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讀賣テレビ放送株式会社

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讀賣テレビ放送株式会社
讀賣テレビ放送株式会社
24 時間 365 日の活動が続くテレビ報道の専用 IT 環境に
求められていたのは空きスペースの捻出と消費電力削減
Hyper-V の導入でスペース半減、消費電力 1/3 を実現
ソリューション概要
○プロファイル
読売テレビは 1958 年 8 月に民間テレビ放送局
として開局し、近畿広域圏に向けてテレビ放送
(アナログ・大阪 10 ch) を送り出しています。創
業 30 周年の 1988 年には、大阪ビジネスパー
ク (OBP : 大阪市中央区) にある現・本社ビルに
移転。2003 年に地上デジタル放送 (大阪 14
ch、リモコンキー ID 10) 、2008 年にワンセグ
放送もスタートさせました。現在のマスコット
キャラクターは、3 代目の「ウキキ」とその弟の
「ミニニ」。ICT を活用した放送、通信サービ
ス、放送番組の企画、制作、販売、文化事業など
の事業にも携わっています。
○シナリオ
・サーバー統合をサーバー仮想化 (Hyper-V)
で実現
・サーバーの冗長化構成を Quick Migration
で実現
○ソフトウェアとサービス
・Microsoft® Windows Server® 2008 Hyper-V™
・Microsoft® System Center Virtual Machine
Manager 2008
・Microsoft® System Center Data Protection
Manager 2007
○メリット
・ラック内のスペース効率を従来比 50% 向上
・サーバーの消費電力を約 1/3 に抑制
・運用管理の手間、工数の増加を抑制
・5 年間の IT コストを約 1/3 に圧縮
(今回の対象業務について)
○ユーザーコメント
「14 U のスペースを占めていた 6 台のサーバー
を Hyper-V で仮想化、統合した結果、必要なス
ペースは 7 U へと半減。ラック内に空きスペー
スを捻出することができました」
讀賣テレビ放送株式会社
報道局
報道業務部
報道システム担当
関岡 聖司 氏
1958 年開局の讀賣テレビ放送株式会社 (以下、読売テレビ) では、ニュースを扱う報道局にも
独自の IT 環境を構築し、30 台ほどのサーバーを使って報道システムを稼働させています。
ただ、空きスペースの不足からサーバーの増設や入れ替えができず、その一方で消費電力の削
減も求められるという難しい状況にありました。この問題の解決策として同社が選んだのは、
仮想化したサーバーを少数の物理サーバーに集約することによって、パフォーマンスや可用性
を低下させることなく、空きスペースの捻出と消費電力削減の両方を実現すること。そのため
の仮想システムとして選ばれたのは、機能、導入コスト、管理性、サポートの総合力に優れた
マイクロソフトの Hyper-V™ でした。完成した仮想システムは、2 台の物理サーバー上で 6 つ
の業務アプリケーションを稼働させるという構成。障害発生時は、Quick Migration 機能です
ばやく処理を再開できるようになっています。
導入背景とねらい
老朽更新を機に仮想化によるサーバー統合を企画
空きスペース捻出と省エネ対策の両方をねらう
大阪ビジネスパーク (OBP : 大阪市中央区) に本社を置く読売テレビは、1958 年 8 月 28 日に
開局し、近畿広域圏向けにテレビ放送を行っている民間テレビ放送局です。現在送り出されて
いるのは、アナログ (大阪 10 ch)、地上デジタル (大阪 14 ch、リモコンキー ID 10)、ワンセ
グ放送の 3 波。本業となるテレビ放送のほか、ICT を活用した放送、通信サービス、放送番組
の企画、制作、販売、文化事業などの事業にも携わっています。
読売テレビの IT 環境は、報道局や制作センター用のシステムとその他のシステム (基幹系、
情報系) で別々に運営されているのが特徴。報道局には自前の情報システム部門「報道業務
部、報道システム担当」があり、30 台ほどのサーバーで構成されている報道システムに対す
る企画、構築、運用管理の業務を受け持っています。
