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シンガポール日本人学校クレメンティ校 - 全国海外子女教育・国際理解

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シンガポール日本人学校クレメンティ校 - 全国海外子女教育・国際理解
留 萌市 立 東光 小学 校
教諭
後 藤
仁 弘
( H21~ H23年 度派 遣 )
1 . シン ガポ ー ルに つい て
(1)シン ガポ ー ルの 概要
シンガポールは東南アジアのほぼ中心、赤道直下の
北 緯 1度 17分 、 東 経 103度 51分 に 位 置 す る 都 市 国 家 で あ
る。北のマレー半島(マレーシア)とはジョホール海
峡で隔てられているが、コーズウェイと呼ばれる連絡
橋 で 結 ば れ て い る 。 シ ン ガ ポ ー ル は 63の 島 か ら な り 、
最 も 大 き な島 は 東 西 42km・ 南 北 23kmの
シン ガ ポ ー ル 島 であ る 。 全 般に 平 坦な 地形 で 、最 高 地
点はシンガポール島中央部にあるブキ
・ テ ィ マ 山 (163m)で あ る 。 狭 い 国 土 に 500万 人 以 上 も
の 人 々 が 生活 し て い る た め に宅 地 開 発
が進 み 、 熱 帯 雨 林の 原 生 林 も ブ キ・ テ ィマ 山 周辺 に 僅
か に 残る のみ で ある 。年 間 を通 し て高
温 多 湿で ある 。
シ ン ガ ポ ー ル に は 中 華 系 70% 、 マ レ ー 系 15% 、 イ ン ド 系 10% 、 そ の 他 5% の 人 々 が 住 む 多
民 族 国 家で あ る 。 国 語 は マレ ー 語 で あ るが 、 公 用 語 と して は 英 語 ・ 中 国語 ・ マレ ー 語・ タ ミ
ー ル 語 が使 わ れ て い る 。 中華 系 の 人 々 が多 い た め 中 国 語が 広 く 使 わ れ ては い るが 、 共通 ・ 公
式 言 語 と し て は 英 語 が 用 い ら れ 、 学 校 教 育 も 英 語 で 行 わ れ て い る 。( 英 語 と 民 族 的 母 語 の 2
言 語教 育政 策 を実 施)
シ ン ガポ ー ル は 以 前 は マレ ー シ ア 連 邦に 帰 属 し て い た歴 史 も あ り 、 地理 的 ・文 化 的に は マ
レーシアの影響を強く残している。人口構成に応じるように中国・マレーシア・インドの3
つ の 文 化が 共 存 し 、 互 い の伝 統 や 宗 教 (仏 教 ・ イ ス ラ ム教 ・ ヒ ン ド ゥ ー教 ) を尊 重 しつ つ 、
繁 栄の 道を 歩 む多 民族 国 家で あ る。
都市 国 家 で あ るた め 資 源 に 乏 し く、 金 融 ・ 観光 が 経 済 の 中 心 であ る 。 東 南 アジ ア の経 済 の
拠 点と して 多 くの 外国 人 が住 み 、日 本人 も 約3万 人が 在住 し てい る 。
シ ン ガポ ー ル は 東 南 ア ジア の 中 心 に 位置 す る た め 、 他国 へ の ゲ ー ト ウェ イ 的な 役 割も 担 っ
て い る 。チ ャ ン ギ 空 港 は 東南 ア ジ ア の ハブ 空 港 と し て 高い 評 価 を 得 て いる 。 また 、 船舶 の 往
来 も非 常に 盛 んで ある 。
(2)シン ガポ ー ルの 教育 制 度
シ ン ガポ ー ル は 教 育 熱 心な 国 と し て 知ら れ 、 高 学 歴 社会 に な っ て い る。 英 語を 公 用語 と し
