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「お悩みランキング~高次脳機能障害編~」
テーマ「高次脳機能障害」 12月15日O.:. 「お悩みランキング~高次脳機能障害編~」 スタジオ出演 ◆山口 研一郎(やまぐち・けんいちろう)‥‥脳神経外科医 大橋グレース(おおはし・ぐれーす)・・・・・・・・自立生活センター職員 (多発性硬化症) 日比野 和雅(ひびの・かずまさ)・・・・・・・・・・NHKチーフ・プロデューサー はるな愛:は~い。 “バリアフリー・バラエティー”「バリバラR」の時間です。 パーソナリティーのはるな愛です。よろしくピース! バリバラ R」は、毎週金曜日よる 9 時、E テレで放送している障害者情報バラエティー バリバラ」のラジオバージョンです。テレビでは紹介できなかった裏話やお得情報をプラスして お伝えしていきたいと思います。今日のテーマは、高次脳機能障害。 どんな障害なのか、また、当事者の皆さんは、どんな悩みがあるのかについてお伝えしていきたいと 思います。 ゲストは、大橋グレースちゃんです。グレースちゃんは、高次脳機能障害の当事者です。 よろしくお願いします。 グレース:はーい。よろしくお願いします。 はるな愛:よろしくお願いします。そして、今日はですね、高次脳機能障害の患者を専門に診ておられる 医師の山口研一郎(やまぐち・けんいちろう)さんに、お越しいただきました。 よろしくお願いします。 山口 :こんにちは、よろしくお願いします。 はるな愛:そして、日比野和雅(ひびの・かずまさ)チーフプロデューサーと共にお送りします。 よろしくお願いします。 日比野P:よろしくお願いします。 はるな愛:山口先生、まず始めにお聞きしたいのですが、高次脳機能障害とは、どんな障害なんですか? 山口 :高次脳機能障害とは、例えば、交通事故とか、あるいは、脳卒中などでね、物事を考える思考力とか ですね、記憶力が低下したり、あるいは、コミュニケーションが難しくなったりですね、 ということをいうんですけども、主な症状としては例えば、注意障害とか、あるいは記憶障害ですね、 ありますし、それから感情のコントロールがなかなか難しいっていうのも障害になりますね。 はるな愛:へえ。事故とか脳卒中で、低下していく・・・脳の働きが? 山口 :そうですね。今までだったら普通にそういうことが何の抵抗もなくできてたのに、なかなか記憶が残 らないとかですね、新しいことが覚えられないとか、あるいは、物事をやるのに、きちんと計画的に できないとかですね、いろいろ生活上支障をきたしますね。 はるな愛:なるほどね。高次脳機能障害の当事者のグレースちゃんなんですけど、 グレースちゃんは、どんな症状あるんですか? グレース:私は、多発性硬化症という、脳の神経の難病で、脳にダメージを受けたので、それで高次脳機能障害 になったんですけれども、基本的にいっぱい症状あるんですけど、一番困っているのは 日付とか忘れがちで、講演の日付を間違えて、あ~、一日間違えて早く行っちゃった~とか。 1 はるな愛:気をつけないと、ドタキャンみたいになるんじゃない?それ。 グレース:よく彼氏とのデートは、ドタキャンあたりまえみたいな。 はるな愛:ええ?(笑) グレース:それは前もって、付き合う前にいっておかないと、まあ、ドタキャンあたりまえだから、よろしく、 みたいな(笑) はるな愛: (笑)よろしくっていわれても。え~、でもそれくらい日にちも分からないってことなんだ。 グレース:そうですね。 はるな愛:あらー。それはちょっと大変ですね。 日比野P:実は、今回番組で、当事者50人に、「どういう悩みがあるのか」というアンケートを行いました。 その結果をランキングに、まとめましたのでご紹介します。では、第5位から発表します。 お悩みランキング!第5位は、 「遅刻をする」 。 