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「浜村 淳のオススメ障害者シネマ(2)邦画・アジア映画編」
12月8日O.:. テーマ「映画」 「浜村 淳のオススメ障害者シネマ(2)邦画・アジア映画編」 スタジオ出演 ◆浜村 淳(はまむら・じゅん) ‥‥‥・映画評論家 大橋グレース(おおはし・ぐれーす)・・・自立生活センター職員(多発性硬化症) はるな愛:は~い。 “バリゕフリー・バラエテゖー”「バリバラR」の時間です。 パーソナリテゖーのはるな愛です。よろしくピース! 「バリバラ R」は、毎週金曜日よる 9 時、E テレで放送している障害者情報バラエテゖー 「バリバラ」のラジオバージョンです。今日はバリバラRのオリジナル企画です。 先週に引き続き、映画評論家の浜村 淳さんオススメの障害者シネマをご紹介していきたいと 思います。浜村さんどうぞよろしくお願いします。 浜村 淳:よろしくお願いします。 はるな愛:はい、そして今日も大橋グレースちゃんとともにお伝えしていきたいと思います。 グレース:よろしくお願いします。 はるな愛:先週は、ほんとにちょっと感動して涙がでるくらいのお話と・・・。 浜村 淳:それは映画がいいストーリーだからですよね。 はるな愛:いやあ、語りもすごかったですけど。 浜村 淳:先週に続いて今週も5本選ぶというのは本当に難しいですよ。 はるな愛:先週は、ちなみに浜村さんの洋画の、障害者シネマの洋画版おすすめベスト5をお伺いしましたけど、 今日は「邦画・ゕジゕ映画」ということで、ちょっとね、またぐっと身近な感じなのでよろしくお願 いします。 浜村 淳:そうですね。知ってる人ばっかりでますからね。 はるな愛:それでは、早速まいりましょうか。 「浜村 淳さんオススメ障害者シネマ~邦画・ゕジゕ映画」の 第5位です。 ♪座頭市 (歌:勝 新太郎) 「俺たちゃな 御法度の裏街道を歩く渡世なんだぞ いわば天下の嫌われもんだ」 浜村 淳:勝新太郎さんの声が聞こえてきましたね。これは感動の名作というほど格調高いもんじゃないけれど も、娯楽性たっぷりの作品なので、「座頭市」のシリーズを選んだわけなんです。 これね、子母沢寛(しもざわ・かん)さんという小説家の方がね、「ふところ手帳」という随筆、 1 エッセの中でね、80行ほどお書きになったんです。 「実際に、 『笠間の市』という男がいて、居合 切りの名人だった」って。この程度の話をね、うんとふくらませて、「座頭市」という映画にしたん ですよ。最初はね、「座頭市物語」といいましてね、やっぱり障害を持った人の悲しみをね、見事に 描いておりました。 はるな愛:視覚障害ですよね。 浜村 淳:そう、視覚障害ですね。 浜村 淳: 「ああ、目が開きてえなあ」という悲しみをね・・。 はるな愛:すごい。セリフまでしっかりと。 浜村 淳:あはは。で、小林幸子さんが10歳前後の頃、「座頭市二段斬り」という映画に出てるんです。 旅の少女なんですね。 はるな愛:子役で? 浜村 淳 子役で。座頭市が巡り会いましてね、だんだん身の危険を感じた座頭市がね、「オレの前を歩くんだ よ。何があっても振り返っちゃいけねえよ」っていうんです。 座頭市の少し前を歩きながら、小林 幸子さんがね、 「山王さまの お猿さんは 赤いおべべが大好きで」って歌いながら歩いてる。 林の中の一本道、両側からバラバラバラっと悪いやつが出てきて、座頭市に切ってかかるんです。 それを座頭市が「バザッ、ブスッ、ビシュッ」ってきってね。そして、前を歩いて行く小林幸子にね、 「振り向いちゃあいけねえよ」というね、名場面がありますね。 はるな愛:はあ、すごい。でも最近は、北野たけしさんとかも映画にされてたりとか色んな・・・。 浜村 淳:綾瀬はるかさんも、やってます。 はるな愛:へえ~。 グレース:女版の・・・。 浜村 淳:女性の座頭市、「ICHI」というタトルでやりましたですね。 でもやっぱりこれは勝新太郎さんのお家芸ですね。