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リサイクルの促進 - JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会
4 リサイクルの促進 ■ 使用済自動車のリサイクル促進と廃棄物の低減をめざします。 使用済自動車の適正処理やリサイクルは、21 アバッグ類、 シュレッダーダスト (ASR※)の引き取り 世紀の循環型社会構築の重要なテーマです。 リ と、 リサイクル・適正処理が自動車メーカー等に義務 サイクル関係事業者の努力、並びに当業界の3R づけられています。 この自動車リサイクル法に基づく の取り組み(リデュース・リユース・リサイクル)等に 自工会会員各社等の取り組み促進の結果、2011 より、 自動車のリサイクル率は2004年時点で約80 年度の車両リサイクル実効率は約95%を超えるレ %に達していましたが、2005年1月からは、使用済 ベルにまで向上しました。 さらに、 自動車リサイクル 自動車のリサイクル・適正処理を目的とした「使用 法の対 象とならない「二輪車」や「商用車架装 済自動 車の再 資 源 化 等に関する法 律 」 (以下 物」のリサイクル・適正処理の推進や環境負荷物 「自動車リサイクル法」)が施行され、 フロン類、エ 質の削減にも自主的に取り組んでいます。 ※ ASR: Automobile Shredder Residue(自動車破砕残渣) 図1.使用済自動車の再資源化等に関する法律 (通称:自動車リサイクル法) の全体の流れ (1) 自動車リサイクル法への対応 ①電子情報システムの構築と安定稼動 子マニフェストで管理する等、電子情報システム 自動車リサイクル法は、 自動車所有者(ユーザ で全体を統括する世界でも初めての法律です。 ー) が預託したリサイクル料金の管理をはじめ、 リサ 自工会は、既販車、新車等、約1億台の車両の イクル関連事業者の登録・管理、使用済自動車の 情報管理システムを約150の機能に分け、2002 発生からフロン類、 エアバッグ類、 シュレッダーダスト 年から順調にシステム開発に取り組み、法律施行 のリサイクル・適正処理に至るすべての工程を電 時から順調にシステムを稼動させています。 24 ②維持管理体制 エアバッグ類が適正処理・再資源化されました。 自動車リサイクル法では、年間350万台前後の 使用済自動車の物、情報、お金の流れを管理す る必要があります。 図2. フロン類およびエアバッグ類指定引取場所 および再資源化または破壊施設 配置図 (公財) 自動車リサイクル促進センターが法に基 づく指定法人として、 リサイクルシステム運営の役 割を担い、継続的な安定稼動を推進しています。 また、 「(一社) 自動車再資源化協力機構」は、 自 動車メーカー等からの業務委託により、 フロン類、 エアバッグ類の引き取りとリサイクル・適正処理を 行っています。 ③フロン類の回収・破壊 自工会は、 フロンの回収・破壊に関する自主取り 組みとして (一社) 日本自動車部品工業会と協力 して「特定フロン回収・破壊システム」を構築し、 1998年1月から運用を開始しました。 この運用を円滑にするため、 自工会の中に「CFC 回収・破壊システム登録センター」を設置して回 収・破壊を促進してきました。フロンに関しては、 ⑤シュレッダーダスト (ASR)の再資源化 2002年10月に「フロン回収・破壊法」が施行され、 ASRは、 使用済自動車から金属等の資源を回収 カーエアコン用の冷媒(フロン類) も回収・破壊が した後の破砕残渣です。従来、 このASRは埋立て 義務づけとなり、2005年1月からは自動車リサイク 処分されるのが一般的でしたが、埋立て処分場の ル法に基づいて回収・破壊が行われていますが、 逼迫等の問題に対応するため、 ASRの処理・ リサイ 自工会会員各社は1998年以来の取り組み成果 クルが大きな課題でした。 を活かし、回収・破壊を推進しています。 自動車リサイクル法では、 自動車メーカー等に 2011年度は237.5万台分のフロン類が回収・破 ASRの引き取りとリサイクル・適正処理が義務づ 壊されました。 けられ、2015年度まで段階的にASRのリサイクル 率を引き上げる目標が定められました (表1)。 この ④エアバッグ類の処理 エアバッグ類の処理に関しては、 自主取り組み (ART、THチーム 〈表1・注〉) においてASRのリサ として、1999年10月に「エアバッグ回収・処理登録 イクル・適正処理に取り組んでいます。 なお、2015 センター」を設置し、( 一社) 日本自動車部品工業 年度目標のASRリサイクル率70%以上を達成する 会をはじめ、流通、整備、解体業界と協力して、エ と自動車全体のリサイクル率としては95%以上に アバッグ・インフレータの回収・処理システム構築の なります。 ための実証実験事業等を行ってきました。 また、 自 2011年度は台数で282.9万台分のASRが再 工会会員各社は一括作動処理システムの開発や 資源化されました。 