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熱エネルギーと電気エネルギーの変換

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熱エネルギーと電気エネルギーの変換
1
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
Conversion between Electrical Energy and Thermal Energy
12・1
電気エネルギーと熱エネルギー
電気エネルギーの発生は,そのほとんどが熱機関をベースにしたシステム
によって行われている.すなわち,化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の燃
焼あるいはウランの核分裂反応によって得られる熱エネルギーを一次エネル
ギーとし,これをタービンの機械的回転運動エネルギーに変換した後,発電
機を介して電気エネルギーに変換して利用している.これを間接発電
(indirect electric power generation)と呼ぶのに対して,一次エネルギーから
機械的エネルギーを経ることなく,直接に電気エネルギーに変換する場合,
これを直接発電(direct electric power generation)と呼ぶ.例えば,熱電発電は,
熱電現象を利用して,熱エネルギーから直接電気エネルギーを得る.燃料電
池は,電気化学的燃焼により,水素から直接電気エネルギーを得る.これら
のエネルギー変換には,熱機関を介しておらず,カルノー効率(熱機関で得ら
れる最高効率)以上の変換効率が期待できる. この章では,熱エネルギーか
ら電気エネルギーへの直接変換について見てみよう.
また,その逆に熱エネルギーの利用において,その扱いの容易さ,制御
性の良さから電磁気エネルギーを介して利用することが多く,その利用形態
は多岐にわたっている.ここでは,特に電磁気エネルギーから変換した熱エ
ネルギーを積極的に利用する形態として,抵抗加熱,誘導加熱,誘電加熱な
どを紹介する.
12・2
熱電子発電
12・2・1 仕事関数と起電力
ある物質(固体)から真空中に電子を取り出すために必要な最小エネルギ
ーをその物質の仕事関数(work function)と呼び,これは物質固有のもので
[ ]
ある.例えば, 図 12.1 に示すように,二種類の金属板 A,B をある距離 d m を
おいて対向させる.金属板 A を加熱してその仕事関数より大きなエネルギー
を与えると,熱電子が放出され金属板 B に向かう.この回路に外部負荷をつな
ぐと電流が供給され仕事を行う.これを熱電子発電(thermionic generation)
と呼ぶ.
[ ]
あ る 金 属 板 の 温 度 を TA [K] , 仕 事 関 数 を eφ A eV , フ ェ ル ミ 準 位 を
W fA [eV ] とする.この中の電子が eφ A 以上の熱エネルギーを与えられると,
[ ]
真空のエネルギー準位 Wv eV を越えて熱電子を放出する.金属の仕事関数
2
と温度 TA での熱電子飽和電流密度 J s [A m ] の関係は,次のリチャードソ
ン・ダッシュマンの式(Rechardson-Dushman Equation)によって与えられる.
図 12.1
熱電子発電の原理説明図
2
第 12 章
電子の質量
m e = 9.109534 × 10
−31
[kg]
k = 1.380662 × 10 −23
[J⋅ K −1 ]
[A m 2 ]
= 4πmek 2 / h 3 = 1.20 × 10 6
(12.1)
[A⋅ m −2 ⋅ K −2 ]
をリチャード
ソン・ダッシュマン定数(Rechardson-dushman’s constant)と呼び, m[kg] は
電子の質量, k [eV/K] はボルツマン定数, h [eV⋅ s] はプランク定数である.
プランク定数
h = 6.626176 × 10
 eφ 
2
J s = CT A exp − A 
 kT A 
ここで,C
ボルツマン定数
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
このようにリチャードソン・ダッシュマン定数は物質によらないが,実際に
−34
[J⋅ s]
は物質の表面状態の熱電子放出に与える影響が大きいので対象物質によって
異なってくる.
電荷
発電器としては,先に示したように二つの電極を,微小間隔を介して対向配
e = 1.6021892 × 10 −19
[C]
置し,一方の電極温度を高温( TA ),他方を低温( TB )に保つ.高温電極が熱
電子のエミッタとなり,低温電極がコレクタとなる.放出された熱電子は,温
度 TB [K] ,フェルミ準位 W fB [eV] ,仕事関数 eφ B [eV] の金属板 B(陽極)に達
して, eφ B に相当するエネルギーを熱として失い,伝導電子となって負荷を
介して金属板 A のフェルミレベルを保つ.
したがって,理想的には起電力(開放電圧)は両金属板の仕事関数の差で
決まる.
V0 = φ A − φ B
(12.2)
よって特に陰極(エミッタ)としては,仕事関数が比較的大きく,耐熱性の高
い高融点金属のタングステン(W:4.5[eV]),タンタル(Ta:4.3[eV]),モリブ
デン(Mo:4.2[eV])などが用いられる.一方,陽極(コレクタ)は低温に保
つ必要があるが,極間距離が小さいこともあり同様に高融点金属あるいはそ
の金属酸化物が用いられる.
12・2・2 空間電荷の影響
実際には,熱励起された電子雲が空間電荷として両極間に存在するので,こ
れによる電位障壁が存在し,図 12.2 のように陰極から放出されて陽極に向か
う電子流の内, eφ a [eV]の障壁を越えたものが陽極に達するので,その電子流
の密度 J A は,これによって式(12.1)より少なくなり,

