...

火と氷の国アイスランド - Green Mobility(グリーンモビリティ)

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

火と氷の国アイスランド - Green Mobility(グリーンモビリティ)
自転車と暮らすサスティナブルライフを提言する
インターカルチャーマガジン
ICELAND
CHALLENGE
火と氷の国アイスランド
ペデレックの可能性に挑む 4,000km の旅
Vol.26
自転車と暮らすサスティナブルライフを提言する
インターカルチャーマガジン
Vol.26
www.green-mobility.jp
04
12
18
火と氷の国アイスランド
ペデレックの可能性に挑む 4,000km の旅
大人の休日自転車 2
「疋田智の自転車春秋」連載其の弐~♪「自転車に“東京五輪”という風が吹く」
22
どこまでもいこう!第三回「すてきな贈り物」
26
日本人が経営するバンコクの自転車カフェ Cafe Symphony Bangkok & Thonglor Bike
28
YouBikeで遊ぶオールド台北
32
青木康洋の 晴れ、ときどき旅 第 18 回
34
読者プレゼント
Green Mobility 最新号は WEB でもご覧いただけます
アクセス方法ははこちら
ホームページ上アドレス http://www.green-mobility.jp
検索ワード
グリーンモビリティ でもアクセスできます
QR コード
伸び縮みする湖カンボジア トンレサップ湖
主な配布先
発行・編集・制作
三省堂書店 本店
株式会社インタープレス
書泉グランデ
編集長:坂本 喜秀
書泉ブックマート
Editor:島田 芳江
芳林堂書店
Art director:大崎 博孝
新栄堂書店
青山ブックセンター
サイクルベースあさひ全国各店舗
東急ハンズ
QR コードはスマートフォン用です。
Olympic 各店舗
Designer:ジョン タイラー
Writer:池田 潮
Photographer:前田 昌宏
Printing:JTB 印刷株式会社
SPORTS AUTHORITY 全国各店舗
ビックカメラ本店及全国各店舗
新刊と過去 4 号分の Ebook が、その他のバックナンバーは PDF
にてご覧いただけます。過去の記事もピックアップして掲載、
パソコン・スマートフォン用の壁紙がダウンロードできます。
ジョイフル本田各店舗
THE NORTH FACE
エーグル
ヴィクトリア、ヴィエント
図書館(東京都)
サイクルショップ(全国)
GREEN MOBILITY 事業部
〒 113-0033 東京都文京区本郷 3-14-15
美工本郷第 2 ビル 6F
TEL:03-5803-1755(代)
FAX:03-5803-1759
E-mail:info@green-mobility.j
他
ホームページに配布場所一覧を掲載しております
http://www.green-mobility.jp
03
Green Mobility 2013 vol.26
発行:平成 25 年 9 月 30 日
*無断転載・複製を禁じます。
ICELAND
CHALLENGE
火と氷の国アイスランド
ペデレックの可能性に挑む 4,000km の旅
文・写真:スザンヌ・ブルッシュ
Green Mobility 2013 vol.26
4
そこは巨大なヴァトナヨークル氷河からルミナスブルーの氷山が生まれ
氷河湖を流れて大西洋へと注ぐ超現実の世界
5
Green Mobility 2013 vol.26
ンドラ・ヴェルトラスキー。他に電動ア
レア・グッドマンは今回の旅をフィルム
ペデレックとはスザンヌ・ブルッシュ
く 使 わ れ て い る。現 在 ヨ ー ロ ッ パ で は
に収めるプロデューサーだ。
シスト車を知り尽くした技術者、ウヴェ・
ドイツを中心に電動アシスト自転車の
デンマークを発って2昼夜をフェリー
が 電 動 ア シ ス ト 自 転 車 に つ け た 名 称 で、
需 要 が 爆 発 的 に 高 ま っ て お り、昨 年
の中で過ごし、3日目にようやくアイス
シュレメンデスがメンテナンスやトラッ
1 2 0 万 台 を 突 破 し た と 言 わ れ て い る。
ランドの東海岸、セイディスフォードル
ヨーロッパではペダルをこぐ必要のな
中でもマウンテンバイクにバッテリー
の港に着いた。そこから環状道路に沿っ
クでの輸送などを担当してくる。アンド
と電動ユニットを搭載した高速ペデ
て南に進み、首都レイキャビークに入っ
いフル電動自転車と区別するために広
㎞ま で
ン チ ャ ー ズ ツ ア ー の 第 3 弾 だ が、電 動
モンゴル横断に続くペデレックアドベ
の ス ザ ン ヌ に よ る レ ポ ー ト は モ ロ ッ コ、
レ ジ ャ ー 需 要 を 作 り 出 し て い る。今 回
モ ー タ ー の サ ポ ー ト を 得 ら れ、新 た な
山が生まれ氷河湖を流れて大西洋へと
ス ブ ル ー の(透 き 通 る よ う に 青 い)氷
大 なヴァ ト ナ ヨ ー ク ル 氷 河 か ら ル ミ ナ
たが、そこはまさに超現実の世界で、巨
ひとつであるヨークルサルロン湖を通っ
た。途中アイスランドの観光スポットの
レックと呼ばれるものは時速
アシスト自転車のパンフレットや雑誌
日の深夜に氷河
21
創始者で企画、運営、PRも担当するオ
シュとペデレックアドベンチャーの共同
ゼ ン 等 を 担 当 す る 私 ス ザ ン ヌ・ブ ル ッ
らメディアへの配信、イベントでのプレ
バーは今回のツアーのコンセプト開発か
ト に 向 け て ベ ル リ ン を 出 発 し た。メ ン
ク北部のハートシャッスルフェリーポー
レックアドベンチャーチームはデンマー
の最良の友となった。
下着がこの美しい島ですぐさま私たち
帽子とレインジャケットとスキー用の
北の美しい大地が歓迎してくれている。
さ せ て く れ て い た。雪 山 と 雲 と 泥 道。
上回っているだけということなど忘れ
て い る 間、外 気 が 摂 氏 零 度 を わ ず か に
が 上 っ た。こ の 絶 景 を 拝 み な が ら 走 っ
が り)と な っ た 後、午 前 3 時 頃 に 朝 日
た め わ ず か な 時 間 ト ワ イ ラ イ ト(薄 暗
湖 に 着 い た。空 に 雲 が 立 ち 込 め て い た
で 日 が 一 番 長 い 6月
注 ぐ 絶 景 ポ イ ン ト だ っ た。1 年 の う ち
超現実の世界へ
での限界への挑戦となった。
ではおよそお目にかかれない環境の中
45
2013年6月 日早朝、私たちペデ
17
6
Green Mobility 2013 vol.26
神秘の地のハイライト
や ラ ト ラ ジ ャ ー グ の ゲ イ サ ー(鳥 の
は混んでないしデッティフォスの滝
ま 私 達 の 習 慣 と な っ た。そ の 方 が 道
お陰で夜間に旅をすることがすぐさ
海 鳥 パ フ ィ ン(ツ ノ メ ド リ)も か け
た。こ の 絶 壁 に 生 息 す る 愛 く る し い
ランドの神秘の地のハイライトだっ
ラブジャーグの絶壁はまさにアイス
毎年100万羽が巣立つというラト
る も の だ っ た。紫 の 花 咲 く 野 や 砂 浜、
崖)も 大 勢 の 観 光 客 に 交 じ っ て 眺 め
