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武力攻撃やテロから住民を守るために (講演資料)全文

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武力攻撃やテロから住民を守るために (講演資料)全文
【資料2】
武力攻撃やテロから住民を守るために
ー佐世保市国民保護協議会説明資料ー
平成18年5月
総務省消防庁 国民保護室
西野 聰
有事法制の背景
日本における国内政治の変化
・1990年半ばまで、我が国においては、有事に関する施策は、強い国内政治の対立
の中取り扱われてきた。
・このため、有事法制の議論を行うこと自体が、国会において、激しい論戦の的となる
といった特別な事情が存在。
・この日本政治におけるイデオロギー対立の解消が、日本の安全保障政策を巡る環
境を一変させ、そのような有事法制の成立を可能とした。
我が国を巡る安全保障環境
・伝統的な安全保障上の問題
朝鮮半島における軍事的対峙/台湾海峡における緊張
(北朝鮮における核開発、弾道ミサイルの発射 など)
・世界的な問題
国際的なテロリズムの活動、大量破壊兵器の拡散
(9.11米国同時多発テロ、ロンドン・スペインにおける列車爆破事故 など)
(46カ国が弾道ミサイルを保有する状況、生物兵器が容易に入手できる状況 など)
日本は、世界第2位の経済力、低い自給率(食糧40%、エネルギー20%)
「備えあれば憂いなし」(小泉総理大臣)
1
武力攻撃事態対処法
【対処に関する基本理念】
○国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない。
○日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合にあっても、その制限は当
該武力攻撃事態等に対処するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。
【対処基本方針】
答申
承 認
会
安全保障会議
国
諮問
○手続
・内閣総理大臣が案を作成し、閣議の決定を求める。
・案の作成に当たっては、安全保障会議に諮る。
・閣議の決定の後、国会の承認を求める。
○定める事項
①武力攻撃事態であること又は武力攻撃予測事態であること
の認定及び当該認定の前提となった事実
②武力攻撃事態等への対処に関する全般的な方針
③対処措置に関する重要事項
・国民の保護に関する措置
・自衛隊の行動 ・米軍の行動に関する措置 ・その他
【武力攻撃事態等対策本部】
対処基本方針に基づいて
対処措置を実施
国際人道法の的確な実施
捕虜
取扱い法
武力攻撃の排除
特定公共施設
利用法
国民保護法
国際人道法違反
処罰法
・米軍行動関連措置法
・海上輸送規制法
・自衛隊法の一部改正
自衛隊による活動
避難に関する
措置
救援に関する
措置
被害最小化の
ための措置
米軍の行動に
関する措置
2
緊急事態における初動対処の概略の流れ
緊急事態発生
内閣情報集約センター(24時間体制)
参集要員
官邸危機管理センター(24時間体制)
官邸対策室
緊急参集チーム
参集
(室長:内閣危機管理監)
事態対処専門委員会
関係閣僚緊急協議
安全保障会議
内閣総理大臣(議長)
臨 時 閣 議
政府対策本部設置
総務大臣、外務大臣、財務大
臣、経済産業大臣、国土交通
大臣、内閣官房長官、国家公
安委員長、防衛庁長官
3
緊急参集体制の確保(各省庁局長級が
30分以内に官邸に参集)
緊急参集体制の確保(各省庁局長級が30分以内に官邸に参集)
警察庁
警察庁
消防庁
消防庁
防衛庁
防衛庁
官邸・危機管理センター
官邸・危機管理センター
官邸地下に、強固かつ巨
大な施設を設置(24時間
体制で内調及び安危職員
が待機)
都道府県庁
都道府県庁
市役所
市役所
消防署
消防署
こちらは
こちらは
消防庁。
消防庁。
第3次応
第3次応
急体制。
急体制。
職員はた
職員はた
だちに参
だちに参
集。・・Yes
集。・・Yes
の場合は
の場合は
33を・・
33を・・
第3次応急体制
職員一斉招集
職員
携帯
電話
緊急時には、内閣危機管理
監の下で各省庁の幹部(局
長級)が30分以内に参集
危機管理宿舎
職員自宅
4
消防防災・危機管理センター
大規模地震、武力攻撃又はテ
ロ発生時には、消防庁の職員
が全員参集(「Fシフト」)
参謀班、広域応援班、情報集
約班、特命班等の各構成員に
ついては、各職員の通常の職
務内容から離れて指名(各職
員は、あらゆる災害へ対応)。
消防防災・危機管理センター
麻生 前総務大臣(現外務
大臣)
板倉消防庁長官
面積: 500㎡
運用: 2003, Aug.~
5
国民の保護に関する措置の仕組み
避 難
国 (対策本部)
都道府県 (対策本部)
・警報の発令
・避難措置の指示
指示
(要避難地域、避難先地域等)
是正
市町村 (対策本部)
・警報の市町村への通知
・警報の伝達
・避難の指示
・避難の指示の伝達
(避難経路、交通手段等)
・避難住民の誘導
指示
・救援の指示
・救援
是正
・ 食品、生活必需品等
の給与
武力攻撃災害への
対処
指示
等
・武力攻撃災害の防御
指示
・応急措置の実施
・大規模又は特殊な武力攻撃災害
(NBC攻撃等)への対処
・救援に協力
・ 収容施設の供与
・ 医療の提供
・武力攻撃災害への対処の指示
住 民 (協 力)
救 援
消防等を指揮、警察・
自衛隊等に誘導を要請
警戒区域の設定・退避の指示
・消防
・応急措置の実施
警戒区域の設定・退避の指示
・緊急通報の発令
・生活関連等施設の安全確保
・国民生活の安定
措置の実施要請
・対策本部における
総合調整
総合調整
措置の実施要請
総合調整
・対策本部における
・対策本部における
総合調整の要請 総合調整
総合調整の要請 総合調整
指定公共機関
・放送事業者による警報等の放送