て い る ため 、 第 一 言 語 は 英語 で あ る が 、多 民 族 国 家 と して 各 民 族 の 母 国語 を 受け 継 ぐた め に
マ レ ー 語、 中 国 語 、 タ ミ ール 語 な ど の 言語 も 第 二 言 語 とし て 教 え て い る。 算 数・ 理 科・ 社 会
等 は 英 語で 学 習 し 、 第 二 言語 は 選 択 し て学 習 し て い る 。小 学 校 段 階 で は母 国 語教 育 はか な り
時 間数 があ り 、卒 業試 験 では 英 語・ 算数 ・ 理科 に加 え て母 国 語が 必須 に なっ てい る 。
児童 生徒 数 の増 加に 伴 い 、多 く のロ ーカ ル の小 学校 は午 前 と午 後 の二 部制 を 採用 して い る 。
( セ カ ンダ リ ー ス ク ー ル はほ ぼ 全 日 制 )二 部 制 の 学 校 では 、 午 前 の 授 業は 朝 7時 頃 から 始 ま
り 、 午 後1 時 頃 に 終 了 す る。 午 後 の 部 は、 午 後 1 時 頃 から 始 ま っ て 、 夕方 6 時半 か 7時 頃 に
終 了 す る 。( 1校 時 = 30分 の 9時 間 授 業 ) 午 前 ・ 午 後 の 学 年 の 振 り 分 け は 各 学 校 に よ っ て 異 な
り 、 例 えば 、 1・3・5年が 午 前 な ら ば、 2・4・6年が 午 後 と い う具 合 で ある 。 ロー カル の 小学 校 に
は キ ャ ンテ ィ ー ン ( 学 食 )が あ り 、 子 ども は 好 き な 時 間に 食 事 を す る こと が でき る 。お 菓 子
を 持 参 する 子 が 多 く 、 自 由に 食 べ て い る光 景 を よ く 見 る。 休 憩 時 間 に お菓 子 を食 べ る子 も 多
く 、 日 本人 学 校 と の 交 流 では 、 日 本 人 学校 の 子 ど も が 驚く こ と の 一 つ にな っ てい る 。日 本 の
公 立 小 学校 と の 大 き な 違 いは 、 校 区 が ない 学 校 が 多 い とい う こ と で あ る。 小 学校 に もラ ン ク
が あ り 、優 秀 な 子 ど も が 集ま る 小 学 校 に入 る こ と は 大 変難 し い 。 尚 、 小・ 中 学校 に は制 服 が
あ る。
シ ン ガ ポ ー ル の 小 学 校 ( プ ラ イ マ リ ー ス ク ー ル ) は 6年 あ り 、 そ の 後 セ カ ン ダ リ ー ス ク ー
ル に 4年 ( 一 部 で 5年 )、 そ し て ジ ュ ニ ア カ レ ッ ジ に 2年 又 は プ レ ユ ニ バ ー シ テ ィ か ポ リ テ ク
ニ ッ ク に 3年 と 進 む 。 主 に 、 ジ ュ ニ ア カ レ ッ ジ か ら 大 学 へ と 進 学 す る こ と に な る 。 小 学 校 卒
業 試 験 (PSLE) の結 果 に よ っ て セカ ン ダ リ ー スク ー ル で の コ ー ス分 け が 決ま って し まう 。 ス
ペ シ ャ ルコ ー ス 又 は エ ク スプ レ ス コ ー スな ら 4 年 間 、 ノー マ ル ア カ デ ミッ ク コー ス 又は ノ ー
マ ル テ クニ カ ル コ ー ス な ら5 年 か け て セカ ン ダ リ ー を 修了 す る 。 大 学 は、 国 立の 総 合大 学 で
あ る シ ンガ ポ ー ル 大 学 ( NUS) のほ か 、 南 洋 工科 大 学 ( NTU) な どの 4 校 しか ない 。 大学 進 学
率 は10~15% の狭 き門 で ある 。
2 . シン ガポ ー ル日 本人 学 校に つ いて
(1)シン ガポ ー ル日 本人 学 校の 概 要