遅刻で悩んでいるという、神戸市にお住まいの友成正史(ともなり・まさふみ)さんの日常の様子を 取材しましたので、録音をお聞きください。 <録音①> 「遅刻をする」~友成さんの場合~ ナレ)障害者の事業所に、毎朝、遅刻してしまう友成さん。その原因を検証! (散らかった部屋) 朝7時30分起床。遅刻しないためには、朝9時に家を出なければならない。 出発までに1時間半もある。 まず向かったのは洗濯。10分後… (空の洗濯かごを持って戻ってくる) 洗顔にとりかかった。 けっこう順調そうだ。 …とここで、動きが止まる友成さん。 (立ち尽くす) 本来なら、このあとやるべき事はシャワー、着替え、そして持ち物準備。 しかし、その段取りに、なかなか取りかかれない。 (ベッドに座り込む) ついに、完全にフリーズ。 あっという間に8時30分。 シャワーの準備を始めたところ・・・今度はテレビが気になりはじめた。 (ベッドからテレビの前に移動) そして…テレビの前に釘付け。 ついに、出発予定の9時を過ぎてしまった。 何とかシャワーに向かい…、やっとのことで着替えをすませるが、時すでに遅し! 結局この日は50分遅刻してしまった。 2 はるな愛: んー、完全にフリーズしてしまいましたね。先生、こういうことってあるんですか? 山口 :これをね、遂行機能障害っていう言葉でいうんですけれども、どういうことかというと、計画的に物 事を進められない。私たちが行動するときは、一つ一つ計画をたててやるんですけど、それができな くて、何が自分がやるべきことか、そういうことの判断が難しいってことですね。 はるな愛:でも、毎日やることじゃないですか、多分、朝の流れとして。それでも分からなくなっちゃうってこ となんですね? 山口 :そうです。だから本来であれば、それをもうちょっときちんと習慣化して、自分の体で覚えたらいい んだけど、それがなかなか身につかなくて、毎日毎日が新しい出来事みたいになってしまう。 はるな愛:あと、テレビも気になって、テレビの前に移動して、夢中になるっていうのもね、ありましたけど。 山口 :あのこれ、注意障害っていうんですけども、つい、テレビがかかっていると、そっちのほうに気をと られてしまって、本来自分のやるべきこと忘れてしまう状態ですよね。 はるな愛:そうなんだ。 日比野P:先生、注意障害っていうのは、どういう障害のことをさすのでしょう。 山口 :注意障害っていうのは、一般には、例えば何か作業するときに、物事に集中できないとか、あるいは それを持続できないとか、判断できないとか、そういうことをいうんですけれども、 今の彼の場合は、ついついテレビの方に気をとられると、他のことができない、同時に二つの ことができないってことですね。 はるな愛:なるほどね~。こういう症状のときは、どういった対処法があるんですか? 山口 :だからね、まずやっぱり自分が何をなすべきかってね、例えば、9時に出るっていうことを、 ちゃんと目標をですね、書いたものを壁に貼っておくなどして、それに向けて、どれとどれをやるっ ていうことを自分で決めて、やる習慣をつけるっていいますかね。だから、あんまりたくさん欲張る と、結局、全て出来なくなってしまうので、やっぱり最低2つくらいやって、ちゃんと9時には 出るという、やっぱりスケジュール化するというのかな。 はるな愛:しっかり文字に書くとか? 山口 :やっぱりそれは大事だと思いますね。 日比野P:続いてのお悩みランキング!第4位は、 「怒りっぽい」 。 はるな愛:これは、グレースちゃん、普段ヘルパーさんによく怒ってしまうといってましたよね?前ね。 グレース:言ってましたかね。 はるな愛:そこ?そこ忘れた(笑) 日比野P:ちょっとじゃあ、私から。グレースのヘルパーさんに取材したところ、こんなエピソードが あったので、ご紹介したいと思います。お昼にヘルパーに指示を出し、料理が完成。 グレースが一口食べて、ヘルパーさんに言った言葉。 