・日本赤十字社による救援への協力
指定地方公共機関
・運送事業者による住民・物資の輸送
・電気・ガス等の安定的な供給
国、地方公共団体、指定公共機関等が相互に連携
6
国(対策本部長)
避難措置の指示(要避難地域、避難先地域の指示)
都道府県知事
避難の指示
避難の指示の内容を放送
放送事業者
バス等の用意
避難経路の決定
広域調整
要避難地域
市町村長
誘導
バス発着所
等
避難先地域
避難所の開設
関係自治体の協力
住民 住民
7
都道府県知事 市町村長 警察・消防
汚 染 さ れ た 物 件 等の 移 動 制限・禁止、廃棄命令等
警察
核・放射線
放射性物質
化学物質
海上保安庁
汚染の発生の
原因となる物
国土交通大臣
海上保安庁長官
危険物質等
汚染
サリン等若しくはこれと
同等以上の毒性を有する
内閣総理大臣
拡大の防止、被災者の救難及び救助に関する措置等の実施
・関係大臣を 指揮し、汚染の発生の 原因となる 物の撤去、汚染の除去その他汚染の
総務大臣
消防庁長官
消防
生物剤・毒素
こ
れ
ら
の
物
質
に
よ
り
汚
染
さ
れ
た
物
件
国家公安
防衛庁長官
委員会委員長
自衛隊
武力攻撃災害
指定地方行政機関の長
指定行政機関の長
NBC等による武力攻撃災害への対処
8
緊急対処事態
(定義)
①武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて②多数の人を殺傷する行為が発生した事態
又は当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、
③国家として緊急に対処することが必要なもの (事態対処法第25条)
※ 国民保護法の制定過程において、国家対国家の戦争である「武力攻撃事態」のみならず、
その行為主体を問わないテロ型の「緊急対処事態」を国民保護法の対象として追加。
→
法制の対象がテロまで広がることにより、より現実的な脅威にも対応
緊急対処事態例(「国民の保護に関する基本指針」より)
① 原子力発電施設の破壊、石油コンビナート、可燃性ガス貯蔵施設等の爆破
危険物積載船への攻撃
② 大規模集客施設、ターミナル駅、列車等の爆破
③ ダーティ・ボム等の爆発による放射能の拡散、炭疽菌の航空機による大量散布等
市街地におけるサリン等化学剤の大量散布
④ 航空機等による自爆テロ、弾道ミサイル等の飛来
9
○松本サリン事件
1994年6月27日から28日にかけて、新興宗教団体オウ
ム真理教により長野県松本市の住宅街で、化学兵器として
使用される毒物であるサリンが散布された。人類史上で初め
て一般市民に対して化学兵器が使用されたテロ事件。
(死者7名 負傷者660名)
○地下鉄サリン事件
1995年3月20日 新興宗教団体オウム真理教により東京都
内の営団地下鉄(現:東京メトロ)丸ノ内線、日比谷線、千代田
線の地下鉄車内で、化学兵器として使用される毒物であるサリ
ンが散布された。(死者12名 負傷者5,510名)
※ 1972年 あさま山荘事件、1973年 三菱重工ビル爆破事件
○スペイン列車爆破事件
2004年3月11日 スペイン マドリードにおいて、テロリスト(2
9人起訴)により、通勤通学のラッシュ時の3つの駅を運行する
通勤列車4本で計10個の爆弾が爆発。スペイン総選挙の3日
前に発生。政権交代。(死者191名、負傷者約1,800名以上)
○ロンドン地下鉄等爆破事件
2005年7月7日、英国ロンドン市内中心部において、地下鉄等4ヶ所で
同時爆発テロが発生。死者56名、負傷者は700人以上。イギリスをホ
スト国とするG8サミットの時期と重なる。
10
○ スペイン、ロンドン、サウジアラビア、インドネシアにおけるテロ等、イスラム過激派の関
与が疑われる大規模・無差別テロが世界各地で発生
○ イスラム過激派を中心とした国際テロ組織が、今後も世界各地で国際テロ事件を引き起
こすことが予想される
○ 我が国は、アルカイーダを始めとするイスラム過激派から、いわゆる米国の同盟国とみ
なされており、過去のオサマ・ビンラヂィンやアイマン・ザワヒリのものとされる声明等におい
て、テロの標的として名指しされている
○ 我が国でも、アル・カイーダ関係者であり、国際指名手配されたフランス人が、我が国に
不法に出入国を繰り返す事案も過去に判明
○ 東南アジアにおけるジェマア・イスラミア(JI)による活動
○9/11調査委員会報告書より
アルカイーダのもう一つの選択肢は、
ハイジャックした航空機を日本、シンガ
ポール又は韓国のアメリカ関係施設に
突っ込ませることだった。
The operatives would hijack U.S.-flagged commercial planes flying Pacific routes across East Asia
and destroy them in midair, possibly with shoe bombs, instead of flying them into targets. (An
alternate scenario apparently involved flying planes into U.S. targets in Japan, Singapore, or
Korea.) This part of the operation has been confirmed by Khallad, who said that they contemplated
hijacking several planes, probably originating in Thailand, South Korea, Hong Kong, or Malaysia, and
using Yemenis who would not need pilot training because they would simply down the planes.
