Title 米国における小型調理家電の発展過程 : 1920

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米国における小型調理家電の発展過程 : 1920∼50年代を
中心に
面矢, 慎介
デザイン理論. 46 P.170-P.171
2005-05-30
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/11094/52899
DOI
Rights
Osaka University
『デ ザ イ ン理 論 』46/2005
大 会 発 表 要 旨2004.11.20
米 国 に お け る小 型 調 理 家 電 の 発 展 過 程
一1920∼50年
代 を 中心 に
面 矢 慎 介/滋 賀県立大学人間文化学部
1950年 代 の ア メ リ カ 調 理 家 電 市 場 に は,現
う ワ ッ フル型 と 同様 の 用 途 を もつ もの だ が,
在 の 日 本 か ら み る と や や 過 剰 と も思 え る 一 連
最 初 期 の もの は業 務 用 で あ った ろ う。 家 庭 用
の 機 器 が あ っ た 。 本 発 表 で は,ア
メ リカな ら
と して は お そ く と も1920年 代 末 に は丸 形 の 定
で は の 小 型 調 理 家 電 の い くつ か に つ い て,そ
型 が成立 して いる。 その後30年 代 頃か ら,ワ ッ
の 普 及 に 先 立 つ1920年
代 ∼30年 代 の 登 場 時 か
フル専 用 で は な く,焼 き型 を 交 換 す る こ とで
代 の一 定 の普 及 ま で の過 程 をた ど
サ ン ドイ ッチ ・ トー ス タ ーや グ リル の 機 能 を
ら,1950年
り,こ
の 一 連 の 機 器 の 発 展 に つ い て 考 察 した 。
併 せ 持 つ 角形 タ イ プが 現 れ,こ れ が50年 代 以
初 期 の 小 型 調 理 家 電 は20世 紀 初 頭 か ら1920
降 で は主 流 とな る。 これ は 日常 的 に ワ ッフル
年 代 まで の 間 に 多 くが試 行 さ れ て い る。 この
を 焼 くとい う食 習 慣 自体 が や や 廃 れ て きた た
時 期 に は トー ス タ ー や パ ー コ レ ー タ ー な ど,
め か も しれ な い し,あ る い は機 器 に多 くの 機
後 に 広 く普 及 し て い く も の の 他,チ
ェイ フ ィ
能 を 持 た せ て利 用 頻 度 を あ げ る こ とが 求 め ら
とは ア ル コール ラ ンプ
れ た の か も しれ な い。50年 代 の多 くの 家 庭 に
な どを 使 った料 理 保 温用 容器 。 サ ー ビ ング習
は い くつ もの小 型 調 理 家 電 製 品 が あ り,そ の
慣 の 変 化 に よ っ て 後 に は 見 ら れ な く な る)や,
収 納 も問 題 とな った か らで あ る。
ン グ ・デ ィ ッ シ ュ(も
ー
「ア メ リカ的」 料 理 の特 性 と して,種 々 の
度 の通
調 理 済 み 食 品 の利 用 が あ げ られ る が,こ れ は
電 に よ って 発熱 体 の 上下 で経 済 的 に調 理 す る
ワ ッフル に も当 て は ま る。 ワ ッフ ル の レシ ピ
電 気 発 熱 を 利 用 し た卓 上 用 の 複 合 調 理 器(テ
ブ ル トッ プ ス トー ブ な ど と 呼 ば れ,一
も の)等
は もと も と各 家庭 で独 特 の ものが あ っ た と思
の 製 品 もあ った 。
1930年 代 の 家 電 メ ー カ ー の 製 品 ラ イ ン ア ッ
プ に は,ト
ー ス タ ー,パ
ワ ッ フ ル ア イ ア ン(ワ
ー コ レ ー タ ー の 他,
