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NL0112
創刊2号 2001年12月16日発行 日本フォースクエア福音教団七飯シオン教会 いのちの水の郷だより パールハーバー以後:憎しみから愛と平和の人生へ 戦争は、人の心に平和をもたらしません。60年前、クリスマスが近づきつ つある静かな日曜日の朝、ハワイを突如襲った奇襲攻撃は、日米間に大きな 憎しみを生じさせました。その憎しみが愛に変えられたのは、ただ神の奇蹟 だったのです。日本の淵田中佐と米国のディシェイザー軍曹は、キリストと の出会いを通し、互いに赦し合い、平和な関係を築くことができました。 創刊2号の特集: •創刊2号では、旧日本海軍の淵田中 佐と米国陸軍のディシェイザー軍曹 憎しみの連鎖反応 の人生を、大きく変えた出会いを特 集しました。 •平和は、どこからもたらされるの か、二人の話は現代に生きる私たち にとって、示唆に富んでいます。 •今回の文章は、BLIホームページ (www.bli.org)に掲載されている トラクト本文からの翻訳です。 目次: 憎しみの連鎖反応 1 キリストにある赦し 2 日本人への愛と憐れみ 2 新しい使命 3 神との和解、互いの和解 3 1941年12月7日午前7時49分頃(現 地時間)。淵田美津雄中佐(39) は、 ハワイ・パールハーバー 上空のうねるような雲を 抜け、360機による攻撃隊 を率いていました。彼の 心には、一つの思いしか ありませんでした。敵国 アメリカを叩きのめすこ とです。淵田隊が平和な 港に照準を合わせたその時、中佐は マイクを手にし、にやりとしながら 命令しました。「全機、攻撃せよ。」 数時間にわたって、静かだった海 は猛攻撃の嵐となり、米艦船が一隻 ずつ撃沈され、海中に傾き始めまし た。奇襲は成功でした。淵田隊は近隣 の飛行場、ドック、兵舎を残酷なほど まで爆撃。米兵3,622人が死亡または 行方不明となり、 800人以上の負傷 者が出ました。有名な「トラ!トラ! トラ!」という言葉により、淵田中佐 は味方の将官たちに攻撃完了を通知 しました。 「それは私の経歴上、スリ ルに満ちた功績だった。」淵田は後 年、こう述べています。 一方... 同じ朝、ジェイコブ・ディシェイザ ー軍曹は、オレゴンの陸軍基地で炊 事勤務中にあり、ポテトの皮をむい ていました。日本に よるパールハーバー 攻撃のニュースがス ピーカーから流れる と、ディシェイザー は激怒し、叫びまし た。 「ジャップめ、今 に見てろ!」その時、 日本人に対する激しい憎しみが若い ジェイコブ・ディシェイザーの心に 生まれ、一日ごとに憎しみが増加し ていったのです。 彼はすぐ、後にドゥーリトル爆撃 隊として知られる極秘任務の爆撃隊 の爆撃手に志願しました。パールハ ーバー攻撃の4ヶ月後、ディシェイザ ーの爆撃隊は東京を奇襲することに なります。しかし、その任務を終えた 後、ディシェイザーの爆撃機は燃料 を切らしてしまいました。彼と他の 乗組員は、敵地にパラシュートで降 りざるを得ませんでした。ディシェ イザーは翌日捕虜となり、40ヶ月間、 収容所に入りました。そのうち34ヶ 月は、独房暮らしでした。その間、デ ィシェイザーはひどく鞭打たれ、栄 2ページ いのちの水の郷だより 養失調となりました。仲間の3人は銃 殺隊により処刑され、他の1人は餓死 してしまいました。これらの出来事 は、ディシェイザーの日本人憎悪の 火に油を注ぐ結果となり、彼自身を も焼き尽くしそうなほどでした。 「私 は、そのような人種間の憎悪がいっ たいなぜ生じて来たのか考え始めま した。」彼は、そう回想します。 「どうして日本人はアメリカ人を憎 むようになり、なぜ私は日本人を憎 むようになったのだろうか?」