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恋愛中の悩み
4月 15 日O.:. テーマ「恋愛2」 恋愛中の悩み スタジオ出演 ◆ 大橋グレース ナレーション ◆ 神戸 ・・・ 自立生活センター職員 多発性硬化症 浩(かんべ・ひろし)・・・ 俳優 はるな愛:はーい、先週から始まった新番組、バリバラR、パーソナリティのはるな愛でーす。 よろしくピース。ちなみにバリバラとは、バリアフリーバラエティーの略でございます。 毎週金曜日よる9時、Eテレで放送している障害者情報バラエティのラジオバージョンなんですよね。 テレビでは紹介できなかった裏話やお得情報をプラスしてお伝えしていきたいと思います。 今日は、先週に引き続き、恋愛をテーマにしてお届けしたいと思います。 ゲストは、Eテレのバリバラにレギュラー出演している大橋グレースちゃんでーす。 よろしくお願いしまーす。 グレース:はーい。よろしくお願い致します。先週に引き続いてきちゃいました。 はるな愛:先週は、いっぱい恋の話聞きましたけども、「あ、そうなんだ」っていう、納得する部分と、 初めて知ったこともあるのでね、今日も楽しみです。よろしくお願いします。 グレース:はい、よろしくお願いします。 はるな愛:今日のテーマはずばり「恋愛中の障害者の悩み」。恋愛中の悩みってつきないと思うよね。 私の場合もやっぱり自分のね、性のことをはっきり言えないとか、一緒につきあってから、 やっぱり男だから、なんか女の子みたいに、なんていうの、子どもを産めないとか いろいろその後も問題っていうのが出てくると思うんですけども、グレースちゃんも悩みってある? グレース:いや、そりゃあ、あるんですよね。私の場合、先週もお伝えしたように多発性硬化症っていう 難病で、手足が動かなくて視覚障害もあるんですけれども、一見、車いす上にのってれば、 「あ、からだ動かないんだな」とか、そういう見えている部分の障害はともかくとして、 見えていない部分の障害ってなかなか、言うきっかけがないと・・・ はるな愛:たとえば、どういうのがあるの? グレース:たとえば、なんか実際こう見えてて、普通にしゃべってるんですけど、記憶障害があるんですよね、 高次脳機能障害っていうのがあって、だから突然、「えー先週××してさぁ」って言われても、 「先週?え?いつのこと?」みたいな感じに・・・ はるな愛:わかってないんだ、覚えてないんだ。 グレース:まったく全部すりぬけていってたりとか、 はるな愛:へぇ 1 グレース:あと、体で言えば、膀胱に穴があいてて、排尿排便障害があるとか。 なるべくならば、隠せるものなら隠し通そうかなと。 はるな愛:いや、でも私もあるけど、ニューハーフだってことを告白するっていう・・・ だから、いっぱいあるってことだよね。まず一番、引かれそうなのは隠しておこう、みたいな のもあったりとか。 グレース:初対面、女の子だと思われてずっと付き合うことっていうのもあるんですか? はるな愛:あったの、今まで。 グレース:へぇー。 はるな愛:どうしようと思って。いやなんか、一緒にご飯食べてても、なんか普通に、「私、ばれてんの? 声もハスキーやし、ばれてんのかな」と思ったら、「子どもは何人ほしい?」とか言うし。 やっぱりそういう人に男であることを告げるのには、やっぱりシチュエーションの力を借りたり とかして、お台場の夜景の見えるとこ選んだりとか。 いろんなね、なんか、ちょっと和らぐようにって考えるよね。 グレース:きっかけをなるべくいっぱい作ってっていう・・・。 はるな愛:そうなのよ。まぁでも、本当にいろいろあると思うんですけどもね。 ここにね、お悩みきてるんですよね。 グレース:はい。 