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偉大ラルース

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偉大ラルース
176
﹀
ωε 匹賓 o冨 .
.閃 こ ①ω =o 餌ぴ×陣.
.●
鈴 木
= 甘 ○ω}昌 ωq N⊂ }
自
博
れ て いる が 、 縦 一五 ・九 糎 、横 一〇 糎 の小 型本 であ って 、 こ の点 でも
一五 九 二 年 天 草 版 ﹃ヒ イ デ ス の導 師 ﹄の諸 問 題
一、 ラ イ デ ン 本 に つ い て
前 記 の④ ⑤ ⑨ と 共 通 し て いる。 総 頁 数 は 六 六 一で (扉 を 除 く )、内 訳 は
次 の と お り で あ る が 、 こ の厚 冊 と いう 点 に お いても ま た④ ⑨ と 共 通 性
重 さ れ て いる (
本 書 は ○。①罵 巨 霞 の 一八 九 六年 版 ﹃し
口︻
げ=9謡 ρ器 ﹄p冨 5鉱。。Φ﹄のZρ
田 鴇 ω口三く①円臨 8 貫 ピ①一
匹①ジ 閑p℃①ロげξ σq 刈Ol 刈倉 ↓竃 Z9 7①二p巳 ω) に 貴
し て オ ラ ン ダ の国 立 ラ イ デ ン大 学 図 書 館
第 一巻 一∼ 七 九 頁 八 章
本 文 四 巻 六 一九 頁
四頁 )
序 文 一〇頁 分 (第 一序 文 が 三 頁 、 第 二序 文 が 三 頁 、・第 三序 文 が
が あ る。
①一
膳に解説 さ れ て いて、 同館 におけ る日本 関 係 の古 書 は しり曾 2 甑零 のこ の書 の順 に
第 二 巻 八 ○ ⊥ 二七 二 頁 二八 章
一五 九 二 年 に 九 州 の 天 草 で イ エ ズ ス 会 に よ っ て 出 版 さ れ た ﹃国 U国oり
く ウ
ZO UO×ご (ヒ イ テ ス の 導 師 ) 洋 装 一冊 本 は 、 現 在 で は 世 界 の 孤 本 と
配 架 され て いる )
。本 書 は 日 本 語 が ポ ル ト ガ ル式 ロ ー マ字 綴 り で 印 刷 さ れ
第 三 巻 三 七 三 ∼ 五 七 三 頁 二 〇 章
(U① ud凶
票 。チ ①。胃 凶の q雪
てお り 、 こ の点 で同 じ く イ エズ ス会 か ら本 書 の前 後 に刊 行 さ れ た 、
第 四 巻 五 七 四 一 六 一九 頁 四 章
目 録 七頁分
(一五 九 一年 加 津 佐 版 )
◎ 平 家 物 語 、 イ ソ ップ物 語 、金 句 集
和 らげ 二四頁分
④ サ ント ス の御 作 業 のう ち抜 書
な ど と 同 様 であ る。 た だ し◎ が 口 語 体 を 基 調 とす る のに 対 し て、 本 書
た だ し 製 本 ミ ス が生 じ て いて 、 実 際 は次 のよう な 頁 順 に な っ て いる。
正 誤 表 一頁 分
は④⑤ と 同 様 に文 語 体 であ り 、 か つ内 容 的 にも 宗 教 文 学 に 属 し て いて
お O (臼 田 軸 弓 碑H Cぐ・) 心ω刈∼麟 N お 一∼& ① & ω(潭 引 算 ]⋮
⑤ ド チ リ イ ナ ・キ リ シ タ ン (一五 九 二 年 天 草 版 )
⑨ と は 趣 が 異 な る。
(一五 九 三 年 天 草 版 )
当 時 の 印 刷 部 数 は 七 百 程 度 と 推 測 さ れ る よ う で あ る が (﹁ビプ リ ア﹄ 14
つま り 十 六 頁 (一折 ) 分 が 入 れ 違 って いる。 こ のよ う な ミ ス が当 時 刊
Cつ )
行 さ れ た ﹃ヒ イ デ ス の導 師 ﹄ のラ イ デ ン本 以 外 の本 にも 生 じ て い た の
の新 井ト シ氏 ﹁き り し たん 版国 字 本 の印 行 に つ いて ﹂四 四頁 )、
④ ⑤◎ と 同 様 に た
だ 一本 し か 残 存 せ ず 、 そ の 稀 覯 な こ と は こ の 上 も な い。 現 況 は 改 装 さ
か 、 そ れ と も たま た ま 現 存 本 に だけ 生 じ た のか は 知 るよ しも な いけ れ
書 を
経 ﹄ (現所 在 不 明 )も あ る の で 、書 名 の 上 で の 混 同 を 避 け る た め に も 、 本
し 、 ま た 一六 一 一年 に イ エズ ス会 が 長 崎 で 出 版 し た 国 字 本
﹃ひ で す の
ど も 、 他 本 に生 じ る 必 然 性 が乏 し いよう に 思 わ れ る の で 、後 者 であ る
﹁ヒ イ デ ス の 経 ﹂ と は 呼 ば な い 方 が よ い と 思 う 。
蓋 然 性 が高 いであ ろう 。
原 著 者 は ル イ ス ・デ ・ガ ラ ナ ダ ﹃三 ω匹① Ω冨 コpらp( 一五 〇 四 - 一五 八
三、 原著 者 と 原 典 に つ いて
八 ) で 、 ス ペ イ ン に 生 ま れ た ド ミ ニ コ会 の 名 僧 で あ る 。﹃ギ ヤ ・ド ・ペ
二、 書 名 に つ いて
書 名 は 今 日 二 通 り に 呼 ば れ て い る 。 一 つ は ﹁ヒ イ デ ス の 導 師 ﹂(ま たは
カ ド ル﹄(一五 五 六年 初 版。 一五 九 九 年長 崎 版 の国 字 本 ﹁
ぎ や ど ぺ かど る﹄ は、 サ
﹁信 心 録 ﹂ で あ る 。 ラ イ デ ン大 学 で は
o
。零 同母 一
胃 の 前 掲 書 に 従 っ た の で あ ろ う か 、﹁国 U国 ○り ZO UO×ご と し
と 述 べ ら れ た 。 こ れ ら の 版 本 の 所 在 を 知 ら な い が 、 一五 八 八 年 版 本 が
導 師 とし て⋮ ⋮ (
昭和十五年刊 、上智大 学編 ﹁カトリ ック大辞典﹂1七五四頁 )
﹁ヒデ スの導 師 ﹂)で 、 他 の 一 つ は
以 上 の 二 通 り の書 名 の ほ か に 、 最 終 に 付 載 の 難 語 の 和 ら げ に は ﹁こ
し イ スパ ニや語 で )教 理大 綱 (O。ヨ℃Φコ象。畠①一
pO。茸﹃ぎpOゴニω白雪 ρ)であ り
そ の全 集 は三 十巻 も あ る が、大 著 とし ては 一五 六 四 年 リ スボ ンで刊 行 し た(但
いて姉 崎 博 士 は 、
ヒ イ デ ス (信仰 )の 導 師 と し て 、 R (パー デ レ)E (ヘ レイ )ル イ ス ・
デ ・
ガ
ωぎ げ9。仙①一
ph
ρ一
α。。㎝)と があ り 、多 く の国語 に翻 訳 され て み る が、後 者 はイ
山①一
p{
9 扇。。卜。)及 び そ の要 略 ﹁信 仰 要義 ﹂(の三コ冨 冨 ﹃8 匹①一
pぎρ
お昏 8 幽
。コ巴
ルイ ス ・デ ・グ ラ ナ ダ には 大著 ﹁キ リ スト 教 理大 綱 ﹂(目
玉弓。
含 9凶
。コ巴 ωぎ げ。一
。
と 述 べ ら れ 、 こ れ に 対 し て ラ ウ レ ス 師 は 、,
二六三頁 V
⋮⋮ そ の大 著 教 理 大綱 を 略し て出 し たも のが 、 一五 八 二年 の 一
三き含 。pコ巴
ラ ナ ダ 編 ま れ た る書 の略
Go冥目げ。一
。山①一
p男Φ で、この信 心 録 の原 本 であ る。(
昭和七年刊﹁切支丹宗教 文学﹂
﹁信 心 録 ﹂ と あ る こ と に よ る 。 と こ ろ で 前
﹁サ ン ト ス の 御 作 業 のう ち 抜 書 ﹂
ら に 第 一巻 の目 録 の 見 出 し 、 言 葉 の和 ら げ の 見 出 し 、 お よ び 奇 数 頁 の
ウ レス師 に よ れば 一五八 二 年 版本 )を
﹁ヒ イ デ ス の 経 ﹂ と 呼 ん で お り 、そ れ
ナ ダ の 原 ス ペ イ ン 語 本 (姉 崎 正治 博士 によ れ ば 一五 六四 年 版本 で、ヨ ハネ ス .ラ
三 序 文 お よ び本 文 六 入 、 二 二 入 、 二九 入 、 三 〇 四 、 五 九 四 頁 で 、 ガ ラ
﹁ヒ イ デ ス の 経 ﹂ と いう 呼 び 名 も 考 え ら れ る 。 し か し 本 書 の 第 一、 第
版 によ れば ρ︿目
Z↓﹀ ℃﹀閃↓国 O国 r> ≡ ↓閃OOくO目 OZ O国r しQく寂し
σOrO O国
部 は そ れ ま で の 四部 のま と め にな って いる が 、 こ の第 五 部
六五年版)
、そ れ ら に よ って う か が う と 原 著 書 は 五 部 か ら 成 り 、 そ の 第 五
ピ〇三ω自oΩ﹃
雪 融 ①の第 十 三 一十 六 巻 が該 当 。 図書 番 号 一
ΦO。。一・
N・一
ω一一① 一八 六 四一
>O G。︿ヨ しσ○ピ国 O固 い﹀ 閃OHが 天 理 図 書 館 に あ っ て (ガ ラ ナ ダ の著 作 集
上 智 大 学 キ リ シ タ ン 文 庫 に あ り 、ま た フ ラ ン ス 語 版 一Z↓ 閃OOOO日HOZ
エズ ス会 士 に よ っても 日本 語 訳 で出 版 さ れた。 そ の完 全 な表 題 は ﹁ヒイ デ ス の
を ガ ラ ナ ダ が 要 略 し た ス ペ イ ン 話 本 (姉 崎博 士 に従 えば 一五八 二 年 版本 、 ラ
(一五八 八年
ウ レス師 に 従 えば 一五八 五 年 版本 )の ﹁小 さ き 経 ﹂ か ら の 抄 訳 が 本 書 で あ る
﹁信 心 録 ﹂ の 方 が 略 称 と 考 え ら れ る 。
上 部 の多 く で は 単 に
﹁御 作 業 ﹂ と 略 称 さ れ て い る の で 、 本 書 の 場 合 も
と あ る の に 対 し て 、 各 巻 末 に は ﹁サ ン ト ス の 御 作 業 ﹂ と だ け あ り 、 さ
掲 ④ の 場 合 に も 扉 に は ロ ー マ字 綴 り で
本 文 偶 数 頁 の上 部 に 同 じ く
も う 一方 の書 名 の ﹁信 心 録 ﹂ は 、 本 文 各 巻 冒 頭 に ロー マ字 綴 り で ﹁信
く
わ
ん
心 録 巻 の 一 (二 、 三 、 四 )﹂の よ う に あ り (末 尾 の 目 録 も 同 様 )、か つ
さ れ て いる と ころ に基 づ く。 つま り 、 こ れ を 下 略 し たも の であ る。
ラ マ ンカ版 か ら の抄 訳 )等 、 多 数 の 著 作 が あ る 。 と こ ろ で 本 書 の 原 典 に つ
の四 巻 の ヒ イ デ ス の経 のう ち 分別 し にく き 言 葉 の和 ら げ ﹂ と あ って 、
て 登 録 さ れ て い る 。 こ の 書 名 は 扉 の 上 部 に 次 の よ う に ロー マ字 文 で 記
木)
175
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
第
ロゲ
.
1980
30
滋大紀要
174
リク 神 父 の解 説 二 一、 三 四頁 )
。と いう こ と は ぎ 霞 o含 o畠o冨 ら巴 Qり網目げo一
〇ら①
ら し い と の こ と で あ る (昭和 五 + 一年勉 誠 社刊 ﹃サ ント ス の御 作 業﹄ のチ ー ス
こ と が 指 摘 さ れ て い る が 、 こ の 時 の 原 典 の第 二 部 は 一五 八 四 年 の 初 版
典 と し て 対 応 す る 。と こ ろ で第 二 部 が ら の抄 訳 が 前 掲 の④ の 一部 に 存 す る
レ﹀ 国国 天理 本 では第 + 六 巻 の七 一四 四 二頁 が該 当 )が 、ほ ぼ 邦 訳 天 草 版 の原
以 下 、 本 稿 に お いて 原 典 の ス ペ イ ン語 本 の頁 を 言 う 時 は 、 こ の
五 〇 〇 六 〇 〇。
本 語 訳 も 省 略 か ) 四 4 (仏 も 同 じ )3
巻 四 。 一13
節 ) 4。
仏 は第 1 ∼ 3節 ) 2 二 十 〇 〇 ,二 十 一4 (第 5 、1 、 7、 8節 の順。 仏 は 第 1 ∼ 4
(日本 語 版 で は第 十 七章 。以 下 同 様 にず れ る ) 十 九 2
(第 -節 な く 第 3節 ま であ る 。
︼
p 問①は 全 冊 の 刊 行 が 一五 八 二 年 か ら 一五 八 五 年 に わ た っ て い る と い
松 洋 男氏
八 八 年 版 を 指 し 、 そ れ か ら の 日 本 語 訳 は 中 世 ス ペ イ ン語 専 攻 の 畏 友 近
一五
(日 本 語 版 で は 第 二 章 。以 下 同様 にず れ る )
(仏 も 同 ヒ )12 二 〇 (こ の章 の日 本 語 訳 は 省 略 か ) 三 〇 (こ の章 の 日
う こと であ ろう か。 いず れ に せ よ 、 こ の書 の第 五 部 を 適 宜 ア レ ン ジし
つ つ邦 訳 し た のが 天 草 版 であ る。
す と こ ろ に よ って 、 ス ペ イ ン 人 宣 教 師 ペ ロ ・ラ モ ン ℃興 。 菊㊤∋8
ガ ラ ナ ダ の 原 典 か ら 天 草 版 へ の 邦 訳 者 は 、 本 書 の 第 一序 文 の 末 に 記
四 、邦 訳 者 に つ いて
(京 都 外 国 語 大 学 教 授 ) の 教 示 に 従 う 。
な お 一五 八 八 年 ス ペ イ ン語 版 第 五 部 の 各 巻 の 章 数 は 前 記 の フ ラ ン ス
語 版 と 等 し いが 、 これ と 天 草 版 す な わ ち 日本 語 版 と を 比 較 す る と 次 の
と お り であ る (
上 が西 語 版 で 下 が日本 語 版 )
。
さ ら に 、 各 車 を 幾 つか の節 に分 け て いる 所 があ る ので 、 そ れ を 対 比 す
五 四 九 1 = ハ 一 一) で あ る こ と が 知 ら れ る 。 か れ は 日 本 に 三 十 数 年 間
巻 一8 8 巻 二 30 28 巻 三 21 20 巻 四 6 4
る と 左 の と お り で あ る (漢 数字 は 章。 算 用 数字 は節数 。 節 に分 け て いな い場 合
2 十 五 〇〇 十 六 6 6 十 七 〇 〇 十 八 0 0 十 九 6 6 (西日ともに第2節が
仏語版は第九 .
