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第15章 附属病院の現状とその評価

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第15章 附属病院の現状とその評価
ⅩⅤ
附属病院の現状とその評価
第 15 章
附属病院の現状とその評価
1 附属病院の理念・目的等
(1) 附属病院の理念・目的、設立の経緯・沿革
[現状の説明]
本院は、昭和 49(1974)年 4 月に、地域医療確保の先駆的な役割を担うとともに、本学の教育理念を実践
に移す場として開院した。
附属病院の理念は、平成 16(2004)年 4 月 16 日に制定した。制定後、理念に基づいた、組織作りや病院運
営を行っている。
[理念]
1.患者中心の医療
2.安全で質の高い医療
3.地域に開かれた病院
4.地域医療に貢献する医療人の育成
[基本方針]
1.患者の皆様の立場に立った人間味豊かな医療を提供し、情報公開を積極的に推進します
2.患者の皆様に安全でかつ根拠に基づく質の高いチーム医療を提供します
3.地域の医療機関との連携を深め、高度で先進的な医療を提供します
4.地域医療に気概と情熱を持ち、全人的な医療を実践する医療人を育成します
[沿革]
昭和 57(1982)年 3 月
地域家庭診療センター開設
昭和 59(1984)年 6 月
核医学センター開設
昭和 60(1985)年 7 月
MRI(常電導)導入
昭和 61(1986)年 5 月
特定承認保健医療機関承認
平成 2(1990)年 7 月
MRI(超電導)導入
平成 3(1991)年 8 月
救急告示
平成 5(1993)年 1 月
X線骨密度測定装置導入
平成 6(1994)年 1 月
特定機能病院承認
平成 7(1995)年 3 月
エイズ拠点病院指定
平成 7(1995)年 4 月
自治医科大学健診センター開設
平成 8(1996)年 9 月
総合周産期母子医療センター開設
平成 8(1996)年 11 月
災害拠点病院指定
平成 12(2000)年 4 月
総合診療部開設
平成 14(2002)年 6 月
附属病院新館竣工
平成 14(2002)年 9 月
救命救急センター指定
平成 15(2003)年 4 月
医療情報部開設、医療安全対策室開設
平成 16(2004)年 1 月
小児外科、移植外科がそれぞれ独立
4月
美容外科開設、医療安全対策部開設、感染制御部開設、
卒後臨床研修センター開設
281
第 15 章
附属病院の現状とその評価
5月
病棟オーダリングシステム稼動
7月
病棟リニューアル工事完了
10 月
消化器センター開設、呼吸器センター開設、脳神経センター開設、
血管内治療部開設、無菌治療部開設、臨床腫瘍部開設
平成 17(2005)年 4 月
5月
12 月
腎臓センター開設
外来オーダリングシステム稼動
PET-CT導入
病院機能評価認定証交付
平成 18(2006)年 2 月
電子カルテシステム稼動
6月
臨床腫瘍科の開設
9月
とちぎ子ども医療センター組織開設
とちぎ子ども医療センター下組織に小児心臓血管外科、
子どもの心の診療科、小児画像診断部、小児手術・集中治療を開設
とちぎ子ども医療センター下組織へ小児科・小児外科を異動
9月
とちぎ子ども医療センターオープン
10 月
緩和ケア部設置、腫瘍センター設置、臨床感染症センター設置
11 月
小児リハビリテーション部(とちぎ子ども医療センター)設置
緩和ケア科設置、移植・再生医療センター設置
平成 19(2007)年 1 月
地域がん診療連携拠点病院指定
3月
外来治療センター稼動
4月
生殖医学センター(不妊治療・体外受精センター)設置
とちぎ子ども医療センター下組織に、小児泌尿器科、小児整形外科、
小児脳神経外科を開設
5月
緩和ケア病棟開棟
[点検・評価]
本院は、特定機能病院として高度の医療を提供するとともに、エイズ拠点病院、災害拠点病院、地域が
ん診療連携拠点病院など県内における様々な機能を有する病院としての役割を担っており、地域住民から
信頼を得ている。
また、平成 16(2004)年 4 月に附属病院の理念を制定し、病院の組織作りや病院運営の基本とし、さらに
地域住民からの信頼獲得に努めている。
院内の組織においては、医療安全対策部や感染制御部等の安全管理部門を設置したほか、関連する診療
科が密接に連携を図りながら診療を行うことを目的とした病棟のセンター化を実現した。これにより、安
全で、機能的な体制を整備することができ、県内の中核病院としての役割を果たしてきた。
施設面においては、病棟リニューアルを機に大部屋を 6 人床から 4 人床とし、患者のアメニティの向上
が図られた。外来部門においては、オーダリングシステムが稼動し、患者の会計の待ち時間が短縮された。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 附属病院の理念に基づいた病院運営を引き続き行うこととする。特に、医療安全対策を強化するとと
もに、安定した病院運営ができるよう医療人の確保に努める。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
282
第 15 章
附属病院の現状とその評価
2 組織、運営、管理
(1) 病院組織・運営組織
[目標]
○ 効率的な病院運営のために、病院組織を十分機能させる体制を構築する。
[現状の説明]
本院の管理運営体制としては、病院の会議・委員会などを組織し、また、その下に各種小委員会などを
置いて様々な諸問題について検討を行っている。
病院運営に係る重要事項を審議し、方向性を決定する病院長補佐会議は、病院長、副病院長、看護部長、
薬剤部長及び病院事務部長で構成し、月 2 回開催している。
また、診療部門の代表者で構成される診療代表者会議、各種委員会の委員長で構成される病院運営会議、
中央施設部門の技師長などで構成される医療技術系会議、看護師長で構成される師長会議などの職種ごと
に会議を開催している。
さらに、諸問題を専門的な観点から検討する多職種で構成する委員会を開催している。
診療部門に関しては、内科・外科の相互に関連する診療科が密接に連携を図りながら診療を行う体制とし
て、病棟のセンター化を進めた。まず、平成 14(2002)年 9 月に循環器内科及び心臓血管外科が一体となっ
た循環器センターを組織した。その後、平成 16(2004)年 10 月には、消化器内科及び消化器外科の消化器セ
ンター、呼吸器内科及び呼吸器外科の呼吸器センター、神経内科及び脳神経外科の脳神経センター、平成