シ ン ガポ ー ル 日 本 人 学 校は 、 シ ン ガ ポー ル 日 本 人 会 の学 校 運 営 理 事 会が 運 営し て いる 私 立
学校である。小学部(クレメンティ校、チャンギ校)と中学部(ウェストコースト校)の3
キ ャ ン パス が あ り 、 そ れ ぞれ に 校 長 ・ 教頭 を 配 し て い る。 本 部 で あ る 事務 局 はク レ メン テ ィ
校 に 置 かれ て い る 。 ク レ メン テ ィ 校 ・ チャ ン ギ 校 と も 約650名 、 中 学 部 450名 の児 童 生徒 が 在
籍 する 規模 の 大き な在 外 教育 施 設で ある 。
小 学 部に は 学 区 が あ り 、居 住 地 区 に よっ て ク レ メ ン ティ 校 か チ ャ ン ギ校 か が決 め られ て い
る 。( チ ャ ン ギ 校 に は 特 別 支 援 学 級 が 設 置 さ れ て い る ) 各 校 と も 、 ス ク ー ル バ ス で 通 学 し て
い る 児 童生 徒 が 多 い 。 小 学部 ・ 中 学 部 とも に 給 食 は な く、 弁 当 と 水 筒 を毎 日 持参 し てい る 。
家 庭 で 弁当 が 用 意 で き な い場 合 に は 、 指定 業 者 が 販 売 して い る 弁 当 を 購入 す るこ と にな る 。
ク リ ー ナ ー が 常 時 清 掃 し て い る た め 「 掃 除 時 間 」 の 設 定 が な い 。( 但 し 、 日 本 に 帰 国 し て も
対 応で きる よ うに 、週 1回10分 程度 の 清掃 時間 を 設け てい る )
教 員 は、 文 部 科 学 省 派 遣教 員 、 専 任 教員 ( 財 団 及 び 現地 採 用 教 員 ) の日 本 人教 員 だけ で は
な く 、現地 採用 の英 語 教員 が 多数 在籍 し てい る 。また 、オ フ ィス( 事 務局 )、メ ンテ ナ ンス 、
ガ ーデ ナー 、 クリ ーナ ー 、セ キ ュリ ティ の スタ ッフ が 数多 く 勤務 して い る。
(2)シン ガポ ー ル日 本人 学 校の 特 色あ る教 育
文 部 科学 省 が 認 定 し た 在外 教 育 施 設 であ る た め 、 学 習指 導 要 領 に 準 拠し た 教育 活 動が 行 わ
れ て い る。 ま た 、 シ ン ガ ポー ル に あ る ため 全 学 年 で 週 3~ 4時 間 程 度 英 会 話教 育が 実 施さ れ て
い る 。 さら に 、 小 学 部 で は音 楽 と 水 泳 学習 、 中 学 部 で は体 育 と 技 術 家 庭に お いて イ マー ジ ョ
ン 教育 が取 り 入れ られ て いる 。
ひた
イ マ ー ジ ョ ン ( Immersion) に は 「 浸 す 」 と い う 意 味 が あ る 。 イ マ ー ジ ョ ン 教 育 と は 、 子
ど も た ちを 英 語 に 浸 し 、 英語 運 用 能 力 の向 上 を 測 ろ う とい う 願 い が 込 めら れ てい る 。イ マ ー
ジ ョ ン 教育 の 重 要 な 目 的 は、 母 語 の 能 力や 教 科 学 習 と 両立 し て 英 語 の 力を 身 に付 け るこ と に
あ る 。 イマ ー ジ ョ ン の 授 業は 学 級 担 任 が行 う の で は な く、 専 門 知 識 を 持っ た 英会 話 教員 が 英
語 で指 導し て いる 。
水 泳 学習 は 年 間 を 通 し て各 学 年 30時 間 程 度 実施 し て い る。 小 学 部 に お ける 音楽 の イマ ー ジ
ョ ン 教 育は 、 日 本 の 伝 統 音楽 や 日 本 の 歌を 指 導 す る 必 要か ら 、 す べ て の授 業 時数 を イマ ー ジ