十 二章各 一)〇 十 〇 〇 十 一〇 〇 十 二 〇〇 十 三 〇 〇 十 四 2
第 1節な く第 2節 のみ) 八 0 0 九 〇 (
西語版は第九章がなく第十二章が二 つある。
巻 二。 一〇〇 二 〇〇 三 〇〇 四 1 1 五 3 3 六 1 1 七 2 1 (
日本語版は
巻 一。 一33
師 、 土 井 博 士 は 、 若 狭 出 身 の 養 方 パ ウ ロを 挙 げ て お ら れ る (
前 掲 書 一四
述 は な いけ れ ど も 、 直 接 間 接 の 日 本 人 関 係 者 と し て シ ュー ル ハ ン マ ー
間 接 の 影 響 は な か った で あ ろ う か 。 本 書 自 体 に は そ れ を 示 す よ う な 記
与 え て いる。 が 、 訳 文 を 整 え る 上 で 日本 人 か ら の直 接 の協 力 、 な いし
著﹃
吉 利支 丹 文献 考 ﹄三 三 三頁 )と 記 し 、そ の 日 本 語 能 力 に対 し て 高 い 評 価 を
解 し 、 そ れ に て 説 教 し 、 日 本 文 を 綴 る こ と 甚 だ 巧 み な り ﹂(
土 井 忠 生博 士
在 住 し た 。 一五 九 二 年 の 日 本 耶 蘇 会 目 録 は 、 か れ に つ い て ﹁日 本 語 を
二
は 0と記 す 。 上 が西 語 版 で下 が 日本 語 版 )
。
二 つ。仏語版 は 一つだが同様 に第5節 で終わる)
二十 2 2 二 十 一〇〇 二十 二 2
五一六頁 )
。ほ か に 、そ の 子 ヴ ィ セ ン テ 洞 院 も 協 力 者 の有 力 候 補 と し て 考
八 0 0。
(
仏0。 この章に相当する日本語訳 は省略 か)
二十 三 4 (
第 3節 が二 つあ って終わる。
七〇〇
仏 0。この章の日本 語訳も省略か) 二十 四 1 1 (日本語 版では第 二十二章。 以下同様
え ら れ る 。 む し ろ 父 よ り も 子 の 方 が 尽 力 し た 可 能 性 が あ ろ う 。 と いう
六〇〇
の は 前 述 の よ う に ガ ラ ナ ダ の 著 作 の 一部 が 、 本 書 よ り も 先 に 刊 行 の
五22
にず れる )
二十 五 3 3 二 十六 1 1 二十 七 11 二十 八 1 1 二 十九 1 1
﹃サ ント ス の 御 作 業 の う ち 抜 書 ﹄の 中 に 抄 訳 さ れ て い る の で あ る が 、 そ
四22
三十1 (
仏 OVO。
三 11
巻 三。 一〇 〇 二 〇 〇 三 2 2 四 4 4 (西日とも に第 -節 が二 つで第 3節 で終わ
二 〇〇
8
の部 分
﹃サ ント
≦ 8 葺 ① 。。お
8 凄 醇2 ωF﹂(イ ル マ ン ・ヴ ィ セ ン テ こ れ を 翻 訳 す ) と あ る か ら で あ る
(
前 掲 のチ ー スリ ク神 父 の解 説 二七 頁 参 照 )
。と こ ろ で 福 島 邦 道 氏 は
(第 二 巻 十 六 章 ∼ 二 十 六 章 ) の末 に ﹁犀 ヨ魯
る。仏 は第 1節 は 一つで第 4節まで) 五 〇 〇
九〇〇
十 〇 〇 十 一〇〇 十 二 ー (
第 4節 だけが 一つある。仏 0)〇 十三 2 2 十 四 3 3
八00
七33
十 五 11 十六 〇 〇 十 七 〇 (この章に相当する日本語訳は省略か) 十 八 2 2
六5 5
173
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
に当 た って 、 ヴ ィ セ ンテ あ た り が蔭 の協 力者 と し て存 在 し て いた の で
書 ﹄ と は 逆 に 、 邦 訳 者 が ス ペイ ン人 であ る か ら 原 典 の スペ イ ン語 の 理
業翻字 ・研究篇﹄三六六頁)。 本書 の場 合 は ﹃サ ント ス の御作 業 のう ち 抜
字 ど お り 翻 訳 し た と考 え ら れ そ う であ る 旨 述 べら れ た (﹁サ ント スの御作
いた の であ ろ う と 従 来 考 え ら れ て いた こと に 対 し 、最 近 の史 料 か ら 文
に翻 訳 し た のは 他 の宣 教 師 であ って 、 こ の両 人 は 日本 文 と し て練 り 磨
ス の御 作 業 のう ち抜 書 ﹄ の翻 訳 者 パ ウ ロと ヴ ィ セ ンテ に つ い て、 実 際
であ る こ と は 、 こ の序 文 の言 葉 か ら もう な ず け る ので あ る 。
以 外 は 口語 体 で綴 ら れ て い る。 本 書 の刊 行 上 の位 置 が⑤⑤ と◎ と の間
語 ﹄ の扉 と 序 、﹃イ ソ ッ プ 物 語 ﹄ の 序 に 示 さ れ て い て 、﹃金 句 集 ﹄ の 本 則
う こ と で あ ろ う 。 ◎ に 至 る と 日 本 語 稽 古 と いう 目 的 が 、 総 序 、﹃平 家 物
書 の よ う な 言 葉 を 使 っ て 布 教 す る 、 そ う いう 場 合 に 役 立 つ よ う に と い
な い のだ か ら 、 日本 人 が 直 接 こ の書 を 読 む の で は な く 、 宣 教 師 が こ の
知 ら せ る と は 言 っ て も 、 日 本 語 の ロ ー マ字 綴 り 文 で あ っ て 国 字 本 で は
と 言 う の み で 、 日 本 語 学 習 用 と は 述 べ て い な い。 キ リ ス ト 教 を 万 民 に
イ ・ ル イ ス に 対 す る 御 書 で 、 一五 八 一年 六 月 二 十 一日 の 日 付 で あ る 。
の の邦 訳 か と 思 わ れ る。 第 二 序 文 は 、法 王 ゲ レ ゴ リ ヨ十 三 世 から ヘ レ
し て 、 第 二 序 文 と 第 三 序 文 と は ス ペ イ ン語 の 原 著 に 添 え ら れ て い た も
さ て 第 一序 文 が 訳 書 に 加 え ら れ た 、 い わ ば 新 し い序 文 で あ る の に 対
解 の点 で は も ち ろ ん問 題 が な いわ け であ る が 、 こな れ た 日 本 文 と す る
はな か ろう か と 思 わ れ る。
五 、 序 文 に つ いて
第 三 序 文 は ル イ ス ・デ ・ガ ラ ナ ダ の 自 序 と 判 断 さ れ 、 年 紀 は な いけ れ
ど も 内 容 上 か ち 第 二 と 近 い 頃 か と 思 わ れ る 。 す な わ ち 先 に 偏 し た ﹃ヒ
イ デ ス の 経﹄ 四 巻 を 、 今略 し て 小 さ き 経 四 巻 と な す と言 い、 各 巻 の主
日 本 語 訳 す る に 当 た っ て 一五 九 二 年 五 月 末 日 に書 い た も
本 書 の 三 つ の 序 文 の 中 の 第 一の も の は 、 ラ モ ン が ガ ラ ナ ダ の 原 典 を
眼 と す る と ころ を 次 の よう に 述 べ て いる。
.
ので あ って、
中 に次 の よ う に述 べ て いる。
第 三 の巻 に は、 ヒイ デ ス の題目 は ・委 し と錐 も 、 とり わ き御 あ るじ ゼスキ リシト
か つう は 、 これ新 し く こ の国 へ渡 海 の パー デ レ、 イ ル マン、 こ の書 のたよりを
の ご誕 生 、 ご パ ッシ ョン (
受難 )の義 を論 じ てよ り 、 レデ ンサ ン (贖罪)と て
第 一の巻 に は、 ナ ツウラ (自然)の道 理をも って ヒイ デ スの こ とわ り をあ ら わ
わ れら を救 い助 け 給 わん た め、道 は さま ざ ま多 か る ぺけ れ ども 、 デ ウ ス のゴ ロ
も って 鵬赦 の言葉 を 習 わる べき ため 、 か つう は、 こ の書 の こと わ り を 達 し て
で あ る (﹁媚 び たる 言葉 ﹂に つい ては 土井 博 士著 ﹁吉利 支 丹 語 学 の研 究 新版 ﹂ 七 八
雅 な 言 葉 で な く 、 一般 の 通 俗 語
ウリヤ (
威光 )と 、 人 のア ニ マ (
魂 )のや ま いを 癒 やす 薬 は 、 これ に 過 ぎ た る
し 、ま た デ ウ ス (
神 )のお ん敬 いを勧 む べし。
頁 など を 参 照 )
。こ の よ う な 序 文 は 前 記 の④ に は な い け れ ど も 、 ⑤ ◎ に は
は無 し と 、あ ら わす べし。
皆 人 弁え ん た めな れ ば、 媚 び たる 言 葉を 除 き 、世 話 に綴 り て置く も のな り 。
あ る。 ⑤ か ら 摘 記 す る と 、
第 四 の巻 に は、 こ のレデ ンサ ンを ご成 就 あ る べき 趣 を遙 か の昔 よ り 、 か ねて ポ
第 二 の巻 に は、 デ ウ ス の、み心 に叶 い奉 る誠 の教 は キ リ シタ ンのみ に 限 って 、
後生 の為 に 専ら な る事 を キ リ シタ ンに教 え ん 為 に、コン パ ニヤ の司よ り 此 の小
ロ ヘタ ス (
予言者 )を も って 、 み こと のり あ り し事 ども を、御 あ る じ ゼ スキ リ
余 には無 し と書 き 識す べし。
さ き経 に 具 え給う も のな り。名 づけ てド チ リイ ナ キリ シタ ンと言う 。 これす な
シ ト つゆ も たが わず 遂 げ 給 え ば、 は や、 この レデ ンサ ンの道 を ぱ達 し 給う と知
であ り 、 ま た キ リ スト 教 信 仰 に 培 う た め でも あ る 。 そ れ故 に 、 高 尚 典
わ ちキ リ シ タ ン の教 と言 う 心な り。上 下 万 民 にた やす く 此 の旨 を 知ら し め ん が
す な わ ち 、 本 書 の目 的 は 、 新 来 の宣 教 師 の日 本 語 学 習 用 と し て の役 目
為 に、 言 葉 は俗 の耳 に近 く 、
義 は 天命 の底 を窮 む るも のな り。
らし む べきも のな り。
(俗 文 体 ) で 訳 す こ と を 本 旨 と す る の
とあ って 、 キ リ シタ ンの教 を 万 民 に知 ら せ る た め に通 俗 語 を 以 て す る
号
第
1980
30
滋 大紀要
172
右 によ って 本 書 各 巻 の 内 容 を 概 観 す る こと が でき る。
六、 正誤表に関し て
ロ ド リ ゲ ス は ﹃日 本 大 文 典 ﹄(一六 〇 四 一 ○ 八 年 刊 ) で は ・
uと し た が 、
後 の ﹃日 本 小 文 典 ﹄(一六 二 〇 年 刊 )、 ﹃日 本 教 会 史 ﹄ で は 大 体 ・
uと し た
(橋本 博 士 還暦 記 念会 編 ﹁国語 学 論 集﹄ 所 収 の土 井 博 士論 稿 ﹁ロ氏 小 文典 の ロー マ
字 綴﹂ 二六 七頁 。大 航 海 時 代叢 書 ﹃日本 教 会 史﹄ 上 六 七 一頁 の土井 博 士 の補 注 )。
ット 順 と 、 本 文 中 の 用 語 と を 考 え A口わ せ る こ と に よ っ て 訂 す こ と の で
︹2 ︺ 標 出 語 に ロ ー マ字 綴 り の ま ち が い が 見 あ た る が 、 ア ル フ ァ ベ
し て いる 。 こ のほ か に も 誤 植 が あ る け れ ども 、 そ れ は さ て おき 、 こ の
本 文 が 終 わ っ た 次 の 頁 に 正 誤 表 が あ り 、﹁書 き 誤 り ﹂ と し て 二 十 項 記
ヨ一× 冒9コ口.
×口げ
一 ×
曲
・
●=PH一
げp昌
● ・
ヨ一×一 ﹃ 9コ
部 ヨα
口
料 淋
﹁エ
が く①蹄pい と く①ユ ①" と の 間 で あ り 、 か つ本 文 で は 岩 ぐ O (六 〇 〇 10 )
と 考 え ら れ る か も 知 れ な いけ れ ど も 、 和 ら げ に お け る こ の 語 の 配 列 順
ヨウ ﹂ も 見 ら れ 、 当 時 両 語 形 が あ った と こ ろ が ら 一 のな い形 を 示 し た
で あ ろ う 。 節 用 集 に は ﹁栄 耀 ﹂ の ふ り が な と し て ﹁エ イ ヨ ウ ﹂ も
は 開 合 の 誤 り の ほ か に 、 i を 誤 脱 し て い る と 思 わ れ 、 正 し く は く①ぐO●
以 下 同様 )
、二 四 三 23 に 用 いら れ て い る 。ま た 、<。数 ・(08 契 9ρ㌍ 舞 o塁 ⊆凄 し
(二〇二頁15行目 の謂。
の ま ち が い で あ ろ う 。 言 りぎ は 第 一序 文 、 二 〇 ニ ー5
口・
Op 2 冤。 ヨ①
き る 場 合 が あ る 。 例 え ば 、 Hぎσ
q三目・(固 8 ロ。 け
pσqξ ●) は ぎ ユ コ● (人 倫 )
・ .
ヨ一×一 餌 憎5
コ陣 二
$ ∋o
●
蕃
昌
三岳二・
×ロげ
一 ×帥
︽
密
旨
<o 巳o
二 十 項 を 本 文 に 当 た る と 、 奇 妙 な こ と に そ の 中 の第 二 、 三 、 七 、 十 六
ユ
番 の四 つ の項 は、 す で に訂 正ず み で あ る 。 念 の た め に これ ら を 左 に 示
そう 。
一ωboONω
Oロ畠
幽O
QQ
<o ヨ0 8
一bOO
一⑩⑩
×二げ一3ヨα・
α卜OQQ
で 、 本 文 中 に 見 つ か ら な いも の が 次 の よ う に あ る 。
(5
(﹀ 。
。ρ σqo8
①3 hp葬
)
三 NN二 r も。p。導
三 コp同F )
︹3 ︺ 見 落 と し て い る か も 知 れ な い が 、 和 ら げ に 標 出 さ れ て い る 語
こ の こと から 、 ラ イ デ ン本 は 初 刷 で は な く 、 再 刷 も し く は そ れ 以 後 の
① ﹀。。α・︿>2 ・αの誤 り﹀ (﹀×こ 畠 ω9.)
と あ る の で、 や は り 一 の誤 脱 とす べき であ ろう 。
い刷 り のも の に付 さ れ て いた も の が 、本 文 の 一部 が 訂 正 さ れ た 後 の刷
刷 り で は な い かと 考 え ら れ る 。 も し そう だ と す れ ば 、 こ の正 誤 表 は早
ζ魯
(G
Q巴 p∋ 舞 3 hpけ8 ●)
)
O 凶9 0・
(一h p巨 L ・ opユ げ帥8 ●)
三
③
切 ①ま ・
(O 凶
三
=。 σq・凶
.)