この報道局でサーバーを仮想化しようという機運が高まってきたのは、2008 年秋のことでし
た。「報道局のサーバー ルームには既にほとんど空きスペースがなく、増設や入れ替えもま
まならない状況でした。そうした折に数台のサーバーが老朽更新の時期を迎えたこともあり、
オープン系の世界でも広まりつつあるサーバーの仮想化に取り組んでみようと考えました」と
語るのは、報道システムの業務を統括する関岡聖司氏。別々のサーバーで稼働させていた業務
を少数のサーバーに集約することにより、ラックに空きスペースを捻出できるのではないかと
考えたのです。
また、企業の社会的責任 (CSR) にかかわる間接的なテーマとしては環境保護への取り組みも
ありました。「テレビ放送で省エネの旗振りをしている者として、まず自らが実践しなければ
ならないのは当然のことです」と、関岡氏。放送局内で消費する電力を少しでも削減するに
は、サーバー仮想化によって CPU の利用率を高め、サーバー統合で台数を減らすといった対
策が有効であるのは明らかでした。
導入経緯
機能、導入コスト、管理性、サポートも加味して
総合的に判断、マイクロソフトの Hyper-V を選ぶ
では、報道局の IT 環境に導入する仮想化システムにどのような機能と能力を求めるのか——。
選定と発注に先立って関岡氏が検討した主な要求項目は、パフォーマンスと可用性です。
讀賣テレビ放送株式会社
讀賣テレビ放送株式会社
報道局 報道業務部
報道システム担当
関岡 聖司 氏
「もっとも気になったのは、パフォーマンスで
した」と、関岡氏。1 台のサーバー上で複数の
業務アプリケーションを稼働させるのですか
ら、当然に業務への影響が懸念されます。
「そ
こで、最初に移行するのは CPU 負荷があまり
高くない業務アプリケーションに絞り込み、そ
の結果を基に、第 2 次以降の計画を立てるこ
とにしました」。第 1 次の対象となったのは、
ドメイン コントローラー、イントラネットの
Web サーバー、データベース サーバー、業務ア
プリケーションサーバーのそれぞれを稼働させ
ていた 6 台のサーバー。業務アプリケーショ
ンはパッケージソフトウェアではなく、すべて、
以前にカスタム開発したものばかりです。
また、24 時間 365 日活動を続ける報道局の IT 環境として、十分に高い可
用性も求められました。
「『1 分 1 秒たりとも止められない』というほどの
可用性レベルを求めているわけではありませんが、ダウンタイムは短いに
越したことはありません」というのが関岡氏の基本的な考え方。
「そこで、
物理サーバーは二重化し、片方がダウンしてももう 1 台で処理をすばやく
再開できるというレベルを要求することにしました」。
導入検討を開始した 2008 年秋の時点で、このような要求項目に応えられ
る Windows Server 用仮想化システムの有力な候補には Microsoft
Windows Server 2008 Hyper-V と VMware ESX の 2 製品がありました。
両者の仕様を机上で比較し、テスト機にインストールして使い勝手を試し
てみた関岡氏の結論は、
「機能面では VMware の方が優れているポイント
もいくつかあるものの、導入コスト、運用管理の容易さ、ベンダーによるサ
ポートなどを加味して総合的に判断すると、Hyper- V の方が報道局の IT
環境に合っている」というもの。
「OS の標準機能に含まれている Hyper-V
と違って、VMware ベースの仮想化システムはどうしても割高になってしま
います。また、Hyper-V は使い慣れた Windows の画面ですべての設定操
作を行えるので、システム管理の仕方はこれまでどおりでかまいません。
さらに、
マイクロソフトのテクニカルサポートの方からはそれまでにもさ
まざまな技術支援を受けており、導入検討の際もシステム管理者自らが構
築するための参考書を差し入れていただきました」。
システムの概要
6 つの業務アプリを 2 台の物理サーバーに配置
Quick Migration で障害発生時の可用性も確保
採用する仮想化システムを Hyper-V と決定した関岡氏は、早速、ハード
ウェア ベンダーのデル株式会社に要求項目を示してハードウェア構成の
検討を依頼。受領した提案内容を基に、導入に向けた社内手続きを進めて
いきました。
ハードウェアの構成は、x 64 サーバーが 2 台、VHD の格納先として 2 TB、