自工会会員各社のASRリサイ 仕様統一等を行い、効率的な処理の研究を続け クル率は92%以上となり、 これにより自動車全体の てきました 。エアバッグ 類 の 処 理 は 2 0 0 5 年 リサイクル率は95%以上となりました。 1月から施行された「自動車リサイクル法」に引き 継がれ、 これまでの成果が活かされており、 2011年 度は台数で約164.6万台、個数で約521.3万個の 25 目標を達成するため、 自工会会員各社は2チーム 図3. ASRの引取・再資源化の体制 ③自動車リサイクル法施行以降、 自動車メ−カー 等は年間350万台程度発生する使用済車を引き 取り、 リサイクル・適正処理を行っています(表4)。 表4.使用済車引取台数の推移 ④自動車メーカー等は、 フロン類、エアバッグ類、 ASRの3品目を引き取る役割を担っており、円滑な リサイクルと適正処理を実施しています(表5)。特 にASRについては2015年度目標を上回るリサイ クル率を達成しています。 表5.3品目の引取状況等 表1. ASRリサイクル率目標値 (3) 自動車製造業における3Rの取り組み 自動車業界は、 ここまで述べてきた自動車リサ イクル法に基づく各種取り組みに加え、 「資源の (2)2011年度稼動状況 有効な利用の促進に関する法律(3R法)」に基 ①自動車リサイクル法において、必要な登録や許 づき、副産物低減とリサイクルに配慮した製品設 可を取得した、約7.6万の事業者が自動車リサイ 計にも取り組んでいます(副産物低減については クルシステムに登録されています(表2)。 表2.関係事業者の登録状況 「生産における環境保全」の項参照)。 製品設計については、 リデュース面では自動車 の設計段階で車両の長寿命化を図るための防 錆鋼板使用や、エンジンオイル等の液類の長寿 命化、車体の軽量化を通じた燃料消費の抑制、 カーエアコン用冷媒の充填量削減などに取り組ん ②リサイクル料金の預託は、 新車登録、 車検の台数 でいます。 また、 リユース面では、流通段階での部 規模に相当していましたが、法施行後3年を経過 品運搬用資材の再利用を図り、 さらにリサイクル面 した2008年1月末で車検時預託が終了したため、 では設計段階で解体しやすい車両構造の採用 預託台数は大きく減少しています。今後は2008年 やリサイクルしやすい材料の採用の促進に取り組 度と同程度の規模で推移する見込みです (表3)。 み、流通段階では使用済車から回収した部品の 表3. リサイクル料金の預託状況 再利用を図っています。 26 表6.3R法と自動車産業 (4)二輪車リサイクルの自主取り組み 自工会加盟の国内二輪車製造事業者4社 (川崎 「二輪車イベント等でのユーザーへのPR活動」等 重工業 (株) 、 スズキ (株) 、 本田技研工業 (株) 、 ヤマ 各種の理解普及活動を継続して行っています。 ハ発動機 (株) ) は、 二輪車輸入事業者12社と共同 なお、2011年10月より、 リサイクルマークの有無 して、 自主取り組みとして二輪車のリサイクルシステ に関わらず、廃棄時無料引き取りをしています。 ムの運用、管理を2004年10月よりスタートしました。 この仕組みは、廃棄二輪車を廃棄二輪車取扱 (5)商用車架装物の適正処理の自主取り組み 店や指定引取場所において引き取り、 リサイクル 自工会は、車工会と共同で自動車リサイクル法 施設において処理再資源化するものです(図4)。 の対象とならない商用車架装物のリサイクル・適正 2011年度の廃棄二輪車引き取り台数は、2,015 処理の推進に取り組んでいます。具体的には、解 台、 リサイクル率は重量ベースで平均88.2%に達 体の容易な架装物の開発・製品化や鉛等環境負 しています。 荷物質の使用量削減を進めています。処理が比 二輪車リサイクルシステムを円滑に運用するため 較的難しいと言われている木材、断熱材、 FRP には、 ユーザーの認知度を向上させることが重要で 等については、処理に協力していただける事業者 あることから、 「自治体による住民への広報活動」、 を全国から募り、協力事業者制度を2004年4月に 図4.二輪車リサイクルシステム (廃棄時無料引き取り) の仕組み 27 創設し、車工会のホームページで公表しています。 (7) 環境負荷物質の全廃・削減 http://www.jabia.or.jp/environment/cooperation/index.html 環境負荷物質の全廃・削減は、 使用済自動車の その後は、地域的な偏在のないよう、協力事業 適正処理やリサイクルの促進に向け、環境への影 者を漸次増加させるとともに、架装物を丸ごと処 響を低減することを目的としています。 理可能な事業者ならびにタンクローリー残液の 国際的な動きとして、欧州ELV指令で重金属4 分析・処理洗浄事業者も新たに加え、2012年1月 物質(鉛、水銀、六価クロム、 カドミウム)の使用制 末時点で163事業所と、創設当初に対して倍増さ 限※が2003年7月から段階的に始まったことから、 自 せました。 