④
空 0×凶
●
7α・
⑤
× ①一。。巨
② 閃。房 P (9 霧
⑥
り のも のに も 、 そ のま ま受 け つ がれ た ので あ ろう 。
⑦
七 、 和 らげ の検 討
末 尾 に付 い て いる
﹁こ の 四 巻 の ヒ イ デ ス の 経 のう ち 分 別 し に く き 言
葉 の和 ら げ ﹂ を 検 討 す る と 、 幾 つか の問 題 が出 て 来 る 。 以 下 六 項 に分
(↓ o×一 コo <〇三 ●)
。。α.の 字 釈 に 畏 こ 。窃 缶 と あ り 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ も 同 様 で (
天草版 ﹁
平 家 物語 ﹄
﹃イ ソ ップ 物 語﹄ の和 らげ では同 語 に対 し て く碧 巳 2 し。P r8 ω
P とあ り )、か つ ア
﹃サ ン ト ス の 御 作 業 のう ち 抜 書 ﹄ の 和 ら げ に お け る >2
畝●
Z ①&
ル フ ァ ベ ッ ト の 順 序 か ら 見 て も 標 出 語 は p2 ωα●の 誤 り と 考 え ら れ 、す
① に つ い ては
⑧
︹1 ︺ ウ 段 の長 音 符 号 は 本 文 で は ・
uで あ る が 、 和 ら げ で は ・
uも 次 の
か って取 上 げ る。
〇三 σq⇔・ O亀 P H
一
嵩 ● ↓巴同一
P ﹁↓震 P くo 冨o ×ゆ×い﹂ ﹁<〇三 星 ・
よう に使 わ れ て いる。
Zoヨ♂ oP ﹂ ×二P ×9αQ凶
p2 ●
×⇔σ
Q三 . ×φ鼠 p ×9×凶
・
171
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィ デ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
巻 。♂ (二 四 23 。 大 腸 小 腸 ) が あ り 、 ⑤ の 胃①ま ・(﹁落 葉集 ﹄ の ﹁
例法﹂も
る 。 ま た ④ の 0870・の 類 似 語 と し て は ρ凶
。鉾 (二 三 三 9。飢 渇 )や 畠 凶
。ま
探 す と 、 。ま げ。 (五 九 21 。 朝 暮 ) や 。ま ×①ρ凶(二 〇 三 11 。朝 夕 )が 見 つ か
し く は ヨp凶
夢 ①・とあ る べき で、 和 らげ ば 開合 を 誤 って いる ) の 類 似 語 を 本 文 で
は な い か と 考 え ら れ る 。 他 例 も 多 く 同 様 に 考 え ら れ 、③ の ζp♂7α・ (正
異 召 電 器 (一二 〇 17 ) な ら ば あ る の で 、 原 稿 ま た は 先 刷 り の 段 階 で
﹁悪 瘡 ﹂あ る い は ㊤。房 α と あ っ た の を 、 ラ イ デ ン 本 の 本 文 は 改 め た の で
冊 ﹁﹁ヒイ デ ス の導 師 ﹂ の語 彙﹄,= 頁 )
。が 、本 文 中 に は ㊤2 。。αは 見 つ か ら ず 、
で に 山 本 昌 子 氏 の 指 摘 が あ る (昭 和 四 + 九年 刊 、上 智大 学 国 文 研 究 叢 書 第 一
て は後 述 す る
す る 要 の な い こ と の 裏 付 け が 得 ら れ る で あ ろ う 。 ⑧ の ﹁年 中 ﹂ に つ い
時 であ った と す る 考 え方 が窺 わ れ 、 あ え て
と あ って 、 今 の末 代 を 濁 れ る と 形 容 し て いて 、 上 代 はす な わ ち 盛 ん な
るためしは多きなり )
れ皆 上 代 の事 ど も な り。 さ り な が ら濁 れ る 今 の末 の代 に も か 様 な
ωξ ① ・。 巻 三 ヨ。。塁 α 轟 歪 一
㊤ヨ⑦×ε pく。ζ。9 轟 算 (二 〇 五 22 。 こ
Oo冨 ヨぎp﹂αユ里 琴 oo8 畠o∋o 轟 ユ ●のp。ユ轟 σq胃 p三 σqo円①≡ ぎ ㊤ロo
あ って、 し た が って こ の場 合 は⑦ のよ う に 問 題 のあ る 例 とし て 取 扱う
サ カ (ン )ナ ト キ ﹂ も 共 に ﹁上 代 ﹂ に 対 す る 和 ら げ と 考 え ら れ る か ら で
、
﹁
黒 本 本節 用集 ﹄等 の ﹁
礼 法 ﹂ も 共 に開 音 だ から 、正し く は カ①剛
{
α.と あ る べ き と こ
﹁盛 代 ﹂ と いう 漢 語 を 新 造
(
+六)
。
べぎ でな い こと に な る。 念 の た め に本 文 にあ た る と 、
ろを 開合 混 同 し て いる ) の 類 似 語 に は 冨 凶
×凶
£ (二 〇 五 15 。 例 式 ) が あ り 、
も 含 ん で い る と 考 え ら れ る も の 言 葉 を変 え て 言 えば 、標 出 の範 囲を も っ
︹4 ︺ 和 ら げ 方 を 見 る と 、 標 出 語 だ け で な く 本 文 上 の 前 後 の 文 意 を
は 8 ユ玄 8 (第 一序 文 。 な お 一 一21 等 に は O霧 ま島。 )
とあ って 、和 ら げ
⑥ の 零 ω×剛
・は 紙 の意 の 方 の 語 は 本 文 に 見 あ た ら ず 、 狩 人 の 意 の 方 の語
る 。
と幅 広 くす べき であ ったと思 わ れ るも の一
があ る。 そ の例 は 次 のも の であ
た 方 の形 で出 て いる。 ⑥ の よう な 事 例 に対 し て⑦ は 同 音 語 のう ち の 一
×①巨 8 8 ・
方 は 本 文 に あ る が 、 他 方 は 本 文 に 見 つ か ら な いも の で あ っ て 、﹁清 水 ﹂
① ぎ α
q。●日つ且
② Q
。p己 pコ・同。ヨ⑩ 8 $ りF
の意 の ×9の三 は 一九 七 12 な ど に あ る け れ ど も 他 方 (ω8 碧 三 5碧 F )の
① は 本 文 で は 八 例 す べ て が 否 定 表 現 、 例 え ば 言 σq。冨 ρ一(二 六 六 16 。
﹁盛 衰 ﹂ の 語 は 見 つ か ら ず 、 漢 語 で な く 和 ら
べき であ った と ころ であ る が
意 に 当 た る か と思 わ れ る
た と の考 え もあ ろう が 、た と えば ﹃応 永 二十 七年 本 論 語抄 ﹄
複 製 本 六 六 六頁 の ﹁其
尽 期 な き )の よ う な 形 で 出 て い て 、和 ら げ の 標 出 形 を ﹁ぎ σqo 轟 ×い ﹂と す
形 でな ぐ 、和 ら げ た 方 の形 で 出 て いる も の があ る こと は 、和 ら げ の成
ハア マリ尽 期ナ キ ホ ト ニ﹂ 等 のよ う に 否定 表 現 で使 わ れ る のが多 かったか と思 われ
前掲書 二 九九 頁 で は ﹁栄 え﹂ 誤 脱 )
。い ず れ に せ よ 、
本 文に和らげ の標出語 の
立 よ り も ラ イ デ ン本 の本 文 の方 が 後 で はな いか と 思 わ せ る。 な お 山 本
見 ら れ る 。 ② の G。雪 留 具 は 和 ら げ 方 か ら 漢 字 を あ て る と す れ ば
げ た 言 い方 で な ら ば 四 九 10 に 器 。契 ①く08 ふ 毎 8 8 と あ る (
姉崎博士の
氏 は ﹁家 号 凶
.(<楓① 冨o 楓o﹂ .くoコo 。。90雪 9 ︿器。ぎ pま た は 。。舘碧 コpの誤 り>
oり.℃9巳 o 。。p乱 雲 邑 8 噸ロ9 pヨ9轟 ρ己(六 一〇 2 。 サ ン パ ウ ロさ ん だ
(
和 ら げ方 を ﹁↓曾 書 2 。29 ﹂ とす べき で あ っ
8 ρ繭
・)﹂に 対 し て 、﹁上 代 ﹂ と ﹁盛 代 ﹂ と の 二 つ を あ て る け れ ど も (
前 掲書
じ
ゃ
うだい
二一
二頁 )
、後 者 は 不 要 で あ ろ う 。と い う の は 当 時 ﹁盛 代 ﹂ と いう 熟 語 が 存
じ
で
う
在 し て い た 文 証 が 得 ら れ そ う に な く (氏 は 一字 一字 を 切離 し て ﹁盛 ﹂ の音 と
ん し て宣 わく )
と あ る の で 、﹁讃 歎 ﹂ (﹃落 葉 集 ﹄、 ﹃黒 本 本 節 用 集 ﹄ な ど ) の 方 が よ り 適
﹁讃 談 ﹂
切 か と 思 わ れ 、 こ の 和 ら げ 方 は ﹁の た ま わ く ﹂ ま で を 含 ん で い る か と
(﹃落 葉 集 ﹄)と な ろ う 。 し か し 本 文 を 見 る と 、
る )、一面 か ら 言 え ば 、 本 文 理 解 へ の 親 切 心 が 和 ら げ 方 に 溢 れ 出 た と も
が、 これ は方 法 論 的 に正 し くあ るま い)、和 ら げ 方 が ⑦ の 場 合 は ﹁キ ョ イ ミ ヅ 、
﹁
樽 ﹂ の音 と があ った から ﹁
懸 榔 ﹂ と いう 漢 語 もあ った と予 想 し てお ら れ る よ うだ
﹁ヨ ノ
ま た は 、 サ カ ン ニナ ル ﹂ と あ る の に 比 し て 、 こ の 場 合 は ﹁ウ エ ノ ヨ。
す な わ ち 、 ヨ ノ サ カ (ン ) ナ ト キ ﹂ と あ る の で 、﹁ウ エ ノ ヨ﹂ も
ロ
ゲ
1980
第
30
滋 大 紀要
170
辞 書 ﹄ に は 名 詞 の ﹁め で て ﹂ は 掲 出 さ れ て いず 、 国 内 文 献 に も こ の よ
和 ら げ の標 出 語 を こ れ と 同 語 と 考 え て よ いか。 こ れ に つ いて は
めで ち
㈲ ﹁落 葉 集 ﹄ の ﹁憐 愛 ﹂(色 葉 字 集 18 ウ ) は 名 詞 の 可 能 性 が あ る が 、
う ち 抜 書 ﹄ の 和 ら げ や 、﹁日 ポ 辞 書 ﹄、}六 二 三 年 版
う な 名 詞 の 存 在 が 確 認 さ れ て い な い (も ち ろ ん本書 中 にも な い )
。し た が っ
めで ち
て ﹃落 葉 集 ﹄ に 採 ら れ て い る ﹁憐 愛 ﹂ の 語 性 を は っき り さ せ る こ と が
﹃サ ント ス の 御 作 業 の
和 ら げ に も 同 様 の 字 釈 で 出 て い る の で 、 キ リ シ タ ン 資 料 の ロー マ字 文
難 し く 、 そ の よ う な 段 階 で は 、 和 ら げ の 標 出 語 を こ れ と 同 一視 す る こ
も見 え る 。 が 、 ま た 視 点 を 変 え る と 、 こ の 語 は
た の か と思 わ れ 、 も し そう だ とす る と本 書 は 少 な く と も こ の語 に関 し
献 に お け る 和 ら げ 方 で は 、 ω9民 碧 一 同oヨΦ 。碧 p2 と いう 定 式 が あ っ
と は 控 え な く て は な る ま い。
ω ﹁め で て ﹂の ﹁て ﹂を 、 例 え ば 巨 。露文 £8 (一八 3 。 導 き 手 ) な ど の
﹃日 ポ
て は 、 単 に 先 例 を 踏 襲 し た こ と に な る か も 知 れ な い。 と こ ろ で こ の 項
﹃ロザ リ オ の 経 ﹄ の
に入 れ得 る よ う にも 思 わ れ る も の に 、
③ ζ 巴 g ①●ζ塁 α 8 8 り。●
﹁手 ﹂と 同 じ よ う に 解 し て
﹂ の意 に と る こ と が で き る か 。 こ
があ る 。 が 、 これ に は いろ いろ と 検 討 を 要 す る 問 題 があ る。 和 ら げ 方
の 点 に つ い て 検 討 す る と 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に は 護 oま甑 ρぎ ・は あ る け れ ど
(四 16 。 動 か さ れ 手 ) な ど も
﹁日 ポ 辞 書 ﹄ に は 採 ら れ て い な い の で 、
の 導 師 ﹄ 中 に 使 わ れ て い る くσq。$ ×一
8 (五 6 。 動 か し 手 )や くσq。。霧 雲 ①8
﹁め つ る 人
か ら 見 る と 、 標 出 語 は 名 詞 と いう こ と に な り そ う で あ る が 、 本 文 中 の
も (﹁補 遺 ﹂)、 ζ①畠9 ①.は 前 述 の よ う に 存 在 し な い。も っと も 、﹃ヒ イ デ ス
凶
88 受 繭
。。¢
﹁て ﹂ が 接 続 し た 形
用 例 と し て は 、 左 のと おり に 動 詞 の連 用 形 に 助 詞
と し て 出 現 し て いる。
`o h
急 ぎ ①8 ヨ凶
ρ霞 ロ のoぎ 2 三 ロo 窪 o 爵 。
。08
複合名詞
O目す2
ど も 、﹁愛 で 手 ﹂ と 解 さ れ る 言 葉 は 本 文 中 に 見 い だ さ れ ず 、 他 の 文 献 か
﹁1 手 ﹂ の 辞 書 類 に 登 載 さ れ て いな い も の も あ る わ け だ け れ
三 ∋①旦oけ9 £ §。 二。 ρ①×♂ pρ冒①8 欝 8 ⊆ げρ富 ユ ロ震 い (五 六 21 。孔
(
し た が って ﹁
ζ巴 ①5 冨 葛 88 ・
﹁溺 愛 ﹂ と か い う よ う な 名 詞 が 、 本 来 和 ら
雀 を 初 め て見 け る そ の国 の 人 は 、 そ の い つく し さ に め で て、 肝 を
﹁盲 愛 ﹂ と か
(竃 Φq①8 ) が 標 出 語 で あ る
﹁盲
﹁め で て 迷 う 心 ﹂ と いう よ う な
(
必 ずし も 漢 語 でな く ても よ い のだ が)、た と え ば 右 に 示 し た
④ 評 ω。p 閃暮 ① =。 ω。8 琵 2 ζ。 旨
意 訳 (な いし 誤 訳 )し て い る と 考 え ら れ る 。 な お 次 の
③ は 名 詞 で な いも の を あ た か も 名 詞 で あ る か の よ う に 、 し か も か な り
以 上 の よ う な 次 第 で の ω ㈲ の いず れ も が 否 定 的 方 向 に あ っ て 、 結 局
す こと は難 し そう であ る )
。
に は 見 つ か ら な い (﹁
盲 愛 ﹂﹁溺愛 ﹂ は本 書 以 外 の当 時 の文 献 か らも 用例 を 見 いだ
愛 ﹂﹁溺 愛 ﹂ の よ う な 言 葉 を 本 文 中 か ら 探 し 出 せ る と よ い の だ が 、 容 易
意 味 の漢 語
か のよ う な姿 にな った のか。 こ の場 合
落 し 、 そ の た め に 和 ら げ ら れ た 文 の 一部
﹃
。二 全 体 が和 ら げ ら れ た側 であ った と仮 定 し )、そ の 名 詞 が ど こ か の 時 点 で 脱
げ の標 出 語 と し て存 在 し て い た と仮 定 し
㈲たとえば
ら も 未 発 見 であ る。
右 の ﹁め で ﹂ る 心 を ヨ㊤巻 。。8 ﹃9 と 和 ら げ た ま う に も 思 え る が 、
﹂
消 し 、 あ き れ て立 つば かり な り )
し か し ﹁め で て 肝 を 消 し あ き れ ﹂ る 心 を ヨ畠 ① 8 8 弓。
●と 和 ら げ た よ う
に も 思 え る 。 と いう の は 、 も し 前 者 の 意 図 な ら ば 、﹁め で て ﹂ と ﹁迷 う
心 ﹂ と の間 の意 味 の対 応 に 問 題 を 感 じ な いわけ に は いか な い か ら で あ
﹁興 じ 楽 し み
る 。﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 動 詞 竃 巴 。 の 条 の 用 例 に 前 掲 文 と 酷 似 す る も の が あ
っ て 、 そ こ の ﹁め で て ﹂ に 当 た る ポ ル ト ガ ル 語 の 意 味 は
であ り (
﹁邦 訳 日葡 辞書 ﹂ によ る。 以 下 も同 様 。必 要 に応じ て ﹁
邦 訳 日 ポ﹄ と略 称
する)
、﹁迷 い﹂ の意 の ﹁め で ﹂は 存 在 し な か った で あ ろ う と 思 わ れ る 。
結 局 、 ③ の和 ら げ 方 は本 文 の文 章 に添 ワて意 訳 し よ う とし た の では な
か ろ う か (厳密 に言 え ば誤 訳 し てし ま ったと 言 え るが )
。以 上 に 述 べ た こ と は
本 文 では 名 詞 で な いも のを 、 和 ら げ で名 詞 のよ う に 取 扱 って いる と 見
た 場合 の こ と であ る が 、 も し 名 詞 を 名 詞 とし て説 明 し て いる と 見 よう
とす る な ら ば 、 少な く と も 次 の三 方 面 か ら 検 討 し て お く 必 要 があ ろう 。
169
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の諸 問 題(鈴
は 、 こ の 項 に 入 れ る べ き で な い か も 知 れ な い。 な る ほ ど 、 こ の 語 の 本
G。鼠α・(双 方 。 本 文 四 七 六 9 は Goαま )
<oざ (用 意 。 本 文 七 23 、 三 七 六 21 は 団8 )
<oコ×ρ (恩 賞 。 本 文 三 七 10 等 で は <。コ×α)
旦 ⑩臥 ρ三 三 首 ①・§ 田 ∋p。露 ω8 。 2g 崩。8 コ ×雪 ざ 。。ξ =
文 中 で の次 の 用 例 、
な ど と 見 あ た る の で、 こ の標 出 形 は
⑦ 蕃昌
わ れ る 。 し か し ま た 一方 で は 、Oロσqま の ま ま の形 で も 本 文 で 次 の よ う に
使 わ れ て いる。
﹁空 中 ﹂ の 意 の 語 に 当 た る か と 思
8 。。﹃。旦
(四 = 二9 。 波 風 し き り に し て た ち ま ち そ の船 破 損 せ ん
と す る と ころ に )
を 見 る と 、﹁破 損 ﹂ の 和 ら げ に
﹁フ ネ ノ ソ コ ヌ ル ヲ 言 ウ ﹂ と す る の が 文
脈 に則 し た 和 ら げ 方 の よう に思 え る し 、 ま た 次 例 、
これ は 漢 字 を あ て れ ば 、
﹁九 重 ﹂ (﹃落 葉 集 ﹄)で あ っ て 、 こ の よ う な 用
oζσ自己 コo >三〇 ヨ。 o。冨 二。<。㊤σ
q既 〇玉 詠 ×= p∋αざ ρ評 (二 二 三 12 )
例 は 、ヴ ァ チ カ ン 文 庫 所 蔵 の バ レ ト 自 筆 写 本 集 の 中 の ﹁我 ら が ド ミ ナ に
(三 〇 二 4 。あ る 時 は 破 損 の 難 に あ い 、ま た あ る 時 は 山 賊 の
④ 母 g 。£ 轟 ♂ ・。コ コ。 5導 コ一p凶
︾舞 冨 碧 g 8 ξ p 。
。雪 N。2 ぎ コ雪
三 無
﹁日 ポ 辞 書 ﹄
﹁九 重 ﹂ に 対 し て 、﹁天 使 の 聖 秩 九 階 級 ﹂ と 注 し て お ら れ る (
﹁キ
ら げ の 標 出 形 O¢
σq翫 は 、 長 音 符 号 の 落 ち た 公 算 が 大 き い と は 思 う け れ
ど も 、﹁九 重 ﹂ の つ も り で あ っ た か も 知 れ な い と いう 懸 念 も 捨 て 切
.
