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心優しい日本語 私は****と申します。北京の対外

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心優しい日本語 私は****と申します。北京の対外
心優しい日本語
私は****と申します。北京の対外経済貿易大学の日本語科で二年学んで、
今年の四月から東経大に留学しています。
私は、日本語科に入学しましたけれど、初めは日本語がそんなに好きではあ
りませんでした。日本語に一目ぼれしませんでした。でも日本にやって来て八
ヶ月、日本の国の中で日本語を知っていくうちに、心の優しい日本語がどんど
ん好きになりました。今日は日本語の中で、私の特に大好きな言葉についてお
話したいと思います。
日本に来て一ヶ月目ほどに、日本のある人と知り合いになることができまし
た。その人から夕食に招かれました。私は初めて日本の家庭の中で食事をしま
した。その時、家族の人たちは、食事をする前に、
「頂きます」と言いました。
子供たちも目をつぶって小さな手を合わせて、「頂きます」と言いました。私
は、心の中で、えっと頂くはもらうの謙譲語だから。。。と学校で勉強した日本
語の文法を思い出しながら、言いました。「頂きますって、ご飯をもらうぞと
いう意味ですね」と言いました。家族の人たちは、「あれっ?」という顔で私
の方を見ました。そして主人のかたが、ゆっくりと語ってくれました。
「今日の料理は、親丼です。卵が入っています。卵は、本当に鶏になるはずで
した。でも、ひよこになる前に食べられてしまいます。もっと長く生きられた
のにこれまでです。私たちは、自分の命が生きるためにほかの命をいただいて
いるのです。決してもらうのではありません」そう説明してくれました。私は
初めて、「頂く」という言葉の本当の意味を知りました。感動しました。私は
中国で鶏や豚を見ると思わず「おいしそう」と涎を垂らした自分を恥ずかしい
と思います。
中国では、食事の前に言う言葉はあんまりありません。一番年長の人が、
「み
んなたべなさい」と言って、彼が先に食べ始めるのを見てから、ほかの人も食
べ始めます。そして、食事が済んだら、「お腹がいっぱいになった」と言う言
葉を言うだけです。
日本では、食事が終わると「ご馳走様」と言います。これは、
「おもてなし」
に対する感激だそうです。料理を作ってくれた人が、家族であっても、感謝の
気持ちを表すのです。
「頂きます」
「ご馳走様」の言葉を毎日重ねていくうちに、
食べ物の本当の美味しさが体に染み渡って行くのだと、日本に来て知りました。
もうひとつ、日本語の心の優しい言葉についてお話したいです。
私は一人暮らしなので、使うことも使ってもらうこともないですが、「お帰り
なさい」と「ただいま」という言葉があります。私は、テレビドラマの中の人
たちがそういう言葉を使っているのを見て、実際に自分が言われたら、どんな
気持ちになるのかを思っていました。中国では、誰が出かけても、帰ってきて
も、ほぼ黙っています。冷たいものです。
私は今年の夏休みに三泊の旅行に行ってきました。いつも親切にして下さる
ある日本人のおばさんにお土産を届けに行きました。そしたら、そのおばさん
は玄関で、「お帰りなさい」と言いました。家族でないのにそう言いました。
その時、何とも言いようのない暖かさを感じました。一人暮らしの寂しさは、
飛んで行きました。私はすごく嬉しい気持ちで、生まれて初めて「ただいま」
と言いました。ここは我が家でないことを知りながら、我が家のような存在感
を持ちました。日本人のやさしさを日本語の優しさと美しさで知りました。
今、中国でも日本でも、いや世界が競争の激しい時代です。日本語の思いや
りのある言葉が日本でもだんだんと薄くなっているそうです。残念です。日本
語のこんな言葉が全世界中に広まればよいと思います。毎日の普通の言葉で、
お互いに信じ合えるこんな言葉が、世界中の人の言葉になればよいと思います。
私は二ヶ月後に中国に帰りますが、そんな気持ちを大事なお土産にして帰りま
す。これで私の話は終わります。ご清聴有難うございました。
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