はるな愛:愛知県におすまいの 30 代の男性・富田伸(とみた・しん)さんのお悩みなんですよね。 15歳の時に事故で車いすの生活になったあと、これまで3人から4人の健常者の女性とつきあった けれども、いつもうまくいかない、という悩みなんですって。 愛知県 30代男性 富田伸さん デートでどこかに出かけても段差があって入れない。そこで別の場所を探そうとしているうちに 時間が過ぎてしまい、だんだん微妙な空気が漂う。そういうことが重なってダメになる。 最初は「障害なんて関係ないよ」と言っていた子でも、半年ほど付き合っているうちに、 「考えたんだけどやっぱり無理かも」と言い出すパターンが半分。僕の方も、相手が少しでも面白く なさそうな顔をしているのを見ると、 「あ、やっぱり無理」とすぐに思ってしまう。 そうやって毎回、同じパターンで別れているので、疲れてきた。 はるな愛:やっぱり、いろいろ車いすとかだと、デートとか考えるんだよね。 グレース:そうですね、ま、人によるのかなって思うんですけど、私の場合は全然段差あっても関係ない人 なんですよ。障害が理由でうまくいかないこととかも、それを逆にプラスにして、 「じゃあ抱っこして」とか、「車いす別に運んでもらおうか、店員さんに」とか、ま、そういうふう に考えちゃう人なんで・・・。 2 はるな愛:逆にじゃあこの富田さんは、男の人やから、やっぱりリードしたいし、スマートにいきたいって いう・・・ グレース:そう、私の元彼も車いすで、こういう感じ。段差があったら入れないっていうだけで自分はダメだ っていう風に思ってて、その彼を見る私がしんどいっていうのが昔あって・・・。 はるな愛:なるほど、そういうの見てたら、こっちがしんどくなっちゃうっていうことなの? グレース:輝いてないっていうか、その彼が落ち込んでる姿を見たらこっちも落ち込んじゃうっていうか。 はるな愛:あー、そうか。 グレース:なんか一緒の気持ちになっちゃう。 はるな愛:だからね、 「あーやっぱり無理かな」とか、「あー彼女が困ってる」とか、彼もこうやって考えてる ことが、相手にも伝わってると思うの。前向きになれない気持もわかるのよ。 でもやっぱり、そんな不安ばっかりしてたら・・・。女の子ってついていきたいじゃん? グレース:うん。 はるな愛:なんか別に段差があって入れなかったら、そこじゃなくてもいいんだよ、別にね。 相手と居れたらいい、っていうところってあるじゃない? グレース:いっしょにいる時間が結構大事だったりして。それからあと、彼女もいっしょに「じゃどこ行こう か」ってふってくれる女性が、この方に現れてきたらいいな、とかも思ったりして。 はるな愛:なるほどね、女の子から、ちょっと一声かけてあげるっていう。なるほどー。 グレース:そんな女の子がいたらいいなと思う。お互いのコミュニケーションがあるといいなと思いますね。 はるな愛:いや、そうだと思うな。なんかうまいこと今マイナスの空気になっていってるところを、お互いのね、 やっぱりそれは相手の男の人もそうだけど、プラスの空気を出して、前向きな空気を出して、 ぜひね、成功してもらいたいと思いますね。 はるな愛:Eテレのバリバラにも同じような中途障害の男性が出て、悩みを語ってくれたので 紹介したいと思います。 1 年半前に事故で頸髄(けいずい)損傷になったという横山和也さん、28歳です。 グレース、頸髄損傷ってどんな状態なの? グレース:頚髄損傷は、人によって大きく違うんですけども、基本的には首から下、手足とかに障害があるって いう状態。 はるな愛:彼女の方は健常者ということなんですけども、そんな横山さんのお悩みを聞いてみたいと思います。 ナレーションは俳優の神戸浩(かんべ・ひろし)さんです。 3 <横山和也さんの悩み> 横山さん:今までつきあってきた女の子には結構エスコートしてきたんですよね。 