ッ フ ル 焼 き 器)お
よび
わ れ るが,1930年
代 頃 に はす で に ワ ッフル 専
用 粉 が 商 品 化 され て い る。 ま た機 器 メ ー カ ー
各 社 は ワ ッフル ア イ ア ンを使 った レシ ピを 開
そ れ か ら 派 生 した サ ン ドイ ッ チ ・ トー ス タ ー,
発 し,レ シ ピ集 と して製 品 の付 録 につ け る よ
さ ら に,ゆ
う にな る。 機 器 に付 随 した レ シ ピの 開発 と,
で 卵 つ く り器,ポ
パ ー に 至 る ま で,食
ッ プ コ ー ン ・ポ ッ
卓 上 で の使 用 を前 提 とす
機器 にあ わせ た食 品の 開発 ・商 品化 とは,ワ ッ
る 一 連 の 小 型 調 理 家 電 が 見 ら れ る。 こ の 頃 に
フル に限 らず,そ の後 の ア メ リカ の食 文 化 に
な る と 冷 蔵 庫 や 洗 濯 機,電
大 き く影 響 した と考 え られ る。
型 家 電 と はmを
気 レ ン ジな どの大
画 した 製 品 ジ ャ ンル と して
調 理 家 電 を 使 った 客 の もて な しの方 法 な どが
成 立 して い た こ と が う か が え る。
こ こ で 当 時 の 代 表 的 製 品 の ひ と つ,ワ
1920年 代 の 家 庭電 化 啓 蒙書 を み る と,小 型
ッフ
説 か れ,こ れ らの機 器 を使 え ば,主 婦 が食 卓
ル アイ ア ンに注 目 して み た。 そ の 電化 以 前 の
か ら離 れ る こ とな く家族 も客 も もて なす こ と
鋳 鉄 製 ワ ッ フ ル 型(本
来 の ワ ッ フル ア イ ア ン)
が で き る と い う省 力 化 の 利点 が強 調 さ れ て い
代 の 通 販 力 タ ロ グに も見 られ る。 電
る。 こ の新 しい機器 を使 え ば,サ ーバ ン トの
気 式 ワ ッ フル ア イ ア ンは 調理 レ ン ジの上 で使
い な い家 庭 の主 婦 が 自 ら調 理 も配 膳 もお こな
は1920年
170
う こ とが 容易 に な る と期 待 され て い た こ とが
が 一 般 的 に な って くる。 これ は,台 所 か ら離
うか が え る。
れ た ダ イ ニ ングテ ー ブル上 で も簡 単 調 理 が で
小 型調 理 家 電 の外 観 デザ イ ンに関 して は,
き る とい う小 型 調 理 家 電 の一 つ の メ リ ッ トを
1930年 代 半 ば 頃 か ら流 線 型 や アー ル ・デ コ調
失 わ せ た が,こ の住 宅 プラ ンの変 化 に よ っ て
のデ ィテ ー ル 処理 な どが見 られ る よ う にな り,
そ の 普 及 が 止 む こ と は な か っ た 。50年 代 の
イ ンダ ス トリア ル デ ザ イ ナ ー の関 与 が うか が
「ポ ピ ュ ラ ック ス」 と も称 され る豊 か な 消 費
われ る。1950年 代 にな る とボデ ィ全 体 を クロー
文 化 の 中 で,ま す ます 多 くの メ ー カ ー が この
ム メ ッキ処 理 と し,ハ ン ドル や ベ ー ス,調 節
市 場 に参 入 して い る。
ダ イ ヤル 部 を 黒 い プ ラス チ ッ ク とす る こ とが
定 型 と な った 。
家 庭 電 化 率 と家 電製 品普 及 率 の推 移 を み る
この理 由の ひ とつ と して,こ の分 野 の機 器
が しば しば 「ギ フ ト」 と して 購入 され て い た
こ とが 思 いあ た る。 ク リスマ ス ・シー ズ ンな
と,電 気 レ ンジの 普 及 率 は他 の大 型 家 電 と比
どの(夫 か ら妻 へ の)贈
り物 と して広 告宣 伝
べ て著 し く低 か った。 これ は 電気 代 の高 さ が
