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第一施設工業株式会社(福岡県)
九州・沖縄地域 第一施設工業株式会社(福岡県) ∼模倣品の経験から、特許取得を積極的に∼ 1.下請けからの脱却 大手エレベーター会社の委託を受け、エレベーターの据え付けやメンテナンスなどを 行っていた第一施設工業(株)がメーカーへと転換したのは1988(昭和63)年のこと。 通常のリフトに比べ倍の速度で動く高速垂直搬送機「ハイリフター」を開発し、九州松 下電器(株)に初納入した。これが生産性の向上に繋がるとの評判を呼び、九州松下電 器(株)の全工場に採用されたほか、各電機メーカーや病院にも採用されるなど全国に 市場を広げた。続いて平成3年には、クリーンルーム向けにリフトの作動に伴う粉塵対 策を完全にした高速リフト「クリフター」を開発した。この製品が設備投資に積極的な 半導体関連業界から、他のクリーンルームを必要とする業界にも普及し、売り上げを大 きく伸ばした。 2.IT市場の拡大にも乗る 「ハイリフター」はそのスピードとともに停止精度の高さにも定評があり、振動を嫌 う精密機械工場での需要が高い。 高速搬送昇降機という新しい分野を切り開いた製品で、 この分野では国内シェアの8割を占めている。近年はシンガポールやインドネシア、イ ギリス、中国へも市場が広がってきた。またクリーンルーム向け高速リフト「クリフタ ー」も、このところの情報通信市場の拡大に伴う関連業界の設備投資の波に乗って、一 番の主力商品と呼べるほどまでに成長してきた。 この2つに続く柱にと期待を寄せているのが非接触搬送装置「マジックムーブ」だ。 これは開放特許として眠っていた(株)西部技研(福岡県古賀市、隈智恵子社長)の 「板状体の無接触搬送技術」を活用し、製品化した。流体力学を応用して液晶ガラス基 板やシリコンウエハーなどを空気の力で浮かせた状態で搬送を行うものである。 3.海外企業とも連携拡大 いくつかの製品開発をきっかけに業績を伸ばしてきた同社だが、取得済みの特許は2 つと意外に少ない。「ハイリフター」関連は未出願、「クリフター」については平成3年 に出願したが取得に至っておらず、平成12年に再出願を行っている。同社に特許戦略 の必要性を再認識させたのは、99年秋にある製品に類似品が出たことからである。こ の経験で、特許の重要性について改めて思い知らされ、「マジックムーブ」関連では11 件の特許を出願するなど、このところは特許出願に積極的な姿勢をとるようになった。 それから、同社が保有している特許出願中の技術を利用して、台湾および韓国のメー カーとシリコンウエハーのカセットとその搬送装置を製作するという新しい試みを始め たところでもある。装置の大枠を韓国のメーカーが、カセットのプラスチックの成形を 台湾メーカーが受け持ち、トータルの搬送システムを同社が製造するという国際分業体 制を確立した。共通のブランド名で各メーカーがそれぞれの国で販売を行う計画で、今 後の進展に期待がかかる。 − 286 − 第一施設工業株式会社 【特許活用製品】 パレット用 FAライン ハイリフター ガラス基板用非接触搬送システム ●会社概要 代表者:代表取締役社長 篠原 統 所在地:福岡県福岡市東区松島3−25−25 設 立:1967(昭和42)年 資本金:6250万円 従業員:65人(うち特許担当者1人) 主要製品:高速垂直搬送装置、クリーンルーム向け垂直搬送機など − 287 −