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使用済み自動車の減量化・リサイクルの推進について
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 自動車リサイクル専門委員会 中間報告 使用済み自動車の減量化・リサイクルの推進について 目 次 はじめに 1.使用済み自動車の処理の現状と課題 2.検討に当たっての基本的考え方 3.排出抑制・減量化・リサイクルの推進方策について 4.廃棄物処理法の適用のあり方 5.その他の必要な対策 6.今後の課題 - 1 - はじめに 使用済み自動車の逆有償化がこの数年で顕著になり、不法投棄、不適正処理が増 加するとの懸念が生じていること、最終処分場の逼迫等により使用済み自動車の処 理過程で発生するシュレッダーダストの処分が困難になりつつあること、フロン類 やエアバッグ等の回収・処理が必要となってきていることなどの情勢の変化により、 使用済み自動車を減量化・リサイクルするための新たなシステムの構築が急務とな っている。 このため、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会に設置された自動車リサイク ル専門委員会(別添1)において、このような課題について検討してきたところで あり、今般、中間報告をとりまとめたので、国民各層の意見を広く募集するもので ある。 なお、使用済み自動車の減量化・リサイクルについては、産業構造審議会におい ても検討が行われているところであり、今後、両審議会の検討状況を踏まえ、政府 部内において調整を図りつつ、適切な検討が行われる必要がある。 注)本報告で使用される用語について ① 「使用済み自動車」は、自動車としての使用が見込まれなくなった自動車 を意味しており、中古車としてリユース(再販)される自動車は含まれない。 ② 特に断らない限り、「リサイクル」には「部品等のリユース(再使用)」が 含まれるが、中古車としてのリユース(再販)は含まれない。 - 2 - 1.使用済み自動車の処理の現状と課題 (1)使用済み自動車の処理の現状 平成12年の我が国における新車販売台数は約600万台であり、そのうち輸入 車販売台数は約27万台である。 一方、国内で使用済み自動車が年間約500万台発生しており、そのうち輸出さ れるものを除いて約400万台が解体処理されていると推計されている。 使用済み自動車の一般的な処理フローは次のとおりである。 ア 使用済みとなった自動車は、ほとんどの場合、最終ユーザーから新車販売 事業者、中古車販売事業者又は整備事業者を経由して解体事業者に引き渡さ れる。最終ユーザーから解体事業者に直接引き渡されるケースもある。 イ 解体事業者は、使用済み自動車から有用部品等を回収するとともに、廃油、 バッテリー等を選別し、残った廃車ガラはシュレッダー事業者に引き渡され る。 ウ シュレッダー事業者は、廃車ガラをシュレッダー処理して鉄・非鉄金属を 回収しており、その際、残さとしてシュレッダーダストが生ずる。 エ シュレッダーダストは主に管理型最終処分場で処分される。 このような処理フローにより、エンジン、外装部品、電装品などの部品として 20∼30%(重量比。以下同じ 。 )が、鉄、非鉄金属などの素材として50∼ 55%がリサイクルされ、全体としての自動車のリサイクル率は75∼80%程度 である。なお、平成9年に通商産業省(当時)が策定した「使用済み自動車リサイ クル・イニシァティブ」 (以下「リサイクル・イニシァティブ」という。)によれば、 平成27年以降の使用済み自動車のリサイクル率の目標は95%以上とされてい る。 また、平成7年に厚生省(当時)が策定した「シュレッダー処理される自動車及 び電気機械器具の事前選別ガイドライン」 (以下「事前選別ガイドライン」という。) により、使用済み自動車が破砕処理される前に、ガソリン等の燃料、各種オイル、 冷却液、バッテリー等を選別し、適正に保管・処分することとされている。 (2)使用済み自動車に係る課題 ① 環境保全上の課題 使用済み自動車が野積み又は放置されるケースがあり、そのような場合には、 - 3 - 景観の悪化、さらなる不法投棄の誘発、土壌・地下水の汚染等の生活環境の悪化 のおそれがある。(東京都及び12政令指定都市の放棄自動車の平成10年度に おける発見件数は約1万台であり、処理された件数は約7千台であった。) また、解体現場の中には、廃油の流出等による土壌・地下水汚染など環境保全 上の問題が生ずるおそれがあるものもある。 ② 最終処分場の逼迫 近年の最終処分場の新規設置件数の激減により、廃棄物の最終処分場の残余容 量が非常にひっ迫している。産業廃棄物の最終処分場の残余年数は、平成11年 度末現在において2.6年と推計されている。 使用済み自動車の処理によりシュレッダーダストが年間約80万トン発生し、そ の多くが埋立処分されているので、これについて適切な処理体制の確保を図ると ともに、減量化・リサイクルの推進等により、最終処分量の削減が必要となって いる。 ③ 使用済み自動車の逆有償化に伴う課題 使用済み自動車は、有用な部品や鉄等を多く含むため、かつては、ユーザーか ら概ね有価で引き取られていたが、平成7年の廃棄物処理法施行令の改正による 処分基準の強化(シュレッダーダストの最終処分先として安定型処分場を禁止)、 最終処分場の残余容量のひっ迫等により、シュレッダーダストの埋立処分費用が 高騰していること、鉄スクラップ価格が低迷しており使用済み自動車の資源とし ての価値が低下していること等から、使用済み自動車の逆有償化が進展し、ユー ザーが処理費用を支払う場合が多くなってきている。また、フロン類、エアバッ グ等について新たに対応が求められていること等も、使用済み自動車の逆有償化 に影響を与えていると考えられる。このような使用済み自動車の逆有償化により、 処理費用の負担を回避しようとする者による不法投棄や不適正処理の増加がもた らされる懸念が生じている。 ④ フロン類の回収・破壊の必要性 本年6月に、業務用冷凍空調機器及びカーエアコンからのフロン類の回収・破 壊を義務づける「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関す る法律」(以下「フロン回収破壊法」という。)