彼は、 まさに答えを見出そうとしていたの です。 キリストにある赦し ディシェイザー 「ど うして日本人はアメ リカ人を憎むように なり、なぜ私は日本 人を憎むようになっ ディシェイザーは、憎しみが愛に 変えられたというキリスト教の話を 思い出しました。聖書の中に、もしか したら秘密が隠されているのではな いかと考え、詳しく調べてみたいと いう思いが急に強くなりました。彼 は聖書の差入れを願い出、収容生活2 年を経た後、ようやくその願いが聞 き入れられました。但し、数週間の期 限付きでした。ディシェイザーは、一 章また一章と聖書をむさぼり読みま した。最初は旧約、そして新約。彼は、 日本人に対する憎しみを含めた自分 の罪が、神と自分を引き離して来た ことを理解し始めます。しかし、イエ ス・キリストを通して天の父と和解 できることも分かりました。1944年 6月8日、ディシェイザーは(聖書の中 の)ローマ人への手紙10章9節を読み ました。 「もしあなたの口でイエスを 主と告白し、あなたの心で神はイエ スを死者の中からよみがえらせてく ださったと信じるなら、あなたは救 われるからです。」ディシェイザーは 心で信じ、自分の罪を神に告白しま した。そして、本当の赦しとは何か、 見出すことができたのです。 たのだろうか?」 日本人への愛と憐れみ その日、ディシェイザーの独房に奇 蹟が起きました。彼の体は鞭打ちと栄 養失調でがたがたでしたが、神は彼に キリストにある新しい霊的いのちを 与えられたのです。それは、喜びに満 ちたものでした。神の赦しにある自由 に喜びあふれ、ディシェイザーは彼を 捕らえている者たちを、突然新しい方 向から見ることができました。「神が 新しい霊的な目を私に与えて下さっ たことに気がついたのです。」彼は言 います。「私と私の仲間を残酷なまで に飢えさせ、鞭打った日本人将校や番 兵たちを見ると、彼らへの苦々しい憎 悪が愛と憐れみとに変えられていま した。彼らは救い主のことを何も知 らず、キリストが心の中におられな いのだとすれば、残酷になるのは当 然だと思いました。」 「父よ。彼らをお赦し下さい。彼 らは、何をしているか自分でわから ないのです。」キリストが十字架上 で祈られたように、ディシェイザー は彼を苦しめた人々が神に赦され るよう祈り始めました。そして、日 本人も神と和解できるよう、いつか 日本に戻り、救いのメッセージを伝 えることを心に誓いました。1945 年8月20日、終戦によってディシェ イザーたちは収容所から解放され 3ページ 創刊2号 ました。ディシェイザーは献身の志を 捨てず、クリスチャンの大学に進学。 宣教師になるための勉強をし、日本に 戻ってキリストを伝える準備を始め ました。 新しい使命 パールハーバー攻撃後、淵田中佐 は国民的英雄となりました。パール ハーバーの成功を踏み台とし、それ から4年にわたる戦争を通して、日本 を勝利に導くよう心に決めていまし た。ですから、天皇が日本の降伏を発 表した時には、淵田は憤慨し、絶望し ました。終戦と同時に、淵田の輝かし い軍歴にピリオドが打たれ、彼は大 阪近郊の故郷に戻って農業を始めま した。戦争犯罪について証言するよ う、ダグラス・マッカーサー元帥から 出頭を命じられ、ある日淵田が東京 で汽車を降りると、アメリカ人から 「私は日本の捕虜だった」と題した 小冊子が手渡されました。著者は、ジ ェイコブ・ディシェイザーでした。キ リストの力強いみわざにより、ディ シェイザーの人生と彼を捕らえた者 たちへの思いがいかに変えられたか ということを読み、淵田の心は揺さ ぶられました。ディシェイザーが見 出した平安は、まさに淵田が求めて いたものでした。