 eφ
J A = C AT A2 exp − A

 kT A

 eφ 
 exp− a 

 kT A 
(12.3)
となる.同様に,陽極から陰極に向かう電子流密度 J B も

 eφ 
 eφ 
J B = C B TB2 exp − B  exp− b 

 kTB 
 kTB 

 e(φ a + φ A − φ B − V ) 
 eφ 
= C B TB2 exp − B  exp−

kTB



 kTB 
(12.4)
と表すことができる.出力電圧 V は,
図 12.2
空間電荷の影響
V + φ B + φb = φ A + φ a
(12.5)
3
12・1 電気エネルギーと熱エネルギー熱電子発電
V = (φ A − φ B ) + (φ a − φ b ) =
1
(W fB − W fC )
e
(12.6)
我々が扱う物質は原子の集合物で
となり, (φ A − φ B ) は極材料で決まるので,出力電圧は結局空間電荷に依存
ある.原子同士はイオン結合,共有結
することになる.簡単のために,両電極の面積を等しく S とし, C A = C B と仮
合,金属結合によって物質を形成して
定すると,両電極間に流れる電流は I = S ( J A − J B ) となる.出力電流は空間電
いる.
荷によって制限されるので,電極間の距離を小さくするか,空間電荷を中和
単原子が近接してくると相互に影
する正イオンを持つ電離気体(例えばセシウム Cs)を封入することが行われ
響を及ぼし,これらの電子のエネルギ
る(プラズマ形発電器).封入する電離気体の電離エネルギーが加熱陰極の仕
ーレベルは結晶の原子間隔に依存し
事関数より小さければ,ガスは陰極面で電離され空間電荷を中和する.また,
た帯状(エネルギー帯)になっている.
電離した正イオンが陽極に付着し陽極の仕事関数を低下させるので出力電圧
金属導体(金属結合)の結晶構造では,
が大きくなる.
原子間隔が小さいため価電子の波動
12・2・3 熱電子発電器の出力と効率
関数は全体に拡がっており,エネルギ
次に,開放電圧 V0 を求めてみる.簡単のために,空間電荷の影響が小さい
として, φ a = 0 とし, I = 0 とすると,
(12.7)
ーを得る必要がある.このエネルギー
ると,開放電圧は 1.62V となる.
壁を仕事関数(work function)とよび,
真空のエネルギーレベルと金属のフ
陰極に熱を与えると,このエネルギーは電子が陰極から障壁
e(φ A + φ a ) [eV ] を越えるエネルギーと,電子が熱運動するためのエネルギー
2kT A [eV ] に使われる.等価的な電位障壁 e(φ A + φ a ) + 2kT A を越えて電流密
2
に出るためには,金属表面のポテンシ
ャルエネルギー壁を越えるエネルギ
例えば, T A = 2000 [K] , TB = 1000 [K] とし, φ A = 3 [V] , φ B = 1.5 [V] とす
[
子(free electron)となっている.この
電子は,金属内では自由であるが,外
kT
V0 = (1 − θ )φ A − 2 B ln θ
e
とできる.ここで, θ = T B T A である.
度 J A A/m
ー帯が重なり合っていわゆる自由電
] の電流が流れるので,陰極でのエネルギー密度は,
ェルミレベルとの差である.
フェルミレベルとは,金属の持って
いる自由電子がとのエネルギーレベ
ルまで詰まっているかを示すもので
ある.絶対零度で,電子はすべて基底
[W/m ]
2kT A 

(φ A + φ a ) +
J A
e 

2
(12.8)
ン自由度を考慮して2個しかは入れ
とできる.一方陽極から陰極へ流れる電子のエネルギーも同様に,
[
2kTB 
2kTB 


2
(φ B + φ b + V ) +
 J B = (φ A + φ a ) +
 J B W/m
e 
e 


となるので,発電器への入力エネルギー密度 Pin は,
[
ないというパウリの排他律によって,
]
(12.9)
]
となる.取り出される電気エネルギーは,
[W/m ]
2
あるエネルギー準位まで埋まってい
る.これをフェルミレベル W f [eV] と
2kT A 
2kTB 


