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N:\ *H25石橋賢一\2013g後期\g2013薬治3\2014
感染性心内膜炎:Infective Endocarditis • 心腔、弁、大血管の心内膜感染:細菌性(真菌) 疣腫(vegetation疣贅):全身性敗血症: • 菌血症、血管塞栓、心障害が起こる • 乱流ジェットが心内膜に吹きつけ内膜損傷:先天性心疾患(心室中隔欠損症、動脈管開存)と 短絡手術(Fallot四徴症)、弁狭窄・閉鎖不全、複雑心奇形、心臓手術後に • 血小板とフィブリンが沈着:非細菌性血栓性疣腫形成(WBC入れない) • 流血中の細菌が付着し増加すると感染性心内膜炎となる:歯科的治療がもっとも多い • 起因菌:緑色連鎖球菌(Strept. viridans)50%、黄色ブドウ菌(Staph.aureus)、表皮ブドウ球菌( Staph.epidermidis)、腸球菌(enterococcus)ですべてグラム陽性 • 連鎖球菌・腸球菌・表皮ブドウ球菌では亜急性に進行し、ブドウ球菌では急性に進行 • リウマトイド因子陽性、γグロブリン値上昇、補体価低下 • 1.全身感染である敗血症 2.心組織破壊:弁閉鎖不全:新しい心雑音 • 3.疣腫から菌の付着した血栓が流血中に流出し末梢血管を栓塞: • 視力障害(中心網膜動脈塞栓), 筋肉痛, 肺塞栓,皮膚点状出血,爪下線状出血,指趾掌側の 有痛性皮下結節(Osler結節)、指趾掌側の無痛性小赤色斑(Janeway発疹)、中心部が白色 の眼底出血性梗塞(Roth斑),脳梗塞,腎動脈塞栓、糸球体腎炎(免疫複合体による) • 心エコー図で確認できる疣腫は5mm以上 • 24時間以上かけて連続3回以上の血液培養(静脈血培養)を十分な量の血液で採る(好気性 菌と嫌気性菌):既に抗菌薬を用いている場合は、その一時的中止も必要 • ペニシリンGを大量・長期間(15〜20万単位/kg/日(上限2,000万単位/日)を持続注入または6 回に分けて静注(アミノギリコシドを併用も)4週間 2014-0106薬治3A感染症3 1 • 内科治療で軽快しない場合、急性期の治療としても外科的治療も併用 BEの予防的抗生剤投与 1.歯科手技における抗菌薬投与による感染性心内膜炎(IE)予防は困難 2.歯科手技における抗菌薬予防投薬はハイリスクの心疾患患者のみに勧められる。 3.心疾患のあるものへの抗菌薬予防投与は、歯科手技だけでなく、歯肉・口腔内粘膜を含む全て の口腔内の手技に際して勧められる。 4.「IEのリスクが高い」と言う理由だけでの予防投薬は勧められない。 5.IE予防という理由だけでの、泌尿器科的手技、または消化管に対する手技における抗菌薬の予 防投薬は勧められない。 人工弁置換患者、先天性心疾患(心房中隔欠損は除く)、動静脈短絡術後患者、感染性心内 膜炎の既往者などハイリスクの患者は、日常生活でのう歯の予防、ニキビ、便秘に注意 高リスク患者では歯科処置の30-60分前に予防的抗生剤を投与し、忘れても処置2時間以内投与 なら有効 アモキシリン2g(アレルギーにはセファレキシン2g/クリンダマイシン600mg/アジスロマイシン500mg) 2 消化管感染症 • 感染性下痢:便培養意義少(3%以下) • 3日以上続く・血便・粘液便は便培養 • 市中感染(旅行者も)。医療行為関連 • 持続性(1週以上);寄生虫・非感染性 • 便培養:サルモネラ、赤痢菌、キャンピロバクター • 志賀毒素産生大腸菌をルーチンに調べる • デフィシル菌は抗生剤長投与で考慮 • 食中毒:6時間以内は毒素型 (黄色ブ菌、セレウス菌: 芽胞は耐熱性で嘔吐毒セレウリド) 下痢よりも嘔吐 • 1‐3日後は感染性: 痢菌やノロウイルスは少量で発症 • 血便は出血性大腸菌: • 組織浸襲性(便中白血球)は サルモネラ、赤痢、キャンピロバクタ • 脱水を治療:ロペラミド(下痢止め)は 発熱・腹痛・血便で考慮:抗生剤で長引く 3 4 赤痢菌shigella キャンピロバクター感染 • Campylobactor jejuni(“campylo”(カーブした))グラム陰性で らせん状に湾曲:微好気的 • 家畜由来(鶏肉:ウシやヒツジなどの家畜で流産や腸炎を起こす)、 • ペットの腸管内にも、生鶏肉の50パーセント以上に汚染 • 100個程度の少ない菌量で食中毒 • 便潜血陽性 • 後から関節炎・ギランバレー症候群(腸炎が完治してから10日程経過した後に発症) • 自然治癒するが重症や1週以上、免疫低下では抗生剤(キノロンは20%耐性でアジスロマシンや エリスロマシンにかえる) • 牛レバーの内部に腸管出血性大腸菌やカンピロバクターが汚染:生肉に触ったら、十分に手を洗 浄消毒 エルシニアyersinia グラム陰性の通性嫌気性桿菌(ペスト菌も) Yersinia enterocolitica :ブタ(扁桃腺・舌)、ネズミ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ヤギ、イヌ、ネコ 0-4度の冷蔵庫内の温度でも増殖可能(冷蔵庫の悪魔):37度では増殖遅い 60度以上での1-3分間の加熱でエルシニアは不活化 潜伏期は、1-11日 発熱、腹痛、下痢で、しばしば血便(パイエル板感染で虫垂炎と紛らわしい:偽虫垂炎症候群) 自然治癒するが重症にはフルオロキノロン 5 続発症に関節炎や結節性紅斑 • • • • 志賀毒素(ベロ毒素:vero細胞に対し毒)産生大腸菌で出血性腸炎 ハンバーガー、水(野菜)、食事、家畜、ペット、人からもらう 熱なく下血下痢と腹痛 O157:H7の感染(Shiga toxin-producing E. coli, STEC)の10%にHUS(Hemolytic-uremic syndrome 溶血性尿毒症症候群;血小板減少症、溶血性貧血(破砕赤血球)、腎機能障害 、脳症)子供に多い:大半の症例で腎機能は回復:致死率1 - 5% 便培養ルーチーンに:志賀毒素の免疫検査もある 抗生剤は毒放出してHUS起こしやすく禁忌(菌が同定されたらすぐやめる); • • • • • • サルモネラ:チフス・パラチフス • • • • • • • • • • • 大腸菌感染 • • 腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticus • • • • • • • 好塩性のグラム陰性桿菌:増殖に1-8%NaCl必要:15℃以下のときには増殖抑制 バイブレーション(To vibrate)を意味するラテン語で、鞭毛が激しく振動する性状から 毒素(溶血毒>心臓毒性)は耐熱性:感染成立に100万個以上の生きた菌の摂取が必要 生牡蠣の6-12時間の潜伏期の後に、激しい腹痛を伴う下痢(ときに血便):感染部位は小腸で 上腹部痛:肝疾患患者で重症>敗血症に:Vibrio vulnificusは下痢なく菌血症、壊死性筋膜 炎「人食いバクテリア」で鉄中毒(肝疾患)がリスク 通常は抗生物質を使用しなくても数日で回復 重症や肝疾患ではドキシサイクリンやフルオロキノロンで治療 下痢止めは菌の排出を遅らせるため用いない 7 グラム陰性通性嫌気性桿菌(大腸菌属と近縁);ヒト とサルのみを自然宿主:1898年発見 100以下でも感染する:大腸上皮細胞に浸入(マイク ロフィラメントを形成するアクチンを利用して細胞質 内を移動)炎症:志賀毒素(シガトキシン:ベロ毒素 1) 腹痛・血便・テネスムス・高熱・便中白血球 後から反応性関節炎 便陽性は症状なくなっても全員治療:菌排出期間を短 縮 フロロキノロンを5日 Salmonella enterica チフス様(熱と意識障害)と非チフス様 卵・肉・野菜・果物・ミルク・爬虫類から 3日以内に症状おきて1週で治る 5%に菌血症で大動脈炎おこしやすい リスク:65歳以上,胃酸低下,AIDS, 鎌状赤血球 抗生剤で排菌長引く:50歳以下は無治療 重症以外でも6ヶ月以下や50歳以上、人工弁・人工関 節、癌・尿毒症、動脈硬化(感染性動脈炎おきやすい )、鎌状赤血球、細胞性免疫低下では抗生剤投与 フルオロキノロン 5-7日:免疫低下では2週 平均5週は排菌するので感染防止に手をよく洗う チフス:39℃以上の高熱を伴い、発症徐脈(脈が遅 くなる)、バラ疹、脾腫、下痢(潜伏期は14日前後 ) 6 コレラ • • • • • • ヒト以外に感染しないコレラ菌( Vibrio cholera )のO‐1型(古典型(アジア型強力)とエルト ール型エジプトのシナイ半島のエルトール(ElTor)村だがメッカ巡礼のインドネシア人から) あるいはO‐139型に経口感染:重症となるのは、感染した人のうち20人に1人:致死率は 