たとえば扉あけてあげたりとか、してたんですけど、この身体になってしまって、 まったくできなくなってしまったんですね。 で、どうやってリードしてあげたらいいのかなっていうのが一番の悩みですね。 ナレ) 男・横山のプライド。恋人の前では、ビシッと決める。 しかし、現実は甘くなかった。実際、2ヶ月前のデートでは、こんな失敗も! しゃれたレストランでの出来事。横山さんは、会計でかっこよく決めようと考えていた。 しかし、財布を出そうとしても、指が動かず、取り出せない。 結局、会計は、彼女が済ませてしまった。横山さんのプライドはズタズタ! スマートなデートができるのはいつのことか・・・。 はるな愛:なるほど。これはね、男の立場からも、私、わかっちゃうのね。 グレース:どんな感じなんですか? はるな愛:男の人はかっこつけたいんですよ、女の子の前で。最後これ、女の子がお金を払ったってこと でしょう? グレース:たぶん横山さんの財布から出したんだと思いますけど。 はるな愛:あ、そうか、 (横山さんが財布を)出して、女の子が払ったんだレジで。ああ、そこはスマートに いかなかったってことね。でもこれはどうですか?今のお話聞いて。スタジオにいたんだよね? グレース:そうですね。でも横山さんは、スタジオでも言ってたんですけど、悩んでるだけじゃなくて、 涙ぐましい努力をされてるんですよね。 はるな愛:へえ、どんな? グレース:たとえばデートの前には、天気予報のチェックに始まって、お目当ての場所に車いすが入れるか、 高さがあうかとか・・・ はるな愛:幅とか? グレース:幅とかすべて、連絡して、電話で何カ所も聞いて、調べて。最近は、それに加えて作業療法士さん 相手に、バッグからさっと財布を出す特訓をしているらしいんですよね。 はるな愛:えー? グレース:それでいまのところ、記録は3分ちょっと、がんばってがんばって3分ちょっとらしいんですけど。 はるな愛:おもしろい。リハビリ姿も、財布をうまいことスマートに出すっていう・・・? グレース:そうそう。いっしょに考えて。 はるな愛:えー、でもそれだけやっぱりスマートにいきたいんやね。 4 グレース:うんー。 はるな愛:でもこれはどうなのかしらね。すごい努力してるけど、でもね、男の人の努力って、女の子として やっぱり嬉しいんじゃない? グレース:あの、頑張ってる姿は頑張ってる姿で嬉しいんだけれども、そこ頑張って疲れたら嫌だなって。 はるな愛:あー、そうか。 グレース:なんかいっしょにいる時間、楽しみたいなっていう風に。 はるな愛:そうね、どっかでやっぱりお互い、 「いや、ここはスマートにいかない部分だから手伝って」とか 言うことが大切なのかしら。 グレース:まあ、横山さんの場合は、まだ障害者になって1年半ということもあって、新米障害者に ありがちな悩みで。私も最初、障害持った時にはそうで、やっぱり自分たちでなんとかやりたい みたいなところがあって、頑張ってきたというところがあるんで、気持ちはすごいわかるんですよ。 横山さん自身の気持ちも。 はるな愛:私、ちょっといま一瞬同じ、私もわかると思ったのが、ふつうの男の子と女の子みたいなデートが したいっていうことじゃない? グレース:そうそうそう。そういうことだと。 はるな愛:私もそうだもん。普通の女の子と男の子がデートするようなことがしたいの。わかるわぁ。 グレース:そうですね。でも私も、それは別な意味で、障害が重くなってきたってこともあって、 無理なものは無理なんですよね。全部前といっしょに、とか、愛ちゃんで言えば、男の子と女の子 みたいなデートってやっぱり、100%かなえるのってけっこう・・・ はるな愛:無理無理。難しい。しんどくなる。 グレース:そう、つきあうことにしんどくなっちゃう。 はるな愛:会うのがおっくうになっちゃうの。 