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濱口委員-年金の不動産投資の現状と不動産投資市場に期待するもの

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濱口委員-年金の不動産投資の現状と不動産投資市場に期待するもの
年金の不動産投資の現状と
不動産投資市場に期待するもの
2006年2月20日
企業年金連合会
年金運用部長 濱口大輔
年金資金の特質
1.大規模、資金ロットが大きい
⇒年金全体で250~300兆円
⇒多数の資産に分散投資が可能(分散投資効果)
⇒しかし、日本の不動産証券化市場の規模は約3兆円
(エクィティベース)しかない
2.長期的な視点で運用
⇒現在の私募ファンドは必ずしも長期投資とは言えない
2
年金資金の特質
3.受託者責任(忠実義務・注意義務)の遵守
⇒年金基金の理事は、専ら受益者である加入員・受給
者の利益を考慮すべきであり、自分自身や第三者の利
益を図ってはならない
⇒年金基金の理事は、理事の地位にあるものとして要
求される知識に基づき、十分な注意を職務遂行上払わ
なければならない
⇒他資産では、この受託者責任を転嫁できる運用受託
機関が信託銀行、生保、投資顧問会社など多数(数百
社)存在するが、不動産投資では信託銀行5行しかない
3
年金資金の特質
⇒しかも、その信託銀行は利益相反の可能性を
多く抱えており、受託者責任という観点で解決す
べき課題も多いと思われる
[典型的な年金基金による私募ファンド投資のスキーム]
アレンジャー
アセット
マネージャー
有限会社(SPC)
現金
仲介業者
前所有者
仲介
不動産
信託
プロパティ
マネージャー
不動産管理処
分信託受託者
不動産信託
受益権
デット
借入
ローン
レンダー
エクイティ
投資
匿名組合 年金指定単
出資者 一般投資家
資本金
資本
ケイマン
SPC
事務受託者
信託
年金基金
2005ARES年金フォーラム資料より。筆者加筆。
ビル管理会社等
4
不動産投資の位置付け
海外の年金では、
„
資産分散効果を享受することを目的に独立したア
セットクラスの一つとして組み入れられている
(平均的に5%前後)
年金受給者への支払い原資の確保
⇒低レバレッジで長期・安定的なキャッシュフローが
期待できるコア投資が戦略の出発点
„
„
コア投資以上の超過収益の獲得を目的にノンコア
投資も実施
5
日本の企業年金の資産配分
2.2%
100%
90%
80%
1.4%
11.4%
1.5%
12.1%
4.4%
4.3%
14.0%
18.1%
70%
60%
2.7%
10.3%
5.3%
10.5%
19.6%
10.2%
16.0%
15.1%
7.1%
7.0%
8.5%
16.5%
11.9%
10.3%
12.0%
32.0%
25.9%
28.2%
26.8%
21.3%
21.3%
23.2%
20.1%
22.1%
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
50%
40%
10.4%
34.0%
30%
20%
10%
短期資金
その他
一般勘定
外国株式
外国債券
国内株式
転換社債
国内債券
0%
(注)「その他」はオルタナティブ投資、不動産、貸付金等である。
2004連合会厚生年金基金等運用実態調査より
6
不動産投資の位置付け
日本の企業年金では、
„
„
„
„
従前は5:3:3:2規制により2割以下に制限され(97
年12月まで)、信託銀行を通じて実物不動産に投資
(1%未満)
バブル崩壊、時価会計の導入等により投資規模は
縮小(0.1%未満)
不動産証券化市場の進展により新たに投資されるも、
現在の投資規模は企業年金全体の0.5%未満であ
る(オルタナティブ投資)
しかも、ノンコア投資としてのファンド投資がほとんど
である
7
不動産投資の有無の理由
①投資する理由(2つ選択)
長期的な総
絶対リター
分散効果
リスクを限
合収益が
ンが期待で
が図れる
定できる
期待できる
きる
不動産証券化商品
34.7%
77.4%
37.1%
8.1%
その他
2.4%
回答
100.0%
(注)オルタナティブ投資を「実施している」または「今後実施を検討する予定」と回答した546基金が対象。
②投資しない理由(2つ選択)
低いリター
リスクが高
ンしか期待
い
できない
不動産証券化商品
2.8%
24.3%
基金の方 十分に情報
流動性が
針等で投資 が開示され
低い
を禁止
ていない
38.3%
6.5%
45.8%
その他
24.3%
回答
100.0%
(注)オルタナティブ投資を「実施している」または「今後実施を検討する予定」と回答した基金のうち、不動産証券化商品を
当面実施する予定がないと回答した107基金が対象。
2003連合会資産運用実態調査より
8
不動産投資市場に期待するもの
1.透明性の高い市場へ
⇒透明性が高く年金が受託者責任を果たせる環境が
整わない限り、年金の不動産投資の拡大は難しい
2.市場規模の拡大のためには、
⇒年金の不動産投資がさらに拡大するためには、信託
銀行の寡占状態が解消され、信託銀行以外のプ
レーヤーが増え、競争原理が働くようになることが必
要ではないか
9
不動産投資市場に期待するもの
⇒その結果、市場の成熟度が高まり、規模が拡大すれ
ば、流動性、時価評価、ベンチマーク、情報開示、手
数料体系、利益相反といった問題もおのずと解決さ
れていくのではないか
⇒また、利益相反の解決の為にも、信託銀行以外のプ
レーヤーの育成が必要ではないか
⇒そのためにも、年金が受託者責任を果たせる形で投
資一任できる不動産専業の投資顧問会社の育成は、
極めて重要である
10
不動産投資市場に期待するもの
⇒具体的な提案としては、
(1) 不動産投資顧問業を独立した業態として独立させ、年金
基金が委託できるよう現行の「不動産投資顧問業登録規
程」の立法化または「投資サービス法(仮称)」の規制の対
象とする
その上で厚年法等が改正されれば年金の運用委託が可能となる
⇒J-REITの運用会社は、宅建業免許と取引一任代理認可に基づ
き不動産の一任運用を行っている
(2)不動産証券化市場では、信託受益権での売買が主流と
なっており、信託受益権の売買等についても上記の規制の
対象とする必要がある
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