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近交系モルモット JY1 と strain 13 における BCG Cell Wall に対する免疫
Title Author(s) Citation Issue Date 近交系モルモットJY1とstrain 13におけるBCG Cell Wallに 対する免疫応答 山本, 健一; 奥山, 春枝 北海道大学免疫科学研究所紀要 = Bulletin of the Institute of Immunological Science, Hokkaido University, 38: 38-45 1978-03 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/26507 Right Type bulletin Additional Information File Information 38_P38-45.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 近交系モルモット lY1と s t r a i n1 3に お け る BCGC e l lWallに対する免疫応答 山本健一 (北海道大学免疫科学研究所細菌感染部) 奥山春枝 (北海道大学免疫科学研究所病理部) 2年 1 1月 1 9日受付) (昭和 5 病原微生物をはじめ各種抗原に対し感受性を異にする 実験材料と方法 近交系動物の育成が行われて来てから既に久しい。こと にマウスの近交系の確立は主要組織適応抗原を支配する 1 ) 動物. モルモット s t r a i n1 3は昭和 4 5年 , JY1 遺伝子座と特異抗原に対する免疫反応を支配する遺伝子 は昭和 48年にそれぞれ国立予防衛生研究所より分与を 座との密接な関連を明らかにした 1)。 ところで, モルモ 受け,我々の研究所の実験動物施設で繁殖維持して来た 9 2 1年 Wright と Lewisが結核感染に対し ットでは 1 00乃至 7 0 0gのものを ものである。主として雄の体重 5 感受性を異にする 2つの系統のあることを報告した 2)。 用いた。 t r a i n2と s t r a i n1 3であり,その この 2つの近交系は s 2 ) BCGCellW al 1 : 米国 NIH, RockyMountain 後,これら近交系モルモットの種々な抗原に対する免疫 Laboratory の D r .R i b i より分与を受けた。これを Benacerraf ら3) R i b i ら7) の 方 法 に よ っ て 鉱 物 油 Drackeo¥ の小滴に 反応の差異が検討されて来た。特に によって合成 p o¥ypeptide抗原に対する細胞性免疫およ a s s o c i a t eL , 0.2%Tween80生食水に浮遊させ,O. 4ms び抗体産生反応の特異免疫反応遺伝支配に大きな差異の に 600μg含ませて静脈内あるいは腹部皮下に接種した。 あることが見出されている。一方, Freundの comp¥ete adjuvantに加えられた加熱結核死菌によるツベルタリ 3 ) ツベルクリン反応 BCGC W接種後 3,6およ び 9週に静脈および皮下群共にそれぞれ 1群 3匹ずつの t r a i n2と ン遅延型過敏症感作にみられる免疫応答を s . モルモットの胸部に PPD(Robert-Koch研究所の Dr s t r a i n1 3で比較した Stone4)の報告では余り顕著な差 Brehmer より分与を受けた)5μgを皮内注射, 2 4時間 はみられない。また, Chase5)に よ れ ば 結 核 菌 に よ る 後に反応を観察,発赤は縦と横の長さの平均値で,硬結 granu¥oma散 布 の 状 態 か ら す る と はその程度によってー,土, + , -++として記載した。 s t r a i n1 3の方が s t r a i n2より感受性が高し、と云われている。このように 4 ) 血清抗体価・ ツベルタリン反応を行う直前に心 両近交系モルモットの結核感受性は必ずしも明確では 6C 3 0分加熱非働 採血を行い血清を得た。被検血清を 5 ない。 化後,藤田 8) の記載に従って抗体価を受身赤血球凝集反 さて,国立予防衛生研究所で結核菌に感受性の高いと いわれるモルモットの近交系 JY1が開発され, これを 0 応によって測定した。 抗 結 核 多 糖 体 抗 体 ・ 抗 原 は 結 核 菌 H37Rv加 熱 脱 本研究所実験動物施設で繁殖維持して来た。ところで, 脂菌体より 10%Urea抽出の多糖体を用い, m idd¥e- マウスでは少量の鉱物油に a s s o c l a t eさせた BCGC e l l brook-Dubos反応によって検出した。 Wall(CW)を静注することによって肺に granu¥omaを 抗結核蛋白抗体. 