11
※ 米国情報長官ネグロポンテの上院議会証言(2006年2月)
・ 最近のアイマン・ザワヒリによるステートメントにみられるように、
組織の中枢の機能は、完全に衰退したわけではなく、機能を維持。
・ アルカイーダの思想に触発されたジハードの動きが、世界的
に拡大。「The Global Jihadist Threat」
※ 同時期に発表された米国防省のQDRでは、テロとの戦いを「長い戦い」(The
Long War」になるとして、将来の態勢を整えるべきと主張。
・ アルカイーダは、「米国本土 → 海外での米国権益 → 同盟国」 の順に攻撃
の優先度を置くものと予測。通常の爆弾を用いる作戦が最も想定されるが、大量
破壊兵器を用いた攻撃にも高い関心。
※ ロンドン爆破テロについて(英国ロンドンテロ報告書など)
・ テロ実行犯は、インターネットにより各種の情報を入手
・ アルカイダからの直接的なサポートはなし(インスパイアー型)
・ 廉価な計画(所要経費:約8千UKポンド(約170万円)以下
・ ソフトターゲットを対象(一般の通勤客を無差別に攻撃)
12
テロ未然防止のための取り組み
未 然 防 止
国民、社会へ多大な被害、影響をもたらす事案であり、各種の施策の総合的
な実施による未然防止が基本
平素からの活動
情報の収集分析、テロリスト入国阻止、テロ供用物品の密輸防止、国内警戒
措置の強化等の諸活動、及びこれらの面での米国をはじめとする諸外国との
連携が重要
テロネットワークを断ち切ること
国内外におけるテロ関連情報の収集、総合的な分析評価体制の強化
※ 政府では、テロ防止のため、「テロの未然防止に関する行動計画」(平成16年12月
10日 国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部 官邸HPに掲載)に基づき、各種の法
13
令改正やシステム導入等と実施中。
テロリストに活動の拠点を与えないこと
○ 関係機関(警察庁、法務省、外務省等)、諸外国との情報交換、連携強
化によるテロリストの摘発、一層厳格な出入国管理審査等の実施
○ 巡視船艇、航空機による海上監視の強化等による密航監視の徹底
○ 国際空港・港湾における関係機関(警察、入管、税関等)の連携強化・
情報共有等の水際対策の徹底
等
テロの標的となりうる施設・機関等の脆弱性を克服すること
○ 空港の警戒警備、航空保安検査能力の強化
○ 関係機関(警察庁、海上保安庁等)による政府関連施設、原子力関連
施設等我が国重要施設及び米国関連施設の警戒警備の強化
等
資金・武器などテロを実行するための手段を持てなくすること
○ 核物質、放射性物質、生物剤、化学剤等の危険物の管理、防護措置の
強化
○ 資金洗浄(マネーロンダリング)対策の徹底
等
14
国民の保護に関する計画の体系、条例等
【国】
国民の保護に関する基本指針(H17.3月)
国民の保護に関する基本指針(H17.3月)
・国民保護の実施に関する基本的な方針
・国民保護計画及び業務計画の作成の基準
・想定される武力攻撃事態の類型
・類型に応じた避難措置、救援、武力攻撃災害への対処措置
【都道府県】
【指定行政機関】
国民保護計画
国民保護計画
(H17.10月)
(H17.10月)
・内閣総理大臣に協議
・内閣総理大臣に協議
【市町村】
国民保護計画
国民保護計画
(H18年度)
(H18年度)
・国民保護協議会に諮問
・国民保護協議会に諮問
・都道府県知事に協議
・都道府県知事に協議
・議会に報告
・議会に報告
国民保護計画
国民保護計画
(H17年度)
(H17年度)
【指定公共機関】
国民保護業務計画
国民保護業務計画
・国民保護協議会に諮問
・国民保護協議会に諮問
・内閣総理大臣に協議
・内閣総理大臣に協議
H17.7.22・・・福井県、鳥取県
H17.7.22・・・福井県、鳥取県
H18.1.20・・・21道府県
H18.1.20・・・21道府県
H18.3.31・・・24都県
H18.3.31・・・24都県
・議会に報告
・議会に報告
・内閣総理大臣に報告
・内閣総理大臣に報告
【指定地方公共機関】
【消防庁】
国民保護業務計画
国民保護業務計画
・都道府県知事に報告
・都道府県知事に報告
【消防庁】
・都道府県モデル
・都道府県モデル
計画作成
計画作成
(H17.3月)
(H17.3月)
・市町村モデル計画
・市町村モデル計画
作成
作成
(H18.1月下旬)
(H18.1月下旬)
市町村国民保護協議会
○会長・・・市町村長
○委員・・・下記から任命
・助役
・教育長
・区域を管轄する消防長等(消防団長)
・市町村の職員
・区域を管轄する指定地方行政機関
の職員
・自衛隊に所属する長官の同意する者
・都道府県職員(警察官を含む)
・当該市町村の区域において業務を行
う指定公共機関又は指定地方公
共機関の役員又は職員
・専門家、有識者、医療関係者、一般
の住民など
15
市町村における国民保護体制整備の流れ
国民保護
計画の作成
国民保護
対策本部
設置条例
緊急対処
事態対策本部
設置条例
計画の普及
国民保護
協議会
委員の任命
国民保護
協議会
における審議
知事への協議
国民保護
協議会
設置条例
計画に基づく
訓練の実施
訓練の反省等
に基づく
計画の見直し
議会へ報告
公 表
16
弾道ミサイル攻撃
主にロケットエンジンで推進し、発射後、ロケットが燃え尽きた後はそのま
ま慣性で弾道軌道を飛翔し、放物線を描いて目標地点に到達するミサイル
【特徴】 「長射程」、「高速」、「高々度」
射程: 短いもので数十km、長いものは1万km以上
速度: 射程1,000km級の弾道ミサイルの最高速度は毎秒約3km(マッハ約9)
高度: 数百kmから1,000km以上(射程1,000km級の弾道ミサイルの最高高度は約
300km)
【対処】 高々度・超高速飛行のため探知が困難、対処時間は極めて限定