が え の な い 仲 間 の よ う に 思 え て き た。
時間日が沈まない
るのでなく私達だけのものとして味
その中の一羽は道中のマスコットと
6 月 と 7 月 は
わ え る 時 間 が 持 て た。ち な み に 今 年
なった。
分 頃)と 日 昇
分 頃)直 後 の 最 も 美 し い 時 間
30
度の冷水に耐える
高 の 気 分 で、フ ィ ヨ ル ド の 背 後 の 景
な氷河のピストの上を走るのは超最
ス ト フ ィ ヨ ル ド で 起 こ っ た。滑 ら か
い た も の だ が、最 高 の ラ イ ド は ウ エ
ているのだろうかと思案を巡らせて
山脈の向こうにはどんな景色が待っ
る こ の 地 の 自 然 の 中 を 走 行 し、次 の
日 光 と 雨 と 虹 と め ま ぐ る し く 変 わ
だった
とんぼ返りしたのも大きな醍醐味
レックを走らせて一気に元の地点に
ドライスーツで潜水しその後ペデ
間のプレートを
見 た 後、欧 州 大 陸 と ア メ リ カ 大 陸 の
に 写 真 が 撮 れ る こ と だ っ た。流 氷 を
(2 時
ほ か 日 没(午 前 1 時
深夜に起きていることの特典はこの
倍 増 の 1 0 0 万 人 が 見 込 ま れ て い る。
のアイスランドへの観光客は前年比
24
1.5
観は雨の日々を埋め合わせて余りあ
Green Mobility 2013 vol.26
7
30
ファンタジーの世界に浸る
アイスランドの素晴らしさは何と言ってもその
景観の多様さにある。ウエストフィヨルドを後に
した私達は湖と火口の人気スポット、ミヴァトン
を通過し、泥の火山地帯をさらにアイスランド北
部のクラフラの熱い蒸気泉の上がる地域に向かっ
種類のクジラが見
た。その後クジラウオッチングで有名な小さな港
町、ハフヴィクに立ち寄って
に、何らかの力が働いて
平方
のカルデラが創
湖。もうこれだけでおとぎ話の世界である。実際
だ冷水湖の隣に泳ぐことだってできる青色の暖水
か理解できるような気がした。クリスタルの澄ん
イスランドの文化がなぜおとぎ話に満ちているの
るといくらでもファンタジーの世界に浸れる。ア
岩や雪原が水に反射し、ちょっと想像力を働かせ
宿っているように思えてきてならなかった。
て い る と ハ イ ラ ン ド(高 地)に は 魔 法 の 何 か が
て風が強く荒廃の地といった眺めで、そこに立っ
透き通るような火口湖があるアスクヤ火口は寒く
に入り再び別世界の境地に浸った。クリスタルの
滝を見た後、私達は高地の奇妙な岩肌の溶岩地帯
ロッパで最も壮大な滝と言われるデティフォスの
ら れ る と い う 美 し い 漁 港 で ひ と 休 み し た。ヨ ー
11
㎞
ヨーロッパ大陸にも舞い散ったほどだった。
殻変動はあまりに強大だったためその飛来物が
1875年にアスカヤカルデラ湖を創り出した地
り 出 さ れ た な ん て 想 像 で き な い く ら い で あ る。
50
8
Green Mobility 2013 vol.26
クリスタルの澄んだ冷水湖の隣に泳ぐことだってできる青色の暖水湖
もうこれだけでおとぎ話の世界である
9
Green Mobility 2013 vol.26
でこの島国の大部分を目にするという
4 0 0 0 ㎞走 り 切 っ た わ け だ が、こ れ
験 だ っ た。ひ と 月 で ア イ ス ラ ン ド を
私達の顔に感じられたことは最高の経
りながら風と雨と太陽と新鮮な空気を
アイスランドを旅して絶景の中を走
回かあった。あらゆるバッテリーがそ
サスペンションが無くなったことも何
めた。ただ激しいデコボコ道ではリア
保護を施して防水性を完璧なまでに高
増すところではさらにシリコンによる
護される構造になっているが、水深が
こたえた。モーターが水を被っても保
も水没したがダメージを受けずに持ち
も耐えた。後輪のハブモーターは何回
トに頼り、
個のバッテリーがパワー
充電はもっぱらキャンプ場のコンセン
電を賄った。ペデレックのバッテリー
バッファバッテリーで他の装置への充
では間に合わず、車のダイナモと予備
ラーパネルを使ってのバッテリー充電
となった。天候が不安定なせいでソー
充電がツアーを通じてのひとつの試練
キャパは 5割方低下する。バッテリー
て心をオープンにしてくれた。試乗し
積極的でこの新タイプの自転車に対し
られているが、出会った人達はとても
ドの多くの人に珍しい乗り物として見
る。今はまだペデレックはアイスラン
ンフラ整備に向けた投資も行ってい
先頃自転車専用道などの乗用環境のイ
り、首都レイキャヴィークの市当局は
治的視点からも重要な動きとなってお
て、美 し い 自 然 の 中 で ペ デ レ ッ ク の
とジャーナリズムと写真のプロとし
き だ か ら。私 た ち は ペ デ レ ッ ク と 旅
き だ か ら。そ し て 自 然 と 挑 戦 が 大 好
を す る の か。ま ず サ イ ク リ ン グ が 好
私 た ち が な ぜ こ の よ う な 困 難 な 旅
イツへと戻った。
しい思い出と写真とビデオを携えてド
私 た ち は 7月 下 旬、こ の 上 な く 素 晴 ら
挑戦の先にあるもの
目 標 が 事 実 上 達 成 で き た よ う に 思 う。
て、低 温(ほ と ん ど が 摂 氏 5 度 前 後)
度前後の気温の中で走る時に比べ
うであるように、平坦な舗装道路で摂
客からも一様に大きな関心を持たれ
クはその国の人からも外国からの観光
たものだった。今回の旅でもペデレッ
切れになるたびにキャンプ場に向かっ
で電動自転車の意)でも同様の反応が
転車専門店
(アイスランド語
Rafhjol
レ イ キ ャヴィ ー ク で た だ 1軒 の 電 動 自
れ 以 外 の 反 応 は 予 想 し て な か っ た が。
た人達は大きな笑顔で戻ってきた。こ
した形で私たちは世界をより持続可
し て も ら え れ ば と 願 っ て い る。こ う
も に、実 際 に 試 し た 感 覚 を 自 ら 経 験
性について関心を寄せてもらうとと
有することで電動アシスト車の可能
限界に挑戦した経験を多くの人と共
私たちが今回使用したペデレックは最
れ は す こ ぶ る 快 適 な ス ピ ー ド だ っ た。
や向かい風、山岳部の地形によりバッ
た。アイスランドでもサイクリングの
見られるそうだ。
能なモビリティへと導く道に足跡を
〜
は楽々
トルクも傾斜率
インされたものだが、激しい雨や数々
ンドのような環境下ではバッテリー
20
の川渡りのある高地での厳しい走行に
氏
%の デ コ ボ コ の
テリーキャパのロスが著しかった。通
人気が全般的に高まってきている。ひ
4000kmを走破したアイスラン
残していきたいと思っている。
㎞だ っ た が、こ
急斜面でも十分上れる回転力があっ
常のコンディションでの走行テストで
とつの流れとして、あるいはまた実際
ド で の 素 晴 ら し い 4週 間 の 旅 を 終 え て
32
17
大時速は米国基準の
た。もともと都市部での走行用にデザ
㎞を 走 っ た も の が、ア イ ス ラ
のニーズへの対応としてだけでなく政
12
14
50
10
Green Mobility 2013 vol.26
こうした形で私たちは世界をより持続可能なモビリティへと導く道に
足跡を残していきたいと思っている。