17(2005)年 4 月には腎臓内科及び腎臓外科の腎臓センターを組織化し、病棟のセンター化が完了した。今
後、外来リニューアルの進行に併せて、外来のセンター化も行っていく予定である。
また、医療制度改革や患者ニーズに応えるため、新たな診療科や部門も必要に応じ設置してきた。平成
14(2002)年度は、心疾患治療部を開設した。平成 15(2003)年度は、医療情報部、医療安全対策室の開設、
小児外科と移植外科をそれぞれ独立させた。平成 16(2004)年度は、美容外科、無菌治療部、血管内治療部、
感染制御部、臨床腫瘍部、卒後臨床研修センターを開設し、医療安全対策室を医療安全対策部とした。平
成 18(2006)年度は、とちぎ子ども医療センター組織、臨床腫瘍科、腫瘍センター、感染症科、臨床感染症
センター、緩和ケア科、移植・再生医療センターを設置した。
上記の改組により、現在の本院の組織は、次のとおりとなった。
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
総合診療部
循環器センター
消化器センター
呼吸器センター
脳神経センター
腎臓センター
血液科
内分泌代謝科
アレルギー・リウマチ科
臨床腫瘍科
感染症科
緩和ケア科
放射線科
精神科
皮膚科
乳腺・総合外科
移植外科
形成外科
美容外科
整形外科
産科
婦人科
泌尿器科
耳鼻咽頭科
眼科
麻酔科
リハビリテーション科
歯科口腔外科
診療部門
内科部門
外科部門
内科部門
外科部門
内科部門
外科部門
内科部門
外科部門
内科部門
外科部門
救命救急センター
総合周産期母子医療センター
病院長
中央手術部
鏡視下手術部
集中治療部
心疾患治療部
中央放射線部
副病院長
母胎・胎児集中治療管理部
分娩部
新生児集中治療部
新生児発達部
診断部
放射線治療部
血管内治療部
核医学部
透析部
内視鏡部
生殖医学センター(不妊治療・体外受精センター)
リハビリテーションセンター
臨床薬理センター
薬物治療支援室
治験推進室
臨床検査部
病理診断部
輸血・細胞移植部
無菌治療部
緩和ケア部
薬剤部
栄養部
臨床工学部
遺伝カウンセリング室
医療情報部
システム運用管理室
診療情報管理室
健診センター
中央施設部門
小児科
とちぎ子ども医療センター
小児外科
小児心臓血管外科
小児泌尿器科
小児整形外科
小児脳神経外科
子供の心の診療科
小児画像診断部
小児手術・集中治療部
小児リハビリテーション部
医療安全対策部
腫瘍センター
臨床腫瘍部
放射線腫瘍部
臨床感染症センター
移植・再生医療センター
卒後臨床研修センター
看護部
事務部
感染制御部
経営管理課
医事課
医療福祉相談室
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小児科総合診療部
小児科専門診療部
小児手術部
小児集中治療部
第 15 章
附属病院の現状とその評価
[点検・評価]
病院長補佐会議は、月 1 回の開催を月 2 回に増やした。これによって、日々発生する諸問題に対し病院
としての方向性を迅速に検討、対応できるようになり、病院運営の改善につながった。
また、従来から定期的に開催している各会議によって、各所属、各職種の職員が病院内における諸問題
や報告事項などの情報を共有することができた。
診療部門は、平成 14(2002)年度から整備を始めた関連する診療科の病棟のセンター化が完了し、診療科
間の連携が強化された。センター化による診療の連携は、疾患特性により不十分な部分も残存している。
今後さらなる改善が求められる。その他とちぎ子ども医療センター、腫瘍センター、臨床感染症センター、
移植・再生医療センター、生殖医学センター(不妊治療・体外受精センター)を設置、組織化することによ
り専門領域を充実させることができた。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 効率的及び機能的な病院運営を行うために病院内の連携体制を強化する。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 各会議の開催方法やあり方などの見直しを実施し、
各会議間及び職種間の連携を高める。
(平成20(2008)
年度~平成 24(2012)年度)
② 組織横断的な所属による連携体制の見直し及び検討を実施する。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)
年度)
(2) 施設・設備の概要
[目標]
○ 地域における中核・拠点病院として、また、高度医療を担う特定機能病院として、患者の立場に立っ
た医療を提供するため、患者ニーズや時代に即した施設・設備等の整備を図る。
[現状の説明]
① 施設の整備状況について
A 外来及び診察室について
診療科数の増加・外来患者数の増加等に伴う外来診察室(産科・婦人科外来、精神科外来、美容外科)
の増設要望に対し、随時対応してきた。また、平成 15(2003)年には、医療安全の確保を目的として感
染症室を設置した。
患者アメニティの向上に対し、多目的トイレ及びウォシュレットの設置、洋式トイレへの改修を実
施し、採血室、診察ブースの仕切り設置によるプライバシーの確保にも努めた。
平成 18(2006)年度には、腫瘍センターの組織を設置し、リニューアル跡地整備事業の一連の改修工
事の中で「外来点滴センター」を「外来治療センター」と改称し、ベッド数を増加し整備した。また、
治療時間の患者アメニティ向上を図るため、各ベッドにアーム式テレビを配置した。
B 病棟について
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
平成 14(2002)年度から平成 16(2004)年度にかけての病棟リニューアルにより、内装・冷暖房設備を
一新し、多床室の 4 床化等を行った。許可病床数は 1,041 床から 41 床増床して 1,082 床となり、患者
アメニティの向上も図られた。
平成 18(2006)年 9 月には、
とちぎ子ども医療センターがオープンし、
48 床増床し 1,130 床となった。
また、平成 19(2007)年 5 月には、本館 8 階南病棟に緩和ケア病棟を開棟し、地域がん診療連携拠点病
院としての緩和ケア医療の充実と実践が図られた。
C 手術室について
病棟リニューアル計画による平成 14(2002)年度の新館建設時に中央手術部整備を行い、現在、手術
室 20 室が稼動している。平成 17(2005)年度には、本館リニューアルにより 3 階南病棟に産科用手術室