抗原は結核菌青山 Bのソートン・ツ artley 容易に形成させることが出来る 6) のに反して, H ベルクリン蛋白を 90%pheno¥で精製したものを用し、, 系あるいは s t r a i n2のモルモットでは,マウスにみられ Boyden反応で測定した。 る程 granu¥oma形成が顕著にはみられない (W.Breh- 5 ) Macrophage Migration Inhibition(M1 )活 mer,山本健一,未発表)。そこで,本報では,近交系モ 性. 皮下,静脈群について,それぞれ腹腔惨出細胞と肺 この JY1と 胞細胞の Ml活性をしらベた。測定は既報9)の方法に準 ノレモットの結核感受性を検討するために, s t r a i n1 3の 2つの s t r a i nを用いて, BCGC Wによる 参出細胞を集めるためには,ツ反応判定 じて行った。腹腔j 肺 granu¥oma形成, ツベルタリン遅延型反応および液 a s e i n a t e生食水を 2 0ms腹腔内 直後に 10%Sodium c 性抗体などをしらベた。 に注入, 3日後に 30msのへパリン加 Hanks液で、腹腔内 3 9 を洗織した。また,肺胞細胞については Myrvick10)の方 ストグラムで示した。両群とも,いずれの観察期日にお 法によって,へパリン加 Hanks液を気管より肺胞内に注 いても JY1が s t r a i n1 3に比して明らかに強い発赤を 僚により集めた。 M 1活性の測定は毛細管に被検 入,洗f 呈し,また硬結の程度も発赤に平行した。特に静脈群の 細胞をつめ, Sykes-Moore型 chamberを用い, 30μg/ms 3週目では JY1が強い反応を示したのに反して s t r a i n PPD存在下, 37C,5% CO2 incubator 内での遊走の 1 3では反応はほとんど陰性にとどまった。また,静注群 0 程度を観察することにより行った。その程度は M 1 i n ・ では 6週がピークであったのに対し,皮下群では 9週に h i b i t i o n index として示した。なお,本実験条件下で 至っても低下の傾向をみせなかった。 は , Bergstrand ら11) によれば,その値 70%以下の場 合,有意な阻止が起ったと考えるのが妥当と思われる。 i i ) M 1活性: 静注群の肺胞細胞および皮下群の腹 腔細胞の M 1活性の結果をそれぞれ Fig.1と 2の上段 6 ) 肺重量 index: 肺 granuloma形成の指標とし t r a i n1 3共に差 に示した。肺胞細胞では 3週で JY1,s て肺重量を用い 12),全肺重量を体重で割り, 100倍した のない強い活性を示したが, 6週以降,両 stram共に低 数値を肺重量 index として示した。 下をノメした。一方,腹腔細胞のそれは JY1が明らかに 7 ) 病理組織学的検索: 各群の肺および牌の組織標 s t r a i n1 3より強い活性を呈した。また,両 stram共に 本を作製,ヘマトキシリン・エオジン染色,また,必要 9週でもなお活性を認め, PPD皮膚反応の陽性と平行 に応じて鍍銀染色を行って病変を観察した。 した。 2 ) 血中抗体 実験結果 i ) 抗多糖体抗体: 静脈および皮下群の Middle-bro- 1 ) BCGC Wによる OelayedHypersensitivityの Dubos反応の結果をそれぞれ Fig.3と 4の上段に示 ok・ 発現 0倍程度の陽 した。 JY1の静脈群は 3週目で血清稀釈 4 i ) ツベルクリン皮膚反応:静脈および皮下群の PPD 性であった他は両群共いずれの時期においても極めて低 による皮内反応の結果をそれぞれ Fig.1と 2の下段のヒ MI い値あるいは陰性に終った。 。 f A l v e o l a rC eI I s M Io fP e r i l o n e a l E山 d a f eC e l l s % 1 1 0 対剣司 vg- % 80 f a g - 22 畠﹄ Eau-骨唱 EES UR@ 百 90 70 6 0 1 50 40 mm ホ 6 剖 CJ s l r a i n1 3 。 f l e r v a c c in a l i o n I n d u r a l l o n F i g .1 . Delayed Hypersensitivityo fGuinea Pigs Vaccinated Intravenously with600 , I lg o fO i l t r e a t e d BCG C W ﹄ ﹃ r n rainJYI T@﹄ 丘ω EOF唱 ω 伊E宮 4 5 申 1 0 。Eeshb 15 町t 町 、 世間倒閣矧閣制潟⋮税制緩⋮晶 9 H W E 2 F b m w 恥。