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- ルワンダの平和と和解のために

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- ルワンダの平和と和解のために
「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
「佐々木さんを支援する会」会報
ウブムエ
事務局
〒 235-0041 横 浜 市 磯 子 区 栗 木 1-22-3 / TEL 045-774-9861
洋光台キリスト教会内(蛭川明男牧師)/●世話人会代表 金子 敬
●事務局長 播磨 聡(広島キリスト教会 TEL 082-293-8683)
二 ャ ル ワ ン ダ 語 で 「 ウ ブ ム エ 」( u b u m w e ) と は 、「 一 致 」「 調 和 」「 和 」 を 意 味 す る 。
「 和解の力 」
サンフーン・リー
プロテスタント人文・社会科学大学(PIASS)教員。新
設された「持続可能な平和と開発のための研究・行動セ
ンター」初代所長。
見よ、兄弟が共に座っている。
なんという恵み、なんという喜び。
かぐわしい油が頭に注がれ、ひげに滴り
衣の襟に垂れるアロンのひげに滴り
ヘルモンにおく露のようにシオンの山々に滴り落ちる。
シオンで、主は布告された
祝福と、とこしえの命を。
旧約聖書
詩編 133 編 1~3 節
「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『殺す
な。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。しかし、私は言っておく。兄弟に腹を立てる者
はだれでも裁きを受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、
火の地獄に投げ込まれる。だから、あなたが祭壇に供え物を捧げようとし、兄弟が自分に反感を持って
いるのをそこで思い出したなら、その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それか
ら帰ってきて、供え物を捧げなさい。
新約聖書
マタイによる福音書 5 章 21~24 節
「佐々木さんを支援する会」の皆さま、はじめま
佐々木先生のことは、共に国際飢餓対策機構で働
して。私は昨年から、PIASS で開発学を教えていま
いていたこともあり、以前から存知あげていました
す。ルワンダ大虐殺があった 1994 年に初めて緊急
が、直接お会いしたのは 2010 年、ルワンダに来て
援助を行うためにアフリカを訪れました。妻のソン
からのことでした。佐々木先生と私にはいくつもの
ヒとはコンゴの難民キャンプで出会い、その後結婚
共通点があります。同じ団体で働きました。同じ国
し、子どもたちは皆アフリカで生まれました。
に住んでいます。海外で学びました。ルワンダに対
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
して同じ情熱を持っています。家族も仲が良く、子
どもたちは同じ学校に通いました。そして何よりも、
私たちは同じ神様を信じています。私たちはキリス
ト者として、またアフリカで働いてきた者として開
発に関して共通の問題意識を持っています。それは、
まず第一に貧困の根本には人間同士の争いがある
こと。第二に、その人間同士の争いは、平和の神様
から背く人間の罪深い性質から生まれるものだと
女性)とタデヨさん(左側から四人目)のことをお
いうことです。
伝えします。
私は、佐々木先生にとても感謝しています。以
サベリアナさんはツチで当時独身でした。大虐殺
前、先生にルワンダの韓国人教会で説教をして頂い
の時に彼女はフツの隣人たちから襲われ、路上に捨
たことがあります。お話を始める前に、先生は日本
てられましたが、奇跡的に生き残りました。彼女の
が韓国を植民地支配したことを謝罪されました。先
体には多くの傷が残っています。顔に深い傷跡があ
生は以前、ご家族とともに韓国を訪問し、虐殺のあ
り、口をきちんと閉じることができません。タデヨ
った堤岩里(チェアムリ)教会や独立記念館などに
さんは彼女を襲った集団の中にいた一人です。
行かれたことも知っていました。私たちは皆、その