として 2 室を整備し、稼動している。平成 18(2006)年度にはとちぎ子ども医療センター建設に伴い、1
室が稼動している。
② 医療機器の整備について
医療機器については、毎年度 4 億円程度を予算措置し、整備を図っている。しかしながら、近年にお
いては、耐用年数を大幅に超え、老朽化した機器あるいは部品調達の困難さから修理不能の機器が増え
ている状況にあり、予算範囲内での対応が困難となっている。したがって、超高額医療機器(1 億円以上)
については、別途予算措置をして対応している。
このうち、3 千万円以上の高額医療機器等の整備については、整備予定機器の必要性を検討、判断し、
また、必要に応じて収支試算等を実施し、病院経営を十分に考慮した上で整備を行っている。
また、超高額医療機器等については、導入後の稼働状況等を評価・検証し、使用効果や利用効率を高め
る等の努力をしている。
なお、平成 16(2004)年度から平成 18(2006)年度における主な高額医療機器の整備状況は、次表のとおり
である。
〈高額医療機器の整備状況一覧(購入価格 3 千万円以上)〉
年度
16 年度
(2004)
17 年度
(2005)
18 年度
(2006)
部 門 名
NICU
中央放射線部
〃
中央放射線部
〃
血管内治療部
〃
循環器内科
循環器内科
中央放射線部
〃
〃
中央手術部(眼科)
健診センター
装
置
名
NICU情報システム
MRI
デジタルX線TV装置
PET-CT
デジタルX線TV装置
脳血管撮影装置
腹部IVR-CT
心臓電気生理検査解析装置
心血管シネアンギオ装置
ライナック
高線量率腔内照射装置(ラルストロン)
デジタルX線TV装置
超音波白内障手術装置一式
デジタルX線TV装置(2 台)
以上のような整備を行い、現在、本院ではCT4 台、MRI4 台、PET-CT1 台、ライナック 3 台等を
保有し、高度医療を提供している。
[点検・評価]
① 施設の整備について
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
外来については、今後の外来リニューアル計画の中で、各診療科の要望・患者動線の短縮化を踏まえ、
トイレへの要望(絶対数不足、ブースの狭さ等)、サイン表示の分かりやすさ、待ち時間の苦痛改善策と
しての施設整備等、患者のアメニティにも考慮した検討・実施が必要となる。
病棟については、リニューアル後から 5 年以上経過した病棟となり、壁の汚れ・什器備品の経年劣化
に対する計画的なメンテナンスが必要となる。また、病床利用率の低い特別室についての有効利用(改修・
金額設定の見直し等)について検討が必要である。
とちぎ子ども医療センターにおいては、当初計画された外来・病棟・手術室等で未稼働となっている
設備についての稼動要望に対し、人員確保・費用も含めての検討が必要となる。
そのほか、患者ニーズに伴う病院組織の見直しが活発に行われたことにより、病院本務教員等の増員
に伴う医師の居室不足、会議室、倉庫等の不足についても検討が必要である。また、平成 23(2011)年度
の地デジ放送開始に対応するため、本院全体のテレビ等受像機と回線の更新計画が必要となる。
② 医療機器の整備について
医療の質の向上及び多様化する医療・患者ニーズに対応するため、近年ではPET-CT、ライナック
を追加整備した。このような超高額医療機器(1 億円以上)については、毎年度、別途予算要求による個別
審査ルールに基づき、効率的な医療機器整備を実施することができた。しかしながら、1 億円以下の医療
機器については、経年劣化による故障、修理不能となる機器が年々増加しており、定額の予算額では対
応できない状況になっている。したがって、耐用年数を超えている医療機器について、計画的な更新計
画を策定する必要があり、その整備に伴う財源の調整等が今後の課題である。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 耐用年数を超えた医療機器について、中・長期的な更新計画を策定し、整備する。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 次年度以降に更新すべき医療機器等について中・長期的な年次更新計画を策定し、医療安全に努める。
(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(3) リニューアル計画
[目標]
○ 外来・中央施設部門リニューアル基本計画に基づき、老朽化した施設設備を更新するとともに、高度
化、多様化する医療ニーズへの対応、アメニティを向上させるなど、特定機能病院に求められる機能の
充実を図る。
[現状の説明]
平成 16(2004)年 7 月に病棟リニューアル事業が終了し、引き続き外来・中央施設部門リニューアル基本
計画に基づき事業を進めている。これまでの状況は次のとおりである。
平成 16(2004)年 7 月 病棟リニューアル事業終了。
10 月 外来リニューアル基本計画策定。病棟リニューアル跡地を利用した一部先
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
行事業部分(臨床検査部検体検査部門移転整備事業、血管内治療部設置事
業、感染症隔離エリア整備事業)の基本設計着手。
平成 17(2005)年 4 月
9月
臨床検査部検体検査部門、血管内治療部、感染症隔離エリア工事着手。
平成 18(2006)年度跡地整備事業計画策定。①臨床検査部検体検査部門移転
跡地整備事業(臨床腫瘍部外来治療センター整備事業・フジノン国際光学
寄附講座居室整備事業・美容外科仮移転事業他)、②本館 2 階東西病棟(小
児科病棟)移転跡地整備事業(腎臓センター病棟移転整備事業・病院本務教
員等居室整備事業・地域医療学部門居室移転事業)
11 月
感染症隔離エリア完成、使用開始。
12 月
臨床検査部検体検査部門完成、使用開始。
平成 18(2006)年 2 月
3月
血管内治療部完成、使用開始。
外来リニューアル基本計画の一部見直し。(サービス物販棟建設・病歴棟
建設移転)
9月
臨床腫瘍部外来治療センター整備工事、美容外科仮移転工事、本館 2 階東
病棟改修工事着手。
10 月
工事騒音発生に伴う工事計画の変更。(2 階西病棟へのNICU・GCU仮
移転及び 2 階東病棟への産科病棟の仮移転計画)
平成 19(2007)年度跡地整備事業計画策定。①平成 18(2006)年度事業(本館
2 階東西病棟跡地整備事業)の繰り延べ、②1 階採尿採血室・生理機能検査
