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「有用植物個体の遺伝子発現を リアルタイム計測する装置」
科学技術交流財団 平成21年度 「育成試験」 成果報告 「有用植物個体の遺伝子発現を リアルタイム計測する装置」 中立電機(株) FA事業部 大久保 充宏、神谷 聡、太田 武司、 中村 隆司、白木 央 技術協力: 石浦 正寛 (名古屋大学 遺伝子実験施設、施設長・教授) 小内 清(名古屋大学 遺伝子実験施設、研究員) 2 本日の内容 1. 弊社のご紹介 • 会社概要 • 事業内容 • 弊社の「バイオ関連機器」開発の略歴 2. 「育成試験」開発成果のご報告 • • • • 技術基盤 ―生物発光リアルタイム測定法とは?― 本課題の目的 開発成果品 成果品の試験結果 3. 今後の展開 会社概要 会社名 本社所在地 代表取締役社長 創業 資本金 年商 従業員数 製品 : : : : : : 中立電機株式会社 名古屋市中区大須 4-12-8 東洋殖産ビル 石 原 猛 1927年10月10日(昭和2年) 494百万円 17,257百万円 (2008年度) 市場占有率(4.8%)、280,487百万円 : 480名(2009年4月1日現在、関連会社含む) : 特別高圧・高圧・低圧配電盤 コントロールセンター、制御盤、分電盤 監視盤、弱電装置、電力機器 プラントシステム、自動制御装置 FAシステム装置、キャビネット類 3 4 事業内容 エンジニアリング事業 ・ 環境施設関連設備 ・ プラントエンジニアリング ・ 計装・監視・制御システム パワーシステム事業 ・ ビル監視システム ・ 産業盤システム機器 盤事業 FA事業 ・ メカトロ装置 ・ 自動化、省力化システム ・バイオ関連機器(新事業) ・ ・ ・ ・ リニューアル事業 ・ 設備の改修、更新 ・ オフィスのIT化 ・ 予防保全 特機事業 特高配電盤 高圧、低圧配電盤 制御盤、MCC 分電盤、監視盤 ・ 電力関連機器 ・ 盤用システムパーツ BD事業 ・ マンション ・ ビル FA事業部・バイオ関連機器 H11~ 名古屋大学殿と生物発光測定装置の共同開発に着手 ・生物発光測定装置の試料搬送装置(BL試料搬送装置)を開発 H17~21 科学技術振興機構 先端計測分析技術・機器開発事業 「機器開発プログラム」へ参画機関として参加 課題名「生物発光リアルタイム測定システム」 (名大殿・浜松ホトニクス殿と共同) ・全自動試料調製装置を開発 ・ハイスループット生物発光測定装置を開発 ・高感度生物発光測定装置を開発 H21~24 科学技術振興機構 先端計測分析技術・機器開発事業 「ソフトウェア開発プログラム」へ中核機関として参加 課題名「生物発光リアルタイム測定解析ソフトウェアの開発」 (名大殿・中部大殿・コーネット殿と共同) ・生物発光データの測定解析ソフトウェアを開発中 H21 科学技術交流財団「育成試験」採択 課題名「有用植物個体の遺伝子発現をリアルタイム計測する装置」 ・大きく育てた植物を測定可能な生物発光測定装置を開発 5 6 生物発光リアルタイム測定法 生物発光 遺伝子プロモーター DNA 発光レポーター遺伝子 転写 mRNA 翻訳 発光 タンパク質 基質 拡散 発光基質の投与 「生物発光リアルタイム測定法」とは、着目する遺伝子発現を 生物発光として生理学的な生きたままの細胞で連続的に自動 測定する手法である。 長時間(数日~1週間以上)の連続自動測定ができる。 細胞を破砕する必要が無く、細胞に何ら影響を及ぼすことの無い生理学的な条 件下で測定ができる。 極めて高感度・高精度である (ノザン解析法やRT-PCR法で正確に定量できな い微弱遺伝子発現を高精度に測定できる)。 時間分解能の高い時系列解析ができる。 遺伝子発現の測定法の比較 解析法 ノザン解析法 RT-PCR法 ウェスタン解析法 生物発光リアルタイム測 定法 検出対象 (具体的な測定方 法) mRNA (mRNAをラベルした相 補的核酸プローブとハイ ブリダイズして、ラベルを 検出) mRNA (mRNAを逆転写し、PCR でcDNAを増幅して、そ のPCR産物を検出) タンパク質 (抗原-抗体反応で検 出) 生物発光 (発光レポーター遺伝子 の発現に起因する生物 発光を検出) 測定のための 前処理 必要 (RNA抽出に多大な労力 と時間が必要) 必要 (RNA抽出に多大な労力 と時間が必要) 必要 (タンパク質抽出に多大 な労力と時間が必要) 不要 (発光基質は培地から供 給) 生きた生物個体の in vivo 測定 不可能 (細胞を破砕を伴う) 不可能 (細胞を破砕を伴う) 不可能 (細胞を破砕を伴う) 可能 (生理学的な条件で培養 しつつ連続測定できる) 同一個体における 時系列測定 不可能 不可能 不可能 可能 (同一個体を培養しつつ 連続測定できる) 検出感度・ダイナ ミックレンジ 普通 ・ ≦3桁 高い ・ ≦3桁 (ノザン解析法よりも感 度が高いが、定量性に 問題がある) 高い ・ ≦3桁 (抗体の特異性と質に左 右される) 極めて高い ・ 7桁 (RT-PCR法で正確に定 量できない発現を解析で きる) 自動測定 ・完全な無人化 不可能 不可能 不可能 可能 (装置とソフトが必要) 多検体の解析 困難 (多大な労力と時間を要 する) 困難 (多大な労力と時間を要 する) 困難 (多大な労力と時間を要 する) 容易 (試料容器と装置のス ループットに依存) 7 mRNAレベルと生物発光の相関 • 高等植物シロイヌナズナの遺伝子発現を「ノザン解析法」と「生物発光リアル タイム測定法」で比較した。 