あの豪快な立ち回りとひょうきんさとね、 じつに見事になりきっておりましたね。 はるな愛:私、まだ見てなくて。グレースちゃんは? グレース:私はもう大好きで。 浜村 淳:そうですか!えっ~。 はるな愛:よく見る? グレース:よく見るっていうか、一時期はまって、もう一気に最初から最後までシリーズで、バッーと見たとき がありまして。視覚障害者がヒーローになるっていう物語があまりなかったので。 浜村 淳:ええ、そうですね。 グレース:もう憧れですよね。視覚障害者からしたら、ちょっと憧れの部分、持ってる私からしたら、憧れの部 分があって、ほんとに切れるのかなあ、とか言って・・・。 視覚障害者同士で、チャンバラじゃないですけど、ちょっとやってみたりして、 「痛い、やっぱ 無理だわ」とか(笑) 浜村 淳:気持ちの上でね。 グレース:そうですね。気持ちの上でやって、やっぱり映画は映画だといいながら、結局・・。 浜村 淳:座頭市が虐げられてバカにされていじめられるほど、最後に爆発して、バサッ、ブスッと切るところ で、よけいスカッとするんですよね。まあ、娯楽映画ですよ、これ。でもよくできた娯楽映画です。 はるな愛:やっぱり勝新さんの見たいですね。1962年から1989年までの結構長く、ロングでシリーズ化 2 されてたんですね。 浜村 淳:中で、「座頭市喧嘩太鼓」という作品はね、音で敏感に相手のいる場所を察して切ってかかってくる から、音を消してしまえと。つまり太鼓を盛んにたたくんですよね。これで座頭市が思わずオロオロ する場面があります。 はるな愛:そっかあ。まどわすんだあ。 浜村 淳:音で敏感に、つまり、するどい勘で相手を切っていく、これがわかったもんですから、 悪いやつら太鼓たたいて太鼓たたいて太鼓たたいて、彼の勘をまどわせる訳ですね。 はるな愛:はあ~。 浜村 淳:よく色々と考えたもんですね。 はるな愛:ね~。 浜村 淳:だんだんゕクロバットみたいになっていってね、けれんみたっぷりになっていったんですけどね。 やっぱり見て楽しいし、スカっとするという意味で、5位にいれました。 はるな愛:5位は、「座頭市シリーズ」でした。 はるな愛:続きまして、第4位お願いします。 浜村 淳:これは中国映画ですが、コン・リーが主演しました「きれいなおかあさん」をいれました。 ほとんど彼女、スッピンで出てます。そしてね、息子が聴覚に、つまりお耳が不自由なんですね。 小さな息子なんですが、それを女手一つで育てるんですね。いつも息子のそばにいてやりたいから 収入のよいお勤めを捨ててね、新聞配達をしたり、地下道で雑誌を売ったりするんですが、 結構取り締まりが厳しくてね、無許可で地下道で、雑誌を売ったらいかんわけですよ。 そこへ、バーッと警察が踏み込んできたりしてね、もう全部取り押さえていったりするんですが いよいよ、わが息子が小学校に上がるときに、面接で、聴覚に障害があるというので落ちるんですよ。 学校に入れない。これにコン・リーがね、敢然として抗議にいきますね。きれいなおかあさん、 きれいなだけではなくて、勇ましいおかあさんの姿も見事に演じきっております。 たくさん賞とったんですよ、この映画も。コン・リー自身も賞とりました。 はるな愛:ふ~ん。知らなかったです。ゕジゕ映画もけっこう見られるんですね。 浜村 淳:そうですね。よい映画、香港映画、中国映画、韓国映画、よい作品ははいってきますからね。 よく見ておりますよ。 はるな愛:いやあ、どうやって、コレいい映画かどうか、見分けるポント、浜村淳さんなりのポントってあ るんですか? 浜村 淳:実に簡単です。もう1回みたいなと思う映画がいい映画ですよ。 はるな愛:そっかあ。 「きれいなおかあさん」も、もう1回見たくなるような? 浜村 淳:もう1回見たい映画です。 はるな愛:第4位は、1999年の中国映画ですね。「きれいなおかあさん」でした。 はるな愛:続いて、第3位、お願いします。 浜村 淳:これは、日本映画でね、堺雅人さんが、今をときめく堺さんが主演しまた「ツレがうつになりまして」 宮﨑あおいさんと共演してますね。