部門移転事業、輸血・細胞移植部移転事業他。
平成 19(2007)年 2 月
NICU・GCU2 階西病棟へ仮移転。
3月
臨床腫瘍部外来治療センター、美容外科完成、使用開始。
5月
臨床検査部生理機能検査部門、1 階採尿採血室、輸血・細胞移植部移転整
備工事着工。
サービス物販棟及び病歴棟建築基本計画、基本設計、実施設計着手。
8月
工事騒音対策上 2 階西病棟へ仮移転していたNICU・GCUが 3 階東病
棟へ復帰。
病歴棟建築工事着工。
跡地整備事業の遂行に当たっては、本館病棟直下における工事騒音・振動等の発生に伴い、影響が大き
い病棟の仮移転を実施するなど、対策を講じながら実施している。
[点検・評価]
病棟リニューアル事業は、平成 16(2004)年 7 月をもって完了し、これにより、病室においては多床室の
4 床化により、患者アメニティが向上した。さらに、中央手術部門をはじめとした各部門では、施設設備の
大規模更新により、診療機能の充実強化と、患者本位の医療を実現させるための病棟における臓器別セン
ター化が実現した。
外来リニューアル基本計画は、平成 9(1997)年 7 月に策定された「附属病院リニューアル基本構想・基本
計画」に基づき、平成 16(2004)年 10 月に策定された。基本方針を次のように定め、平成 19(2007)年度以
降に実施することとした。
① 老朽化した施設設備の更新及び機能の充実
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
② 患者アメニティへの配慮
③ リニューアル跡地を活用しブロック別に改修
④ 他計画との整合性確保
⑤ 運営の効率化及び合理化を図ること
なお、診療科の配置に当たっては、①患者動線の短縮、②患者待合室の混雑緩和、③診療科の特性、検
査部門との関連性確保、④外来診療における臓器別センター化の実現、⑤移転改修手順等を考慮し計画す
ることとした。
平成 19(2007)年度以降、本格化する外来リニューアル事業を円滑に進めるため、病棟リニューアル事業
等で生じた跡地を利用し、平成 17(2005)年度から中央施設部門を主とした跡地整備事業を先行実施してい
る。
平成 17(2005)年度における主なリニューアル跡地整備事業は、次のとおりである。
① 臨床検査部検体検査部門移転
② 血管内治療部設置
③ 感染症隔離エリア整備
この結果、①は検査業務が効率的に実施でき機能の合理化が図られた。②は中央放射線部の血管造影部
門を再配置し、医療安全、医療の質的向上等が図られた。③は重症呼吸器症候群(SARS)をはじめとし
た感染症患者の一時的受け入れが可能となった。
平成 18(2006)年度における主なリニューアル跡地整備事業は、次のとおりである。
① 外来治療センター整備拡充移転
② フジノン国際光学寄附講座設置
③ 2 階東西病棟跡地工事に係る騒音対策としてのNICU・GCU仮移転
この結果、①はがん化学療法を包括実施する臨床腫瘍部を設置するとともに、既存の外来点滴センター
の機能を拡充し、がん診療に係る病院診療機能の強化を図った。②は平成 19(2007)年度末に移転予定の内
視鏡部との関連が深いことから、先行して近位置に設置し、研究環境を整えた。③は改修工事を実施する
上で上階への工事騒音に配慮し、診療機能に不都合が生じないよう対応した。
平成 19(2007)年度における主なリニューアル跡地整備事業は、次のとおりである。
① 臨床検査部生理機能検査部門、1 階採尿採血室および輸血・細胞移植部移転整備
② 内視鏡部移転
③ 2 階東西病棟跡地整備
④ サービス物販棟建設
⑤ 病歴棟建設
この結果、①は臨床検査部検体検査部門と同様、旧中央手術部跡地に生理機能検査部門と輸血・細胞移
植部を移転整備し、検査業務の効率化を図るとともに、一階中央廊下北側に中央施設部門を一帯配備し、
診療各科との連携強化を図る。②は臨床検査部検体検査部門移転跡地に狭小となっている当該部門を移転
させ、機能強化を図る。③の 2 階東病棟は、多床室を 4 床化するなど患者アメニティ及び診療機能の向上
を図るため腎臓センター病棟の移転を行い、2 階西病棟については、医師動線を短縮し診療機能の向上を図
るための地域医療学部門及び病院本務教員居室整備を計画している。④は本館地下のサービス部門を正面
玄関近くに建築し、外来者向けサービスの向上、患者待合室の混雑緩和等を図る。⑤病歴棟建設は、平成
18(2006)年 2 月の電子カルテ稼動に伴い、本館地下第二・第三病歴庫に分散保管されている過去の入院診
療録等を適切に管理保管していくとともに、病院施設として不足している会議室の整備など、当該部門移
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第 15 章
附属病院の現状とその評価
転跡地の有効活用を図ることとしている。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 外来・中央施設部門リニューアル基本計画に基づき、老朽化した施設設備を更新するとともに、高度
化、多様化する医療ニーズへの対応、アメニティを向上させるなど、特定機能病院に求められる機能の
充実を図る。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 外来診療部門改修を主とした外来リニューアル事業を各診療科の医師、看護師等、関係者と綿密な調
整を図りながら実施する。(平成 20(2008)年度~平成 22(2010)年度)
② 患者に対する安全性の確保、外来者への案内誘導等に特に配慮し、移転作業を行う。(平成 20(2008)
年度~平成 22(2010)年度)
(4) 職員の状況
[目標]
○ 医療安全を確保し、看護の質を向上させるために、優秀な医療スタッフを確保する。
[現状の説明]
平成 18(2006)年度の診療報酬改定において、急性期入院医療の適切な運営・医療安全の観点から看護師
の 7 対 1 配置基準が新設された。本院は、看護師の 7 対 1 配置は患者にとって安心と満足の得られる看護
体制であり、医療安全及び増収の面からも極めて重要であると判断した。
看護師確保は、極めて重要な課題であるが、全国レベルで看護師不足が深刻化していることから、看護
部、人事課、経営管理課、医事課職員で構成された「看護師確保プロジェクトチーム」を立ち上げ、7 対 1
配置基準を充足するための看護師数の算出や看護師確保のための対策を検討した。
過去 5 年間の職員定数の推移は次表のとおりである。
年
度
15 年度
25