ペデレックアドベンチャーズについて
http://www.iceland-challenge.com
2011 年にスザンヌ・ブルッシュとオンドラ・ヴェルトラスキーが創設したペデレック
アドベンチャーズは、ペデレック ( 電動アシスト自転車 ) とフル電動自転車による世界冒
険の旅を通じて電動自転車の普及を図るトラベルコンセプト開発に向けたプロジェクト
で、ベルリンを拠点とするプロジェクトチームがコンセプト実現に向けて数週間のツアー
を組み、製品のフィールドテスト(実地試験)を行うとともにツアーの実体験レポート、
プレゼン、写真、フィルムを通じて電動自転車の世界を広めていく活動を行っている。
今回のチームメンバー:左からオンドラ・ヴェルトラスキー、スザンヌ・ブルッシュ ( 著者 )、
アンドレア・グッドマン、ウヴェ・シュレメンデス
11
Green Mobility 2013 vol.26
大人の休日自転車
2
厳 し か っ た 夏 が 去 り、 束 の
間 新 涼 が 感 じ ら れ る よ う に な
る と、 ひ と り 読 書 に ふ け る に
は う っ て つ け の 時 節 柄。 部 屋
に こ も り、 お 気 に 入 り の 定 位
置で没頭するのも良いけれど、
陽 の あ る う ち な ら バ ッ グ に 読
み さ し の 本 を 入 れ、 自 転 車 に
ま た が っ て 秋 の 街 へ 漕 ぎ だ し
てみるのもまた良いものだ。
高 い 空 の 下 に は 金 木 犀 の 香
り が 漂 い 、近 く の 公 園 ま で 足 を
12
Green Mobility 2013 vol.26
伸 ば せ ば、 コ ス モ ス や 彼 岸 花
な ど 秋 の 花 々 が 目 を 楽 し ま せ
て く れ る こ と だ ろ う。 居 心 地
良 さ そ う な ベ ン チ が 目 に 入 っ
た な ら ば、 そ こ が 今 日 の 読 書
室 ――。
陽 が 傾 き か け 、肌 寒 さ を 感 じ
る よ う な ら ば 、少 し 離 れ た オ ー
プ ン テ ラ ス の カ フ ェ に 移 っ て
続 き を 読 ん で も い い。 そ ん な
と き に 自 転 車 は ち ょ う ど 良 い
移動手段だ。
今 日 は 案 外 距 離 を 走 っ た か
ら、 カ ロ リ ー だ っ て そ こ そ こ
消 費 し て る は ず。 充 実 し た 一
日 の 締 め く く り に、 レ ス ト ラ
Green Mobility 2013 vol.26
13
ン で ち ょ っ と 贅 沢 す る の も 良
いかもしれない。
text 池田 潮 photo 前田 昌宏
Green Mobility 2013 vol.26
14
撮影協力
自転車:BE・ALL ALIZE 26M ¥48,300 税込(アキコーポレーション)
ライフ・クリエーション・スペース OVE 南青山 / リンツ ショコラ カフェ 表参道店 /SPACE YUI
15
Green Mobility 2013 vol.26
このごろ人気のクロスバイク、たしかに性能はよいのだろうけど、わたしにはちょっとスポーティーすぎて
……。そんなあなたにオススメする自転車は、カジュアルスポーツ車やヨーロピアン実用車。気持ちよく走
るし、お気に入りの服や靴とのコーディネートだってばっちりです。
「美しいカタチ」にこだわったカジュアルスポーツ車
ブリヂストンサイクル
マークローザ スタッガード
¥39,800 (税込み)
こ の 春 誕 生 し た「 ブ リ ヂ
ストンサイクル」の新レー
ベル「グリーンレーベル」
の女性向けカジュアルス
ポ ー ツ 車。 7 段 変 速 機 と
細身のタイヤを装着して
お り、 軽 快 な 走 行 感 が 楽
し め る。 乗 り 降 り し や す
いスタッガード形状のフ
レームはやや前傾した美
しい乗車姿勢がとれる設
計 に な っ て お り、 ち ょ っ
とした遠乗りも楽しめる。
女性誌コラボのファッショナブル電動アシスト車
パナソニックサイクルテック
エーガールズ
¥114,000 (税込み)
A girl’s の「A」 は「Adult」
の「A」。 フ ァ ッ シ ョ ン 誌
『InRed』とのコラボレーショ
ン で 生 ま れ た「 大 人 か わ い
い 」 電 動 ア シ ス ト 自 転 車。
スタイリッシュな細身のフ
レーム、便利なインナーバッ
グ を 備 え、 軽 や か な 印 象。
大容量バッテリーを積みな
が ら 車 体 重 量 も 軽 く、 買 い
物 か ら 子 供 の 送 迎、 お で か
けまでおしゃれに幅広く利
用できる。
Green Mobility 2013 vol.26
16
希少なイタリアハンドメイドの
エレガントなシティーバイク
アビチ スヴェルティーナ ミキスト ¥199,500(税込み)
アロハロコ カイルア ¥55,000 (税込み)
レトロ&モダンをコンセプトとした大人のためのイタリアンアーバンバイクブラ
ンド「アビチ」。スヴェルティーナミキストは、
「俊敏に走る」ための装備と実用性、
エレガントなスタイリングを絶妙なバランスで兼ね備えた内装 8 段変速の最高位
モデル。希少なイタリア職人の手による美しい仕上げのゴージャスなバイクだ。
今年誕生した「アロハロコ」は、ハワイの街をイメージしたオシャレなオリジナ
ル自転車を展開するドメスティックブランド。カイルアは8段変速搭載で、ゆっ
たり乗れるアップハンドル、カラーフェンダーを標準装備した女性向け街乗りバ
イク。 パステルカラーの5色展開でどれも美しい仕上がりだ。
内装変速を装備した英国伝統の女性向け実用車
パシュレイ ペニー ¥90,300(税込み)
1926 年からイングランドの小さな町ストラットフォードでハンドメイドを貫く
「パシュレイ」。ペニーは内装5段変速、スプリング付き BROOKS サドルを装着し
た英国伝統の女性向け実用車。町や田舎道で快適に走るための自転車で頑丈な作
りをしており、手入れをしながら乗れば一生のパートナーとなるだろう。
フロントバスケットにコーヒーカップホルダーが
付く街乗りクロスバイク
17
オアフ島東海岸の地名を冠した
ハワイアンカジュアルバイク
クラシカルなミキストフレームを採用した
街乗りロングセラーモデル
ビアンキ フィレンツェ ¥64,000(税抜き)
イタリアの老舗バイクブランド「ビアンキ」製の上質な街乗りバイク。近年では
珍しいミキストフレームが特徴。7 段変速機を搭載しており、フロント・リアにキャ
リアを標準で装備するなど日常使いに配慮されている。グリップ・サドルにレザー
調パーツを使用するなどディテールも抜かりない。
フランスの老舗プジョーブランドの
シックな街乗りクロスバイク
シュイン ランデブー 2 ¥60,900(税込み)
プジョー ル・シック 24” ¥46,000(税抜き)
アメリカで親しまれる老舗ブランド「シュイン」の提案する街乗りバイク。大き
なタイヤに 7 段変速機を備えておりスポーティーに走ることもできる。しかしこ
のバイクを特徴づけているのはフロントバスケットに設けられたコーヒーカップ
ホルダーだろう。ゆったり散歩をするのに適したモデルだ。
自動車メーカーとして知られるフランスの「プジョー」の起源は自転車製造業者
であった。ル・シック 24” は 6 段変速機を搭載し、24 インチと小さく太めのタイ