れな
リ シ タ ン研 究﹄ 第 七 輯 一二七 頁 )
。 ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に も 、 O郎
σqヨ (空 中 ) と 共 に
9 σq言 (九 重 ) が あ り 、 9 σq一
鏑 。﹀ユ 。 に 対 す る 説 明 も 施 さ れ て い る 。和
された
重 のア ン ジ ョよ り 遙 か の上 にま し ま す 事 尤 も 道 理 の至 極 な り ﹂ と 翻 字
し て 天 使 の 元 后 た る ピ ル ゼ ン の 奇 蹟 物 語 ﹂ に も 見 え 、 土 井 博 士 は 、﹁九
原 スペイ ン語 の意 味 も ﹁
離
﹁山 賊 の 難 ﹂ と が 対 に な っ て い る と こ ろ が
難 にあ い )
の 場 合 で も 、﹁破 損 の 難 ﹂ と
ら し て 、 こ の ﹁破 損 ﹂ も 船 の破 損 と 解 さ れ 1
こ の項 に該 当 し そ う に思 わ れ る け れ ども 、し かし
礁 の難 に 逢 っ て (海 の 危 難 を お か し )﹂(一〇 三 左 29。 一〇 三 頁 左 欄 29行 目 の 謂。 以 下 同
じ )-
の 閃窃 § ・の 説 明 も 難 船 の 意 に 限 定 し て お り 、 ﹃ラ ホ 日 辞 書 ﹄ に お い て
も 難 船 の 意 で あ っ て (﹁邦 訳 日ポ ﹄ の注 に よ る )
、キ リ シ タ ン 資 料 に お い て
﹁破 損 ﹂の 語 を 専 ら 船 の 場 合 に 用 い て い た と す れ ば 、 本 書 に お け る 和 ら
し て 、 次 の げ①三 α が あ る 。
︹6 ︺ 和 ら げ ら れ た 説 明 文 中 の 言 葉 に 注 意 し た い も の が 見 え る 例 と
・
げ 方 は格 別 目 を 引 く も のと は な ら な いこ と に な る 。 こ の語 は静 嘉 堂 文
は そん
庫 蔵 ﹁運 歩 色 葉 集 ﹄ に も ﹁
破 損 潰 とあ る の で、キ リ シ タ ン資 料 だ け が
す な わ ち 、 ﹁潤 沢 ﹂ の 和 ら げ に ﹁ベ ン タ ウ ナ コ ト ﹂ と あ る の が 注 目 さ
ゴ 三 poロ●<吋==o㌍ o。口・げ①暮 α コ9 00ざ ●
い 。
船 の 破 損 の 場 合 に 用 い て い た わ け で は な い が 、﹃日 本 国 語 大 辞 典 ﹄ 等 で
れ る 。 言三 拶2 は 本 文 で は 一〇 三 18 な ど に お い て ﹁充 分 。 豊 富 ﹂ の 意 で
は船 以 外 の場 合 の用 例 を載 せ て い て、 船 に 限定 し て用 いる の は や は り
特 殊 な 用 法 で あ る と いう 感 を 免 れ な い。
用 い ら れ 、 そ れ に 相 当 す る 言 葉 が ﹁ベ ン タ ウ ﹂ で あ る が 、 今 日 の 我 々
語 学的 研 究 ﹄ 一七 五 頁以 下 で 述 べた )
。
﹁潤 沢 ﹂ の 方 が わ か り や す い (﹁ペ ンタ
に と って は ﹁ベ ン タ ウ ﹂ よ り も
︹5 ︺ 前 項 の ② の よ う な 、 ど う い う 漢 字 を 宛 て る か が 難 し い 場 合 の
別 の例 と し て 次 のも の があ る。
ウ﹂ に つ いては ﹁
国 文 学孜 ﹄ 二 一号 の拙 稿 ﹁抄物 語 彙 考﹂お よび 拙 著 ﹁周 易 抄 の国
和 ら げ 方 か ら 見 れ ば 、 標 出 語 は O邸σ
q歓
れ る が 、﹃ラ ホ 日 辞 書 ﹄、 ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ も 清 音 形 で 出 て い て 、 濁 音 形 は 見
ほ か に 、﹁く窪 §彗 .ζ 葺 。8 三 ヨ 一
8ロリ9 ﹂の 清 音 形 ﹁マ ト カ ﹂ も 注 意 さ
(空 中 ) の 長 音 符 号 が 落 ち て い
O己σq憲 ・Q◎o門p
る よ う に 解 さ れ る 。 本 文 に 。ロσ
qま の 用 例 が 、
え な い。
﹀冨 誹 コ。2 冨 σq馨 餌 三 〇σσ駆引
σ 三 9 爵 ヨぐ① 3 ∋α9 (五 八 四 22 )
とあ り 、 か つ和 ら げ の標 出 語 の中 に長 音 符 号 の落 ち て いる も のが 、
第
阿ゲ
1980
30
滋大紀要
168
こ れ は 憶 測 す る に 、 原 稿 に は 国 字 で ﹁藁 の 被
(ふ す ま )﹂と あ っ た の で
に 訳 さ れ た の を ロー マ字 で 綴 っ た も の で あ る が 、 初 め に 翻 訳 し た 時 の
天 草 版 ﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ は 、 既 述 の よ う に ス ペ イ ン 語 か ら 日 本 語
と 考 え る こ と に よ っ て 納 得 し や す い。 な お こ こ に 該 当 す る 原 ス ペ イ ン
﹃
黒 本 本節 用 集﹂等 にあ る )
。こ の よ う な 現 象 は 始 め の 原 稿 が 国 字 本 で あ った
記 し て いた Vこ と に 基 づ く お か し な 表 現 で は な い か と 思 わ れ る (﹁榔 ﹂は
八、原稿 に ついて
原 稿 は 国 字 本 であ った と 考 え ら れ る 。 そ のよう に考 え ら れ る内 部 徴 証
は な か ろ う か 。 そ の ﹁被 ﹂ を ﹁袴 ﹂ と 誤 読 し た (あ る いは 原稿 に お いて 誤
を 本 文 か ら 引 出 す 前 に 、 一五 九 〇 年 の 日 本 イ エズ ス 会 の 記 録 を 先 に 示
ふ と ん ﹂ の 意 の ﹁藁 の 被 ﹂ の 方 が 原 義 に 近 い (六 〇 右 8 )
。 ﹁藁 の 袴 ﹂
語 は
﹃日 本 国 語 大 辞 典
る が 、 中 世 の 文 献 に も ﹃お 湯 殿 の 上 の 日 記 ﹄ の 大 永 八 年
(一五 二 八 )
﹄ に は 、﹃蜻 蛉 日 記 ﹄ か ら 雨 が く だ る 例 が 挙 が っ て い
ごと く 、 苦 労 の数 を 凌 ぎ 給 いて のち )
ロ。×ぎ。σq三 富 ヨ巴 8 コ。。7一
層(三 = 二22 。右 の 談 義 者 、村 雨 の く だ る が
ヨ剛
αQ三 ぎ 計 コ聖 算僧 ヨ焉 霧 "ヨ① 3 0cαo﹁⊆m9 σ
Qo8ρ∼ oξ α ぎ 8 目
れ は早 急 す ぎ る 。
と こ ろ で 次 文 の ﹁く だ る ﹂ も 右 と 同 様 に 解 し て よ い か と いう と 、 そ
の ま ま で は 結 果 的 に誤 訳 と 言 わ ざ る を得 な い であ ろう 。
﹁藁 の 袴 ﹂ と は 訳 せず 、﹁寝 袋 ﹂ の意 に 解 さ れ 、 し た が っ て ﹁藁 の
そ う 。 こ れ は ﹁ 一五 九 〇 年 八 月 、 日 本 イ エ ズ ス会 巡 察 師 ア レ ハ ン ド ロ
・ヴ ァ リ ニ ア ー ノ に よ っ て 開 催 さ れ た 第 二 回 総 協 議 会 ﹂ に お け る も の
であ る。
日本 文字 と漢 字 で既 に翻訳 を 終 え た何 冊 か の書籍 、
例 え ば ﹁ど ちり な き りし た
ん﹂、フラ イ ・ルイ ス ・デ ・グ ラナ ダ の ﹁
黙 想 録﹄、およ び最 近我 々 の著 わ し た
﹁信 経 .
教 義 要略 ﹂、ヘルソ ン の著書 、そ の他 このキ リ スト 教 界 に有 益 な類 似 の書
籍 の印 刷 に 全力 を 挙 げ て努 力す るよう にと の結論 に達 した (﹁キリシタ ン研究﹂
第 十六輯 の ﹄o
切Φr三。・≧<零①
N↓巴巴﹃好 編注 、井手勝美氏訳 ﹁
日本イ エズ ス会第 二回
八 月 十 一日 の 条 に 、
雨 い さ 、 か く た る は か り に て 、 や か て は る ・(﹃
続 群書 類 従 ﹄
補遺三)
総協議会議事録と裁決 (一
.
五九 〇年 )
﹂二五〇頁 )
す な わ ち 、 一五 九 〇 年 に 国 字 で 翻 訳 し 終 わ っ て い る 書 物 の 中 に ﹃信 経
﹁ひ
.教 義 要 略 ﹄ が 含 ま れ て い る 。 も っ と も 、 こ れ が 一五 九 二 年 ロー マ字
版 ﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ の 原 稿 な の か 、 そ れ と も 一六 一 一年 国 字 版
﹁く だ る ﹂ と 読 ん で ロー マ ナ イ ズ し た の だ と は 決 め ら れ な い。
(五 七 五 頁 。 ロー マ字 本 で は 六 〇 七 6 )
誓 え ば、 水 を 竹 に変 ず る こ と は 、 下 地 な く し て作 る よ り も 易 き こ
なお姉崎博士 が、
まず
と い う 例 が あ る の で 、 必 ず し も 国 字 本 の 原 稿 の ﹁降 る ﹂を ﹁ふ る ﹂・
と読
で す の 経 ﹄ の 原 稿 な の か は わ か ら ず 、 両 版 共 通 の 原 稿 で あ った か も 知
れな いが 、 と 言 って 両 版 が 辞 句 、 内 容 上 ど の程 度 密 接 であ った か が 不
った 可 能 性 を 右 の 記 録 の 中 に 見 よ う と す る の で あ る 。
明 の 現 在 、 刊 行 年 と の 近 さ か ら ロー マ字 本 の初 め の 原 稿 が 国 字 本 で あ
と也
﹁水 を 酒 に 変 ず る こ と は ﹂ と 綴 ろ う と し た と 見
る べ き で 、 姉 崎 博 士 は ロ ー マ字 の 器 ρ① (S は長 い一 )が $ρ①に 紛 ら わ し
とあ る の で、 天 草 版 は
た時 に なさ った よう に ⋮ ⋮ (
二 二四 左 10)
たと え ば キリ スト が (或 る人 の)結 婚 式 で の奇 蹟 とし て水を葡萄酒 に変 え ら れ
れ ど も 、原 スペ イ ン語 で は 、
(の字 )を 読 み ち が へた か ﹂ と 脚 注 さ れ た の は 、
と 翻 字 し て 、﹁ (
水 は)木
﹃ヒ イ デ ス の導 師 ﹄ の 初 め の 原 稿 が 国 字 本 で あ っ た
さ て ロー マ字 本
一見 、 国 字 本 の 原 稿 の 漢 字 を 読 み 違 え た 例 に 入 り そ う に も 思 わ れ る け
﹂
の で は な い か と 推 測 す る 内 部 徴 証 に 筆 を 進 め る と 、 ロ ー マ字 綴 り の 本
文中 に は 、 そ のも と の原 稿 が 国 字 であ り 、 漢 字 の読 み違 いに 基 づく か
と 考 え ら れ る 奇 妙 な 言 葉 が あ る 。 そ れ は 次 文 に 見 え る ﹁わ ら の は か ま
であ る。
5①網9 50 ×潔oロ① 8 8 口P くO﹁山 コO 幽①OOヨ O コ碧 剛
・(二 〇 五 9 。 寝 屋 の
し と ね と て は藁 の袴 な り )
167
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィ デ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
か った た め に読 み 取 り 方 を 誤 ら れ た の であ ろ う 。﹃ヒイ デ ス の導 師 ﹄ に
は ロー マ字 活 字 の不 分 明 な 所 が し ば し ば あ って 、特 に右 のよ う な 場 合
に は 原 ス ペイ ン語 と の照 合 が不 可 欠 と な る。 一歩 譲 って、 ロ: マ字 綴
り が 明 ら か に 一碧 ①であ る よう な 場 合 であ って も 、原 ス ペイ ン語 と の照
合 の結 果 、﹁さ け ﹂ の方 が ふ さ わ し け れ ば 、 ロー マ字 綴 り の上 で の 誤 植
と し な け れ ば な ら な い であ ろう 。
九 、 分 か ち 書 き に つ いて
習 の た め の初 期 産 物 と 言 え よ う 。
十 、 バ 行 音 と マ行 者 と の交 替 現象 に つ い て
﹄ を 主 た る対 象 に 据 え て 、 拙 稿
﹁中 世 国 語 に お け る バ 行 者
中 世 語 に お け る バ 行 者 と マ行 者 と の 交 替 現 象 に つ い て は 、 天 草 版 の
﹃平 家 物 語
と マ行 書 と の 交 替 ﹂(
昭 和 34年 3月 、京 都市 立 高 等学 校 国語 研 究 会 ﹁
研 究会 誌 ﹄
創 刊号 )で 述 べ た こ と が あ る が 、こ の 旧 稿 で 述 べ た の と ほ ぽ 同 じ よ う な
﹂ 化 現 象 が ﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に お い て も 見 ら れ る よ う で あ
の 理 由 に よ っ て 、 大 略 ﹁さ む ら い← さ ぶ ら い← さ む ら い ﹂ の 経 過 を 辿
る 。 た だ 、 天 草 版 の ﹃平 家 物 語 ﹄ に お い て 原 拠 本 と の 関 係 に よ る な ど
﹁B ← M
本 書 で は 格 助 詞 の ﹁が ﹂﹁の ﹂﹁に ﹂﹁を ﹂ ﹁は ﹂な ど を 直 前 の 体 言 と 一綴
る
り に せず 、分 かち 書 き にす る こ と を 本 則 と し て いる。 こ の こ と に関 し
八 11 、 二 六 八 1 、 三 〇 一5 )、こ れ は ﹃サ ン ト ス の 御 作 業 のう ち 抜 書 ﹄
﹁侍 ﹂ の 語 が 、﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ で は B 形 の 。。p﹃ξ 巴 で あ る が (一五
て は 、 本 書 の 後 に 刊 行 さ れ た 天 草 版 の ﹃平 家 物 語 ﹄ に つ い て の 土 井 博
﹁選 ぶ ﹂ が
(
福島 氏前 掲書 四〇 二 頁)
。な お
﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に お い て B 、 M 両 形 の 見 ら れ る も の に
の場 合 の 両 形 混 在 と も 、 ま た 異 な って いる
士 の 調 査 が あ る 。 そ れ に よ る と 、 巻 三 の 終 わ り あ た り の 二 一〇 頁 前 後
(と 序 文 ) は 続 け て 書 く よ う
に改 め て いる (
﹃吉利 支 丹 語 学 の研 究新趣 五 六頁 )
。つま り イ エズ ス会 に お け る
ま で は 分 かち 書 き を し て いる が 、 そ の後
14 17 、 三 一二 7 17 、 三 一七 7 8 、 三 五 七 7 、 四 二 八 11 、 四 三 五 7 23 、
で あ る (二 一八 10 に 未 然 形 。 他 は す べ て 連 用 形 で 、 二 〇 八 6 、 二 二 六
四 七 八 16 、 五 二 三 21 、 五 三 三 1 、 五 五 ニ ー3 、 五 七 二 20 に 器 冨 露 が あ る )
。
あ る が 、 初 め の ﹁例 だ け が M 形 で (八 23 。 遷 冨 旦 )、あ と は す べ て B 形
綴 り 方 に 、時 期的 に属 し て いた の で あ る 。 最 初 イ エズ ス会 がな ぜ これ
(遅 く と も 同 年 十 二 月 十 日 ) な の で あ っ て 、﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ は 古 い
ら の助 詞 を 離 し て書 い て いた か を想 像 す る に、 お そ ら く 機 能 的 に ロ マ
で は B 形 で (四 二 九 19 )、天 草 版 の ﹃金 句 集 ﹄ の 本 則
ち な み に 、 こ の 動 詞 は 旧 稿 で 触 れ た よ う に 天 草 版 の ﹃イ ソ ップ 物 語 ﹄
日 本 語 ロー マ字 綴 り の 、 こ の 点 で の 方 針 の 変 更 は 、 ﹁五 九 二 年 の 途 中
ン ス 語 の 前 置 詞 に 近 い と 考 え 、 一語 扱 いと いう こ と で 体 言 と 切 離 し て
(一七 三 則 、 二 一八 則 )、﹁心 ﹂ (口語 体 )で は B 形
(
文 語 体 ) でも B 形
明 確 化 し た の で あ ろ う (﹁
を 以 て﹂ の場 合 に く。
ヨ。藷 と 一綴 り にし ている のも 、
(二 一八 則 )と で あ っ て 、﹁た っと む ﹂(
尊 )に 比 す れ ば 、 M 化 への 抵 抗 度
( 一二 一則 ) と M 形
これ全 体 で 一つの前 置 詞 のよ う に見 做 し たか ら であ ろう 。 ㎡ 山 田孝 雄 博士 ﹃漢 文 の
山 本 氏 は ﹃ヒ イ デ ス の導 師 ﹄ の中 に、﹁九 州 方 言 が 処 々 に み ら れ る ﹂
十 一、 九 州 方 言 の有 無
が 強 い。
訓読 に よ りて 伝 へら れ た る語 法﹄ 二 七 七- 八 頁。も っと も この考 え 方 が徹 底 し て い
