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Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護

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Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール)
2007年7月11日講義予定
1. 取引弱者保護法制の必要性
(1) 民法の前提
民法の(暗黙の)前提としての自己決定・自己責任の原則:各当事者は、契約締結にあたって自由に自己決
定を行うことができるが、①自己決定に必要な情報を収集すること及び自己決定に必要な能力(情報の
分析能力、判断能力)を身につけることは、各自の責任とされており、②自己決定の結果については自
己責任を負わなければならない。
→当事者が一度締結した契約の効力は、ごく例外的な場合にしか否定されない
• 公序良俗違反が認められる例はごくわずか
• 錯誤は、動機の錯誤が原則として契約の無効を導かない
• 詐欺・強迫の成立要件は狭い(故意・違法性の必要性、第三者詐欺の成立要件の限定)
(2) 取引弱者の存在
現実社会における取引「弱者」の存在:しかし現実には、自己決定の前提が満たされないままに契約が締
結される場面も少なくない
• 自己決定をするために必要な情報が一方当事者に偏在している場合
複雑な取引形態であればもちろん、そうでなくても、取引商品の故障率、訴訟の場合の管轄裁判所
など、買い手の把握していない情報は少なくない。
• 一方当事者が自己決定をする能力(情報分析や判断をする能力)を有していない場合
仮に商品に関するあらゆる情報を提供されたとしても、工学・法学・経済と他領域にわたる情報を
全て分析し、判断材料とすることは組織内で分業でもしない限り不可能。
• そもそも「契約を締結しない」という自由をもたない場合
とりわけ衣食住に関わる事柄や、その前提となる収入(労働、借財)に関することについては、一
方の当事者は「契約を締結しない」という選択をすることができない状態におかれている。
• 冷静な判断を妨げる要因をもった取引
不意打ち的に取引を持ちかけられたり、メリットばかりが強調されたりすると、冷静かつ慎重な自
己決定ができなくなる。
→取引「弱者」を保護するルールの必要性:十分の情報を収集し、それを分析した上で自己決定できるもの
同士の契約という、理想的・理念的な状態で締結された契約を律する民法上の原則に対して、こうした
前提を欠く状況で締結せざるを得ない契約を律する特別法が必要となる
(3) 取引「弱者」保護の方法
• 契約締結にあたって一方当事者に他方当事者に対する情報提供を義務づける
• 不当な(不当である可能性をもつ)契約の効力を否定する
• 内容の不当性(cf. 適法性・社会的妥当性)を判断するに際して、通常よりも一方当事者に有利な基準
で判断し、契約の無効を導く
• 一方当事者による取消しや解除・解約の要件を緩和する
(4) 取引「弱者」保護のための特別法の例
• 利息制限法
相対的に立場の弱い借主を保護するために、金銭消費貸借契約の利率について、一定の限度を超え
た部分を無効とする
• 借地借家法
相対的に立場の弱い借主を保護するために、土地・建物の賃貸借契約(及び地上権設定契約)につ
いて、一定の契約条件を無効とする
• 労働基準法(その他労働者保護法)
相対的に立場の弱い被用者・労働者を保護するために、一定の労働条件を無効とする
• 消費者契約法・特定商取引に関する法律 → 以下で説明
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 1
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
2. 消費者契約法
(1) 概要
制定・施行:平成12年制定・平成13年4月1日以降締結された「消費者契約」に適用
対象:消費者契約=消費者と事業者との間で締結される契約
• 消費者:個人をさす。ただし、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合はのぞく
• 事業者:法人その他の団体(及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合の個人)
規制内容:
• 契約締結過程規制:重要事実の不実告知、不利益事実の不告知の他、民法上の詐欺・強迫の要件を緩
和した取消事由を定める(4条)
• 内容規制:無効となる契約条項のリスト、及び一般条項を定める(8∼10条)
