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高病原性鳥インフルエンザの発生状況と 防疫対策強化のお願いについて
第 134 号 平成 25 年1月 石狩地区家畜自衛防疫推進協議会 北海道石狩家畜保健衛生所 高病原性鳥インフルエンザの発生状況と 防疫対策強化のお願いについて 今冬も現在までのところ、国内において、鶏などの家きんに高病原性鳥イン フルエンザの発生はありません。 また、野鳥への鳥インフルエンザウイルスの感染も確認されていません。 しかし、中国や台湾をはじめ、アジアを中心に依然として発生が確認されて います。 家きんを飼養する農場及び農場へ出入りする関係者の皆様には、油断するこ となく、「飼養衛生管理基準」(野生動物の侵入防止対策、靴や車両の消毒の徹 底、関係者以外の立入制限など)の遵守によるウイルスの侵入防止に努めてい ただくようお願いします。 高病原性鳥インフルエンザの発生状況(2012 年以降) エジプト(H5N1) 2011以降継続的発生 中国(H5N1) 2012.9 台湾(H5N2) 2012.1、2、11 メキシコ(H7N3) 2012.6 2013.1 南アフリカ(H7N1) 2012.1 インド(H5N1) 2012.1、10 バングラディシュ(H5N1) 2011以降継続的発生 ネパール(H5N1) 2012.9、10 ブータン(H5N1) 2012.1 オーストラリア (H7N7)2012.11 ※農林水産省(消費・安全局)のホームページも参照してください。 http://www.maff.go.jp/j/syouan/index.html 口蹄疫の発生状況と防疫対策強化のお願いについて 口蹄疫は、近隣諸国では依然として発生が続いています。 国内への侵入防止のため、空港・港湾では検疫や消毒による水際防疫が行わ れているところですが、道内では冬の観光イベントが多く開催される時期とな り、海外からも多くの観光客が訪れます。 牛、豚、めん羊、山羊などの偶蹄類家畜の飼養者及び農場へ出入りする関係 者の皆様には、農場への口蹄疫の侵入を絶対に阻止するため、 「飼養衛生管理基 準」 (野生動物の侵入防止対策、靴や車両の消毒の徹底、関係者以外の立入制限 など)の遵守に努めていただくようお願いします。 アジアにおける口蹄疫の発生状況(2012 年以降) ロシア・プリモルスキー地方 2012.2、3(牛) 大連市 寧夏回族自治区 2012.11(豚) ●● 2012.2(牛) ● チベット自治区 2012.9(牛、豚) ● 四川省 2013.1(豚) 江蘇省 2012.12(豚) ● ● ● ● 北朝鮮 全9道1市3区の うち3道3区を除 き全土にまん延 韓国 全9道5市のうち 3道2市を除き 全土にまん延 台湾(金門島) ● 2012.1、2(豚) ● 台湾 2012.2、3、5、9、10、11(豚) ※農林水産省(消費・安全局)のホームページも参照してください。 <口蹄疫の症状> 泡沫性流涎 舌の水胞 舌のびらん 平成 24 年次 石狩管内の監視伝染病発生状況 家畜伝染病 家畜の種類 牛 伝染病名 ヨーネ病 届出伝染病 牛 牛白血病 成牛型 皮膚型 犬 牛ウイルス性 下痢・粘膜病 レプトスピラ症 区分 患畜 真症 真症 真症 真症 疑症 発生戸数 2 2 2 2 1 1 発生頭数 9 3 2 2 1 1 ※ 疑症:診断に至らなかったが、当該伝染病が強く疑われたもの ~ 注意!!全国的に増加しています ~ ヨーネ病 原 因:ヨーネ菌(牛やめん羊など反芻動物が感染します) 伝播経路:経口感染・・・感染畜の乳(特に初乳)や糞便に含まれるヨーネ菌を摂取するこ とで感染します。 垂直感染・・・母畜が感染していた場合、頻度は低いですが、母胎内で感染する こともあると言われています。 症 状:主に哺育~育成期に感染しますが、発症するまで数年かかります。 発症すると、軟便~水様性下痢を繰り返し、末期には衰弱死します。 生産性(乳量、増体、繁殖成績)が低下することが報告されています。 対 策:ワクチンや治療法はありません。畜舎の定期的な清掃・消毒(消石灰・生石灰、 塩素剤)、初乳の加温処理(60℃30 分)、早期摘発・淘汰が重要です。 牛白血病(成牛型) 原 因:牛白血病ウイルス(BLV) ※ 人の白血病とは関係ありません 伝播経路:感染牛の血液や乳の中に含まれる BLV 感染リンパ球が、非感染牛の体内に入 ることで感染します。 血液を介した感染・・・ごく微量の血液で感染します。注射針や直検手袋、器具 の連続使用は危険です。吸血昆虫(アブやサシバエなど) の感染牛から非感染牛への連続吸血で感染することもあ ります。 初乳を介した感染・・・感染牛の初乳は給与しないことが望ましいです。 給与する場合は、56~60℃30 分の加温処理をすると BLV を不活化できます。 症 状:感染牛のうち、30%程度がリンパ球増多症となり、発症するものは数%です。 発症すると、元気消失、削痩、乳量低下、全身リンパ節の腫大、眼球突出、下 痢あるいは便秘などを呈し、末期には起立不能となり死亡します。 対 策:ワクチンや治療法はありません。早期摘発・淘汰が基本ですが、難しい場合は、 感染牛と非感染牛の群分け、作業は非感染牛から感染牛の順に行う、感染牛は 計画的に優先淘汰するなどの対策を続けることが重要です。 