これ、NHKの大河ドラマ「篤姫」のコンビなんですよ。 3 はるな愛:そうだ、ほんとだあ。 浜村 淳:夫がうつになりましてね、宮﨑あおいさんが本当に苦労して苦労して、なんとか夫を救いたいとする んですが、こういううつという状態になった人に、「しっかりせい」なんて言うたら絶対だめなんで すってね。で、柔軟に付き合っていく。あるがままに付き合っていく。徐々に徐々によくなるのを待 つというのが大切だって、この映画でも説明してますね。 はるな愛:ふ~ん。グレースちゃんも見ました? グレース:私、「ツレうつ」大好きで、十何回も見てるんですけど、まず、堺雅人さんが大好きなんですけども 大フゔンなんですけども(笑) 。 「うつって誰にでもなる病気だよ」ってまず最初にでてくるんですね。 うつ病だって診断されたときに。そこから物語がどんどん展開されていくんですけども。あの、これ、 どんな時に見てもいろんな感情が芽生える映画だと思うんですよね。私もそううつの障害はないんで すけど、そつうつの症状があって、そうの時とうつの時が症状があるんですけど、そうの時に見たら、 「あ、ちょっといったん落ち着こうか、自分」って思えるし、うつの時に見ても、「自分はひとりじ ゃないんだな」とか、 「あ、がんばらなくてもいいんだ」とか、そういう思いにさせられるし、パー トナーと見に行っても、 「このパートナー私を支えてくれるかしら(笑)」とかね。いろんなこと思い ながら、いろんな立場で、何回見てもいろんな感情こめられるっていうか。 はるな愛:なるほどな~。うちのこの番組バリバラRでも、よく、うつの方のお話とかいろいろ聞くんですけど、 じつはですね、番組で視聴者のみなさんからオススメの映画を募集したところ、この「ツレうつ」っ て略していうんですけど、「ツレうつ」がオススメという方がおられまして、ちょっとね、メールを ご紹介したいと思います。 【東京都・40代・男性・ルインさん / 双極性(そうきょくせい)障害】 うつ病をテーマに、美化することなく描かれた最高の映画です。私自身、最も苦しかった時に、 この映画を見て励まされ、自殺願望を払拭するきっかけとなりました。 「こんなだらしない自分が情 けない。死にたい。死んでしまいたい。」 そんな思いを抱え、それでも必死に立ち直ろうとする主 人公に共感を覚えずにはいられませんでした。同時に、 「苦しいのは自分だけじゃない。決して心が 弱いのではない」という希望を与えてくれました。 浜村 淳:全くそのとおりですね。 はるな愛:どうですか、ルンさんがいってるように、「美化することなく描かれてる」っていう・・・。 演技のほうもそんな感じなんですか? 浜村 淳:そうですね。二人ともうまいのはうまいし、ユーモゕありますよね。 グレース:ユーモゕありますね。 浜村 淳:これで救われるんですよね。あんまり深刻にね、このテーマと、お客さん、立ち向かってくださいと いうふうにね、作られると、かえってこちらが重い心になりますからね。 グレース: 「ツレうつ」のサブタトルが、 「がんばらないぞ」。 浜村 淳: 「がんばらないぞ」 、そうです。 グレース:そうなんですよ。それは、奥さんもがんばりすぎない、本人もがんばりすぎない、っていう意味合い があって、すごくそれが素敵だなって、私は思って。うつの時は、しんどいかもしれないけれども、 そのしんどさの中で、いろんな波があるというようなね、しんどい中にも波があって、調子がいい時 にも波があるっていう。それがまさに美化されることなく、そのままデーンって、映画ででてるんじ 4 ゃないかなって思って。 浜村 淳:やわらかく表現してますよね。 グレース:そうなんですよ。やわらかく。 浜村 淳:ぶつけるんじゃなくてね。やわらかく、優しく表現してるんです。 だからかえって説得力がうまれましたね。 はるな愛:なるほど。これ2011年、最近の映画ですよね。 浜村 淳:最近の映画ですね。 はるな愛:第3位は「ツレがうつになりまして」でした。 