され る こ と は1920年 代 か らす で にあ り,結 婚
主 要 因 で あ ろ う。 この よ うな状 況 の 中 で,機
す る花 嫁 に親 戚友 人 が新 家 庭 で 使 う品 々 を 贈
器 自体 が高 額 で電 気 コ ス トもか さむ 電気 レ ン
る習 慣 が あ る 中で小 型 調 理 家 電 が 選 ば れ る こ
ジを 購入 しな い層 で も,小 型調 理 家 電 の い く
とが 多 か った。1950年 代 に はギ フ ト用 ア イ テ
つ か を揃 え れ ば一 定 の 便 利 さが 得 られ る。 多
ム と して か な り定 着 して い た と見 られ る。 基
種 の小 型 調 理 家 電 に は電 気 ・ガ スの レ ン ジ と
本 的熱 源 と しての 汎 用 レ ンジ と手 道 具 が あれ
は ま た別 の大 き な市 場 が あ った こ と にな る。
ば た い て い の料 理 は事 足 りる。 しか し,機 能
な お,ア メ リカ で は農 村 部 の家 庭 電 化 が都 市
特 化 した小 型 の機 器 が あ れ ば さ らに調 理 が 便
部 に比 べ て 大 き く遅 れ た。 これ まで に述 べ た
利 に,ま た楽 し くで き る。 ギ フ トと して 贈 り
よ うな 家 電機 器 の普 及 は1930年 代 で もな お 都
合 うの に,こ の分 野 の 機器 は き わ め て好 都 合
市 部 に限 られ た 出来 事 で あ っ た。
な性 格 を 持 って い たの で あ る。
キ ッチ ンに定置 され次第 に重 装備 化 して い っ
さ らに ア メ リカ独 特 の 食事 習 慣 ・社 交 習 慣
た ガ ス ・電 気 の レ ン ジと対 比 す る と,小 型 調
との 関 わ り も指摘 され る。1950年 代 に人 気 と
理 家 電 の 存 在 理 由 は,そ れ が使 われ る空 間,
な った スキ レ ッ ト(足 つ き フ ライパ ン型 の調
つ ま り台 所 空 間 と食事 空 間 との 関係 に見 い だ
理 家 電)は,料
せ る。 中流住 宅 の標準 的 プ ラ ンで は,ま ず キ ッ
ル に 出 してお け るこ とが訴 求 されて い る。 ワ ッ
理 を そ の ま ま保 温 して テ ー ブ
チ ンとダ イニ ング の間 にパ ン トリー(配 膳 室)
フル ア イ ア ン は トー ス ター ほ ど には 日常 化 し
を置 く(つ ま り召 使 い の 存 在 を前 提 と した)
な か っ た もの の,や は りテー ブル上 で調 理 の
プ ラ ンか ら,キ ッチ ン とダ イ ニ ン グが 隣接 す
過 程 を見 せ る楽 しさが あ る。 また,ロ テ ィセ
る プ ラ ンへ と推 移 して くる と いわ れ る。 ダ イ
リー(串 刺 し肉を 自動 回転 させ な が ら焼 くプ
ニ ング テ ー ブル 上 で 簡 単 な 「調 理 」 が で き る
ロ イ ラ ー)な どの よ うに,調 理 過 程 を見 せ る
小 型調 理 家 電 が 最 初 に本 格 的 に使 わ れ 始 め た
こ とを意 識 した調 理 器 も登 場 して い る。 小 型
の は,お そ ら く この よ う な プ ラ ンの 住 宅 に住
調 理 家 電 は家 族 の 日常 の食 事 の た あ ばか りで
む 召使 い の い な い家 庭 で あ っ た。 や が て50年
な く,ホ ー ムパ ー テ ィな どの社 交 的 食 事 習 慣
代 にな る とダ イニ ングを独 立空 間 とせ ず,キ ッ
の 中 で 活用 さ れ る機 器 で もあ った。
チ ンで 食 べ るキ ッチ ン ・ダ イ ニ ングの プ ラ ン
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