旨芯E o -司 OFEEd 20 #隠倒閣総⋮際問機関関趨 25 ~ 25 20 15 1 0 5 s l r a i nJ Y I CJ s l r o i n日 *l n d u r o 唱 。 " W e e k s a f l e r F i g .2 . Delayed Hypersensitivityo fGuinea PigsVaccinatedSubcutaneouslywith600 ! ' go fO i l t r e a t e d BCG C W 40 i i ) 抗蛋白抗体: 静脈および皮下群の Boyden反 応 u - M-O g a z d -一 ‘ ig.3と 4の下段に示した。静脈群で の結果をそれぞれ F r e a c t i o n i l、ずれの時期にもかなりの高値を示したが, は JY1f 3 40 s t r a i n1 3では 6週でのみ高値がみとめられた。一方,皮 EE-m 3 0 下群では s t r a i n1 3の 3週日にかなりの高値がみられた 20 t r a i n共にどの時期でも低い値しかみられなか 他は両 s った。 1 0 3 ) 肺重量 index 毘 可 宅 守 一 一 ー ーτ Fig.5に示した如く,静脈群では JY1が 3週で最高 t r a i n1 3と大差はな 値を示し,以後,低下し 9週では s か っ た 。 皮 下 群 で は JY1がいずれの期日においても X 800 s t r a i n1 3よりやや高い値を示したが,静脈群に比べて E 。=三宅 両 s t r a i n共に余り高い値ではなかった。 600 4 ) 病理組織学的所見 E3﹄@切 病変の程度に応じーから怖に分けて Table1V こ記載 4 0 0 した。 200 i ) 肺 : ; : ; : ; f Z ! : I 討r a l nJY1 EJ . I r a ! n1 3 。 6 : 3 W e e k s 0 門町 9 V a c c i n a t i o n F i g .3 . P a s s i v eHemagglutinationT i t e ro f uineaPigsVaccinated Intravenously with600μgo fO i l t r e a t e d BCGC W は,大食細胞および、類上皮細胞に変化した細胞が中心壊 死を伴った大きな結節を作ったり,あるいは肺胞内にび まん性に増殖した病変を示しており 9週には胞隔に類上皮細胞又は単球の小さな病巣として 宮 。 = ・ r o u p J n f r o vn o u s g 1 . 2 E 喜劇 w的 M-唱 = - 3-一唱 30 ~. 'Z2J 1 0 目 。y d e n ' 3週に最も強かっ た 。 6週以後はその範囲および結節数の減少がみられ, M-D r e o c t i o n 】 E 2 0 s t r a i n1 3および JY1共に皮下群より静脈群 の方が惨出性および増殖性炎症共に強かった。静脈群で 1 . 0 08 06 r e o c t i o n x 800 S u b c u t a n e o u s g r o u p 1 , 0 FgaJ 0 . 8 一 E20切 MO-vE z£ ち 一 一 喧 600 4 0 0 200 , 6 0 a strainJYI D s l r a i n1 3 W,帥 k so f f e r v o c c i n o 1 i o n . Passive Hemagglutination Titero f F i g .4 Guinea PigsVaccinated Subcutaneously with600μg o fO i l t r e a t e dBCGC W 区ヨ制問i nJYI 仁ヨ . ' r a i n1 3 W e e k s a f t e rv a c c i n o! I o n F i g .5 . LungIndexo f Guinea PigsVaccinated with600llg o fO i l t r e a t e d BCGC W 4 1 残っているにすぎなかった。しかしこの 9週での病変で 皮下群 6週にみとめられた。両群を比較すると,この様 も JY1にやや結節の数が多かった。さらに,泡沫状細 な変化は, JY1静脈群が最も強かった。胞隔肥原は全 胞質をもった大惨出細胞と多形核白血球の浸潤を伴った 例にみとめ,胞隔内に単核細胞が増加し,少数例にわず 渉出性病変が, s t r a i n1 3では静脈群の 3週に,皮下群の 聞がみとめられた。 