ノザン解析法 生物発光リアルタイム測定法 •• mRNAレベルと生物発光量のパターンは、完全に一致する。 mRNAレベルと生物発光量のパターンは、完全に一致する。 生物発光を測定することで、遺伝子発現をリアルタイム測定できる。 生物発光を測定することで、遺伝子発現をリアルタイム測定できる。 8 極微量発現遺伝子のリアルタイム測定 ―シロイヌナズナの花成遺伝子CO の解析例― RT-PCR法 生物発光リアルタイム測定法 Suárez-López et al., Nature 410:1116-1120 (2001) n = 96 n=4 n=1 時間 (h) 生物発光量(cps /芽生え) mRNA レベル n=4 n = 96 n = 96 時間 (h) •• 生物発光リアルタイム測定法: 生物発光リアルタイム測定法: ノザン解析法で検出できない微量発現遺伝子 ノザン解析法で検出できない微量発現遺伝子 をRT-PCR法よりも遙かに高感度・高精度・高時間分解能で長時間に渡り全 をRT-PCR法よりも遙かに高感度・高精度・高時間分解能で長時間に渡り全 自動測定することができる。また、多検体の測定も容易である。 自動測定することができる。また、多検体の測定も容易である。 9 10 従来の装置による植物の生物発光測定 シロイヌナズナの成体 生物発光量 (cps / 芽生え) 96ウェルマイクロプレート に植物の芽生えを入れ て測定していた。 時間(h) • 従来の測定装置においては、試料チェンバーが小さいた めに、測定対象が小型植物の芽生えに限定されていた。 11 本課題の目的 従来の測定装置の問題点 1.長期間に渡って植物を成長させながら生物発 光を測定することができない。 2.イネなどの有用作物の生物発光を測定できな い。 イネなどの大きな植物個体の生物発光を、 均一な条件下で培養しつつ全自動測定する ことができる測定装置を開発する。 12 開発装置の基本構造 試料の模式図 省エネ型高輝度培養照明 光照射 610 mm 430 mm 制御系 200 mm 光検出器を移動させる 試験管で育てた 植物体を試料収 納パイプへセット する φ40 mm mm 0 5 1,0 52 0m m 試料収納パイプ (4×11本) 培養部 光検出器 (光電子増倍管×4本) 試験管(上から撮影) 35mm丸型 シャーレ対応 アダプタ 試験管 開発装置の制御系 アクチュエータ モータードライバ コントローラー 制御・測定PC 制御・測定ソフトウェア 制御ボード 計数ボード 高圧電源 恒温室 光電子増倍管 A/D変換器 モニタリングPC 測定・解析ソフトウェア 13 14 A/D変換器 高圧電源 培養照明 試作機を名古屋大学・ 石浦研究室へ設置 恒温室 制御Box (モータドライバ) (コントローラー) 制御・測定PC (計数ボード) (制御ボード) (ソフトウェア) アクチュエーター 培養部 試料収納パイプ モニタリングPC (ソフトウェア) 光電子増倍管 (×4チャンネル) 開発装置の動作 15 16 開発装置の主な仕様 光検出器 光電子増倍管 (浜松ホトニクス製) × 4 チャンネル (チャンネル数をカスタマイズ可能) 測光方式 フォトンカウンティング法 対応試料容器 (アダプタ装着時) φ40 × 200 mm 試験管 (長さをカスタマイズ可能) (φ35 × 10 mm 丸型シャーレ) 試料数 最大44(カスタマイズ可能) 対象試料 (アダプタ装着時) シロイヌナズナなどの小型植物の成体、イネの苗、矮性種のイネ成体 (培養細胞、小型植物の芽生え、バクテリアコロニー) 処理速度 44試料/3分 (3分間の測光待機時間を設定した場合は44試料/35分) 寸法・重量 1,020 (W) × 520 (D) × 610 (H) mm、50kg (測定試料数に応じて小型軽量化が可能) 電源 AC100V (100VA) 構成 本体、制御BOX、高圧電源、A/D変換器、PC、ケーブル類、各種ソフトウェア 17 開発装置による生物発光測定 生物発光量(cps /植物体) シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) 発光株の測定例 CAB2::LUC PCL1::LUC+ TOC1::LUC GI::LUC+ 時間(日) LHY::LUC+ 時間(日) 測定開始時(播種後16日目) 測定14日目(播種後30日目) 18 まとめ ・ 今後の展開 1. 大きく生育させた植物個体の遺伝子発現を自動測定 する装置を開発し、大きく育てたシロイヌナズナの遺 伝子発現のリアルタイム測定に成功した。 2. 今後、名大殿および他の機関との共同研究でイネな どの有用作物の発光株を用いた測定や実証試験を 実施し、開発装置の有用性を実証する。 3. また、共同研究や市場調査によってニーズを的確に 把握し、十分な機能と性能を備えた安価な市販版の 開発を目指す。 19 ご清聴ありがとうございました。