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貧血とは
貧血とは、循環している血液中の赤血球数が少ない場合の総称です。
貧血になり現れる症状として、■めまい、立ちくらみ、
■顔色が悪い、■動悸、息切れ、■頭痛、■食欲不振、
■疲れやすい、などがあります。
走査電顕で見た
赤血球
これらの状況は、体の各器官の酸素不足によっておこる症状で
す。
赤血球は、酸素を運ぶ大事な役割をしていると聞いたことがある方は多いと思います。
赤血球内に、「ヘモグロビン」という大量のタンパク質があり
このヘモグロビンが、肺を通過するときに酸素と結合し、体
内に循環する際、酸素が足りない細胞に酸素を供給していま
す。
細胞組織に、酸素が大量にあると酸素は供給せず、酸素が少
ない場所には、酸素量が十分になるように供給します。
細胞組織の酸素量は、ヘモグロビンによって調整されていま
す。
ヘモグロビン
「鉄分が不足すると貧血になる」と聞かれた方も多いと思いますが、ヘモグロビンの
中には鉄分(Fe²⁺)が存在し、この鉄分が酸素と結合することにより、酸をを運搬す
ることができています。
貧血は、酸素を各器官へ正常に供給できていない状態ですので、原因・要因は大きく
分けて以下の事が問題になります。
(1)赤血球が正常に作られない
(2)ヘモグロビンが正常に作られない
(3)鉄分の不足により、酸素供給機能が正常ではない
大きく分けると、これらの事が考えられます。
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貧血の原因とは
貧血の原因は、赤血球の合成から崩壊までの間、多くの局面における障害があるため、
簡単にまとめます。
●鉄欠乏性貧血
通常、大半の貧血と診断される場合は、「鉄欠乏性貧血」です。
ヘモグロビンを生成するときの鉄分が不足して、ヘモグロビンが十分に作り出せな
いために場合です。
体内の鉄の総量は、4~5gであり、その約3/4がヘモグロビン内の鉄、約1/4
が肝臓・脾臓・骨髄・腸上皮等で貯蔵されており、残りは筋肉内にあります。
体内で利用した鉄の一日の排泄量は1mg程度とわずかであり、ほとんどは再生利
用されています。
そのため一日の鉄の吸収量は、1mg程度で良く、食品で多く摂取しても鉄を吸収
する速度は遅いため、ほとんどは吸収されないまま排出されてしまいます。
1mg程度の最低限の摂取量が足りない状態が続いた場合に貧血になります。
●失血性貧血
怪我などの出血の場合、赤血球自体が減少しておこる貧血です。
女性は、月一回の月経で約20gの鉄を失うため、潜在的な鉄の欠乏状態にあるた
めに、貧血になることがあります。
また、妊娠中、出産時の出血、授乳のために多くの鉄分が無くなるために貧血にな
ります。
●再生不良性貧血
血液は骨髄で作られますが、骨髄の欠損によりおこる貧血です。
例えば、核爆弾の爆発によるγ線に曝露(ばくろ)された場合は、完全に骨髄が破
壊をきたします。γ線の一つに、セシウムがなどがあります。
また、過剰なX線治療や、製造業で使う特殊な薬剤でも骨髄を破壊することがあり
ます。
●巨赤芽球性貧血
赤血球やヘモグロビンの生成に欠かせない栄養素、ビタミンB12 や葉酸等が不足
し、赤血球が過度に大きくなるなるため、赤血球の必要数が作られなくなり極度の赤
血球不足に陥り、貧血になります。
胃の全摘手術後の貧血も、巨赤芽球性貧血を起こします。
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●溶血性貧血
赤血球は、製造されてからの寿命は、約 120 日間です。
この赤血球が、さまざまな理由で早く寿命を迎える場合です。
製造の早さより、破壊される早さが早い場合です。
多くは、遺伝的なものになります。
これらのように原因は様々ですが、先天性や事故・怪我・手術等の特別な場合を除き、
原因や要因についてこの書籍には記載いたします。
特別な場合を除けば、貧血の原因・要因になるものがあります。
・鉄分不足
・ビタミンB12・葉酸不足
・肝臓の機能低下(鉄分を貯蔵する機能の低下を招く)
一番重要なことは、貧血の症状は、めまいやふらつきなど、各器官細胞に酸素が正し
く供給されていないためにおこっています。
万が一、ヘモグロビン量が足りない貧血の状態でも、各器官細胞に酸素が正しく供給
されているのであれば、めまいやふらつきの症状は発症しないことになります。
そのため、貧血と診断されても、誰が見ても元気で生き生きしている方は多くいるこ
とは事実です。
・鉄分不足
鉄分が不足する理由は、2 つあります。
1、鉄分の摂取不足
2、鉄分の吸収が正常に行えない
1、鉄分の摂取不足
一日の鉄の吸収量は、1mg程度なのですが、胃からの吸収速度が遅いために、男