グレース:わかります。すごい。 はるな愛:いやぁ今日そこまでする元気ないわってなっちゃう。好きなのに会えないってすっごい嫌やと思う。 わかるわぁ。 グレース:そうなんですよね。 はるな愛:だから、もうそれも、正直、もう好きになってくれたら。好きだとしたら、向こうもね、 全部ひっくるめてるから。だからそこまで考えすぎてるってこともあるのよね、私たち。 グレース)そうですね。 5 <バリバナ> 障害者のあるある話 「ラブホテルと電話」 聴覚障害カップル M:さんとFYさん 二人でラブホテルに行った。 電話が鳴っているのに気づかずにいたら、 「大丈夫ですか?」フロントのおじさんが入ってきた。 「耳が聞こえないんです」 事情を説明するが、伝わらず、時間が経ってしまい・・・ 結局何もせずに帰った。お金を返してほしい。 「デートに行けない私」 精神障害 HYさん 恋人とデートの約束をした。 映画を見ることになったので 気のきいた感想を言わなくてはと不安になり (パソコンや本で)時代背景まで予習していたら、疲れきってしまい、 当日、デートに行けなくなってしまった。 はるな愛:がらっとちょっと空気変わっちゃったね、ほんとに。ちょっと、面白すぎるんですけど。 すごい笑ってたよね、グレースちゃんも。 グレース:クスッどころか、ガラガラって笑っちゃったんですけれど。 はるな愛:ラブホテルにいったこのエピソード、これは本当に・・・「お金返せ」まで言ってます(笑)。 グレース:返してほしいですね、でも。 (笑)ほんとに。 はるな愛:そうかぁ。ふだんなんかインターホンとかいろんな音が聞こえない訳だもんね。 おじさんが・・・おじさんが来たらダメよね、ほんとに(笑)。 グレース:ほんと、裸だったらどうするんだって話ですけどねー。 <バリバナ> 「私の出会った最低なオトコ」 脳性まひ 京都府 愛澤咲月(あいざわ・さつき)さん 健常者の彼と付き合っていたころ。 「君の運転が好き」といわれ、嬉しくていつもドライブデート。 休憩の時には、いつも彼が買出しに行ってくれて、私は車でお留守番。 てっきり、私の足の障害を気遣ってくれているのだと思っていたけれど・・・。 ある時、一緒に買いものに行こうと誘ったら、どうしても彼は車を降りようとしない。 障害の私と一緒にいるのを人に見られたくないだけの「サイテーな男」だとわかり、 別れました! 6 はるな愛:サイテー! こういうのちょっと、ほんとに嫌! グレース:結構傷つきますよね。これって。 はるな愛:うーん。なんかでも、疑ってかかるのも嫌だし、本当にその先には何もないから、彼女のためにも やめてほしいよねぇ。ほんとに。言うよね、私、ひとこと(笑)。 以上、障害者のあるある話「バリバナ」のコーナーでした。 はるな愛:さぁ、続いてのメールいきたいと思います。 大阪府 30代女性 ちーおさん 私は15歳のころ、脳の血管が切れ、右手右足が不自由な障害者になりました。 リハビリのかいあって、現在一人暮らしをしています。 一般企業で就職が決まってからは、健常者に負けられない!と一生懸命頑張りました。いつも笑顔で いるようにし、人から話しかけられやすいように心がけました。すると、ある男性から告白され、 付き合うようになりました。私も付き合っていくうちに、彼がいない事が考えられないくらい、 その人が大切な人に変わっていきました。 でも、私は普通の人のようにきれいに歩けないし、何をするのにも時間がかかります。 彼自身が私と一緒に歩く事で、一般の人が障害者に向ける視線にさらされ恥ずかしいと感じているの では?と思うのです。なので、将来の話、結婚の話を切り出せません。どうすればいいでのしょうか。 はるな愛:どうですか?この気持ち。 グレース:彼といっしょにいてすごい楽しい、好きっていう気持ちは、すごくわかるんですよ。 