が成立した。この法律により、自 動車リサイクル制度に関する法律の検討に当たっては、フロン回収破壊法のカー エアコンに関する規定について廃止も含めた見直しを行い、その結果に基づいて 必要な措置を講ずることとされた。このようなフロン回収破壊法の規定を踏まえ、 - 4 - フロン類の回収・破壊を含めた使用済み自動車の減量化・リサイクルの仕組みを 検討することが必要となっている。 2.検討に当たっての基本的考え方 (1)講ずべき施策とその優先順位 循環型社会形成推進基本法に規定された政策の優先順位に鑑み、使用済み自動車 について講ずべき対策の優先順位は以下のとおりである。 ア 排出抑制 自動車の長寿命化・長期使用、修理による自動車としての再使用をより徹底 すること等により、使用済み自動車の発生を抑制することが必要。 イ リサイクルの推進 使用済み自動車について、 ア) 再使用可能な部品の再使用を促進し、 イ) 資材として利用可能な鉄、非鉄金属、プラスチック等の回収・再生利 用を促進し、 ウ) 残ったもののうち可燃物についてはサーマルリサイクルを促進する など、リサイクルを進めることにより、最終処分量の削減を図ることが必要。 ウ 適正処分の確保 環境保全の観点から、 ア) 使用済み自動車の不法投棄を防止し、 イ) リサイクルの過程での環境保全措置を徹底し、 ウ) リサイクルが困難なものを適正に処分する ことが必要。 (2)関係者による取組 このような対策とその優先順位を踏まえ、関係者が適切に役割分担しつつ、次の ような努力が必要と考えられる。 ア 自動車ができるだけ長持ちするものとして、また、減量化・リサイクル・適 正処分しやすいものとして製造。(製造事業者、輸入事業者) - 5 - イ 自動車を安全性能等を維持しつつできるだけ長期間使用し、ユーザーが手放 した自動車はできる限り再び自動車として使われるよう点検・整備し、販売。 (ユーザー、販売事業者、整備事業者) ウ 自動車としての使用が見込まれず、解体が行われる際には、できるだけ多く の部品を選別し、他の自動車の修理等に使用。また、解体に当たっては、事前 選別ガイドライン等に従って各種オイル、冷却液、バッテリー等を選別 。(解 体事業者、整備事業者) エ 部品等が回収された後の廃車ガラからは鉄等をできるだけ回収。(シュレッ ダー事業者) オ 残さとして生ずるシュレッダーダストは、さらに金属等を回収できるのであ れば回収するほか、焼却処理等によりできるだけ減量化を図るとともに、焼却 処理する場合には熱回収。(焼却処理事業者等) カ 焼却灰は、管理型処分場で最終処分。(最終処分事業者) キ 使用済み自動車の解体、廃車ガラの圧縮・破砕、シュレッダーダスト等の焼 却処理、残さの最終処分等に当たっては、環境保全措置を徹底。 (これらを実 施する事業者) 従来、このような取組が進められてきているが、今後とも一層の努力が求められ るものである。 (3)製造事業者等の役割の強化 循環型社会形成推進基本法では、製造、販売等を行う事業者が生産・使用段階だ けではなく、製品が使用され、廃棄物となった後まで一定の責任を負うとの考え方 のもとに、事業者としての責務が明確に位置づけられたところである。 使用済み自動車については、次のような理由から、循環型社会形成推進基本法の 考え方を踏まえ、これまでのルール(排出事業者責任)に加えて、拡大生産者責任 の観点から、製造事業者が応分の責任を果たすことが必要と考えられる。 ア 産業廃棄物は、本来、排出事業者の責任により処理されるべきものである。 これは、もともと排出事業者自らが処理することが基本という考え方に加え、 排出事業者がその廃棄物の性状等を最も良く知っており、そのような者に一義 的に責任を持たせることが適切という考え方にもよるものである。 イ 自動車は、多数の部品等からなる複雑な製品であり、有害な物質や処理が困 難な部品等が含まれている。また、廃棄物となった自動車の性状等については、 - 6 - 排出事業者よりも製造事業者の方が的確に把握している。 ウ 製造事業者は、自動車の設計及び原材料の選択等に当たってあらかじめ適正 処理や減量化・リサイクルへの配慮が可能である。 エ 逆有償化の進展により、近年、最終ユーザーが処分費用を支払うケースが 出てきており、一般廃棄物と考えられる場合がある。しかし、廃棄物処理法 の制定当時においては、使用済み自動車が一般廃棄物となるとは想定されて おらず、これまでの使用済み自動車の処理の実態及び市町村における現状の 処理能力から考えて市町村が使用済み自動車を処理することは困難である。 オ このようなことから、使用済み自動車の処理に関して、関係者の適切な役割 分担に配慮しつつ、製造事業者が減量化・リサイクルに関する新たなシステム の構築や円滑な運営に中心的な役割を果たすことが適切であり、製造事業者側 に一定の責任を転換することが適当である。 なお、輸入事業者は、製造事業者と同様に我が国の自動車市場に製品を上市する 立場であり、輸入する自動車に関する情報を把握していることから、使用済み自動 車の減量化・リサイクルの推進に関して、製造事業者と同様の役割を担うべきと考 えられる。 (4)使用済み自動車に関する既存のリサイクルルートの有効活用 使用済み自動車は、主として販売事業者、整備事業者、解体事業者がユーザーか ら引き取り、解体事業者、シュレッダー事業者等がリサイクルを行うという引取り ・リサイクルルートが既に存在し、このような既存のルートによって75∼80% のリサイクルが実施されている。使用済み自動車の減量化・リサイクルを推進する ための新たな仕組みにおいては、このような既に構築されているインフラを有効に 活用することが適当と考えられる。 また、使用済み自動車の減量化・リサイクルを適切かつ効率的に行うためには、 製造事業者等の役割の強化と併せて、これら関係者の役割分担の明確化とその履行 の徹底が必要である。 - 7 - 3.排出抑制・減量化・リサイクルの推進方策について (1)排出抑制・減量化・リサイクルに配慮した自動車の製造、使用 使用済み自動車の排出抑制の観点から、製造事業者がより長期間の使用に耐える 自動車の製造に努めるとともに、ユーザーも、排出ガスや燃費に関する性能に留意 しつつ、適切な点検・整備により自動車の長期的な使用に努めるべきである。 