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一人医療法人の税金

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一人医療法人の税金
Volume
87
吉 田 正 一 税 理 士 事 務 所
一人医療法人の税金(節税ポイント)
一人医療法人の税金
無断転載禁止
は じ め に
こんにちは 税理士の吉田正一です
一人医療法人(=分院なしの医療法人)の税金テーマをまとめました。
税金テーマとは 生涯税率・世帯税率を下げるにはどうするか という意
味になります。
平成24年12月
目
次
1. 一人医療法人の税金テーマ
2. 一人医療法人の財産形成と税金
3. 役員報酬・役員退職金の税金テーマ(1)
4. 役員報酬・役員退職金の税金テーマ(2)
5. 家計費の経費化ポイント(1)
6. 家計費の経費化ポイント(2)
7. 家計費の経費化ポイント(3)
8. 家計費の経費化ポイント(4)
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1.一人医療法人の税金テーマ
一人医療法人は 医療法人の器を持った個人医院
医療法人の器による税効果
1. 医院利益に係る税目を 所得税と法人税に分散できる
2. 医院利益を 退職金により 税負担少なく 院長に還元
できる
3. 事業に関連する家計費を経費化できる→個人医院より
医療法人の方が 経費の幅が広い
4. 医院財産を 出資持分に変えて 分散贈与できる
税目を 所得税と法人税に 分散するメリット
1. 医院利益を 法人に集めて 税率を抑制できる
2. 医院利益を 院長親族・MS法人に分散して 所得・税
目の再分散ができる (さらに税率抑制できる)
3. 院長の所得を 給与所得に変えることにより 給与所得
控除(経費)を計上できる
医療法人の税金テーマ&(税目)
1. 役員報酬(法人税・所得税)
2. 役員退職金(法人税・所得税・相続税)
3. 生命保険料(法人税・所得税・相続税)
4. 交際費・寄附金(法人税)
5. 設備投資・修繕費・資本的支出(法人税)
6. 資本金(相続税・贈与税)
7. 土地(法人税・相続税)
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2.一人医療法人の財産形成と税金
一人医療法人の税金テーマとは 院長の財産形成と財産
承継を考えること
個人医院 院長の財産形成と税金
1. 院長の財産=医院利益+医院財産-所得税-家計費
2. 医院利益は 開業から承継までの利益合計
3. 所得税は 医院利益に累進課税される(=利益が大き
いほど 税率も高い)
4. 医院財産は相続時に承継される →相続税負担あり
一人医療法人 院長の財産形成と税金
1. 院長の財産=役員報酬+役員退職金+出資持分-所
得税-家計費
2. 役員退職金=医院利益-法人税等+保険積立額
3. 法人税は 医院利益に課税(固定税率)→家計費のうち
事業関連経費は 法人税減少効果あり
4. 出資持分=医院財産 →持分は贈与・譲渡しやすい
5. 所得税は 役員報酬・役員退職金に累進課税される(=
給与・退職金が大きいほど 税率も高い)※
一人医療法人の財産承継と税金
1. 出資持分(=医院財産)は 小口贈与しやすい→相続
税をコントロールできる
2. 相続時の役員退職金に 相続税の非課税枠あり
3. 院長夫人・子息への 所得分散・財産承継プランが 法
人個人トータル節税のポイント
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3.役員報酬・役員退職金の税金テーマ(1)
役員報酬・役員退職金の税金テーマは ダブル課税(所得
税&法人税)を避けること
役員報酬と税金
1. 役員報酬とは 役員(院長・院長親族等)の毎月の給与
2. 役員報酬の原資は 医院利益
3. 役員報酬は 役員に 所得税等あり
役員退職金と税金
1. 役員退職金とは 退職時に役員に支給する給与
2. 役員退職金の原資は 医院利益・保険積立(内部留保)
3. 役員退職金は 役員に 所得税等あり
所得税のほか法人税が課税されるケース
1. 職務対価として 不相当に高額な役員報酬・退職金
2. 役員賞与、毎月同額でない役員報酬
∴上記の役員報酬・退職金は 損金不算入として 法人に
法人税等が生じる
役員報酬のダブル課税を回避するポイント
1. 役員報酬の改定は 原則 定時社員総会のみ
2. 職務時間・能力・資格・経験年数・他院の給与水準等に
より 職務対価の妥当性を判断
3. 院長親族への役員報酬は 職務時間・理事会議事録・
稟議書・業務日報など 立証資料が必要
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4.役員報酬・役員退職金の税金テーマ(2)
医院利益を 税負担の少ない退職金を使って どれだけ配
分するか考えることが 医療法人の税金テーマ
役員退職金のあらまし
1. 社員総会決議(または理事会決議)により支給決定
2. 退職金額は 役員退職金規程等により 決まる
3. 不相当に高額な役員退職金は 所得税のほか 法人に
法人税が課税される
4. 社員総会決議日(または支給日)の損金になる
死亡時に支給される役員退職金・弔慰金
1. 死亡時の役員退職金に 所得税なし
2. 死亡時の役員退職金に 相続税あり(非課税枠あり)
3. 相当な弔慰金に 所得税・相続税なし
4. 相当な弔慰金とは 業務上の死亡の場合 役員報酬の
3年分(業務外死亡の場合 6ケ月分)