「私が作ったほうがおいしいわ」 はるな愛:あらー、いっちゃった。 グレース:えっ、いやあ、正直でいい意見だと思うんですけど。 このフレーズ自体は、私はそんなに悪いな、とは思ってなくって・・。 日比野P:いやいやおかしいでしょ。ちなみに、指示を出して作ってるってことは、作ってもらってるんじゃな くて、自分で作ってるっていうことですから、自立生活においては。 グレース:まあまあまあまあ、そうなんです・・感情を込めて言ってしまうときは、一番反省するときですね。 日比野P:そうですね。怒りっぽく。 3 グレース:あとで自分で「あ~怒っちゃったな」っていうふうに反省するときはありますね。 はるな愛:あら。 日比野P:アンケートからですね、同じように怒りっぽいという悩みを持つ方のエピソードを ご紹介します。 一人目、大阪府・25才・男性の方です。 帽子をなくしてしまい、そばにいる人を疑って怒ってしまいます。 あとで冷静に考えると、自分でどこかに置き忘れたのに、 その瞬間は、まわりが見えなくなってしまいます。 はるな愛:はあ~、これはちょっと辛いよね、本人も怒ってしまってあとで気づいたら。 日比野P:そうですね。そしてもう一方。東京都・当事者の家族の方からいただきました。 60代の女性の方ですね。 時計ばかり見ていて、行事が終了する時間になったら、突然「帰るぞ」と 周りの人々に関係なく、大きな声を出してしまいます。 はるな愛:これは、ご家族からの切実な悩みでしょうね。 いかがですか?山口さん。 山口 :怒りっていうのはね、人との関係のうえで、一番深刻な問題なんですね。 で、実際にこれで失敗する人はたくさんいて、例えば、突然、電車の中で、全く見ず知らずの人に、 何か気にくわないことがあって怒ってみたりとかですね、そういうことで、ほんとにその場の雰囲気 を乱してしまう。 まあ、元々脳には、そういうことを押さえる働きね、 「そういう行動したらいけないよ」とかね 「それはちょっと待ちなさいよ」という働きがあるはずなんだけど、それが失われてしまうことによ ってストレートに自分の感情をむき出しにしてしまうっていうのが、あるわけですね。 日比野P:先生、グレースへ、本人への、当事者へのアドバイスって何かありますでしょうか? 山口 :やっぱりね、一呼吸おくってことは、大事なんですね。 一呼吸おくことによって、自分の頭の中でそれを反すうできますから、自分の抑制する部分にね、働 きかけて、「今これはやめといたほうがいいぞ」っていうふうに一呼吸おくっていうことは、すごく 大事なことなんだけど。 それ以外はね、そういうことを起こしたあとにですね、自分である程度、反省できていれば、 それを必ず書き留めるっていうのかな、記録しておくっていうことが大事です。 そうすることによって、自分の頭の中にインプットできれば、こういうとこに自分は怒りやすいんだ なとかね、そういう次のことに対処できますよね。 グレース:いわば、自分の脳に、こういうのは、あまりカッとなっちゃいけないよっていうのを 自分で自分の脳に、教えるような感じのイメージでいるってことですか? 山口 :そうです。他の人がそれを後から言ってあげてもいいんだけど、それがもし、自分で自覚できるんだ ったら、それを自分でもう1回自覚しなおして。一番大事なことは、それを記録するっていうのが 大事なんですよね。 4 グレース:記録がけっこう大事なんですね。 日比野P:では、続いてお悩みランキング第3位にいきたいと思います。 「空気が読めない」。 去年、障害者のお笑いパフォーマーNO.1 を決めるSHOW-1グランプリにも出場した TASKE さん。空気が読めなくて悩んでいるという、TASKE さんの日常の様子を取材しましたので、 録音をまずお聞きください。 <録音②> 「空気が読めない」~TASKE さんの場合~ ナレ) 人一倍空気が読めないというタスケ。