正当化根拠:「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ」(1条)ると、民
法の予定している「対等な当事者が自由に交渉する」という前提が構造的・類型的に崩れている。この
ため、自己責任の原則を貫徹できず、国家による介入(契約締結過程・契約内容の適正化)をより緩や
かな要件で行うことが正当化される。
事業者
消費者
• 取引内容(商品の品質、契約の仕組み)について質量
共に豊富な情報を持つ
• 取引内容について十分な情報を持っていない
• 契約相手たる事業者から情報を提供されることも多い
• 契約内容が有利かどうかを判断するために、多くの時
間・費用・労力をかけることができる
• 契約内容を判断するためにかけられる時間・費用・労
力は限られる
• 契約内容が不利であっても、生活必需品の購入など、
• 不利な契約を締結する必要はない
契約締結を余儀無くされる
(2) 契約締結過程規制
(a) 誤認類型
誤認類型:事業者が消費者を契約に勧誘するにあたって消費者の誤認を引き起こした場合(4条1項・2
項)、消費者は契約を取り消すことができる。民法上の制度として「詐欺」があるが、要件が緩和され
ている。
詐欺
当事者
故意
不実告知
断定的判断の提供
限定なし
二段
錯誤に陥れる故意
の
錯誤に基づき意思
故意
表示をさせる故意
不利益事実の不告知
事業者と消費者の契約
不利益を知りながら隠
故意不要
そうとする故意
誤認惹起行為
行為
内容
欺罔行為
(他人を欺罔して
錯誤に陥れる行為)
重要事項*について事実
と異なることを述べる
こと
契約目的物の将来にお
ける変動が不確実な事
項について確実である
かのように述べること
重要事項*(に関連する
事項)について、利益
となる旨を述べながら
不利益について述べず
におくこと
違法性
要
不要(但し、不実告知と不告知では重要事項*に限る)
因果
欺罔行為と錯誤の因果関係
誤認惹起行為(不実告知・断定的判断の提供・不告知)と誤認の因果関係
関係
錯誤と意思表示の因果関係
誤認と意思表示の因果関係
効果
当該契約が取り消しうるものとなる
*重要事項(消費者契約法4条4項):(1)当該契約の目的となる物・権利・サービスの質や内容、その対価等に関
わるものであり、かつ(2)当該契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすもの
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 2
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
Case1 誤認類型による契約の取消
Aは、B銀行で投資信託商品「アルファ・ファンド」を購入した。しかし、その後アルファ・ファンドの
基準価額は下がる一方であり、Aは損失を被った。AはB銀行の職員の説明に不備があったとして契約を取
り消したいと思っている。
①勧誘にあたってB銀行の職員は、「このファンドは今まで元本割れしたことがありません」と説明した
が、実はアルファ・ファンドは元本割れをしたことがあった。これは職員が元本割れしたことのない
ベータ・ファンドのデータとアルファ・ファンドのデータを取り違えたからであった。このとき、錯誤
に陥れる故意がないため民法上の詐欺にはあたらないが、消費者契約法上の誤認類型(不実告知)にあ
たる。Aは、契約を取り消すことが可能である。
②勧誘にあたってB銀行の職員は、「このファンドは、今成長中の会社の株に投資するものですから、値上
がりは確実です。年利に換算したら5%にはなりますから、定期預金よりお得ですよ」と説明した。値上
がりするかどうかという将来における変動が不確実な事項について確実であるかのように述べること
は、消費者契約法上の誤認類型(断定的判断の提供)にあたる。Aは、契約を取り消すことができる。
③勧誘にあたってB銀行の職員は、「このファンドは一年で5%をこえる値上がりをこの5年間で2回して
います」と説明した。しかし他方アルファ・ファンドは5%近い値下がりを5年間のうち3回していた。
利益となる情報を提供しながら、不利益について述べずにいる行為は、不利益事実の不告知として、消
費者契約法上の取消権を生じさせる。ただし、この場合にはB銀行に、不利益を知りながら隠そうとする
故意があったことが必要である。
(b) 困惑類型
困惑類型:事業者が消費者を契約に勧誘するにあたって消費者を困惑させた場合(4条3項)、消費者は契約
を取り消すことができる。民法上の制度として「強迫」があるが、要件が緩和されている。
強迫
当事者
故意
限定なし
二段
畏怖させる故意