でも、 「彼氏といっしょにいて大丈夫かな」「彼氏が自分のこと嫌わないかな」っていう気持ちも、 ところどころわかるところでもあるんですけど、なんか、当事者として、一般の人が障害者に向ける 視線が恥ずかしいって感じるのが、なんか悲しいなって。 はるな愛:そうですよねぇ。 グレース:この恋愛とは関係ない話になっちゃうかもしれないんですけど、「障害者を見て恥ずかしい」 っていう風に思うような状態だっていうのが悲しいな、っていう風に思って。 はるな愛:それは、ちーおさんが、今、自分の中で悩んでる、抱えている状態だと思うのね。 グレースを見てて、私もそうだけども、 「しょうがない、もう、今のこの自分の等身大と向き合って 生きていかなしょうがない」っていうとこ、たぶん、もう一歩、ふっきれるっていうのは、 人が応援するものでもなくて、たぶん自分でなんかふっきれて、ぼんと一歩踏み出すんだと思うけど、 そういう気持ちになったら、もっと楽になると思う・・・というのが、私たちの意見かしら。 グレース:そうですね。私も、どっちかっていうと聞いちゃうかもしれないですね。 もし、ちーおさんの立場だったら、 「私といて恥ずかしい?」とか聞いちゃうかもしれないですね。 7 はるな愛:あ、彼に? グレース:そうですね。 はるな愛:あら。それぐらいやっぱり、すべて嫌なこととか、目をそらさずに、しっかりと話し合うっていう。 グレース:そうです。結構大事かなぁと思って。 はるな愛:でも、そうかも。蓋をして隠しても、いずれそこにぶつかるのよね。 グレース:そうなんです、私もそうなんですけど、悩んでて言わなくても、結局、最終的にはばれる・・・って いうことだから、早いうちに言っちゃった方が・・・。 はるな愛:そうだね。 グレース:なんか気持ち確認できた方が楽になるのかな、っていう風に思いますけどね。 はるな愛:あとね、焦らずに今、すごい幸せだったら、まずここをしっかりと楽しむことじゃない? グレース:それがいいと思います。今を楽しむって結構・・・ はるな愛:その延長が結婚だったり、未来だったりだから。ダメよ、あせったら。順番に。 たぶん私たちは、健常者の人たちよりも彼にのみ込んでもらうって、かみくだいて、のみこんで もらう時間って、ちょっとかかると思う。だから、そこはやっぱりあんまり焦らさずに、いいじゃん、 その間、楽しんで、魅力をね、どんどん深く彼の中に植えつけて、笑顔いっぱい植えつけて、 「やっぱりこいつや」と思わす、手段を選んでもらいたいなと思います。 はるな愛:ほかにもきているので・・・初めてのお泊りに関するエピソードです。来ましたよ!ちょっと・・・ グレース:来ましたね~。 はるな愛:ちょっと、テンションあがってない? グレース:テンションあがってきました。 東京都 20代女性 サンニーさん 義足 義足になりたての頃、もう彼氏も出来ないんだな、結婚も出来ないんだなって、あきらめていました が、半年ほどして、彼氏が出来ました。 初めてお泊まりした日は、かなり緊張しました。まだ義足をとった姿を見せたことがなかったのです。 どんな反応をされるか不安だったんです。「お風呂に入る」と言ったものの、どこで義足を外せばい いのやら、バスルームとベッドルームの間をウロウロすること 1 時間。 でも彼氏はそんな私の気持ちを察して、気長に見守ってくれました。そして、ようやくベッドに入っ たときに、私の切断したほうの足を、小さくて可愛いと撫でてくれました。本当に安心しました。 それにしても、あの 1 時間は本当に長くて、ゴールのない迷路の中にいるようでした。 8 はるな愛:いやぁ~すてき。泣けちゃうね、この彼氏。 グレース:もうすごい意地らしくて、なんか私にはない意地らしさで憧れますよ。 はるな愛:ほんとに~。