はるな愛:続いて第2位です! 浜村 淳: 「名もなく貧しく美しく」 。 はるな愛: 「名もなく貧しく美しく」 。 浜村 淳:これはね、1961年、かなり昔の日本映画でね、まだカラーじゃなかったですね。 はるな愛:白黒? 浜村 淳:白黒、モノクロの映画でしたけどね。名作、名作、名作でね。高峰秀子さん、日本を代表する 名女優ですね。 「二十四の瞳」とかね、 「浮き雲」とか、数々の名作、名演技あります。この人のご主 人がね、松山善三さんといいまして、脚本を書く方なんですね。この人がね、初めて監督した映画が、 「名もなく貧しく美しく」自分の奥さんの高峰秀子さんを主演にもってきてますね。 はるな愛:ええっ~。 浜村 淳:高峰秀子さんは、秋子という名前でね、幼いころにね、病気をわずらいましてね、ほとんど口から言 葉がでないんですね。ところが、全くでないわけじゃないんです。多少はでるんですよ。で、彼女ね、 昔の話ですからね、焼け跡から小さい赤ちゃん一人拾ってくるんですね。そうしてね、家に連れて帰 るんですが、赤ちゃんね、邪魔者扱いされるんですよ。彼女いったん結婚してたんですけど、離婚し ましてね、実家へかえってくると、高峰秀子さんが知らないうちにね、その小さな子どもを施設へ預 けてしまうんですよ。 彼女は2回目結婚しました。それは、ろう学校で一緒だった一郎さんといいまして、小林桂樹さんが やってます。で、この二人がね、仕事ないですから、靴磨きやったりしてね、なんとか暮らしていく わけなんですが、そのうち一郎さんがね、印刷工場の植字工、字を植えると書きますね。植字工とい う仕事見つけてね、ちょっとは安定するんです。そして秋子さんはね、近所の仕立てものをミシンで 縫ったりしてね、なんとか生活支えていくんですが、この秋子さんにね、非常に失礼ながら、できの 悪い弟がいるんです。沼田曜一さんやってましたけどね、この弟が金せびりにきてね、金ないのにね、 せびりにくるんですね、姉の家へ。金がないからね、彼女の唯一の生活の手段でありますミシンを勝 手に持って帰るんです。で、二男の島津雅彦ちゃんがね、ミシン持って走って逃げていくお母さんの 弟、沼田曜一さんをね、必死になって追いかける場面があるんですよ。でも、結局はミシン返ってこ ない。絶望のあまりに秋子さん家出してしまうんです。と、仕事終わって家帰ってきた夫の一郎さん がね、その話をぼうやから聞いて探し回るんです。で、おそらくこの電車に乗ったんじゃないか、当 時、国電といいまして、今のJRですね。電車に乗った、探した探した。隣の車両に乗ってる妻の姿 を見つけるんですよ。そうしたらね、車両離れてるでしょ。自分が乗ってる車両、一郎さんが乗って る車両、それに連結して次の車両に妻の秋子さん乗ってるんです。その妻に向ってね、大勢お客さん 5 乗ってるんですよ。だから立ったままですがね、手話でね、「絶望してはいけないよ、がんばるんだ よ、気持ちをとり直すんだよ」って手話で盛んに説得するんです。そうするとはっと気がついて、秋 子さんがね、隣の車両から夫が手話で自分を励まし、慰めてくれていることに気がついてね。 「あなた、ありがとう、わたったわ。私ね、気持ちとりなおすわ」っていうてね、また手話で答える 場面でね、涙がどーっとでてきますね。泣けますね。そうして、結局またこの夫婦は、二人力を合わ せて暮らしていく。庶民というものは、有名でもなんでもない、そして貧しいですね、庶民の暮らし は貧しいですね、ただ、心根は美しい。みんな庶民ってそんなもんですよ。だから「名もなく貧しく 美しく」というタトルがついてるんですね。 はるな愛:はあ。 浜村 淳:せつないですけど、名作ですからね。 はるな愛:ここに書いてますね、第二次世界大戦終了後の困難な時代の・・ 浜村 淳:終戦直後ですね。 はるな愛:実話に基づいて作ってるんだ・・へえ~。いや、ちょっと見たいね。1961 年の映画ですね。 第2位は、 「名もなく貧しく美しく」でした。 ♪ブリッジ はるな愛:はるな愛のバリバラR、今日は、 「浜村 淳さんが選ぶ障害者シネマ~邦画・ゕジゕ映画~ベスト5」 をご紹介しています。第1位の発表の前に、ここでちょっと番外編です。先週はグレースちゃんのお すすめの映画を紹介してもらいましたけども、今日は私のおすすめ映画をご紹介します。 浜村 淳:はるな愛さんは、なにを紹介してくれますか? はるな愛:はい。私は、 「ぼくのバラ色の人生」 。1997年の、フランス・ベルギー・ギリスの合作の映画な んですけども、あの、初めてレンタルビデオ屋さんで、すごいカラフルなパッケージに「ぼくのバラ 色の人生」って書いてたんですけど、その色の配色がすごい女の子っぽかったんですよ。 なんか気になると思って借りたのが、同じ性同一性障害の映画だったんですよね。 浜村 淳:どういうお話でした? はるな愛:あの、ほんと私も経験したんですけど、小さい時に、大きなおうちに住まわれてる人たちの息子さん が、いつも女の子のおもちゃを使って遊びたいとか、隣に女の子がいて、女の子と一緒に遊ぶのをす ごい楽しみにしてて、一緒に人形遊びとかいろいろしたくて、帰る時間忘れるくらい夢中になってる んですよね。でも、そんなときにお母さんがまたひっぱって、「また女の子の遊びしてたの?なにし てんの?あんた男でしょ?男らしくしなさい、なりなさい」って。私も全く同じようなこと言われて たんです。でも彼はやっぱりね、これは誰が決めたのかわからないくらい生まれてすぐに、女の子に なりたいっていう気持ち、私もそうなんですけども、その気持ちをやっぱり忘れられずっていうか、 ぶれずにね、絶対その隣のおうちにいっちゃうんですよ。行ったときだけすごいカラフルで、フゔン タジーで、メルヘンな、映画の中で絵になるんですよ。そこで空を飛んだり、お人形が急にしゃべり だしたり、彼なりの架空の世界をつくっていくんですけども。 浜村 淳:夢ですね。 はるな愛:現実では厳しい男の子っていう生き方があるので、その架空の世界だけでは、女の子でいられるって いう希望を持つんですけども、ある日、おばあちゃんのもとに連れてかれるんですけども、全く私も 一緒なんですけども、そこで自分の生き方というものをしっかり見つけて、どう生きていくかってい 6 う映画なんですけど。でもね、ほんとに映画の中で、女の子の遊びをしたりとか、女の子の自分を描 いたときに、カラフルになるっていう映画で、私も小さい時からそうで、まさにこの映画みたときに、 「わたし一人だけじゃないんだ」と思って。「フランスの映画だからフランスにもこういう感覚を持 ってる人がいるんだ」っていう、なんかすごい見てて、楽になったというか・・・。 浜村 淳:そうですか。 はるな愛:素敵な映画でした。 浜村 淳:ゕメリカ映画でいうと、ヒラリー・スワンクがゕカデミー賞をとりました、最優秀主演女優賞をとり ました「ボーズ・ドント・クラ」がそうですね。これ、はるなさんと反対で、女性でありながら 男性になりたい。これは、かよわい女性の身であるということが、いやでたまらないんですね。 で、男性の持っているたくましさ、強さ、潔さ、ああいうものにあこがれてあこがれて、男性に変わ りたいと、そういう若い女の子の姿を描いてますね。「ボーズ・ドント・クラ」。 はるな愛:いやあ、もう私も泣きましたね。 浜村 淳:そして、あの映画ね、悪いやつらが、男ですよ、若い男がよってたかってね、いじめるじゃないです か、ヒラリー・スワンクを。最後にね、ヒラリー・スワンクの下着まで脱がしますね。カメラその場 面をバーンと、真正面から撮ってますよ。多少、影をともなう撮り方でしたけどね。ここまでやって 初めて、この子の悲しみ、ああ、つらいだろうなあ、と。 はるなさん自身もそのことによって、つらい思いをしたこともありますか? はるな愛:やっぱり現実では、もう絶対に自分らしくは生きていけないんだなと思ったので、だからそこはつら かったし、やはりいじめられるっていう、人と変わってるとこでもいじめられるし、なんか誰にも理 解できないから、相談もできなかったので。 