かの多形核白血球の浸j 3および 6週に,一方 JY1では静脈群の 3,6週および 以上,類上皮細胞増殖による増殖性炎および肺胞内単 i s t o l o g i c a l Findings u f Lung and Spleen from Table 1 H Guineapigs Vaccinated with BCG C e l l Walls JY 1 S t r a i n so f Guineapigs Route o f Vaccinati口n Intraveneous Subωaneous, IntraveneousISubcutaneous I Weeks a f t e r Vaccination 3 6 9 3 6 9 3 6 9 3 6 9 + - !ー Congestion 切口= J S e p t i t i s 十 ム 十 ↓ Exudat rPo1ymorphonuclear change lMononuclear ム + + 十 汁 十 件 + + │十土+ │ や 十 件 + 十 + + 十 十 十 片 十 十 土 ι M 土 件 ± 仲 + ム ± │件 ム + 十 十 十一 F o l l i c u l a r hyperplasia 十 ム ニ コ 乱1 a r g i n a lc e l lp r o l i f e r a t i o n 1 十 土 + 十 斗 f ! + 土 十 + + + → ー ± + + 土 十 十 十 ± 4 ム + + 十 + + 十 件 十 十 十 向 E印 p 戸i t h 叫 e l 日 凶 1 0 0 ω i dc e l l 写真 1 S t r a i n1 3,BCGC W静 注 3週 単核球に周囲を取り囲まれた類上皮細胞の結節形成がみられる。 へ マ ト キ シ リ ン ・ エ オ ジ ン 染 色 (HE)250x ι ー l 口 C1 Germinal 印 c e 印n 則t 釘 er 品川 ロω 同 の ω [︽ lR 刷巴 h引 山 t i 山 叩 山 c山叫 土 十 + + → 一 ←+ :t 土 ム + 十 十 十 十 Congestion + 十 十 + + Product change I No. 1 3 土 十 + 十 土 42 核細胞濠出を主とする渉出性炎症が主なる病理組織学的 胸; 両 S t r a i n群を通じ,明らかな類上皮細胞結節の t r a i nを比較すると, JY1の方 変化であるが, 2つの s 形成はみとめられなかった。目立つ変化は赤髄の細網細 が高度であった。(写真 1-4参照) 胞増生であるが,静脈群,皮下群共に s t r a i n1 3の方が 写 真 2 JY1,BCGC W静注 3週 単核細胞増加による胞隔肥厚と肺胞内への大食細胞の漆出およびその類上皮細胞化 HElOOx による大小の結節が多数認められる。 写 真 3 JY1,BCGC W 静注 6週 大食細胞および一部員同上皮化した細胞,単核細胞による結節で,中心 l 土 壌死におち入り,巨細胞の形成を伴っている。 HE250x 4 3 写真 4 JY1,BCGC W皮下注 6週 渉出炎の強い皮下注射例で,泡沫細胞および多形核白血球が肺胞内および 肺胞隔にび慢性に参出している。 H E250x 験で, BCGC W300μgの皮下接種 4週で PPDに反応 高度であった。 なお,各個体における I h t iindexと結節形成との聞には 一定の関係はみとめられなかった。 を示すようになったが,静脈接種では 4週は勿論 8週に 至るも陽転はみられなかった(山本健一, W.Brehmer, 米発表)。本実験では用いた B C W C W量が 2倍ではあ 考 察 BCGC Wを o i lに a s s o c i a t eさせたワクチンを近交 るが, JY1では静注後 3週で皮下接種群と同様な強い硬 t r a i nが BCGCW 結を伴うツ反応、を示しており,この s t r a i n1 3 と JY1に静脈あるいは皮下に 系モルモット s に対し,かなり感受性が高いことをうかがわせるのであ 接種して,ツベノレクリン遅延型皮膚反応,血中抗体の出 t r a i n1 3では BCGC W静注で 6週目にツ る。一方, s 現および ~rii の granuloma 形成をしらべた結果, JY1 反応のピークがあり, 9週目では硬結は明らかに減少し, がs t r a i n1 3に比べて BCGCWに対しゅl らかに強い反 JY1のそれとは著しい差異を示した。 応を示すことが観察された。 本実験では JY1と比較対照の s t r a i n として, stram 1 3を用いたが s t r a i n1 3については,はじめに記した 次に M 1活性とツ反応の関係をみると,静脈群の肺 胞細胞の M 1活性は 3週でのみ強くみられ, ツ反応陽 性の成績とは一致しなかった。このような関係はわれわ 5 ) にみられるように,その結核感受性は s t r a i n2 報告4), れ 16) がマウスで既に明らかにしているが, あるいは Hartley系に比して必ずしも低いとは思われ BCWCW感作リンパ球の体内分布が時期によって,あ このことは ない。