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高草木 邦人 - 日本大学文理学部

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高草木 邦人 - 日本大学文理学部
平成 21 年度 日本大学文理学部個人研究費研究実績報告書
史学科・助手A・髙草木 邦人
研
究
課
題 近代ルーマニアの議会と政党
研究目的
および
研究概要
報
告
研 究
の
の
概
結 果
本研究は建国期の後日談か、或いは両大戦間期の前史として扱われる二十世紀転換期をルーマ
ニア史における転換期としてとらえ、欧米の歴史家たちによって一蹴され、新たな視点も導入され
ず、概説的に叙述されてきたルーマニアの議会・政党政治をルーマニア史の中で再度とらえ直すこ
とを目的とする。二十世紀転換期に建国五十年を迎えようとしていたルーマニアは外国から「輸入」し
た諸制度を独自の形に修正・変更した。従来の研究が逸脱した事例として片付けていたこの「歪み」
こそが当時のルーマニア社会を理解する手がかりになり、経済的・政治的に「後進国」とみなされる他
の東欧諸国や第三世界といった地域における西欧諸制度の導入と展開を検討するための一つのモ
デルケースになり得ると考えている。
20 世紀転換期ルーマニアは農業国であり、その住民の圧倒的多数は、不十分な土地を持つ農民
であった。しかしながら、農民の利益は政治の場で間接的にしか代表されなかった。しかし、農民な
ど民衆層の利益が直接的に政治化されなかったのは、単にエリート層の抑圧的な支配や「閉鎖的」
な議会制度のためだけではなかった。この制度に批判的な改革派知識人たち、さらに農村知識人た
ちも、その体制の根本的な変革ではなく、漸進的な修正を要求し、この体制の維持に対して一定の
共通認識を保持していた。こうして、こうして、外国から「輸入」した諸制度(二大政党制や議会政治な
ど)を独自の形に修正・変更し、単純な利益政党の競合ではないルーマニア特有の二大政党制が展
開することになったのである。
要
研 究
の
考 察
・
反 省
今年度の研究活動のなかで、ルーマニアの初期社会主義者の動向、初等教育教師と政治の問
題、そしてルーマニア近代史における二大政党の構造、及び二大政党の改革論も検討した。しか
し、テーマが広範囲であることから、これらの中で、現段階のところ、下記のように初期社会主義者の
動向に関して学術論文への投稿、そして、初等教師に関する研究発表のみしか研究成果として提示
できなかった。今後の課題として挙げられるのは、平成 21 年度に収集した史料の検討・解釈をさらに
深化させ、研究成果として学術団体・学術雑誌などへ発表・投稿していくことである。
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項についてご記入ください。
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
日本大学史学会
「二十世紀初頭ルーマニアにおける教師たち-『ルーマニア民主主義雑誌』のアンケートから-」
平成 21 年 6 月 13 日/日本大学
研究成果物
テーマ
誌名
巻・号
発行年月日
発行所・者
「十九世紀末ルーマニアにおける左派知識人-ルーマニア社会民主労働者党解党の再解釈-」
『史叢』
第 80 号
平成 21 年 3 月 31 日
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