ョ ンで 行う の では なく 、 日本 人 教員 によ る 授業 と時 数 を分 け 合い なが ら 実施 して い る。
3 . シン ガポ ー ル日 本人 学 校小 学 部ク レメ ン ティ 校に つ いて
(1)クレ メン テ ィ校 の概 要
私 が 勤務 し た 小 学 部 ク レメ ン テ ィ は 、シ ン ガ ポ ー ル の西 部 の 丘 陵 地 帯に あ り、 向 かい に は
シ ン ガ ポー ル 国 立 大 学 が ある 。 イ ス ラ ム教 の モ ス ク や 緑豊 か な ク レ メ ンテ ィ ウッ ズ (公 園 )
に 隣 接 し て い る 。 周 辺 に は コ ン ド ミ ニ ア ム や HDB( 日 本 で い う 分 譲 公 団 住 宅 ) が 多 数 あ る 。
ク レ メン テ ィ 校 は 、 小 学1 年 か ら 6 年ま で 約 650名 の 児 童が 在 籍 し て いる 。 各学 年4学 級 程
度 あ り 、1学級 30人 前 後 の 学 級 編成 に な っ て いる 。 年 間 を 通じ て 約 150名 程度 の編 入 ・退 学 が
あ り 、 3年 程 度 在 籍 す る 児 童 が 多 い 。 保 護 者 の 学 校 教 育 活 動 に 対 す る 理 解 が 深 く 、 P T A 活
動 が大 変積 極 的で ある 。
シ ン ガポ ー ル 日 本 人 学 校は 、 校 長 ・ 教頭 ・ 教 務 ・ 学 級担 任 ・ 専 科 の 教員 の 他に 、 校務 と い
う 担当 があ る 。校 務は 、施設 設 備及 び備 品 等の 整備 と 管理 、事 務局 やメ ンテ ナ ンス と の連 絡 、
教 科 書 の管 理 、 教 材 の 発 注、 指 定 体 育 着や 弁 当 業 者 と の連 絡 と 調 整 、 登下 校 のス ク ール バ ス
の 運 行 管 理 等 の 仕 事 を 受 け 持 っ て い る 。 私 も 赴 任 2年 目 に 校 務 を 担 当 し た が 、 そ の 時 は 上 記
の 仕事 に加 え 、児 童の 在 籍管 理 、教 職経 験 の浅 い教 員 への 指 導、 校内 研 究等 も担 当 した 。
ク レ メン テ ィ 校 に は 、 文部 科 学 省 派 遣教 員 以 外 に も 多く の 日 本 人 教 員が 勤 務し て いる 。 財
団 ( 海 外子 女 教 育 振 興 財 団) か ら の 教 員と シ ン ガ ポ ー ル日 本 人 学 校 が 独自 に 採用 し た教 員 で
あ る 。( 総 称 し て 専 任 教 員 ) 専 任 教 員 は 比 較 的 教 職 経 験 が 浅 く 、 年 齢 も 若 い た め 、 教 育 技 術
力 の 向 上を め ざ す 研 修 が 必要 に な っ て くる 。 日 本 国 内 であ れ ば 研 修 の 機会 は 多く あ るが 、 在
外 教 育 施設 で は 限 ら れ た 環境 の 中 で 研 修を 行 わ な く て はな ら な い た め 、校 務 分掌 に 明確 に 位
置 付け 、学 校 全体 とし て の教 育 力の 向上 に 努め てい る 。
【ク レメ ンティ校 に おける新 任 指導 の内容 】
①週 案の 提 出… 授業 計 画づ く り( 授業 参 観計 画の 作 成)
②定 期的 な 研修 …新 任 研修 便 りの 発行 、 教科 指導 、 授業 づ くり 指導
③授 業研 の 実施 …一 人 一実 践 (新 任指 導 授業 研修 と 校内 研 修)
④学 級経 営 のサ ポー ト …学 級 経営 ・生 徒 指導 につ い て相 談 、サ ポー ト
⑤授 業交 流 …他 の先 生 の授 業 を参 観( 週 1回 を目 安 に幅 広 く参 観)
