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4 オゾン層の保護
4 オゾン層の保護 ⑴ 環境基本計画の目標 【基本目標】 ○ 市内で廃棄される機器から冷媒用フロンガスを確実に回収し、処理します。 【定量目標】 ○ 平成29年(2017年)までに大気中フロン濃度を平成₉年(1997年)より低下させることを目標とします。 ⑵ 現況 この大切なオゾン層はフロンガス等によって破壊 されてしまいます。大気中に放出されるフロンガス 地球の大気中にはオゾンという物質が上空10㎞か が増えるとともに破壊も進み、近年では南極大陸を ら50㎞の範囲に集中的に存在しています(オゾン層) 。 取り囲むようにオゾン層の少ない領域(オゾンホー このオゾン層は太陽の光に含まれる紫外線を吸収し ル)が観測されるまでになってしまいました。オゾ て私たち人間が皮膚がんや白内障になったり免疫力 ン層の破壊は南極だけにとどまらず、札幌上空のオ が低下するのを防ぐなど、いろいろな生物の命を守 ゾンの濃度も、細かい増減を繰り返しながら長期的 る重要な役割を果たしていると言われています。 な減少傾向が認められています(図₂-₆~₈)。 図₂-₆ 日本上空のオゾン全量の年平均値の推移 オゾン全量(m atm-cm) 380 360 図₂-₇ オゾン層分布 (㎞) 400 大気中のオゾン 35 340 320 30 260 240 1955 つくば 鹿児島 1960 1965 紫外線照射の遮蔽 成層圏のオゾン ・現在の問題: (オゾン層) 長期的全球的な下降トレンド 高 25 20 15 300 280 ・大気中のオゾンの90%が含まれる ・有益な役割: 札幌 度 那覇 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 (年) ●印 は札幌、つくば、鹿児島、那覇におけるオゾン全量の観測開始から 2005年までの年平均値。(鹿児島は2004年まで)。 (資料)気象庁オゾン層観測報告2005 毎年春季における南極のオゾンホール ・大気中のオゾンの10%を含む ・有害な影響: 人と植生に対して毒性 10 “スモッグ” のオゾン 5 0 5 対流圏のオゾン ・現在の問題: 都市と農村地域における地表の高濃度 のオゾン 10 15 20 25 オゾン量(圧力、mPa) (資料)環境庁:オゾン層等の監視結果に関する年次報告 1996 図₂-₈ 世界のオゾン全量分布 (資料)気象庁オゾン層観測報告2005 35 第₂章 環境の状況と施策 4 オゾン層の保護 オゾン層の破壊は地球環境問題の中でも早くから 表₂-₄ 札幌市内の大気中のフロン濃度(平成17年度) (単位:ppb) 認識されていた問題ですが、大気の循環や日射量、 気温など様々な要因によって影響されるため、地域 的な対策だけでなく地球全体の問題として取り組ん でいかなければなりません。国際的な取り組みに よって、オゾン層破壊への影響が大きい特定フロン の生産は平成₇年(1995年)末で全廃され、代替物 質への転換が進んでいます。 こうして特定フロンの生産は全廃されましたが、 オゾン層の回復には長い時間が必要だと言われてい 測定地点 フロン11 フロン12 フロン113 夏 夏 夏 冬 冬 冬 北1条局 0.24 0.26 0.50 0.50 0.07 0.09 伏 見 局 0.28 0.27 0.60 0.58 0.09 0.10 東月寒局 0.29 0.32 0.60 0.47 0.08 0.07 (注)ppb : 濃度を表す単位で10億分の₁を示す(体積比) 北₁条局:中央区北₁条西₂丁目 伏 見 局:中央区南16条西17丁目 東月寒局:豊平区月寒東₄条18丁目 ます。また、全廃以前に生産された特定フロンは今 後も大気中に放出される可能性があり、それを回収 し、適正に処分することが重要な課題です。 ア 国際的な取り組みと日本の取り組み (1995年)度から平成₉年(1997年)度まで実施し ました。 この間石狩市内で民間のフロン破壊処理施設が稼 動して体制が整い、平成10年(1998年)₄月から販 売店を通じて回収される冷蔵庫について本格的なフ オゾン層の破壊については昭和51年(1976年)か ロン回収を実施しました。