※ スカッドミサイルで6分程度、ノドンで10分程度
【発射兆候】 ミサイル発射の兆候については、ミサイルの形態にもよるが、
発射に係る燃料注入の開始やミサイルの屹立などにより判断。
【弾頭】 核・生物・化学兵器等の大量破壊兵器の運搬手段として使用可能
【通常弾頭の場合】 通常弾頭の場合の被害は、局地的・限定的
スカッドミサイルの弾頭は、250kg~500kg、北朝鮮約200発保有のノドンの弾頭は約1t、
戦時中のB29は1機で10t近く搭載可能、B52は27t搭載可能、
→ ノドン全部でもB29の20機分、B52の6機分
17
各弾道ミサイルの種類・性能
m
30
直径1.32m/0.88m
35m
20
直径1.32m
直径0.88m 直径0.88m
直径1.5m
直径
2.1m/1.32m
27m
10
16m
10.9m
約12m
10.9m
新型IRBM
テポドン2
名 称 スカッドB スカッドC ノドン テポドン1
射 程 約300km 約500km 約1300km 約1500km以上 3,000~4,000km 10,000~15,000km
開発中
約200
不 明
約200
10~20
保有数 約180
CEP
450m
700m
2500m
3000m
不 明(旧ソ連製のSS
-N-6を基に開発され
たとみられている)
不 明
18
(資料源:ジェーン年鑑 2003.7、H15防衛白書等)
イスラエルの弾道ミサイル被害
【被弾数】
6週間で約40発(1日1発未満)
※ うち、1/18と1/25に8発ずつ
※ サウジアラビア等他地域分を含めると80発程度発射
※ 人口260万人のテルアビブ都市圏域で24発(2日に1発程度)
【弾頭】
全て通常弾頭
※ 当初は、弾頭に化学兵器が搭載される懸念もあったが、結果
として、全て、通常弾頭であった(250㎏~500㎏のペイロード
といわれる)。
【死傷者数】
死者2名、負傷者200名強
↑ 米国国防総省HPより↓
※ このほか、心臓発作による死者5名、ガスマスクの取扱ミスに
よる死者が7名、恐怖による精神障害を受けたものが約500名
いたとされる。
【建物被害】
6000強の家屋、1300のビルが被災
※ 通常兵器(TNT)であったこと、火気使用の自粛のため、火災
被害は少ない(ガス引火による爆発はあったとの報道。)。
セキュリタリアン平成10年11月号より→
19
日
時
着弾数
落下地点
被害(死傷者等)
1/22 PM08:40
1
アパート間の街路
1名死亡、84名傷害、ビル一棟全壊
湾岸戦争時の防衛駐
在官が経験した警報
発令から解除に至る
までの実例(3例)
1/23 PM10:20
1
地中海に落下(パトリオット迎撃)
被害なし
(※ 当時のメモによる)
1/18 AM02:00
8
空きの資材置場、皮革工場、建設中のスーパー
22人の軽傷者
1/19 AM07:15
4
3階建ビル(不発)、市センター横、公園、海岸
30人の軽傷者
1/20
なし
ー
ー
1/21
なし
ー
ー
なし
1/24
ー
ー
1/25 PM06:00
7
居住区等に落下(テルアビブ・ハイファ)
1名死亡、67名傷害、2階建てビルに着弾、周辺
の複数ビルの破壊、スタジアムに着弾
1/26 PM10:00
5
人気のないビーチに落下、その他は不明
2人軽傷、家屋への大きな被害はなし
なし
1/27
1/28 PM09:00
1/29~1/30
1/31 PM07:00
2/1
1
1
村落の周辺に落下(テルアビブ南東20㎞)
なし
ー
1
2/3
AM01:40
1
AM02:40
2/10
未開拓地に落下
ー
被害なし
ー
被害なし
負傷者なし、小規模の建造物への被害
なし
1
ー
被害なし
ー
PM08:30
2/9
村落の周辺に落下
なし
2/2
2/4~2/8
ー
ー
テルアビブ郊外の街路に着弾
なし
ー
13人負傷、街路両側の建造物の塀を破壊
ー
ー
2/11 PM07:00
1
地中海に落下
被害なし
2/12 AM01:30
1
テルアビブ東10㎞の2軒の民間の間に落下
9人負傷、2軒の民家崩壊、近隣の民家への被害
なし
ー
2/13~2/15
2/16 PM08:10
2/17~2/18
2/19 PM07:50
2/20~2/22
2/23 PM06:50
2/24
2/25 AM03:40、05:40
2
地中海に落下(パトリオット迎撃)、砂漠へ落下
なし
1
なし
1
なし
2
被害なし
ー
被害なし
ー
過疎地域に落下
過疎地域に落下
ー
被害なし
ー
警報発令~解除
01:37 警報発令
01:45 限定的な警報解除
01:48 限定的な警報解除
01:53 一定の地域以外の
警報解除
ー
ー
空港から10㎞東の非居住地に落下
警報発令~解除
18:57 警報発令
19:03 爆発音
19:05 限定的な警報解除
警報発令~解除
01:27 警報発令
01:33 爆発音
01:35 限定的な警報解除
01:54 警報全面解除
(ALL Clear)
ー
2人負傷、重大な被害なし
※ MIT出版の研究データより作成
20
当時のイスラエルへの弾道ミサイル対応
①
警報の伝達
米軍の早期警戒情報に基づき、政府は、全土に、サイレン、テレビ、ラジ
オで国民に警報を発令(当初、発射4分後、途中から発射直後に警報)
② 住民の対応
警報を受けた住民は、密室性の高い部屋やシェルターに避難し、ガスマス
クを着用
※ 可能な限り外気から遮断するために、部屋の窓や扉の隙間にシールを貼るよう勧告
(多くの住民は「浴室」をシェルターとして代用)
※ ガスマスクは、事態の状況を踏まえ、政府が全国民及び滞在者に無償配布
※ 落下地点の予測が困難であり、全国一律の警戒態勢を取る必要
③
ミサイル着弾地の確認
戦争期間中、軍と警察、消防が共同して、ミサイル着弾地の確認、弾頭の
種類の検査を行い、警報を解除
※ 落下地点の予測が困難であり、全国一律の警戒態勢を取る必要