ヤを装着した使い勝手の良い街乗りバイク。上品でクラシックなデザインに現代
のテクノロジーを違和感なく融合させている。
Green Mobility 2013 vol.26
SATOSHI HIKITA
「疋
田智
の
自転
車春
秋
」
「自転車に“東京五輪”
という風が吹く」
でオリンピックを見せることができる。そ
学生。まだ心の柔らかい3人に、地元東京
私で言うと、即座に「長男が 歳、次男が
ろう」と思わなかった人はいないだろう。
とで別枠とすると、東京は米英仏の超有力
都市しかない。アテネは発祥の地というこ
リ、ロサンゼルス、ロンドン、アテネの4
それにしても、これまで夏季オリンピッ
クが2回以上が開かれた都市といえば、パ
いったい何が待っているんだろう、7年後。
今、日本人全員に「7年後」という魔
法がかけられたような状態なんだと思う。
んなそうだろう。
おやじながらに心躍る思いだぞ。たぶんみ
分おやじだが、輪をかけておやじだ。でも、
路面に描かれた自転車マークが多いなぁと
を見ていて、ロンドンは自転車が多いなぁ、
たとえば、まだ記憶に新しい、あのマラ
ソン中継である。周回レースのあの街並み
「自転車」もそのひとつだ。
ドン大会、学ぶべきところがたくさんある。
が、じつは前回「エコ五輪」を標榜したロン
だか大時代的な言い方が増えてくるわけだ
というべきか、
老舗の大都市である。なん
3回開かれている都市も1っだけある。
それが前回のロンドン。さすがは大英帝国
ソです。
的な渋滞が悪化するだけだったからだ。
果、 自 転 車 を 選 ん だ。 ク ル マ で は 慢 性
マ を 使 う か 自 転 車 を 使 う か 迫 ら れ、 結
ロンドン市民は誰もが公共交通機関
に 乗 る こ と を 恐 れ る よ う に な り、 ク ル
亡くなった。
で 連 続 し て 爆 弾 が 破 裂 し、 合 計
る 同 時 爆 破 テ ロ で あ る。 バ ス と 地 下 鉄
の 重 大 事 件 が 起 き た。 ア ル カ イ ダ に よ
ロンドン五輪が決定したのが200
5 年、 そ の 年 の ロ ン ド ン に は も う 一 つ
7年間でロンドンは変わった
れは文句なしに楽しく、ワクワクする体験
都市と肩を並べてるということであって、
思われた方も多いのではないか。
9月8日のあの朝、テレビが五輪一色に
染まる中「7年後の自分はどうしているだ
だろう。
なんか誇らしい。ちょっとむふふふふ……
歳、長女が7歳か」と思った。全員が小
一回には間に合わなかった。7年後、私自
64
56
12
てなものだ。ざまみろ中韓。なんてね。ウ
53
人が
実は私にしたって東京五輪は初めてだ。
1966年生まれの 歳だから、 年の第
なんて、国粋主義的な含み笑いも浮かぶっ
そ こ に 五 輪 の 開 催 決 定 で あ る。 じ つ
は ロ ン ド ン 当 局 は、 こ の オ リ ン ピ ッ ク
連載
其の弐〜♪
実はあれこそ、ロンドンにおける7年間
の変化なのだ。
いや、慶賀。 年ぶりのオリンピックが
東京にやってくることが決まった。
56
身は 歳である。おやじだなぁ。今でも十
46
10
18
Green Mobility 2013 vol.26
決 定 の 前 か ら、 都 市 交 通 の 自 転 車 化 を
限 定 路 線 と し て い た と い う。 一 つ に は
エ コ の た め。 も う 一 つ が 市 民 の 健 康 の
勘違いを乗り越えて
当初、ロンドンには様々な勘違いがあっ
た。はなはだしきは、日本と同じように
で の さ ま ざ ま な ベ ネ フ ィ ッ ト( エ コ、
モ デ ル と な っ た の は、 デ ン マ ー ク、
オ ラ ン ダ、 ド イ ツ な ど。 そ う し た 国 々
なかったから。
だ。英国民はもともとあまり自転車に乗ら
街区すらあった。ある意味、仕方がないの
ためである。
健 康 = 医 療 費 削 減、 渋 滞 緩 和、 重 大 交
「自転車は歩道を走るもの」と思っていた
通事故の削減など)が英国の背を大い
自 転 車 は 車 道 を 走 ら な く て は な ら な
い。クルマと順行走行(日本と同じ左側
通行だ)させなければならない。あくま
で車両である。クルマの代替とならねば
ジョンソン市長が強力に(強
ならない。こうしたポリシーをロンドン
市ボリス
引に?)推し進めた。
そうして7年が経った。
ロンドンには、中心街から放射状に12
路線、サイクルスーパーハイウェイが敷か
れた。クルマ一車線分に相当する、自転車
とって「ボリスバイク」と呼ばれている。
リブを参考にしたものだが市長の名前を
さらにシェアバイクも導入された。まず
第一弾として6000台。これはパリのベ
相変わらず、この都市の自転車の多くは、
歩道を左右デタラメに走り、スマホいじり、
翻って、東京はどうか。
わったのである。
世界に恥じないエコシティとして生まれ変
ティ(日本の兜町にあたる)は、自転車だ
無灯火、逆走、おかまいなしである。
かり通っている。
それでも、それでうまくいっているのな
ら、まだいい。現実は逆だ。こういうバカ
バカしいことを放置した結果、この日本は、
先進国中最も自転車死亡事故数が多い、と
いう状態を今も続けているのである。
何とかしなくてはならない。このままで
は東京は恥ずかしい。
以前から、自転車乗りの外国人たちは、
東京の状態をクレイジーだと言っていた。
このユニークすぎる “ システム・デタ
ラメ ” は耐え難いと言っていた。
改革の時はついにきたのである。
1966 年宮崎県生まれ。東京大学文学部卒。TBS
情報制作局のプロデューサーで、自転車に関す
る著述活動で知られる。「自転車ツーキニスト」
を名乗り、自転車で通勤する人を意味するこの
言葉を広めた。都市交通の中で自転車を活用す
ることを説き、本業の傍ら、特定非営利活動法
人自転車活用推進研究会の理事と、学習院生涯
学習センター非常勤講師を務めている。著書に
『自転車の安全鉄則』
『自転車生活の愉しみ』
『も
のぐさ自転車の悦楽』他、多数雑誌、講演会な
ど幅広く活動。
専用のブルーゾーンのことである。
自転車通勤の率が格段に上がった。毎年
%ずつ自転車利用率が上がり、今やシ
らけである。
自転車は歩行者と同じ、ルールなんて
あってないようなもの、そういう意識がま
10
つまり、ロンドンは五輪開催に際して、
Green Mobility 2013 vol.26
19
ひきた さとし
疋田 智
・
ブルーにペイントされたスーパーハイウェイ
すっかり街に溶け込む「ボリスバイク」
ところが、そういう勘違いはすぐに軌道
修正される。
に押した。
ⓒ iwillbehomesoon
淳
『すてきな贈り物』
●那 須 田
第三回
文
●村 上
康成
絵
Green Mobility 2013 vol.26
22
それは数週間まえのことです。
と、庭先で、カイトくんのよぶ声が聞こえました。
「バンドじいさーん」
せながらいいました。
カイトくんはヘルメットをかぶったまま、息をはずま
「さっきタヌキを見たよ。となり町の公園で」
バンドじいさんとまごのカイトくんが、新しくこしら
えた物置き小屋の屋根にペンキを塗っていると、
がさがさ ごそごそ
ゴミ箱のあたりで音がしました。
きょう学校で絵をかきにでかけたのです。
「 あ れ は う ち の 子 ダ ヌ キ だ よ。 あ た ま に 赤 い ペ ン キ が