⑥学 級通 信 ・通 知表 所 見… 通 信の 添削 、 所見 の書 き 方指 導
⑦ 学 習参 観 ・懇 談 会 の サ ポー ト … 授 業 づく り (本 時 案 )、 懇談 会 の 進 め 方に つ いて 指導 ・助 言
⑧教 室環 境 整備 …学 級 掲示 の 仕方 とア ド ヴァ イス
⑨そ の他 … 校長 、教 頭 から の 講話 、学 期 末反 省会
項
目
具 体 的 内 容
新任研修の進め方(説明)
今年度の新任研修の内容と計画について…新任指導担当
教員としての心構え(講話)
日本人学校の教員として…校長
一 学級経営について(指導・研修)
学級経営の在り方と教室環境整備、学級通信について…教頭
学 学習参観に向けて(指導)
授業づくり、本時案作成、保護者対応について…新任指導担当
期 教科指導(研修・指導)
授業見学及び参観による研修及び指導…新任指導担当
通知表作成に向けて(指導)
評価の方法、所見の書き方について…新任指導担当
◆新任指導通信配付(紙上研修)
「授業づくり」「子ども理解」「学級経営」「教科指導」「道徳教育」
生徒指導について(研修)
生徒指導の実際と方法、本講の現状について…生徒指導担当
新任研授業①
算数科授業研修・実践交流会
二 新任研授業②
国語科授業研修・実践交流会
学 新任研授業③
保健体育科授業研修・実践交流会
期 新任研授業④
理科授業研修・実践交流会
◆新任指導通信配付(紙上研修)
「外国語活動」「学習評価」「特別活動」「生徒指導」「特別支援」
新任研授業⑤
算数科授業研修・実践交流会
新任研授業⑥
音楽科授業研修・実践交流会
三 実技講習会
ICT 教育と電子黒板の効果的な活用方について…情報担当教諭
学 指導要録の整備ついて(説明・研修)
評価・評定の仕方と記入方法について…新任指導担当
期 新任研修のまとめ(講話)
これからの教員として(今年度の成果と課題)…校長
◆新任指導通信配付(紙上研修)
「教材研究」「教材の開発」「評価」「教科指導」「生徒指導」
…新任指導担当
(2)クレ メン テ ィ校 の教 育 活動
シ ン ガ ポ ー ル 日 本 人 学 校 は 学 習 指導 要 領 に
添 っ た 教 育 課 程 に 、 英 会 話 教 育 を 取り 入 れ た
教 育活 動を 実 践し てい る 。
【 英会 話】
1年 …… 週 2時 間 の英 会話
+週 1時間 のフ ォ ニッ ク ス
2~ 4年… 週 3時 間 の英 会話
5~ 6年… 週 3時 間 の英 会話
+週 1時間 の英 文 法
※ 英 会 話 は 、 学 年 を 英 語 能 力 別 に13の ク ラ
ス に分 け た少 人数 学 級で 実 施。
【 イマ ージ ョ ン水 泳】
1~ 6年… 週 1時 間 (年 間30時 間)
学 級単 位で 実 施
【 イマ ージ ョ ン音 楽】
1~ 2年… 年 間40時間
学 級を 半数 に 分け て 実施
3~ 4年 …年 間 30時 間
学 級単 位で 実 施
5~ 6年… 年 間10時間 程 度
学 級単 位で 実 施
① 英会 話 学習 の内 容
英 語 能 力 別 の ク ラ ス 編 成 で 、 1ク ラ ス 8~ 10人 程
度の少人数で実施。現地採用の英語教師が授業を
担当。テキストは英語圏で使用されているものを
各自 で 購入 す る。
英 会 話 の 学 習 以 外 に も ハ リ ラ ヤ ・ハ ジ 、 デ ィ ー パ
・ヴァリ、ハロウィーン、クリスマス、チャイニ
ーズ・ニューイヤー(旧正月)に関連した英語で
の 集 会 活 動 も 実 施 し て い る 。 平 成 23年 度 か ら は 従
来の英会話学習に加え、学級担任と連携を図りな
が ら 外 国 語 活 動 ( FLT) に も 積 極 的 に 取 り 組 ん で い る 。( 外 国 語 活 動 は 、 学 級 単 位 で 1~ 4