※ 弾頭の弾着時に、弾着地域以外は解除、その後、弾頭の種類を確認して解除
④
その他
住民に、厳しい灯火管制と外出制限、特に夜間は家に留まるよう指示。
学校は2週間程度閉鎖。輸送・交通機関等の基幹産業は4日間停止
なお、電気、水道、電話等のライフラインは継続
21
イスラエルで国民に配布された冊子
In the event of a genuine alert
Information on Civil Defense for the Family
【主な記載内容】
・サイレンを聞いた場合の対応
①緊急サイレンであることの確認
②火器類等の使用停止
③窓やドアの閉鎖
④防護スペースへの移動
⑤テープ類による隙間の封鎖
⑥ガスマスクの装着
⑦ラジオ又はテレビの聴取
・シェルターがない場合の防護スペースの確保の方策
①部屋の選択(適度の広さを有し、外壁との接点が可能な
限り少ない、一つのドアと窓しかない、爆風に弱い大き
な窓がないという条件を満たす部屋を選択)
②窓の補強、窓の密封(一定の厚みのプラスチックの粘
着シート等により窓の補強や密封を行い、防護を強化)
③ドアの密閉(ドアの隙間や鍵穴にテープを貼付、ドアと
床の隙間に濡れたタオルを敷く)
このほか、緊急時における子供の取扱い方、防護スペースの管理事項、ガ
スマスクの取扱い方等について記載
22
弾道ミサイルによる攻撃の場合
① 弾道ミサイル攻撃に伴う警報の発令の場合には、当初は屋内避難が指示されることから、警
報と同時に、住民を屋内に避難させることが必要である。このため、できるだけ近傍のコンクリー
ト造り等の堅牢な施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設に避難させる。
② 着弾直後については、その弾頭の種類や被害の状況が判明するまで屋内から屋外に出ること
は危険を伴うことから、屋内避難を継続するとともに、被害内容が判明後、国からの避難措置
の指示の内容を踏まえ、他の安全な地域への避難を行うなどの対応。
※ 弾道ミサイル攻撃の対応の流れ(突発的な発射が行われる場合を除く)
① 弾道ミサイル発射の兆候を受けて、対策本部長が「発射が差し迫っている」旨の
警報を発令、また、避難措置の指示を包括的に実施
② 併せて、政府からは、記者会見等により国民に広く情報の提供
※ 少なくとも、この段階で、住民に、ミサイル発射時の対応についての広報を国全
体として活発化する必要(一般の住民への広報、災害時要援護者への連絡)
③ 実際に発射された場合には、その都度、警報を発令
(基本的には、テレビ・ラジオによる放送、防災行政無線による伝達の2本建て)
※ 警報伝達におけるJ-ALERTシステムの活用、弾道ミサイル防衛システムによる警報発令の迅速化
23
「武力攻撃やテロなどから身を守るために」
・国民の視点からテロ発生時にどのように行
動すべきかを示した我が国で初めてのパン
フレット(地震や津波に関しては我が国にも
あった。)
・米国では、「Are You Ready?」(FEMA)
作成が有名。
・内閣官房の国民保護ポータルサイトからダ
ウンロード可能
・警報が発令された場合の対応のみならず、
身の周りで急な爆発が起こった場合の自己
判断による危険回避行動や応急措置につい
ても記載しているのが大きな特徴
24
ゲリラ・特殊部隊による攻撃
・ 北朝鮮は、全軍の幹部化、
【出展】平成16年版防衛白書
全軍の近代化、全人民の武
装化、全国土の要塞化という
四大軍事路線に基づいて軍
事力を増強してきた。 北朝
鮮の軍事力は、陸軍中心の
構成となっており、総兵力は
約110万人である。また、継
続的に戦力や即応態勢の維
持・強化に努めているものの、
その装備の多くは旧式であ
る。
・ 一方、情報収集や破壊工
作からゲリラ戦まで各種の活
動に従事する大規模な特殊
部隊を保有し、その勢力は
約10万人に達すると考えら
れる。
「高度に都市化・市街地化が進んでいるわが国に対する武力攻撃の形態の1つとして、
ゲリラや特殊部隊による都市部などへの攻撃が予想される。」
25
江陵事案(過去の韓国の注目事案)
【概要】<1996年9月18日~>
北朝鮮の小型潜水艦が韓国東海岸(江陵)で座礁。武装した乗員26名(推定)が韓国領
土内に侵入したもの。1ヶ月を超える掃討作戦により、11人が死体で発見、13人射殺、
1名逮捕、1名逃走。韓国軍6万人が出動
韓国軍・警察には、死亡8人(うち4人は誤射や誤発)。一般の民間人3人がゲリラ
に殺害されたほか、1人が誤射で死亡。
【事件の経過】
9月18日
9月19日
9月22日
9月23日
9月29日
9月30日
10月1日
10月9日
11月5日
(※
韓国における報道に基づき作成)
午前2時 座礁潜水艦を発見
午後4時40分 ゲリラ1人を逮捕、ゲリラ11人の死体発見
午後8時 江陵等に夜間外出禁止令を発令
(江陵一帯に半径50㎞の3重包囲網を形成)
午前にゲリラ3人、午後にゲリラ4名を射殺
韓国兵1名が誤発事故により死亡
ゲリラ2人を射殺。韓国兵2人が死亡
未明に松茸狩り中の民間人1人が軍の誤射で死亡
誤射による民間人の死亡を受け、村落の住民に避難を指示
韓国兵1名が誤射で死亡
捜索範囲を拡大、夜間通行禁止と入山規制を強化
警察官1人が誤射で死亡
民間人3人の死体を発見
(※ 潜水艦発見現場から民間人殺害現場まで、直線距離で43㎞、
山岳移動距離で80~120㎞)
ゲリラ2名を射殺、1名は所在不明
26
江陵(カンヌン)事案
全
般
非武装地帯
11.5
韓国軍が2名射殺
1名は所在不明
日本海
食料奪取
約50日
総逃亡距離
約150km
投入兵力
延150万人(3万人/日)
戦死
13名(誤射5)
負傷
17名
民間人犠牲者
4名(誤射1)
射殺
13名
自決
11名
逮捕
1名
不明
1名
韓
国
10.19~29
(約30日)
約80km
10.16
