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特定継続的役務提供契約中途解約時の クレジット

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特定継続的役務提供契約中途解約時の クレジット
(概要)
平 成 16 年 3 月 31 日
独立行政法人国民生活センター
消費者苦情処理専門委員会事務室
特定継続的役務提供契約中途解約時の
クレジット契約の解約手数料請求について
(国民生活センター消費者苦情処理専門委員会小委員会助言
1
概要)
問題の所在
特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」)で中途解約権および違約金の上限が
示されている特定継続的役務提供契約のなかでもエステティックサービスと外国語会話教
室を中心に、中途解約をした場合に高額のクレジット解約手数料を請求されるという消費
生活相談が目立っている。
解約時に消費者に請求される金額はケースによって異なるが、これは、支払総額や解約
時期の違いに起因する点ももちろんあるにせよ、さらに、クレジット契約の清算ルールに
関して法的なルールが存在せず、清算方法が多様であることに加え、加盟店契約の内容が
多様であることによると考えられる。
従来、クレジットを利用した販売契約の清算は加盟店契約の枠内で処理され、手数料等
は販売店(加盟店)が負担してきたため、クレジット解約手数料について消費者問題として
顕在化することはほとんどなかった。そこにこうした問題を出現させたのは、特定継続的
役務提供契約の中途解約権は従来の法定解除とは異なり、消費者側の自己都合での解約で
あるから一種の合意解除として扱い、「クレジット解約手数料」として消費者に負担させて
もかまわないという論理があったものと推測される。(注1)
2
解決への指針
(1) 消費者との清算窓口の役務提供事業者への一本化
クレジットを付した特定継続的役務提供契約の中途解約の清算窓口は、役務提供事業者
に一本化されることが望ましい。
その理由は、①クレジットを付しての特定継続的役務の提供は主として販売促進効果と
いう点に意義があると考えられ、両者を一体的に把握することが現実に即した把握である
こと、②特定継続的役務提供契約をクレジット付きで締結することには、消費者にとって
のメリットはあまり見出し難い反面、様々な危険が潜んでいるので、両者を分断して検討
すると、両者の一体化がもたらす様々な消費者問題を把握できなくなる危険性があること、
③紛争処理コストの節約という観点からである。
1
(2)未経過期間の利息不払処理
クレジット解約手数料の問題は、未経過期間分の利息相当額、および、クレジット解約
事務手数料の問題と言い換えることができる。
クレジット会社は「提携貸主」として役務提供事業者と共に利益を上げているが、一方
で、消費者を様々なリスクにさらしていること、そもそも継続的役務提供契約にクレジッ
トを付す合理性自体にやや疑問があることからすれば、提供されていない役務部分につい
てのクレジット会社の将来利益を消費者に負担させるのは不合理である。
さらに、合理的なコスト負担者は誰かという視点からも疑問である。一括前払い金は消
費者ではなく役務提供事業者が受領しており中途解約時まで役務提供事業者が運用し得る
こと、消費者は交渉力の点で劣位にあること、負担に予め対処する能力、負担を転嫁した
り、分散させる可能性を有していないことを加味すれば、消費者に負担させるべきではな
く、クレジット会社と役務提供事業者の間で清算処理すべきであろう。
元本を組替えることはしないが、中途解約後は元本・利息共に支払う必要はないという
解決策は、消費者からみれば、特定商取引法のルール(49 条 2 項)に加えて、中途解約時ま
での経過利息とクレジット解約事務手数料を負担すればよく、クレジット会社が取得しう
るのは「『提供済み役務の対価+法定違約金』に相当する立替金額のほかに、契約締結日か
ら中途解約申出日までの経過日数に応じた割賦手数料相当額(クレジット既払金には経過
期間の利息相当割賦手数料が含まれている)」までということになる。
この解決策は、中途解約時まではクレジット契約は有効である以上、消費者は経過利息
については支払うべきであるが、中途解約以降は負担をする必要がない点で、消費者の意
識ともさほど乖離がないと考えられる。
(3)クレジット契約の約款の改善
特定継続的役務提供契約で用いられているクレジット契約の約款では、「別途請求しま
す」
「精算できる」などと記載し、不明な場合はクレジット会社まで「お問い合わせ下さい」
などと記載されている例が多い。これでは、クレジット契約の具体的な清算方法や事務手
数料は明らかにされておらず、契約締結時において、消費者は特定継続的役務の提供契約
を締結するにしてもクレジットを付すか否か、また、どのクレジット会社とクレジット契
約を結ぶかについて比較検討ができない。実際の清算方法は、加盟店契約等で決まってい
るものと推測され、契約締結時点で計算不能等の事情により開示できないものとは考えに
くい。清算の方法、事務手数料についても、クレジット契約の約款に明示する必要がある。
また、現在のクレジット契約書面では、返済に関する記載は、総額と月々の支払額のみ
となっており、月々の返済額のなかで元本と利息の比率など、債務への充当関係が明らか
にされていない。この点に関する情報も契約締結段階において開示される方向へ、約款を
改善することが望まれる。(注2)
2
(注1)
法規制の現状
特定商取引法 49 条 1 項は、特定継続的役務提供契約について、クーリング・オフ期間経過後であって
も、将来に向かって契約を解除することができる中途解約権を消費者に認めている。中途解約された場
合、損害賠償の予定や違約金の定めがあっても、提供された役務の対価相当額と解除により通常生ずる
損害額、およびにこれに対する法定利率を乗じた遅延損害金の額しか請求できない(特定商取引法 49 条 2
項)。しかし、この規定は、特定継続的役務又は関連商品を割賦販売等により提供又は販売するものにつ
いては、適用されない(特定商取引法 50 条 2 項)。
割賦販売法では、自社割賦を利用して特定継続的役務提供契約が締結され、当該契約が中途解約された
場合については、特定商取引法 49 条 2 項にいう「提供された当該役務の対価に相当する額」に「割賦手
数料」(割賦提供価格と現金提供価格の差額)を加算し、これに「当該契約の解除によって通常生ずる損
害の額として当該役務ごとに特定商取引法第 49 条第 2 項第 1 号ロの政令で定める額」を加えた額を基礎
とし、これに法定利率を乗じた「遅延損害金」を加えた額が上限となる(割賦販売法 6 条 1 項 6 号)。
他方、相談事例の多くを占める個品割賦購入あっせんによる場合については、割賦販売法 30 条の 3 第
1 項が適用されることになる。しかし、同条によれば、契約解除に伴う損害賠償額の上限は、「当該契約
に係る支払総額に相当する額とこれに対する法定利率による遅延損害金の額とを加算した金額」とされ
ており、中途解約を想定したものとはなっていないように見受けられる。
このように、割賦購入あっせんにより特定継続的役務提供契約を締結した者が当該役務提供契約を中途
解約した場合の、クレジット契約の清算に関する割賦販売法上の明確なルールは存在していない。
(注2)
この他、
「助言」では抜本的な解決に向けて、割賦販売法に清算未受領の役務に対する債務も消滅させる
方向での清算規定の導入、その前提として割賦販売法6条1項6号の改正が求められることを指摘してい
る。
<title>特定継続的役務提供契約中途解約時のクレジット契約の解約手数料請求について(国民生活センター消費者苦情処理専門委員会小委員会助言
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