その現場を取材スタッフが、目の当たりにする。 (喫茶店) この日は、都内で番組の打ち合わせ。タスケが、パフォーマンスをやりたいと、アイデアを持参し たのだが・・・。 ディレクター:これは? タスケ :オープニングのものまね。障害者のための情報バラエティーバリバラ!!アハハハハ!!! みたいな感じ・・。 ディレクター:ちょっと声が大きいかもしれません… タスケ :あ~そうですか。 タスケ :アハハハハ・・・なんじゃこれ~!っておも…アッハハハ! ディレクター:ちょっとだけボリューム落としましょうか。 タスケ :はい。 (隣の客が席を立つ) タスケ :あ~どうもどうも… 帰っていっちゃいましたね…おそらく僕らの打ち合わせが迷惑だったんでしょうかね。 やっぱり、人の望んでるものが、つかみとれないっていうか、話の流れについていけない事が 一番の原因っていうか…何ていうかなあ、まあ。 人によっては変な目で見られたりとか、そういう時なんかは、やっぱり悲しいですね。 空気読めないっていうか、そういう風に思われるみたいで。 ナレ) 打ち合わせが終わり、自宅に帰る途中、なぜか立ち止まるタスケ… (住宅街) ディレクター:ん? タスケさん? タスケ :あ? ディレクター:どうしたんですか? タスケ :いや~のどかでいい景色だな~っていうか、この辺りで朗読してみたくなったんですよ。 「押さえきれないとめどなく沸くこの感情で…夏休みに空を飛びました。 」 (犬と散歩中の女性が知らん顔で通る) 「ミ~ン、ミ~ンミ~ンミ~ン。増毛しようよ女たち、若さ~の秘訣は明るく元気に~。 」 (自転車の男性が横目で見て通り過ぎる) 5 はるな愛:ん~。タスケさん、なんの朗読してたんですかね。いやあでもすごい大きな声だしたりとか 急に。タスケさん、私、知ってるだけに、女装みたいなね、ビジュアル系の、面白いネタするんです けど、ちょっと空回ったりする傾向ありますよね。 日比野P:そうですね。滑り芸ですからね。 はるな愛:滑り芸がタスケさんのよさでもあるんですけど、でも、初めて会う人とか、タスケさんの人柄とか 知らない人は、 「なんか変な人や」みたいな空気なんですね、やっぱりね。 日比野P:だから、舞台の上だとね、こういう人が、っていうね、こちらも構えられますけども。 はるな愛:SHOW-1の時もおもしろかったですもんね。それが、すべり芸が。 日比野P:そうなんです。 はるな愛:いやあ、ちょっと、先生、どうお聞きになりました? 山口 :今のタスケさんの場合はね、全然見ず知らずの人の中で、そういうことをする、と。 で、まあみんなびっくりしてるわけなんですけども。これが、身内どうしのお互い色んな事を今まで 話してたのに、そこに全然また別の話題をね、ポッと持ってきて、また場の雰囲気を乱してしまうっ ていうのかな、そういうことも結構あって、結構職場とかでね、すごくみんなからいやがられたり、 仲間はずれにされたりする原因になるんですよね。 はるな愛:どう?グレースちゃんは、聞いてて。 グレース:そうですね。 (タスケさんが)言っていた、 「空気が読めないと変な感じで、悲しい」って言ってた部 分は、なんとなく分からなくはないかな、っていうふうに思ってて。変な目で見られるっていう部分 で。 日比野P:まあ、タスケとしては、そういう体験があって、何か社会に自分の思いをメッセージとして伝えたい、 っていうのがあって、こういうパフォーマンスをもっとしちゃうんですけれど、さらに変な目でみら れるというところがあるみたいですね。 はるな愛:いやあ、先生、これは、どういった対応を? 山口 :結局、 「空気が読めない」っていうのも、コミュニケーションの問題で、言葉のキャッチボールが できてないんですよね。だから、普段からやっぱり会話の練習をするっていうのが大事で。