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報告会の内容はこちら(PDFファイル 1.23MB)

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報告会の内容はこちら(PDFファイル 1.23MB)
震災支援の状況報告
重井医学研究所附属病院 小児科
特定非営利活動法人 ジャパンハート
吉岡 春菜
はじめに
3月11日に地震と津波が発生した。
ジャパンハートは3月17日から医師と看護師を
被災地に派遣し、医療活動を開始した。
それを知った瀧先生をはじめとする先生方が何
か協力できないかということで、ジャパンハート
への支援(人を送る、薬剤提供)が始まった。
ジャパンハートの拠点
桃生診療所設置
本吉地区避難所に
診療所を設置
避難民200名前後
医師1名、看護師3
名常駐
巡回診療も行う
仙台事務所
戸倉地区の避難所
に診療所設置
医師1名、看護師3
名が常駐
巡回診療も行う
福島県南相馬市からの依頼
で医師と看護師を派遣
その後集団避難のためニー
ズがなくなり、解散。
大須小学校避難所
に診療所を設置
医師1名、看護師
数名常駐
震災支援の方針
①医療支援
現在、県単位で多くの医療班が被災地支援をしているが、
ジャパンハートは中長期的に医療支援をしていく方針
→地元の診療所への医師・看護師派遣
現在のサイトを継続する
②被災した子どものこころの支援
被災地域の子どもたちの心理支援を東京学芸大学大学
院臨床心理士グループと共同で継続的に行う方針
→被災地の教職員や保育士の後方支援
定期的に現地へ足を運び、継続的な子どもの見守り
ミャンマーでのサイクロン孤児支援を生かして
災害時に求められる医療
JH
JH
行程と医療支援について
4月2日 ジャパンハート仙台事務所に到着
午後から南三陸町へ
ほとんど重井と
武田からの物資!
4月2日 南三陸町戸倉の診療所へ薬剤とおもちゃを搬入
☆戸倉避難所
避難民 200名
町全体が海に飲み込まれた印象で何も残っていない。
避難所のトイレや水道は自衛隊が供給。
電気は夜間6時~9時は自家発電。
食糧支援は行き届き、消費しきれずに古いものから摂取している。
食中毒について看護師が説明するが、いつ食糧支援が途切れる
かわからないという不安がある。
今月から他市町村への避難が始まっている。
成人:肺炎、花粉症、高血圧、糖尿病コントロール、腰痛、
下痢
小児:気道感染症、下痢(感染を疑うものと、身体化症状)
花粉症
戸倉での写真
4月3日 気仙沼市本吉地区に移動
☆気仙沼 本吉診療所
気仙沼市も沿岸部はほぼ壊滅し何も残っていない
高台にある清涼院と仙扇寺が避難所
炊き出しのみを目当てにくる避難民も合わせると100名前後
風呂はドラム缶、トイレは水を流し入れて使用
電気は夜のみ自家発電をしている
スタッフは周辺のお宅が好意で風呂を提供してくれる
皆さんなんとか、明るく元気にふるまっている様子
JH看護師が毎日巡回診療を実施している
4月4日 石巻市雄勝半島へ向かうが断念
唯一の橋が決壊し、沿岸部道路も悪路
小学校3か所、保育園1か所、中学校1か所を巡回
心理教育について案内
子ども100名中70人が死亡し、教師も11名中2名しか生
存しなかった大川小学校の校長先生に支援の案内。
被災した子どもの心の支援
①急性期ストレス障害をPTSDへ移行させ
ないためにできることを支援する。
②復旧が進み、保育園や学校が再開される前
に教職員を対象とした心理教育の研修会を
実施する。
③PTSDを発生した子どもに対しては、長期的に
その処理を行う。
急性期ストレス障害
死の恐怖を伴う体験にされされると、命を守るための防衛反応として、通常の記憶処理と
はことなる形の処理が脳内で行われる。この状態を「こころの傷」という。
大きな災害でこころに傷を負うことは当然であり、それをいかに自然治癒する方向へ
もっていけるかが震災直後の心理支援では大切なことである。自然治癒には時間が必要
で、すぐに治すということではなく、その流れに乗せることが重要である。
自然治癒の流れに乗れないと、数ヵ月後以後、トラウマが形成される可能性が生まれる。
トラウマとは直後の記憶処理がうまくいかないままで固定してしまった状態のことで、トラウ
マが形成されるとPTSD症状を示す。
そのようなことから、直後の支援はトラウマ形成を予防するために、自然治癒の流れに乗
せるということに焦点化される。
子どもが傷を負いながらも、自然治癒に向かうためには、ちゃんと泣いたり怒ったりしてそ
れを受け止めてもらうことが必要である。しかし受け止める側の大人も被災しており、子ど
もたちはみな大人を助けるために「よい子」になる。
そのような中で子どもたちを自然治癒の流れに乗せるために必要なのは「こどもらしく遊
ぶ」という行為を保障することが必要であり、子どもとしての満足感を得られること、それに
より過去に獲得した身体の安全感の記憶を活性化させることが、現在の辛い記憶を自然
治癒の方向へ向けて処理していく手掛かりとなる。
遊び隊
寄付いただいたおもちゃ類
おもちゃをもらって嬉しそう
地震ごっこ、津波ごっこ(自己治癒遊び)
仙台事務所を支えるメンバー
お礼
ジャパンハートの震災支援を応援 して
下さり、本当にありがとうございます。
また、新年度が始まる時期に出張させて
いただき、ありがとうございました。
今後も、被災地支援を継続的に実施する
必要性があります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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