VHD と既存のファイルサーバーのバックアップ用に 8 TB の 2 台のスト
レージ アプライアンス、サーバーからストレージに iSCSI 方式でアクセス
するためのスイッチが 2 台というシンプルなもの (図 1) 。2 台の x 64
サーバーには Windows Server 2008 Enterprise Edition をインストールし、
メイン/サブの冗長構成にしてあります。機器の開梱からシステム構築まで
の作業を行ったのは、株式会社アイアクトの堀江洋行氏と西田隆志氏のお
2 人。普段は、報道局、報道業務部、情報システム担当でサーバーやクライ
アント PC の管理をしているスタッフです。
図 1 読売テレビの報道システムに採用された Hyper-V 環境。2 台のサーバーを冗長構成とし、
障害発生時は Hyper-V の Quick Migration 機能を使ってチャイルドパーティションを移動させ
る。復元用の仮想ハードディスク (VHD) とトランザクション データは、System Center Data
Protection Manager を利用して共有ストレージにバックアップしておく。
また、ゲスト OS には、対象業務アプリケー
ションの動作条件に応じて、Windows Server
2008・Windows Server 2003・Windows Server
2000 を選択。メインとサブの x 64 サーバーに
3 つずつ乗せる構成としました。
「サーバー統
合後の CPU 負荷の分布までは読み切れな
かったので、当面は単純な 3 + 3 構成として
おき、しばらく使い続けた後に CPU 負荷のモ
ニタリング結果を見ながら調整しようと考え
ました」(関岡氏) というのが、その理由です。
株式会社アイアクト
西田 隆志 氏
メインとサブの 2 台の x 64 サーバーは、いわ
ゆるアクティブ・アクティブで動作。万一片方
のサーバーがダウンした時は Hyper-V の
Quick Migration 機能を利用して "死んだ側"
の仮想ハードディスク (VHD) を "生き残った
側" に移し、1 台の x 64 サーバーで 6 つの
チャイルド パーティションを稼働させること
によって可用性を確保します。
「『6 パーティ
ション構成でも処理を継続できること』を
サーバーの要求仕様としてありますので、多少
速度は落ちるかもしれませんが、報道局の業
務に大きな影響を及ぼすことはありません」
株式会社アイアクト
と、関岡氏。切り替えには数十秒かかります
堀江 洋行 氏
が、その程度であれば問題なしという判断で
す。なお、Hyper-V でのフェールオーバーには物理サーバー上で動作するド
メイン コントローラーが必要となるため、既存の空きサーバーに
Windows Server 2008 ベースのドメイン コントローラーを別途構築しまし
た。
さらに、運用管理のためのツールとしては、物理/仮想サーバー管理ツール
の Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008 (SCVMM) と
データ保護ツールの Microsoft System Center Data Protection Manager
2007 (SCDPM) の 2 本を導入しました。
讀賣テレビ放送株式会社
SCVMM の主な役割は、仮想サーバーの管理と仮想環境の生成 (P2V) 。
CPU 負荷がそれほど高いツールではないので、フェールオーバー用のドメイ
ン コントローラーと同じサーバーに併せて組み込んであります。
また、ストレージ アプライアンスにプリインストールされている SCDPM
は 2 台の x 64 サーバー専用の統合バックアップ ツールとして導入したも
の。VHD もトランザクション データも定期的にバックアップしていますか
ら、Quick Migration 機能でチャイルド パーティションを移す際も最新の
状態を反映させることができます。
「バックアップ間隔は、
『2 週間前の状
態に戻したい』というニーズに応えることを念頭において、ストレージ容量
を基に算出しました」(関岡氏)
導入によって得られた効果
占有スペースは半分に減少、消費電力も 1/3 に
運用管理やハードウェアのコストも抑制・圧縮
「こうして構築が進められた第 1 次の仮想化
システムは、2009 年 4 月に基本部分が完成。