よく高次 脳機能障害の方って、すごく孤立していて、なんかこう一日誰とも話さず過ごしてしまうとかね、 誰か人と接する機会があっても、どういうふうに接していいのかわからないっていうのがあるんでね、 やっぱりできるだけ色んな機会を通して、人と交わるということが大事ですね。 はるな愛:ふーん。 日比野P:なるほど。ここでですね、お悩みランキング番外編です。実はですね、「つい、買いすぎてしまう」 という悩みを結構いただいたんですね。そのエピソードをご紹介します。 兵庫県・54才・男性の方からです。 買ったことを忘れ、おなじようなものを何度も買ってしまうため、 小遣いが足りなくなり、家族から金使いが荒いとみられて、 家族と不仲になっています。 続きまして、かげやまさんという方からです。 6 テレビショッピングで、たくさん買い込んでしまいますが 結果的には不要で、返品することが多いです。 もうひとかた、大阪府・26才・福田拓郎さんから お金をもったら、全部使いたくなってしまいます。 パンやお菓子など、家にあるのに、同じ物を買ってしまいます。 こういうエピソードですね。 はるな愛:これも高次脳機能障害なんですね。グレースちゃんとか、どう? グレース:そうですね、困るというか、私、今この話をしながらふと、私この選択正しかったのかなって 悩み始めたんですけども、クレジットカードの上限いっちゃうんですよ。 日比野P:えーっ?毎月? はるな愛:毎回?何に使うんですか? グレース:いろいろ・・。ネットっていいものなんですよね。(笑) はるな愛:そっかあ。 グレース:やっぱり家にいることが多いので、どうしても買い物をネットで済ませるっていうことが 多くて。 日比野P:例えば、衝動的に同じようなものを何度も買うこともあるんですか? グレース:そうですね。コーヒー、コーヒーパック、同じ漫画をフルセット買ったこともあるし、 はるな愛:えっー。 グレース:けっこう大きいものだと、空気清浄機とかになってくると 日比野P:おおっ。 はるな愛:ええー。 グレース:結構額が高くなってくるじゃないですか。 はるな愛:同じものを? グレース:はい。 日比野P:空気清浄機二個も買うの? グレース:はい。 日比野P:ええっ!それはさすがに返品するんでしょ? グレース:いやあ、別にそれはないですけど、たまたま壊れたんで、今は1個になったんで、よかったなくらい でいいんですけど。それで上限いって、ついに我慢がしきれなくなって、この上限があるせいで、買 い物にいって、使えませんって言われることが増えて、ちょっと困るなって思って、上限をあげちゃ ったんですよ。 日比野P:いや、だめじゃないですか、それ。 グレース: (笑)今、危険かなって、フッて思ったんですけど。 日比野P:すごい危険だなと思いますけど、ちょっと先生に、そのあたり聞いてみたいですね。 グレース:ちょっと大丈夫でしょうか?私。 山口 :これね、社会的行動障害っていうんですけれども、自分の衝動とかね、欲求が抑えられないという ことなんですね。それから、それプラス、あの、記憶力がどうしても悪くなってますから 7 何買ったかっていうことも忘れてしまうとかね、あるいは、遂行機能障害っていうことで 計画的に物事が組み立てられないと。という色んなことが、これ、関係してるんです。 だから、それを自分である程度規制しようと思ったら、やっぱり月にどれくらいしか使わ ないとか、あるいは、そんなに沢山持っとかずに、ちゃんとやっぱり計画的にやるっていうことに なるんですけどもね。だからよく言われるのは、 「脳に書く代わりに、紙に書きましょう」って、 いわゆる「外部の脳」って言われるんだけど、そういうイメージですよね。 はるな愛:外部の脳。紙に書くことは、脳に書くってこと。 山口 :そうそうそうそう。 はるな愛:なるほどね~。どうですか?グレースちゃん。 グレース:勉強になりました。 はるな愛:そして? グレース:そして、クレジットの上限は下げます。 はるな愛:はい、お願いします。 