(約27日)
約60km
作戦期間
工
作
員
第3次包囲環(約50km)
総延長:約150km
34名
26名
第2次包囲環
通過中を発見
10.4~8
(約20日)
約40km
第1次包囲環(約25km)
9.21~30
(約3日)
約20km
松茸狩りの民間人
3名が殺害される
9.18~20
約15km
9.18 座礁
銃声確認
韓国軍が工作員
合計7名を射殺
27
江陵事案と国民保護
【国民の保護のために講じられた措置】
○
住民に対して、夜間通行を禁止(午後8時~午
前6時)
○ 作戦地域への交通規制(市内バスとタクシーの
全面的な運行の禁止)
○ 民間人誤射事件以降においては、作戦地域の住
民を避難
※ 当初は、周辺村落の住民の移動が比較的自
由であった(松茸の最シーズンで、住民の移
動を黙認)ものが、事件を受けて住民の避難
や厳格な立入禁止に着手
防衛白書よりイメージ写真
28
我が国周辺における不審船の活動
防衛白書(H16)。海上保安庁HP 等を参考
○ 1999年3月23日 能登半島沖の不審船事案
監視活動中の哨戒機(P3C)が佐渡島西方の領海内で、日本漁船を装った不審船(偽装漁船)2隻を
確認。
海上保安庁から、巡視船艇15隻、航空機12機を投入、海上自衛隊とも連携しつつ、1昼夜に渡りこ
れら不審船2隻を追跡し、停船命令や威嚇射撃を実施するなどの措置をとる。
最終的には、2隻の不審船は、対岸国との中間線及び日本防空識別圏を越え、逃走。北朝鮮北部の
港湾に到達と判断。
自衛隊創設以来初の海上警備行動が発令。
○ 2001年12月22日 九州南西海域における工作船事件
監視活動中の哨戒機(P3C)が国籍不明の漁船型船舶「長漁37
05」を発見。巡視船・航空機で追尾・監視を実施。
度重なる停船命令を無視して逃走を続けたため、射撃警告の後、
威嚇射撃を実施した。
しかし、同船は引き続き逃走し、追跡中の巡視船が武器による攻
撃を受けたため、巡視船による正当防衛射撃を行った。
その後、同船は自爆によるものと思われる爆発を起こし沈没した。
捜査の結果北朝鮮の工作船と特定。
↑工作船を追尾中の巡視船「いなさ」(H13.12.22)
↓ 逃走する不審船 (海上保安庁HPより)
29
携帯型地対空ミサイル(SA-16)
ロケットランチャー(RPGー7)
5.45ミリ自動小銃(AKS-74
30
ゲリラや特殊部隊による攻撃の場合
① 国の対策本部長による避難措置の指示が行われた場合には、知事は、早急に避難の指示
を行い、当該要避難地域からの避難を迅速に実施する(この場合において、移動の安全が確保
されない場合については、身体への直接の被害を避けるために、屋内に一時的に避難させる場
合も必要となる。)
② ゲリラによる急襲的な攻撃により、国の対策本部長による避難措置の指示を待ついとまがな
い場合には、当該攻撃が行われた現場における被害の状況に照らして、退避の指示、警戒区
域の設定等を行い、危険な地域への一般住民の立入禁止を徹底する。
③ 多くの場合は、攻撃への排除活動と並行して避難が行われることから、市町村は、警報の内
容とともに、現場における自衛隊、警察機関からの情報や助言により避難が行えるよう、「現地調
整所」において、情報共有や各機関の活動内容の調整。
※ 「現地調整所」について
市町村モデル計画(消防庁)において、警察庁、防衛庁、会場保安庁、厚生労働省等の関係省庁との間で合
意しているもの(各機関の問題意識や利害関係が一致)。複数の地方団体でも、訓練等において活用。
武力攻撃やテロの現場において、市町村が、消防機関、警察機関、自衛隊、医療機関等と情報共有しなが
ら、各機関の活動内容の調整が図られるよう、「現地調整所」を設置するもの。
※ 都市部における対応
都市部においては、初動時には個々人がその判断により危険回避の行動を取る必要があることから、平素か
ら、住民に対して、「武力攻撃やテロなどから身を守るために(内閣官房)」等による個々人の自助の方策を周
知しておくことが重要。
31
市町村対策本部
※ 市町村国民保護モデル計画より
市対策本部の組織及び機能の例
各部課室
市対策本部
支援要員
派遣
市対策本部長
(市長)
対策本部長の意思決定を補佐
市対策本部副本部長
務
課
福祉 保健 課
市民 生活 課
(市町村対策本
部長の補佐機
能)
統
括
班
対
策
班
報
班
庶
務
班
境
課
建
設
課
○ 事態認定前の段階においても、対策本部と同
様に「緊急事態連絡室」を設置し、初動対応を行
い、切れ目のない対応を確保。
○ 常備消防機関と連携を図りつつ、当直の強化
等を行う等により、24時間体制を整備。
市 町 村 立
病
院
現地調整所
教育委員会
市 町 村 対 策 本 部
広
環
消 防 本 部
現地対策本部
情報通信班
決定内容
の指示
現地調整所
市対策本部員
1助役
2市教育委員会の教育長
3消防長又はその指名する消防吏
員等
4前各号に掲げる者のほか、市長
が当該市の職員のうちから任命
する者
総
○ 市町村対策本部では、市町村長を的確に補
佐できるよう、総括班や対策班、情報通信班、広
報班、庶務班等を設置し、迅速な意思決定を行う
とともに、全庁的な体制を構築。
現 地 調 整 所
・国民保護措置に当たっての調整
○ 現場における関係機関の最新情報を集約
することで、職員の活動上の安全確保に生か
すとともに、退避の指示や警戒区域の設定等
の権限行使を的確なものにすることが可能。
消防機関
医療機関
・情 報 の 共 有
市町村現地対策本部
○ 現地調整所では、避難誘導時や被災の現
場において、消防機関、警察機関、自衛隊、医
療機関等との情報共有や活動調整を行い、同
一の方針や認識の下での活動を実現。
・国、県等からの情報の伝達
・現地調整所への職員派遣
都道府県
市町村
・現地の対応状況の報告
・関係機関から入手した
情報の報告
・活動内容の調整
県警察
