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食品残さを活用した発酵リキッドフィーディング 川島 知之 (独)農研機構 畜産草地研究所 機能性飼料研究チーム長 佐伯 真魚 日本大学生物資源科学部 専任講師 高橋 巧一 (株)小田急ビルサービス小田急フードエコロジーセンター顧問 • 飼料自給率は25%にすぎず、豚の飼料である濃厚飼料の自給率はわずか10%です。 • 昨今の輸入穀類の価格高騰はわが国の養豚に深刻な影響を与えています。 • 食品リサイクル法で示された食品廃棄物の利用を促進しつつ、養豚業における飼料コストを大幅に削 減する技術を産学官連携により開発し、現場で利用されています。 • 多様な食品残さの分別と混合の後、選抜した特定の乳酸菌を用いて発酵調製することで 飼料成分が 安定化し、保存性が向上した飼料を安価に製造することが可能に。 • 飼料自給率の向上、飼料コスト低減、食品リサイクルの推進、二酸化炭素排出量の低減、抗菌性飼料 添加物の使用低減、特徴ある豚肉生産等により地域ブランド化も。 食品関連事業者 ・小田急百貨店 ・サザンタワー、ミロード ・小田急商事 etc 豚肉 契約養豚農場 小田急グループで ブランド肉として販売・利用 事業活動によって発生 した食品循環資源 飼料 小田急フードエコロジーセンター 畜産草地研究所 • 発酵リキッド飼料調製技術の開発 • 発酵リキッド給与豚肉の特性解明 • 環境影響評価 日本大学 • 発酵リキッド飼料調製技術の高度化 • 発酵リキッド飼料の栄養特性評価 • 肥育試験と豚肉の官能評価 連携機関 (株)アグリガイアシステム:千葉県にエコフィード生産施設を設置、発酵リキッド飼料の販売準備中 (有)えこふぁーむ:鹿児島県で焼酎粕発酵リキッド飼料による放牧養豚。放牧・げんき黒豚を販売 大阪府環境農林水産総合研究所:飼料中脂質含量と肉質の関係を解明 鹿児島県畜産試験場:バークシャー種の発酵リキッド飼料に対する品種特性を解明 神奈川県畜産技術センター:中ヨークシャー種ならびに交雑種の品種特性を解明 京都大学農学部:高フィターゼ活性残さを活用することで豚からのリン排泄を低減 ノース・ベスト・ファーム(有):北海道にて牛乳・じゃがいもの発酵リキッド飼料で望来豚を生産販売 宮崎大学農学部:エコフィード給与豚肉の特性を解明 雪印種苗(株):乳酸菌を用いた発酵リキッド飼料調製技術の最適化 発酵リキッド飼料の高付加価値化 食品残さを分別、適正に配合、殺菌後、選抜した乳酸菌を用いて発酵調製する。 これにより、豚の求める栄養素バランスをよく含み、保存性も向上。プロバイオティック効果も期待。 ○適正な分別による成分の安定化 ○低コスト・プロバイオティック機能 肉のやわらかさ 6 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 > 5 4 発酵リキッド給与が やわらかい 3 2 > 0 発酵リキッド 日増体量(kg/日) ↓ しかし、発酵リキッド 給与豚肉を好ましい と感じる消費者は配 合飼料給与豚肉を 好ましいと感じる消 費者とほぼ同じ 配合飼料給与が やわらかい 脂肪の口溶け 1 対照 肉のやわらかさや脂肪 の口溶けが明確に違っ ても、それが好きかどう かは個人の好みにより 異なる 対照 総合評価 発酵リキッド 発酵リキッド給与が 溶けやすい ロース筋内脂肪含量(%FM) コンビニ残さ主体の発酵リキッド飼料を豚に給与する コンビニ残さ主体の発酵リキッド飼料を豚に給与する ことで、配合飼料給与と遜色のない発育を示すとともに、肉 ことで、配合飼料給与と遜色のない発育を示すとともに、肉 質が霜降りとなる。 質が霜降りとなる。 配合飼料給与が 溶けやすい = 発酵リキッド給与の ほうが好き 配合飼料給与の ほうが好き 食品残さを活用することでかなりの消費者に指示され 食品残さを活用することでかなりの消費者に指示され る豚肉を生産できる。 る豚肉を生産できる。 