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8)ネギ=葱

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8)ネギ=葱
花の縁 05-02-08
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8)ネギ=葱
ネギはユリ科の多年草である。原産地は中国、シベリア、アルタイ地方で、高さは
80cm ほどになり、葉は中空の円筒形で先はとがり、傷つけると粘液を分泌する。
地上約 20cm のところに 5~6 葉を出し、根もとでは葉鞘が一本になり色も白い。
初夏、花茎を伸ばして小花が球状に密集した花をつける。和名の由来は古名をキ(葱)と
いい、根もとの部分を賞味するためネキ(根葱)となり、 これがネギとなった。青森県
などでは今でもキと呼ぶところもある。別称としてヒトモジ(一文字)とも呼ばれ、
これは女房詞(コトバ)で古名のキ(葱)が一文字で表わされるところから生まれた。
因みに二文字といわれたのは前述の韮(ニラ)である。学名は『Allium fistulosum』で、
属名は匂いを意味するニンニクの古名、種小辞は管状のという意味である。英国での
呼称は『Welsh onion』
、
『spring onion』で、『Welsh』はウエールズ地方を意味する。
中国では『葱』で「ソウ」と発音し、前 2 世紀頃の『爾雅』(ジガ)や『礼記』(ライキ)
にも現れ、6 世紀の『斉民要術』では葱、怱白、怱頭を含む 67 種類の調理法が記述
されている。日本に葱が渡来したのは古く、『日本書紀』の「仁賢紀」(ニンケンキ)には
「秋葱(アキキ)の転雙納(イヤフタゴモリ)、思惟(オモ)ふべし」と記されている。これは秋の葱には
一つの皮の中に二つの茎があることから、男女の親しい間柄に例えたもので、かなり
一般的に栽培されていたものと思われる。平安中期の『倭名類聚鈔』には韮(ニラ)、忍辱
(ニンニク)、野蒜(ノビル)、浅葱(アサツキ)、分葱(ワケギ)などとともに『葱』が記されて
いる。前述のごとく葱は当時、生姜(ショウガ)、辣韮(ラッキョウ)、韮、忍辱とともに
五辛の一つとされていた。五辛は強精剤と考えられていたから、仏教では食べること
が禁じられ、僧院、尼僧院では口にしてはならなかった。しかし『万葉集』には見られ
ないのはむしろ不思議である。
ネギは薬用としても優れた効果をもち、葉鞘の白い部分を『葱白』(ソウハク)と
呼び、昔から強壮、興奮、利尿、発汗、去痰などの他、風邪のひき初めには、刻み
ネギとショウガを入れて熱い湯をさして飲むと、解熱によいとされていた。また喉
の腫れにもネギの温湿布が効くといわれている。
ネギには主に白い葉鞘の部分を食べるネブカネギと、緑の部分を食べるハネギの
二種類がある。両種とも香りと辛味があり、和食には欠かすことができない。群馬県
の下仁田地方特産のネギは耐寒性の強い「下仁田葱」というもので、将軍家に献じた
ところから「殿様葱」ともいわれている。丈は低くずんぐりとして、煮ると蕩けるよう
な甘味が生まれ、煮ものには欠かせない。ネギの辛味成分は『アリル硫化物』で、
カロチンやビタミン類も多く含まれている。英国でネギが栽培されるようになるのは
17 世紀、アメリカでは 19 世紀になってからのことで、以来ヨーロッパの各地で
優れた食材として家庭料理などに用いられている。しかしヨーロッパのネギは甘味
が強い種類で、ポアローとかリーキと呼ばれており、茎もずっと太い。
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花の縁 05-02-08
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ネギは一年中栽培されている野菜の一つで、お蕎麦屋さんでは欠かすことの出来ないもの
である。しかしネギの花を知っている人は次第に少なくなってしまった(埼玉県深谷市)
。
ネギ坊主の背比べ(埼玉県深谷市)
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埼玉県深谷市の特産物はネギ。郊外にはネギ畑が広がる。
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こんな変わり者のネギもある。ヤグラネギである(東京都小平市薬用植物園)
。
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これはタマネギの花である。ネギより数倍大きく、意外とお目にかかる機会が少ない。
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ネギの近縁種アサツキは漢字では『浅葱』と記し、ネギより浅い色であることを示している。
学名は『Allium schoenoprasum 』で、種称辞はイグサのようなニラという意味である。
一方ノビルは漢字では『野蒜』と記し、学名は『Allium macrostemon』である。目次に戻る
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