また、製造事業者は、減量化・リサイクルを容易に行うことができる自動車を製 造すべきであり、今後さらに強化すべき対策として、例えば、次のようなことが考 えられる。 ア リサイクル・イニシァティブにより自動車への鉛使用量が削減されてきてい るが、今後も有害物質の総使用量の削減を図る。また、EU指令の動きも勘 案しながら、有害物質の使用がやむを得ない場合には、使用する部品等を特 定して、できる限り選別しやすい構造とし、解体事業者等に関連の情報を提 供すること等により、減量化・リサイクルの行程での有害物質の分離を図る。 イ 使用済みとなった自動車からオイル、冷却液等の液状廃棄物を除去しやすい 構造とする。 (2)部品の再使用の推進 自動車の修理・整備において使用済み自動車から回収した部品等の再使用を一層 推進することが必要であり、このようなことについて、整備事業者等がユーザーに 情報提供し、理解を得ていくことが必要である。 また、製造事業者及び輸入事業者(以下「製造事業者等」という。 )は、自動車 の修理・整備等に必要な部品の情報に関し、整備事業者、解体事業者等に一層の提 供を行っていくことが必要である。 このような取組を推進するため、今後、回収した部品等の品質を保証する方法等 について検討が必要と考えられる。 (3)製造事業者等による処理について ① 製造事業者等による引取りについて 拡大生産者責任の考え方を踏まえ、使用済み自動車に係る廃棄物等を製造事業 者等が引き取ることにより、使用済み自動車の効率的かつ適正な処理又は減量化 ・リサイクルへの配慮が今後の自動車の設計・生産等に反映されるようにするこ - 8 - とが適当である。その際、例えば家電リサイクル法と同様に、製造事業者等が使 用済み自動車を引き取るという考え方もあるが、自動車の場合には、前述したよ うに、引取り・リサイクルルートが既に存在し、75∼80%のリサイクルが行 われているので、これらのインフラを有効に利用すべきである。したがって、既 存の引取り・リサイクルルートに乗せられた使用済み自動車については、製造事 業者等が直接引き取る必要はないが、使用済み自動車の解体、破砕等により排出 される廃棄物等のうち、適正な処理が困難なものや、減量化・リサイクルを特に 推進すべきものを製造事業者等が引き取り、減量化・リサイクルを行うこととす ることが適当である。 ② 製造事業者等が引き取る廃棄物等 製造事業者等が引き取る廃棄物等は、主として使用済みとなった自動車から発 生するものであって、以下のいずれかに該当するものとすることが考えられる。 ア 適正な処理又は安全な処理の確保のためのインフラが未整備であるなど、 その処理が困難となっている廃棄物等であって、製造事業者等が引き取るこ とにより、適正な処理等が可能なもの イ 減量化・リサイクルの推進が特に必要となっている廃棄物等であって、製 造事業者等が引き取ることにより、その一層効率的な排出抑制・減量化・リ サイクルの実施が可能なもの。 そして、次に挙げる廃棄物等については、このようなことに該当するものと考 えられる。 ア フロン類 フロン類は、温暖化に寄与する物質であると同時にオゾン層を破壊するも のもあるため、フロン回収破壊法により、その回収・破壊が求められている。 しかし、個々の回収した者においてその破壊処理を行うことは困難である。 イ エアバッグ エアバッグは、解体事業者による車上展開の取組の推進が期待されるが、 未作動のエアバッグは、騒音、作業の安全性等に関する問題が生ずるおそれ があるので、個々の解体事業者が車上展開できない場合があり、そのための 対応が必要となっている。 ウ シュレッダーダスト 近年の最終処分場の残余容量のひっ迫への対応に加え、使用済み自動車の 全体のリサイクル率の一層の向上のためにシュレッダーダストのリサイクル の推進が重要である。また、シュレッダーダストは、製造事業者等が原材料 - 9 - の選択、設計等を行った自動車の破砕残さであり、製造事業者等は、その性 状を熟知していることから、より効率的な排出抑制・減量化・リサイクルの 実施が可能である。 なお、これら以外の使用済み自動車に係る廃棄物等についても、順次その実態 を把握した上で検討を行い、製造事業者等が引き取る廃棄物等を見直していくこ とが必要である。 これらの廃棄物等について、製造事業者等は、解体事業者、シュレッダー事業 者等の求めに応じ、引き取ることとする。この場合、フロン類、エアバッグにつ いては、解体事業者等が製造事業者等に対して適切な回収料金を請求できること とし、シュレッダーダストについては無償で引き取ることとするのが適当と考え られる。このような回収料金の定め方に関しては、フロン回収破壊法の関連の規 定(主務大臣が定める基準を勘案して製造事業者等がフロン類の回収料金を設定。 特に必要がある場合には主務大臣が料金変更について勧告及び命令できる 。)を 踏襲することが考えられる。 また、製造事業者等は、引き取った廃棄物等のリサイクル率を高めていくとと もに、リサイクルが困難なものは減量化したうえで適正に処分することが必要で ある。 以上のような製造事業者等による廃棄物等の引取りを含めた使用済み自動車の 流れは、別添2のように表すことができる。 なお、エアバッグの車上における適切な展開処理やシュレッダーダストを発生 させない解体等のシステムの位置づけについても、さらに検討が必要である。 ③ 使用済み自動車の引取り、引渡し ②に記したような製造事業者等による廃棄物等の引取りが円滑に行われるよう にするため、関係者が適切に役割を分担することが必要である。 現状では、販売事業者、整備事業者又は解体事業者がユーザーから使用済み自 動車を引き取っており、今後とも、これらの者が使用済み自動車を引き取り、減 量化・リサイクルルートに乗せる役割を担うことが適当である。このような使用 済み自動車の引取りを行う者の資格と役割について、さらに検討することが必要 である。 また、ユーザーは、使用済み自動車を引き取ることのできる者に適切に引き渡 すことが必要であるが、一方で、全国に広く存在するユーザーにとって便宜性の 高い引取りの体制を整備することが必要である。 - 10 - ユーザーから引き取られた使用済み自動車は、一定期間内に、引取りを行った 者から解体事業者に引き渡され、さらに、廃車ガラが解体事業者からシュレッダ ー事業者等に引き渡される必要がある。また、これらの者がフロン類、エアバッ グ、シュレッダーダスト等を製造事業者等に引き渡す際には、異物の混入防止を 図るとともに、④に記す管理票を添えて引き渡すなど、一定の条件に適合した引 取りを求めることが必要であり、その性状、引取場所等の引き渡しの具体的な条 件の内容についてさらに検討が必要である。 ④ 管理票 使用済み自動車、廃車ガラの引取り、引渡しを円滑に行うとともに、製造事業 者等が引き取る廃棄物等に関する必要な情報を製造事業者等に提供するため、使 用済み自動車に関する管理票を使用することとする。管理票は、最終ユーザーか ら引取りを行った者が交付し、使用済み自動車又は廃車ガラとともに解体事業者、 シュレッダー事業者等に回付され、さらにフロン類、エアバッグ、シュレッダー ダストを引き取る製造事業者等に回付されるものとすることが考えられる。また、 ユーザーが使用済み自動車の減量化・リサイクルの状況を確認できるような仕組 みについても検討が必要である。 管理票については、使用済み自動車の減量化・リサイクルに関係する者が適切 に交付、回付等することができるよう、できるだけ簡素化することも必要であり、 記載すべき事項、様式、回付等の方法、電子化の方策等について、廃棄物処理法 の管理票との関係も含めて、さらに検討が必要である。 ⑤ 費用負担方法について 製造事業者等がフロン類、エアバッグ、シュレッダーダスト等を引き取って減 量化・リサイクルを行うために必要な費用について、その負担の方法を検討した。 ユーザーが排出する時点においてユーザーに費用負担を求める方法は、ユーザ ーによる不法投棄や不適正な対応を誘発するおそれがあるので、避けるべきであ る。 このため、新車については、ユーザーから排出時に徴収するのではなく、販売 に当たって必要な費用の確保を図ることが適当であり、このような観点に立って 具体的な費用負担方法を検討すべきである。 また、製造事業者等に対し、減量化・リサイクルに配慮した自動車の製造を促 すとともに、そのような自動車をユーザーが選択できるようにするため、製造事 業者等は、販売に当たって、減量化・リサイクルに要すると見込まれる費用を例 えば車種ごとに適切に明示することが必要と考えられる。 - 11 - 他方、既販車については、その販売に当たって必要な費用を確保することがで きないので、別途の方法を考える必要がある。既販車についても排出時に徴収す ることをできるだけ避けるため、一定の期間内の任意時に徴収することが適当と 考えられる。この場合、製造事業者等ができるだけ早い時期に徴収を終えること ができるようにするとともに、任意時に的確に徴収するための方法をさらに検討 することが必要である。このため、継続検査時等を活用して費用の支払いの有無 を確認する方法の可能性等について、国土交通省等の協力を得て検討していく必 要がある。 なお、新車、既販車のいずれの場合も、製造事業者等による減量化・リサイク ルが確実に行われるようにするとともに、そのために製造事業者等が次年度以降 の減量化・リサイクルに必要なものとして準備した費用については、収益とみな されて課税対象とならないような仕組みを検討する必要がある。 このような排出時にユーザーから徴収しない費用負担方法を採用することによ り、使用済み自動車を手放すユーザーから見れば、フロン類、エアバッグ、シュ レッダーダスト等の減量化・リサイクルのための費用が別途負担されることとな る。その結果として、鉄スクラップの市況の変動状況等にもよるが、使用済み自 動車の引取り・引渡しの場面において有償となる場合が現状よりも増加するもの と予想される。このことは、不法投棄の防止にも効果があると考えられる。 また、不法投棄防止等の観点から、いわゆるデポジット制の活用についても検 討された。しかし、自動車の場合には、もともと回収されリサイクルルートに乗 る割合が高いという実態があるほか、さらに、新たな減量化・リサイクルの仕組 みの構築や国土交通省において検討されている抹消登録制度の改正等の各種の取 組みにより、不法投棄等が減少することが見込まれるので、デポジット制を導入 する必要性は小さいと考えられる。 以上のような費用負担方法に関する基本的な考え方を踏まえ、新車の販売に当 たって必要な費用を確保し、減量化・リサイクルを行うまで管理する方法につい て、さらに検討した。 <視点1>費用を確保する方法 製造事業者等が減量化・リサイクルを行うために必要な費用の確保に関し、 次のふたつの方法が考えられる。 1a 販売価格とは別に費用を徴収することにより確保する方法。 ○メリット - 12 - ・ ユーザーの役割が明確であり、ユーザーにとってわかりやすく、リサ イクルへの参加意識が生まれやすい。 ○検討課題 ・ 販売時に自動車の価格と別に費用を徴収するための新たな仕組みが必 要となる。 1b 費用を販売価格に含めて徴収することにより確保する方法。 (この場合も、 例えば車種ごとに、当該自動車が将来使用済みとなったときに必要となる と予想される減量化・リサイクルの費用を明示することとする。) ○メリット ・ ユーザーからの費用徴収の仕組みを簡素にしやすい。 ○検討課題 ・ ユーザーが費用を負担していることがわかりにくくならないような費 用の明示方法を検討することが必要。 ・ 費用を価格に含めることにより自動車取得税の対象となる。 <視点2>費用を管理する方法 新車が使用済みになるまでには平均で約10年かかることから、販売時に確 保した費用を減量化・リサイクルの実施までの間にどのように管理するかとい う課題があり、次のふたつの方法が考えられる。 2a 費用を安全に保管・管理するための公的な資金管理機関を設ける方法。 ○メリット ・ 公的機関により、費用が安全に保管・管理される。 ・ 公的機関の事業が公益法人の非収益事業となるような制度設計をする ことにより非課税扱いとなる。 ○検討課題 ・ 多額の費用を安全に保管・管理するための公的な資金管理機関のあり 方、利息の取扱い方法、当該機関における手続きのコストをできるだけ 抑制する方法等について検討が必要。なお、政府においては、行政改革 の一環として、特殊法人等の改革、公益法人に対する行政の関与のあり 方の改革について議論がなされていることに留意。 