法人税が回避されない 適正な役員退職金額とは
1. 役員在任期間、医院への貢献度、同規模医院の支給状
況から 妥当な退職金額
2. 役員報酬(月)×功績倍率※×役員在任期間
※功績倍率は 理事長:3、理事:2以下が目安
役員退職金の打ち切り支給
1. 理事長が理事等になり 役員報酬が1/2以下になった
場合 役員退職金の打ち切り支給ができる
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5.家計費の経費化ポイント(1)
医療法人の器を用いることにより 事業に関連する家計費
を経費化できる(法人の方が経費の幅が広い)
院長の親族への給与・退職金は 不相当に高額にしない
ことがポイント
1. 不相当に高額な給与・退職金は 経費否認(=損金不
算入として 法人税が課税)
2. 不相当に高額とは 職務内容、収益状況、一般職員の
給与水準、同規模医院の給与水準により判断
3. 親族のほか 院長の内縁妻・愛人への給与も同様
交際費は 増やさないことがポイント
1. (資本金1億円以下&交際費6百万円以下の場合)
交際費×10%が 経費否認
2. 交際費とは 取引者等への接待・慰安・贈答費用
3. 旅行・観劇への招待費は 交際費
4. 院長への渡切交際費は 役員報酬(過大な役員報酬は
経費否認)
会議費・会議以外の飲食費は 法人税法上の交際費に該
当させないことがポイント
1. 会議・商談用の飲食代(昼食代程度)は 経費
→昼食代程度を超える会議飲食代は 交際費
2. 会議以外の飲食代(1人5千円以下)は 経費
→1人5千円超は 交際費
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6.家計費の経費化ポイント(2)
福利厚生費は 医療法人の器を使って 全職員(役員含
む)に行う 現物給付
福利厚生費のポイント
1. 福利厚生費とは 慶弔費、慰安旅行費、宴会費、運動
会費、式典祭事費、衛生費、茶菓子代など
2. 専ら従業員の慰安のために支出されることがポイント
3. 特定従業員の慰安のための宴会費等は 交際費等
4. 通常の宴会費等より 高額な場合 交際費等
5. 社内規定の慶弔費より高額な場合 交際費等
社葬費用のポイント
1. 経歴・地位・生前の功績等から 社葬のための通常の
費用は 経費計上できる
2. 墓石・仏壇費、香典返戻費は 経費計上できない
3. 香典収入は 相続人の収入にできる
ゴルフクラブ・スポーツクラブ等の法人会員のポイント
1. 入会金(無記名式)は 資産
2. 有効期間がある入会金は 繰延資産
3. ロータリークラブの入会金・年会費は 交際費
4. コルフクラブの年会費等は 交際費
5. スポーツクラブの年会費は 福利厚生費
6. 役員が 個人的に利用している場合の 入会金・年会費
は 役員賞与(法人税課税)
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7.家計費の経費化ポイント(3)
法人名義の固定資産(車両・建物・備品等)のメリット
1. 減価償却費により 固定資産を 経費化できる
2. 固定資産に係る税金・保険料・消耗品費を経費化できる
3. 固定資産に係る消費税を 控除できる
社用車(役員車両)の経費化ポイント
1. 社用車が 出張・営業など 事業の用に供している
2. 社用車が 個人の用に供していない(個人名義で別の
車を持っているなど)
3. 利用規定に基づき 利用状況を管理している
社宅(役員住宅)の経費化ポイント
1. 時価に基づく適正家賃を 役員から徴収する
2. 救急対応など職務上必要な場合 徴収不要
保養所の経費化ポイント
1. 保養所が 専ら従業員の慰安のために利用されている
(従業員が自由に利用できる)
2. 特定役員のみしか利用できない保養所は 役員給与
3. 利用規定に基づき 利用状況を管理している
書画骨董のポイント
1. 書画骨董は 減価償却(経費化)できない
2. 書画骨董とは 古美術品、美術年鑑登録品、20万円以
上の美術品 のこと
3. 書画骨董に該当しない美術品は 減価償却できる
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8.家計費の経費ポイント(4)
生命保険は 契約者(個人・法人)・受取人を分散して
税金をコントロールする
個人契約の生命保険の税金ポイント
1. 生命保険料控除制度により 一部経費化できる
2. 養老保険・年金保険は 受取年度を分散して (一時)
所得税の分散ができる
3. 保険金は 受取人を分散して 贈与税に分散できる
(贈与税の非課税枠が利用できる)
4. 死亡保険金は 相続税の非課税枠が利用できる
5. 入院給付金は 非課税にできる
法人契約+法人受取の生命保険の税金ポイント
1. 定期(掛捨)保険は 経費化できる
2. 長期定期保険は 一部経費化できる
3. 終身保険・養老保険は 経費化できない→税効果なし
4. 保険金・解約返戻金・入院給付金は 法人税が課税さ
れるが 退職金を計上すれば 課税なし
5. 法人契約+個人受取の生命保険は 給与
社会保険(厚生年金)の税金ポイント
1. 個人負担分の社会保険料は 全額経費化できる
2. 法人負担分の社会保険料は 全額経費化できる
3. 厚生年金収入は 雑所得税が課税される(国民年金収
入より多く 私的年金より税負担少ない)
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一人医療法人の税金
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