1.72%(無治療ではアジア型80%, エルトール型10%) コレラ菌発見より30年前の1854年のロンドンで汚染された飲用水とコレラ患者発生との 関係を疫学的によりJohn Snowが証明 ヒト小腸で増殖(アルカリ好む)し侵入しないが腸毒素(コレラ毒素)を放出して下痢おこす( 一日5‐10リットルを超える)発熱ない(低体温):下痢止めは禁:1リットル水にNaCl=3.5g, KCl=1.5g, glucose20g, 重曹2.5g (ORS:oral rehydration solution):先進国では輸液のみ:抗 生剤は下痢短縮:患者の便の中に20日間以内コレラ菌出てくる 不活化ワクチン50%予防、効果も6ヶ月以内:コレラにかかっても不完全な免疫 コレラ菌は冷凍しても死なない: インドネシア産ロブスター、インド産エビ 野菜や果物は、自分で皮をむいたものを・アイスクリームや氷やサラダは避ける・歯磨き の水も注意・水は3分沸騰・ヨード5滴/1L・炭酸やビール/ワインは安全 8 ディフィシル菌 • • • • • • •ニューキノロン耐性菌の多いカンピロバク ターであれば、マクロライド系に変更する。 •投与日数も、赤痢菌ならニューキノロン系 抗菌を5日間、コレラ菌なら3日間 •赤痢菌の中にもニューキノロン耐性(イン ドでも頻繁に使用されている) •アメーバ赤痢であればイチゴジャム様の血 便 Clostridium difficileグラム陽性有芽胞の嫌気性菌で、発見当時は培養するのが難 しかった'difficult周毛性べん毛を持つ:芽胞形成で、熱耐性:摂氏100度、10分 の加熱やアルコールで生存:院内感染予防に感染コントロール(ガウン、使い捨て 手袋、石鹸手洗い)健康成人の約10%から本菌が検出(新生児高い)、抗生物質8週 以上投与患者の検出率が増加:集中治療室、新生児室、トイレ、流し台周辺からも 高率に分離:イヌ、ネコ、鳥類などのペットからも高率に 偽膜性大腸炎は血便を伴う下痢で、便性状は軟便、泥状便、水様便、膿が混ざる、 ときに熱(イレウスtoxic megacolon(直径7cm以上)では下痢無い:Clostridium difficle以外の培便養は意味が無い 抗生物質投与中または投与中止直後に発症(クリンダマイシン、アンピシリンでバ クテロイデスなど偏性嫌気性菌死):高齢な者ほど発症率は高く、新生児では発症 例はほとんどない 血液白血球3万以上あるのは疑う エンテロトキシン(toxin A)および細胞毒(toxin B):大便からの毒素検出キッ ト:健康保菌者由来株の約半数は毒素非産生株 治療薬:抗生剤やめる:バンコマイシン経口(点滴は無効)は吸収されない:20%再 発:経口メトロニダゾールも(点滴も可):新薬fidaxomicinで再発少ない 9 10 寄生虫感染 ウイルス胃腸炎:非細菌性急性胃腸炎 • • • ロタウイルス:5歳以下:水の多量下痢便(白色 便性下痢):感染細胞内で非構造蛋白NSP4が細 胞内Ca濃度上昇させ,細胞膜のCl‐透過性が増加: 冬季下痢症:1~3日の潜伏期間で下痢:約1週 間便中に排泄される:ORT (oral rehydration treatment):ロタウイルス弱毒生ワクチン • • ノロウイルス:オハイオ州Norwalk小学校で集 • • • • • • • 団発生 (Norwalk virus)>「ノーウォーク様ウイル ス属」を「Norovirus」2002年 カキなどの二枚貝(中腸線に蓄積)の摂食による 食中毒、感染したヒトの糞便や吐瀉物、その塵埃 を介して経口感染:RT‐PCR法で診断 乾燥状態で、4℃で8週間、20℃で3~4週間生存 毒素は分泌せずに十二指腸付近の小腸上皮細 胞を脱落(嘔吐):100個以下でも感染:50%に発 熱:分泌型で血液型がAまたはO型に感染 潜伏期間は2日以内で3日でなおる(老人や免疫 不全で長い)が、便からのウイルスの排出は1~3 週間程度続(7週間も)。 