2
Pin = (φ A + φ a ) +
 J A − (φ A + φ a ) +
 J B W/m (12.10)
e 
e 


Pout = V (J A − J B )
状態にいるのではなく,各準位にスピ
いう.エネルギー W [eV] の電子が温
度 T [K] の 時 に そ の エ ネ ル ギ ー 準 位
に入る確率(占有確率)は,
(12.11)
f ( E ) = {1 + exp
W −Wf
kT
}−1
となる.実際には,極板間に存在するプラズマ中およびリード線での熱伝導
で与えられ,この確率関数をフェル
損 PLc およびジュール損 PLj ,陰極から陽極へ熱放射されるときの放射損 PLe
ミ・ディラック(Fermi-Dirac)の分布
関数とよぶ.
があるので,総合的な効率は,
η=
Pout
Pin + PLc + PLe + PLj
で表されることになる.
(12.12)
4
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
熱電子発電は,普通 1000 度以上の高温熱源を必要とするので,特殊用途に
限定され,熱源としては核分裂反応(原子炉)や太陽光集光(宇宙探査機)
での利用が検討されている.
12・3
熱電変換
12・3・1 熱電効果
金属や半導体の温度が場所によって均一でなく熱伝導が定常的にある場合,
この高温部から低温部への熱の流れ(熱エネルギー)は電子と正孔(キャリ
ア)によって運ばれる.金属の高温部では電子の運動エネルギーが大きく低
温部へ移動し電荷が溜まる.すなわち温度勾配に比例してポテンシャルの勾
配が生じキャリアの移動とバランスする電界が発生する.これを熱電現象
(thermoelectric phenomena)とよぶ.熱電現象を利用して,熱エネルギーを
直接電気エネルギーに変換する発電方式を熱電発電という.逆にこの熱電効
果(thermoelectric effect)を利用して,電気エネルギーにより直接冷却するも
のを熱電冷却と呼ぶ.熱電効果は,次に述べるゼーベック効果,ペルチェ効果,
図 12.3 ゼーベック効果
トムソン効果を総称するものである.
(1)ゼーベック効果(Seebeck effect)
図 12.3 に示すように,「2種の金属あるいは半導体 A,B の接合部を他端の
温 度 T [K] よ り ∆T だ け 高 く 保 つ と , こ の 温 度 差 に 応 じ た 熱 起 電 力
(thermo-electromotive force) V AB [V] が発生する現象」は,1821 年にゼーベ
ックによって発見され,これをゼーベック効果という.この2種の導体を接
合したものを熱電対(thermocouple)と呼び,これに負荷をつなげば,熱電
流が流れエネルギーが取り出せることになる.これは,導体 A において熱流
によって駆動される電流 I A が導体 B における熱流によって駆動される電流
I B より大きい場合,A 側下端に電荷がたまり電位が生ずると説明できる.こ
こで, V AB と ∆T
= Th − Tc の間には次のような関係が成り立つ.
V AB = ∫ α AB (T) d T
Th
Tc
(12.13)
ここで, α AB は単位温度差あたりの導体 B に対する導体 A の(相対)ゼーベ
ック係数(Seebeck coefficient)あるいは(相対)熱電能と呼ばれ,
α AB = lim
ΔT →0
ΔV AB d V
=
dT
ΔT
(12.14)
で与えられる.
図 12.4
ペルチェ効果
(2)ペルチェ効果(Peltier effect)
図 12.4 に示すように,
「 ある一定の温度に保たれた熱電対に電流を流すと,
その接合部でジュール熱ではない熱発生あるいは吸収が起こる現象」は,1844
年にペルチェによって発見され,ペルチェ効果と呼ばれる.このときの単位時
間当たりの発熱(吸熱)量 Q [J] と電流 I [A] との関係は,
Q =π
AB
I
と表され, π AB はペルチェ係数(Peltier coefficient)である.
(3)トムソン効果(Thomson effect)
(12.15)
5
12・3 熱電変換
これらの効果をより一般的にして,「ある導体の一部に温度差があり,ここ
に電流が流れたとき,この部分で熱発生(吸収)が起こるとしたもの」をト
ムソン効果と呼び,1854 年トムソン(ケルビン卿)によって,単位時間当た