109
195
329
16 年度
子ども
医療セ
ンター
25
9
109
200
5
334
14
17 年度
子ども
医療セ
ンター
28
14
109
205
13
342
27
18 年度
子ども
医療セ
ンター
28
115
30
220
363
30
19 年度
子ども
医療セ
ンター
28
115
30
235
378
30
師
810
820
838
20
859
75
952
75
医療技術系職員
274
274
276
2
279
14
285
14
事 務 系 職 員
152
151
150
1
150
7
151
7
看 護 補 助 員
22
20
18
1,587
1,599
職員区分
医師
看
合
医
員
病院助教
レジデント
小
計
護
計
7
21
1,624
290
15
50
1,666
15
116
1,781
126
第 15 章
附属病院の現状とその評価
[点検・評価]
「看護師確保プロジェクトチーム」を立ち上げた平成 18(2006)年度は、プロジェクトチームの立ち上げ時
期が遅れたため、活動が十分でなく、募集人数分の看護師の確保ができなかった。
平成 19(2007)年度は、本院で開催した病院説明会をはじめ、就職雑誌等が主催する看護学生を対象とし
た合同就職説明会、各学校に直接訪問し看護学生や就職担当教員に本院のPRを行う等、年度当初から日
程及び訪問者を検討し、看護師確保のために鋭意活動を行った。
また、新しい試みとして、インターンシップを実施し、約 70 名の看護学生が参加した。開始初年度とし
ては大きな成果であり、採用予定人数の確保が大いに期待できる。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 医療安全を確保し、医療の質を向上させるために、優秀な医療スタッフを確保する。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 看護師確保プロジェクトチームを中心に、
社会情勢を考慮した採用方法及び離職防止対策を講じる。
(平
成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(5) 委員会活動
[目標]
○ 各委員会の活動状況や提案を各診療科が共有し、病院運営に反映できるようにする。
[現状の説明]
病院運営に係る重要事項を審議し、方向性を決定する病院長補佐会議、職種ごとに諸問題を検討する診
療代表者会議、医療技術系会議、師長会議、各種委員会の委員長で構成する病院運営会議を定期的に開催
している。
さらに、諸問題を専門的な観点から検討するため、多職種で構成する委員会を開催している。
本院の各種会議・委員会などは次表のとおりである。
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
委員会名
院内感染対策委員会
ICT総会
HIV感染対策委員会
歯科感染予防対策委員会
放射線管理委員会
輸血療法委員会
医療用ガス安全管理委員会
薬事委員会
治験審査委員会
医療安全対策委員会
高度先進医療専門委員会
医療機器委員会
No.
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
291
委員会名
クリニカルパス委員会
救命救急センター運営委員会
中央手術部運営委員会
栄養委員会
医療福祉相談室運営委員会
総合診療部運営委員会
健診センター運営委員会
中央放射線部運営委員会
集中治療部運営委員会
遺伝カウンセリング室運営委員会
災害対策委員会
脳死判定委員会
第 15 章
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
附属病院の現状とその評価
医療材料審査委員会
臨床検査審査委員会
診療録管理委員会
診療保険委員会
診療情報提供委員会
研修管理委員会
附属病院リニューアル準備委員会
病院情報システム委員会
患者サービス検討委員会
緩和ケア運営委員会
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
医療の質向上委員会
褥瘡対策委員会
附属病院個人情報保護検討委員会
腫瘍センター運営委員会
とちぎ子ども医療センター運営会議
小児看護・生活検討委員会
小児虐待対策委員会
支援基金審査会
ボランティア委員会
地域連携委員会
※40 以下は「39 とちぎ子ども医療センター運営会議」の下部委員会
[点検・評価]
病院運営を円滑、適切に行うためには、各種委員会の整備・活動が重要であり、これらの委員会の検討
内容や報告事項を各所属及び所属職員が共有することが必要である。
従前から設置している委員会においては、引き続き定期的に開催を行い、各領域における諸問題の解決
に取り組んでいる。
また、国及び県の施策に対応するために新設した腫瘍センター及びとちぎ子ども医療センターの運営委
員会や個人情報保護法の施行に伴う検討委員会など、
社会情勢に対応した委員会の整備を行うことにより、
病院運営を円滑かつ適切に行うことができた。
各委員会で検討された情報は、診療代表者会議をはじめ各会議において報告され、各所属が情報を共用
することができた。今後は、各会議において報告された情報が各所属から各所属職員に伝達される方策の
検討が必要である。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 病院全職員が委員会等で検討された情報の共有ができる体制を整備する。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 学内のLANシステムなどを活用し、委員会等の審議結果等を院内に伝達する方法を構築する。(平成
20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(6) 臨床研修
[目標]
○ 専門職としての責任と使命を自覚し、地域医療に貢献する医療人を育成する。
[現状の説明、点検・評価]
平成 16(2004)年度からの卒後臨床研修必修化に伴い、厚生労働省が示した「基本研修項目」及び「必修
項目」を取り入れた 3 つの研修プログラムを作成し、研修を開始した。その後、臨床研修管理委員会にお
292
第 15 章
附属病院の現状とその評価
いて研修医、指導医等からの要望、評価等を調査し、研修プログラムの見直しを図り、平成 18(2006)年度
からより実践的な新たな研修プログラムに移行した。
平成 18(2006)年度に、研修医、指導医、看護師及びコ・メディカル等病棟におけるそれぞれの業務分担