二枚貝を加熱して食べる時は十分に(中心部が 85℃、1分以上) 0.1%次亜塩素酸で2回ふく • 1週以上の下痢で疑う Blastocystisブラストシスティス感染:人獣共通感染性で糞便内に排出されるシスト型の経口 摂取により感染:病原性は疑問 Giardia lambliaランブル鞭毛虫:50%無症状、1‐2週後に下痢、体重減少、熱なし、低ガンマ グロブリン血症は重症化;3回以上便検査する:治療はメトロニダゾール10日:乳頭不耐症 が数週続く Cryptosporidium parvumクリプトスポリジウム(抗酸性染色):旅行者下痢症や水系感染症 の病原体:自然治癒:AIDSで重症化:nitazoxanideで治療 Amebiasis;Entamoeba histolyticaアメーバ赤痢:大腸に寄生し、糞便中にシストを排泄し、性 行為で広がることも:門脈から肝膿瘍へ:赤痢アメーバはミトコンドリアを欠く嫌気的単細胞 生物であり、グリコーゲンをエネルギー源:メトロニダゾール治療 ランブル鞭毛虫 アメーバ赤痢 11 12 • • 尿路感染症(UTI) 上行性感染:女性(16-35歳)は尿道が短く(24歳まで30%)45%再発:4%菌血症(13% 死亡率):薬剤耐性菌 • 腎盂腎炎,膀胱炎,前立腺炎、尿道炎(性行為感染症) • 85%大腸菌、10%staphylococcus saprophyticus, 5%グラム陰性棹菌:複雑性感染(構 造異常)ではいろいろ:DMや尿カテではカンジダも • 幼少児…大腸菌、腸球菌、Citrobacter freundi(腸内細菌が原因)。 • 思春期以降…大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、エンテロバクター属などのほ か、淋菌、クラミジア・トラコマティスなど性行為感染症 (STD) としても。 • 複雑性尿路感染症(解剖学的あるいは機能的な尿路の異常)、免疫不全患者など…緑 膿菌、真菌、セラチア属なども • アデノウイルスによる出血性膀胱炎 • リスク:(下部)包茎、不特定多数性的接触、性交後無排尿、HIV陽性、神経因性膀 胱、前立腺肥大 (上部)膀胱尿管逆流 (VUR)、重複腎盂尿管、水腎症、腎結石・尿管結石、尿管狭窄 、膀胱炎。 • 中間尿そのままで10白血球/ul以上(血尿あれば尿道炎や膣炎ではない):10万/ml 以上コロニー • エステラーゼ(白血球より)、硝酸(菌産生)陽性 • 妊婦の細菌尿は培養する 13 皮膚感染 伝染性膿痂疹 impetigo contagiosa 水疱性膿痂疹: 水泡、破れてびらん:黄色ブドウ球菌の表皮剥脱毒素:接 触感染:乳幼児に好発 痂皮性膿痂疹:A群レンサ球菌:アトピー性皮膚炎患者に好発 壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis 1型嫌気性菌(ビブリオ、嫌気性レンサ球菌)腸内細菌グラム陰性桿菌と A群β溶連菌の混合感染。傷から足の筋肉が急激に腫れ、水胞、横紋 筋融解・無痛・多臓器不全で死亡率30‐70%:緊急手術と抗MRSA薬( piperacillin‐tazobactam/cefepime・metronidazole/ cabapenem: cindamycinが毒素産生おさえる 2型:A群β溶連菌(時に黄色ブドウ球菌)の単独感染(人食いバクテリ ア)で50%TSS、 丹毒erysipelas: 溶連菌 表皮基底層・真皮浅層:顔面・下肢に好発: 硬い発赤腫脹(境界鮮明)、 悪寒、高熱、頭痛も:リンパ液循環障害から、細菌が感染しやすい(再発) 毛嚢炎 毛嚢に白色、点状の膿庖、発赤、腫脹、疼痛 せつfuruncle/黄色 ブドウ球菌 癰(よう)carbuncle毛嚢周囲の発赤・腫脹:顔面の癤や癰は面疔(放置で 髄膜炎の危険) 蜂巣炎、蜂窩織炎 Cellulitis:ブドウ球 菌や連鎖球菌 結合組織の炎症(細胞構造を細菌・炎症細胞が破壊し蜂巣状)下腿、腕 、手の広範囲の硬い浸潤、発赤(境界不鮮明)、腫れ、激痛、発熱、リンパ 節腫:水虫のところで、皮膚のひび割れがあると感染:合併症に組織壊 死、敗血症、髄膜炎、リンパ管炎 15 膀胱炎(女)排尿時の痛み、頻尿:治療はST合剤X2/3日or フォスフォマイシン3g: 妊婦はアモキシリン:2週以内は再発だが多くは再感染:飲水増やす・性交後排尿/ 抗生剤:6ヶ月以内の2回以上の重症再発は予防的抗生剤:尿路感染に経口ニトロ フラントイン、フォスフォマイシンがガイドラインに • 急性腎盂腎炎acute pyelonephritis:腎盂や腎臓に炎症が及ぶ:悪寒や震え、38度以 