプ 2 台、 これにより入間川町消防団全分団に消 手挽ガソリンポンプ 2 台を所有し、ガソリン 防ポンプ自動車が配備された。当時、消防 喞筒等機関操縦の取扱いについても組員が 自動車を配置するときには、入魂式という 昼夜操作訓練に励み、規律も今までよりはる 儀式が行われ多くの来賓・関係者が参列し かに進歩した。このため火事に出動して活躍 執り行なわれていた。 する消防組の消防力も強化され、住民の信頼 昭和 28 年には、「消防施設強化促進法」 も高まり、消防史に新しい時代が到来した。 が交付され、消防の用に供する機械器具及 自治体消防時代に入り、昭和 24 年 4 月 22 び施設に国庫補助が認められるようにな 日、国家消防庁長官名で最初の消防力の基準 り、国においても整備充実強化の推進を図 である「常備消防力の設置基準について」が った。 第2編 第3章 消防機械装備の近代化 昭和 30 年代に入り、わが国もようやく戦 後の混乱期から脱し、各種産業も軌道に乗り はじめ、社会環境は次第に整備されてきた。 要も増加し、災害事象もビル火災、危険物 火災、大規模災害など多種多様と化した。 消防団も、こうした事態に対応するため、 昭和 30 年 9 月 12 日、第 4 分団、第 5 分団 消防防災の拠点となる消防詰所の整備、ま に新装の消防車(ニッサンジープ・市原ポン た、消防活動の迅速化を図り、消防ポンプ プ当時の金額 158 万円)が配備されると全管 自動車、小型動力ポンプ積載車の配置を進 内の消防車が機械化されることとなった。 め機動化・、消防活動の迅速化を逐次進め、 しかし、当時は運転免許を持っている者は 少なく消防車が配車されても操縦できる団 現在は広範な消防事象にも対処できる消 防力を持つまでに発展した。 員もいなかったため、操縦手の養成が第一の 課題であった。 そのため、急遽、両分団から 4 名を選抜し、 小学校の校庭を拝借して 7 月中旬から 9 月上 旬まで約 60 日間、酷暑の中を一日も休まず、 前進、後退から始め直角通過、S 型、連続直 角から鋭角等、校庭に線を引いて猛訓練を重 ねた。 その頃、川越刑務所に大宮の運転免許試験 ウイリスジープ消防車 1995 年式 所と同じコースがあることを知り、そこを借 りて最後の仕上げをして大宮での試験に挑 むなど、当時の操縦手の育成にも苦労が覗え た。 昭和 39 年の東京オリンピック以降、日本 は高度経済成長期に突入し、生活様式も高度 化・複雑化へとなり社会環境が著しく変化し ていった。 狭山市は、それまで農業が主な産業であっ たが、新狭山、柏原地区に工業団地が造成さ ニッサン FS580 型消防車 1996 年式 れ、企業の工場建設が急ピッチで進み、工業 分野の活性化により、田園都市から工業都市 へと発展を遂げた。 また、一般家庭においてもプロパンガス、 石油等の使用が増大すると共に、自動車の需 第2編 第3章 消防機械装備の近代化 昭和 30 年当時の消防施設状況 昭和 30 年 6 月 腕用ポンプ 可搬式消防 ポンプ 消防自動車 施設別 火の見櫓 貯水槽(単位:石) 鉄骨 木柱 50 以下 50 ~ 100 100 ~ 200 200 ~ 300 分団別 第1分団 2 3 2 23 11 3 3 第2分団 2 2 1 15 6 4 2 第3分団 2 1 6 54 2 6 206 3 第4分団 7 第5分団 3 4 4 2 300 ~ 400 400 以上 1 7 2 3 4 第6分団 1 5 第7分団 1 2 4 2 2 11 2 計 8 12 13 14 22 313 22 第2編 第3章 14 5 1 2 消防機械装備の近代化