の
畏怖に基づき意思表示
故意
をさせる故意
不退去
監禁
事業者と消費者の契約
故意不要
困惑惹起行為
行為
内容
強迫行為
(害悪を告知して
他人を畏怖させる行為)
消費者が求めているのに、事業者が
勧誘場所から立ち去らないこと
消費者が求めているのに、事業者が
消費者を勧誘場所から立ち去らせな
いこと
違法性
要
不要
因果
強迫と畏怖の因果関係
困惑惹起行為(不退去・監禁)と困惑の因果関係
関係
畏怖と意思表示の因果関係
困惑と意思表示の因果関係
効果
当該契約が取り消しうるものとなる
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 3
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
Case2 困惑類型による契約の取消
①A宅をBが訪ねてきた。Bは幼児向けの教育玩具のカタログを示しながら、Aに購入するよう勧めた。一
通りの説明を聞いたところでAは「高額でもあるし、買う気はない。もう帰ってほしい」と言ったが、B
は「こんな商品もあるんです」と次々に商品を紹介しながら、長時間にわたって勧誘を続けた。Aは次第
に断るのも疲れてしまい、ついいくつかの商品を購入する契約をBと締結してしまった。この場合、消費
者であるAの求めにもかかわらず、Bが勧誘場所から立ち去らないことが不退去にあたり、消費者契約法
上の取消権発生の原因となる。
②Cが町を歩いていると、Dに「お肌が荒れていますね」と呼び止められた。CはDの勧誘に従い、Dの店舗
に赴き化粧品の販売勧誘を受けた。Cにはどれも高いもののように思えたので、Cは席を立とうとしたが
「まだ時間はあるでしょう」とDに何度も引き戻された。そうこうするうちに、多くの店員がCを取り囲
むようにして勧誘を始め、Cはますます席を立ちづらくなってしまった。とにかくこの場を早く立ち去り
たいと考えたCは、化粧品を購入する契約書に認印を押してしまった。この場合、席を立とうとすること
でCが立ち去りたいと求めているにもかかわらず、Dが勧誘場所から立ち去らせなかったことが監禁にあ
たり、消費者契約法上の取消権発生の原因となる。
(2) 内容規制
(a) 免責条項の無効
免責条項・責任軽減条項を定めることは、民法上直ちに無効となるものではないが、消費者契約法では以下
の表にあてはまる免責条項・責任軽減条項は無効とされる(8条1項)
• 免責条項:契約当事者が相手方に対して負う損害賠償責任をあらかじめ免除しておく条項。
• 責任軽減条項: 契約当事者が相手方に対して負う損害賠償責任の一部を免除し、軽減しておく条項。
全部免責
一部免責
債務不履行(契約違反)
不法行為
瑕疵担保
債務不履行に基づく損害賠償責任の
不法行為に基づく損害賠償責任の全
瑕疵担保に基づく損害賠償
全部免責
部免責
責任の全部免責
故意または重過失による債務不履行
故意または重過失による不法行為か
から生じる損害賠償責任の一部免責
ら生じる損害賠償責任の一部免責
(規定なし)
*但し、瑕疵担保については消費者契約法8条2項に例外が定められている
Case3 不当な免責条項の無効
①Aは、B運送会社に荷物の配達を頼んだ。しかし、途中Bの側の過失により、荷物が壊れてしまった。A
はBに、損害を賠償するよう求めたが、Bは「契約書には、Bはいかなる理由があっても損害賠償責任を
負わないと書いてある」として、賠償に応じようとしない。しかし、この条項は債務不履行ないし不法
行為から生じる損害賠償責任の全部を免責する条項であり、消費者契約法8条1項1号・3号により無効で
ある。従ってAは、Bに対して損害賠償を求めることができる。
②Aは、B運送会社に荷物の配達を頼んだ。しかし、途中Bの社員が荷物を持ち逃げしてしまった。AはB
に、荷物の時価相当額50万円を賠償するよう求めたが、Bは「契約書では、損害賠償額の上限を10万円
までとしている」として、賠償に応じようとしない。しかし、この条項は、故意に基づく債務不履行な
いし不法行為から生じる損害賠償責任も含めて、責任の一部を免責する(責任を軽減する)条項であ
り、 消費者契約法8条1項2号・4号により無効である。従ってAは、Bに対して、50万円の損害賠償を求
めることができる。
(b) 賠償額の予定・違約金条項の無効
債務不履行があった場合に備えて、賠償額を予定したり、違約金を定めたりすることは民法上直ちに無効と
なるものではないが、消費者契約法では、以下の表で示した限度を超える賠償額の予定・違約金の定め
は無効とされている(9条)。
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 4