上の高熱、腰痛:治療外来:シプロキサシン500mgX2/7日 入院は点滴で(フルオロキサシン)(アミノグリコシド/広域βラクタム)(カルバ ペネム):反応後は経口に変えてもう1週 • 急性前立腺炎acute prostatitis:ST合剤/フルオロキノロンを4-6週投与 • 水分を十分に摂取し(できない場合は点滴して)、尿流を鬱滞させず、排尿を促す • 上部尿路感染症の反復:腎に瘢痕:腎機能の低下 • 上部尿路感染症は敗血症の原因として頻度が高く、ひとたび敗血症となると播種性 血管内凝固症候群や多臓器不全に陥る危険性 • 膀胱尿管逆流:抗菌薬一日一回少量飲み続けて自然消失:逆流防止術も 14 咽頭炎、紅斑は連鎖球菌 でβラクタム有効 膿はブドウ球菌でMRSAを カバーする 16 黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus erysipelas • • • • • impetigo contagiosa • • cellulitis • 通性嫌気性のグラム陽性球菌:培養された菌集落の色が淡黄色から黄色 コアグラーゼ(ウサギ血漿凝集)産生:表皮ブドウ球菌S. epidermidisがヒトの多くの皮膚表 面に最も多く分布:コアグラーゼ陰性ブドウ球菌属 毛孔、鼻腔内に存在する常在細菌:skin and soft tissue infection(SSTI) 細胞に局在する病原因子:プロテインA(抗体に結合)、フィブロネクチン結合因子 外毒素・スーパー抗原:エンテロトキシン群(食中毒)・TSST-1(毒素性ショック症候群毒素 -1)・表皮剥脱毒素・溶血素(ヘモリジン)・ロイコシジン -(白血球を殺す) スタフィロキナーゼ、プロテアーゼ、DNase、リパーゼ ペニシリン耐性菌、メチシリン耐性菌はMRSA、バンコマイシン耐性菌はVRSA、メチシリン感受 性はMSSA 正常な免疫を持つ患者ではMRSAによる皮膚感染の頻度は低く、治療の最初から抗MRSA薬を用い ることはしない。 MRSAとCA-MRSA • • • • • • • • carbuncle 17 necrotizing fasciitis MSSA菌血症より予後が悪い:MRSAに効く薬は弱い バンコマイシンとダプトマイシンがMRSA菌血症の治療の中心 バンコマイシンのMIC 2ug/mlは効かない バンコマイシン15-20ug/ml有効:20ug/mlで20%に腎障害 骨と人工関節のMRSA感染を経口治療で長期に治療できない: Linezolideがvancomycinより強力 院内感染型MRSA(HA-MRSA)は多剤耐性 CA-MRSA(community aquired市中感染型):白血球殺毒素(PVL)陰性が日本で多い:βラクタム 以外に感受性:クリンダマイシン,ST合剤、テトラサイクリン、リネゾイリドで治療:フルオ ロキノロンでMRSAになる:溶連菌もカバーするのはリネゾイリドとクリンダマイシン:MRSAも カバーするのはバンコマイシン、ダプトマイシン、テラバンシン、セフタロリン、リネゾリド 18 毒素性ショック症候群 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候staphylococcal scalded skin syndrome(SSSS): • 新生児・乳幼児に黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥奪毒素(菌体外毒素)が血液中 に入り、全身皮膚に達して、表層顆粒細胞間の棘融解: • Nikolsky現象(物理的刺激により水疱形成)、水疱内容は無菌: • 全経過は2~4週ほどで自然治癒、: • 膿痂疹にセファゾリン 毒素性ショック症候群toxic shock syndrome(TSS): • 黄色ブドウ球菌が産生する 外毒素(スーパー抗原)によって T 細胞が活性化され 、炎症性サイトカインのバーストが起こる: • 発熱、低血圧、発疹、苺舌、結膜充血、下痢が突然出現し、意識障害、播種性血管 内凝固、多臓器障害で死亡率 3%: • 日焼け様紅斑で触るとひりひりした痛み:約 1 週間で落屑: • 抗生剤と免疫グロブリンで外毒素中和/血漿交換、持続血液濾過透析 トキシックショック様症候群toxic shock-like