を見直し、研修医の業務範囲の明確化、診療科毎の個別ルールの統一化を図った。
卒後臨床研修プログラムの充実、
指導体制の強化及び医療の国際化に対応できる臨床医の育成等のため、
平成 19(2007)年度に臨床研修担当の外国人教員を採用した。
また、同年度には、臨床研修修了後において、救急患者の初期対応が可能となるよう、臨床研修期間中
に修得・経験すべき疾患、基礎的手技等のチェックポイントを見直し、より実践的な内容とした。
これら、卒後臨床研修プログラムの充実、教育セミナーの開催等、魅力ある研修体制の実現により、平
成 18(2006)年度の医師臨床研修について 100%のマッチング(募集定員 60 名)を達成した(平成 19(2007)年度
4 月 1 日採用者)。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 研修医の確保及び幅広い医療知識と技術を有する臨床医の育成のため、卒後臨床研修プログラムのさ
らなる充実、魅力ある研修体制作り及びPR活動の強化を図る。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 各診療科における研修状況及び研修指導体制等を確認し、問題点の把握及び改善策を検討する。その
内容を各診療科にフィードバックすることなど目的とした臨床研修管理委員による「病棟ラウンド」を
行い、臨床研修環境の整備及び指導体制の充実等を図る。(平成 20(2008)年度)
② 臨床研修期間中に修得・経験すべき疾患及び基礎的手技等の達成度を評価するための方法等(シナリオ
作成、評価項目、合格基準等の作成)について検討する。(平成 20(2008)年度~平成 21(2009)年度)
③ 臨床研修管理委員会において、臨床研修に関する意見、要望及び問題点等を把握し、研修内容及び指
導体制等の改善に向けての具体的な方策及び研修医確保のためのPRの方法等について引き続き検討す
る。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(7) 危機管理・安全対策
[目標]
○ 医療安全の確保及び職員の医療安全に対する意識を向上させる。
[現状の説明]
医療安全については、平成 15(2003)年 4 月に医療安全対策室を開設、その後、平成 16(2004)年 4 月に医
療安全対策部に改組し、組織的に対策を講じている。構成員も医師、看護師、薬剤師(兼務)、事務と他職
種にわたっており、多方面からの視点で業務を行っている。医療安全対策部においては、インシデント・
アクシデントレポートの分析を行い、今後の対策に関して検討を実施した。これらの分析結果や今後の対
策については、月 1 回開催される医療安全対策委員会や診療代表者会議に報告し、職員への徹底を図った。
さらに、職員への医療安全に対する意識を向上させるために、医療安全に関する講演会を定期的に開催し
293
第 15 章
附属病院の現状とその評価
た。
院内感染対策については、平成 16(2004)年 4 月に感染制御部を開設し、開設時から各診療科からのコン
サルト及び感染制御対策の業務を行っていた。その後、平成 18(2006)年 10 月に臨床感染症センターを開設
し、センターの下に感染制御部を配置するとともに感染症科を設置した。なお、人員体制については、感
染制御部のスタッフに加え、関係診療科の医師を兼務とした。
災害拠点病院の役割として、多数傷病者が発生した場合を想定したトリアージ訓練を、近隣消防と協力
して実施した。
[点検・評価]
医療安全対策については、医療安全対策部において、インシデント・アクシデントレポートの情報をも
とに、各種分析方法を用いて背景・要因から改善策まで検討し、各部署に還元・周知を行った。そのほか、
リスクマネージャー会議や「あんぜん便り」などにより警鐘事例報告を行い、職員の医療安全に対する意
識の向上を高めることができた。
また、全職員を対象とした医療安全対策講演会は毎回出席者が多く、職員への医療安全に対する意識の
向上が実証された。今後も引き続き講演会を開催することによって、医療安全に対する職員の意識を継続・
維持することができるものと思われる。
院内感染については、診療部門と感染制御部門をセンター化し業務を明確化したことにより、コンサル
ト及び診療を充実させることができ、院内感染対策の強化に取り組むことができた。
災害拠点病院としてのトリアージ訓練を実施することができたが、大規模災害(大地震)に対する災害対
策マニュアルの見直しが十分行われておらず、今後の課題とされる。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 医療安全の確保及び職員の医療安全に対する意識を向上させる。
○ 災害時における病院の体制の見直しを行い、災害に対する各職員の意識を向上させる。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 職員に対する医療安全に関する講演会を開催し、医療安全への意識を継続的に向上させる。(平成
20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
② 災害対策マニュアルの見直しの実施と災害時の訓練を実施する。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)
年度)
294
第 15 章
附属病院の現状とその評価
3 診療活動
(1) 病床数・患者数
[目標]
○ 高度化、多様化する患者・医療ニーズ及び地域の医療需要を考慮した病床規模と患者受け入れ体制等
を検討する。それに応じた療養環境の改善・充実を図る。
[現状の説明]
本院の外来患者数は、
増減を繰り返し、
新来患者と再来患者を合わせた1日平均外来患者数は平成15(2003)
年度 2,693 人、平成 16(2004)年度 2,725 人、平成 17(2005)年度 2,810 人、平成 18(2006)年度 2,746 人とな
っている。
また、
時間外の救急患者延数は、
平成 15(2003)年度 31,731 人、
平成 16(2004)年度 33,429 人、
平成 17(2005)
年度 33,694 人、平成 18(2006)年度 32,160 人と微増、微減となっているが、一次救急患者から三次救急患
者の受け入れを行っている状況にある。
病床数は、
1,041 床から平成 15(2003)年 11 月に 1,076 床、
平成 16(2004)年 6 月に 1,082 床、
