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月経周期が暑熱環境下長時間運動中の生理的応答に及ぼす影響 The

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月経周期が暑熱環境下長時間運動中の生理的応答に及ぼす影響 The
月経周期が暑熱環境下長時間運動中の生理的応答に及ぼす影響
The effect of menstrual cycle on physiological responses
during prolonged exercise in heat
1K05A004
指導教員
主査 樋口満先生
【緒言】
長 時 間 運 動 中 、特 に暑 熱 環 境 下 においては、
秋和 かおり
副査 村岡功先生
は水 のみを摂 取 可 能 とし、両 試 行 共 、運 動 前 に
0.3Lの低浸透圧飲料を摂取するものとした。
過高熱や脱水を防ぐために水分摂取は非常に重
運 動 は、自 転 車 エルゴメーターにより0Wの負
要 である。これまで暑 熱 環 境 下 での長 時 間 運 動
荷 で4分 間 のウォーミングアップの後 50%VO2max
中 の生 理 学 応 答 に関 して多 くの研 究 が為 されて
相 当 の負 荷 で回 転 数 は70rpmとし、90分 間 の運
きた。
動を行った。実験 中は呼気ガス、酸素 摂 取 量
女性の生体には周期的に出血する生理現象、
(VO2)、換 気 量(VE)、呼 吸 商(R)、呼 吸 数(RR)、
「月 経 」があり、月 経 周 期 の前 半 は卵 胞 期 、後 半
直 腸 温 (RT)、心 拍 数 (HR)を15分 おきに測 定 し
は黄 体 期 という。この両 期 には体 温 変 動 や体 水
た。
分 量 の変 動 があり、このような変 動 が諸 熱 環 境 下
での 長 時 間 運 動 に 及 ぶ 場 合 には、 体 温 調 節 機
【結果】
能がパフォーマンスに大きく影響 すると考える。今
被験者の体重は卵胞期には運動前は53.3kg、
まで、低 強 度や短 時 間 での研 究は多くされてきて
黄 体 期 には53.7kgだったのが運 動 後 にそれぞれ
いるが、結果ははっきりとしていない。暑熱環境下
52.2kg 、 52.3kg と な り 卵 胞 期 に 1.1kg と 黄 体 期 に
での運 動 能 力 に月 経 周 期 が影 響 するかどうか明
1.4kg 減 少 し た 。 各 試 行 間 に お い て 、 酸 素 摂 取
らかにするため、より長 い時 間 での調 査 が必 要 と
量 、換 気 量 、心 拍 数 、は有 意 な差 はみられなか
考えられる。そこで本研究では月経周期の正常な
った。また、呼 吸 商 と呼 吸 数 は差 がみられる傾 向
若 年 女 性 を被 験 者 とし、月 経 周 期 が長 時 間 運 動
があった。さらに、直腸温に差はみられなかった。
中 の生 理 的 応 答 に及 ぼす影 響 を調 査 することを
目的とした。
【考察】
本 研 究 においては、多 くの先 行 研 究 で観 察 さ
【方法】
れているように、女 性 の月 経 周 期 によって呼 吸 循
月 経 周 期 の 正 常 な 若 年 女 性 4 名 ( 21.5 ± 0.5
環 器 系 パラメータに有 意 な差 はみられなかった。
歳 )が実 験 に参 加 した。また、本 実 験 に先 立 ち、
これらの結 果 は、月 経 周 期 が暑 熱 環 境 下 での長
最大酸素摂取量測定を行った。
時 間 運 動 中 の生 理 学 的 応 答 に影 響 しないという
本 実 験 では、卵 胞 期 と黄 体 期 の2回 測 定 した。
人によって個人差があるため、基礎体温と血液検
多くの先行研究と一致した。
様々な暑 熱 環 境 下での研 究が行われているが、
査 により、ホルモンの数 値 を検 査 し、エストラジオ
いずれも月 経 周 期 の影 響 は見 られなかったと報
ールとプロゲステロンから卵 胞 期 および、黄 体 期
告 されている。しかし、強 度 が低 かったり、運 動 時
を確認し、実験日を決定した。また、当日は、被験
間 が短 かったりするために、有 意 な差 がでなかっ
者 にAM6:00~7:00に規 定 食 を摂 取 させ摂 取 後
たと仮 説 し、 本 研 究 では90 分 の長 時 間 にわたる
運 動 プロトコルを適 用 したが、これらと類 似 した結
± 5.0ml/kg/min で あ っ た 。 被 験 者 間 の VO2max
果 となった。しかしJanse de Jongeの長 時 間 運 動
強 度 のばらつきが大 きく、影 響 の強 くでた被 験 者
での他 の先 行 研 究 では、直 腸 温 や、心 拍 数 に差
もいれば、影 響 があまり出 なかった被 験 者もおり、
がみられ、月 経 周 期 が呼 吸 循 環 器 系 に影 響 する
それにより結 果 が相 殺 されてしまった可 能 性 があ
という報 告 もある。本 研 究 で、長 時 間 運 動 中 の生
るかもしれない。また、本 研 究 に参 加 した被 験 者
理学的応答において月経周期の影響がみられな
は4人と少なかったため、より被験 者 数を増やして
かった要 因 として、まず、被 験 者 の運 動 強 度 に問
さらなる研究を進める必要があると考えられる。
題 があったと考 えられる。被 験 者 の基 準 値 は34.3
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