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
• 賠償額の予定:債務不履行があった場合に、一定の額を損害賠償として払うことを約する条項。実際
の損害がいくらであるかを証明せず(また実損額と違っていても)約束した額を損害賠償として請求
できる(民法420条1項)
• 違約金:債務不履行があった場合に一定額を支払うとの条項は「違約金条項」と呼ばれることがあ
る。通常は、損害賠償額の予定と同じ意味である(民法420条3項も参照)。しかし、損害賠償とは別
個に、債務不履行をした者が債権者に対して一定の金銭を支払うべきものとされることもある。
契約解除に伴う損害賠償額の予定
通常生じる損害額をこえる部分
金銭債務不履行の場合の遅延損害金
年14.6%(日歩4銭=1日当たり元金100円に対して利息4銭)をこえる部分
Case4 損害賠償額の予定・違約金条項の無効
①Aは、Bの経営する旅館に8月1日から宿泊するとの契約を締結し、代金を前払いした。しかし、その後都
合が悪くなってしまったので、6月30日にキャンセルの電話を入れた。するとBは、「お送りしたパンフ
レットには、1ヶ月前のキャンセルでは、宿泊代金の50%をキャンセル料としていただく旨書いてあるの
で、宿泊代の半額のみ返金します」と主張した。1か月前のキャンセルであれば、通常は、他の客の予約
を得ることで損害を回避できるといえるので、この違約金条項は「通常生じる損害額をこえる」ものと
いえ、こえる部分で無効となる。
②Cは、D社が所有する学生向けワンルームマンションを月5万円で借りている。その賃貸借契約書には、
「借主は毎月末日(銀行の最終営業日)までに、翌月分の家賃を指定された口座に振り込むものとしま
す。振込が遅れた場合、遅延損害金として1日につき1,000円を申し受けます」との文言があった。Cは
4月の月末が休日と土曜日にあたることを忘れており、5月分の家賃を5月6日になってようやく支払っ
た。DはCに対し遅延損害金として5,000円を請求した。しかし、この違約金条項は、5万円の元金に対し
て1日2%(=年730%!)もの遅延損害金をとるものである。消費者契約法上の上限は、一日あたり
0.04%(=20円。5日分でも100円)であり、これをこえる部分で、遅延損害金の定めは無効となる。
(c) 任意規定より消費者を不当に不利にする条項の無効
任意規定:「公の秩序に関しない規定」(民法91条)として、これと異なる当事者の定めをすることが許さ
れる規定。
法律の規定である以上、債権者と債務者のバランスに配慮した(その意味で一つの正義のあり方を体現し
ている)規定であるとともに、消費者としては特約を結ばなければ得られるものと期待してよい状態を
規定しているともいえる。
→そこで、消費者契約法10条は、次の場合に消費者契約の条項が無効となるとしている。
• 任意規定よりも消費者の不利になる場合で、かつ
• 信義誠実に反して消費者の利益を一方的に害する場合
信義誠実に反するか否かは、消費者の不利益を正当化するような特段の事情(代替的な救済策・代償が与えられ
ているかなど)があるかどうかによって判断する
Case5 任意規定より消費者を不当に不利にする条項の無効
Aは、B社が提供しているサービスを申し込んだ。これは毎月1日に、フランス産のワインが3本ずつ届け
られるというものであった。当初は毎月1日にワインが届いていたが、次第に到着が遅れるようになり、今
月はすでに5日になっているのにワインが届いていない。Aは、「3日以内にワインが届かないのであれ
ば、契約を解除したい」とBに申し入れた。するとBは、「契約書には顧客は契約を解除することができな
いと書いてある。受け取らないというならそちらの勝手だが、代金だけは支払ってもらうことになる」と
主張した。
しかし、民法541条(=任意規定)によれば、債権者は、債務者が債務の履行を遅滞しているときに
は、相当の期間を定めて履行を催告することによって、契約を解除する権利を取得すると定めている。本
件の契約条項は、この任意規定に反したものであり、しかも一方的に消費者に不利で、代替的な救済策を
講じてもいない。従ってAは、解除を妨げる契約条項は無効だとして、民法の規定に従い契約を解除するこ
とができる。
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 5
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
1. 特定商取引に関する法律
(1) 概要
制定:昭和51年制定(当初は「訪問販売等に関する法律」)・平成12年改正で「特定商取引に関する法
律」と名称変更