浜村 淳:現実に男性に恋したことありますか? はるな愛:あります。 浜村 淳:あ、そうですか。 はるな愛:もうずっと、ちっちゃいときから。今も。今も・・・っていっときます。(笑) 浜村 淳:そうですか。でも、それ、わたしくは、おかしいとも何とも思わないですよ。 はるな愛:だから、浜村 淳さんが、こうやっていろいろ柔軟にね、こういう性のマノリテゖのことをいろい ろと知ってくれてるのは、すごい嬉しいし。 浜村 淳:これね、理解できるのは、一つは、たくさん映画見てるからですね。 世間は広い。人間、人生いろいろですよ。 はるな愛:あ~ほんと。 浜村 淳:男もいろいろ。女もいろいろ。 はるな愛:おねえもいろいろ(笑) 。 浜村 淳:あ~そうか(拍手)そういう言いかたもありますよね。 はるな愛:でもほんとに、こういう性同一性障害の人の映画、フランス、ゕメリカとかね、いい映画いっぱいあ るので、ぜひ(映画を)通じて、いろんな細かいこと、知ってもらいたいな。おねえの「あるある」 とか。性同一性障害の「あるある」を。みんなにも分かってもらえるチャンス、きっかけを・・・ 浜村 淳:だから映画をたくさん見ることによってですね、まことに「人生いろいろ」、 「社会いろいろ」、 「人間 いろいろ」ということを分かってきますよね。僕、そういう意味でね、映画の効用、効き目というの か、ひとつは、そういう良いことがあるなあと思いましたですね。 はるな愛:ありがとうございます。ぜひ、わたしのおすすめの映画も見てみてください。 7 ♪ジングル はるな愛:さて、「浜村さんのオススメ障害者シネマ~邦画・ゕジゕ編」ここまで5位から2位までご紹介して きました。5位が、勝新太郎さんの「座頭市」、4 位が中国映画の「きれいなおかあさん」そして、 3位が、「ツレがうつになりまして」 、そして第 2 位が、「名もなく貧しく美しく」 。 さあ、いよいよ第1位です。 浜村 淳:わたくしはね、この映画、寺島しのぶさんが、ベルリン国際映画祭でね、最優秀女優賞をとりました 「キャタピラー」という映画、1位にもっていきたいですね。これはもうね、戦争から帰ってきた夫 がね、両手両足を失ってるわけですよ。で、食欲と性欲はあるんですよ。これに対して妻のね、寺島 しのぶさんが、甲斐甲斐しく仕えていくわけなんですよ。で、夫がね、求めてくるものを拒まないで すね。でも悲しいですね、これ。しかもね、こういう姿で帰ってきた元兵隊さんですね。戦争でこん な姿になったんですから。故郷では、軍(いくさ)の神様と書いて、軍神(ぐんしん)と読むんです ね。まさにね、神様扱いなんですよ。みんなね、非常に尊敬のまなざしでね、見てくれるんですが、 人間、尊敬のまなざしと同時に、痛ましいなと思ったりね、中には好奇の、好奇心の目で見る人もあ りますね。それに、耐えて耐えてね、歯を食いしばって耐えて、がんばっていく映画なんですけどね。 ついに寺島さんが周りの目に反抗しましてね、 「そんなに見たかったら見せてやろうじゃないか」と、 リヤカーに夫を乗せましてね、村中を回る場面ありますね。すると、道端ですれ違ったひとは、両手 合わせて拝んでくれる人もあればですね、さっき言いましたように、物珍しそうな目で見る人もある わけなんです。そら夫はわがまま言いますよ、そんな体ですからね。ものすごいわがまま言いますよ。 でもそれに耐えてね。ま、時にはいじわるもしますね。この辺りが人間のドラマやと思います。 はるな愛:へえ~、見たことある?グレースちゃん。 グレース:これ見たことがあって、同時に私には、すごく難しく感じたんですね。 浜村 淳:あ~そうですか。 グレース:というのも、確かに迫力はあったんですよ、四肢が、手と足が失われた状態だけれども、私はたくさ んの障害者と会ってきて、手と足がない人とたくさん出会ってきたので、あまりそんなに、 ・・・ 「性 欲があることが、そんなに悪いことかなあ」とか、 「食欲、それは人間だからあるよなあ」とか。 何を伝えたいのかなというのがちょっとわかりにくくて、けっこう何回か何回か見直したんですよ。 