年は 年間 10時間 程度 、 5~ 6年 は年 間35時 間実 施)
② イマ ージ ョ ン水 泳の 内 容
常夏のシンガポールであるため、年間を通し
て 水 泳 授 業 が 実 施 可 能 で あ る 。 9月 は 運 動 会 が あ
る た め 実 施 し て い な い が 、 各 学 級 年 間 30時 間 程
度実施している。現地のスイミング・スタッフ
2~ 3名 が 指 導 に 当 た っ て い る 。 授 業 回 数 が 多 い
ため、日本の子どもたちよりもはるかに泳力が
あ る 。( 学 級 担 任 は プ ー ル サ イ ド で 監 視 ) 毎 年 2
月に 学年 で 水泳 記録 会 を開 催 して いる 。
③イ マ ージ ョ ン音 楽の 内 容
チャンギ校と同様の指導計画を立てて実施し
て い る 。 1~ 2年 は 1学 級 を 単 純 に 半 分 に 分 け た 2
ク ラ ス で 実 施 。( 他 の 音 楽 は 学 級 担 任 が 学 級 一
斉 に 指導 )、3~ 6年は 1学級 単位 で の一 斉 指導( 他
の 音 楽は 音 楽専 科教 員 が指 導)
マレーの音楽だけではなく、クリスマス等の
行 事 に関 係 した 音楽 も 積極 的に 取 り入 れ てい る 。
ま た 、 ク レ メ ン テ ィ 校 で は 11月 に 音 楽 会 ( ク レ
ッ子コンサート)を開催していることから、音
楽 専 科 教 員 ( 日 本 人 ) や 教 務 と の連 携 が 欠
か せな い。
④ その 他
各 学 年 と も 国 際 交 流 と し て 、 現地 校 と の
学 校 交 流 を 実 施 し て い る 。 相 手 校に 出 掛 け
た り 、 相 手 校 の 子 ど も た ち を 受 け入 れ た り
し て 交 流 を 深 め て い る 。 英 語 で の交 流 と な
る こ と か ら 、 英 語 教 師 の 力 を 借 りて 準 備 作
業 を 進 め て い る 。 さ ら に 5~ 6年 では 、 現 地
の 家 庭に 泊 ま る ホ ー ム ステ イ や 、 隣 接す る シ ン ガ ポ ール 国 立 大 学 で のイ ン タビ ュ ー活 動 な
ど、 様々 な 活動 が行 わ れて い る。
2年 生 は 近 く の 商 店 街 で の 買 い 物 体 験 、 3年 生 は 現 地 の 日 系 企 業 の 工 場 見 学 、 4年 生 は チ
ャ イ ナ タ ウ ン ( 中 国 文 化 )・ リ ト ル イ ン デ ィ ア
( イン ド 文化 )・イ スタ ナ カン ポ ン( マレ ー 文化 )、
5年 生 は キ ャ ン プ 、 6年 生 は ボ ル ネ オ 島 ( マ レ
ーシ ア )へ の修 学 旅 行も ある 。
在外教育施設という特殊な環境から、内外
各地からの“お客さま”の来校が多い。さら
に、入学希望者の下見、現地校の教員の視察
等、日々多くの来校者があり、教育内容の説
明をしたり、校内を案内したりするのも教員
が行 っ てい る。
4 . シン ガポ ー ルで の生 活 につ い て
(1)生活 全般 に つい て
シンガポールには日系のデパート、スパーマーケ
ット、レストラン、書店、電気店、衣料品店、医療
機関等が多数あり、日本と全く同じ生活が可能であ
る。さらに、欧米の有名店が入った大型のショッピ
ングセンターが幾つもある。インターネット環境も
整 備 さ れ て お り 、 ケ ー ブ ル テ レ ビ で は NHKワ ー ル ド プ
レミ アム が 視聴 でき る 。
在シンガポール日本人で組織されているシンガポ
ール日本人会では、各種の講座や夏祭りなどのイベ