(グレースは)ずばっといくもんね。 グレース:ずばっていっちゃうんで。 はるな愛:でもね、これ、聞いて・・・(涙声になる)・・・ごめんなさい。なんかね、このね、彼氏がね、 ほんとに、これこそほんとに、なんか深い愛だなぁと思って。うらやましい。 グレース:うん。 はるな愛:あの、義足になりたてのころ、もう彼氏もできないんだなって悩んで、結婚もできないんだなって あきらめたって言ってたじゃないですか。でも、半年ほどして彼氏ができてね、しかもそんな理解の ある彼氏に出会うことって・・・。だから絶対あきらめたらあかんの。 なんかすごい思うのは、 「ゴールのない迷路の中にいるようでした」って言葉って、 私がすごく自分の性と向き合った時に、そうだったの。で、ゴールなかったらもうやめようと思って、 死んだ方が楽になるのかなと思ったけど。でもこの考えた時間、今になってね・・・ゴールがなくって すごくもがき考えた時間って、それがあったから、今、いろんなハードル乗り越えられる自分でいら れると思うのね。だからこの1時間ってすごい考えたかもしれんけど、この時間も大切だったし・・・ グレース)この時間があったからっていう・・・ はるな愛)そう。全部ムダじゃなかったと思うのね。だからほんとになんか絶対ゴールがあるんだね、ね、それ 言いたいよね、と思う。絶対、ゴールあったもん。私も。 そう、でも、ベッドに入って、そこまでで話、止まっていますけど、ねぇ、後日の報告も しっかりメールで・・・放送しないでいいから、ちゃんとどうだったのかって、ねー。 いやぁ、ほんとステキです。 はるな愛)さて、いろんな恋愛中のカップルのお悩みを紹介してきましたけども、ここでとっておきの プレミアムなデートを紹介しましょう。 有田正行(ありた・まさゆき)さんは、脊髄性筋萎縮症(せきずいせい・きんいしゅくしょう)と いう筋力が弱まる病気で、手足がほとんど動かないそうです。そんな有田さんと、 健常者の大谷千穂(おおたに・ちほ)さんとのプレミアムなデートの様子を スタジオトークとあわせておききください。 9 <有田正行さんのプレミアムなデート> ナレ) 有田さんは、車いすサッカーの元日本代表。ボランティアの千穂さんとつきあって2年8か月。 二人のデートには、いつも介助者がつきそってきた。 ラブラブな食事中も、もちろん介助者が一緒。二人っきりの方が楽しめると思うんだけどなぁ。 このあと向かった先はホテル。サッカーの遠征や旅行の時は、お泊まりデートに。 さすがに介助者は、荷物を運んだら帰るのかなあ。 部屋に入ると、そこにはベッドが二つではなく、三つ!やっぱり、介助者も一緒に泊まるのだ。 それもそのはず。有田さんには、着替えやトイレ、お風呂など、ほぼ24時間の介助が必要なのだ。 介助者 :これ(マフラー)どのへんに? 有田さん:どこか、かけといて。 ナレ) 一方、千穂さんも、介助者がいれば、恋人の世話に追われることなくリラックスできる。 有田さん: (介助者に)忘れ物、取りに行って。 介助者 :忘れもの・・・あ、そっか。 ナレ) 10分後。 介助者 :おめでとう! (介助者の手に、大きなクラッカー) 千穂さん:何、これ? 介助者 : (ケーキを運んでくる)2年8カ月記念おめでとうということで。 千穂さん:わーありがとう! (ろうそくの火を吹き消す) ナレ) 二人は毎月25日、交際記念日として祝っている。介助者がいると、喜びも三人分なのだ! そして、ここから、プレミアムタイムが始まる! (介助者に抱えられて車いすからベッドへ。1つのベッドに三人。 千穂さんが有田さんの体に手をまわす。 ) 千穂さん:うわぁ 有田さん:よーし、いこか。 (介助者に)うまいこと抱きつかして・・・ 千穂さん: 「抱きつかして」って変態みたいやな(笑)。 