タデヨさんは虐殺犯としての刑期を終え、サベリ
ことが両国にとって痛ましい経験だったこと、そし
アナさんの元へ行きました。その時、彼女は粗末な
て今日も、両国の間に未だに癒えることのない痛み
小屋のような住居に、虐殺で殺された兄姉が残した
があることを知っています。私たちにはまた、神様
子どもたちと暮らしていました。そこで、タデヨさ
はこのような状態が続くことを望んでおられない
んは他の加害者たちと共にサベリアナさんのため
ことが分かっています。
に家を建てることを決意しました。そして、家が完
私の人生の中で、日本の過去の行いについて謝罪
成した後、タデヨさんは彼女に赦しを請い、サベリ
されたのは、佐々木先生が初めてでした。私はその
アさんは村の人たちの前で彼を赦したのでした。
ことで心に平安を覚えました。先生が語られた言葉
私は彼女に尋ねました。
「私もあなたも人間です。
は、その礼拝に参加した多くの韓国人の心に残るこ
私は赦せない人がいると、心の奥底に石が突き刺さ
とでしょう。先生のお話を聴き、私は冒頭の聖書の
るような気持ちになります。相手とは話したくもな
箇所を思い起こしました。そこに書かれていること
ければ、会いたいとも思いません。あなたはタデヨ
は、まさに神様が私たちに実践するようにと望んで
さんを本当に 100 パーセント赦したのですか?」
おられることです。佐々木先生の信仰に基づく行動
この問いに対して、彼女は当時のことをふと思い
があったからこそ、
「兄弟が共に座り」
、
「恵み」と
出す度に落ち込むことがあると正直に言われまし
「喜び」を分かち合うことが出来たのです。これこ
た。しかし、それはもはや怒りではなく深い悲しみ
そ、神様が私たちに望んでおられることなのです。
なのだということでした。そして彼女は、
「タデヨ
ここで、私の人生に大きな影響を与えた二人のル
さんは私の隣人です」と答えたのでした。実は最近、
ワンダ人のことをお伝えします。その方々とは、し
サベリアナさんの姪とタデヨさんの甥が結婚しま
ばらく前にピアスで開かれたワークショップで出
した。親族の中には反対する人も少なくなかったの
会いました。そこには、虐殺被害者と加害者が参加
ですが、お二人は若い二人を励ましたのでした。
していました。被害者のお二人は女性で、その方々
ワークショップの後、フィエの中華料理店でお二
を殺そうとした三名の加害者は男性でした。その中
人と夕食を共にしました。佐々木先生ご夫妻と卒業
のサベリアナさん(左端で黄色のドレスを着ている
生のセルジ君も一緒でした。お二人はルワンダでは
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
大きな都市であるフィエに来て、美味しい中華を食
ことを認め、罪の自覚を持ちつつ、サベリアナさん
べられることを子どものように喜びました。手の届
のために働きました。そして、彼女からの赦しを待
かないお皿をお互いのために取り合い、楽しそうに
ったのでした。人間の本能は自分の罪を隠し、発覚
お喋りをしながら食べていました。自分をあれほど
する前に責任から逃れよと教えます。タデヨさんの
まで苦しませた人とどうしたら食事を共にするこ
ような勇気と知恵を持つ人はめったにいません。
とができるのでしょう。このお二人を見て、私は本
日本にいる兄弟姉妹。皆さんは私の兄弟姉妹です。
当に彼らが和解していることを受け入れざるを得
イエス・キリストによって私は皆さんの兄弟です。
ませんでした。そして、真の赦しが可能であると知
イエス・キリストは私たちが神様を知る前からわた
らされたのでした。私は今まで「戦士」のように、
したちの罪のために来られ、自らを献げ、私たちと
人と争いながら生きてきました。しかし今、本当の
和解してくださったのです。私たちは主イエスと
強さと力がどんなものであるかが分かりました。
日々共に生き、神様との平和を得ています。この信
私の心の顔はサベリアナさんの顔よりはるかに
仰を共に歩み、共に生きましょう。
歪んでいます。ただ表面上は、全ての人に笑顔を見
「なによりもまず心を込めて愛し合いなさい。愛
せているだけなのです。私はサベリアナさんよりも
は多くの罪を覆うからです。
」
大きな課題を抱えているのです。私はタデヨさんの
新約聖書 ペテロの第一の手紙4 章8 節
賢明さにも驚嘆します。彼は、自分が殺人者である