[]
[ ]
[ ]
りの発熱量 J と温度差 K ,電流 A の間に,次の関係が導かれた.
Q = τΔTI
(12.16)
ここで, τ はトムソン係数(Thomson coefficient)であり,物質固有の定数で
ある.温度勾配の方向と電流の向きをそろえ,発熱を正とする.
(4)ケルビンの関係(Kelvin’s Relations)
以上のべた3つの係数の間には,次のケルビンの関係(Kelvin’s Relations)
が成り立つ.すなわち,
π AB = α ABT = (α A − α B )T
τ A −τ B = T
ここで, α A =
d α AB
dT
T
τA
0
T
∫
(12.17)
dT ,
(12.18)
T
τB
0
T
αB = ∫
d T であり,それぞれ物質A,Bの
絶対ゼーベック係数(absolute Seebeck coefficient)という.
ケルビンの関係について詳しく見てみよう.図 12.5 に示すように,2種の
[ ]
金属を接合させ 1 A に相当する正電荷をゆっくり a→b→c→d→e→a と動か
したとする.このときジュール熱を無視すると,この系で発生する熱は,ペル
チェ効果による発熱とトムソン効果による発熱であり,それぞれ,
π AB (T ) − π AB (T + ∆T )
τ A ∆T − τ B ∆T
(12.19)
(12.20)
となる.ゼーベック効果による熱起電力 V AB を越えるエネルギーを与えて正
電荷は一周する.このとき,熱力学第 1,2 法則が成り立つので,
π AB (T ) − π AB (T + ∆T ) + τ A ∆T − τ B ∆T + V AB = 0
π AB (T )
π AB (T + ∆T ) τ A ∆T − τ B ∆T
+
=0
T
T + ∆T
T
となる.両式を ∆T でわって,極限を求めると,
lim
∆T → 0
−
∆V AB
π AB (T ) − π AB (T + ∆T )
=0
+ τ A − τ B + lim
0
→
∆
T
∆T
∆T
π AB (T ) π AB (T + ∆T )
−
τ −τ B
T
T + ∆T
lim
+ A
=0
∆T → 0
∆T
T
(12.21)
(12.22)
(12.23)
(12.24)
となるので,
d π AB (T )
d V AB
(12.25)
=0
+τ A −τ B +
dT
dT
d π AB (T )
π (T )
T
− π AB (T )
d AB
τ
−
τ
τ −τ B
dT
T
B
−
+ A
=
− A
=0
2
dT
T
T
T
−
(12.26)
である.したがって,
α AB (T ) =
π AB (T )
T
(12.27)
図 12.5
トムソン効果
6
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
d α AB (T ) τ A − τ B
=
dT
T
(12.28)
とできる.これを積分すると,
T
τ A (T ′)
0
T′
α AB (T ) = ∫
T
τ B (T ′)
0
T′
dT ′ - ∫
d T ′ = α A (T ) − α B (T )
(12.29)
となる.式(12.17),(12.18)が示された.
12・3・2 半導体の熱起電能
熱電発電器に使われる金属の熱起電能(ゼーベック係数)はせいぜい
α = 50 [μV K ] 程度と小さく,後で述べる性能指数 Z も小さいので,実際の
熱電発電には,半導体材料がよく用いられる.
金属と半導体の接合部に温度差を与えると,p型半導体の場合は低温部が
正極,n 型半導体では負極となるように熱起電力が発生する.図 12.6 にn型
半導体に金属電極をつけて熱電回路を構成したとき,一端を加温する前
( Th = Tc )と加温した後( Th > Tc )のエネルギーレベル図を示す.片方の
電極を加熱して,温度差 T = ∆Th − Tc をつける(半導体内の温度勾配は一様
とする)と,これによる半導体の伝導体に存在する電子密度 ne の増加分 ∆ne
は,低温側に向かって拡散する.これによって,回路の開放端には,低温側
図 12.6 n形半導体エネルギーバン
が負極,高温側が正極となる起電力が現れる.このときの熱起電能 α n は,図
ド
12.7 の半導体のエネルギー帯を考慮すると,
13
α n =  k +
e2
Wc − W f 