また, Delayed H y p e r s e n s i t i v i t yの 1っと考え る部位に偏る所謂 compartmentalizationl7)のためかも l l e r g i cEncephalomyelitis 発現に関しでも られる A 知れないし,また, M 1活性とツ反応に関与する感作リ s t r a i n2 と s t r a i n1 3の差は絶対的なものでないことが ンパ球の T 細胞 subpopulationが異なっていることに る 13)。このような s t r a i n1 3に比べて本実 報告されて L、 よるかも知れない。しかし,皮下群では腹腔惨出細胞の 験で用いた JY1は期待通り BCGCWに対して高い反 M 1活性とツ反応はおおよそ平行しているので,やはり 応性を示したわけである。 静脈群の M 1活性とツ反応の非相関は感作リンパ球の ツベノレクリン遅延型反応の出現をみると,モルモット では一般に BCG生繭静注後のツ反応陽転は皮下接穐に 1 5 ) 0 s t r a i n2の実 比べて遅れることが知られている 14), compartmentalizationがその原因と考えた方がよさそ うである。 BCGあるいはその c e l lw a l l をマウスに静注して形 44 成される肺 granulomaの指標には肺重量の増加を用い 比べて,明らかに BCGC Wi こ対する反応の強いことが ることが出来る 1 2 ), 1 8 )が,本実験の場合は JY1の静脈群 示された。 を除くと肺 i ndexが病理組織像をよく反映していると はいえない。肺 granuloma組織像と肺重量の増加の不 一致がモルモットで何故多くみられるのか不明である。 s t r a i n2および Hartley系においては BCGCW静 注によって形成される肺 granulomaが肺重量によって も,病理組織像によっても明確に示されなかった実験成 績がある (W,Brehmer他,未発表)。このようなモルモ 8 )や猿 1 9 )に比して低 ットの Granuloma形成がマウス 1 終りに本稿を御校閲下さった有馬純教授に深謝いたし ます。また実験を終始熱心にお手伝 L、 L、ただいた山崎静 恵技官にお礼申し上げます。 文 献 1 ) Benacerraf,B,and McDevitt,H,0, : S cience, 1 7 5,2 7 3,1 97 2 , 2 ) Parker,D " Sommer,G,and Turk, , J L: Cel l u l a rImmuno , . l1 8,2 3 3,1 9 7 5 f Immune 3 ) Benacerraf,B,:“ Genetic Control o Responsivenss"e d i t e d by H, 0, McDevitt and M ,Landy,1 9 7 2,AcademicPress,New York, 4 ) Stone,S,H , ・ InLArch.Allergy,2 0,1 9 3,1 9 6 2 . nt h e 5 ) Chase,M.W.: Dessemiated granulomai guinea p i g . In Mechanisms o fH y p e r s e n s i t i i t t l e BrownCo. Boston. v i t y .1 9 5 9,L . , Brehmer,羽T ., 6 ) Anacker,R. L,Barclay,W. R 司 いのは種属の差かも知れないとわれわれは考えていた。 と こ ろ で , マ ウ ス に お い て は こ の BCGC Wによる granuloma形成が明らかな遺伝支配を受け, s t r a l nに よって差があることをわれわれは明らかにした 20)。モル t r a i n差の存在が充分考えられる。 モッ卜においても s 確かに,本実験で示された成績からすると, JY1は BCG C Wによる granuloma形成に関して highresponder と云えるかも知れない。 BCGCW接種後の血中抗体をみたが,多糖体抗体は 両 s t r a i n共,接種経路に関係なくすべて低値を示し,一 方,蛋白抗体は JY1静脈群が全観察期間高値をノ, fした が,その他は 3週から 9週のある一時期のみ高値であっ t r a l l l た。このような抗体価の推移は BCG生菌接種の s 2における実験(山本健一他,未発表)あるいは同様なウ サギの実験結果 15) とも異なったもので,これをどの様に 説明するかは困難である。 三浦ら 2 1 )は予研獣疫部で開発されたモルモット JY2 において, Hartley系に比して結核アレルギーをはじめ とする細胞性免疫反応の低下ならびに液性抗体産生反応 の低下をみとめ, JY2が 1mmuneresponse全般にわ たる lowresponder であることを報告している。