「新しい時代は始まっている!」
佐々木 和之
さ さ き か ず ゆ き
見よ、新しいことを私は行う。今や、それは芽生えている。あなたたちは
それを悟らないのか。私は荒れ野に道を敷き、砂漠に大河を流れさせる。
旧約聖書
イザヤ書 43 章 19 節
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。前号で
続可能な平和と開発のための研究・行動センタ
お伝えしましたように、PIASS の平和構築専攻
ー」
(以下、
「平和と開発センター」)の初代所長
第一期卒業生で、最近私の同僚になったセル
に就任されましたが、私はそのセンターの中心
ジ・ムブニくん(「持続可能な平和と開発のため
メンバーとして、先生とは毎日のように共に食
の研究・行動センター」所員)と一緒に、11 月
事をし、語らい、祈るという、まさに兄弟のよ
に三週間ほど首都圏、広島、福岡、沖縄等を巡
うな親しいお付き合いをいただいています(年
ります!多くの皆さまに、最新の報告をお届け
も一つ離れているだけで、普段は「サンフーン」
、
できるようにと願っています。
「カズ」と呼び合う間柄です)。韓国人である先
今号は、まずセルジ君の直接の上司にあたる、
生と日本人である私が、ルワンダで共に祈り、汗
サンフーン・リー先生のメッセージをお届けし
しながら働くことが許されていることは、驚くべき恵
ました。リー先生が PIASS の教員になられた
みです。「土地を奪い、食料を奪い、言葉を奪
ことは、ウブムエ 29 号で既にお伝えしていま
い、名前を奪い、性を奪い、尊厳を奪い、信仰
したが、今回、このように先生の人となりが伝
を奪い、生命と文化を破壊し」た日本の私たち
わってくる文章を掲載できたことをとても嬉し
(日本バプテスト連盟「日韓強制併合」100 年
く思います。先生は、今年の初めに PIASS の「持
の悔い改め)の悔い改めと謝罪を受けとめ、赦
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
しと和解へと手を差しのべ、祈っていて下さる
決の日、何かが終わったのではなく、何かが始
韓国の兄弟姉妹がおられる。その方々の祈りと
まった」といった言葉から希望をもらいました。
期待に応える者でありたいと願います。
そしてこれらの言葉が、今回私の文章の冒頭
「安保法案」が強行採決されてからはや一カ
に掲げたイザヤ書 43 章 19 節の言葉と共鳴しま
月。戦後 70 年、これまで日本という国が平和憲
した。この聖書の言葉は、実は前号でエティエ
法の「非戦の誓い」と共に大切にしてきたこと
ン・ンシミエ君が寄稿文の中で紹介してくれた
が、ことごとくかなぐり捨てられつつあります。
言葉です。
武器輸出の解禁、産学共同の軍事技術研究の推
エティエン君は、ルワンダ大虐殺の後、フツ
進、政府開発援助の他国軍への供与解禁(非軍
難民として過ごしていたコンゴで戦闘に巻き込
事目的に限るとしていますが、他国軍との連携
まれ、父親と生き別れになりました。先日 PIASS
強化を図りたいとの思惑が見え隠れしています)
を卒業し、自分のような境遇の子どもが増えな
など、数え上げればきりがありません。日本は
いように、平和構築に貢献する仕事をしたいと
「戦争のできる国」になるばかりでなく、
「戦争
考えています。そして、今回私と共に来日する
によってお金を儲ける国」、「戦争がないと経済
セルジ君はツチで、大虐殺により父親を殺され
が成り立たない国」へと急速に変容しつつある
ました。しかし、憎しみと暴力の連鎖を断ち切
のです。今まさに、日本が「平和国家」として
るべく、和解プロジェクトに着手しています。
踏みとどまることができるかどうかの正念場を
私たちは、戦争を引き起こそうとする強大な
迎えていると言えるでしょう。
力の前に、無力さを感じることが少なくありま
安保法案が参院で強行採決された翌日、私は
せん。しかし、日本でもルワンダでも、もう新
暗澹とした気持ちで日本のニュースをネットで
しい時代は始まっている!「見よ、新しいこと
チェックしていました。シールズをはじめ、法
を私は行う。今や、それは芽生えている」との
案成立阻止のために全国で連日頑張った若者た
神様の言葉を信じ、歩んでいきましょう。
ちはさぞ疲れ切り、意気消沈していることだろ
お花畑プロジェクト‐球根の植え付け開始!