るわ け で はな い)
。が 、 そ の う ち に 日 本 語 に 対 す る 観 察 が 進 み 、 日 本 語 の
膠 着 語 と し て の性 質 に 気 づ く よ う に な っ て 、 こ れ ら の 格 助 詞 を 体 言 と
続 け て 記 す 方 が 、 日 本 語 と し て (読 む 場 合 、 話 す 場 合 に ) 実 際 的 で あ
前 述 の分 か ち書 き の変 更を 、 イ エズ ス会 の日 本 語研 究 に おけ る 不 断 の成 長性 のあ
と 述 べ て お ら れ る が 、 具 体 的 に は 示 さ れ て いな い の で、 氏 が 九 州 方 言
り 、 ス マー ト で あ る と し て 続 け る よ う に な った の で あ ろ う (土 井博 士 は
らわ れ の 一つと認 め ら れ た)
。こ の点 か ら 見 て も 、 本 書 は か れ ら の 日 本 語 学
号
第
1980
30
滋 大紀要
166
﹁卵 ﹂の 意 で 、 シ モ で は
﹁蚕 ﹂ の 意 で あ る が 、 こ こ で は
﹁卵 ﹂ の意 と 解
の語 は 清 音 形 の ﹁か い こ ﹂ で 次 の よ う に 使 わ れ て い る 。
さ れ 、 し た が っ て 九 州 方 言 で は な い と 考 え ら れ る 。 そ し て ﹁蚕 ﹂ の意
と 認 め ら れ た も の に つ い て 、 一つ 一 つ検 討 し て い く こ と が で き な い。
ま た姉 崎 博 士 は、 本 書 を
﹁信 心 録 ﹂ の 書 名 の も と に 翻 字 さ れ 、 他 の
﹁捨 世 録 ﹄(コ ン テ ム ッ ス ・ム ン ヂ )、 ﹃サ ン ト ス の 御 作 業 並 に マ ル チ リ ヨ
ζ 9δ ヨ一三 hξ ⊆≡ ヨ8 0⊆o 緒p轟 轟 8 三 8 83 聴 $ ヨ餌目窪 δ ∋oコご
(五 八 21 ∼ 23 。 ま た 身 に 触 る る 物 を 柔 ら か に 調 え 給 わ
の こ と わ り ﹄ と 合 わ せ て 、﹃切 支 丹 宗 教 文 学 ﹄ と 題 し て 刊 行 さ れ た が 、
コp罫
げ①〇三 口o 警 二の缶£ ヨニ臨 き σ
qoω92 轟 。。醇 ξ ⊆ コpユ "8 ﹃① ω雪 碧 poま
ん 為 に 、別 の 小 さ き 虫 を 御 作 な さ る る な り 。こ れ 即 ち 、 か い こ な り )
8 倒
8
そ の 中 の 論 稿 ﹁キ リ シ タ ン宗 教 文 学 総 説 ﹂ に お い て 、﹁文 章 の 上 に 九 州
風 の 現 れ と い ふ べ き も の は な い 様 で あ る ﹂(二 〇 頁 ) と 述 べ て お ら れ
る 一面 に お い て 、 冒 頭 の ﹁序 言 ﹂ に お い て は 、
乏 も 述 べ て お ら れ る 。 し か し 博 士 が 九 州 方 言 ら し く 思 わ れ た ﹁な し か
と少 い箇 処 があ る の は、 蓋 し書 換 を 分担 し た為 であ らう。(二頁)
の は、 ナ シ カワ 、 ナ ン ビト な ど少 数あ る が ⋮ ⋮此 等 、
方 言 らし い分 の多 い箇処
が混 入 し た為 か )、
何 れも 語 学上 の材料 にな らう。 そ の外 に 九 州音 と 思 はれ る
法 も あ らう し 、 又九 州 音 もあ るら し く (
ラ チ ン字 に書 き か え る助 手 等 の方 言
ぎ ﹂ あ る いは
あ る と いう 蓋 然 性 は 乏 し い。
いけ れ ど も 、 前 述 の ﹁か い こ ﹂(卵 ) と あ わ せ て 考 え れ ば 、 九 州 方 言 で
語 ﹄ 小考 ﹂)
。し た が っ て 九 州 方 言 の 可 能 性 が 全 く な い と い う わ け で は な
カ ミ で は 清 音 形 で あ っ た (﹃一橋 論 叢﹄昭和 三 士 二年 一月 号 の亀 井 孝 氏 ﹁﹃
捷解新
﹂(蚕 ) は 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に よ れ ば 、 シ モ で は 清 濁 両 形 の ご と く
わ ﹂(二 七 五 23 ) 等 を 当 時 の 九 州 方 言 で あ る と 確 認 す る こ と は 、 ほ と ん
で あ る よ う に 記 さ れ て い る 。﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に は 一
σq三 (ま た は 話 三 )
﹁か い こ
ど 不 可 能 に 近 い の で は な い か と 思 わ れ る (﹁
な し か わ﹂ に つ いて は国 字 本 の
=o 。9∋ξ ス =二 七 10 、 三 一九 3 、 三 三 六 20 )、あ る い は ま9冨 コ。9 ヨ焉 陣
現代 用 法 と異 な る清 音 、濁音 、半 濁音 が 可 なり 多 い⋮ ⋮ 此等 の中 に は当 時 の語
原稿 にた ま たま 濁点 が打 た れず にあ っただ け かも 知 れな い。 類 例 に ﹁いみじ き ﹂を
(三 五 七 2 、 四 三 四 20 、 四 四 〇 19 、 五 〇 〇 15 、 五 〇 七 21 、 五 〇 八 8 )、
つ か ら な い の で 、﹁棘 ﹂ の意 の 語 に 関 し て 、 九 州 方 言 は 用 い ら れ て いな
まp轟 (三 七 三 頁 に 三 例 ) の 用 例 が 見 え る が 、﹁い げ ﹂ や
﹁い ど う ﹂
〇九 10 の 一
。
巴 ①op×一
コx一σqp邸ρ︻oo8 8 口pN
αN
⊆げ①£ 網p刈な どがあるが 同様 に考 え ら
い と 判 断 す る 。 ち な み に 、﹁い ば ら の か む り ﹂ に つ い て は ﹃日 本 国 語 大
﹁いげ ﹂ あ る い は
れる)
。﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ の 用 語 の 中 に 、 九 州 方 言 で あ る と 言 え そ う な
﹁い ど う ﹂ は 見
も の が あ る か な い か を 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の シ モ (九 州 ) の 注 記 や 、 ロ ド リ
つけ た 冠 ﹂ と 説 明 し 、 一六 二 二 年 版
辞 典 ﹄ は 、﹁イ バ ラ の 枝 で 編 ん だ 冠 。 特 に キ リ ス ト の 受 難 の お り に 頭 に
﹁い ば ら ﹂ で あ り 、 シ モ で は
﹁い ぎ ﹂ に つ い て は 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に ﹁棘 ﹂ の 意 の 語 が カ ミ で は ﹁い
清音 に綴 る 二六 九 13 の 一
3一
×﹁
£ σ
Q
。ρ髭 δ 三 胃 pN
二鴇p噌や、﹁
信 じ ﹂を清 音 に 綴 る六
ゲ ス の ﹃日 本 大 文 典 ﹄ の 九 州 方 言 の 箇 所 の 記 述 を 手 が か り に 眺 め 渡 し
ζ ①=山oユ ヨP <05偶oユ ∋0 303 8ヨ〇三 〇①戯 O 口o 節3 鼠 目口巨 ×ぎ &
る しな り (
前掲書九三頁。森田武博士翻字。な 3
5日本思想 大系 ﹁キリシタ ン書排耶
た る道 具 な り 我 ら 人聞 の慢 気 の悪 を省 み さ せら れ 送 ら せ られ んおん為のし
の 箇 所 を 引 こう 。
よ
ら
か
う
ヘ
ヨび
この棘 の冠 は. お ん主 ゼズ ・
キ リ シト に 帝 王 と 侮り おん頭 に繁 しく 打 ち 込 み
い る が 、 い ま 参 考 ま で に 、 ヴ ァ チ カ ン文 庫 所 蔵 の バ レ ト 自 筆 写 本 集 の
か
レリ
中 の ﹁我 ら が 主 キ リ ス ト 御 受 難 の 道 具 に 関 す る 若 干 の 対 話 ﹂ か ら 、﹁冠 ﹂
﹃ロ ザ リ オ の 経 ﹄ 等 か ら 挙 例 し て
て み て も 、 あ る と は な か な か 確 言 で き そ う に な い。 む し ろ 当 時 の 中 央
語 であ る 京 都 地方 の言 葉 で綴 る こと を 本 則 と し て いた よう に思 わ れ る。
8 0p二母 一
σqき 母 凶三 ×ぎo碧 ヨoコ0 5胃 一
●(= 二23 ∼ 一四 2。 雌 鳥 も 雄
挽
臼﹄
一マ八四.頁一頭悼
住参 照⋮
)
例 え ば 、 以 下 に 引 く 文 中 の ﹁か い こ ﹂(卵 )や 、﹁いぎ ﹂(棘 ) な ど も 京 都 語
鳥 も 諸 共 に 、 か い こを あ た た む る 辛 労 を 代 り 代 り に 凌 ぐ も のな り )
で あ った と 考 え ら れ る も の で あ る 。
右 の 文 中 の ﹁か い こ ﹂ は 、 ﹁日 ポ 辞 書 ﹄ に よ れ ば 、 カ ミ (京 都 ) で は
165
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
そ の ほ か 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に よ れ ば
﹁ひ ら
﹁毒 蛇 ﹂ を 意 味 す る 語 が 、 カ ミ で は
﹁く ち は み ﹂、シ モ で は ﹁ひ ら く ち ﹂ で あ る が 、 本 書 に お い て は
十 一一
、 開 合 や 四 つが な に 関 し て
幾 つ か 見 つ か る 。 た だ し 、 姉 崎 博 士 が 開 音 字 の ﹁次 第 程 当 ﹂ を 宛 て ら
(
殊 に前 者 に関 し て )
、混 同 例 が
れ た ×二 巴 け
9 δ (三 一9 等 )は 合 音 の ﹁次 第 梯 登 ﹂ (﹁塵 芥 ﹄。孤 大 塚光 信 氏
オ段 長 音 の 開 合 や 四 つが な に 関 し て は
六 六 23 、 六 七 3 5 6 8 、 一九 六 16 20 、 二 〇 七 14 15 、 二 二 八 4 6 14 、 二
く ち ﹂ は 見 ら れ ず 、 2 。談ず ヨ一(一 一13 、 六 六 9 )と ら8 乱p (六 五 1 、
五 二 23 、 二 七 八 22 、 二 七 九 1 13 ) が 用 い ら れ て い る (ほか に蛇 の意 の ﹁く
﹃コリ ヤー ド 懺悔 録 ﹂補注 九 頁 )を 、ま た 合 音 字 の ﹁陳 報 ﹂を 宛 て ら れ た 。寓弓 α
(二 九 二 2 等 ) は 開 音 の ﹁陳 防 ﹂(﹃
落 葉 集﹄、﹃伊 京葉 ﹄)を そ れ ぞ れ 宛 て る
ち な わ﹂ が 一五 18に 、﹁だ いじ ゃ﹂ が 六 七 12 1520 23、 六 八 2 65 、 二五 〇 21、四四 九
いる も の の中 で、 他 の文献 でも 混 同 し て いる の が あ り 、 そ れ を 開 合 、
べ き な の で 、 こ の よ う な も の は 混 同 例 に は 入 ら な い。 た だ 、 混 同 し て
23にあ る )
。と いう よ う な 次 第 で 、 九 州 方 言 で あ る と 確 認 で き そ う な も の
を 、 語 法 等 に 関 す る 事 象 を も 含 め 、 本 書 の 全 般 に わ た って 求 め て も 容
開合混同例。開音 形が期待さ れる
﹁而 じ て ﹂ が ×ざ0言 Φ と 合 音 形 で
四 つ が な の 場 合 に つ い て各 一語 ず つ 示 そ う 。
易 に 得 ら れ な い の で あ る が 、 た だ 次 文 の ﹁か げ ﹂ は 九 州 方 言 で あ る 可
能 性 が 幾 ら かあ り は し な いか と思 う 。
出 て いる
< 9σqp匹①×= o轟 ユ×= 凶
ざ ぽ8 轟 h一
粟 ①コ 葛 ﹃巴 oヨ9 0弩 ①冨 α
Qp {
poo9
さ れ た 天 草 版 の ﹃金 句 集 ﹄ に も 二 例 見 え
四 つがな 混 同例 。 四 つが な の混 同 例 の 一つに
﹁味 ﹂ が あ る 。 こ の 語
﹃サ ント スの御 作 業 翻 字篇 H巻 、 2﹄ の附録 二 八 頁 によ る )
。
開 音 形 四 例 と 共 に 合 音 形 一例 が あ る (これ に つ い て の調 査 は高 羽 五 郎氏 の
﹃サ ント ス の 御 作 業 の う ち 抜 書 ﹄ に も 、 正 し い
(四 五 則 、 二 五 六 則 )、早 く 亀
ぎ
井 氏 が 注 意 さ れ た が (﹃
国 語 と国 文 学 ﹄ 昭和 + 四年 三 月 号 、
二 八 三頁 下 段 )、
本書
(一二 五 5 )。こ の よ う な 合 音 形 ×82 凶↓① は 、本 書 の 後 に 刊 行
<。ヨ① コ弩 P (== 九 15 ∼ 18 。わ が 弟 子 と な り し 人 々 は 貧 賎 な れ ど も 、
8 σqcΦ き ヨo げ睾 三 コ 望oユ oま q巴 ωp。。⊆ げ①×幽8 コ。冨 ヨα げ①ρ凶8
彼 等 が 白 骨 のか げ を 心 万 民 よ り 頂 戴 さす べし と 宣 う べき と 思う な
よ り も 先 に刊 行 さ れ た
﹁か け は し 、 断 片 ﹂ と 注 さ れ た が 、
り )
姉 崎 博 士 は こ の ﹁か げ ﹂ に 対 し て
は
﹁か げ ﹂ に ﹁か け ら ﹂ の 意 の あ る こ と を う か が わ せ る よ う な 記 述
濁音
が 、 和 ら げ に お い て は 正 形 9σq凶の ほ か に 、 p冒 が
こ の よ う な 意 味 の 語 は ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ 等 で は 清 音 の ﹁か け ﹂ で あ っ て 、
は当 時 の文 献 に見 いだ せず 、 こ の濁 音 形 は 九 州 方 言 であ る 可能 性 があ
﹁運 歩 色 葉 集 ﹄
の 中 に 見 ら れ る 。も っ と も 、
﹁閃㌶ 。口語凶コ。 く。昌 ρ剛
・
﹂
﹁ア ヂ ﹂ が 正 し い の で あ っ て 、 本 文 で は 混 同 し て いな い よ う で あ る
る。 だ が 他 面 、 当 時 の 九 州 方 言 であ る こと を 確 認 す る手 だ て にも 欠 く 。
﹁霊 p2 コ。 ㊤冒 巴 母 ロ ×。。=9 こ
こ の語 は他 の中 世 文 献 にも 混 同 形 が見 え 、静 嘉 堂 文 庫 蔵
の説 明文
の ﹁味 ﹂ の ふ り が な は ﹁ア シ ﹂ の ご と く で あ り 、 天 理 図 書 館 吉 田 文 庫
﹁か ぐ ﹂ が 大 分 等 に 存 在 し ( ﹃日本 国
語 大辞 典 ﹄ によ る )、本 山 桂 川 氏 著
蔵 の ﹃日 本 書 紀 神 代 抄 ﹄ に 、
﹃長 崎 方 言 集 ﹄ 一八 一頁 に ﹁カ ゲ カ
ケ (欠 )
﹂と あ る こと が、 こ のよ う な 憶 測 を 誘 う の であ る。 な お前 掲 文
ア ジ ワ イ テ ト ハ、 ヲ シ ヘテ ト 云 心 也
﹁欠 く ﹂ の 濁 音 形
の あ た り に 相 当 す る 原 ス ペ イ ン語 の意 味 は 、
と あ る 。 そ し て 後 者 は 清 原 宣 賢 自 筆 の ﹁日 本 書 紀 抄 ﹄( 一五 二 六 年 ) に
た だ僅 か に 動 詞
⋮ ⋮ わ たし の弟子 達 は 、たと え貧 し い出身 の者 共 であ っても 、大 いな る 尊敬 を
(て )﹂ (
上 二 五 オ ) に基
(= ニオ )
も って 遇 せら れ て、そ の結 果 人 々が丁 重 な 供物 を 供 え て、 か れ ら の骨 、 つまり
﹁ア ジ ハイ
こ れ は さ ら にさ か のぼ る 可 能 性 があ る であ ろ う 。
づく こと が明 ら か であ り 、 宣 賢 の傍 訓 の由 来 を 尋 ね る こと によ って 、
﹁教 ﹂ 字 の 傍 訓
おけ る 、書 紀 本 文
﹁白 骨
骨 粉 を 礼拝 す る こ とを わ たし は望 む のであ る。 (一〇 八左 48 ∼ )
の よ う で あ っ て 、 両 者 を 対 照 す れ ば 天 草 版 の ﹁白 骨 の か げ ﹂ が
の細 片 、 つま り か け ら ﹂ を あ ら わ し て いる こ と は 確 か であ る。
号
第
1980
30
滋大 紀要
164
十 三、 ロー マ字 綴 り の意 味 の と り 方 に 関 し て
い ろ い ろ ま じ り 合 っ て 論 じ ら れ て い る の で 、 記 憶 に 止 め や す いよ
う に 、章 に分 け て 、 そ の内 容 の要 約 を 作 る 必 要 があ る よ う に思 わ
天 草 版 に お い て 、 右 の よ う な 原 文 の 意 味 を 意 訳 し て ﹁部 お お い な る が
れ る。
﹁太 い ﹂ よ
わ し い 場 合 が あ り 、 そ の 例 を 一、 二 と り あ げ よ う 。
故 に ﹂ と し た と す れ ば 、 そ の ﹁お お い ﹂ の 意 味 は 、 や は り
翻 字 と も 関 係 す る の で あ る が 、 ロー マ字 綴 り の 意 味 の と り 方 の 紛 ら .