syndrome:streptococcal toxic shock‐like syndrome ;TSLS: 劇症型A群連鎖球菌感染症:A群溶連菌による: • 四肢の疼痛、腫脹、発熱、血圧低下 • 発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的 • 発病後数十時間以内には軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS )、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)、ショック状態から死 • 伝染性があるので隔離(抗生剤投与24時間まで)家族にペニシリン予防投与 neonatal toxic-shock-syndrome-like exanthematous disease NTED: • 新生児の全身の紅斑:発熱、血小板減少、CRP 陽性:症状が軽い 19 20 MRSAに使える抗菌薬 A群β溶血性連鎖球菌(GABHS) •Glycopeptide: vancomycin • ヒトの間で広く保菌:感染経路は飛沫感染 • 猩紅熱:毒素性疾患streptococcal pyogenic exotoxins (erythrogenic toxins)A,B,Cに免疫アレルギーで発疹:1897年法定伝染病・2008年に削除: 急性糸球体腎炎、リウマチ熱が併発 • 壊死性筋膜炎:皮下脂肪をこえて筋へ向かう:数cm/h壊死が進行:1型は混 合感染で2型は連鎖菌(人食いバクテリア):MRIで診断:敗血症、DIC, 多臓器不全:死亡率30-70%:外科手術とバンコマイシン+カルバペネム:ク リンダマイシンは毒素産生おさえる:IgG投与も • streptococcal toxic shock‐like syndrome ;TSLS:レンサ球菌性発熱性外 毒素、菌体表層成分のM蛋白で猩紅熱の皮膚症状:咽頭炎からもおきうるが皮 膚から(半分は不明):壊死性筋膜炎を伴うショック、多臓器不全、凝固異 常(DIC):上の抗生剤、IgG,高圧酸素 • 化膿性リンパ節炎、蜂窩織炎、化膿性関節炎、骨髄炎、結膜炎、リウマチ熱 、血管性紫斑病、急性糸球体腎炎、掌蹠膿疱症など • ペニシリン系に感受性 • 溶連菌感染症罹患学童は、治療が開始から24時間は登校できない •Lipopeptide: daptomycin •Glycolipopeptide: telavacin •Oxazolidinone: linezoid(1日26000円) •Lincosamide: clindamycin •Macrolide: erythro, clarithro, azithromycin •Folate antagonists: TMP-SMX •Beta lactam: ceftaroline •Tetracycline: doxy, mino, tigecycline •Streptogramin: quinupristin-dalfopristin •Quinolone: moxifloxacin •アミノグリコシド系:Arbekacin •80%エタノール 22 ウイルス性皮膚疾患 • • • Kaposi水痘様発疹症(疱疹性湿疹)Kapoji's varicelliform eruption;HSVの初感 染:アトピー性皮膚炎に水疱が突然多発、全身倦怠感、発熱、有痛性リンパ節腫脹 単純ヘルペス;1型は口、眼、生殖器に感染し、2型は主に生殖器:日光がトリガー:初感染 は全身症状:再発は局所症状のみ(男性性器により多い):自然治癒促進(アシクロビル、 バラシクロビル、ファムシクロビル):繰り返す場合は少量長期投与 水痘・帯状疱疹:繰り返すのはHIV,癌を検索:治療は発疹おきて1‐3日以内にはじめる(神 経痛おきにくい):60歳以上は帯状疱疹ワクチンすすめる 噛み傷 • 20%は感染:犬よりネコ:混合感染:40%はブ菌、連鎖菌:嫌気性菌はバクテロイデス、ポル フィロモナス、プレボテラ:深い傷には抗生剤:アモキシリン/クラブラン酸を3‐5日 • • ネコ引っ掻き病:バルトネラ菌でリンパ節炎が1か月:自然治癒、アジスロマイシン治療も ヒトの場合:HIV, HBV, HCV,ヘルペス、梅毒も考慮:MRSAも 23 24