のぞいてみると、むこうではっとしたように顔をあげ、
大あわてで逃げていったのは……。
ちょっとついてたもの。それにこれをくれたし」
ジャンバーのポケットからだしたのは、どんぐりふた
「なにいまの? イヌの親子?」
「おやおや、ずいぶんめずらしいお客さんだよ。タヌキ
あ た ま の て っ ぺ ん に、 赤 い ペ ン キ が く っ つ い て い ま す。
そばを通った時にさわってしまったのか、子ダヌキの
「これからかい?」
「ねえバンドじいさん、タヌキに会いに行こうよ」
「そうかあ、じゃあきっとエサをあげたお礼だな」
つ。子ダヌキのいたところに落ちていたといいます。
ふたりともすっかりやせて、こころぼそそうに目がしょ
「だって、またどこかへいっちゃったらどうするの?」
の親子さ」
ぼしょぼしていました。
秋 の 夕 暮 れ。 オ レ ン ジ 色 の 夕 焼 け の 下 を、 少 し つ め
「それもそうだな」
キがたくさん住んでいました。でも、家がたくさん立つ
たい風にふかれながら、ふたりは自転車でとなり町まで
もともと、バンドじいさんの家のまわりは昔からタヌ
ようになって、しばらくあらわれなかったのですが、こ
やってきました。
いってみようか」
「おや、どこかの町内でお祭りをやっているようだな、
……とんとんとん、
かわりに聞こえてきたのは、
とよんでみましたが、返事はありません。
「たぬき、たぬき」
す。
でも、タヌキが暮らすにはなかなかわるくなさそうで
「これはみつけるのがたいへんだぞ」
公園で、まわりは雑木林に囲まれています。
子ダヌキを見かけたというのは、はす池もある大きな
のところふたたび見かけるようになったと町のお知らせ
に書いてありました。
きっと山のほうで食べ物がなくなったので、おりてき
たのかもしれません。
かわいそうに……。
バンドじいさんは、その日から、夜のうちに、おかず
の残り物をものおきの前においてやることにしました。
すると朝にはちゃんとなくなっているのです。
「よしよし、きょうも二匹で元気でやれよ」
バンドじいさんはすがたを見なくても、草むらのほう
それが、この数日、せっかくやった食べ物がちっとも
へ声をかけてやりました。
あの親子、どうしたものかなあ……。
のぞいていたカイトくんが顔をあげました。
がったまま、腰をかがめて、公園のベンチの下のほうを
バ ン ド じ い さ ん に い わ れ て、 自 転 車 の サ ド ル に ま た
そんな心配をしていると、
へっていないのです。
チリンチリン
「ほんと? いく、いく」
ふたりは祭りの太鼓の音がするほうへ、いってみました。
と自転車のベルの音が聞こえて、
Green Mobility 2013 vol.26
23
男の子が走ってきて、
「ほい。これあげる」
ところが太鼓の音は近づいたかと思うと、遠くになり、
なかなかお祭り会場にはつくことができません。
と、すすきの穂をさしだしたのです。
どうやらお月見のお祭りのようです。
ました。
みれば、歩いているひとはみなすすきの穂をもってい
「おかしいなあ」
バンドじいさんが、冷たくなった手をこすりあわせな
た。乗っていたのは小太りのおじさんです。
屋台をあっちこっちのぞきながら、お祭りを楽しんで
がらいうと、むこうに自転車の明るいライトが見えまし
「こんにちは、いつもおせわになっています」
くんのおとうさんが立っていました。
戻ってくると、ふみきりのところで、会社帰りのカイト
をしました。
「お祭りすごく楽しかったよ。これも、もらったの」
おじさんは帽子をとって、バンドじいさんにあいさつ
「やあ、どうも」
顔は見覚えがありません。でも、お世話になってますな
みせると、お父さんは首をかしげました。
カイトくんが、背中のリュックに入れたすすきの穂を
んていうからには、知り合いには違いないでしょう。
「お月見のお祭りですか? へんだなあ。そこなら駅か
らの通り道だし、今、通ってきたばかりだけれど、お祭
そうこたえたものの、バンドじいさんにはおじさんの
「すみませんが、お祭りはどこでやっているのですか?」
りなんてやっていませんでしたよ」
のどんぐりは、エサのお礼にくれた、たぬき祭りの招待
「これは、タヌキにばかされたかなあ。もしかして、あ
カイトくんとバンドじいさんは顔を見合わせました。
きいてみると、おじさんは笑顔になりました。
「それならばご案内しましょう」
おじさんは自転車のペダルを踏みながら、ゆっくりと
走りはじめました。
気がつけば空には、まるい月がのぼっていました。
カイトくんも大きくうなずきました。
状だったのかもしれないね」
くと、ふいにあたりが明るくなり、いろとりどりの屋台
そのライトを追いかけ、角をみっつばかりまがってい
が通りをうめ、おおぜいのひとたちがうれしそうに歩い
「また、いつか、たぬきたちに会えるといいなあ」
〒590-8577 大阪府堺市堺区老松町3丁77番地
ているではありませんか。
1955 年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルド
ライフ・アートなどで独自の世界を展開する、自然派
アーティスト。ボローニャ国際児童図書展グラフィッ
ク賞受賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、日本絵
本賞大賞など多数受賞。主な作品に「ピンク、ぺっこ
ん」(徳間書店)、
「石のきもち」(ひさかたチャイルド)、
「さかなつりにいこう!」(理論社)、
「どろんこ!どろ
んこ!」(講談社)など多数ある。
わたあめや焼きそば、たこ焼きのお店もあります。水
村上 康成
ふうせんのヨーヨーつりのまえでは子どもたちがさわい
1959 年、静岡県生まれ。95 年からベルリンに在住。
童話から青春文学まで、主に子どもの本の分野で活躍
する小説家。産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞ほ
か受賞。主な作品に『ペーターという名のオオカミ』( 小
峰書店 )『一億百万光年先に住むウサギ』( 理論社 )、
『願
かけネコの日』( 学研 ) など多数ある。『ちいさなちい
さな王様』(講談社)など翻訳も多い。
でいました。
おじさんはカイトくんに、お店で好きなものと交換し
なさいと「お楽しみ券」を三枚くれました。
バンドじいさんがお礼をいおうと振り返ったとき、も
うおじさんはいませんでした。
「おやおや、せっかちなひとだ」
でも、カイトくんはもう大はしゃぎ。
「なにを食べようかな。あのじゃがいもにバターをのせ
たのもおいしそうだなあ」
と、そのとき、むこうから鬼のおめんをあたまにのせた
那須田 淳
24
Green Mobility 2013 vol.26
するバンコクの自転車カフェ
文・写真:ヨー・ベッケンドルフ
ここ数年、東南アジア諸国では生活レベルの高まりとともにスポーツサイクル
の需要が急速に高まっているが、タイでは空前のカフェブームとともに新たな
かたちの自転車ショップが現れている。
e
ik
B
& Th glor
on
ng
ko
k
Ba
y m p hon
eS
y
最初はコーヒー、そして自転車へ
ア ジ ア・ コ ー ポ レ シ ョ ン( Exstar Asia
た。「 い つ の 日 か 自 分 の カ フ ェ を 持 つ こ と
)の社長だ。しかし、根っ
Corporation Ltd.
