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2011年7月(新フランス高等教育研究大臣任命、科学に対する信頼調査
フランス学術情報(平成 23 年 7 月分) 平成 23 年 7 月 18 日 ストラスブール研究連絡センター ●「新フランス高等教育・研究大臣の任命について」 2011 年 6 月 29 日、フランス首相 François Fillon 氏は 2011 年 6 月 30 日からの新閣僚リストを発 表した。新フランス高等教育・研究大臣には Laurent Wauquiez 氏が任命された。Wauquiez 氏は 1975 年 4 月 12 日生まれ(リヨン)、エコールノルマール出身で歴史の教授資格及び国立行政学院 (Ena)卒業資格を持つエリートである。2004 年以来、オット・ロワール県選出の国会議員を務め、 2005 年には首相の依頼により「学生支援のための報告書」を提出している。本大臣に任命される直 前には、外務・ヨーロッパ問題大臣の下でヨーロッパ担当大臣を務めた。同氏は、フランス高等教 育・研究大臣として、フランスにとって大切な「未来への投資プログラム」以外に、学生生活、特に学 生の健康の問題に取り組みたいと抱負を語った。 なお、前フランス高等教育・研究大臣の Valèrie Pècresse 氏は、予算・公会計・国家改革大臣、政 府報道官に任命された。 参考資料 ・ フランス高等教育・研究省 HP(2011 年 7 月 1 日) http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid56698/biographie-de-laurent-wauquiez.html ・DNA 紙「Remaniment ministérial: Baroin succèed à Lagarde」(2011 年 6 月 30 日) ・Le Monde 紙「Initiative d’excellence: Un couronnement」(2011 年 7 月 5 日) ●「科学・科学者に対する信頼調査」 フランスの市場調査機関 Ipsos は、’La Recherche’紙及び’Le Monde’紙のために、フランス人の 科学や科学者への信頼調査を行った。最初の質問事項は、「フランスの科学者は自分達の研究結 果や派生する問題について真実を語っているか?」であり、7 つの項目について次の結果が出た。 項目 新エネルギー ES 細胞 地球温暖化 神経科学 ナノテクノロジー 原子力 遺伝子組み換え 語っていると思う 69% 49% 48% 47% 44% 35% 33% 語っていると思わない 25% 30% 46% 25% 28% 58% 58% わからない 5% 19% 4% 26% 26% 5% 7% 第二の質問事項は、「科学やテクノロジーはいつの日か次の問題に対し、解決策を見出すか?」 項目 エイズ 癌 解決策を見出す 92% 91% 解決策を見出すとは思わない 7% 8% アルツハイマー 自然災害の予知 飢饉と水へのアクセス問題 地球温暖化問題 88% 64% 57% 52% 11% 35% 42% 47% 第三の質問事項は、「科学やテクノロジーはプラスよりもマイナス面をより引き出しているか?」 引き出している: 43%, 引き出しているとは思わない: 56% 最後の質問事項は、「原子力発電所の安全性は科学面よりも別の独立した手法で評価されるべ きか?」 Yes: 26%, No: 72% Ipsos の Brice Teinturier 理事長代理は、「フランス人の 90%は研究の成果を知ることが社会の発 展を理解するために大事だと考えているが、80%がその内容が十分に知らされていないと不満に 思っている」と述べた。 参考資料 ・ Le Monde 紙「Les Français se fient à la science, pas aux chercheurs」(2011 年 6 月 16 日) ●「未来への投資’Intiatives d’Excellence’プログラムの最終選考」 フランス高等教育・研究省 Laurent Wauquiez 新大臣は、2011 年 7 月 4 日、世界に通用する優れ た研究・教育拠点を支援する’Initiatives d’Excellence’プログラムについて、3 プロジェクトが選考 委員会(選考委員長:欧州大学連盟会長 Prof. Jean-Marc Rapp)にて満場一致で選ばれたと発表し た。本プログラムの予算は全体で 77 億ユーロで、フランス国内の 5-10 の優れた高等教育・研究拠 点を支援する。選ばれた 3 プロジェクトは、PRES Université de Bordeaux(ボルドー地域の 4 大学と 1 エンジニアリングスクールで構成される大学間コンソーシアム)、ストラスブール大学、Paris Sciences et Lettres(パリ地域の 13 の高等教育・研究機関で構成されるコンソーシアム)である。 Wauquiez 新大臣によるコメントは以下のとおり。 ストラスブール大学は、化学や生物学の分野において特に優れた研究を行い、ヨーロッパ博士課 程による教育が充実している。ドイツで卓越した大学に選抜されているカールスルーエやフライブ ルグ、スイスの大学との積極的な交流がヨーロッパにおける卓越した大学拠点の形成につながって いる。 Paris Sciences et Lettres は、革新的なプロジェクトが評価された。各大学はそれぞれのアイデンテ ィティを保ちながら共通のプロジェクトの提案に成功し、グランゼコールと大学との交流を可能にし ている。 PRES Université de Bordeaux は、しっかりとした研究基盤を持ち、学部教育課程(Licence)のプロ グラムが充実し、企業と連携したデジタル化が進んでいる。また、大学キャンパスの再開発プロジェ クトに力を入れている。 参考資料 ・Le Monde 紙「Nous devons aider quelques pôles universitaires à affronter le XXIe siècle」(2011 年 7 月 5 日) ・DNA 紙「Initiative d’excellence: Un couronnement」(2011 年 7 月 5 日) ・フランス高等教育・研究省 HP(2011 年 7 月 4 日) http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid56778/trois-premieres-initiatives-d-excellence-sel ectionnees.html ●「2011 年度バカロレア(高等学校卒業資格試験)の結果」 2011 年 6 月に行われた高等学校卒業資格試験バカロレアは、過去最高の 85.6%の合格者を出し た。一般バカロレア(S 科学、ES 経済・社会、L 文学)が 88.2%、技術バカロレアが 82.3%、職業バカ ロレアが 83.6%の合格率であった。アルザス地方は 92.9%とフランスで最も高い合格率であった。 今回のバカロレア S(科学)の数学の試験において、インターネットによる出題内容の漏えいが発覚 した。事件の概要は現在調査中である。本件を受けて、フランス政府は、ナポレオン以来 200 年に 渡って継続しているバカロレア制度に不正が絶対にあってはならないとの公式見解を発表した。ま た、教育大臣の Luc Chatel 氏及び高等教育・研究大臣の Valérie Pécresse 氏は厳格な態度で対処 すると述べた。具体的にはスマートフォン等の携帯電話の持ち込み禁止を検討中である。 参考資料 ・DNA 紙「Bac 2011 les taux de réussite」(2011 年 7 月 12 日) ・DNA 紙「Bacheliers méritants: Des résultats et de l’engagement」(2011 年 7 月 14 日) ・DNA 紙「La chasse aux tricheurs」(2011 年 6 月 27 日)