聖書の中にそれを 見出したということでしたので、神 道の伝統に育った淵田ではありまし たが、彼も自分で読むため聖書を買 い求めました。淵田の心をとらえた のは十字架刑の記述であり、特にル カ23:34に記されるイエスが昇天す る際の祈りでした。「父よ。彼らをお 赦し下さい。彼らは、何をしているか 自分でわからないのです。」 「確かに自分も、イエスが祈られた 者たちの中に含まれているいうこと に、私は感銘を受けたのです。」と淵 田は語っています。 「私が殺した多く の人々は、愛国心の名の下に殺戮さ れました。私は、キリストがすべての 人の心に注がれようとしている愛の ことが、分からなかったです。」この 世の罪の身代わりとしてイエスが御 自身の命をささげられたことを悟っ た時、淵田は神に祈り、彼の罪の赦し を求めました。そして、憎しみに満ち た元パイロットから、目的を持ち、心 の調和のとれたクリスチャンに変え られるよう祈ったのです。その時か ら、淵田の人生は変わり始めました。 神は、彼の心を縛っていた苦々しさ と憎しみの束縛から彼を解放し、か わりに愛と思いやりの心を与えて下 さり、キリストにある自由を他の人 に伝えたいという願いが彼の心に湧 いてきました。 神との和解、互いの和解 淵田はディシェイザーと同様、キ リストのことを他の人に伝えました 。実際、彼らは何年も伝道者として働 きました。ディシェイザーは日本で、 そして淵田はアジアと世界中で、彼 らがイエスを通して知った赦しにつ いて語ったのです。かつて敵同士で あったこの二人は、友人同志になり ました。神による奇蹟的な心のいや しの良い証しです。ディシェイザー と淵田は、神と和解した時初めて、彼 (4 ページに続く) 淵 田 「私 は、キ リ ストがすべての人の 心に注がれようとし ている愛のことが、 分からなかったので す。」 日本フォースクエア福 音教団七飯シオン教会 〒041-1112 北海道亀田郡七飯町鳴川213-1 Tel & Fax : 0138-65-1275 Email : [email protected] 「イエス・キリストは、きのうもきょう も、いつまでも、同じです。」ヘブル 13:8 いつでも、お気軽に お出で下さい。 私たちのビジョン・いのちの水の郷づくり *私たちは、天地の造り主・父なる神が、神の国 「いのちの水の郷」づくりに遣わされた主イエ ス・キリストを、心の中に受け入れます。 *聖霊なる神が、心の奥底からいのちの水として 溢れ、私たちを満たし、さらに外側に豊かに流 れ出すことを求めます。 *いのちの水が、私たちの心と生き方を変え、そ の流れにふれられた人々が日本中・世界中で 「いのちの水の郷」づくりに奉仕していくこと を信じます。 (3 ページから続く) らに罪を犯した者を心から赦すこと ができたのです。二人の人生に神の 赦しがなかったら、彼らには互いを 赦す度量も願いも生まれて来なかっ たでしょう。二人は、そう悟ったので す。 ディシェイザーと淵田が見出した イエス・キリストによる赦しは、第2 次大戦の時と同様、今でも手にする ことができます。もし、あなたが同じ 赦しを手にしたいなら、次のように 簡単に祈ってみて下さい。 「神様、私は自分が罪人であり、あな たの赦しが必要であることを認めま す。私は、イエス・キリストがその尊 い血を流し、私の罪のために死んで 下さったことを信じます。私は自分 の罪から離れ、イエス・キリストが救 い主として私の心と人生の中に来て 下さるよう求めます。どうか聖書を 読んで理解できるように、そして毎 日あなたと祈りの中でお話しできる ように助けて下さい。アーメン。」 BLIトラクト「パールハーバーにて、 赦しを見出す」より(佐藤成紀訳)