タイ主要国道の一つスクムウィット通り
をバンコク方面に走ると、メトロポールの
がずっと夢だった。ここにどんどん日本人
業通りを超えると、お洒落なワッタナー区
うコーヒーを出すカフェを開こうと思った
が住むようになったとき、彼らの好みに合
からのコーヒー好きの彼には別の夢があっ
㎞に及ぶ都市部で最も重要な商
トンローにたどり着く。ここに、日本人が
んだ」と、私達が彼の店でコーヒーを飲ん
中心だ。
経営するカフェ
でいたときに彼が語ってくれた。
プを組み合わせ
た「 カ フ ェ・ シ ン
フォニー&トン
ロ ー バ イ ク( Cafe
多く住むお洒落な
く、 ま た 外 国 人 も
はレストランが多
あ る。 こ の あ た り
)が
Thonglor Bike
る こ と に よ り 救 済 し、 同 時 に 麻 薬 を 撲 滅
ていた農民たちをコーヒー栽培へ転換させ
ケシなどの麻薬栽培をして悲惨な生活をし
培される高品質なコーヒー豆で、それまで
とはチェンライ地区のドイ・トゥン村で栽
コーヒーに出会う。ドイ・トゥンコーヒー
コーヒー愛好家の彼は、自らタイ北部に
行き、そこで栽培されているドイ・トゥン
住宅地だ。アラブ・
す る 目 的 で 1 9 8 8 年 に タ イ 王 室 の メ イ・
Symphony
インド系の移民が
ファー・ルアン財団が始めたものだ。
む の に 対 し、 ソ イ
オーナーの星氏は学生時代にタイに来
て、 そ の ま ま 留 ま っ て し ま っ た。 彼 は 今
のためにフィルターを使ってクラシック
の コ ー ヒ ー を 出 し て 喜 ん で も ら う。 お 客
方 で、 自 分 で 挽 く こ の 豆 で、 日 本 人 好 み
で は 工 業 用 潤 滑 油 を 手 掛 け る エ ク ス タ ー・
「一石 二 鳥 な ん だ よ 」 と 彼 は 言 う。 現 地
で生活する貧しい山岳民族を支援する一
ソイの裏通りに住
&
ドイ・トゥンコーヒーとの出会い
と自転車ショッ
10
には日本人と西洋人が多く住んでいる。
55
26
Green Mobility 2013 vol.26
日本人が経営
コ ー ヒ ー を 淹 れ る 彼 の や り 方 は、 誰 も が
静止してしまう日本伝統茶道の茶道家を
らかというと機械類などの現物寄付をし
必 ず 彼 ら に 必 要 な も の を 持 参 す る。「 ど ち
族 の と こ ろ へ 豆 の 買 い 付 け に 行 く 時 に は、
と が よ く わ か る。 彼 が タ イ 北 部 の 山 岳 民
とって最も大切なのはコーヒーというこ
色 の 好 み も 似 て い る。」 か ら だ そ う だ。 そ
本 人 と タ イ 人 の 体 格 は ほ と ん ど 同 じ だ し、
になった。日本の自転車を輸入したのは「日
はカフェ・シンフォニー&トンローバイク
になった。そこからカフェ・シンフォニー
星氏はまず、日本の輸入業者とコンタク
トを取り、そこのブランドを店に置くよう
初めての自転車は日本から
て い る。 行 く 前 に 電 話 を し て、 今 何 が 一
の後、台湾の自転車メーカーの販売も始め
思 い 起 こ さ せ る。 そ れ を 見 た だ け で 彼 に
番必要か聞くんだ。」
た。今では星氏は台湾側にとって初のタイ
代理店だ。彼が店に置くこのブランドの価
こ れ で 何 か し た い と 考 え て い た。 そ れ で、
マのおかげで増々注目されている。いつか
いらずで、しかも環境汚染、健康などのテー
産業と多く取引がある。自転車はモーター
しかし、どうして彼は自転車に行きつい
たのか?「僕の会社は自動車とオートバイ
人の間にサイクリングを広めていきたい。」
すすめている。スターライトを使ってタイ
ンドを購入できる資金を持たないタイ人に
る自転車に興味はあるけれども、高級ブラ
ト〟を中国で作り始めた。僕のカフェにあ
カフェから自転車の魅力を発信
自分のカフェで直接、自転車とサイクリン
最初の頃、彼のところで自転車を購入して
いたのはほとんどが外国人だったが、現在で
格帯は中~高で、低価格なものはない。そ
グを広めたら良いのではというアイディア
はタイ人の数が増えている。
「大量に売るこ
のため、自社ブランドである〝スターライ
に行きついたんだ。」
か ら 日 本 で は い つ も 自 転 車 に 乗 っ て い た。
また自転車に乗るようになった。
「子供の頃
言う。彼自身、自転車に興味を持っていて、
「 都 市 の ジ ャ ン グ ル に 住 ん で い て も、 い
つもどこかでサイクリングできる」と彼は
ください。このままで良いはずがない。私た
は気分が良い。外を行き来する交通量を見て
て、サイクリングの促進にも貢献できること
ショップになっている。趣味のカフェに続い
かった。今では2階の工場の横が全て自転車
とができないから、拡大する必要がある。最
今では毎晩、近くの公園でサイクリングし
ちは皆考え方を変える必要があるんだ。」
初の頃は、1階に3〜4台しか置いていな
ている。体の調子もずっと良くなった!」
Green Mobility 2013 vol.26
27
fe
Ca
YouBike で遊ぶオールド台北
text : Maranda Hsu photot : Jerry Cheng
ジェリー・チェン 人気旅行作家、旅行ブロガー、ツアーコンダクター、写真撮影講師、傑利馬文創事業社代表。
『京都岔路(京都の分かれ道)』、『慢漫京都(のんびり京都)』を共同出版した。
ジャーナリスト、ライター。台湾と中国本土にて旅行書
マランダ・スー
ブログ・Jerry の旅ノート http://www.wretch.cc/blog/jerrynote
Facebook・Jerry の海外旅行ガイド https://www.facebook.com/jerryworldtour
28
Green Mobility 2013 vol.26
大稲埕(ダーダォチェン)
白いガラス壺から立ち昇る香りから感じた生
き返るような思い。本物の凍頂烏龍茶を初めて
知ったかのような喜び。古民家に差し込む午後の
陽光が長い歴史に溶け込み、意識がぼんやりしか
けたとき、悠々と頭上に響き渡るクラシックの音
色が囁いた。──のんびりいこう、人生を楽しも
う、時間はたっぷりあるのだから…。
レンタサイクルサービス・ YouBike
がなかった
ら、おそらく大稲埕は、行ってみたいが行かなかっ
た場所に終わっていただろう。
実際、台北市西部に位置する大稲埕へのアク
セスは、さほど悪くない。春節ともなれば、人々
でごった返す迪化街が、決まってニュース番組に
登場する。だが、よく考えてみると、そこに住む
親戚を何度か訪ねたことはあっても、じっくりと
大稲埕を見て回ったことは一度もなかった。
「海
外旅行はするものの、近い場所ほど行く間がない」
とは、うまいことを言ったものだ。
そんな中途半端なロケーションのせいだろう
か。MRTの駅から親戚の家に向かうたび、つい
でに観光しようかと思ってはみるものの、大稲埕
行きバスの停留所に並ぶ気分にはなれずにいた。
少々悩んではみるものの、
「残念だけどまた今度」
と背を向けていた。だが、ときたま見かける「大
稲埕」の文字や写真はとても魅力的で、やまびこ
のように私を誘っていた。
を利用して、初めて分かったことがあ
YouBike
る。それは、MRTの雙連(スァンレン)駅から
大稲埕一の繁華街・迪化街までの所要時間がたっ
た 分だったこと。これぞアーバンバイクならで
日のように乗り込むMRT、ありふれた日常を、
はの小旅行と言えよう。勝手知ったる台北市、連
10
が一変させてくれたのだ。
YouBike
バロック式建築の数々からは、かつて栄えた名
台北市を代表する旧市街・大稲埕に、新たな
民楽旗魚米粉(ミンラーチ・ミフン)と永樂米
ちらも早朝からひいきの客で大にぎわい。台南
ムーブメントが芽生えている。住む人を失った
家の往時を存分にしのぶことができるはずだ。
迪化街(ディーホァジェ)へ向かう。ひと漕ぎ
の旧市街と同じく、人気の小吃店は早朝に営業
数々の古民家が、慎重に施されたリフォームに