日比野P:お願いします。 ♪ブリッジ はるな愛:はるな愛のバリバラR、今日のテーマは「高次脳機能障害」。当事者の方がどのようなことで悩んで いるのか、ランキング形式でお伝えしています。ここまで、5位~3位までを紹介してきました。 日比野和雅(ひびの・かずまさ)チーフ・プロデューサ-、続いてのランキング発表をお願いします! 日比野P:はい。続いて第2位は、 「疲れる」 。 アンケートであがった声をご紹介しましょう。 まず、兵庫県・小学校5年生の女の子からいただきました。 疲れやすいので、朝が起きづらく、毎日学校に行けません。 家で、宿題のプリントをしていても、10問中、7問目ぐらいでしんどくなり、 そのあと、できなくなります。 もう一方、大阪府・当事者の家族の方です。 疲れやすく、空気が読めないために、就職の面接の時に、 大きなあくびをしてしまい、 “真剣さが足りない”と、言われました。 はるな愛:んー、まずは小学校5年生の女の子なんか、毎日学校に行けないぐらい疲れるって、大変ですよね、 ちょっとびっくりなんですけど。 山口 :これは体の疲れっていうよりは、やっぱり、精神的な疲れっていうのか、あるいは、脳の疲れってい のかな、だから必要以上に脳がオーバーヒート、空回りしてしまって、そのためにすごく疲労感が残 るんですね。だから、これはちょっと休んだり、あるいは、睡眠をとったからよくなるってことでも なくて、かなりしつこい症状というのかな。疲れることによって、頭がぼんやりしてきますから、ど うしても集中力もなくなるし、当然、持続力もなくなるしっていうことで、途中でやっぱりやめてし 8 まうとかね。はたから見たら、すごくさぼってるようにみられてしまうんですよね。 日比野P:そうなんですよね。 山口 :誤解を受けやすい症状ですよね。 日比野P:これはだから、もし仕事でね、職場にそういう方がいらっしゃれば、そういう症状だよっていうこと を周りも認識した上で、一緒に職場環境を構築していったほうがいいんだろうな、と思いますね。 はるな愛:そうですね。第2位ってことは、結構の数の方が、この悩みっていうことなんですもんね。 日比野P:山口先生、対処法としては、どういったものが考えられますか? 山口 :あの、対処法としてはね、やっぱり自分が疲れやすいってことを、まず自覚することが大事なんです ね。やっぱり一日のリズムをちゃんと作って、それ以上のことはやらないとかね。 それから一番肝心なことはね、計画を変更しないってことが大事なんですよ。 急にそこに新しい予定が入ってしまうとね、結局、リズムをくずしてしまうんで、どっと疲れが出て しまうんですよね。だから今日なになにをしようと思ってたら、それをちゃんとやり遂げることが大 事ですね。この疲れやすさに対しては。 はるな愛:なるほどね~。いやあ、びっくりです。はい。 日比野P:それでは、50人に聞きました。お悩みランキング! 第1位です。 「忘れる」 。 番組の最初から言ってることなんですが、やっぱり一番多いのは、やっぱり忘れるっていうお悩み なんですよね、グレース。 はるな愛:笑ってるね。 グレース:すごい分かります(笑) 。 はるな愛:ほんと?思い当たることたくさんある? グレース:思い当たることいっぱいありすぎて、どこから語ったらいいか分からないくらいなんですけど、 はるな愛:しょっちゅう忘れてるの? グレース:先日バリバラで、高次脳機能障害についてのVTRの時に すごいなんか10分おきくらいに、ヘルパーさんに、「今日何月何日?」っていうのを、聞くことが すごい多かったりとか、あの、持ち物をよく忘れますね。 はるな愛:いつも持ってるようなものを忘れるっていうようなこと? グレース:いや、なんか一個もってきたら、一個わすれる、みたいな。 日比野P:はい、アンケートでも、そうしたエピソードが色々とよせられましたので、ご紹介します。 東京都・59才・ジョンさん 女性の方です。 