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アルコールと健康
マンスリー・ヘルシートピックス(1 月号) 1 1 月 16 日は禁酒の日。1920 年 1 月 16 日にアメリカで「禁酒法」が施行されたこと に由来して、1 月 16 日は、禁酒の日とされています。今月は「アルコールと健康」に ついてお伝えいたします。 【アルコールの健康への影響について知りましょう】 アルコールにより引き起こされる主な身体的影響は、以下の 5 つです。 ① 肝臓の疾患 体内に入ったアルコールの 90%以上は肝臓で分解されるため、長年の飲酒により肝 臓は、様々な影響を受けます。そもそも肝臓は、栄養分などを取り込んで身体に必要な 成分に換えたり、不要な物質を解毒して胆汁に排泄したりする『代謝』を行う臓器です。 ところが、アルコールを大量に飲み続けると、肝臓での中性脂肪の合成が高まり、そ ... の結果、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態の脂肪肝になります。さらに飲酒を長期間続け .... .. ると、肝臓に線維が生成されて肝線維症となる場合や、肝細胞が急激に破壊されてアル ...... ... コール性肝炎になる場合があります。さらに病状が悪化して肝硬変へ進んでしまう事も あります。 肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれるように、初期の自覚症状はほとんどなく、気づいた .... 時には手遅れである事が多く、肝臓がんのリスクも高まります。検査は主に採血で肝機 能を調べ、定期的に肝臓エコー(超音波)の検査を行います。自覚症状の現れにくい臓 器なので、定期検診が重要となります。 ② 消化管の疾患 アルコールは、摂取後の通り道である消化管にも様々な影響を及ぼします。アルコー ル度数の強いお酒を多量に飲む事により、食道炎・胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍、さら に咽頭がん・食道がん・大腸がんなどのリスクが増加します。 症状は胃の痛みや不快 感・ものが飲み込みにくい・排便に血が混じるなど様々です。何かおかしいなと感じた ら、内科・消化器科などにご相談ください。 ③ 心血管系の疾患 アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間、 飲み続けると、血圧を上げ、高血圧症になります。その理由は、血 管の収縮反応が高まるほか、心臓の拍動を速める交感神経が活発に なる、腎臓からマグネシウム・カルシウムが喪失されるためと考え られています。また、高カロリーなアルコール飲料を摂取する事で 体重が増加したり,一緒に塩分の強いつまみなどを食べたりする事 日比谷診療所だより マンスリー・ヘルシートピックス(1 月号) 2 も要因となります。定期的な血圧測定が大切です。 ④ 脳の疾患 長期間,多量に飲酒をすると、血圧が上昇し、脳卒中に罹りやすくなります。アルコ ールは、脳に対して直接障害を与え、アルコール性認知症や小脳変性症などを引き起こ します。 ⑤ その他の疾患 アルコールはカロリーが高く、飲酒にともない食事量も増加しやすいので、肥満や中 性脂肪が上昇する他、痛風、糖尿病にも罹りやすくなります。しかし、飲酒が過量にな ると、逆に栄養吸収障害をきたし、脳の病気や貧血にかかりやすくなります。この他、 女性特有の問題として、生理周期に異常をきたしたり、妊娠出産の異常が起こりやすく なったりします。 【お酒の 1 単位について知りましょう】 1 日の適量とされる『お酒の 1 単位』とは、純アルコールに換算して 20g です。ただ し、アルコール耐性は個人差があるので、酔いやすい人、女性、65 歳以上の高齢者は これよりも少なめになります。目安は『ほろ酔い』程度です。 厚生労働省・健康日本 21 では、1 日のアルコール量で男性 40g以上、女性 20g以上 を生活習慣病のリスクを高める飲酒量と規定しています(飲酒量の多い人の目標値) 。1 単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビールは中びん 1 本(500ml) 、日本酒は 1 合(180ml) 、ウイスキーはダブル 1 杯(60ml) 、焼酎 0.6 合(110ml)が目安となりま す(表参照) 。 表 お酒の 1 単位(純アルコール 20gに換算) ビール アルコール度数 5 度で中びん 1 本 500ml 日本酒 アルコール度数 15 度で 1 合 180ml 焼酎 アルコール度数 25 で 0.6 合 約 110ml ウイスキー アルコール度数 43 度でダブル 1 杯 60ml ワイン アルコール度数 14 で 1/4 本 約 180ml 缶チューハイ アルコール度数 5 度で 1.5 缶 約 520ml 日比谷診療所だより マンスリー・ヘルシートピックス(1 月号) 3 【正しいお酒の飲み方を知りましょう】 正しいお酒の飲み方(適正飲酒)とは、どのようなものでしょうか?以下、参考にし てください。 適正飲酒の 10 か条(アルコール健康医学協会より) 談笑し、楽しく飲むのが基本です 食べながら、適量範囲でゆっくりと 強い酒、薄めて飲むのがオススメです つくろうよ、週に二日は休肝日 やめようよ、きりなく長い、飲み続け 許さない、他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み アルコール、薬と一緒は危険です 飲まないで、妊娠中と授乳期は 飲酒後の運動・入浴、要注意 肝臓など定期検査を忘れずに おわりに 昔から『酒は百薬の長』といわれているように、適正な方法で、適正飲酒(お酒の1 単位を摂取)をすれば、医学的にも健康に良いといわれています。また、適正飲酒は、 リラックスできたり、会話も弾んだりと精神的・社会的にも良い効果が得られます。 是非、美味しいお酒を楽しく飲んで、健康で幸せに暮らしてください.定期的な健康 チェックも忘れずに! 日比谷診療所だより