大森等,日本畜産学会報 大森等,日本畜産学会報 78(2),189-200(2007) 78(2),189-200(2007) Sasaki Sasaki et et al. al. Asian-Aust. Asian-Aust. J.J.Anim. Anim. Sci. Sci. 20(8)1272-1277. 20(8)1272-1277. (2007) (2007) 対照区 発酵リキッド区 発酵リキッド飼料を離乳豚 発酵リキッド飼料を離乳豚 に給与すると配合飼料給与 に給与すると配合飼料給与 (抗菌性飼料添加物を含ま (抗菌性飼料添加物を含ま ないもの)よりも増体が良く ないもの)よりも増体が良く なり、小腸の絨毛が顕著に なり、小腸の絨毛が顕著に 長くなる。 長くなる。 http://nilgs.naro.affrc.go.jp/SEIKA/2006/nilgs/ch06015.html 温室効果ガス排出量 (g CO2 eq/FU*) 1200 残さ焼却 (燃料) 1000 残さ焼却 (電気) 残さ飼料生産 燃料 (燃料) 残さ飼料生産 電気 (電気) 残さ収集 800 600 400 飼料輸送 (輸入) 200 配合飼料生産 0 リキッド飼料化 乾燥飼料化 焼却処分 (飼料輸入) リキッド、乾燥、焼却の各シナリオにおける温室効果ガス発生量 *代謝エネルギー量で調整した生産飼料乾物1kg (Functional Unit) リキッドフィーディングは、飼料生産時の二酸化炭素排 リキッドフィーディングは、飼料生産時の二酸化炭素排 出削減にもつながる。 出削減にもつながる。 Ogino Ogino et et al. al. J.J. Environ. Environ. Qual. Qual. 36,1061-1068 36,1061-1068 (2007) (2007) 畜産草地研究所・機能性飼料研究チーム 発酵リキッド飼料調製給与の高度化 多様な「食品残さ」から調製した「発酵リキッド飼料」の栄養特性評価を通じて、調製技術の高度化を図り、その技術 を利用現場にフィードバックしました。養豚現場では実施が困難な、「豚の個体レベルでの定量的なデータの収集・ 解析」を特に大学の付属実験施設を活用する事によって可能にしました。 学生が実験に参加することで、食品リサイクルの教育を実践することもできました。 発酵リキッド飼料の給与効果を以下の目的→方法によって検証しました。 1. 豚に、より多く食べてもらうために → 嗜好性試験、飼養試験 新規な飼料について嗜好特性を検討し、採食良好な飼料調製法を開発 2. より多く消化吸収し、効率よく体成分を蓄積してもらうために → 消化・代謝試験 糞、尿を分析し、飼料の消化吸収率、栄養成分の蓄積効率を検討 3. 豚肉の生産性を最大にするために → 肥育試験 体重約115kgで出荷するまでの肥育期間全体の生産性を検討 4. 生産した豚肉を消費者に受け入れてもらうために → 枝肉分析、官能評価 食味への影響を消費者パネル型で分析し、改良点を現場に提案 日本大学・生物資源科学部 小田急フードエコロジーセンター 小田急グループやその沿線食品関連事業者から排出される食品循環資源 (飼料化可能な食品残さ)39t/日を発酵リキッド飼料化可能な施設 小田急フードエコロジーセンター概要 • 場 所 : 神奈川県相模原市田名塩田1-17-3 (工業専用地域内) • 面 積 : 土地 2800m2 建物 909m2 • 能 力 : 39t/日 • 稼 動 : 8:00~17:00 365日稼動 • 電 話 : 03-5333-0023 食品循環資源の搬入から飼料化の作業フロー ①食品循環資源の搬入 ⑤高温殺菌処理 ②専用容器での計量 ⑥乳酸発酵処理 ③投入口への投入 ④破砕処理 ⑦タンクローリーで搬 送 ⑧給餌風景 現在、小田急グループ内では、小田急百貨店がギフト商品におい て「安曇野 香味旨豚」、小田急商事がスーパーマーケットOdakyu OX において「神奈川ヨーグル豚」というネーミングでブランド化に 成功し、お客様から大変ご好評をいただいています。またグルー プ外においても、株式会社エコス様が「旨香豚」で首都圏の7店舗 で販売をおこない、順調に販売店舗数を増やしています。 ㈱小田急ビルサービス・小田急フードエコロジーセンター