平成 18(2006)
年 9 月に 1,130 床と増床してきたが、1 日平均在院患者数は増減を繰り返し、平成 15(2003)年度 916 人、
平成 16(2004)年度 930 人、平成 17(2005)年度 944 人平成 18(2006)年度 914 人となっている。
終末期医療の重要性及びニーズに対応するために、また、地域がん診療拠点病院としの条件を満たすた
めに、平成 19(2007)年に緩和ケア病棟 18 床を設置した。
外来
診療実日数
新来患者数
再来患者数
外来患者延数
1 日平均患者数
平均通院回数
新来率
救急患者延数
1 直平均救急患者数
区分
(日)
(人)
(人)
(人)
(人)
(回)
(%)
(人)
(人)
平成 14 年度
244
47,884
636,843
684,727
2,806
14.3
7.0
27,697
56.99
平成 15 年度
245
47,793
611,901
659,694
2,693
13.8
7.2
31,731
65.16
平成 16 年度
242
51,015
608,367
659,382
2,725
12.9
7.7
33,429
68.50
平成 17 年度
244
52,152
633,480
685,632
2,810
13.1
7.6
33,694
69.33
平成 18 年度
245
53,075
619,713
672,788
2,746
12.7
7.9
32,160
66.50
医療法上紹介率
健保法上紹介率
(%)
(%)
49.8
44.2
52.6
49.7
54.2
52.1
59.8
54.6
59.2
49.3
入院
許可病床数
診療実日数
新入院患者数
退院患者数
死亡退院患者数
在院患者延数
1 日平均在院患者
平均在院日数
区分
(床)
(日)
(人)
(人)
(人)
(人)
(人)
(日)
平成 14 年度
1,076
365
17,745
17,740
660
334,421
916
18.8
平成 15 年度
1,076
366
19,350
19,307
712
335,313
916
17.3
平成 16 年度
1,082
365
19,821
19,779
686
339,304
930
17.1
平成 17 年度
1,082
365
21,139
21,191
722
344,670
944
16.3
平成 18 年度
1,130
365
21,993
22,078
626
333,593
914
15.1
295
第 15 章
病床回転数
実働病床利用率
許可病床利用率
病床稼働率
院内死亡率
(回)
(%)
(%)
(%)
(%)
19.4
87.4
86.1
92.1
3.7
附属病院の現状とその評価
21.2
86.3
85.1
91.2
3.7
21.3
86.2
86.1
91.3
3.5
22.4
87.4
87.3
92.7
3.4
24.2
83.3
82.5
88.8
2.8
[点検・評価]
国の対がん戦略に基づく地域がん診療拠点病院の指定を受け、腫瘍センターの充実を図り、がん治療を
横断的なものとして地域の医療ニーズに対応することができた。また、緩和ケア病棟を設置し、終末期の
がん治療における療養環境を充実させることに対応ができた。
平成 15 年(2003)年度から病床運営検討部会において、前年度の病床利用率、1 日平均入院患者数等を基
に各診療科の病床数の見直しを継続的に行い、患者ニーズにあった受け入れ体制を整えている。
ただ患者やその家族のニーズ・ご意見を機能的に整理、反映するシステムはまだ十分構築できていない。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 患者ニーズに対応しながらも、国の政策や地域の医療機関との機能分担を図る。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 地域がん診療連携拠点病院としての体制整備、とちぎ子ども医療センターの診療体制の整備、患者ニ
ーズへの体系的な対応等を図る。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(2) 特定機能病院
[目標]
○ 高度医療と全人的医療を提供する。先進的医療の開発・研究等を推進し、病院機能をさらに充実させ、
優れた医療人を育成する。
[現状の説明]
法律で定められている医師、薬剤師、看護師等医療従事者数を確保し、特定疾患治療研究事業対象疾患
に対する診療や先進医療を行った。
先進医療としては、これまで、以下を厚生労働省に申請し、実施している。
平成 15(2003)年度
骨髄細胞移植による血管新生療法
平成 16(2004)年度
硬膜外腔内視鏡による難治性腰下肢痛の治療
平成 17(2005)年度
内視鏡下頸部良性腫瘍摘出術
平成 18(2006)年度
胎児心超音波検査(産科スクリーニング胎児超音波検査において心疾患が強く疑わ
れる症例)
平成 19(2007)年度
超音波骨折治療法(四肢の骨折(治療のために手術中に行われるものを除く。)のう
ち観血的手術を実施した場合に限る。)、眼底 3 次元画像解析(黄班円孔、黄班前
膜、加齢黄班変性、糖尿病黄班症、網膜剥離又は緑内障に係るものに限る。)
296
第 15 章
附属病院の現状とその評価
また、特定機能病院として求められている医療安全管理部門の設置や専任の医療に係る安全管理を行う
者及び専任の院内感染対策を行う者を配置した。
[点検・評価]
特定機能病院としての医療従事者の充足状況や医療安全管理等については、関東信越厚生局が医療法に
基づいて毎年実施している立入検査において、大きな指摘はなく、特定機能病院としての役割を果たして
いると考えられる。
また、医療機器委員会において高額医療機器の整備に関して継続的に検討を行い、また、先進医療を積
極的に導入することにより高度医療を提供することができた。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 高度医療が提供できる体制を維持するとともに、特定機能病院に求められている医療計画における「救
急医療等確保事業」に配慮する体制を構築し、県内の特定機能病院としての役割を果たす。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 県医療計画に基づき対応する。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
(3) 地域社会との連携
[目標]