2b 製造事業者等が自ら費用を保管・管理する方法。この場合、費用の安定確 保に資するよう製造事業者等が一定額を積み立てて準備することが適当と - 13 - 考えられる。 ○メリット ・ 製造事業者等が自ら費用の管理を行うことから、基本的には資金管理 を行う別組織を必要とせず、費用の授受等の手続を簡素にしやすい。 ・ 製造事業者等が積み立てる額の設定方法により、費用の積み上がりを 比較的少なくすることが可能。 ○検討課題 ・ 製造事業者等が一定額を積み立てる場合、このような積立てについて 非課税にするための税制上の措置が必要。なお、政府の税制調査会にお いては、引当金、準備金について、廃止を含め見直す方向で議論がなさ れていることや、引当金、準備金に上限が設けられる場合には上限を超 える部分は課税対象となることに留意。 ・ 製造事業者等が倒産などにより存在しなくなった場合のセーフティー ネット対策が必要。 ・ 個人輸入、並行輸入への対応。例えば個人輸入の場合にはユーザーが 直接費用を負担することが必要となるため、ユーザーが負担した費用を 管理する公的機関の必要性について検討が必要。 新車に関する費用負担に関するこれらの方法の組合せとして、次の2案が考え られる。それぞれの方法の得失の概略は別添3のように整理されるが、今後これ らも踏まえて最適の費用負担方法を検討することが必要であり、次の2案以外の 組合せもあり得ることにも留意すべきである。 <A案> 販売価格とは別に費用を徴収し、費用を安全に保管・管理するための公 的な資金管理機関を設ける方法(1aと2aの組合せ)。 この案は、必要な費用を負担するユーザーの役割を明確化するとともに、 製造事業者等が直接費用を管理した場合に生ずる課題への対応に配慮し た方法と考えることができる。 <B案> 製造事業者等が費用を販売価格に含めることにより確保し、製造事業者 等が自ら費用を保管・管理する方法(1bと2bの組合せ)。 この案は、必要な費用を負担するユーザーの役割に配慮しつつ、製造事 業者等が費用の徴収・管理について中心的な役割を果たす方法と考える ことができる。 - 14 - また、A案、B案のいずれにあっても、例えば、ユーザーから厳密に自車の処 理費用を徴収したとする場合、費用調整の必要性が生じ、中古車として輸出され る場合には費用を返還する必要があるものと考えられる。これに対して、ユーザ ーからの費用を自車を含めた減量化・リサイクル全体の所要経費として徴収した とする場合は、費用調整の必要性が生じず、中古車として輸出される場合にも費 用を返還する必要がないものと考えられる。いずれを原則として採用するにして も、国民の理解が必要であり、このような費用の性格を検討した上でさらに制度 の詳細な設計を行っていく必要がある。 4.廃棄物処理法の適用のあり方 (1)基本的な考え方 製造事業者等が使用済み自動車から発生するフロン類、エアバッグ、シュレッダ ーダスト等を引き取って減量化・リサイクルを行うこととする新しい仕組みが円滑 に機能するよう、廃棄物処理法の適用のあり方について検討し、必要に応じて廃棄 物処理法の適用を見直すことが適当と考えられる。 また、使用済み自動車は、有価物の場合であっても、環境保全上の措置等につい ては廃棄物の場合と同様の対応が求められることに留意する一方、同じ観点から重 ねて規制が行われることのないよう配慮する必要がある。 なお、廃棄物処理法の適用の見直しに当たっては、必要に応じて一定の準備期間 を設けるなどの経過措置についても検討すべきである。 (2)製造事業者等による減量化・リサイクル 製造事業者等はシュレッダーダスト等の引取り及び減量化・リサイクルについて 一定の義務が課せられ、都道府県を越えた処理が想定されることから国が一定の監 督を行うこととすれば、このような義務に基づいて製造事業者等が行う引取り及び 減量化・リサイクルについては、廃棄物処理業の許可を不要とすることが適切であ ると考えられるが、さらに検討が必要である。 (3)ユーザーからの引取り - 15 - 現在、廃棄物処理法に基づき使用済み自動車の収集運搬ができる者は、使用済み 自動車の引取りを行う者の資格を有しているものとして位置づけることが適切であ ると考えられるが、さらに検討が必要である。 また、廃棄物処理法に基づき使用済み自動車の収集運搬ができる者以外の者であ っても、一定の要件の下にユーザーから使用済み自動車を引き取ることができるよ うにすべきである。 (4)管理票 使用済み自動車について、3(3)④に記した管理票で対応する場合は、確実な 減量化・リサイクル等の実施の確認等の管理ができるものであることを前提とし て、現行の廃棄物処理法に基づく管理票も同様のものとすることにより、使用済み 自動車に適用する管理票の統一化を図ることが適当である。 (5)使用済み自動車の解体 近年の使用済み自動車の逆有償化に伴い、解体事業者による廃棄物処理業の許可 の取得が増加してきているところである(平成12年度末現在、1643件)が、有価 物である使用済み自動車のみを扱う解体事業者は、廃棄物処理業の許可は不要とさ れている。 使用済み自動車の解体に関しては、有価物であっても廃棄物の場合と同様の環境 保全上の措置が求められることから、有価物である使用済み自動車を扱う解体事業 者についても何らかの資格要件を設けることが必要と考えられ、その場合の資格要 件は、現在の廃棄物処理業の許可要件を参考とし、それに準じたレベルとすべきで ある。 また、このような資格を取得した解体事業者が、廃棄物である使用済み自動車も 扱うことができるとすることの妥当性について、検討する必要がある。 さらに、資格の取得に関し、一定の準備期間を設ける等の経過措置を講じること が必要と考えられる。また、既に廃棄物処理業の許可を有する解体事業者にあって は、当然に引き続き使用済み自動車の解体を行えるようにすることが適当である。 なお、従来、解体事業者は、産業廃棄物処理業の許可を取得してきているが、産 業廃棄物処理業の許可を有する者は、一般廃棄物と考えられる使用済み自動車も扱 えるようにすることが適当と考えられる。また、許可制度の運用については、都道 府県等によって強弱が生じないようにしていく必要がある。 - 16 - (6)廃車ガラの破砕(シュレッダー処理)等 廃車ガラを破砕して有用な金属等を回収するシュレッダー事業者は、通常、廃棄 物処理業の許可を有しており、当該許可制度の下で適正に処理が行われている。ま た、シュレッダー事業者は、使用済み自動車だけを扱うのではなく、他の廃棄物も 扱っていることが多く、この点からも引き続き廃棄物処理業の許可が必要となる。 このようなことから、シュレッダー事業者については、環境保全上の観点から廃 棄物処理業の許可に代わる特段の資格制度は不要と考えられる。なお、廃車ガラの 圧縮等シュレッダー以外の処理を行う事業者に関しては、その実態を把握したうえ でさらに検討が必要である。 また、シュレッダーダストの減量化・リサイクルを行う者については、シュレッ ダーダストが通常は廃棄物であると考えられることから、引き続き廃棄物処理業の 許可を取得すべきと考えられる。 なお、許可制度の運用については、都道府県等によって強弱が生じないようにし ていく必要がある。 5.その他の必要な対策 (1)最終処分場等の確保について シュレッダーダスト等について減量化・リサイクルを進めると同時に、発生する 残さを適正に処分する施設の整備が必要である。 産業廃棄物の処理施設は、排出事業者又は民間の処理業者(製錬所等既存の施設 の廃棄物処理施設への活用を含む 。 )により整備されることが基本であるが、最終 処分場が逼迫している状況の中、シュレッダーダスト等の適正処理を確保するため、 廃棄物処理センターをはじめとする公共関与による処理施設の整備を進めることが 必要である。また、こうした施設が整備されるまでの当分の間、地方公共団体の事 情が許せば、必要な費用を徴収しながら可燃物について地方公共団体の焼却施設で の受入れを検討すべきである。 なお、このような処理を推進するため、シュレッダーダスト等への有害物質の混 入防止を徹底することが必要である。 - 17 - (2)放棄対策について ① 放棄の防止対策について 廃棄物の不法投棄を防止するため、平成12年に改正・強化した廃棄物処理法 の規制を厳格に行うほか、警察と連携した不法投棄摘発の体制強化など、その撲 滅に向け、取締りを強化することが必要である。 これに加え、今回の新たな仕組みが施行されると、減量化・リサイクルがさら に推進され、放棄件数が減少することが期待される。また、使用済み自動車を適 正処理ルートへ誘導することを目指して国土交通省では道路運送車両法に基づく 抹消登録制度の見直しを検討中である。 以上のような見直しが放棄車の防止に大いに寄与することが期待される。 ② 放棄車の回収、処理について ①により放棄車の減少が見込まれるが、このような措置にもかかわらず放棄車 が発生した場合には、その回収・処理が必要となる。不法投棄された使用済み自 動車に関しては、徹底して原因者等に対して原状回復を求めていくことが原則で ある。 また、路上等に放棄された自動車を市町村が処理した場合、製造事業者、輸入 事業者及び販売事業者は、路上放棄車処理協力会を通じて費用面での協力を行っ ているが、市町村が速やかに回収・処理できるようにしていくとともに、使用済 み自動車の減量化・リサイクルに関する新たな仕組みが構築されることを踏ま え、放棄車に関する問題の解決に向け、その協力のあり方について検討すること が必要である。 6.今後の課題 本中間報告は、使用済み自動車の減量化・リサイクルを推進するための方策につい て検討した結果をとりまとめたものであるが、今後検討すべき多くの課題が残されて いる。既に記述したもの以外にも次のような課題が考えられる。 (1)新しい仕組みに関する課題 製造事業者等が使用済み自動車から発生するフロン類、エアバッグ、シュレッダ - 18 - ーダスト等を引き取って減量化・リサイクルを行う新しい仕組みに関し、次のよう な課題がある。 ○ 製造事業者等が、自らが製造又は輸入した自動車に係るものとしてシュレッ ダーダスト等を適切に引き取ることができるようにするための仕組み。 ○ 各関係者の役割分担の一層の明確化と役割の実施を徹底させるための方策。 ○ 小規模な製造事業者、輸入事業者又は個人輸入の場合であっても適切に減量 化・リサイクルが実施されるようにするための仕組み。例えば、指定法人に委 託することができる枠組みの導入等。 ○ 中古自動車として輸出される自動車の取扱い。 ○ 目標とする回収・リサイクル率の設定の必要性と方法。 ○ 使用済み自動車に関するこのような新しい仕組みが整備されるまでの間、フ ロン回収破壊法に基づき先行して実施されるフロン類の回収・破壊について、 大気中への不法放出を防止し、回収の実効性を高めるための適切な施行。 (2)その他、使用済み自動車の減量化・リサイクルに関する課題 ○ 減量化・リサイクルの推進に関する技術開発の促進方策 ○ 減量化・リサイクルの推進に資する融資や税制上の支援策、解体事業者等が 適切な施設整備を行うことができるようにするための措置等 ○ ユーザー、関係者に対する普及啓発等の推進方策 - 19 - 別添 1 中 央 環 境 審 議 会 廃 棄 物 ・ リサ イ ク ル 部 会 自 動 車 リ サ イ ク ル 専 門 委 員 会 委員名簿及び開催状況 1.専門委員会委員名簿(敬称略・五十音順) ○ 井上 三郎 社団法人全国軽自動車協会連合会事業部長 梅屋 則夫 奈良県生活環境部次長 大塚 直 早稲田大学法学部教授 大塚 元一 社団法人全国産業廃棄物連合会専務理事 酒井 清行 日本ELVリサイクル推進協議会会長 酒井 伸一 独立行政法人国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究 センター長 ◎ 菅井 亨 群馬県板倉町環境課長 土井 鼎 社団法人日本鉄リサイクル工業会専務理事 永田 勝也 早稲田大学理工学部教授 福山 真劫 全日本自治団体労働組合副中央執行委員長 伏見 剛 社団法人日本自動車販売協会連合会理事 細田 衛士 慶応義塾大学経済学部教授 益田 清 社団法人日本自動車工業会環境委員会リサイクル廃棄物部会長 松田 賢一 社団法人日本自動車整備振興会連合会指導部長 松田 美夜子 富士常葉大学環境防災学部助教授 松波 正壽 社団法人日本自動車連盟専務理事 武藤 孝弘 社団法人日本中古自動車販売協会連合会法務部長 八木橋丈夫 横須賀市環境部長 脇山 日本自動車輸入組合専務理事 俊 生活環境評論家 ◎は委員長、○は委員長代理 2.