T

[V/K ]
(12.30)
とできる.同様に,p形半導体の熱起電能 α p は,
13
e2
α p = −  k +
W f − Wv 


T

[V/K ]
(12.31)
となる.したがって,p,n半導体を接続した熱電発電器の熱起電能は,
図 12.7 半導体のエネルギー帯
W g = Wc − Wv として,
原子に属する電子のエネルギー
1
質のそれはこれらが重なり合っ
て,エネルギー帯(energy band)構
W 
g

α =  3k +
e
T 
レベルは不連続な値をとるが,物
[V/K ]
(12.32)
となる.
造となる.半導体では,伝導帯(底
のエネルギーレベル Wc )と価電子
帯(天井のエネルギーレベル Wv )
12・3・4 熱電発電器の出力と効率
3
図 12.8 のように,長さ l [m] ,断面積 A [m ] ,抵抗率
ρ [Ω m] ,熱伝導率
の間に禁制帯( W g = Wc − Wv )を
持つ.
κ [Wm −1K −1 ] の金属あるいは半導体があり,上部から単位時間あたり Q [W]
の熱を定常的にあたえられている.上部高温部 Th [K] からの距離 x [m] での
温度を T [K] とし,熱電流 I [A] が流れているとする.底部低温部を Tc [K] と
7
12・3 熱電変換
する.この導体のペルチェ係数を π [Js A ] ,熱起電能を α [VK ] とする
−1
−1
−1
と,この導体で単位時間当たり,単位面積当たりのエネルギー収支は,
q − π (T ) J + κ
dT
=0
dx
[Wm ]
−2
(12.33)
で与えられる.ここで,熱流速 q = Q A ,電流密度 J = I A である.これを x
で微分して微小長さ dx で注目すると,
[
]
d π(T)
d2 T
(12.34)
+κ
= 0 Wm −3
dx
d x2
であるから, π (T ) = αT および α = d V d T, d V d x = ρ J より,
J
d2 T
(12.35)
=0
d x2
となる.境界条件として, T (0) = Th , T (l ) = Tc を与えて解くと,各位置での温
ρJ 2 + κ
度が,
T ( x) = −
T −T
1 ρJ 2 2 1 ρJ 2
x +
lx − h c x + Th
2 κ
2 κ
l
と求められる.これを,式(12.33)に代入して,断面積
[K ]
(12.36)
A をかけると,
 ρJ 2
T −T 
1 ρJ 2
qA − αTJA + κA−
x+
l− h c=0
2 κ
l 
 κ
[W ]
(12.37)
図 12.8
熱電素子モデル
となる.高温点( x = 0 )でのエネルギー収支を考えると,
1
Q = αTh I + K (Th − Tc ) − rI 2
2
[W ]
となる.ここで,熱コンダクタンス K = κ
[
(12.38)
]
l
A
WK −1 ,抵抗 r = ρ [Ω] であ
l
A
る.このように,高温点での熱入力は,ペルチェ効果による熱と伝導熱の和
から内部抵抗によるジュール熱の半分を差し引いたものとなる.
実際の発電器では,図 12.9 に示すようにn型半導体とp型半導体を電極板
で接続し,この電極板を電気絶縁物を介して加熱し,反対側の電極板は低温に
保つ.両電極板の間に温度差 Th − Tc を生じ,低温極板間に負荷抵抗 R を接続
すると,各半導体間に発生した熱起電力によって p 型半導体低温極板からn
型半導体低温極板に電流が流れエネルギーが取り出される.これをひとつの
セルとして直列接続し出力を得る.
式(12.38)において,p 形,n形半導体のそれぞれのパラメータを使って
α = α n − α p , (α = α n + α p )
K = Kn + K p = κn
r = rn + rp = ρ n
A
An
+κp p ,
ln
lp
(12.38)’
l
ln
+ ρp p
An
Ap
とすればよい.ここで,添え字のn,pはn型,p型半導体のそれぞれの値
図 12.9
路
熱電発電器と等価回
8
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
である.
この等価回路を示すと図 12.9 のようになる.負荷抵抗両端に現われる出力
電圧 V は,
V = {α n + α n }T − I (rn + rp ) = α∆T − Ir ,
[V]
(12.39)
とできる. r は内部抵抗である.よって出力電流 I は,
I=
α∆T
R+r
,
[A]
(12.40)
出力 P [W ] は,
P = VI = (α∆T − Ir )I = (α∆T )
2
R
(R + r )2
[W ]
(12.41)
となる.ここで, γ = R r とおくと,
(α∆T )2
γ
(1 + γ )2 r
P=
[W ]
とできるので,出力最大となる外部抵抗 R は, d P
(12.42)
d γ = 0 を解いて,γ = 1
のとき,すなわち R = r である.この時,最大電力は,
1 (α∆T )
4
r
2
Pmax =
(12.43)
となる.
一方,式(12.38)の入熱 Q に対する出力 P から効率 η が次のように与えられ
る.
P
1
= ηc
Q
 1 Ta (1 + γ )2 1 
+
1 +

γ
ZTh 
 γ Th
η=
(12.44)
ここで,
Ta =
Th + Tc
,
2
ηc =
∆T
,
Th
Z=
α2
Kr
である.η c はカルノー効率であり,上式右辺第 2 項の分母が1より大きいこ
とから,効率はカルノー効率より小さくなることがわかる.
Z は,この熱電発電セルの性能指数(Figure of merit)と呼び,大きいほど
効 率 がよ くな る. Kr は , 各 半導 体 の特 性と 形状 に依 存 する が ,形 状因子
( l p , l n , Ap , An )に対して,
ln
An
ρn l p
=
κ n Ap
ρp
κp
(12.45)
のとき最小値をとり,性能指数は以下のように,半導体の物性値で決まる.
9
12・4 熱磁気発電・熱誘電発電