うと思いながら。しかし、朝の 5 時まで続いた
リーチの癒しと和解のセミナーを受けた虐殺
という国会議事堂前でのデモの様子をネットで
生存被害者の女性たちと加害者を家族に持つ女
視聴し、私は自分が間違っていたと悟りました。
性たちが共に取り組む「切り花作り」
、名付けて
そこでは、若者たちが口々に希望を語っていた
「お花畑プロジェクト」の速報です。土地取得
のでした。
「頼もしい。新しい時代が本当に始ま
の件でいろいろと問題に直面したこともあり、
った!」その時、胸の中に熱いものが込み上げ
当初の計画よりもかなり小規模にはなりました
る中、そう強く感じたのでした。
その二日前にシールズの奥田愛基君が、国会
の公聴会でしたスピーチを皆さんはもう視聴あ
るいはお読みになられたでしょうか。奥田君を
以前から知っている者として、このスピーチを
聞いて誇らしく思い、感動しました。
「新しい時代はもう始まっています。もう止
まらない。すでに私たちの日常の一部になって
いるのです。私たちは学び、働き、食べて、寝
て、そしてまた路上で声を上げます」「強行採
<カラーの球根を植え付け>
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
が、約 40 坪(1.2 アール)ほどの土地を女性た
ちが整備をし、今日(10 月 19 日)から球根の
植え付け作業が始まりました!
このプロジェクトは、女性グループの自主的
な活動を「平和と開発センター」が支援すると
いうスタンスで始まりました。今日は、セルジ
君、私、日本人留学生二名で、カラーの球根を
植え付ける作業を加勢してきました。プロジェ
クト現場のニャンザは PIASS から比較的近いの
で、これからも学生たちを大いに巻き込んでい
<平和構築専攻第二期生が 17 名卒業!>
きます。今週一杯、ユリ、バラ、グラジオラス、
皆さまからの支援金の中から、そのために 50
カンナ、ガーベラなど、9 種類の植え付け作業
万円を用いさせて頂きました。皆さまのご支援
が続きます。来年 4 月~7 月にあるジェノサイ
に心より感謝申し上げます。
ドの記念期間までに、きれいな花を咲かせるこ
留学生募集中!
とができますようにお祈りください。
ピアスの平和・紛争研究学科では、日本から
PIASS の卒業式
の留学生を募集しています!長期では約一年間、
9 月 30 日、PIASS の卒業式があり、平和・紛
短期では一カ月間、これまでに受け入れた日本
争研究学科での学びを終えた 17 名を含む計 70
人留学生の数は八名に上ります。日本で大学三
名を、私が所属する開発学部から送り出しまし
年生を終えた後、一年間休学して来られるケー
た。今回卒業した 17 名は、平和構築専攻第二期
スが多いです。現在も二名の日本人留学生が学
卒業生ということになります。第二期生の中に
んでいます。授業を通しての学びだけではなく、
は、NGO、教会、私企業等で働きながら苦労して
ピースクラブの様々な活動、そして、NGO や国
学びを続けた人たちが少なくありませんでした。
連組織などのプロジェクトを訪問したり、イン
また、仕事のない学生たちは、授業料がなかな
ターンやボランティアとして平和構築の現場を
か支払えずに苦労しました。これらの学生たち
体験することも可能です。興味を持たれる方は、
の大半は、PIASS の奨学金制度によって年間授
「佐々木さんを支援する会」のフェイスブック、
業料の半額(約 3 万 6 千円)を免除されてきま
あるいは支援会事務局までご連絡ください!
