Comments
Transcript
ブラジル: 第8 次ライセンスラウンド概要 - JOGMEC 石油・天然ガス資源
更新日:2006/8/23 ヒューストン事務所:佐藤 隆一 ブラジル: 第 8 次ライセンスラウンド概要 (ANP 他) ANP(National Petroleum Agency:ブラジル国家石油庁)は、2006 年 8 月 7 日に第 8 次ライセンスラウ ンド゙の予定を正式にアナウンスし、8 月 14 日に対象鉱区リストおよび位置を公表した。 ANP は、2 度に渡る変更の末(「ブラジル:第 8 次ライセンスラウンドの日程・対象鉱区が度重なる変更?(JOGMEC 石油・天然ガス資源情報 2006/6/26 掲載、短報)」参照)、今般ようやく、第 8 次ライセンスラウンドの入札日程を 11 月 28 日と 29 日に決定した。 入札鉱区は 5 月 29 日時点の 1153 ブロックから大幅に削減されて 284 ブロックとなり、同国最大の石 油生産量を誇る海域のカンポス盆地が初めて対象から外されたため、入札準備を進めてきた石油会社 からは、落胆の声が上がっている。ANP は「ガスおよび軽質油の探鉱開発を目的として入札ブロックが 選定された」と公表しているが、成功裏に終わった7次ラウンドと比べると入札鉱区数・ポテンシャルの面 での見劣りは否めない。 今般の第 8 次ライセンスラウンドの入札鉱区変更は、ブラジル政府がエネルギー政策として「石油開 発よりも大きく天然ガス開発に舵を切る」メッセージを内外に示したものと言え、11 月の入札結果で成果 が問われることとなる。 今年の第 8 次ライセンスラウンドは、ボリビアの天然ガス国有化による影響を受けて、入札日程および対 象鉱区が 2 度も変更された。最初の変更は 5 月 29 日の発表で、ANPは「政府の意向を受けて第 8 次ラ イセンスラウンドの入札日程を大幅に早め、8 月28 日に変更する」としていた。今般の 2 度目の変更発表 では、入札日程は最終的に当初の 11 月末に戻ったものの、対象鉱区は同国最大の石油生産量を誇る カンポス盆地が初めて対象から外されるなど大幅に削減された。具体的には、堆積盆地数が 15 盆地か ら 7 盆地へ、入札鉱区数が 1153 ブロックから 284 ブロックへ、総面積が 380,000km2から 101,000km2と なった。 ANP は、入札対象 284 ブロックを 4 つに分類しており、①ガスを主体とする探鉱有望鉱区の「Offshore High Potential Block」として35ブロック、②「Offshore New Frontier Basin」として153ブロック、③「Onshore New Frontier Basin」として 47 ブロック、④「Onshore Mature Basins」として 49 ブロックを挙げている。 注目される鉱区としてはサントス盆地に位置する Petrobras の BS-400 鉱区(Mexilhao ガス田:1.3Bboe) 周辺の SS-AP2 セクターおよび SS-AR2 セクター等があげられるものの、成功裏に終わった7次ラウンドと 比べると入札鉱区数およびポテンシャルの面での見劣りは否めない。特に、毎回高い関心を集めてきた Global Disclaimer(免責事項) 1 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、 機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたも のであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結 果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申 し上げます。 カンポス盆地などの有望エリアが外されたため、地震探鉱データを事前購入し、スタディしてきた会社か らは落胆の声が上がっているという。 ブラジルは、今年念願の石油の純輸出国になると予想されており、今後も重質油主体のカンポス盆地 の開発計画が多数あることから、石油政策的には一応目処が付いている段階にある。一方、ガスについ ては、ブラジルの需要の 4 割を賄うボリビアの天然ガス国有化および輸入ガスの価格高騰に関連し、国 内ガス開発が急務となっている。 今般の第 8 次ライセンスラウンドの入札鉱区変更は、ブラジルがエネルギー政策として「石油開発より も大きく天然ガス開発に舵を切る」メッセージを内外に示したものと言える。すなわち、カンポス盆地など 石油の有望エリアを外してまで、相対的に天然ガスの探鉱開発により多くの資本を投下させることを意図 している点は、これまで7 回の入札方針とは全く異なっており、この強い姿勢は現在進行中のボリビアと の輸入天然ガス価格交渉に微妙に影響を与えるものと推定される。今般の入札鉱区の変更は、一先ず 11 月の入札結果で成果を問われることとなるが、10 月予定の大統領選挙前に入札結果が出ないのは、 ルラ政権が上手くタイミングを計ったものと見ることもできる。 BS-400 鉱区 図1:注目盆地である Santos Basin 鉱区 (黄色が 8 次ラウンド入札鉱区:ANP の HP より) Global Disclaimer(免責事項) 2 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、 機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたも のであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結 果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申 し上げます。 入札手続きに関する今後のスケジュールは、下記の通り。 ・入札鉱区のオファー 2006 年 8 月 7 日 ・テンダープロトコル・鉱区契約書案公開 2006 年 8 月 25 日 ・ロードショー 2006 年 8 月 28 日 ・データパッケージ配布 2006 年 8 月 30 日 ・法律・税金セミナーおよび技術ワークショップ 2006 年 9 月 15 日 ・最終版テンダープロトコル・鉱区契約書公開 2006 年 10 月 13 日 ・入札 2006 年 11 月 28 日・29 日 ・鉱区契約署名 2007 年 3 月 14 日 海域入札鉱区 セクター SBAR-AR2 SBAR-AP1 SBAR-AP2 SES-AR2 SES-AP2 SPAMA-AP1 SPAMA-AP2 SP-AP3 SS-AR2 SS-AP3 SS-AP2 SSEAL-AP1 12 セクター 陸上海入札鉱区 セクター SSEAL-T2 STUC-S 2 セクター 14 セクター 堆積盆地 Barreirinhas Barreirinhas Barreirinhas Espirito Santo Espirito Santo Para-Maranhao Para-Maranhao Pelotas Santos Santos Santos Sergipe-Alagoas 合計 ブロック数 堆積盆地 Sergipe-Alagoas Tucano Sul 合計 全合計 ブロック数 12 10 11 6 6 12 11 27 58 11 10 14 188 49 47 96 284 表1:8 次ラウンドの入札鉱区一覧 Global Disclaimer(免責事項) 3 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、 機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたも のであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結 果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申 し上げます。