αn −α p
Z =
 κ n ρ n + κ p ρ p
(



2
)
(12.46)
一般に,ある物質の性能係数は,
Z=
α2
κρ
(12.47)
で与えられ,大きいほど効率がよいことになる.
性能係数が, 式(12.47)で与えられたとき,最大効率となる負荷 R は,
dη d γ = 0 として求められる.
R = γ m r = 1 + ZTa r
(12.48)
このとき,最大効率は,
η max = η c
γ m −1
γ m + Tc Th
(12.49)
が得られる.
図 12.10
モジュール化熱電発電器
先に述べたように,熱電変換素子の起電力は数十~数百 [mV] と低いので,
電源として利用するには図 12.10 に示すように,モジュールを多数直列(並
列)する必要がある.熱源(エネルギー源)としては,ラジオアイソトープ
(放射性同位元素)や原子炉からの熱などが利用される.1977年に打ち
上げられたボイジャー1,2号は,太陽エネルギーから遠く離れた海王星ま
での観測を行った今も航海している.観測のための電源は RTG(Radio-isotope
Thermoelectric Generator)で, Pu
238
の同位体崩壊熱を熱源とした熱電発電器
である.
12・4
熱磁気発電・熱誘電発電
12・4・1 熱磁気発電
磁気回路の一部の強磁性体が,キュリー点での温度 Tc を境に加熱あるいは
冷却されるとその透磁率が大きく変化することを利用して発電を行う.磁気
回路の磁気抵抗は,強磁性体の透磁率で大きく変化するのでこれに巻線をし
10
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
て外部に取り出すと,このコイルには加熱・冷却に応じた誘導起電力が生じ
る.強磁性体に熱を加え透磁率が変化する現象を熱磁気効果(thermomagnetic
effect)と呼ぶ.
比透磁率 µ s の強磁性体を用いたコイルに蓄積されるエネルギーは,
Em =
1 B2
V
2 µs µ0
(12.50)
で与えられる.ここで, B は強磁性体内の磁束密度, V は強磁性体の体積で
ある.強磁性体内に磁束 Φ = BS が与えられているとき,比透磁率が温度 T1 で
µ s1 ,温度 T2 ( T1 < T2 )で µ s 2 ( µ s1 > µ s 2 )と変化する特性を持っている
図 12.11
熱磁気発電の原理図
とする.温度 T1 で充電した後,これを昇温して温度 T2 で放電させると
磁束一定の条件では,次のエネルギーを外部に取り出すことができる.
E = E m 2 − E m1 =
1 B2  1
1 

−
V 
2 µ 0  µ s 2 µ s1 
(12.51)
これを熱磁気発電(thermomagnetic generation)と呼ぶ.
図 12.11 のように強磁性体は,継鉄で永久磁石につながれ磁気回路を形成
する.動作温度は,強磁性体のキュリー点に選ばれるので,カルノー効率か
ら考えれば Tc が低いものほど効率が高くなることになる.よって, Tc が低
く,高熱伝導性であるガドリミウム(Gd: Gadlinium)が用いられる.しかし,
変換効率は 0.001%以下と極めて小さい.
12・4・2 熱誘電発電
同様に,強誘電体に熱を加え,その誘電率が変化する現象を熱誘電効果
(thermodielectric effect)という.この効果を利用して発電するものを熱誘電
発電という.
比誘電率 ε s の誘電体を極板間に持つ平行平板コンデンサ(面積 S ,極板間
距離 d )に蓄積されるエネルギーは,
Ee =
1 D2
V
2 ε sε 0
(12.52)
で与えられる.ここで, D は電束密度, V = Sd は誘電体の体積である.コ
ンデンサを充電し極板上に電荷 Q = DS が与えられているとき,比誘電率が
温度 T1 で ε s1 ,温度 T2 ( T1 < T2 )で ε s 2 ( ε s1 > ε s 2 )と変化する特性を持っ
ているとする.温度 T1 で充電した後,これを昇温して温度 T2 で放電させると
電荷一定の条件では,次のエネルギーを外部に取り出すことができる.
E = E e 2 − E e1 =
1 D2  1
1 