チャイルド パーティションに業務アプリケー
ションを載せ替える準備が整いました。
株式会社よみうりテレビ
サービス
松元 美穂 氏
導入によって得られた効果として、関岡氏は
ラック内のスペース効率を高められたことを
まず挙げます。
「転換前は、6 台のサーバーが
14 U のスペースをラックに占めていました。
これに対し、現在の占有スペースは 1 U の
サーバーが 2 台、ストレージが 3 U、iSCSI な
どで 2 U の合わせて 7 U。以前の半分で済む
ようになり、ラック内に空きスペースを捻出す
ることができました」。
また、サーバーの台数が減ったことによって、結果的に報道局で消費する
電力も抑制できています。
「厳密な測定をしているわけではありませんが、
台数減と最新型への置き換えによる効果で消費電力は従来の 1/3 になっ
たと見ています」と、関岡氏。部署ごとの省エネ対策実施状況を管理部署
に報告する際は、この成果をリストに書き込もうと関岡氏は考えていま
す。
運用管理面では、Windows Server と同レベルの使いやすさが手間や工数
を抑えるのに役立ちました。
「操作画面はすべて Windows ベースなので、
新しい操作方法やコマンドを覚えなくて済みました」というのが、堀江氏
と西田氏に共通のコメント。報道局イントラネットの運用管理と業務ア
プリケーションのリリースを担当している株式会社よみうりテレビサー
ビスの松元美穂氏も、
「SCVMM でサーバー管理やリリースをする際、こ
れまでのやり方との違いはほとんど意識していません」と語ります。サー
バー台数が減ったことにより、毎日のバックアップやリース期間満了に伴
う入れ替えなどの作業工数も確実に減少しました。
一方で、
「会社は、サーバー台数の削減によるコスト圧縮効果を高く評価
しています」(関岡氏) とのこと。試算では、今回の対象業務に費やされ
る 5 年間の IT コストは、仮想化しなかった場合に比べて約 1/3 になる
ことがわかっています。また、業務を統括している関岡氏にとって、開発
時のテストや実験のためのサーバーの調達作業が楽になること、旧バー
ジョンの Windows Server に依存する業務アプリケーションを使い続け
ることによって更改時期をぎりぎりまで伸ばせることも、歓迎できるポイ
ントです。
今後の展望
残り 9 台のサーバーも順次仮想化・集約の予定
Live Migration による可用性向上にも期待したい
15 台中 6 台でサーバー仮想化による統合のめどが立ったことを受けて、
読売テレビ報道局では残りの 9 台についても順次集約していこうと考え
ています。
「サーバー ルームに空きスペースはほとんどないので、スペー
ス効率はできるだけ高めていかなければなりません」と、関岡氏。
「しば
らく稼働させてようすを見たうえで、第 2 次仮想化の具体的な計画作り
にとりかかることになるでしょう」と言います。
また、仮想化を機に導入された SCDPM のさらなる活用策として、ファイ
ル サーバーのバックアップ/継続的データ保護 (CDP) も計画されていま
す。
「報道という業務の特性上、視聴者などの外部から託された動画像
データを社内でしばらく保管するケースも今後増えると想定されます。そ
こで、今回導入したストレージにはファイル サーバーのための容量も
たっぷりと用意しました。SCDPM を使えば、そうした大容量のファイル
サーバーも手軽にバックアップ/リストアできるようになると期待してい
ます」。
さらに、Hyper-V の次期バージョンに装備される Live Migration につい
ても、
「コストが変わらないのであれば、ぜひ使ってみたい」というのが
関岡氏の意向。24 時間 365 日活動し続けるテレビ報道の IT 環境で、
マイ
クロソフトの仮想化システムはこれからも活用されていくことになりそ
うです。
導入についてのお問い合わせ
本ケーススタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2008/casestudies/v-ytv.mspx
本ケーススタディに記載された情報は制作当時 (2009 年 6 月) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
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