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栄養課だより15号
平成 28 年 9 月発行 vol.15 お酒ははるか昔から世界各地で親しまれてきました。また、お酒を適度に飲むことは食欲増進効果、 ストレスを和らげる効果、人間関係をスムーズにする効果などがあげられます。しかし、過度な飲酒 はさまざまな健康問題や社会問題の原因となります。今回の栄養課だよりでは、上手なお酒の付き合 い方についてご紹介します。 アルコールを1%以上含むものを「お酒」といいます。昔から「ほど ほどのお酒は健康に良い」と言われていますが、適量はどのくらいなの でしょうか。適量とは、アルコール量で男性 20g 以下、女性 10g 以下 程度と言われています。 女 性 アルコール量 アルコール量 20g 10g 以下 以下 例)アルコール度数5%(=0.05)のビールを 500ml 0.05×500×0.8=20g アルコール量(g)=アルコール度数×アルコール飲料の量×0.8* (%) *アルコールの比重。アルコールは水分の 80%と同じ重さ。 男 性 (ml) →20g のアルコール量が含まれています。 アルコール量約 20g は他にも… 日本酒 焼酎 ワイン 缶酎ハイ (アルコール度数 15%) (アルコール度数 25%) (アルコール度数 14%) 0.6 合(約 110ml) 1/4 本(約 180ml) (アルコール度数 5%) 1 合(180ml) ① 吸収 1.5 缶(約 520ml) ② 代謝 体内に入ったアルコールは、約 20%が 胃から、そのほかの大部分が小腸から 吸収されます。吸収されたアルコール は、血液に溶け込んで全身へと拡散さ れた後、最終的に肝臓へと運ばれます。 肝臓では、アルコール約 90%が代謝されます。アルコールは ADH(アルコール脱水素酵素)によってアセトアルデヒドに 分解されます。さらに、アセトアルデヒドは ALDH2(アルデ ヒド脱水素酵素 2 型)によって酢酸に分解されます。 アルコール(有害な物質) 分解 ③ 排出 ADH (アルコール脱水素酵素) アセトアルデヒド(有害な物質) 酢酸は血液に乗って肝臓を離れ、筋肉や心臓 に移動してさらに分解され、水と炭酸ガスに なり、体外へ排出されます。 毒素成分が強く、動悸や頭痛、胃痛や吐き気などの原因となる物質。 分解 ALDH2 (アルデヒド脱水素酵素 2 型) 酢酸(無害な物質) お酒は水分補給にはならない!? お酒は百役の長!? ☆アルコールには抗利尿ホルモンを抑制する働きがある。 ☆適量の飲酒は健康上のメリットもある。 抗利尿ホルモンとは、体の中の水分を一定に保持させる働きがあり ます。しかし、アルコールを摂取することで、抗利尿ホルモンを 抑制させ、必要以上に体外へ水分を排出してしまい脱水になります。 右の図より男性は 1 日アルコール量で 20g 以下、女性は男性の半分の 10g 以下で最も死亡率が低くなったという研究結果があります。アルコールが 血液中の善玉コレステロールを増やし、高血圧、虚血性心疾患、脳卒中など を引き起こす動脈硬化を防ぐ効果があるからだと言われています。 お酒を飲むときには こまめな水分補給が必要! 参考)厚生労働科学研究 我が国における飲酒の実態把握およびアルコールに関連する生活習慣病とその対策に関する総合的研究 空腹にお酒は危険!? お酒は中性脂肪が増える!? ☆アルコール分解時、血糖を貯蔵できず 一時的に血糖が下がる。 ☆アルコール分解時、中性脂肪が合成 される。 肝臓がアルコールを分解する間、通常時に行う 糖分の貯蔵を行うことができず、糖分が不足し 低血糖症状を起こす可能性があります。 肝臓がアルコールを分解する際に、同時に中性 脂肪が合成されます。ここで作られた中性脂肪 は約 1 日をかけて各器官に運ばれていきます。 毎日お酒を飲み続けると中性脂肪が運ばれる前 に合成が繰り返され、肝臓に中性脂肪が蓄積し、 脂肪肝になります。一緒に食べるおつまみなど 脂質が多いものにも注意が必要です。 ☆アルコールが一気に吸収され肝臓で 分解が追い付かない。胃が荒れる。 消化管が空だと一気にアルコールが吸収され、 肝臓で分解しきれないアルコールは全身を巡 り、酔いが回ります。また、アルコールにより 胃の粘膜を傷つけてしまいます。 週に2日は休刊日を! 適正飲酒の10か条 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 談笑し、楽しく飲むのが基本 食べながら適量範囲でゆっくりと 強い酒は薄めて飲むのがおすすめ つくろうよ、週に2日は休肝日 やめようよ、きりなく長い飲み続け 許さない、他人への無理強い・一気飲み アルコール、薬と一緒は危険です 飲まないで、妊娠中と授乳期は 飲酒後の運動・入浴、要注意 肝臓など定期検査を忘れずに 参考)公益社団法人 アルコール健康医学協会 http://www.arukenkyo.or.jp/health/proper/index.html 発行:医療法人社団 刀圭会 協立病院 栄養課