V 
−
2 ε 0  ε s 2 ε s1 
(12.53)
これを熱誘導発電(thermodielectric generation)と呼ぶ.
12・5
電磁気流体力学的発電(MHD 発電)
12・5・1 MHD発電の原理
2
図 12.12 に示すような電極間距離 d [m] ,電極面積 S [m ] の方形ダクト
を考え, z 方向に磁束密度 B の一様磁界を作っておく.このダクトに x 方向
11
12・5 電磁気流体力学的発電(MHD 発電)
に伝導性流体(一般に気体プラズマ 1.作動流体と呼ぶ.)を速度 u で流すと,
いわゆるファラデーの電磁誘導の法則によって起電力
が − y 方向に発生す
る. これを電磁気流体力学的発電(Magneto hydro dynamic generator; MHD 発
電)と呼ぶ.図示のように外部回路を設けると,外部負荷抵抗 R に直流電流
I = V / R が流れる.ここで, V は出力電圧であり,内部抵抗を r ,誘導起電
力を
V0 = Ed = uBd とすると,
V=
R
V0 = α V0
R+r
(12.54)
ここで,作動流体の導電率を σ とすると,内部抵抗 r は, r =
d
である
σS
から,発電機の出力 P は,
P = VI = V
σS
( V0 − V )
d
σS
V0α ( 1 − α )
=
d
(12.55)
= σ ( uB ) 2 dSα ( 1 − α )
とできる.したがって,単位体積当たりの出力 p は,
p = σ (uB) 2 α (1 − α )
(12.56)
となる.このように負荷をとって,プラズマ中に − y 方向に電流を流すと,
作動流体には流れと逆方向にローレンツ力が働くが,これに抗して,作動流
体を流すことによって出力を得るわけである.したがって,この電磁力は,
通常の回転機発電機における電機子反作用に相当する力で,熱機関における
タービン羽根の役割を担っているともいえ,ブレイトンサイクルと考えるこ
ともできる.
式(12.56)より,大きな出力密度を得るには,大きな導電率を持つ作動流体
を大きな磁場中に高速に流すことが必要なことがわかる.作動流体としては,
燃焼ガス,希ガスあるいは,液体金属が考えられる.近年の超伝導マグネッ
ト技術の進歩により,1 立方メートル程度の空間に5 [T] 程度の一様磁場を発
生させることは可能である.気体プラズマを想定して,速度を 10 [m/s] ,α
2
2
を 1 2 として,50~100 [MW/m ] 程度の出力密度を考えると,作動流
体の導電率 σ は,10~20 [S/m] が必要となる.
気体プラズマを利用するものにはシステム形態として,化石燃料の高温燃
焼ガスそのものを用い,仕事を行った後のガスは別システムに放出するオー
プンサイクル型と,燃焼ガスによって加熱した希ガス(ヘリウム,アルゴン)
を作動流体として使いまわすクローズドサイクル型がある.
オープンサイクル型の場合,燃焼温度程度(約2000℃)では十分な熱
電離が得られず導電率が低いので,予熱空気または酸素富加空気を用いた2
1
プラズマとは、正負の荷電粒子群が共存して電気的中性になっている状
図 12.12
MHD 発電の原理説明図
12
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
700℃程度の高温燃焼ガスを生成し,さらにこれに微量のアルカリ金属(カ
リウム,セシウム)の化合物を作動流体に添加する.これをシード(seed)とい
う.カリウム,セシウムの電離ポテンシャルは比較的低いことから容易に電離
し,プラズマ状態となって10 [S/m] 程度の導電率を持つ熱電離プラズマを得
る.
クローズドサイクル型では,希ガスに添加するシード物質として微量のア
ルカリ金属が用いられ,誘導起電力によるジュール加熱より非平衡電離プラ
ズマ状態とするので,比較的低いガス温度(1500℃から2000℃)で
100 [S/m] 以上の導電率が得られる.
一方,液体金属を作動流体とする場合は,導電率は10 6 以上で十分であ
り,動作温度も比較的低くてよい.同様の出力密度を得ようとすると液体金
属を 10 [m/s] 程度の速度で流す必要がある.
12・5・2 MHD発電の種類
作動流体の流れと磁界の方向とに直角な方向をファラデー方向,流れに沿
った向きをホール方向と呼ぶ.MHD発電機は,作動流体を流す発電チャネ
ル形状により,主に直線形,ディスク形に大別される.
直線形では,電極の配置によって,図 12.13 の上から連続電極形,分割電
極形(ファラデー型),ホール形,ダイアゴナル形,ディスク形と分けられる.
プラズマ中の荷電粒子は電界によって加速され,磁界によって向きを変えら
れる.
連続電極形では,ファラデー起電力をそのまま利用し,ファラデー電流を
取り出す.x方向の電界は電極によって短絡されているので,磁界が大きく
なるとホール効果による x 方向の電流が無視できなくなる.
分割電極形では,このホール起電力の短絡を抑えるため,磁界に平行な流
路面に対向して電極対を設け,各々の電極対からのファラデー電流を得るが
回路結線数は多くなる.
外部磁場を大きくし,電極対を短絡して得られるファラデー電流と磁界と
の作用でホール方向に発生するホール起電力を積極的に利用するのがホール