平成 24 年度公共牧場衛生検査成績 石狩管内には公共牧場が3市に4牧場あります。放牧牛の疾病予防を図るた め、今年度は2市の2牧場について寄生虫検査及び呼吸器病ウイルス抗体検査 を実施し、放牧病の浸潤状況を調査しました。 <寄生虫検査成績> 消化管内線虫:虫卵数は非常に少なく、特に問題はありませんでした。 コクシジウム:入牧時にオーシスト数が 1,000 を超える牛を1頭認めましたが、 入牧後は2牧場とも低い値で推移しました。 小型ピロプラズマ:全検体陰性で、現時点で小型ピロプラズマの牧場への浸潤 は認められませんでした。今後も清浄性を維持するため、定期的な牛体消毒や ダニの駆虫を実施しましょう。 衛生検査成績 消化管内線虫 コクシジウム 小型ピロプラズマ 牧場名 検査日 検査頭数 陽性頭数 陽性率 陽性の平均値 陽性頭数 陽性率 陽性の平均値 陽性頭数 陽性率 % EPG % OPG % 5月23日 14 1 7.1 100 3 21.4 1067 0 0 A牧場 6月20日 15 0 0 0 12 80.0 283 0 0 10月10日 15 4 26.7 125 3 20.0 100 0 0 7月18日 6(*) 0 0 0 2 33.3 250 0 0 B牧場 8月29日 5 0 0 0 1 20.0 100 0 0 EPG:糞便1g中の虫卵数、OPG:糞便1g中のオーシスト数 *小型ピロプラズマ検査のみ検査頭数5頭 <抗体検査成績> ワクチンの接種効果判定のため、呼吸器病ウイルス6種(IBR、BVD-1、BVD-2、 AD-7、PI-3、RS)について抗体検査を実施したところ、2牧場とも抗体陽性率 は 90%以上と良好な抗体保有状況でした。 抗体検査成績 牧場名 区分 採材月日 検査頭数 A牧場 乳牛 6月20日 15 B牧場 肉牛 7月18日 5 上段:抗体陽性率(%)、下段:抗体価の幾何平均値 ワクチン接種状況 IBR BVD-1 BVD-2 RS PI-3 Ad-7 100% 100% 100% 93% 100% 100% 5種生:4月(育成牛) 11 294 67 161 64 29 5種不活化:4、5月(受精対象牛) 100% 100% 100% 100% 100% 100% 5種不活化:5月(繁殖牛) 74 11 64 776 32 147 抗菌性物質残留事例が発生 平成 24 年 10 月に石狩振興局管内で生乳の抗菌性物質残留事例が発生しまし た。この事例では、治療牛の隔離及び牛体へのマーキングが未実施であったた め、となりの健康牛に誤って投薬され事故が発生しました。 また、12 月には食肉検査所のモニタリング検査で 1 検体が陽性となり生産農 場の調査をおこなったところ、農場では獣医師の治療内容や投薬状況について の記録が行われていませんでした。 抗菌性物質残留事故は、消費者の畜産物に対する安全性への信頼を大きく損 なう恐れがあります。このような事態を防ぐため、畜産関係者の皆さまには次 の事項について理解されるとともに生産者への指導をお願いします。 畜産関係機関・団体の皆さま (1)残留防止対策について生産者への周知徹底 ①ポジティブ制度に基づく記帳・記録の保管 ②治療牛の隔離・マーキング(複数種類) ③農場内の連絡徹底 ④出荷制限期間の遵守および出荷前の残留検査の受検 (2)残留事故発生防止に向けた注意喚起(特に農作業の繁忙期) (3)事故発生時には再発防止に向けた対策の検討及び指導 診 療 獣 医 師 の 皆 さ ま (1)生産者への投薬及び出荷制限期間は口頭ではなく文書で指示 直近の出荷予定がない家畜についても出荷制限期間を生産者に必ず伝え てください!! (2)治療牛のマーキング及び隔離を生産者に指示 (3)搾乳牛を治療した際は、出荷前の残留検査受検を生産者に指示 *参考 石狩管内における残留事故発生状況(H24.12 末現在) 発生年度 件 数 生 乳 畜 肉 H15 1 H16 H17 H18 H19 H20 H21 1 2 3 2 1 1 H22 H23 H24 4 1 1 平成 24 年度薬事監視指導成績 家畜保健衛生所では「流通段階における動物用医薬品等の品質・安全性の確保」 を目的に動物用医薬品等販売・賃貸業者に立入し監視指導を行っています。 今年度は 42 件の業者に立入検査を行った結果、16 件で違反が確認されました。 動物用医薬品等の販売・賃貸にあたっては薬事法の遵守をお願いします。 主な違反内容 ○未承認の動物用医療機器を輸入して販売していた。 ○店舗改築の際に、仮店舗において許可を取得せずに動物用医薬品を販売 していた。 ○動物用医薬品の陳列、保管場所の変更について未届けであった。 石狩家畜保健衛生所のHP開設のお知らせ 石狩家畜保健衛生所のホームページを平成 24 年9月に下記URLにて開設し ました。ホーページでは家畜伝染病発生状況をはじめとした疾病情報、手数料 単価一覧や各種申請書の様式などを掲載しています。今後も迅速な情報提供と 掲載内容の充実に努めてまいりますので、ぜひ当所のホームページをご活用く ださい。 URL:http://www.ishikari.pref.hokkaido.lg.jp/ds/khe/top.htm