性で 7.0mg、女性で 6.0mgが推奨されています。
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月経時には 10.5mg、妊娠時には 20mgが推奨されています。
鉄を含む食品を取り入れれば良いので、多く含む食品を記載します。
・レバー・卵の卵黄、あおのり、ひじき等が多く含まれます。
味噌にも含まれていますので、好き嫌いなく和食を食べている限り鉄分不足はおこ
らないと考えていただければよいと思います。
2、鉄分の吸収が正常に行えない
鉄は胃から吸収されますので、胃の機能が正常ではない場合吸収力も下がります。
胃炎や胃潰瘍など頻繁に胃の障害がある場合は、胃への血行不良による障害も考え
られます。
胃への血行不良障害については、後で記載します。
・ビタミンB12・葉酸不足
不足する理由は、2 つあります。
1、摂取不足
2、吸収が正常に行えない
1、摂取不足
ビタミンB12 は、貝類を始め魚、のり、レバーなどに多く含まれます。
葉酸は、レバー、ホウレンソウなどの緑野菜に多く含まれます。
2、吸収が正常に行えない
ビタミンB12 は、胃酸の働きを利用して小腸で吸収され肝臓に蓄積されます。
葉酸は、小腸で吸収され肝臓に蓄積されます。
胃の障害、腸の障害がある場合吸収力が下がります。
・肝臓の機能低下(鉄分等を貯蔵する機能の低下を招く)
肝臓では、鉄分、ビタミンB12、葉酸を蓄積する機能を持っています。
そのため、肝臓の機能低下が生じた場合、貧血に繋がります。
肝臓の機能低下は、肝臓への血行不良によりおこります。
肝臓への血行不良障害については、後で記載します。
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胃・小腸・肝臓の血行不良障害とは
人体の各器官は、酸素や栄養を必要とします。
胃や小腸等は、食物を消化し栄養素を吸収する大事な役割を果たしています。
食品を消化し栄養を吸収する際には、空腹時よりもさらに多くの血液を利用しますが、
空腹時と同じ量の血液量では、栄養や酸素が足りないために十分な働きができないこ
とになります。
また肝臓も同様、必要量の血液が供給されない場合は、機能を十分に果たせません。
痛みやしびれの場合、筋肉が緊張すると筋肉内の血管が圧迫され、血行不良がおきる
ことは周知のことと思います。
しかし、内臓の場合、筋肉の緊張により血管の圧迫がおこり、血行不良がおこってい
ることは考えにくいことなのです。
(図:臨床のための解剖学
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より)
食事について
食生活に大きく偏りがある場合、筋肉への栄養も偏り、代謝や老廃物の排出が正常に
行えなくなります。
貧血の原因の一つとして、鉄分不足がありますが、鉄分だけ大量に摂取しても吸収や
ヘモグロビンの生成が正常になるわけではありません。
数多くの栄養素が関係して、各臓器は正常に機能していることを理解してください。
健康的でバランスの良い食事とは、「6つの基礎食品群」をバランス良く摂取するこ
とです。
6つの基礎食品群とは、
第1群
第2群
第3群
第4群
第5群
第6群
魚・肉・卵・大豆・大豆食品
牛乳・乳製品・海藻・小魚類
緑黄色野菜
淡色野菜・果物
米・パン・めん・穀類・いも類・砂糖
油脂類・脂肪の多い食品
多忙な毎日の中で、これだけの食品の品目を把握して、毎日バランスよく食べるのは
とても難しいことだと思います。
鉄分に関して言えば、多くの食品に含まれていますのでいろいろな種類の食品を摂取
すれば、それほど気にする必要はありません。
インスタント食品や、スナック菓子等、偏った食生活は止めて、より多くの食品をバ
ランス良く摂るように心がけてください。
サプリメントに頼る多くの方は、サプリメントだけで十分だと錯覚し、食事をおろそ
かにしがちになり、その他の栄養素を摂取できないことが多く、病気になる方が多い
ので、私はお勧めはしていません。
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筋肉の緊張とは
筋肉が緊張しているときは、筋肉に縮む力が働くために、筋肉内の血管を圧迫します。
筋肉を緊張させている緊張成分が、筋肉から排出されず滞るため、いつまでも筋肉は
緊張し続けます。
そして、緊張した筋肉は伸縮しづらいため、その周辺の筋肉は今まで以上の運動を必
要とし、さらに緊張し続けます。
緊張する筋肉の範囲(体積)は、どんどん大きくなります。
まさに悪循環。
この悪循環を繰り返し、筋肉内を通っている神経の圧迫がおこり始めます。
この神経の圧迫で、内臓へ通っている神経の伝達機能障害がおこります。
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