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乾式メタン発酵によるエネルギー生産と資源循環システムの
平成27年度家畜ふん尿処理利用研究会 「新たな家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針と研究開発対応」 乾式メタン発酵によるエネルギー生産と 資源循環システムの構築 平成27年11月5日 栗田工業株式会社 開発本部 古賀哲雄 1.乾式メタン発酵 ~メタン発酵技術の分類例~ メタン発酵 湿 式 法 UASB法 (中温) 二相式 (中/高温) 乾 式 法 一相式 (中/高温) ※DRANCO:DRy ANaerobic COmpostingの略 – 11 – 横 型 (高温) 縦 型 (高温) KURITA DRANCO PROCESS® 1.乾式メタン発酵 ~各種メタン発酵技術の汚泥の形状~ UASB発酵 グラニュール 微生物が年輪状に 増殖します 湿式メタン発酵 乾式メタン発酵 スラリー状 汚泥濃度 約5% 固型状 汚泥濃度 約17% 1.乾式メタン発酵 ~各メタン発酵技術の比較表~ UASB法 概 特 乾 式 法 要 メタン菌をグラニュ メタン菌を低汚泥濃 ール化し固定し処理 度で浮遊させ処理 メタン菌を高汚泥濃 度で処理 徴 ・高効率 ・固形物不得意 ・運転管理 容易 ・排水処理必要 ・固形物処理可能 ・排水処理不要 ・ガス発生量大 5-8% 2-5% 15-30% 食品排水 畜産廃棄物 生ごみ 下水汚泥 都市ゴミ 固形廃棄物 国内多い 国内外多い 国内少ない 汚泥濃度 主な適用先 実 湿 式 法 績 – 12 – 1.乾式メタン発酵 ~栗田のメタン発酵技術の特徴~ 国内でも唯一、 UASB・湿式・乾式と3種類の発酵技 術を保有している。 地域のバイオマス発生状況に合わせた、有利な発 酵技術を採用することができる。 UASB法施設の一例 (製糖工場排水、国内) 湿式法施設の一例 (し尿、浄化槽汚泥、 生ごみ、国内) 乾式法施設の一例 (都市ごみ、国内) 1.乾式メタン発酵 ~概略フロー~ バイオガス バイオマス 発酵槽 破砕機 混合 加温 エネルギー 発酵残渣 蒸 気 投入ポンプ ※ KURITA DRANCO PROCESS® は、 Organic Waste Systems N.V.(OWS社、ベルギー)からの導入技術 – 13 – 堆肥+液肥 炭化物 固形燃料 KURITA DRANCO PROCESS® 一般図 ・発酵槽の内部には、撹拌 装置及び加温装置がない。 ・省スペースの設置 ・発酵槽メンテナンスフリー 1.乾式メタン発酵 ~システムの特長・利点~ 1.あらゆるバイオマスが受け入れ可能 ・作物残さや繊維分の多い稲わら・草類の等の低リグニンバイオマスの活用 ・地域から発生する生ごみ、食品残さ、紙ごみ、家畜ふん尿等も幅広く受け 入れることができる 2.シンプルな前処理 ・破砕サイズは40mm角以下の粗破砕でよいため複雑な前処理は不要 3.縦型発酵槽はメンテナンスフリー ・発酵槽内にガス撹拌や機械撹拌装置、加温装置がない ・「乾式」であるためスカムの発生がない ・発酵不適物は底部から排出されるため、底部に沈殿物が蓄積しない ・槽内装置がない、スカム、沈殿物の発生がないためメンテナンスは不要 4.高肥料濃度の堆肥と液肥を生産 ・発酵残さの水分が比較的少ないため堆肥化の水分調整が容易 ・脱水時の液量が最低限のため液肥量が適量 5.用地面積が小さい ・縦型発酵槽であるため発酵槽周りの用地面積が少ない – 14 – ~各バイオマスにおけるガス発生量~ 発酵残渣及び消化液処理 有機物をメタン発酵処理した際、微生物が分解できない部分が残ります 乾式メタン発酵 発酵残渣 湿式メタン発酵 消化液 堆肥+液肥 炭化物 補助燃料 土壌散布 処理・河川放流 処理・下水放流 ・土壌散布(液肥利用)の場合、 広大な面積の土地が必要 ・放流の場合、窒素除去を目的とし た排水処理設備が必要 ・堆肥・炭化物は、農業資材として の利用が可能 ・焼却炉がある場合、化石燃料代 替としての利用が可能 – 15 – 3.乾式メタン発酵取組事例 事 業 名 :食料生産地域再生のための先端技術展開事業 (平成25年度~平成28年度) 研究課題名 :エネルギー・資源循環型営農技術の実証研究 研究機関 :福島資源循環コンソーシアム 代表機関 国立研究開発法人 農研機構 中央農業総合研究センター 実証場所 :福島県伊達郡川俣町山木屋地区 (避難指示解除準備区域) 3.乾式メタン発酵取組事例 ~全体像~ 12 – 16 – 3.乾式メタン発酵取組事例 3.乾式メタン発酵取組事例 ~パイロット装置~ 1.装置概要 (1)メタン発酵槽 1)容 量 :約1m3 2)サイズ(直胴部) :φ1,000 mm×H 1,500 mm (2)投入ポンプ 1)型 式 :軸ネジポンプ 2)電動機 :防爆型 三相200 V / 50 Hz (3)ガス貯留槽 1)型 式 :水封式ガスタンク 2)容 量 :約1m3 (4)余剰ガス燃焼装置 1)能 力 :0.5 Nm3/h 2.計画処理量 約40 kg/日 写真 パイロット試験機 (2014年9月設置) – 17 – 3.乾式メタン発酵取組事例 ~分解特性~ 今後のメタン発酵施設の導入 ・大都市部では生ごみ処理方式としてメタン発酵も導入(焼却・浄化処理併用) ・地方都市や農村部では、化学肥料の節減・エネルギー生産に重点を置いた資源循環システ ムとして位置づける • 家畜ふん尿だけのメタン発酵はガス発生量が少なく 、窒素濃度も低いので不利 • 生ごみや食品残渣との混合処理が主流 • 農産物価格の下落等により農産物生産費の低減が 必須 • 農家戸数の減少により液肥利用等が促進 (特に水稲作) – 18 – 本資料より転載・複製する場合は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の許 可を得てください。 畜産草地研究所 平 27-3 資料 平成 27 年度家畜ふん尿処理利用研究会資料 編集・発行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 企画管理部業務推進室 Tel.029-838-8290、 Fax.029-838-8606 〒305-0901 茨城県つくば市池の台2 発行日 平成 27 年 11 月 5 日 印刷所 松枝印刷株式会社 畜産草地研究所