自衛隊
海上保安庁
32
鳥取県三朝町の訓練状況
33
着上陸侵攻と航空機攻撃
【着上陸侵攻とは】(防衛白書より)
島国であるわが国の領土を占領しよう
とする場合、侵攻国は、侵攻正面で海
上・航空優勢を得た後、海又は空から地
上部隊などを上陸又は着陸させる着上
陸侵攻を行うこととなる。
【航空機攻撃とは】(防衛白書より)
わが国に対する着上陸侵攻が行われる
場合には、周囲を海に囲まれたわが国の
地理的な特性や現代戦の様相から、まず
航空機やミサイルによる急襲的な航空攻
撃が行われ、この航空攻撃は反復される
のが一般的であると考えられる。
34
第2次世界大戦の主な経過
昭16.12
昭17.06
昭18.09
.12
昭19.03
.06
.07
.08
.10
.11
昭20.03
真珠湾奇襲、太平洋戦争始まる。
昭20.04 沖縄本島へ米軍上陸
ミッドウェー海戦
.05 92都市への空襲
「絶対国防圏設定」
.06 米軍、沖縄本島を占領。
「都市疎開実施要綱」閣議決定
.08 広島、長崎に原爆投下、終戦
「一般疎開促進要綱」閣議決定。
「学童疎開促進要綱」閣議決定。
小笠原・硫黄島民強制疎開指示
サイパン島陥落、
硫黄島疎開の完了
「帝都学童集団疎開実施細目」
沖縄県に緊急疎開指示。
沖縄疎開船「対馬丸」米潜水艦に
1944.10
那覇市への空爆
より撃沈。
那覇空襲
1944.6~7
「老幼者妊婦等の疎開実施要綱」
サイパン・グアム上陸
1941.12 真珠湾攻撃
を閣議決定。
1942.6 ミッドウェイ海戦
サイパン島のB29、東京初空襲、 1943.9 絶対国防圏の設定
以降、日本への空襲が本格化。 1944.6 サイパン上陸
1944.7 グアム上陸
1943.9
硫黄島陥落、東京・大阪大空襲
1944.10 フィリピン上陸
絶対国防圏の設定
「学童疎開強化要綱」閣議決定、
図は、テキサス大学ライブラリー資料を基に作成
35
着上陸侵攻の場合
① 大規模な着上陸侵攻やその前提となる反復した航空機攻撃等の本格的な侵略事態に伴う避
難は、事前の準備が可能である一方、国民保護措置を実施すべき地域が広範囲となり、我が国
全体としての調整等が必要となるため、国全体の総合的な方針の下で対応することが基本。
② 平素から、かかる避難を想定した具体的な対応を定めておくことは困難であり、今後の国際情
勢の緊迫度を踏まえた政府全体の検討に応じて対応することとして、平素から具体的な対応は
定めることとはしない。
衛星から見た夜の朝鮮半島(南北の著しい違い)
“North Korea is Dark.” by Sec. Rumsfeld
36
米軍施設・区域に係る国民保護に係る留意点
○ 「動的な」問題
-米軍の行動と住民の避難が競合する場合への対応-
① 小規模かつ緊急なケースにおいては、通常の交通規制等に基づく現場での対応。
② 他方、長期にわたる場合や調整が難航するような場合には、特定公共施設利用法に基づく対
応。具体的には、道路や港湾、飛行場におけるニーズが競合する場合に、市町村長は、国の対
策本部長(内閣総理大臣)による利用指針の策定に係る調整が開始されるよう、県を通じて、国
の対策本部に現場の状況等を連絡したり、必要な調整の実施を要請。
○ 「静的な」問題
-米軍施設・区域が存在することによる国民保護措置の実施の際の留意点-
現在、内閣官房を中心に、関係省庁で米側と調整中であり、また、都道府県においても、現地の
米軍と意見交換を行っているが、できるだけ早急に整理を行い通知する予定。
① 在日米軍軍人・軍属の家族及び日本人従業員に対する国民保護措置
② 緊急時における米軍から地方公共団体への情報提供
「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続き」(平成9年3月)
③ 緊急時における米軍施設・区域内への限定的・人道的立入り
(避難経路断絶の場合や緊急搬送の場合)
「在日米軍施設・区域内への緊急車両等の限定的且つ人道的立入り」(平成13年1月)
④ 現場レベルにおける米軍と地方公共団体との窓口の設置(都道府県では、設置済み)
37
武力攻撃やテロ発生時の避難誘導における留意点
1.事態に即した対応
○攻撃類型、避難に係る時間的余裕、大都市部(昼間)等により避難誘導の在り方は異なる。常に事
態に即した避難誘導の実現が必要。避難実施要領についても、事態の変化を踏まえ逐次修正するこ
とを求められる場合もある。
○弾道ミサイル攻撃においては、ミサイル発射時には迅速に屋内に避難する。避難誘導は想定され
ない。迅速に個々人が対応できるよう、取るべき行動を周知しておくことがポイント。
○ゲリラ・特殊部隊による攻撃については、比較的時間的余裕がある場合には、一時避難場所まで
の移動及びバス等による移動といった手順が考えられる。
○大都市部での突発的なテロなど時間的な余裕がないケースにおいては、特に初動時には、住民や
滞在者の自主的な避難に頼らざるを得ない。このため、平素から、住民が緊急時にいかに対応すべ
きかについて問題意識を持たせる努力が必要である。
2.情報の共有化、一元化
○市町村の対策本部は、市町村の区域における措置を総合的に推進する役割を担うが、事態の変
化等に機敏に対応するため、現場における関係機関の情報を共有して、関係機関からの助言等に
基づく的確な措置を実施できるよう、「現地調整所」を設けて、活動調整に当たることが必要である。
38
○避難誘導の開始や終了時、問題が生じた特委などは、「現地調整所」に必ず連絡し、「現地調整
所」において情報を一元化し、全体の状況を常に把握しておくことが期待される。
○また、政府の現地対策本部が設置された場合には、当該本部に市町村の職員をリエゾンとして派
遣して、最新の情報を入手するとともに、避難実施要領の作成や修正作業に反映させることが必要と
なる。
3.住民への情報提供の在り方