○ 地域住民に信頼される高度で専門的な医療を担う病院を目指す。
[現状の説明]
本院は、特定機能病院としての県内における高度専門医療機関の中核病院である。患者は直接来院され
るほか、救急車搬送や医療機関からの紹介などにより来院される。行政及び地域の医療機関と連携を図り
ながら診療を行っている。
救急医療については、
第 3 次救急医療機関として平成 14(2002)年 9 月に救命救急センターの指定を受け、
交通事故や他院からの紹介患者を積極的に受け入れている。指定後 5 年以上経った現在もヘリコプターに
よる重症患者の搬送を受け入れるなど、地域の第 3 次救急医療機関として重要な役割を担っている。
また、小児医療については、栃木県からの要請に応じて、「とちぎ子ども医療センター」を整備した。
これまでの小児医療の各専門分野に加えて、先天性心疾患や精神・心理疾患などの高度専門医療の機能を
整備した。
さらに、「がん対策基本法」に基づいたがん医療の均てん化の促進のために講じられた地域がん診療連
携拠点病院に平成 19(2007)年 1 月に指定され、地域のがん診療の向上のための体制を整備した。
高度専門医療機関として、医療機器等ハード面の整備を継続した。
[点検・評価]
各診療科において、特定機能病院としての高度で専門的な医療を、地域住民の方々に引き続き提供でき
297
第 15 章
附属病院の現状とその評価
た。特に、小児医療に関しては、「とちぎ子ども医療センター」の整備をしたことで、ハード、ソフト両
面において、これまで以上の充実した医療体制を確保することができた。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 地域医療連携強化のための組織を立ち上げ、高度で専門的な医療を地域住民の方々に提供できる体制
を確立する。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 地域医療連携部を設置し、地域の医療機関との連携を強化するシステム作りを行う。(平成 20(2008)
年度~平成 24(2012)年度)
② 郡市医師会及び行政機関と連携をとりながら、地域の救急体制についての協議を行い、第 3 次救急医
療機関としての役割を向上させる。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
298
第 15 章
附属病院の現状とその評価
4 病院経営
(1) 経営改善への取り組み
[目標]
○ 医療制度改革等に対応できるように病院運営を改善し、効率化する。
[現状の説明、点検・評価]
本院の経営状況については、平成 14(2002)年 4 月に初めての診療報酬本体部分の引き下げ、在院日数短
縮等に伴う病床稼働率の低下による収入減等があった。また、支出面では新館開設等に伴う人員増、施設
設備等の維持管理費及び減価償却費の増加、病院情報システムの整備等による経費増があり、収益が減少
する結果となった。平成 15(2003)年度から平成 17(2005)年度までは、DPC(診断群別定額払方式)下での
適正請求による収入の確保、手術件数の増、外来収入の増及び病床の効率的な運用等により、収益は増加
し、良好な収支状況となった。しかしながら、平成 18(2006)年 4 月には、3.16%の大幅な診療報酬の引下げ
や看護基準等の改定等が実施され、病院リニューアル、とちぎ子ども医療センターの開設等、経費支出が
増加し、収益が大幅に減少する結果となった。
このような経営状況の推移の中、現在まで以下の取り組みを実施してきた。
① 手術室の有効利用を図るため、「手術予約管理システム」を構築した(平成 15(2003)年 6 月)。
② 病床の効率的な利用を図り、収入確保を目的として「病床運営検討部会」を設置し、ベッドコント
ロールの強化、病床利用率の低い診療科への改善・指導及び診療科別病床数の見直し(平成 16(2004)
年 8 月、以後毎年 1 回見直し)等を実施した。
③ 有料個室の利用率低下に対応するため、有料個室の一部を有料 3 床室(10 部屋 30 床)に変更した(平
成 16(2004)年 8 月)。
④ 高度医療の維持、患者の安全保持及び病床の有効利用を目的として、CCU2 床を追加稼働させた(平
成 17(2005)年 11 月)。
⑤ 医療安全の確保及び看護の質の向上を目的に、入院患者 7 人に対し、看護職員 1 人の勤務体制(7 対
1 看護配置基準)を確保し、病院運営の効率化及び安定化を図った(平成 18(2006)年 7 月)。
⑥ 新たな施設基準の取得を推進し、「心大血管疾患リハビリテーション」、「輸血管理料Ⅰ」に係る届
出を行い、収入確保に努めた(平成 18(2006)年 10 月)。また、「地域がん診療連携拠点病院」の指定
を受け、がん診療連携拠点病院加算を、外来治療センター開設により外来化学療法加算の算定を開
始した(平成 19(2007)年 3・5 月)。
⑦ 健診センターにおいて、PET-CTによる健診を導入し、受診者ニーズ及び健診機能の向上を図っ
た(平成 19(2007)年 4 月)。
⑧ 病院経営の効率化を図るため、「医薬材料費縮減ワーキンググループ」を設置し、医薬材料費の縮
減に向けた活動を継続的に行っている(平成 18(2006)年 11 月)。
以上のような病院機能改善の取り組み等を実施し、度重なる診療報酬のマイナス改定や看護基準の見直
し等に適切に対応したことにより、減収を最小限に食い止め、損益収支においても毎年度黒字を確保する
ことができた。また、病床稼働率についても、毎年度 88%以上(附属病院中期事業計画(平成 16(2004)年度
~平成 21(2009)年度)の目標値)を達成することができた。
299
第 15 章
附属病院の現状とその評価
平成 20(2008)年度の診療報酬改定では、さらに薬価引き下げやDPC(診断群別定額払方式)算定ルール
の見直し、DPC(診断群別定額払方式)調整係数の廃止等が検討されている。今後、国の医療費抑制策に
対応できるように、さらに増収対策と後発品の使用促進等の経費削減策を検討する必要がある。
[将来の改善・改革に向けた目標]
○ 国の医療費抑制策等に対応できるように、さらに病院経営の効率化を図る。
[将来の改善・改革に向けた計画]
① 診療報酬改定内容を見極め、医療収入の確保対策を実施するとともに、医薬材料費等の経費削減策を
実行する。(平成 20(2008)年度~平成 24(2012)年度)
300
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