また、架装物の適正処理について、 チラ 工会はこれら4物質について、国際整合の観点か シ、協力事業者制度参加事業者リスト等の配布 ら日本国内においても欧州と同レベルの削減自主 により、関連事業者、 自動車ユーザーに対する啓 目標を策定し、 削減に取り組んでいます (表9)。 発活動も行っています。 (6)路上放棄車対策の取り組み 自工会は路上放棄車の処理要請に対応できる ※適用除外部品リストを定めた上で原則使用禁止 (部品規制) となっている。 欧州ELV指令では大型商用車と二輪車は対象外。 表8. 自工会の自動車リサイクル適正処理への取り組み年表 よう、1991年に関係3団体(一社) 日本自動車販売 協会連合会、 ( 社)全国軽自動車協会連合会、 日 本自動車輸入組合) と協力し、 「路上放棄車処理協 力会」 を設け、 自治体による路上放棄車処理に寄 付金の拠出を通じて協力しています(表7)。2010 年度は乗用車、 トラックの計633台の処理に協力 した結果、20年間での協力累計台数は21.2万台 に達した一方、2005年の自動車リサイクル法施行 の効 果により処 理 協 力台 数は顕 著に減 少して います。 こうしたことから、同協力会は所期の役割を終 え、2010年度をもって処理協力を終了しました。 表7.路上放棄車処理協力会の協力実績推移 28 その結果、対象新型車において全モデル目標 して達成、 ナビゲーション等の液晶ディスプレイ、 ディ 達成しています (表9)。 さらに水銀については現在、 スチャージヘッドランプについても水銀フリー化を 除外扱いしているコンビネーションメータ一について 順次対応中です。 2009年より新型車モデルで水銀フリー化を継続 表9.環境負荷物質削減の取り組み (新型車) 国内の自工会自主取り組み 鉛 欧州ELV指令 (2010/115/EU) 四輪 二輪 四輪 (大型商用車を除く) 【目標】 1996年時点での平均的乗用車の 鉛使用量 (1,850g:バッテリー除く) を 基準として、2006年1月以降、1/10 以下※1 (185g) とする 【目標】 1996年時点での鉛使用量(車両 重量210kg級で80g程度:バッテリ ー除く) を基準として、 ①増加させない ②2006年1月以降、 3/4以下 (60g) とする ↓ 【実績】 2006年1月より全モデルで目標達成 2003年7月以降、以下を除き原則 使用禁止 ◆無期限免除 高融点はんだ、快削鋼、銅合金、 アルミ合金、 バッテリーなど ◆期限付き免除 基板の接合はんだ、窓ガラス上 のはんだなど 【実績】 2006年1月より全モデルで目標達成 ※1 大型商用車 (バス含む) の目標 は1/4以下 (462.5g) 【目標】 二輪車リサイクル自主取組実施時 点(2004年10月)以降、以下の部 品※3を除き使用禁止 ↓ 【実績】 2004年10月より全モデルで目標達成 ※2 ◆交通安全上必須な下記部品の 極微量使用を除外する 1.ナビゲーション等の液晶 ディスプレイ 2.コンビネーションメーター 3.ディスチャージヘッドランプ 4.室内蛍光灯 さらに除 外 部 品についても、2は 2009年1月より新車全モデルで水銀 フリー化を達成。1、 3は水銀フリー化 に順次対応中。4は乗用車では従来 より使用なし。 ※3 ◆交通安全上必須な下記部品の 極微量使用を除外する ・ナビゲーション等の液晶 ディスプレイ ・コンビネーションメーター ・ディスチャージヘッドランプ 六価クロム 【目標】 2008年1月以降使用禁止 ↓ 【実績】 2008年1月より全モデルで目標達成 但し、 2010年に大型商用車の1モデル で六価クロム使用が判明したため、 速やかに六価クロムの使用を中止し、 現在は全モデルで目標達成継続中。 【目標】 2008年1月以降使用禁止 ↓ 【実績】 2008年1月より全モデルで目標達成 2003年7月以降、以下を除き原則 使用禁止 ・腐食防止用コーティング (2007年7月1日まで免除) ・シャシ用ボルト及びナットの腐食 防止コーティング (2008年7月1日まで免除) ・キャラバン車の冷凍庫 カドミウム 【目標】 2007年1月以降使用禁止 ↓ 【実績】 2006年1月より全モデルで目標達成 【目標】 2007年1月以降使用禁止 ↓ 【実績】 2007年1月より全モデルで目標達成 2003年7月以降、以下を除き原則 使用禁止 ・EV用バッテリー (2008年12月31日 まで免除) 水銀 (注1) 削減目標は新型車に適用(注2) 大型商用車は車両総重量3.5トン超の商用車とする 29 2003年7月以降、以下を除き原則 使用禁止 ・ディスチャージヘッドランプ (2012年7月1日まで免除) ・ディスプレイの蛍光管 (2012年7月1日まで免除) 【目標】 自動車リサイクル法施行時(2005 年1月)以降、以下の部品 ※2を除き 使用禁止 ↓ 【実績】 2003年1月より全モデルで目標達成