苔目(イォンラー・ミタイム)が目に入る。ど
ごとに時をさかのぼるかのように、オールドス
を開始し、早々と店を閉めてしまうからだ。
に 乗 っ て M R T の 雙 連 駅 を 出 発 し、
YouBike
タイルの建物が徐々に目立ってくる。
や カ フ ェ、 茶 館 に 生 ま れ 変 わ っ た 古 民 家 で は、
よって、新たな命を吹き込まれたのだ。雑貨屋
ながらの食料品マーケットだが、隠れた名老舗
内部の様子が見学できるようになった。細心の
階は、果物、肉、魚などを扱う昔
つつ、大通りの向こうで繰り広げられる人々の
も 存 在 す る。 台 湾 一 の 富 豪・ 郭 台 銘( テ リ ー・
注意を払って修復された邸宅は、可能な限り本
永楽市場
暮らしを鑑賞するとしよう。多少遠回りにはな
ゴウ)が台湾グルメに認定したことで一躍話題
来の姿を留めつつ、台湾アートとの見事なコラ
人影やバイクもまばらな裏路地を選んで走り
るが、探検のわくわく感がふくらむ。庭先から
となった「林合發油飯」
(リンホーファ・ユーファ
ボレーションを実現している。1913年に建
てられたこの古い邸宅は、今年でちょうど築1
階入り口の部屋は個性的な商品がな
物屋が軒を連ねていたという。生地選びから始
は雰囲気のある茶館・南街得意である。
らぶショップ・民藝埕(ミンイーチェン)
、 階
00年。
まるオーダーメイド服は、とうにすたれてしまっ
稲埕が最も栄えた時代、この辺りには大きな反
階は台北市最大の生地布マーケットだ。大
ン)は、昼ごろには売り切れとなる。
1
は必要だ。余った端切れのセール品もある。お
ている。じっくり見て回りたいなら、まる一日
たが、ここには今も数限りない布生地が集まっ
近感を覚える。居心地のいいコーナーソファに
いう台湾南部の伝統的インテリアだ。一挙に親
空間に魅了された。
「部屋の中に部屋を作る」と
階段を上って部屋に入ると、吹き抜けのある
値段は一山わずか
餅を売る屋台が出る。ひとつひとつ丁寧に麦芽
永楽市場前広場の木陰には、昔ながらの麦芽
香りをひとつひとつかぎながら、ゲーム感覚で、
ん、西洋のお茶もある。ガラス壺の中の茶葉の
種類近くの香りをあれこれと比較するうち、
る も よ し。 人 情 味 あ ふ れ る 台 北 の 旧 市 街 で は、
それぞれの茶葉が持つ個性に、今さらながら驚
ある。際立ってかぐわしい凍頂烏龍
(ドンディン・
漂う花の香りを感じ、曲がり角の先にたたずむ
迪化街がよく知られているのは、ぷんぷんと
ウーロン)は、まさに掃き溜めに鶴という感じ。
かされた。東方美人にはエレガントな優しさが
匂いを漂わせる漢方薬や茶葉を売る店々のにぎ
これまで数えきれないほど飲んできたはずなの
れしい気分になってしまう。一人旅ならではの
ち ょ っ と し た 出 会 い は、 ま る で 新 大 陸 の 発 見。
わいゆえだろう。ここには、台湾全土から集まっ
それに
に、初めて本物の凍頂烏龍に触れた思いがした。
ところがある。幼いころ住んでいた南部の家も、
古民家には、台湾の一般的な古い家々と似た
たさまざまな漢方薬、乾物や茶葉を取り揃えた
てもへっちゃらだ。
大稲埕の裏路地では、左右を見上げながら走っ
大稲埕のランドマーク・永楽市場(イォンラー・
シーチャン)をぐるりと一周すれば、市場をは
ちょうど同じような細長い構造の建物で、第
3
問屋がびっしりと軒を連ねている。
さえあれば、いくら寄り道をし
YouBike
人々の足取りも昔のままにゆっくりだ。
20
可愛らしいショップを見つけると、なんだかう
おしゃべりするもよし、店主との世間話に興じ
お気に入りの一品を見つけるとしよう。
べられた茶葉のサンプル。東洋のお茶はもちろ
腰を下ろすと、まず運ばれて来るのは木箱に並
ドルか100ドル。パッチ
2
をはさんだビスケットをかじりながら、木陰で
味わえるだろう。
ワーク好きなら、トレジャーハンターの気分を
50
て み よ う。 一 族 の 紋 様 が 刻 ま れ た レ リ ー フ や、
Green Mobility 2013 vol.26
29
1
2
さんで向かい合う 大小吃店(シァオチーデン)
・
2
YouBike で遊ぶオールド台北
があった。夏の昼下がりともなれば、植物の緑
棟に通じる第2棟の中央には採光のための中庭
車を降りての散策に都合がいい。
ここには
さ を 保 つ、 台 北 で も お 気 に 入 り の 寺 院 で あ る。
だ。お茶をすすりながら味わった大稲埕の名菓・
う 意 味 を 持 っ て い る。「 同 安 県 の 人 々」 と は、
保 安 宮 の 名 は、「 同 安 県 の 人 々 を 守 る 」 と い
のステーションもあり、自転
YouBike
あふれる中庭にもぐりこんで涼を取ったもの
緑豆冰糕(ルィドォ・ビンガオ)(緑豆アイス)、
最初に大稲埕の開発に着手した一族のことだ。
財がとぼしかったためだ。しかし大稲埕が繁盛
建築に過ぎなかった。当時は住民も少なく、資
1755年の創建当初、保安宮は小さな木造
ゆっくりと流れる時間。この「豪邸」のかつて
の住人たちも、こんな心地よさを楽しんでいた
のだろうか。
大稲埕の最西端まで自転車
ここではおびただしい自転
バスが停泊するのみである。
だろう。観光客を乗せた水上
はホッと肩の荷を下ろしたの
いたであろうこの埠頭も、今
極め、多くの船が出入りして
ある。かつては商業で隆盛を
ワーを感じ取ることができる。線香を手に参拝
容に包み込む表現からは、今もなお穏やかなパ
純粋な面白さ、高官貴族から一般庶民までを寛
つ大衆的な素朴さである。細部に見受けられる
だ が、 最 も 印 象 的 な の は、 保 安 宮 が 併 せ 持
た文化と品格に通ずるものだと言われている。
往年の富豪たちの豊かな暮らしによって培われ
保 安 宮 の 壮 大 さ と 対 比 さ れ る 繊 細 な 彫 刻 は、
するにつれ、寺院も立派になったという。
車とショップに出会える。こ
しない人にも、保安宮は、心の安ぎを与えてい
を走らせれば、そこは埠頭で
こを起点として淡水河沿いに
るのだ。
保安宮の向かいにある愛らしい庭園には、豊
淡水へと向かうサイクリング
コースが人気を集めているか
か な 木 々 が つ く る 木 陰 や 東 屋 が あ り、 ま た 保
安 宮 の 主神・ 保 生 大 帝の 彫 像 が 祭ら れ て い る。
らだ。
夕闇がせまるころ、続々と
生大帝が虎ののどに刺さった骨を取ってあげ
登録する。
料金は30分単位で10
NT$
(台
数 か 所 あ る 保 生 大 帝 の 解 説 コ ー ナ ー で は、 保
つけるかのように最前列に陣
た 話、 龍 の 眼 病 を 治 し て あ げ た 話 な ど を 紹 介
ングル・レンタル・ユーザー〟として
河辺に集う観光客たち、見せ
取った長回しのレンズが、夕陽が織りなす壮大
している。
れが台湾人の暮らしなのだから。
るのがふさわしいのかもしれない。つまり、こ
るよりも、むしろ人々の生活センターと表現す
この台湾人の寺院は、その荘厳さについて語
人すら見受けられる。
お隣りの孔子廟では、地面に座って写生をする
近 所 の 人 々 は 自 由 に 寺 院 内 を 通 行 し て お り、
なスケールの無声ドラマを鑑賞する。しだいに
辺りを闇が包んだが、働き者のショップの灯り
は、まだ明るく輝いていた。
保安宮
大稲埕の北に位置する保安宮に、ショッピン
グエリアのにぎわいはない。そこは独特の静け
のクレジットカードで借りられる〝シ
YouBike オフィシャルサイト(中国語と英語のみ)http://www.youbike.com.tw/
湾ドル約 33 円)
。
返すときは目的地近くのステーションに行き、空いて
いるダックにはめ込むだけ。余計な課金をされないよ
うにしっかりロックされたことを確認しよう。
Kiosk の液晶画面の案内(中国語と英語のみ)に従って
登録する。
登録が終わったら自転車を選び、90 秒以内に自分が選
んだ番号のダック (Duck) と呼ばれる自転車が止めてあ
るところに行って自転車をダックから外す。
後はサドルを調整してハッピーライド!