りも
﹃コ ン テ ム ツ ス ・ ム ン ヂ ﹄-
﹁多 い﹂ の 方 に 解 さ れ る の で は な い か と 思 う 。
︹1 ︺ 第 三 序 文 に 次 の よ う に あ る 。
ω9B①畠OヨO OOコO ×O 口9 008口P弓一コPσ
qO (コp
α
q
αの誤 り )×算9 げ二くO⊆⊆
を 姉 崎 博 士 が 翻 字 さ れ た 中 に も 、 右 と 同 様 の く。8 ぎ胃 口を ﹁大 い な る ﹂
と し た 次 文 があ る。
な お 一五 九 六 年 に ロー マ字 で 出 版 さ れ た
いか に人 々、常 住 死 す べき こ と を 恐 れ 慎 む に於 ては 、 甚 だ危 き事
∋ぎp 8 ﹃① 8 ∋凶コ= pNN⊆ω醸 ①受 。島 8 8 門。ヨ ぎ
﹃す2 邑 8 9 ご器 £ £ αけ
o 轟 鈴 ∋oコo 轟 円い (さ れ ど も こ の 書 は 理 長
轟 2α
Qp団ξ ①鼻 h
ぎ
う し て 、 部 お お いな る が故 に 、 人皆 これ を 身 に携 え 、 読 み 試 み ん
こ の書 の場 合 は 、
一六 一〇 年 に 国 字 本 が 刊 行 さ れ て い る の で 、 そ れ に
と 大 いな る 恐 れ を の が る べ し (
﹃切 支丹 宗 教 文学 ﹄九 五頁 )
8 ωξ ζ三 L 8ヨp8 冨 3 N9歪 8 8 ロ0 8 岩 ユヨ一
8 ︾陣
∋p ヨ碧 9 00器 口o
とす る に、 いと ま あ き あ ら ざ る 事 を 顧 み て、 今 又 これ を 略 し て 小
よ って 右 の箇 所 を 見 る と 、
さき経となすも のなり )
で は ﹁大 い ﹂ の 意 の 時 は く①凶と 綴 ら れ る の が 通 例 で あ り 、<。口。一な ら ば
(日本 古典 全 書 ﹃
吉 利 支 丹 文学 集﹄ 上 二五 一頁 )
と お も ふ に を ひて は、 いか ほ ど のあ や う き 事 ま た は お ほ く の
姉 崎 博 士 は こ の 文 の く2 。凶を ﹁
大 い ﹂と 翻 字 さ れ た が 、 キ リ シ タ ン 資 料
く
い か に き や う だ い 、 つ ね に し す べ き 事 を お そ れ つ ・し み 、 い ま か
﹁多 い﹂ の 意 の は ず で あ る (﹁国 文 学孜 ﹄ 三 + 七年 五月 号 の、 浜 崎 賢 太郎 氏 と
共 著 の ﹁オ 段音 に後続 す る ﹃ほ﹄ の長音 化 過 程﹂ 参 照 )
。ま た 、森 田 博 士 に よ れ
と あ っ て 、 ロー マ字 本 の く。二。ぎ 碧 賃 は 国 字 本 の ﹁お ほ く の ﹂ と 照 応 す
お そ れ を も の が る べし
る か ら 、 こ の書 の 場 合 も ﹁大 い な る ﹂ と 翻 字 せ ず に ﹁多 い な る ﹂ と す・
﹁大 き な る ﹂ な ど の 形 が 圧
べき であ る と 考 え る。
ば 、 キ リ シ タ ン の ロー マ字 資 料 に お い て は
倒 的 に多 く て 、 音 便 形 の
﹁大 い な る ﹂ な ど の 形 は ほ と ん ど な い (
岩佐正
教授 古 稀記 念 論 攷 刊行 会 ﹃
国 語 学 国 文学 論 攷﹄ 所 収 の﹁﹃大 き に﹄と ﹃大 いに﹄﹂)
。そ
︹2 ︺ 本 文 の 三 四 四 5 ∼ 14 に 次 の よ う に あ る 。
O& 9、 3 嶽 ♂oぽ8 σ
qδ 三 ヨo ζ母 ξ ﹃Φωコo ωpδ ¢o轟 臨け留 ⊆ 轟 雷 旦
う いう わ け で 右 の 文 中 の く。⊆。一目 2 σqpは ﹁大 い な る が ﹂と せ ず 、﹁多 い
な る が ﹂ と 翻字 す る 方 がよ いよう に 思 わ れ る の で あ る が、 文 法 的 に ど
8 コo 碧 一口o ㌫ 蕊 ま ×①×一轟 巨
∋凶
2 三
ヨ超 ① 記 ユ・
Qりo=o 一
〇三 ε 雪 目0
8×ξ ○り聖 9 幣
岩 ﹁
﹁Φ h
ゆ8 k。﹃9
﹂
①三 一3
畠02 甘 ×①Nロ けo 旨 8 ヨP 旨 oo×一爵 ユ8 ∋9 8 003 ¢0
三⊆9 仁。 。pσqロ= p8 ∋p8ξ 凶
多
8∋①8 巻 §二 三 く○凶
8 岳 噛 ωo冨 三 8 ∋02
8 8σ
Qo82
くo凶
8 轟 嘘o皇 ﹁c げ①£ 8 8 ま ユ き
GQpユ爵 σqp毎 8 コo 号 ぎ 02 コ凶8三 8
一
霞 三 の二σ
q焉 ①訂 歪 σq8 仁×㊤ 3 0三 炒豆 δ 8 $ ∋α ×ε p2 8
﹁大 いな る ﹂ な
﹁な り ﹂ が 接 続 し た
ら ば 形 容 動 詞 の 連 体 形 で あ る が 、﹁多 い な る ﹂ の 場 合 に は ど う な る か 。
﹁多 き ﹂ の イ 音 便 に 断 定 の 助 動 詞
う 見 る か と いう 点 で 気 に な ら な い こ と も な い。 そ れ は
形 容 詞 の連 体 形
﹁
多 いな り ﹂ と いう 形 が 、 当 時 ほ か に も 用 い ら れ て い る か ど う
形 と 解 す れ ば 、 解 決 で き る か も 知 れ な いが 、﹁
多 き な り ﹂﹁多 か る な り ﹂で
な くて
琴 。α訂 ×昼
009 ⋮ ⋮ (く だ ん の 十 八 か 条 に も マ ル チ レ ス の 沙 汰 を な し た る な
爵号
数 行 が な く 、﹁部 お お い な る が 故 に ﹂ と ぴ った り 適 合 す る も の も な い が 、
か に 、 こ の儀 を 少 々載 せし な り 。 さ り な がら 、 こ の 題 目 に つ いて
か調 査 の必 要 を 感 じ る。 な お 原 ス ペ イ ン語 に は 第 三 序 文 の右 以 前 の 十
こ のあ た り の原 文 の意 味 は 次 のよ う であ る。
163
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィ デ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
後 出 の ﹁あ き れ
﹁満 足 す る ﹂ 意 に 邦 訳 し た か の 感 が な く も な い。 も し そ う だ と す る と
合 動 詞 ﹁あ き れ は て ﹂ の意 味 は
善 に す ぐ れ た る学 者 達 、 編 み た て 給 う 書 籍 を 見 る に お い て は 、捌
き る べ き こ と 道 理 の 前 な り 。そ の 一巻 を 悉 く 読 誦 せ ず と 言 う と も 、
で あ っ て 、 単 独 の ﹁あ き れ ﹂ の 場 合 と 同 様 に 、 喜 ば し い 情 況 の 下 で は
こ の 中 の 9£3 は 、 漢 字 で 書 け ば
はて
﹁ひ ど く 驚 い て 呆 然 自 失 の 体 に な る ﹂
少 し な り とも 心 を と め て読 む に 於 いて は、 そ れ に寵 も る 善 事 の宝
用 い ら れ な い か の よ う に 看 取 さ れ る が 、﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ の ﹁あ き れ
(は て )﹂と は 別 話 と い う こ と に な る 。﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 複
﹁呆 き る ﹂ (アキ レ ル意 の下 二 段 活 用 動
珠 、サ ン チ ダ ァ デ の 香 ば し き 匂 を 嗅 ぎ 奉 り て 、あ き れ は て 喜 び ⋮ )
語 と 同義 。 な お既 掲 の、孔 雀 の美 し さ に め で てアキ レ て立 つ、 と いう 用例文 の場 合
﹂の 早 い 例 は 、﹃岩 波 古 語 辞 典 ﹄ に 引 く
﹃浜 松 中 納 言 物 語 ﹄ に 左
も 、す ばら し さ に感 嘆す る意 であ る )
、 こ のよう な 喜 ば し い状態 の場 合 で の
(喜 び )
﹂は 感 嘆 す る 気 持 が 含 ま れ て い て (波線 部 のよう に原 スペ イ ン
詞 の終止 形 )で あ ろ う か 、 そ れ と も 、﹁飽 (ま たは 、厭 )
き る ﹂(
満 足 ス ル、 ま た
﹁呆 き る ﹂ の 連 用 形 が 出 て い る の で 、 前 者 が 該 当 す る か と 思 わ れ る が 、
は イ ヤ ニナ ル意 の上 一段活 用 動 詞 の終 止 形 )で あ ろ う か 。 す こ し 後 に 下 二 段
﹁あ き る
の よ う に 見 ら れ る (﹁日本 国 語 大辞 典 ﹄ は黄 表 紙 か ら挙 例 )
。
﹁飽 き る ﹂ の 方 で あ
る と す る と 、 こ の 動 詞 は 、 当 時 普 通 に は 四 段 に 活 用 し て いる の で 、 上
後 者 で も 意 味 が通 じ そう であ る。 が 、 も し 後 者 の
あ き れ い た き ま で お も ひ よ ろ こ び た る こ と 、 た と へむ か た な し
﹁あ き る ﹂ の 意 味 を 考 え る
一段 活 用 の 文 証 と し て 、 は な は だ 注 目 す べ き も の と な る 。 と 同 時 に 二
(岩 波 大 系 本 。 二 八 四 頁 )
右と同様な例 として、 ここに問題 と す る
な らば、すなわち
﹁呆 き る ﹂ の 終 止 形 と 認 定 す る こ と が で き よ う か と 思
﹁用 い る ﹂ 四 例
﹁べ し ﹂ へ の 接 続 に つ い て は 、 本 書 に お け る 二 段 活 用
段 活 用 の 一段 化 現 象 と し て も 、﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に は
な らば、下二段
動詞 から
﹁す ば ら し さ に 驚 く ﹂ と い う よ う な 意 で あ る と す る
があ り 、 九 }21 、 二〇 六 21、 三 六 六 1、 四 七 ニ ー3に連 体 形 ﹁
用 ゆ る﹂があ って、 一
う。 なお助動詞
(= 15 18、 一二 ー8、 三 一五 6。 いず れも 連 体 形。 な お 一六 二3 に ﹁用 ゆ (べし )
﹂
の に な る 。 こ のあ た り の 原 ス ペ イ ン 語 の 意 味 は 次 の と お り で あ る が 、
段 活 用 と 二段 活 用と が併 用 さ れ て いる )が あ る く ら い な の で 、 注 意 を ひ く も
ら 続 く例 が他 に も あ って 問 題 は な い (
詳 細 は省 略 )
。
﹁べ し ﹂ へ続 く 場 合 の 活 用 形 と し て 、終 止 形 (いわゆ る 文語 の )か
天 草 版 の 邦 訳 は 原 典 か ら 大 分 離 れ て い る よ う で あ っ て 、 ス ペ イ ン語 の
香 のす る開 化 を見 ては 、ただ た だ(感 嘆し て )
驚 きは て る ばか り であ る。(一 一八
の恩 恵 の豊 富 さ 、 こ の讃 美 の原因 とな ったサ ンチ ダー デ の いともやわらかな 芳
があ った のか も知 れ な いが )、わた し は これ ほ ど の美 徳 のゆ た かさ 、 これ ほど
く て、ほん の 六、 七章 読 んだ だけ な のだ が (も しか し て神 様 のご判 断 と お気 持
いる のであ る ⋮ (
西語文約 20行 の和 訳を省略V⋮ わた し は全 巻 読 み通し たのではな
れ ち の苦 痛 の偉大 さ に よ って更 に 一層 キ リ スト教 の宗教性を証 拠立 て、 飾 って
で何 とも 言 え な いけ れ ども 、あ る いは ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 用例 と し て本 書
ては 、本 書 の用 語 に つ いて 一つ 一つ ﹃日ポ 辞書 ﹄ に当 た って いな いの
た こ と は疑 いあ る ま い。 そ の ほ か に同 様 の も の があ る か どう か に つ い
士 指 摘 の と お り 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の引 例 が本 書 (
ある いは本番の原稿 )に拠 っ
う に孔 雀 を め でた 一文 が 酷似 し て いて 、﹃
邦 訳 日 ポ ﹄ 八 六 二 頁 の森 田博
い て は 、 出典 名 と し て本 書 を 明 記 し た も のは な いけ れ ど も 、 既 述 のよ
﹃日 ポ 辞書 ﹄ の中 に本 書 か ら 用 例 を 採 った も の が あ る か ど う か に つ
'
十 四 、 ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ と の 関 係
側 か ら こ の問 題 を 解 決 す る こと は 困 難 に感 じ る 。
マ ルチ レ ス の善 徳 と 堅信 に つ いて、ま た殉 教 者 が数 え き れぬ ほ ど大 勢 いる こと
に つ いて論 ヒ た 同じ そ の所 に香 か れた 第 十 八章 にも 、 一部 こ の事 が明らかにさ
左6∼)
か ら 採 録 さ れ た か も 知 れ な いと 思 わ れ るも のを 、 気 の つく範 囲 であ げ
れ て いる。 そ の事 は殉 教者 の神 聖性 の輝 き によ る ばか り で なく 、殉 教 の血と か
右 の 傍 線 部 が 日 本 文 中 の ﹁あ き る ﹂ に 相 当 す る の で 、 強 い て 言 え ば 、
ロゲ
1980
第
30
滋 大紀要
162
て み よう 。
︹1 ︺ い ろ を 着 る 。
︹3 ︺ 朱 の 血 潮 に 染 む
よ って 、 本 書 が出 典 で あ る 可 能 性 が 幾 分 か 見 ら れ る か と 思 う 。
知 れ な い。
次 例 の pρΦ8 。三×貯。 三 ω。ヨ幽も ま た 同 様 の可 能 性 が 潜 ん で い る か も
呂 σq震 凶$ ∋α <。= 。露 くoヨ〇一
8 <oロ 三 口p σ
Q。邑 £×言 冨0 9
。﹄① コo o7T
﹁い ろ を 着 る ﹂ の 用 例 が 左 の よ う に あ る 。
れ す な わ ち 葬 送 に いろ を 着 る が 如 く な り )
xご◎ 三 〇〇∋一一
p∋9凶
3 (二 四 三 16 。流 し 給 う 御 血 を 以 て 御 身 は 御 色
本書 に
右 に関 し て 、 和 ら げ ば 、
同 様 の 表 現 は 、 な お 、 二 四 七 4 、 二 六 八 15 、 四 四 〇 20 、 五 一〇 20 に も
身 の朱 の 血 潮 に 染 み給 いて )
O。お ω¢轟 轟 。匿 ωα。。O 冨二 ﹁o co Ω ﹁仁o軌o σq。8日 舞 ユ・(四 七 五 7 。こ
し
つαo
。o (Qoα。。
①の誤 り )コ幽貯 賃 (
犀oま た は 冒oの誤り )ζo ρ置F い Opげ剛コ0
見 られ
いろ の称 は侮 瞳 穣 爺 嫉 に
にな った﹂)、
本 書 の 用 例 は す べ て ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 言 う
﹁比 喩 ﹂ と し て の
8 k零 時の用 例文 の ﹀ρ①コoo三×
ご。
三 。。
o∋δ餌蜜①け
け
p・の説 明 は ﹁血 で染 ま り 、 血ま みれ
ま た は 比 喩 と し て 、 ひ ど く 血 を 浴 び る こ と を いう ﹂ と あ る が (動詞 G。。∋7
﹀ρ①コ。 。露×ご。三 ω。ヨF が あ り 、 そ れ の説 明 に は
(ほか に 二七 五 9 に ﹁朱 の血 潮 に なり ﹂ の例 があ り )
、本書 におけ る 一
と 説 明 し 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄(補 遺 ) の マ 9 の 条 に は マ 〇二〇 ρ写F の 用 例 を 示
8 e e 弓` ρ弓鋸 ヨO=9
し て い る 。 な お こ の よ う な 意 味 で の ﹁い ろ ﹂ と い う 語 は 、文 化 十 年
と いふ
﹃日 暮 芥 草 ﹄ に も 、 左 の よ う に 記 さ
種 の 慣 用 的 表 現 か と 考 え ら れ る 。﹁日 ポ 辞 書 ﹄ の 名 詞 ﹀ρΦ
●の 用 例 文 に 、
﹁真 っ赤 な 色 に 染 ま る 。
喪あ る者 の服を誰
(一八 = 二)の 対 馬 方 言 の 字 引 語 釈
れ て いる。
いろ
︹葬 式 に 服 す る 白 衣 ︺(
吉 町義 雄 氏 ﹃
九 州 の コト バ﹄
﹁血 潮
ヲル
居 服 と いう 事 成 べ し
の )の 用 例 が な い の で 、 果 た し て ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の こ の 用 例 文 が 本 書 か ら
﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 右 の 説 明 の 前 段 は 単 に 語 源 的 な 考 え を 示 し て み た に
十 五 、諺
森 田 博 士 は 論 稿
であ る から 、
当時 行 われ た こ とわ ざ の豊 富 な資 料 と ま で は喬 えな い。 し かし 、
最 も多 く 含 む の は日 葡辞 書 であ る。多 いとは い っても 、
約 五 〇例 に過 ぎな いの
キ リ シ タ ン資料 には 、一般 に わ が国 のこと わ ざ が少 な いの であ る が、 そ の中 で
いて 、
﹁日 葡 辞 書 の こ と わ ざ ﹂(
﹃国 文学 孜 ﹄三 十七 年 五 11 )に お
る可能性 も少しはあ ることになろう。
かな いか は未 調 査 )、本 書 の 用 例 が こ こ に 採 ら れ て い る と 見 る こ と の で き
す ぎ な いと 見 る な ち ば (
﹃日ポ辞 書 ﹄中 に同 様 に考 え ら れ そう な ものが他 にあ る
面
採 った も の か否 か 、 そ の判 断 は かな り 躊 躇 さ れ る。 が し か し 、 ま た 一
﹂ の 意 の も の で あ り 、一例 も 本 義 だ と す る ﹁千 人 ﹂(
何 回 も染 ま る意
そ れ は と も あ れ 、 ﹃日 本 国 語 大 辞 典 ﹄ に は 喪 服 の 意 の ﹁い ろ ﹂ の 用 例
=エハ九頁 )
を 、源 氏 物 語 か ら 咄 本 に 至 る ま で 挙 例 し て い る の で 、﹃日 ポ 辞 書 ﹄の 先 掲
のよ う な 短 い用 例 文 で は 、出 典 が 本 書 の可 能 性 が あ る と言 った と ころ
︹2 ︺ 一紙 半 銭
で、 確 率 は高 く は な い であ ろう 。
﹃日 ポ 辞 書 ﹄ の 用 例 文 が 短 い が 故 に 出 典 の 確 度 が そ れ ほ ど 高
oげ警p 8 8 轟 ユ 3 訣8 コニ ××♂ ♂ コxΦコ ロoヨ0
く な い も の と し て 、 左 の 認尊 ♂ コ×①コ⋮ が あ る 。
同様に
誹p2 2 2 言 ヨ睾 ま
8岱。。。ωp目 ヨげ2 ρ①民 8 一
。 菱 曾 げ①×一"(五 六 六 21 。百 福 充 満 の 長 者
﹃日 ポ 辞 書
の 、 隣 の 人 に 一紙 半 銭 を も 施 さ ず ん ば 、 慳 貪 と い つ つ べ し )
﹄ の H
××一
●の 条 を 見 る と 、 H
××同ず 琵 雪 。葛 ご。ヨ。h
。ら。。。×9と
いう 用 例 が 示 さ れ て い る 。 例 文 が 短 い 上 に 百 パ ー セ ン ト 一致 し て い る
わ け では な いの で 、特 定 の出 典 を 持 た な い、 辞 書 編 修 過 程 で の作 例 で
あ る か も 知 れ な いけ れ ど も 、﹄ 紙 半 銭 (を )施 (す )
L と いう 共 通 語 句 に
161
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
中 には ま だ僅 諺辞 典 の類 にも 収 め ら れ て いな いも のがあ り⋮ (
二〇二頁)
き
ん ニ
ん
傍線部の直訳 ﹁
金 が値 す る も のは 金 だ﹂ を 、 日本 語 ら し い表 現 に し ょ う と し て 、
金 何グ ラ ムと いう 具 合 に言 う 以外 には 評価 でき な い﹂と いう こと であ ろう 。 換 言す
そ らく 原 文 の真 意 は ﹁
世 にイ ンフ レがあ るか ら金 は 通 貨 で評 価す る こと が でき ず 、
﹁
金 銀をも って買得せ らる る も のは 金 銀 な り﹂と誤 訳 し てし ま ったと 考 え ら れる。 お
キ リ シタ ン資 料 は 、
キ リ シタ ン宗 門書 とそ れ 以外 の教 外書 と に大 別 す る こ と が
﹁日 ポ 辞 書 ﹄ 以 外 の キ リ シ タ ン 資 料 に も 言 及 し て 、
で き る。 まず ヤ ソ会 版 の宗 門書 を検 す る に、 一般 に金 言 ・こと わ ざ とも に少 な.
