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バン!おなかの血管が突然破裂する日
NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中 http://www.nhk.or.jp/gatten/ バン!おなかの血管が突然破裂する日 2010年12月15日放送 今回の番組について 人体で最も太い血管「大動脈」。 その大動脈に「コブ」ができ、ある日突然破裂してしまう病気 「大動脈瘤(りゅう)」になる人が今、増えています。 破裂したら最後、3人に2人は助からないという怖∼い病気ですが、 自分の"コブ"に気づいていない人がなんと16∼26万人もいると推定されています。 実は、この病気には"気づきにくい"という非常にやっかいな特徴があるんです。 大動脈瘤をどうやって見つけたら良いか? 防ぐにはどうしたら良いか? 最新研究で分かってきたことをご紹介します。 番組ディレクターのひとこと ヨメナカセの由来は? 番組中でホルモン焼きの牛や豚の大動脈を紹介しました。 「センポコ」とか「ハツモト」と呼んでいるそうですが、 実はこれ、地方によっては名物料理となっていて、名前も色々に変化します。 見た目から「エントツ」「フエ」。 食感から「コリコリ」なんていうのもあります。 中でも不思議なのが岡山県の「ヨメナカセ」。 由来を取材したところ、返ってきた答えはさまざま。 「下ごしらえが大変だから」 「おいしくてダンナさんばかり食べてお嫁さんは食べられないから」などなど。 どの由来が正しいのか、結局わかりませんでしたが、 色々な情景を想像させてくれる名前ですよね。 極太血管・大動脈って? そもそもコブができる大動脈ってどんな血管かご存じですか? 大動脈は心臓から出ていて、最初は上に向かいますが、 すぐに傘の柄のように急カーブを描いて下に向かい、おへそ辺りまで伸びています。 直径は2∼3㎝の極太血管です。 1分間に流れる血液は約4リットル。 体重70kgの成人の血液量が約5リットルですから、 この血管が破裂することの恐ろしさが伺い知れます。 そんな大動脈は"第二の心臓"とも呼ばれる重要な働きを持っています。 "弾性線維"という物質が大量に含まれていて、なんと「伸び縮み」するんです。 そして伸び縮みをすることで、心臓から勢いよく流れる血液を受け止め、 また心臓が血液を出さない時も途切れずに血液を全身に送る役目を果たしているんです。 自覚症状なし!気づきにくい大動脈瘤 大動脈にできるコブは大きい時は8㎝、まれに10㎝になるものも見つかるといいます。 せいぜい3㎝のものが倍以上の大きさになるのですから、 簡単に見つかりそうに感じますよね? ところが、そう簡単にはいきません。 実は大動脈瘤は多くの場合、痛みなどの自覚症状がありません。 初めて感じた自覚症状は破裂した時の激痛だった・・・ というケースもたくさんあります。 さらにやっかいなのは、 健康診断や人間ドックを受けていても確実に見つかるわけではないことです。 とくに腹部にできたコブはX線では見つけにくく、 また人間ドックでも、ガンなど他の病気を目的としているものの場合、 発見されないこともあるそうなんです。 原因は動脈硬化と高血圧 大動脈にコブができる原因は何か? 実は大動脈のコブは、血管壁が風船のようにふくらんでできあがる コブなんですが、その原因として有力な説が「動脈硬化」と「高血圧」です。 高血圧は容易にイメージできますよね? 血管を押し広げようとする力が働き、血管壁がふくらんでしまうんです。 では動脈硬化はというと、大動脈で動脈硬化が起こると、 血管の壁に大量に含まれている弾性線維が破壊されてしまうんです。 すると血管壁は薄く弱くなり、伸び縮みも出来なくなってしまいます。 伸び縮みできなくなった大動脈は、血流の力で膨らみますが、 その後、本来なら縮んで元に戻るはずが、 戻れなくなってしまいコブになってしまいます。 なぜ!?血圧正常なのにコブが! 大動脈瘤の原因として考えられている「高血圧」ですが、 高血圧ではない人が大動脈瘤になってしまうという不思議なケースが起きています。 そのナゾが最新研究で明らかになってきました。 それは、一般的なやり方で測る腕の血圧が正常でも 中心血圧が高血圧になっていた可能性があるというものです。 中心血圧とは、大動脈の心臓から出たばかりの部分の血圧値のことです。 実はこの中心血圧、動脈硬化が進んでいる人は高血圧になりやすいんです。 中心血圧を測る機械はまだ普及しておらず、一般的ではありません。 しかし、あくまでも目安としてですが、通常の方法で測った腕の血圧でも、 最高と最低の差が60以上ある人は、中心血圧が高血圧になっていて、 大動脈瘤になりやすくなっている可能性があるので要注意です。 要注意! 最高血圧―最低血圧=60以上 大動脈瘤をどうやって防ぐ?なおす? 動脈硬化と高血圧の他に大動脈瘤の発症リスクは? 「喫煙」が挙げられます。 喫煙は動脈硬化と高血圧を悪化させるばかりでなく、血管をもろくさせてしまいます。 また「男性」であることもリスクです。 女性ホルモンが動脈硬化を防ぐからです。 女性も閉経後は要注意です。 大動脈瘤が見つかったら? 瘤(コブ)の大きさで治療内容を判断します。 胸部は6㎝、腹部は5㎝になっていれば手術適応です。 手術は患部を人工血管に置き換える手術と、 ステントグラフトと呼ばれる一種の人工血管を、 患部の血管の中に挿入する手術があります。 大動脈瘤の発症を調べるには? 胸部についてはX線。 腹部は人間ドックでエコー検査(超音波検査)を受けるのが一般的です。 エコー検査を受ける際は「大動脈も見てください」と ひとこと検査員に告げるのが、重要です。 また、エコー検査よりも手軽に調べるには、 病院の循環器内科、もしくは血管外科を受診します。 Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載することを禁じます。