必要になるので旅行者は IC チップ付き
Maranda Hsu on YouBike
YouBike 利用方法
You Bike を 利 用 す る
〝シングル・レンタル・
ためには会員になるのと
ユーザー〟” として借り
る方法がある。会員にな
るには現地の携帯電話が
30
Green Mobility 2013 vol.26
晴れ、
伸 び 縮 み す る 湖
ときどき旅
文/写真 青木 康洋
カンボジア トンレサップ湖
青木康洋の 晴れ、ときどき旅 第 18 回
トンレサップ湖
プノンペン
こんなクイズをひとつ。
スタンドや教会や寺院、バスケットボールの
要するにここは水浸しの巨大な大地なの
カンボジアのシェムリアップからバタンボ
コートを備えた学校もあれば豚小屋や鶏小屋
だ。水が引けば土地になり、水がくれば魚
ンまでボートで旅をする際にかかる時間は?
まで湖上に浮いている。各家庭には発電機が
たちの住処となる、毎年そんなことが繰り
正解は 2 時間から 6 時間。
備えられていて、子どもたちがテレビのサッ
返される場所なのである。
僕はこのルートを 2 度ボートで移動したこ
カー中継に嬌声をあげている。
さて、冒頭のクイズにきちんとお答えし
とがある。が、一度は 2 時間で着いたのにも
もちろん岸辺にも村はある。でも岸に住
なければならない。僕がシェムリアップか
う一度のときは 6 時間もかかってしまった。
むより楽なんだと住民たちは口を揃える。
らバタンボンまで行ったのは一度は乾期、
トンレサップ湖はカンボジアのほぼど真ん
理由はトンレサップ湖が膨らんだり縮んだ
もう一度は雨期だった。時間がかかったの
中にある巨大な湖だ。
「トンレ」とはクメー
りするからだ。
は乾期の方で、船底が湖底にひっかかるか
ル語で川のことで、
「サップ」は巨大な淡水
乾期のトンレサップ湖は琵琶湖の 4 倍ほ
らである。僕をふくめた乗客全員が強制的
湖という意味である。つまりこのふたつの合
どの面積に過ぎない。水深は数 10 センチか
に船から降ろされて船長の号令一下、船を
成語が「トンレサップ」なのだが、カンボジ
ら 1 メートルほど。しかし雨期に入ると様
エッサエッサと押させられたものだった。
アの人たちに
相がガラリと変わる。モンスーンで水量が
「ここは湖か?」
増したメコン川からの水が逆流し、みるみ
尋ねるとみんな微妙に首をひねる。いや、
る膨張する。そしてあっという間に関東一
湖は湖なんだがちょっと違うかなあ、という
円がすっぽり入るほどにまでふくらむのだ。
顔をする。どうやら僕らが考える「湖」の概
水深も 10 メートル近くに達する。
念とはいささか異なっているようだった。
「だから岸には住みにくいんだ」
トンレサップには世界最大の水上集落があ
そう言われて、彼らが一見不便に見える
る。村自体が湖の上にプカプカ浮いているの
水上生活を楽だと言ったのに合点がいった。
だ。水上で常時生活する人の数は 100 万人
同時にトンレサップを湖という言うことに
を超えるという。だが彼らが生活に事欠くこ
怪訝な顔をしていたわけも分かったような
とはない。湖上にはなんでもある。ガソリン
気がした。
青木 康洋
Yasuhiro Aoki
1968 年埼玉県生まれ。著述業・歴史研究家。歴史モノ書籍の執筆が多い。著書に『イラスト図解日本史』
(日東書院)や『戦国武将ビジュアルプロフィール 200 完全保存版』
(MdN コーポレー
ション)がある。趣味はアウトドア料理、雪中キャンプ、リバーカヤック、自転車など。年 1 度のペースで 1 カ月程度の海外一人旅をしている。メールアドレス:[email protected]
Green Mobility 2013 vol.26
32
読
者
STRIDA
GS ジャパン株式会社
www.gsglobal.co.jp
プ
レ
1 名様
プレゼント
ゼ
ン
ト
1987 年にイギリス人、マークサンダースによって考案されたトライアングルフレー
ムが特徴の折りたたみ自転車で、その機能、耐久性、デザイン性が世界で高い評価
を受けている。日本でもマニアックな人気を誇る。
今回はキャストホイール使用のベーシックモデルを 1 名にプレゼント。
トライアングルフレームが特長の
折畳み自転車
カラー:BLACK
サイズ:折畳みサイズ ( 高さ×幅×奥行 ) 約 720 mm x 1130 mm x 360 mm
重量:約 10.2 kg
alohaloco KAILUA
alohaloco
alohaloco.com/category/products/alohaloco-products
1 名様
街乗り仕様のハワイアンカジュアルバイク
プレゼント
KAILUA(カイルア)は、ハワイ・オアフ島東
海岸にある街。美しいビーチが広がり、素敵
なショップが点在するエリアです。ゆっくり
とした時間が流れるこの街を、自由気ままに
散 策 す る イ メ ー ジ か ら「alohaloco KAILUA」
は誕生しました。KAILUA(カイルア)は8段
変速搭載で、ベル、スタンド、フェンダー(泥
よけ)などを標準装備した街乗り仕様のハワ
イアンカジュアルバイクです。
カラー:ホワイト
サイズ:S サイズ(適用身長 150 〜 165cm)
重量:11kg
応募はハガキかホームページから
下記アドレスのプレゼント応募サイトへアクセス、指示に従って応募し
ご希望のプレゼント名 1 点・住所・氏名・年齢・電話番号・
ハガキの
場合
職業・本誌を入手した場所・興味のあった記事・ご感想をご
記入の上、下記住所までお送りください。
〈宛 先〉
ホームページ
から
てください。
〈アドレス〉
http://www.green-mobility.jp/
〒 113-0033
東京都文京区本郷 3-14-15 美工本郷第 2 ビル 6F
株式会社インタープレス
グリーン・モビリティ「プレゼント 26」係
応募締め切り
ハガキ・ホームページとも 2013 年 11 月 15 日 ( 金)
(ハガキは当日消印有効)
※当選発表は、当選者に直接お電話いたします。※カラーは選べません。
※防犯登録はご当選者自身が最寄りの自転車取扱店で申請・登録(¥500)
をお願い致します。
Green Mobility 2013 vol.26
34
Fly UP