この JY2i こ対し JY1が highresponder で あ る と は 直 接 比較した実験がないので決めることは出来ないが, JY1 があらゆる抗原に対して高い反応性をもっ I rgene に 無関係な highresponderであるとすれば,その遺伝的 背景を知りたいところである。しかし,残念ながらわれ われは全くその検討を行っていない。 結 語 BCGC Wを o i lに a s s o c i a t e させて近交系モノレモ ット JY1および s t r a i n1 3の静脈あるいは皮下に接種 して,ツヘルタリンに対する遅延型反応、,血中抗体の出 現および肺と牌における granuloma形成による病理組 織学的変化をしらベた。その結果, JY1が s t r a i n1 3に Larson,C .L and R i b i,E . : , J Immunol,9 8, 1 2 6 5,1 9 6 7 . i b i,E . : J 7 ) Brehmer,W.,Anacker,R.L and R B a c t r i o , . l 95 ,2 0 0 0,1 9 6 8 3,1 3,1 9 6 0 8 ) 藤田誠一. 結核の研究, 1 5,8,1 9 7 5 . 9 ) 山本健一: 北大免疫科学研究所紀要, 3 1 0 ) Myrvik,Q .N.,Leak,E .S . and F a r i e s,B . : J , . l 86 ,1 2 8,1 9 61 . Immuno 1 1 ) Bergstrand,H. and Ka! len,B,: Scand., J Im, . l2 ,1 7 3,1 9 7 3 muno 1 2 ) Youmans,C .P . and Youmans,A. S . :, J Inf . D i s e .,1 1 4,1 3 5,1 9 6 4 . H.,LernerI I,E .} ¥ ! [ . a nd Coode,Jr . 1 3 ) Stone,S , J H.: P r o c .S o c . Exp. Biol . and Med.,1 32, 3 4 1,1 9 6 9 . 9 5 6 1 4 ) 山本健一,久世彰彦: 結核の研究, 4,62,1 . , Onodera,T .andYamamoto,K.: 1 5 ) Takahashi,Y , J Exp. Med.,1 1 4,555,1 9 6 1 1 6 ) Yamamoto,K . , Anacker,R . L and R i b i,E .・ Inf .& Immunity,1,595,1970 .F .,Levin,H.A.,Rocklin,R.E . 1 7 ) Schlossman,S , J R.: , J Exp. Med.,1 3 4,7 4 1,1 9 71 . andDavid, 1 8 ) 山本健一: 結核, 5 1,4 5 3,1971 . 1 9 )R i b i,E .,Anacker,R. L,Barclay,W. R . , B rea r r i s,S .C .L e i f,W. R . and Simhmer,W.,H , :, JI n f .D i s e .,1 2 3,527,1 9 71 . mons,J 2 0 ) 柿沼光明,岡田昌彦,山本健一: 日本免疫学会総会 記録, 7 ,3 4 1,1 9 7 7 . 3,1 7 4,1 9 7 4 . 2 1 ) 三浦 馨,橋本達一郎・ アレノレギー, 2 4 5 Immune Response in Inbred Guinea Pigs,Strains JY1 and 13,to BCG Cell Walls Ken-ichi YAMAMOTO and Harue OKUYAMA Guinea p i g so fi n b r e d,s t r a i n s lY1and 1 3,were i n t r a v e n o u s l yo r subcutaneously v a c c i n a t e d 1-treatedBCGc e l lw a l l sandwereexaminedt h e i rdevelopmento ft u b e r c u l i nd e l a y e d with600μgo foi n t it u b e r c u l o u sserumantibodyandgranulomai nlungands p l e e n3, 6and9weeks h y p e r s e n s i t i v i t y,a a f t e rv a c c i n a t i o n . The r e s u l t s showed t h a ts t r a i n lY1 i s more s e n s i t i v et o BCGc e l lw a l l s than s t r a i n1 3 . 司