専門委員会の開催状況 第1回 第2回 5月30日(水) 6月12日(火) 使用済み自動車の減量化・リサイクルの現状等について 関係者からのヒアリング 第3回 6月18日(月) 関係者からのヒアリング 第4回 6月27日(水) 検討課題の整理 第5回 7月 関係者の役割について 第6回 7月23日(月) 費用負担方法、廃棄物処理法の適用について 第7回 8月 中間報告案について 9日(月) 7日(火) 使用済み自動車の減量化・リサイクルの流れ 別添2 エンジン・外装部品等の回収、再使用 処理が困難なもの 、 減 量 化 ・リサイクルを 特に推進すべきもの (セメント工場、鉛再生施設等) オイル等の処分(廃油の焼却施設等) 触媒・ 非鉄スクラップ等の回収、再生利用 (精錬施設等) 廃車ガラ シ ュレッダ ー 事 業 者 ー 中古車販売事業者 解 体 事 業 者 新車販売事業者 使用済み自動車 ザ 使用済み自動車 ユ ー 整備事業者 タイヤ、バッテリー等の回収、再生利用 鉄・非鉄スクラップ の回収、再生利用 (精錬施設等) フロン、エアバッグ、シュレッダーダスト等 自 動 車 製 造 事 業 者 、輸 入 事 業 者 自ら又は業者に 委託して減量化・ リサイクル 別添3 表 A 案、B 案の概要 A案 B案 考慮点 ・ 販売価格とは別に費用を徴収 ・ 費用を公的機関で管理 公 的 費 用 必要となる。 管 理 組 織 個人輸入等少数のユーザーからの費 の必要性 用徴収・管理にも当たる。 ・ 費用を販売価格に含めて徴収 ・ 費用を企業内部で管理 基本的には必要としない。 しかし、個人輸入等少数のユーザー からの費用徴収・管理のための組織 が必要となる。 費 用 の 管 ユーザーから徴収した費用が全額安 ユーザーから徴収した費用の一部が 理 全に管理される。 メーカにより管理される。 倒産等による徴収費用の滅失等にも 倒産等による滅失等については、別 対処できる。 途対応策の検討を要する。 全額積立とすれば、相当多額になる。 積み立てる額の設定方法により、積 公的機関の管理費用が必要となり、 立額を比較的少なくすることが可 利息の取扱いについて検討が必要。 能。 税金 公的機関の事業が公益法人の非収益 事業となるような制度設計をするこ とにより非課税扱いとなり、ユーザ ーによる費用負担に対する税の支払 いを避けられる。 制 度 と し 政府においては、行政改革の一環と ての問題 して、特殊法人等の改革、公益法人 に対する行政の関与のあり方の改革 について議論がなされていることに 留意。 備考 この案は、必要な費用を負担するユ ーザーの役割を明確化するととも に、製造事業者等が直接費用を管理 した場合に生ずる課題への対応に配 慮した方法と考えることができる。 企業内の積立てについて、非課税に するための税制上の措置が必要。引 当金・準備金制度が創設できれば、 ユーザーによる費用負担(引当金・ 準備金に上限が設けられる場合は、 その一部)に対して税の支払いを避 けられる。 また、費用を販売価格に含めること により、自動車取得税の対象となる。 政府の税制調査会においては、引当 金、準備金について、廃止を含め見 直す方向で議論がなされていること に留意。 この案は、必要な費用を負担するユ ーザーの役割に配慮しつつ、製造事 業者等が費用の徴収・管理について 中心的な役割を果たす方法と考える ことができる。 参考1 「シュレッダー処理される自動車及び電気機械器具の 事前選別ガイドライン」について シュレッダーダストの埋立処分に伴って生じる環境への負荷をより一層 低減するという観点から、使用済み自動車等が破砕処理される前に選別さ れる部品等について、その適正処理を確保するために必要な手順を示すこ とを目的として、平成7年6月に厚生省(当時)が、「シュレッダー処理 される自動車及び電気機械器具の事前選別ガイドライン」を定めた。 このガイドラインにおいて、シュレッダー処理される使用済み自動車か ら事前に選別すべきとされているものは次のとおり。 対象物 ガソリン、軽油 LPG エンジン、トラ ンスミッショ ン、ブレーキ、 トルクコンバー ター等に含まれ る各種オイル類 冷却液 バッテリー 蛍光管 冷媒(フロン) 回収・処 理方法 評価 選別方法 保管方法 揮発油類 引火性を有する 廃油は埋立禁止 タンクごと取 り外す又はタ ンクに穴を開 けて抜く 高圧ボンベを 取り外す タンク、ド ラム缶に保 管する 自家消費等 引火 ・ 揮 発 性 に 注意すること ボンベのま ま保管する 引火 ・ 揮 発 性 に 注意すること エンジンとトラ ンスミッション を一体で取り外 す、足回りを取 り外す タンク、ド ラム缶に保 管する 充てんスタン ドに返品又は 自家消費 専門業者に 委託する 廃酸、廃アルカ リは埋立禁止 底部コックを開 けて排出する 専門業者に 委託する 地中に浸透させ ないこと 鉛を含有する 廃酸、廃アルカ リは埋立禁止 水銀を含有する 取り外す タンク、ド ラム缶に保 管する 壊さないよう に保管する 専門業者に 委託する 電解液を漏えい させないこと 抜出し装置で 排出する 専門業者に 委託する 専門業者に 委託する 壊さないこと オゾン層を破 壊する等 密閉容器に 保管する ボンベに保 管する 揮発油類 引火性を有する 廃油は埋立禁止 廃油は埋立禁止 取り外す 注意事項 地中に浸透させ ないこと 大気中に放出し ないこと 参考2 産業廃棄物最終処分場の残余容量等について 1.産業廃棄物最終処分場の残余容量 平成11年4月1日現在の最終処分場の残余容量は約 19,031 万 m3であり、前年 度から約 2,075 万 m3(約 10%)減少した。 表 最終処分場の残余容量 最終処分場 残余容量 遮断型処分場 安定型処分場 総数 管理型処分場 総数 (括弧内は前年度) [m3] 35,005 (39,527) 84,119,823 (83,548,305) 106,157,029 (127,471,435) 海面埋立 計 36,524,517 (37,412,740) 190,311,857 (211,059,267) 2.