また、平成₉年(1997年) ら国連環境計画(UNEP)が科学的な知見の整理や 10月から家庭から大型ごみとして出される冷蔵庫の 対策の立案に乗り出し、昭和60年(1985年)には「オ フロン回収を開始し、平成10年(1998年)度以降は、 ゾン層の保護のためのウィーン条約」が制定され、 廃棄台数の100%が回収処理されています。カーエ 昭和62年(1987年)には具体的な規制を盛り込んだ アコンのフロンについても平成10年(1998年)₈月 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール から本格的な回収を実施しました。 議定書」が採択されました。これによってフロン生 平成13年(2001年)度からは家電リサイクル法が 産の削減・中止のスケジュールが決められ、各国で 施行され、家庭用冷蔵庫(平成16年(2004年) 4月か 生産規制等の対策が講じられることになりました。 ら冷凍庫が追加)、家庭用エアコンの回収体制が全 日本でも「オゾン層の保護に関する法律」が制定 国的な制度として整いました。さらに、平成14年 され、平成₇年(1995年)末には特定フロンの生産 (2002年)度にかけて「特定製品に係るフロン類の が中止され、代替物質への転換が進められています。 回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン 回収破壊法)」が施行され、業務用冷凍空調機器(自 イ 札幌市の取り組み 動販売機を含む)やカーエアコンの回収体制が整い、 家庭用のみではなく業務用の全てのフロン使用機器 特定フロンの生産は中止されたものの、現在使用 のフロン回収が行われています(図₂-₉)。フロ されている冷蔵庫やカーエアコンは特定フロンの生 ン回収破壊に係る費用については、フロン使用機器 産中止以前に作られたものもあり、これらが廃棄さ のメーカーや販売店のみでなく、使用者の費用負担 れるときにはフロンガスが大気中へ放出される可能 が不可欠であり、今後も普及啓発に努めていきます。 性があります(表₂-₄)。札幌市では平成₆年(1994 また、平成14年(2002年)度からは、第二種特定製 年)度から市有施設の冷蔵庫、空調機器、公用車を 品(カーエアコン)に係る引取業者・回収業者の登 廃棄する際にフロンを回収しており、また、自動車 録事務等を行い、平成17年(2005年)1月からは、 解体業、家電製品販売業、金属スクラップ処理業の 自動車リサイクル法の施行に伴い、引取業者・回収 事業者の協力を得て、廃棄されるカーエアコンと冷 業者の登録制へ移行しています。 蔵庫からフロンを回収するモデル事業を平成₇年 第₂章 環境の状況と施策 36 図 ー フロン回収体制 ○家電リサイクル法のシステム ○家電リサイ クル法のシステム ○自動車リサイクル法のシステム 廃棄冷蔵庫・ルームエアコン 引渡し ㈶家電製品協会家電リサイクル券センター 使 用 家電(最終) 所有者 リサイクル費及び収集運搬費用 者 管理 票 ︵マニフェスト︶ 制度 による確実な運搬の確保 リサイクル 料金の預託 運搬 料金 使用済み 家電 ○フロン回収破壊法のシステム リサイクル 廃棄業務用冷凍空調機器 料金の預託 使 小売業者 フロン類 用 (取扱店) 事 フロン破壊費 業 リサイクル料金払渡し 者 運搬 家電メーカー 申請・登録 用 再商品化等 施設 者 第 二 種 特 定 製 品 引 取 業 者 カーエアコン (使用済自動車) 管理書 リ サ イ ク ル 空容器 メ フ ー カ ロ ー 等 ン フロン破壊費 申請・許可 主務大臣 破壊量等報告 回収量等報告 第 二 種 フ ロ ン 類 回 収 業 者 フロン フロン類 回収量等通知 申請・登録 廃棄カーエアコン フロン類 カーエアコン 金属類 使 (使用済自動車) プラスチック類 等 プ ラ ン ト 回収量等報告 都道府県知事等 指定取引場所 場 指 定 取 所 引 第 一 種 フ ロ ン 類 回 収 業 者 申請・登録 回収料金 回収料金 販 売 店 等 フロン類 管理書 回収・運搬費用 フロン破壊費 自 動 車 製 造 業 者 等 フ ロ ン 類 破 壊 業 者 フロン類 フロン破壊費 ⑶ 施策 主な事業の実施概要 施 策 円滑な処理 の推進 事業名 フロン対策 37 第₂章 環境の状況と施策 平成17年(2005年)度 平成18年(2006年)度 平成17年(2005年)1月施行の自動車リサイ クル法に基づく引取業及びフロン回収業 者の登録事務を行った。 自動車リサイクル法に基づく事務を行 う。 担当部局 環境局 環境事業部