形である.
ダイアゴナル形は,ファラデー形とホール形の中間的なもので,分割電極
を斜めに短絡してスパイラル状にし,回路結線数を減らして高い電圧を得る.
ディスク形では,2 枚の円盤状の流路内を作動流体が中心から外側へ放射
状に流れ,円周方向に誘導されるファラデー電流と磁界によるホール起電力
を利用して流路内側と外側に設けられたリング状の電極対から出力電流(ホ
ール電流)を得る.このため,ホール形に分類される.
図 12.13
MHD 発電の種類
上から連続電極形,分割電極形
(ファラデー型),ホール形,
ダイアゴナル形,ディスク形
12・5・3 MHD発電の利用
MHD 発電では作動流体が発電機ダクト内を通過するだけで,タービンの
ような可動部分がないことから,作動流体を他の熱機関が利用できない15
00~2500℃程度の高温にすることができる.熱のカスケード利用を考
態をいう.
13
12・6 電気加熱
える場合,高温熱エネルギーの高効率発電が可能で,燃焼ガスの最高温部利
用するトッパーとして従来の蒸気タービンやガスタービンと組み合わせるこ
とにより 50~60%の高い熱効率が期待される.
しかし,アルカリ金属蒸気を含む腐食性の強いガスに対する,耐熱材料や
電極材料,一様なプラズマの生成など技術的に克服すべき点が多く,実用に
いたっていない.
12・6
電気加熱
12・6・1 加熱方式
物質に熱を加えて有用性・加工性の高いものに変形または変質させること
が行われる.大きく分けて,燃焼加熱と電気加熱があげられるが,加熱効率,
達成温度,制御性,安全性,環境負荷などで評価,選択される.近年電気加
熱はパワー半導体による電力制御技術の発展にしたがって応用領域を拡大し
ている.
12・6・2 電気加熱の特長
アーク加熱・プラズマ加熱・ビーム加熱・通電加熱を用いれば 2000℃以上
の達成温度が得られる.一般の燃料を用いる場合 1500℃が限度である.また,
内部加熱・局所加熱が容易であるので,必要な場所,時間に加熱できる.電
気加熱は酸素を必要としないので,不活性ガスや真空中での加熱も可能であ
り,非加熱物の酸化や燃焼排ガスの問題が無い.温度制御性が高く,特に非
加熱物自体の温度調整・制御が可能である.したがって,加熱効率が高く温
度制御性の良さと小さな待機エネルギーから高効率なシステムとできる.
12・6・3 電気加熱の方式と原理
(1) 抵抗加熱・アーク加熱
まず,高温熱源として抵抗発熱体から放射・伝導・対流によって間接的に
非加熱物を加熱するもの,あるいは被加熱物を直接抵抗加熱するもの,電極
間あるいは電極と非加熱物の間に放電させたアークによって金属の加熱・溶
解するもの(製鋼アーク炉・アーク溶接など),熱プラズマや電子ビームなど
を用いて高融点金属・合金の溶解・精錬,熱処理を行うものなどがあげられ
る.これらは,加熱のための空気を要さないので炉内の雰囲気ガスを自由に
(不活性・還元性・酸化性など)選択でき,非加熱物の酸化防止,発熱体の
酸化防止,非加熱物の還元,窒化反応の促進など雰囲気制御が可能となる.
(2) 誘導加熱
図 12.14 誘導加熱の原理
また,電磁誘導作用を利用したものとして,被加熱物(金属)円柱のまわ
りにソレノイド状のコイルを配し,交流電流(50/60Hz~1MHz)を流し,電
磁誘導により金属円柱に渦電流が発生し,ジュール熱で加熱する誘導加熱が
ある.各種パワー半導体を用いた電圧型あるいは電流型高周波インバータ電
源によって加熱エネルギーを得ている.周波数を高くすると,表皮効果によ
って渦電流は被加熱物の表面近くに集中して流れるので,表面の局部加熱が
可能である.産業分野では,誘導炉を用いた金属の加熱・溶融,高周波焼き
入れ(局部加熱)に利用される.また,家庭では IH(Inverter Heating)炊飯器
や IH クッキングヒータ(電磁調理器)として応用されている.
(3) 誘電加熱
図 12.15 誘電加熱の原理
14
第 12 章
熱エネルギーと電気エネルギーの変換
高周波電界(~300MHz)を利用したものとして,誘電体を高周波電界中に置
き,誘電体そのものの誘電損失による発熱で加熱する誘電加熱が利用される.
対向する電極板間に誘電体をおいて高周波電圧を印加すると,誘電体の分子
は電界方向へ配列しようとするが,高周波電界中では振動・回転による分子
間の摩擦により発熱する.物質自体の熱伝導を必要としないので,加熱効率
が高い.発熱にかかる単位体積当たりの電力は,電界の強さの二乗,周波数,
比誘電率誘電 ε r ,誘電正接 tan δ に比例する.非加熱物に関する ε r tan δ を
誘電損失係数と呼び,大きいほど誘電加熱が容易となるので,複数の材質の
ものでも選択加熱が可能となる.
(4) マイクロ波加熱
その他,電磁波を利用したものとして,300MHz から 30GHz 程度のマイク
ロ波を利用したマイクロ波加熱がある.マイクロ波を導波管で導き誘電体に
照射すると,内部に侵入したマイクロ波の電場によって分子運動が起こり,
誘電加熱の場合と同じようにその摩擦によって発熱する.電子レンジのマイ
クロ波は 2.45GHz のマグネトロン(発振用真空管)で得ており,水の分極分
子の共振を利用して加熱している.
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