産業廃棄物最終処分場の残余年数等 平成10年度の最終処分量及び平成11年4月1日現在の最終処分場の残余容量 から最終処分場の残余年数を推計すると、全国では3.3年、首都圏では0.8年 と前年度と同様に厳しい状況にある。平成11年度の新規設置許可件数が激減して いること等から、平成12年4月1日現在の残余年数は2.6年に減少しているも のと推計されている。 (年) 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 3.0 3.1 3.2 3.3 2.6 H7 H8 H9 H10 H11 (年度) ※ H11 年度の値については推計値であり今後変動もありうる 図 最終処分場の残余年数 参考3 循環型社会形成推進基本法における拡大生産者責任の考え方 1.事業者の責務(第11条) 自ら製造、販売等を行う製品等について、製造、販売等を行う事業者が 生産・使用段階だけではなく、それが使用され、廃棄物となった後まで一 定の責任を負うとの考え方のもとに、次のような事業者の責務が定められ ている。 ①製品等の耐久性の向上及び修理の実施体制の充実等、製品等が廃棄物と なることを抑制するために必要な措置を講ずること。(第11条第2項) ②製品等の設計を工夫すること 。(第11条第2項) ③製品等の材質又は成分の表示を行うこと 。(第11条第2項) ④製品等に係る設計及び原材料の選択、収集等の観点から、その事業者 の果たすべき役割が重要であると認められるものについて、それが廃 棄等された後、引取りやリサイクルを実施すること 。(第11条第3項) 2.必要な措置(第18条第3項) 国は、 ア 処分の技術上の困難性、循環的な利用の可能性等を勘案し、 イ 関係者の適切な役割分担の下に、 ウ 製品等に係る設計及び原材料の選択、収集等の観点から、その事業 者の果たすべき役割が重要であると認められるものについて、 製造、販売等を行う事業者が、製品の引取りやリサイクルを実施するよう 必要な措置を講ずるものとされている。 OECD「拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル」の概要 (平成13年策定、公表) 1.定義 製品のライフサイクルにおける消費者より後の段階にまで生産者の物理 的又は経済的責任を拡大する環境政策上の手法。 より具体的には、 ① 生産者が製品のライフサイクルにおける影響を最小化するために 設計を行う責任を負うこと。 ② 生産者が設計によって排除できなかった製品による環境影響に対 して物理的又は経済的責任を負うこと。 2.主な機能 廃棄物処理のための費用又は物理的な責任の全部又は一部を地方自治体及び一般 の納税者から生産者に移転すること。 3.4つの主要な目的 ①発生源での削減(天然資源や原材料の保全) ②廃棄物の発生抑制 ③より環境にやさしい製品設計 ④持続可能な発展を促進するとぎれのない物質循環の輪 4.効果 製品の素材選択や設計等に関して、上流部門に環境配慮の取組みを促進させる。 生産者に対し、製品に起因する外部環境コストを内部化するように適切なシグナ ルを送ることができる。 5.責任の分担 製品の製造から廃棄に至る流れにおいて、関係者によって責任を分担する ことは、拡大生産者責任の本来の要素である。 6.具体的な政策手法の例 ①製品の引取り、②デポジット/リファンド、③製品課徴金/税、 ④処理費先払い、⑤再生品の利用に関する基準、⑥製品のリース 参考4 廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」について 1.廃棄物とは 廃棄物の定義については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」 という 。)において、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、 廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状の もの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く 。)をいう 。(法第2 条第1項)」と規定されている。 これに該当するか否かの判断は、昭和52年の厚生省(当時)の通知におい て 、「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することがで きないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意 志、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的 に廃棄物として観念できるものではない 。」として客観的事情と主観的事情を 考慮した総合判断説によることとしており、この考え方は、最高裁判断におい ても支持されている。 2.一般廃棄物、産業廃棄物について 法において、廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に区分され、産業廃棄物以 外の廃棄物を一般廃棄物としている(法第2条第2項)。 産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃 油、金属くず、廃プラスチック類、ガラスくずなど19種類の廃棄物と輸入さ れた廃棄物をいう。 一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物であり、日常の生活に伴って生ず る廃棄物のほか、事業活動に伴って生じた19種類以外の廃棄物も含まれる。 3.処理責任について 一般廃棄物については、市町村が処理責任を有しており、市町村が処理を行 う場合及び市町村が業者に委託して処理を行う場合を基本として、市町村によ る処理が困難な一般廃棄物について市町村長の許可を受けた一般廃棄物処理業 者が処理を行う場合がある。 産業廃棄物については、その産業廃棄物を事業活動に伴って生じさせた事業 者(排出事業者)が処理責任を有しており、排出事業者が自ら処理を行う場合 と、当該排出事業者から委託を受けて都道府県知事(保健所設置市にあっては 市長)の許可を受けた産業廃棄物処理業者が処理を行う場合等がある。