対象:訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、及び業務提供誘引販売取
引の6つの取引類型
規制内容:
• 契約締結過程規制:重要事実の不告知・不実告知の禁止に基づく取消権を定めるほか、 業者名称・勧
誘目的の明示及び契約内容書面の交付について罰則をもって強制
• 内容規制:損害賠償額の予定について無効原因を定める。
• 無条件解約権(クーリングオフ):契約内容書面の交付から一定の期間中、顧客による無条件解約を
認める
(2) 規制内容
(a) 規制される類型
訪問販売
通信販売
電話勧誘販売
連鎖販売取引
特定継続的役
業務提供誘引
(2①)
(2②)
(2③)
(33)
務提供(41)
販売取引(51)
販売組織への
営業所外での
取引方法
(一例)
取引・営業所
外で呼び止め
政令指定6業
いて事業をし
織からの利益
種(エステ・
て利益をあげ
語学教室・家
られることを
ての営業所で
郵便・イン
事業者から顧
配当を組み合
の取引
ターネットな
客への電話に
わせた商品再
庭教師・学習
もって勧誘す
よる勧誘
販売
塾・パソコン
る商品販売
どでの申込み
教室・結婚相
訪問販売・
典型例
その商品を用
参加と販売組
キャッチセー
マルチ商法
手紹介)
内職商法
ルス
目的物の限定
限定あり
限定なし
業者名称・
勧誘目的等の
3
16
33の2
なし
51の2
5
19
37
42
55
21・
34・
44・
52・
取消権9の2
取消権24の2
取消権40の3
取消権49の2
取消権58の2
10
25
40の2③
49④
58の3
クーリング・
9
24
40
48
58
オフ*
(8日間)
(8日間)
(20日間)
(8日間)
(20日間)
明示
契約内容書面
の交付
不告知・
不実告知の
禁止
損害額の予定
の制限
備考
6・
なし
広告規制が主
中途解約権
中途解約権
40の2
49
*クーリング・オフの期間は法定書面の交付日から起算する。
またクーリングオフは、発信時に効力を発する(民法97条1項の例外)
参考:日本弁護士連合会『消費者法講義』(日本評論社・2004年)137頁
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 6
京都産業大学2007年度民法Ⅰ(吉永担当)講義資料
(b) この他の内容
①ネガティブ・オプションへの対応
• 売買契約に基づかないで送付された商品は、14日が経過すれば業者に返還しなくてよい(59)
②主務大臣(経済産業大臣)の行政指導
• 業者に対する指示や業務停止(7・8など)
③主務大臣への申出
• 特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあるときに適切な措置を採るよう申し出ること
ができる(60)
• この申出に際して適切な指導・助言を行うための法人を設立する(61)
④顧客利益の保護を目的とした協会の設立
• 訪問販売協会(27)、通信販売協会(30)
⑤刑事罰
• 連鎖販売取引の勧誘に際する不実告知(34①→70Ⅰ(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)など)
(3) 規制の正当化根拠
特定商取引に関する法律における規制を正当化する根拠について、単純化して図解するとおおよそ次のよう
になる。
電話勧誘販売
訪問販売・キャッチセールス
不意打ち
事業者のペースでの勧誘
取引に入るという注意を
欠いたまま交渉に入る危険
名称・勧誘目的
の明示
顧客の冷静かつ慎重な
自己決定の阻害
顧客の十分な情報に基
づいた自己決定の阻害
クーリングオフ
契約内容が不明確・
理解不十分となる危険
法定書面の交付
メリットばかりが
強調されがち
不実告知・不告
知に対する規制
契約締結時には契約から
得られる利益が不明確で
ある一方で長期間の拘束
中途解約権
事業者からの
一方的な情報提供
広告規制
閉鎖的な場での契約締結
商品に関する情報を
事業者が独占
業務提供誘引販売取引
特定利益による誘引
実際にあっせんされる業
務を行うまで収益性はわ
からない
連鎖販売取引
特定利益による誘引
複雑な取引形態
実際販売を行うまで収益
性はわからない
取引自体がもつ危険
(ねずみ講類似)
特定継続的役務提供
受けてみなければ内容が
わからない/受け手の個
性によって異なる効果に
もかかわらず、利益が強
調されがち
通信販売
Ex. 4 消費者契約法・特定商取引法(取引「弱者」保護ルール) p. 7
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