毎日、お茶を、パックに入れて、やかんで沸かしているのですが、15分程煮出したので・・と ふたをとって中を見たら、お茶っ葉を入れてなかったので、お湯のままでした。 これを、3〃4回、繰り返しやりました。 はるな愛:あらー。3〃4回繰り返して? 日比野P:やっちゃったんでしょうね。 続きまして、大阪府・27才・きっしゃんさんから。 9 学校に通っていた時は、ペンを忘れて家に取りに戻ると、今度は逆に、 それまで持っていた下敷きを家に忘れたり、酷い時には、何を取りに戻った のかすら忘れてしまいます。忘れないために、何度も“確かめた”つもりが、 “確かめたこと”すら忘れてしまいます。 はるな愛:いやあ、これは当事者の方もつらいでしょうね。 何を確かめたのかも忘れてしまうっていうくらい。全て忘れてしまうんですもんね。 でも1位ランキングで、 「忘れる」っていうくらい、みなさん、多いんですか?先生。 山口 :やっぱり高次脳機能障害の方にアンケートとったら、これが必ず一番になりますね。 それぐらいやはり皆さん、たくさんの方が悩んでいる。 もう一つ悩んでいるのは、なかなか改善が難しいんですよね、この記憶力っていうのは。 日比野P:ああ~。 山口 :どんなによくしようと思っても、色んな訓練をしたからといって、なかなか記憶力がよくなるわけで もないんです。ですから、じゃあどうしたらいいかっていうと、自分が忘れっぽい、忘れやすいとい うことを、まずは自分で自覚して、対処法を身につけるっていうことが大事ですよね。必ず大事なこ とは、メモにする、メモをつけるとか、そういうことって結構、習慣がつきやすいんです。 日比野P:なるほど。 山口 :一日の間にやったことは、必ず日記といいますか、どういうことをやったのか、どういう人と話した のか、どういう食べ物を食べたのか、どこにいったのか、そういうことを必ず、一日に1回は、書い て覚えるとかね、そういうことも大事ですし。それから、必ず行動するときは、言葉に出すっていう ね。例えばグレースさんが、「今日、何月何日?」って聞いて、ヘルパーさんが、 「何月何日ですよ」 って、聞いたのを、聞くだけではなくて、「何月何日ね」と、もう一回確認すれば、その確認したぶ んだけちょっと長く覚えられるという。 日比野P:ちょっとね、それだけでも全然変わってくるかもしれないですね。 はるな愛:へえー、なんかいろんなお話ききましたけど、貴重なお話ありがとうございます。 そして、グレースちゃん、いかがでしたか? グレース:高次脳機能障害って、遂行機能障害だったり、注意障害だったり、いろんなのが混ざり合ってて 自分の中でも、何が問題で、自分がこういう症状をおこしてるんだろうってわからないんですよね、 自分自身だと。でもこうやって一個一個整理していくと、こういう症状はこうなんだっていうのが分 かって、それを一つ一つ、先ほど先生がおっしゃったみたいに、意識して、自分はこういうところが あるんだなって思うだけで、対処法になってるって聞けたのは、自分の中で、すごい大きかったので、 よかったなっていうふうに 思いました。 はるな愛:はい、どうもありがとうございます。またグレースちゃんはスタジオきてください。 日比野チーフ・プロデューサーありがとうございました。 日比野P:はい、どうも今日は、ありがとうございました。 はるな愛:さて、はるな愛の「バリバラR」いかがでしたか?感想やメッセージをお待ちしています。 また番組ではみなさんの障害にまつわるエピソードや、あるある話「バリバナ」を募集しています。 宛先は郵便番号540-8501NHK大阪放送局「バリバラ」の係です。 10 メールは、番組ホームページから送っていただけます。 ホームページのアドレスは、nhk.jp/baribara スペルは、 bari bara です。 来週の「バリバラR」もどうぞお楽しみに。はるな愛でした。バイバイ。### 11