ン ト 、各 種 の ス ポ ー ツ 大会 を 開 催 し 、会 員 の 親 睦 を 深め る だ け で は なく 、 現地 と の交 流 を
深 め る 役 割 を 果 た し て い る 。( 日 本 人 学 校 の 教 員 は 、 日 本 人 会 の 行 事 に 選 手 及 び 役 員 と し
て積 極的 に 参加 して い る)
年 間 を 通 じ て 高 温 多 湿 ( 最 低 気 温 25℃ 、 最 高 気 温 32℃ 程 度 ) で は あ る が 、 11月 下 旬 ~ 2
月下 旬頃 は 雨期 と呼 ば れ、 気 温が 若干 下 がっ て過 ご しや す い 。( 最も 暑い の は6月 )
シ ンガ ポ ール は治 安 がよ い 国の 一つ で ある 。夜に 出歩 い ても 危 険を 感じ る こと はな い が 、
外 国 人 を 狙 っ た 犯 罪 が 発 生 し て い る こ と も あ る の で 、“ こ こ は 日 本 で は な い ” と い う こ と
を常 に意 識 して おく 必 要が あ る。
(2)シン ガポ ー ルで 生活 す る上 で の注 意点
シ ンガ ポ ール は第 二 次世 界 大戦 で日 本 軍に 占領 さ れた 歴 史が ある 。各地 に 戦跡 があ る し 、
現地 校の 社 会科 の教 科 書に は 、日 本軍 の 行為 が詳 細 に記 さ れて いる 。
し かし 、 現 在 の シ ン ガポ ー ル は 最 も親 日 的 な 国 の 一つ で あ る 。 そ の理 由 は、 リ ー・ ク ア
ン ・ ユ ー 初 代 首 相 の “ Look
East 政 策 ” に よ り 国 が 発 展 し て き た こ と に 起 因 し て い る。 戦
後 の 日本 の 復 興 に 学 び 、そ れ を シ ン ガポ ー ル に 取 り 入れ る こ と で 経 済的 な 発展 を 遂げ て き
た の であ る 。 シ ン ガ ポ ール で 生 活 し てい る と 、 過 去 の悲 惨 な 出 来 事 を忘 れ てし ま いが ち で
ある が、 日 本人 とし て しっ か りと 理解 し てお くこ と が大 切 であ る。
シ ンガ ポ ー ル 日 本 人 会に は 史 跡 資 料部 と い う 組 織 があ り 、 戦 前 戦 中の 記 録を 整 理し 、 各
種 資 料を 出 版 し て い る 。さ ら に 、 シ ンガ ポ ー ル 日 本 人墓 地 を 管 理 し 、日 本 人学 校 の子 ど も
たち も清 掃 奉仕 活動 に 参加 し てい る。
この日本人墓地には数多くの“からゆき
さん”の墓だけではなく、日本軍人の墓や
慰 霊 塔 も あ る 。 ま た 、“ マ レ ー の 虎 ”( ハ リ
マオ)と呼ばれた谷豊の碑もあって興味深
い。
5 . おわ りに
在外教育施設であることから、教員だけで
は な く 、子 ど も や 保 護 者 も日 本 各 地 か ら来 て い る 。 様 々な 生 活 習 慣 や 考え が ある 中 で、 保 護
者 の 期 待に 応 え る 上 質 な 教育 を 実 践 す るに は 、 教 員 同 士の 交 流 や 研 修 が重 要 であ り 、多 く の
出 来 事 に柔 軟 に 対 応 で き る力 が 必 要 に なっ て く る 。 ま た、 様 々 な 人 と のコ ミ ュニ ケ ーシ ョ ン
を 積 極 的に 取 り 、 自 ら 進 んで 人 々 の 中 に入 っ て い く こ とが シ ン ガ ポ ー ルで の 生活 を 豊か で 有
意 義な もの に して いく と 感じ た 。
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