した。その奨学基金のために、今年度も日本の
「平和構築ワーカーとして働きたい!」
フロレヘン・
ニュンゲコ
政治危機により、混乱が続くブルンジ。そのブルンジからの留学生が今の
思いを語ってくれました。
皆さま、はじめまして。私は平和・紛争研究
ぶためにルワンダにやってきたのかをお話しま
学科で学んでいるフロレヘンと申します。ブル
す。ブルンジはこれまで何度も暴力紛争を経験
ンジ人留学生で、今月から三年生になりました。
してきました。今現在も、政治危機により死傷
まず、なぜ私がブルンジを離れ、平和構築を学
者が出るような状態にあります。
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
私は以前からブルンジには平和が必要だと分
で、大湖地域の歴史において、若者たちが批判
かっていました。でも平和構築を職業として選
的に考える力を持たず、権力者に盲従したため
択し得るなど考えたこともありませんでしたし、
に、暴力紛争の加害者になってきたことを学び
平和構築の方法について学ぶところがあること
ました。それを防ぐためには、私たち若者が批
も知りませんでした。そんな時、あるブルンジ
判的思考を培っていくことが重要なのです。
人の先生がルワンダに平和学を教えるコースが
私は、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、コ
できたと教えてくれたのです。その知らせを受
ンゴ民主共和国、ウガンダといった国々を含む、
け、私はすぐにそのコースに応募することを決
大湖地域で働く平和構築ワーカーのネットワー
めました。それまで自問自答していた多くのこ
ク作りに取り組んでいます。そしてまた、ピア
とに答えが得られると思ったのです。その中で
ス・ピースクラブで様々な活動を進めています。
も、私のような若者が社会から暴力を取り除く
ピースクラブは今年から、大学の近くにある中
ために何ができるのかを知りたかったのです。
学高等学校の先生方、生徒たち、保護者の方々
これまで学んだ大切なこと
を対象とする平和教育プログラムを始めました。
これまで学んできたことのなかで、やはり何
ピアスの平和構築専攻コースに加わる二年前
と言っても興味深かったのは、平和学概論、紛
までは、私はブルンジと大湖地域全体が暴力か
争分析、交渉と仲裁、非暴力コミュニケーショ
ら逃れることのできない運命にあるのだと思い
ンなど、平和構築と紛争解決に直接かかわる授
込んでいました。しかし今は、学んでいること
業でした。これらの授業は、私のコンフリクト
を生かして、私自身が暴力の連鎖を断ち切るた
(conflict 、紛争だけでなく競合、葛藤、対立
めにできることがあると確信しています。将来
等をも意味する幅広い概念)に対する見方・考
私は、平和構築ワーカーとして、大湖地域の人々
え方を大きく変えました。そして、将来、この
が壊れた関係を再構築していく手助けをしてい
アフリカ大湖地域の社会を良くしていくために、
きたいのです。
私自身にできることを示したくれたのです。
緊迫が続くブルンジ
今、ブルンジは深刻な政治危機を迎えていま
す。それは、大統領が憲法の規定を無視して、
三回目の大統領選挙に立候補し、
「当選」を果た
したからです。今回の政治危機は、私の故郷の
首都ブジュンブラで野党・民主化勢力がデモを
組織したことに端を発してます。警察によるデ
モ参加者への発砲が続く中、国軍内部のグルー
プが 5 月にクーデターを試みましたが失敗しま
した。政府の治安部隊と反政府勢力の衝突によ
り、ブジュンブラの治安は悪化し続けています。
<日本から9条Tシャツを届けてくださった
政府に反対する人々が治安部隊や警察によって
くずめよし さんを囲んで。筆者は最前列右>
殺されるだけでなく、警察官も数名反政府派の
若者たちに殺されました。反政府活動に関与し
学びをどのように生かしていくのか?
ていると見なされた人々の大量逮捕が続き、そ
私はこれまで「ネバー・アゲイン」という、
れらの人々が死傷したり拷問を受けるというこ
若者を対象にした平和構築トレーニングを実施
とが毎日のように起きています。そんな中、多
する NGO のインターンをしてきました。その中
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
くのブルンジ人が近隣諸国に流出し、難民キャ
援が不可欠です。どうかブルンジに真の平和が
ンプでの生活を強いられています。
打ち立てられますように、お祈りください。
政府、野党、市民社会の三者が、一日にもは
この地域に真の平和が実現するには長い年月
やく交渉によってこの状況を打開しなければな
が必要ですが、まず私自身が変わるところから
りません。それだけではなく、多くの暴力紛争
始めなければなりません。私自身が非暴力で平
によるトラウマを負った人々への支援を含め、
和的な態度をしっかりと身に付け、それを人々
息の長い平和構築の取組みが必要です。そして、
と分かち合うことを通して、この地域の平和の
ブルンジの紛争当事者間の交渉プロセスが成功
ために役立つことができるのだと思うのです。
するためには、この地域の政府や国際社会の支
RWANDAFUL!!!