介助者 :ものすごくわかりにくい指示やな(笑) 。もっとわかりやすく出してほしい。 有田さん:背中持ち上げて。 介助者 :この背中な? 有田さん:そうそう。 (有田さんが、千穂さんにおおいかぶさる。) 千穂さん:抱きしめてる? ナレ) 有田さんが、介助者の手を借りて、自分から千穂さんを抱きしめた。 ところで、介助者の君、二人を見てどんな気持ち? 10 介助者 :そうですね。やっぱりまぁ、一番最後抱き合ってるのを見て、僕も幸せな気分になりましたけど ね。(2人に向かって)幸せを分けてくれてありがとう。 千穂さん:いつでも分けてあげるよ。 介助者 :ありがとうございます 有田さん:おすそ分けやで。 【スタジオ】 シュウ ※ 山本シュウ(Eテレ「バリバラ」MC) :千穂さんは、最初っから抵抗はなかったんですか? 千穂さん:最初はもちろん抵抗がありましたよ。やっぱり彼と二人の空間で、デートを楽しんでるけど、 冷静に見てる介助者がいるっていう・・・(笑) シュウ :わかりやすい! 千穂さん:お風呂上がったらどういう格好で出てきたらいいのかな?みたいな。 シュウ :そうやな、そりゃそうや。 千穂さん:真夏とかも、暑いけど、どこまで出していいのかな?とかね。 シュウ :そうか、常にもう一人冷静な人がいる(笑)。 千穂さん:冷静な人がね。 はるな愛:いやぁちょっと、グレースの場合は3人のデートっていうのはあり? どう思う? グレース:そうですね、あの、昔はもちろん、2人っきりでっていう気持ちでいっぱいで、もうほんとに 限界ギリギリまでふたりでデートしてたんですけど、でもやっぱり時とともにいろんな経験とか いろんな失敗してきて、今はもう3人デートですね。家に泊まりに来ても3人。 はるな愛:今日も介助者の方きてますけど、やっぱり3人で? グレース:そうですね。ま、私の場合は時間ごとに帰ったり行ったり、帰ったり行ったりしてもらいながら・・・ はるな愛:2人の時間もほしいしってこと? グレース:そうそうそう。だから、でもドキドキですよね。(ヘルパーが)帰ってくる時間が迫ってくると、 もう急いでやることを終えなきゃ!みたいな。 はるな愛:何、それ・・・(笑) はるな愛:まだまだいっぱい聞きたいんですけども。 今日はグレースと一緒に、障害者の恋愛の悩みについてお届けしましたが、いかがでしたか? グレース:あの、障害者どうしでは結構話すことあるんですけど、こうやってラジオとか、愛ちゃんの前とかで 笑いながら、いろんな話ができることって、あんまり今までなかったんで・・・すごい楽しかったです。 11 はるな愛:私もそうですよ。性同一性障害ですけども、でも、私たちもやっぱり知らないこと、お互いの ちょっとした、あるあるネタもそうだし、あ、そういうこと、そういう目線で見てるんだとか・・・ これから、どんどんいろんなことをお互いわかっていくきっかけになればなと思いますね。 ほんとにどうもありがとうございました。 グレース:こちらこそ、ありがとうございました。 はるな愛:また、ぜひ、遊びに来て、ガールズトークしようね。 グレース:はい、ぜひ呼んでください。 はるな愛:さて、みなさん、はるな愛の「バリバラR」いかがだったでしょうか? 感想やメッセージ待っています。そして番組では、みなさんの障害にまつわるエピソードや、 障害のあるある話「バリバナ」を募集しております。今日のような恋愛での失敗談とか悩み、 そして就職や職場での悩みとか、障害のある方ならではのエピソードをお寄せください。 あて先は郵便番号540-8501、NHK大阪放送局、バリバラの係です。 メールでは番組ホームページからお送り頂けます。 ホームページのアドレス www.nhk.or.jp/baribara です。 さぁ、みなさん、また来週、 「バリバラR」をお楽しみに。 12