何を伝えたいんだろうっていうのが。最終的に私が考えたのは、これは戦争が生んだ悲劇・・。 浜村 淳:それは、全くそのとおりです。 グレース:そうなのかなって。戦争がなければ、こんなぶつかりあいもなければ、っていうのが訴えたかったか ったことなのかなっていう。 浜村 淳:しかも、故郷では、軍神として、崇めたてまつられるわけですからね。 その違いが甚だしいんですよね。その落差がね。でもね、人間には「生きていきたい」、 「命というの もにしがみつきたい」執念ありますね。その姿をね、「美しいな」と見るかですね、悪い言葉ですみ ません、「あさましいな」と見るかね、それをこの映画、問いかけてきてますね。 はるな愛:ああ~。そっかあ。 浜村 淳:わたくしは、美しいと見たいほうですよ。 はるな愛:今ね、グレースちゃんの意見も・・・。まあ、グレースちゃんもいろいろ、いっぱいいろんな障害抱 えてるから、当事者側の、何をこれは言っているんだろっていう疑問もあったりとか、またそれぞれ 8 の方が受け取る映画の楽しさというかね。そういう思いがつまったこの映画第一位が「キャタピラー」 。 私も見てみたいと思います。2010年の日本映画です。 はるな愛:ということでね、2週にわたりまして、ご紹介してきました「浜村 淳さんオススメの障害者シネマ」 なんですけれども、改めて障害のある人たちが描かれた映画の魅力ってなんですか? 浜村 淳:わたくしはね、障害お持ちの方が登場する映画を見ますとね、やっぱり夢と希望を持ってね、胸張っ て前へ進んでいきましょう、と。そういうものを乗り越えて、そこに命の明るさ、命の尊さ、バラ色 の自分の命を見つけたときにね、見ている人は本当に感動しますね。 実際、皆さんもそうあってほしい、映画のとおりであってほしいと思うんです。「そんな甘いもんじ ゃない」というお声は、重々承知の上で言うんですよ。だけど、萎えてはいけない、夢と希望、それ 捨てないで明るく前向きに頑張っていっていただきたいと。 はるな愛:なるほどな~。そしてグレースちゃんは? グレース:私は、中途障害なんですよね。だから実は障害者になる前に見た映画と、実は障害者になって、しか も障害を受け入れきれなかった時期、そして障害を受け入れた時期、その時期時期によって、受け止 め方っていろんな受け止め方があるんですよね。いろんな受け止め方あって私はいいと思っていて、 だけど、いろいろな映画を見ることで刺激になると思うんですよね。 浜村 淳:おっしゃるとおりです。 グレース:だから、すごい浜村さんの語りもすごかったし、もう是非その語りをきっかけに、いろんな映画をみ てほしいなって思いましたね。 浜村 淳:ぼくね、はるなさんね、人さんから「映画ってなんだ?」と質問されたら、一言で答えてますね。 「夢と勇気をありがとう」。 はるな愛:おおーっ(拍手) 浜村 淳:これが映画だと思うんです。 はるな愛:いやあ、ほんとに素敵なお話、そして素敵なキーワードね、人生の。 浜村 淳:ありがとうございます。 はるな愛:いろいろとありがとうございます。 浜村 淳:こちらこそ。 はるな愛:なんかもっともっと浜村さんの映画のお話とか、また違ったお話もぜひお伺いしたいと思ってます。 浜村 淳:またお話したいと思いますね。 はるな愛:ぜひまたお越しください。ということで今日は本当にありがとうございました。 グレースちゃんもありがとうございました。 浜・グ :ありがとうございました。 はるな愛:さて、はるな愛のバリバラRいかがでしたか?感想やメッセージをお待ちしています。 また番組ではみなさんの障害にまつわるエピソードや、あるある話「バリバナ」を募集しています。 宛先は郵便番号540-8501、NHK大阪放送局「バリバラ」の係です。メールは、番組ホーム ページから送っていただけます。ホームページのゕドレスは、nhk.jp/baribara スペルは、 bari bara です。来週の「バリバラR」もどうぞお楽しみに。はるな愛でした。ババ。### 9