こと らし い。こう し て見 る と 日本 語 ロー マ字 版 は、 スペ イ ン語 原典 に比 し てキ リ ス
れ ば 、﹁金 とキ リ スト の御 血 は相 対的 評 価 が でき ず 、 絶対 評 価 をす べき だ﹂ と いう
と 述 べら れ 、 さ ら に
いと言 え る のであ る が 、
そ の両者 の問 で は こと わざ の方 が少 な い。 即 ち 、金 言
ト 教 学的 でな いと言 え る。
は ﹁サ ント ス の御 作 業 の内 抜 書 ﹂ に 一〇 例 、﹁ヒデ ス の導 師 (
信心録)
﹂ ㌍ 四例 、
﹁コ ンテ ム ツ ス ・ム ンヂ ﹂(ロー マ字 本 )・に 一例 、﹁ぎ や ど ぺか ど る﹂に 一一例 ほ
次 に② のあた り のス ペイ ン語 を 和 訳す る と次 のよう にな る。
カ
リ
ダア
デ
か
えゆ
と こ ろ で慈 善 の善 果 に つ いて言 え ば 、
そ れ は巌 す ら 割 る と いう 。 ま た 一旦そ の
十行 であ る が、これ に相 当す る スペイ ン語原 文 は 数倍 あ って 、愛 と慈 善 に つ いて の
の は二 、三 の部 分 だけ で あ る。 四九 二 五6一 四九 三 2 は 日本 語 ロー マ字 文 では 僅 か に
って いる。と く に② の部 分を 含 む ロー マ字本 四 九三 16 ∼四 九 四 3の所 は原 義 に近 い
こ の前後 のと ころ は 、 天草 版 は ス ペイ ン語 原 典 から 大 分離 れ て論 旨 が 違 っ て し ま
であ る。(一六九 右 22 ∼ )
善 果 を知 った人 は 、己 が心 を捕 ま え て離 さ ぬ 牢獄 を 見 る (
直訳﹁見た﹂)のだそう
ど拾 え るけ れ ど も、 こと わ ざ の方 は ﹁ぎ や ど ぺかど る﹂に 次 に示す よう な も の
約 九 例 が 見 える だけ で、そ の他 の書 には 見 え な いよう であ る。(
二〇八頁 )
﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に も 諺 は 三 例 ほ ど 拾 う こ と が
でき る 。 す な わ ち 次 のも の であ る 。
と 説 か れ た。 し かし
① Oo8 ⊆oNo 三 三pρ巨 ρ冒 聖 一
5 く。ヨ。け
8 訂 ぎ 曾 ×①轟 ﹃弓 ・ ∋。8 轟
ρぎσ
qロぎ 轟 ユ 8 ぐ霞 一
"(四 九 〇 10 。諺 に い わ く 、 金 銀 を も っ て 買 得
せ ら る る も のは金 銀 な り と言 え り )
ヨ9 暫 くo口×α コ幽 p気①げP 8 σq9×9 僧×剛
σq9×ρ 2 甑o轡×Φ コo ×Φ∋① =oヨo
ト 版 にし て ある。
学 の部 分 は 抜き 去 ってあ り 、
訳 も随 分 変 え てあ る。 いわば 日本 人向 き のダ イ ジ ェス
説 明を 日本 文は 全 部省 いて ﹁こ こに は載 せず﹂と し て いる。 つまり 、 キリ スト 教哲
。塁 零 一話 N二 8 ぞ 霞 一
・ (四 九 三 20 。さ る に よ っ て 、 諺 に も 、 恩 賞 は
言 p 仁。ヨ。 くp2 8 ぐ①昆
② ω霞 二 三ぢ け8 8 8 ⊆oNo 三 ヨ。 く8 ×α 長
岩 を も 割 る と 言 え り 。 ま た 、 恩 賞 にあ え ば手 枷 足 枷 首 枷 の責 め を
て来 た る 源 は 、 ス ペ イ ン語 の原 典 に 発 し て いる こと と な る 。 た と い西
日 両 語 に 熟 達 し て いた と し ても 、 原 文 を 適 宜 省 略 し 整 合 す る 以上 は 原
以 上 の近 松 氏 の懇 篤 な 説 明 によ って 考 え る と 、結 局 ① ② の諺 の由 っ
文 に 忠 実 な 邦 訳 に は 必 ず し も な ら な い け れ ど も 、 原 ス ペ イ ン語 と の 照
も 顧 みず と 言 え り )
こ と が で き な い の で 、 わ が 国 の 諺 な の か 、 か の国 の 諺 な の か を 検 討 し
た だ し 、 こ れ ら の 諺 は ﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に 見 え ず 、 国 内 文 献 に も 見 い だ す
て おく 必 要 が あ る。 こ の こと に 関 し て原 スペ イ ン語 に当 た って いた だ
た の でな いこ と が 明 ら か であ る。 も し 訳 者 が 自 由 に 諺 の類 を 引 く と す
合 の結 果 は、 邦 訳 者 が 原 文 の表 現 と は 全 く 無 関 係 に これ ら.
の諺を引 い
れ ば 、 た と え ば② の代 わり に ほ ぼ こ れ と 同内 容 を 意 味 す る
いた近 松 氏 の教 示 を 左 に 掲 げ る ゆ
必 ズ有 訓死 夫 二 (
.三 略﹄)
を 以 て し て も よ い は ず だ と 思 わ れ る 。 ﹃三 略 ﹄ は
﹁重 賞 之 下
のが簡 単 でな いが、
① のあ たり の原 ス ペイ ン語 を 和 訳す る と次 のよう にな る。
恩 賞 ヲ ア タ ユ レ ハ死 夫 カ ア ル ソ (高 羽氏 翻 刻本 七 三 頁 )
パラグ ラ フ の切 り方 が 和 西全 く 異 な って いる の で、どれ と 対応 す る かを 見 つけ る
(
世 に言 わ れ て いる よう に )金 のね う ち は金 で し か評 価 でき ぬ わけ だ か ら、 キ
と 抄 さ れ て い る が 、 天 草 版 の ﹃金 句 集 ﹄ に も 、
﹃三 略 私 抄 ﹄(
亀 井氏 蔵 ) に 、 こ の 句 は 、
リ スト の御 血 は キリ スト の血 でし か評 価 でき な い。
ア
ニ
マ
そ んな わけ で、
何 か罪 を犯 す こと で、魂 が失 わ れ る時 にす な わ ち 、キ リ スト の
広 く 読 ま れ て い て 宗 二 ・宗 和 奥 書
御血 がば らま かれ る こと に な る のだ。(一六八 左 16 一 )
第
ロゲ
1980
30
滋大紀要
160
ρa×α冨O (ρ凶
α
×ぎoの誤植 )冨08 コ凶
ζ拶 O騨ロ旧り㊤Nロ ρ①訂讐 一
〇 陣﹃一
"Oゲひ×α コO
よ う に、創 造主 (一神 )は そ れぞ れ に等 し い時 間 を 割 りあ て て 、 それ ら の力 を
(と
同 等 にさ れ た の であ る。つまり 落 ち箔 く と ころ そ の長 さ は三 か月 にな る の であ
る。(一四 左 4 一 )
苺 oσq即 08 pユ嵩 ω鄭,く02 0 暮 9
Oo8 りo. αα訂 ×こ 網①冨 き ×潔固三岳
こ ろ の )﹂と いう の を
と い う 意 味 で あ っ て 、﹁そ こ に う ま い 具 合 に
(安 心 し て ) 落 ち 着 く
ヨ085幽
ロ9 0降口9﹃麟Nロ×凶
h
二 騨ユ・
ω弩 ` 津 。ぎ ヨ。8 三ロp 鼻 畝口。 8 8 房 二 言§ 。σ
qp ρ8二言p円F (一二 七 則 )
も の で原 スペイ ン語 にな く 、﹁エレメ ント ﹂ もな い )
。さ てそこで問題は
﹁そ こ
る (な お、﹁この改 ま り様 を 見 る にデ ウ ス の こ憲法 の上 よ り﹂は邦 訳 者 が つけ 加 え た
﹁のう ち ゅう (の )
﹂ と 訳 し た こ と に な る よ う であ
と見 え て い て、 こち ら の方 が遙 か に 身 近 か であ った であ ろ う 。 な お ①
に 対 す る 原 ス ペ イ ン 語 の ﹁金 の ね う ち は 金 で し か 評 価 で き ぬ ﹂ (
金が値
﹁能 住 ﹂ と いう よ う な 漢 語 を 新 造 し た の か ど う か で あ
にう ま い具 合 に 落 ち 着 く
(こ と )
﹂と いう よ う な 意 味 を あ ら わ す 言 葉 と
し て、邦訳者が
﹃ラ ル ー ス 世
界 こと わ ざ 名 言 辞 典 ﹄ に あ り 、 フ ラ ン ス の諺 とし て
﹁能 住 ﹂ と いう 字 面 が 原 ス ペ イ ン 語 の 意 味 す る 所 と 通
す る も の は金 だ )に 関 し て 付 言 す る と 、こ れ と 類 似 の 表 現 が
値 段 そ の も の で あ る ﹂(
ア ント ワー ヌ ・ロワ ゼ ル ﹁習慣 法 ﹂ 一六〇 七年 )
と見え
い 合 う よ う に も 感 じ ら れ る け れ ど も 、 一般 に 通 用 し て い な い 漢 語 を あ
る 。 意 味的 に は
﹁金 の 値 段 は 金 の
る が 、訳 者 (
島 津 智氏 )の 注 は 、﹁金 の 値 段 で 他 の 金 属 の値 段 が 決 ま る こ と
﹁媚 び た る 言 葉 を 除
き 世 話 に 綴 る ﹂ 趣 旨 か ら 見 て う な ず け な い。 と す れ ば 、ま σ
Q欲 は 何 ら か
ら た に創 造 す る と いう こ と は 、 訳 者 の序 文 に 言う
を いう ﹂ と し て い る 。 フ ラ ン ス で は こ の 注 の よ う な 意 味 で あ る と す る
な ら ば 、 表 現 は似 て いる が真 意 は 大 分 離 れ て いる よう に 思 わ れ る。
の ま ち が い で は な いか と 考 え ら れ て く る 。 し か し 開 合 や 四 つ が な の ま
和らげ の、
文 脈 か ら 考 え て 、 平 凡 に p雪 σQま (年 中 ) の 誤 り と 見 る こ と に す る と 、
﹁の う ち ゅ う ﹂
次 文 の ﹁の う ち ゅ う ﹂ は 本 書 の 中 で 最 も 難 解 で あ る と 思 わ れ る 語 で
Z①コσqa ・↓o×頃50 <o窪 ・
十六、難解驕
あ る。
ち が いか と 見 て も 該 当 し そ う な 語 が 浮 か びあ が ら な い。 そ こ で前 後 の
Ooコo ρ胃讐 ρヨ四二 賓α ロo ヨマ ` 三 uO①¢ψ 50 σqo ρ①pσα コo く網① 望oユ
つも り であ った と す れ ば、 難 解 語
﹁能 住 ﹂ よ り も 、﹁ね ん ぢ ゅ う ﹂ と 読
﹁の う ち ゅ う ﹂(能 住 ) は 雲 散 霧 消 し
σ
q猷 は 行 頭 で あ る が 、 ロO が や や 不 鮮 明 で 、あ る い は こ れ は 鼠 で は な い
か と 思 わ れ る (行 末 の 創の類例 は四 5 の 謡 な ど に見 ら れ る )
。も し 本 来 鼠 σ
Q雛 の
の よ う な 目 で 今 一度 ロー マ字 の 本 文 に 立 返 っ て 眺 め る と 、 づωは 行 末 で
の 、 本 文 で 該 当 す る の が こ れ で は な いか と 思 わ れ て く る 。 そ し て 、 そ
ω碧 σQpけ
2・
×匡巴 ロo げ¢旨三 くoω9ヨO $ ヨ即日聖 母 ヨ①三 8 口曳o。
。P 蜜oロ9ω欝 ヨ㊤ω捗り♂
く08 ユ 50 轟 a 愚 9 国﹁
①ヨoヨ o h
犀08 ` NN三 省 三 コゆoa稼 ぎ
の改 ま り 様 を 見 る に 、 デ ウ ス の こ 憲 法 の上 よ り四 大 を 無 事 に治 め
て し ま う 。 存 在 の 確 認 でき な い語
£ NN9 2 ⊆。 。
。毘 § ① <。怠 け
㊤巳α ヨ。き コ巴 ・ (四 九 22 ∼ 五 〇 4 。 こ
給 わ ん た め に 、 強 さ 弱 さ 、 優 り劣 り のな き 様 に、 エ レメ ント 一つ
︹1 ︺ ﹁ご さ う ﹂ に つ い て 。
十 七 、 そ の 他 の 言 葉 一一三
いと 考 え る の で あ る が 、 いか が で あ ろ う か。
づ つ に、 のう ち ゅう の三 が月 つ つを 定 め置 き 給 う も のな り )
﹃日 ポ 辞 書 ﹄ そ の 他 に も
み 取 る (も しく は ﹁
ね ん ぢ ゅう ﹂ と綴 る べき であ った のを 誤 ったと 見 る )方 が よ
﹃大 漢 和 辞 典 ﹄ に も
こ の ﹁のう ち ゅ う ﹂ に 対 し て 、 姉 崎 博 士 は か り に ﹁能 住 ﹂ と 宛 て ら れ
た が、 こ のよ う な 漢 語 は
し か し 、 そ れ ら (四季 )は お互 の間 では 相対 抗 す る も ので あ る が、 幾 つ かが 他
な い。 右 の 文 の 所 は 原 ス ペ イ ン 語 で は 、
のも のと 比較 し て 一層 強 力 に な って 、
互 に 衝突 し あう と いう よう な こと がな い
◎
159
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
〇 四コo ゆ 8 玄 ざ
口鉾 σ
qo
けpヨ 巴 8 嘘 σqo
くp。。二﹃0
8 品 話 畠 ヨα
50 500窪
畝 σ
q二① 〇三 ユ
二〇 σqoo。o×鉱
℃ 9ω鰍 oコ コo 日 面 三 ユ
×凶
×α ロo ω三 ① 鼠 8 ヨ p8 口雷 門二﹃蛋 oo8
3 ヨp冨 も 亀 。藷 首 異 同
£ σ自。ωα き 屋 σQ琶 ・轟 く。ヨ。幕
ま す る た う り (通 り )﹂と 変 え ら れ て い る が 、 ② ③ の 書 簡 文 の 用 例 は 改 修
で あ った の だ ろ う か ? 神 の大 い な る 愛 が あ の悪 女 の 心 に 感 応 し 、彼 女 は 己 の 罪
キ リ ス ト 様 が (悪 女 )マグ ダ レ ー ナ に お 示 し に な っ た 燐 み の情 は ど れ ほ ど 偉 大
﹁ご さ う ﹂ に 相 当
5
深 さ を し み じ み と 悲 し ん だ の で あ る か ら。し か も キ リ ス ト 様 は あ ん な に も 簡 単
﹁伝 言 ﹂ が
﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ の 前 掲 文 を 原 ス ペ イ ン 語 と 対 比 す る と 、 日 本
本 で も こ の 語 が 使 わ れ て い る (改 修 本 に は な お ほ か に 二 例 新 し く 使 わ れ て いる )
。
さ て
文 はす ご く 省 略 が多 いが 、 左 の傍 線 部 の
ョ ン の みぎ り 、逃 げ 散 り 給 いて 、御 師 匠 を 捨 て奉 ら る る こと を 、
に あ の 悪 女 の 罪 を お 許 し に な った の で あ る か ら ⋮ ⋮ そ し て か の 罪 深 い 聖 女 を も
す る 。
御 蘇 生 の後 忘 れ 給 いて 、 却 って親 し き ご さ う を マガ ブ レナ を 以 て
っ て い と も や さ し き 伝 言 を か れ ら の所 へお 送 り に な っ た 。そ し て そ の 伝 言 は
§o謬o =鶏 い QQ8 0 0qoOα 轟 くoαq餌 くo蜜四 8"5窪 qpo三 コo くo旨 くo巻 三
oσqp算 く9σq伊 UΦ.8 糟コ雪 像po該 50 U①.
