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2013年9月号 第5回水泳ファンを増やし続けているスイミングスクール
冨田賢の横比較の目線⑤ 冨田 賢（とみた さとし ) 今年の５月からスタートしたこ のコーナーでは、中古車業界、ゴ が、どの調査でも第一位は水泳で 子 供 の 習 い 事 ラ ン キ ン グ は、 様々な組織が調査をしています も出ています。筆者が所属してい 中では、株式上場を達成する企業 街中にはどこにでもあります。 上げてまいりました。偏差値を徹 たベンチャーキャピタルで投資を ス イ ミ ン グ ス ク ー ル の 中 で も、 優秀な水泳選手を輩出したり、多 底活用している予備校業界との横 す。ちなみに、第二位以下は、ピ に基づいて考えてみると、なかな これまでのコンサルティング経験 いるのが水泳なのです。 ダントツのトップの位置を占めて ありますが、習い事ランキングで、 サッカーや野球は、男の子のラ ンキングの上位に出てくる調査も などです。 な経営管理手法を取り入れて、成 成長を阻害していたため、近代的 経 営 管 理 が で き て い な い こ と が、 同社へのコンサルティングで は、体育会的な体質で、効率的な 上場を達成しました。 今年６月にジャスダック市場への し た 株 式 会 社 ジ ェ イ エ ス エ ス は、 店舗展開をしたりしている会社の 比較については、２回にわたって ルフ雑誌業界、予備校業界を取り 検討しました。 アノ、英語 英会話、体操 リ ･ ･ト ミック、そろばん く ･ もん、習字 か難しいのですが、今回は、スイ 長を加速させました。 ゴルフ業界にとってのインプリ ケーション︵教訓︶が得られる他 ミングスクール業界との横比較に 体力作りの目的や、海や川での 事故防止の観点、そして、オリン 業種としてどこがよいかを、私の チャレンジしてみましょう。 ピックを頂点とする水泳選手を目 ます。やはり、ビジネスを伸ばす いけないという議論がよく聞かれ このようなスイミングスクール の子供の習い事における確固たる ると思います。 ングスクールの強さの背景にはあ 水泳の場合は、学校の体育の時 間で行われていることも、スイミ 事としてのスイミングスクールの 企業の好業績は、子供の頃の習い 業が多数存在しますが、それらの ティップネスやＮＡＳ、コナミス す。フィットネスクラブ業界では、 する消費者層が形成されていま が表れています。 ルに通わせて水泳を学ばせる傾向 で、子供の頃にスイミングスクー 指す競技志向など、様々なレベル 子供の習い事から 大人のフィットネスへの 流れ 水泳人口を あらゆるレベルで 増やし続けている スイミング業界 子供の頃にスイミングスクール へ 通 っ た こ と で、 大 人 に な っ て ためには、マーケットの拡大が必 地 位 の 確 保 に よ り、 水 泳 人 口 は、 も、フィットネスクラブで水泳を 要なので、当然の着眼です。 毎年、増え続けているわけです。 ゴルフ業界を活性化させるにあ たり、ゴルフ人口を増やさないと 今回取り上げる﹁水泳﹂は、子 供の頃から習い始める環境が非常 を払ってプールで泳ごうとする人 フィットネスクラブに月々会費 な か っ た ら、 大 人 に な っ て か ら、 もし、子供の頃に、スイミング スクールに習い事で通った経験が が少なく、大人になって始める人 ゴルフは、子供の頃から始める人 傾 向 が あ り ま す。 そ れ に 対 し て、 なったら、やらなくなってしまう に 習 う 人 は 多 い で す が、 大 人 に 水泳以外のスポーツで見てみる と、サッカーや野球は、子供の頃 でしょう。 一緒に連れて行ってもらっていた は、親や祖父などがゴルフ好きで、 しかし、日本で育った方で、子 供の頃からゴルフをしていた方 あります。 選手育成に力を入れている学校も 高校の中では、ゴルフ部を設けて、 ルフを習わせようという流れは日 存在に支えられる面があると言え ポーツ、セントラルなど、大手企 に整っており、幼稚園や小学校の 子供向けのスイミングスクールが は、これほど多くはないのではな に依存してしまっています。 ます。 いでしょうか。 そのあたりに、ゴルフ人口を増 やしていくにあたってのネックが あると思います。 ︰︰ という人のみで、相当、少 数派ですね。 本でも出てきました。私立の中学 子供の頃にそのスポーツを始 め ら れ る 環 境 に あ る か ど う か に、 ゴルフを子供の頃に 始める環境を 作ることはできるか 132 133 マーケット規模を拡大するポイン この点について筆者は、どのような打ち手を打てるのか が今すぐ思い浮かびませんが、ゴルフ業界全体で、自分た ちが持っている資金やネットワーク、ノウハウ、設備など から何ができるかを考え出し、それを出来る限り実行して いくということが大切だと思います。日本においても、ゴ ルフを子供の頃から始められる環境整備のための施策のア イディア出しをゴルフ業界の各企業で行ってみるとか、ア イディアを募集するとか、何かしてみるとよいのではない でしょうか。 石川遼選手の活躍で、子供にゴ プロゴルファーの輩出率が高い九州では、子供がゴルフ を習いやすい環境にあると聞きます。やはり、環境を整え れば、プロ選手にならなくとも、ゴルフをする習慣を持つ ゴフル人口を増やしていけると思われます。 現実的に考えれば、広範な消費者層からの需要があるス イミングスクールと同じように、子供向けのゴルフスクー ルが出来るということはないでしょう。その理由は、ゴル フはプレー代も用品代も高く、また、日本では、ゴルフ場 が身近にないからです。しかし、ゴルフ業界を活性化させ、 母集団としてのマーケット規模を拡大させていこうとする には、なにかしら、子供の頃からゴルフを始める人を増や していく施策が必要です。 トがあります。そのことをゴルフ 各地のアマチュアのゴルフ協会が子供向けのゴルフ教室 や大会を開催して、若年層のゴルファーの掘り起こしをし ようという取り組みはありますが、街中に、スイミングス クールのように、子供向けのゴルフスクールがあるという 状況にはありません。 業界はもっと意識する必要がある 子供の頃からゴルフを始められるよう にする施策を考えよう！ vol.5 株式会社ティーシーコンサルティング代表取締役社長。事業提携によ る新規事業の立ち上げや売上アップを得意としている。この約５年で １２０社以上の豊富な実績。ベンチャーキャピタルにて上場経験も有す る。慶應義塾大学卒業。京都大学大学院経済学研究科修了。 Web は、 「とみたさとし」と検索！本稿のご感想、気軽にお送りください。 電子メールは、[email protected] まで！ 水泳ファンを増やし続けているスイミングスクール業界との横比較