山崎 有馬
や ま ざ き ゆ う ま
PIASS に一年間の予定で留学している日本人学生が寄稿してくれま
した。
皆さまはじめまして。今年の 3 月から PIASS の平
和・紛争研究学科に留学している山崎有馬と申します。
今回は私がルワンダで学んでいること、暮らしてみて
わかったことなどを紹介させていただきます。
日本の大学ではアフリカ地域研究と平和構築を学ん
でいました。ルワンダでは、ジェノサイド後の和解、
隣国(コンゴ民主共和国やブルンジ)の紛争や難民問題
などを学べると思い留学を決意しました。実際、PIASS
では「交渉と仲裁」や「平和教育」など日本では学べ
る機会の少ない講義を受けることができました。
また、
ルワンダだけではなくブルンジやコンゴ出身の学生も
届けくれたりしました。
いて、ディスカッションは毎度白熱しています。ワー
私はルームメイトにも恵まれ、私ともう一人の日本
クショップも度々開かれ、各フィールドの専門家や、
人、ルワンダ人、コンゴ人の 4 人で一軒家をシェアし
現在和解に取り組んでいるジェノサイド被害者の話を
ています。一緒にご飯を作って食べ、お酒を飲んで、
直接聞ける機会もありました。
お互いの文化を話し合う時間はとても貴重です。
和解の問題や難民問題を抱えているルワンダですが、
ジェノサイドや紛争を学ぶことを目標としていた私
ここでの生活はびっくりするほど静かで落ち着いてい
ですが、実際にルワンダで生活してみて、困っている
ます。
殺人や強盗などの話は聞いたこともありません。
人への優しさ、隣人同士の親密な付き合いなど、多く
また、ルワンダ人のお節介すぎるくらいの優しさにも
の大切なことを気づかされました。来て本当に良かっ
感銘を受けています。買い物中、言葉が通じず困って
たと思っています。ルワンダにまだ来られていない皆
いると英語を話せる人が助けてくれたり、財布をレス
さま、ぜひ訪れてみられてはいかがでしょうか…?
トランのテーブルに忘れたときも、外に出てまで私に
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「佐々木さんを支援する会」会報
NO.33 / 2015.11.6(季刊)
●
事務局からのお知らせ
佐々木和之さんの今年二度目の帰国は、11 月 10
日~12 月 3 日です。
報告集会へ、
ぜひご参加ください。
●
2016 年 9 月、支援会主催「第二回ルワンダ和解の
現場・訪問ツアー」を計画しています。ぜひ、和解の現場で起こっている出来事を肌で感じていきましょう。
●
佐々木和之さんは、来年も 6 月と 11 月に帰国し、報告集会をおこなう予定です。 報告会等を希望され
る教会、地方連合、学校関係の方は、「支援会」事務局長の播磨(携帯 090-6150-0268)までご相談ください。
帰国報告集会 2015 のご案内
「平和と和解・宣教フォーラム」
佐々木和之さんのルワンダの平和と和解の取り組み、第 5 期(2017 年-2020 年)
を前に、評価と展望をおこないます。
(このフォーラムは、宿泊・食事が伴うため、事前に申込みが必要です)
2015 年 11 月 13 日(金)15:00 - 14 日(土)10:00 会場:「天城山荘」
問合せは「支援会」事務局長 播磨 聡 (携帯:090-6150-0268)まで
報告集会 in 広島
2015 年 11 月 15 日(日)
13:30-15:00
会場:日本バプテスト広島キリスト教会
広島市中区舟入町 12-7 電話 082-293-8683 牧師 播磨 聡、小野祐基
特別平和講義 in 福岡
2015 年 11 月 21 日(土)
13:00-18:00
会場:大名クロスガーデン 参加費 300 円
福岡市中央区大名 1-12-17 (問合せ:平尾教会)電話 092-531-6729 牧師 平良憲誠、森 崇
報告集会 in 沖縄
2015 年 11 月 29 日(日) 15:00-17:00
会場:日本バプテスト連盟 那覇新都心キリスト教会
沖縄県那覇市銘苅 3-21-46 電話 098-941-2901 牧師 岡田有右
●事務作業を簡素化するため、すべての支援者に一律に「振替用紙」を同封させていただいています。
請求ではありませんのでご了承ください。必要な方はご利用ください。
●郵便振替口座
00250-0-112907
佐々木さんを支援する会●
●佐々木さんを支援する会HP(ホームページ)
佐々木さんの活動報告、写真館、等。HPから入会手続きも可能
http://rwanda-wakai.net/
●世話人会 金子
です。 佐々木和之さん、恵さんのブログも適時更新しています。
敬(古賀教会牧師)、中條智子(長住教会牧師)、蛭川明男(洋光台教会牧師)、
村上千代(日本バプテスト女性連合幹事)、播磨 聡(広島教会牧師)
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