三 郎σq9巨 富 ユ 8 コo冨ヨo 轟 ユ
告 げ 給 う も のな り。 そ の こさ う は我 が 親 と 、 な ん だ ち の御 親 にあ
0。.H
。pヨ﹄ O●三 ∋ぞ 象 。ユ財 (五 三 六 10 ∼ 17 。 か の 人 々 は 御 パ シ
が り 、 我 がデ ウ スと な ん だ ち の デ ウ スに あ が るな り と宣 う な り と 、
﹁わ た し の兄 弟 達 の所 へ行 け 。そ し て か れ ら に わ た し は わ た し の 父 で あ る と 共 に
サ ン ジ ョア ン ニ ○ に 見 え たり )
と か の 意 味 の ﹁御 左 右 ﹂ で あ ろ う 。 こ の 語 の 用 例 は ﹃捷 解 新 語 ﹄ に 左
と オ 段 長 音 の 開 合 と か ら 考 え て 、﹁お 指 図 ﹂ と か
開 轟 コOp コo け9 くα 5障① ヨ p×一三 霜 露 ○り・ 戸口貯 百p ㈹okρ¢α コ断 090p⊆餌ユ
き る と思 う 。
'
右 に よ って σ
Q。ωα は
汝 等 の 父 で あ る わ た し の神 、つ ま り 汝 等 の神 の 御 許 へ昇 っ て 行 く と 伝 え よ ﹂ と
のよう に見 ら れ る。
$ ∋ 窪 ρ目
述 べ て い た 。(一八 五 左 18 ∼ )
﹁後 相 か ﹂ と 注 さ れ
① (
客)
あ す わ く も つき が よ う 御 ざ る ほ ど に 、あ い の し ま ま で わ 、つ か
く
p8 =ヨ ① $ ヨ p凶8 ︾ 。りoコo 帥×一二〇 旧りp帥
リコoσQ9 鼠 ヨ 0 5騨ユ ●日 7①o畠oωδ 8
たが (
前 掲書 五 四 〇頁 )
、し か し ﹁後 根 ﹂ と いう よ う な 用 字 例 は な い。 文 脈
し ら れ う と 、 め で た う こ そ 御 ざ れ 。 よ の あ け ん う ち に 、 し ゅ つ せ.
ヨ αω二 閃o∋ 9 50 一〇ぞ α 50 0①ρ憲
右 の ﹁ご さ う ﹂ と い う 語 に 対 し て 、 姉 崎 博 士 は
ん な さ る やう に さ し ら れ 。
§ Φ聖 算
﹁御 左 右 ﹂ と 翻 字 す べ き 言 葉 で あ る こ と が 確 認 で
(
主)
御 さ う の ご と く 、あ す わ て ん き ょ そ う な と 、こ こ も と の も の も
< ロσ
qp鼠 9 50 ヨ 凶op畠O =o 鵠∋ ①ヨ ぞ p 三 酔① ヨρ×一
管 霧 ロ Qり缶コ9 p HQ
。pげ巴 二四
﹁仰 せ ﹂
申 ほ ど に 、 さ う さ う こ そ し ゅ つ せ ん 申 う ず れ 。(﹁
=奉 対照捷 解新 語 本文
ぼ α三 コ 三
﹁御 命 令 ﹂ と か
篇 ﹄二 二五 頁。 ただ し濁 点 等 は ﹃釈文 ・索 引 ・解題篇﹄ 四 五頁 を 参考 にし た )
8 ロρ① $ ヨ α 爵 ユ ● O巴 幽
8 コ0 8
惹 け9
。碧 母 2 p歪
88 3
三
pヨ p雷
二p 玄 α三 コ 50 8 00﹃o畠ooo﹃o 口o
2 ωξ 三 。
コM σ
q=ΦσqM
o =o σpo8 虐 . 8 8 磐 ミ Φ ㌶ ヨ α コゆ㌧蘭・ ζ 9㌶
ωα コ巴 。 三
蟄 8 堵①三
の器 品 二①受 & 睾
︽p8 ロoo コo σqoざ ρ己
わ り 給 わず し て、 隠 れ た る 所 に数 多 の ひ に ん を 呼 び集 め 給 いて、
ヨ 凶8 ρ一団 50 くoヨ 9 口o 冨 ×①ユ .(二 〇 八 13 ∼ 二 〇
ヨ ぐ 欝 N⊆op二9円二目仁 oo8
∋ α。
。二 け巴 ×α ¢p ::: o睾 o $ 三 口 轟
日 ぐ pNN¢8 = pヨ α ぎ ヨ ; 9冨 N∼ 邑
σqM
£
﹁か び ゃ う ﹂)に つ い て 。
② せ っし ゃ (拙者 )
乃 こと 、 さく ば ん げ ふ (
下 金 )つ か ま つ り 候 。 御 さ う
ゑ コ﹃ 5。 即×ε 。 ㊤邑 ﹂ 碧 ら巴 ・。 8 δ コ。賓①も ま N⊆ 琴
︹2 ︺ ﹁ひ に ん ﹂ (お よ び
のた め さ う ざう し よ ぢ や う (
書 状)
も って申 いる べき 候 と ころ ⋮ ⋮ ⋮
5帥ρロ げ帥α三 コ 三
ロ。 苫 甑
(
三五三頁)
コ胃 = 仁o h凶8 ヨ 凶轟
2 コーコ
③ た だ いま と う め (
遠 目 )の あ ん な い に 、に ほ ん ふ ね に そ う ま い り 申 候
き
よ し 申 さ れ 候 。 さ だ め て こ の ち う (中 )
よ り 御 はな し な さ れ 候 御 し
九 8。 フ ラ ンサ の帝 王 に て ま し ます サ ン ルイ スは 、 御 威 光 に か か
﹁御 さ う の ご と く ﹂ は 、 改 修 本 で は ﹁お お せ く だ さ れ
し や ぶ ね に て 御 ざ 候 や 。 御 さ う の た め 申 い れ 候 (三 八 三頁 )
右 の原 刊 本 の①
号
1980
第
30
滋 大紀要
158
そ の 足 を 洗 い 、 の こ い給 う な り 。 テ オ ド シ ョ と 申 す ロ マ の 帝 王 の
べき で あ る と 思 わ れ る が 、 翻 字 に際 し て
結局
﹁非 人 ﹂ と す る か
﹁貧 人 ﹂ と
﹃ヒ イ デ ス の 導 師 ﹄ に お け る ﹁ひ に ん ﹂ は ﹁貧 人 ﹂ の 意 味 に 解 す
後 宮 は 、病 人 の所 々を めぐ り 、 ぢ き に下 女 のご と く 使 わ れ 給う な
のよ う な ので
す る か は 、 国 内 の用 字 例 に 従 え ば 前 者 と な り 、 キ リ シ タ ン資 料 の国 字
ひ にん
本 に よ れ ば 後 者 で も よ い こ と に な る 。 し か し 後 者 の 例 (﹁貴 人 ﹂)が 孤 例
り。 ま た ウ ンガ リ ヤ の み か ど の姫 宮 に てま し ます サ ンタ イ サ ベ ル
は 、 病 人 に 宮 つ か い給 う の み な ら ず 、 癩 瘡 な ど に 薬 を つけ 給 う な
﹃ぎ や ど ぺ か ど る ﹄ に お け る 何 ら か の 誤 り (たと え ばも と
り 。 ガ リ カ ノ と 申 す 大 将 は ⋮ ⋮ か の大 人 は 、 ひ に ん の足 を 洗 い、
あ ったと いう よ う な こ ピ。ただ し かり に誤 り であ ったと し ても 、 こ の語 の次 が ﹁
撫
も と 漢字 を ﹁
非 人 ﹂ とす べき であ った 、あ る いは ルビを ﹁ひ ん にん ﹂ とす る はず で
︿原文 のズ は ヅ の誤 り﹀を 捧 げ 、油 断 な く 病 人
飯 台 を と と のえ 、 手 水
が 穏 当 か と 考 え る (﹃ヒ イデ スの導 師 ﹄ に は ﹁ひ ん にん ﹂ の用 例も 四六 一
ニー9、 五
は 単 純 で はな い)を 想 定 す る 余 地 が 生 じ る よ う に 思 わ れ 、﹁
非 人 ﹂と す る 方
畷 ﹂ であ る こと や ﹁日ポ 辞書 ﹄ の ﹁ひ にん ﹂な どか ら考 え て 、そ の由 って来 たる所
に 宮 つ か わ る る こと 、 ひ と え に や つこ の ご と く な る を 、 人 み な 見
右 の 文 の 二 か 所 の ﹁ひ に ん ﹂ に 当 た る 語 は 、 ス ペ イ ン 語 の 原 典 で は
〇 八 17 22 にあ る。な お ﹁コンテムツス ・ム ンヂ ﹄の前 掲 の ロー マ字本 と 国 字本 と の間 に
て 奇 異 の思 い を な せ り )
同様 。 な お ﹁ロド リ ゲ ス日本 大 文 典﹄ に 引例 中 の ﹁ひ にん ﹂も 同 様 のよう で あ る )
。
﹁貧 し い 人 々 ﹂で あ る (一二五 20、 二 = 二23、 三 一 一15 の ﹁ひに ん﹂ に つ いて も
﹁ひにん﹂
← ﹁ひんにん﹂、お よ び逆 の ﹁ひん に ん﹂
← ﹁ひ にん ﹂と いう 動揺 例 が 見 られ 、
意
味 が等 し く 発音 上 も小 異 し か無 か った 二語 の同 時 存 在 のも た らし た現象と解され る )
。
﹃日 ポ 辞 書 ﹄ は 本 篇 に 閃一
三ロ
・補 遺 に 閃ぎ三目.を 掲 出 し 、前 者 に は ﹁マド
シ イ ヒ ト ﹂、後 者 に は
ん ぴ ゃ う ﹂(。雪 げ凶
α看 病 ) と 同 じ 意 味 で 、
つ いで に 、 これ と関 連 し て
﹁す な わ ち ヒ ニ ン ﹂ と 記 し て そ れ ぞ れ ポ 語 訳 す る
(コリ ヤード の ﹁
羅 西 日辞 典 ﹄ は大 塚 氏 の索 引 に よれ ば ﹁ひん に ん﹂ の方 だけ であ
﹁か び ゃ う ﹂ の 場 合 を 考 え て み る と 、﹁か
る )。 前 者 に 対 し て の ﹃邦 訳 H ポ ﹄ の 注 は 、 ﹁ヒ ニ ン ﹂ に 宛 て る 漢 字 が
のよ う に 用 いら れ て いる が (
﹁か び ゃう ﹂は右 の ほか 一七 8、 四六 五 19 にあ り 、
b
σ一
α三 コ三 8 σ剛
α ロ。 轟 邑 (二 〇 五 19 。病 人 に か び ゃう を な し )
と あ る (﹁ひん に ん﹂ も ﹁
非 人 ﹂ もな い。﹃
落 葉 集 ﹄ には ﹃易林 本 節 用集 ﹄ と 同様 に
ひに
ん
ひ
んに
ん
﹁
非 人 ﹂﹁
貧 人 ﹂ があ る )
。 一方 、 姉 崎 博 士 は 前 掲 の 文 中 で の ﹁ひ に ん ﹂ に 対
に は ど ち ら も な く 、﹃落 葉 集 ﹄ に は 両 方 共 あ る 。﹃日 ポ 辞 書 ﹄ に は Opげ録
る と 、﹁加 病 ﹂ で あ ろ う か 、﹁看 病 ﹂ で あ ろ う か 。﹃ぎ や ど ぺ か ど る 字 集 ﹄
か ら ﹁ひん にん ﹂ への場 合 と等 し い)
、こ の ﹁か び ゃ う ﹂に 漢 字 を 宛 て る と す
(﹁非 人 ﹂でな く )﹁黄 人 ﹂ で あ る こ と の 理 由 を も 示 し て い る 。 そ こ に 引 か
ひ
に
ん
れ て い る よ う に ﹃ぎ や ど ぺ か ど る 字 集 ﹄(
高 羽氏 翻 刻本 。四 七頁 )
に は ﹁貧 人 ﹂
﹁非 人 ﹂ を 宛 て ら れ た 。 博 士 が こ の 語 を ど の よ う な 意 味 に 解 し て
と O塞 げ①α・と の 双 方 を 見 出 し に 立 て 、 後 者 に は
﹁か ん び ゃう ﹂ は 四 六 六 13にあ って 、 nの入 った方 が 後 に出 現す る こと は、﹁ひにん ﹂
﹁非 人 と 黄 人 と 通 用 ﹂(前 掲 書
言 葉 で は O中瓶 α と いう 形 も ま た 通 用 し て い る ﹂ と 述 べ る 。 こ の 考 え に
前 者 の 説 明 に お い て ﹁本 来 の 正 し い 語 は 。睾 甑α で あ る け れ ど も 、話 し
し て
お ら れ た か に つ い て は 、﹃捨 世 録 ﹄ の 中 で
従 えば
﹁ま た は 。pぴΦα●﹂ と し 、
一二 一頁 )
等 のよ う に 脚 注 し て お ら れ る こと によ って察 す る こと が でき
る が 、﹃日 本 国 語 大 辞 典 ﹄ は
﹁加 病 ﹂ で (も )よ い こ と に な る 。 国 内 文 献 に お け る
﹁非 常
に 貧 し い 人 ﹂ の 用 例 と し て ﹃愚 迷 発 心 集 ﹄ な ど か ら 引 く 。 国 内 文 献 で
ば
﹃東 寺 百 合 文 書 ﹄ に あ る が (年不 詳。﹁日本 国 語 大辞 典 ﹄によ る )
、﹃
大 漢和 辞
﹁非 人 ﹂ の条 を 五 分 類 し 、 四 番 目 に
は 次 掲 の ﹃庭 訓 往 来 ﹄ 等 の ﹁非 人 施 行 ﹂ な ど の 場 合 を も 含 め て 、﹁ひ に
は
﹁か ん び ゃ う ﹂(看
﹁加 病 ﹂ の 用 例
﹁看 病 ﹂ と 書 く こ と に な る が 、﹃落 葉 集 ﹄ に 従 え
ん ﹂ は (﹁貧 人 ﹂ で な く )﹁非 人 ﹂ と 書 か れ て い る 。
典 ﹄ に は こ の 語 は 掲 出 さ れ ず 、﹁加 病 ﹂ と いう 用 字 は
病 ) の 語 が 発 音 の 上 で ﹁か び ゃ う ﹂ を 派 生 し て 以 後 に 、 宛 て ら れ た か
﹁か び ゃう ﹂ は
接 待 千 僧 供 養 、 非 人 施 行 等 也 (寛 永八 年 版 ﹁
庭 訓 抄﹄ 下 37オ。 た だ し古
七竃ウ
典 資 料 12 とし ての複 製 本 に よる。 妙 文 に ﹁
非 人 二施 行 スト 云 ハ、毎 月 ア ラザ
カ
ドゴ
ヒ
ヒ
ク
ル者 ノ門乞 ヲ ソラ サズ 、 物 ヲ引 、 是也 ﹂ とあ る )
O
157
木)
1592年 天 草 版 「ヒ ィデ ス の 導 師 」 の 諸 問 題(鈴
●
ひ
にん
と 考 え る 。 し た が っ て ﹁加 病 ﹂ は ﹁貴 人 ﹂ と 同 様 に 、 一時 期 に 一部 に
行 わ れ た 用 字 に 過 ぎ な い の で は な い か と 思 わ れ 、﹁か び ゃ う ﹂ に 対 し て
︹3 ︺ ﹁み や つ か わ る る ﹂ の ﹁る る ﹂ に つ い て 。 前 引 の 文 中 に 、
は ﹁看 病 ﹂ を 宛 て る の が よ い と 考 え る 。
手 水 を 捧 げ 、 油 断 な く 病 人 に み や つ かわ る る こと 、 ひ と え に 奴 の
﹁大 人 が 病 人 に 奉 仕
﹁手 洗 水 を か れ ら に 与 え 、 随 分 気 を
﹁大 人 が 病 人 か ら 使 役 さ れ る こ と ﹂ か と い
﹁る る ﹂ は 尊 敬 か 受 身 か 。 つ ま り 意 味 上 は
ごとくな るを
とある
な さ る こと ﹂ か 、 そ れ と も
う 問 題 であ る。 原 ス ペイ ン語 で は
こ の 文 よ り も 前 に 、 先 引 の よ う に ﹁下 女 の ご と く 使 わ れ ﹂ と いう 受 身
は っ て 病 人 た ち に 仕 え ⋮ ⋮ ﹂ と いう 意 味 で あ っ て 、 受 身 表 現 で は な い。
の 用 法 が あ る け れ ど も 、 他 面 、﹁宮 つ か う ﹂ と いう 四 段 動 詞 の 使 い方 を
﹂も
見 る と 、 自 動 詞 の ﹁奉 仕 す る ﹂(
身 のま わり の世 話 を か いが いしく す る )意 で
﹁病 人 に 宮 つ か い給 う ﹂ と あ る の で 、 こ の ﹁病 人 に 宮 つ か わ る る
他 動 詞 の ﹁召 し 使 う ﹂ の 受 身 と は 取 ら ず に 、 尊 敬 と 見 る 方 が よ い か と
﹃日 本 国 語 大 辞 典 ﹄ で は ﹃古 今 著 聞 集 ﹄ 等
か ら 挙 げ て い る の で 、 当 時 存 在 し て い た こ と は 否 定 で き ま い が 、﹁日 ポ
思 わ れ る。 他 動 詞 の 用例 は
で 、 こ の点 か ら も 尊 敬 説 が支 え ら れ る であ ろう 。
辞 書 ﹄ の 護 pNN8 辞 ζ ぐ 禽 Nロ。巴 は ど ち ら も 自 動 詞 と し て の 説 明 な の
一五 九 二年 天 草 版 ﹁ヒイ デ ス の導 師﹂ に関 し て 考 究す べ き 問 題 は 以 上 に尽 き る わ け で は
ては 筆 硯 を 新 た にし て述 べ た いと思 う 。 終 わ り に ラ イ デ ン大 学 、上 智 大 学 、天 理 大 学 、 近
な い。 特 にそ の用 語 に つ い て の国 語 史的 考 察 は 説 き 残 し た と ころ が多 いが 、 そ れ ら に つ い
松 洋 男 教 授 、 榊 田喜 三 氏 、 そ の ほ か 御厚 情 、学 恩 を 賜 わ った多 く の 機 関 、 方 々に 深 甚 な る
謝 意 を 表 す る 。(一Φ。。O醤 ㊤並 ωO□)
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