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坂口 明 - 日本大学文理学部

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坂口 明 - 日本大学文理学部
平成27年度 日本大学文理学部付置研究所
研
究
課
所員個人研究費
研究実績報告書
所属・資格
史学科・教授
申請者氏名
坂口
明
題 ローマ帝国の社会構造
研究目的
および
報
ローマ帝国は明確な階層社会であり、皇帝とその一族、元老院議員身分、騎士身分、都市
参事会員、一般の市民、属州民、奴隷などの階層に分かれ、それらの間には大きな社会的・
経済的な格差があった。しかし、そこにはある程度の社会的流動性が認められた。これらの
各階層のありかたを、経済的な面、文化的な面を含めて検討し、ローマ帝国の社会をより具
体的、立体的に明らかにする。
研究概要
告
研 究
の
の
結 果
概
要
研 究
の
考 察
・
反 省
元老院議員をはじめとする貴族層の経済的基盤であった所領の経営について分析した。そ
れらは、奴隷制経営による直営地と小作制による小作地からなり、市場、使用可能な労働力、
立地などの様々な条件、所有者の経営戦略により多様な姿を見せた。おもに考古学的な遺構
の発掘報告により、そのことは裏付けられる。市民の商工業活動については、オスティアや
ポンペイなどの遺跡で、画像データを収集することができた。その結果、主要な街路にそっ
てほぼ途切れることなく商店が立ち並び、随所にパン屋やフロニカ(毛織物の縮絨と洗浄の
施設)などがあり、活発な経済活動が営まれていたことが確認できた。社会的流動性につい
ては、被解放者(奴隷身分から解放されたもの)関係の碑文史料から、その一族が都市参事
会員や騎士身分に上昇していった実例を集め、このような上昇が一般的ではなかったにせよ、
稀少でもなかったことを確認することができた。
ローマ帝国の社会的身分構成については、ある程度の見通しをつけることができたが、テ
ーマの大きさのため、設定した課題の一部にしか手をつけることができなかったことは、反
省点である。騎士身分についてはほとんど考察することはできず、また全体として生活や文
化に関する検討は不十分であった。また、社会的流動性についても、騎士から元老院議員へ
の上昇については、ほとんど手をつけることができなかった。もっとも、この動きについて
は、すでに多くの研究が積み重ねられてきており、それらを消化することで理解が得られる
と思われる。以上の点は、今後の研究課題としたい。
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項についてご記入ください。
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌名
巻・号
発行年月日
発行所・者
研究成果物
共著:
『各国史大系 イタリア1』
(山川出版社)のために、ローマ帝国の社会的諸身分、大
土地所有、都市の商工業についての章を執筆したが、出版が遅れており、今年中の刊
行を目指している。
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