○武力攻撃やテロの場合には、自然災害以上に「正常化の偏見」(希望的観測を抱き、災害の発生
を軽視若しくは無視し、適切な行動をとらないこと)が起きやすく、また、逆に、小さな事象に対し過剰
に反応したり、思いこみで行動する可能性もある。そうした住民の心理状態も念頭に置き、住民に対
して、必要な情報をタイムリーに提供することが必要。
○その際、事態の状況や住民の避難に関わる情報のみならず、行政側の対応の状況についても、
可能な限り提供すべき。
○また、「正常化の偏見」を考慮すると、自然災害時以上に残留者への対応が必要になる可能性が
高く、必要な要員を確保する等の対応が必要。
○放送事業者の有する情報伝達の即時機能にかんがみ、重要な情報は、速やかに放送事業者に提
供すべき。
39
4.高齢者、障害者等への配慮
○自然災害時と同様、高齢者、障害者等の要援護者への配慮が重要を意識する必要がある。また、
時間的余裕がなく、屋内に留まる方が安全と考えられる場合は、屋内への避難を現実的な避難方法
として考えられる。
○以下の、高齢者、障害者等の要援護者支援措置を講じていくことが適当。
①福祉関係部局を中心とした横断的な組織としての「災害時要援護者支援班」の設置
②消防団や自主防災組織等による情報が伝達されているか否かの確認
③社会福祉協議会、民生委員、介護保険制度関係者、障害者団体等と連携した情報提供と支援
の実施
④一人一人の災害時要援護者のための「避難支援プラン」の策定(地域の要配慮者マップを作成
する等)等
5.安全かつ一定程度規律を保った避難誘導の実現
○避難経路の要所要所において、職員を配置して各種の連絡調整にあたらせるとともに、緊急通行
車両や標識などを配置して、誘導の円滑化を図るべき。
○避難住民が興味本位で、危険な地域に向かったり、避難から脱落することがないように注意。
○避難誘導の先導に立つ要員については、次の点に留意して活動させることが必要。
・誘導にあたるものは、より一層、冷静沈着に、毅然たる態度を保つこと
・誘導員は、防災活動服や腕章等により、誘導員であることの立場や役割を明確にする。
・誘導員は、迅速な情報提供と冷静かつ秩序正しい行動を呼びかけること。
・近隣の住民に声を掛け合い、相互に助け合って避難を行うよう促すこと。
40
6.学校や事業所における対応
○例えば、学校については、時間的に余裕がある場合には、保護者に連絡して、生徒と保護者が一
緒に行動するが、保護者が職場にいる場合や時間的余裕がない場合には、学校の管理の下で、担
任が生徒と行動を共にして避難を行うことを基本とする。
○こうした取組みを円滑に進めるためにも、平素より、学校や大規模な事業所と連携を図るとともに、
訓練等により浸透を図る必要がある。
7.民間企業による協力の確保
○防災時の民間企業の役割として、「地域の防災力」を確保する上での役割が重要。企業の持つ物
理的スペースが、住民避難に役立つのみならず、近隣地域への情報提供等についても、重要な役割
を果たしうる。
○企業単位で地域の避難誘導を主導したり、電光掲示板等によるタイムリーな情報の提供は、大き
な効果を生む。
(参考例:大手町、丸の内、有楽町地区では、地区全体の課題に対処するため、企業同士で「隣組」
を構築し、その防災力を共同で開発する取組みが高く評価されている。4月の尼崎市列車事故では、
周辺の事業所が被災者の救出・救助・搬送に重要な役割を果たした。)
41
8.住民の「自助」努力による取り組みの促進
○テロの場合においては、テロ生起直後に速やかに、自らの判断で、建物の陰に隠れたり、現場か
ら速やかに離れることが、個人一人一人のテロ対処活動への最大の貢献。
○各市町村においても、武力攻撃事態あるいは大規模なテロに際し、住民自ら行うべきことについて、
研修会や訓練を通じて、平素から周知するよう努力することが期待される。
(※)攻撃発生当初の段階では、個々人の判断により、現場における次の行動を考える。
・ 爆発音を聞いた直後は、とっさに低い姿勢になり、身の安全を守るとともに、周囲の状況を確認
する。
・ 即座に爆発が起こった建物などからできる限り速やかに離れる。
・ 近隣の堅牢な建物や地下街など屋内に避難する。また、移動に際しては、現場に消防職員や警
察官がいる場合には、その指示に従って、落ち着いて行動する。
・ 異変の起こった地域には、むやみに近寄らない。
※ 「武力攻撃やテロなどから身を守るために」(内閣官房)参考
42
○ 日本での関心の低さは、平和の裏返し。
米国も、9.11テロ前は「まさか米国本土が狙われることはない」との認識。
○ 日本の世界における「存在感」。
島国の日本は、他国との貿易や交流なしに活動できない。摩擦も伴う。
低い自給率(食糧40%、エネルギー20%(中東から約9割))
世界第2位の経済大国。米国との同盟関係。日本人の国民性。
○ 特に、テロは、防ぐことはできない。
テロは、テロリスト側に「主導権」があり、完全に防ぐことはできない。
無垢の国民がテロの標的(ソフトターゲット)。「国家対国家」の抑止が働かない。
○ 平和は、無償では得られない。国民保護は、一種の「保険」。
地域によって「掛け金」が異なっていいが、住民がいる限り、ゼロにはならない。
他方、危機管理の失敗は、首長の信任につながる。
○ 平素からの苦労。国民保護事務は一過性のものではない。
危機を感じることができない時に、意識を高めることは難しい。苦労計り知れない。
「私がやらずに誰がやる」の「気概」(佐々淳行)。危機管理に完全はない。
担当者はチームで組み、警察、自衛隊、消防、医療機関と意見交換を行う。
図上訓練により、テロリストの視点に立つ厳しいシナリオで、訓練や意識向上。
組織全体の発想や想像力の豊かさが多くの住民を救う。
○ 重ねて、よろしくお願いします。
43
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